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来年度予算編成について ― 基本原則とチェックポイント ― 平成 24 年
来年度予算編成について ― 基本原則とチェックポイント ― 平成 24 年 11 月 6 日 民主党予算編成作業チーム 来年度予算概算要求に関する第 1 次ヒアリング(10 月 30 日~11 月 2 日)へ の対応、協力に謝意を表します。各府省においては、下記の諸点を踏まえ、第 2 次ヒアリング(11 月中旬予定)に対応することを要請します。 厳しい財政状況の中、各府省が下記の諸点に真摯に対応することで、来年度 予算の編成が円滑に進展することを期待します。 なお、各府省においては、下記の諸点に対応するに当たって関係する部局室 (内閣官房国家戦略室、内閣官房地域活性化統合事務局、内閣府規制・制度改 革担当事務局、内閣府行政刷新会議事務局、財務省主計局)と十分に意思疎通 を図ったうえで、所要の対応、準備を鋭意進めてください。 記 各府省は、下記1. (基本原則)、下記2. (チェックポイント)に照らして概 算要求の内容を再度精査し、概算要求の内容を 3%圧縮して第 2 次ヒアリングに 臨むこと。 1.基本原則 (1)最大効果原則(特別重点・重点要求、一般要求) 〇 財政制約を認識し、限られた予算(71 兆円)で最大の効果を追求するこ と。 ― 予算全体のみならず、個別の予算・事業においても同様。 ― 個別の予算・事業の成果目標等の定量的データを参考にしつつ、具 体的な取捨選択を行うこと。 (2)誠実遵守原則(同上) 〇 過去の合意、ルール等を再度確認し、当該内容を正確・誠実に解釈し、 尊重・遵守を徹底すること。主な対象は以下のとおり。 ① 今年度予算編成における政府与党合意 1 ② 日本再生戦略 ― 日本再生戦略の内容との関連が希薄な予算・事業の安易な計上は 認められない。曲解して関連づけることは厳に自粛すること。 ③ 来年度概算要求組み替え基準 ― 概算要求組み替え基準の内容を再度精読・確認し、当該基準に準 じない概算要求は適宜修正・調整・取り下げ等を行うこと。 ④ 事業仕分け・行政事業レビュー ― 各府省は、事業仕分け・行政事業レビューの結果を再度確認し、 本原則に準じて、その結果を適切に反映すること(党行政改革調 査会、行政刷新会議事務局の確認を受けること)。 ⑤ その他 ― 上記①~④以外の過去の根拠に基づいて要求している場合には、 当該根拠を明示すること。 (3)重点重視原則(特別重点・重点要求) 〇 特別重点・重点要求(2.1 兆円)を、可能な限り最大限残すこと。 ― 特別重点・重点要求は一般要求よりも優先度が高いという認識の下、 一般要求を可能な限り削減し、特別重点・重点要求を最大限残すこと。 ― 一般要求において同一事業を前年同額要求し、単に増額分を特別重 点・重点要求に回している事業は、特別重点・重点要求として実態を 伴っていない。 ― 要求府省の「本来業務的なもの」まで特別重点・重点要求としている 事例が多数見受けられる。当該要求に関しては、一般要求の同種項目 (同一事業を要求している場合)または代替項目から所要額相当を削 減し、可能な限り特別重点・重点要求を最大限残すこと。 ― 「本来業務的なもの」と認識し、特別重点・重点要求を取り下げるこ とを希望する場合には、その旨申告すること。 (4)代謝促進原則(一般要求) 〇 一般要求においても、日本再生戦略、来年度概算要求組み替え基準、事 業仕分け・行政事業レビュー結果等を反映して、極力その中身を入れ替え ていくこと。 ― そうした対応によって予算の代謝が促進され、予算の硬直化是正、諸 課題への対応力向上が図られる。 ― 本原則を実践する一手法として、特別重点・重点要求は一般要求より も優先度が高いという認識の下、一般要求を可能な限り削減し、特別 2 重点・重点要求を最大限残すこと(重点重視原則)が有用である。 (5)ポリシーミックス原則(特別重点・重点要求、一般要求) 〇 要求予算・事業の目的達成においては、規制・制度改革、税制改革、そ の他の政策手段との連携による総合的な効果発現を企図すること。 ― 総合特区等の戦略的手段の活用は概算要求組み替え基準にも明記さ れていることから、各府省は要求予算・事業において当該方針を再度 徹底すること。 ― その点を確認するため、内閣官房地域活性化統合事務局は、総合特区 に対する各府省の取り組み姿勢に対する評価を作業チーム及び政調担 当会合(成長戦略・経済対策 PT 小委員会)に報告すること(各府省 の既存事業・予算で総合特区に適用可能な事業・制度・政策等の利活 用状況、総合特区からの規制・制度改革要望等への対応状況等)。 ― 規制・制度改革については、政権交代後 504 項目が閣議決定されてい る。当該項目への各府省の対応状況等を確認するため、内閣府規制・ 制度改革担当事務局は、現時点における評価を作業チーム及び政調担 当会合(成長戦略・経済対策 PT 小委員会)に報告すること。 ― 各府省が垣根を越えた連携を行うことは概算要求組み替え基準でも 求められていることであり、府省横断的な連携を深め、本原則の遵守 と相俟って、総合的な効果発現を追求することは各府省の使命である。 ― 内閣官房国家戦略室は、財務省主計局と連携しつつ、本原則を含む 5 つの基本原則や日本再生戦略の観点から、特別重点・重点要求、一般 要求全般に亘る内容を極力検証し、その結果を作業チーム及び政調担 当会合(成長戦略・経済対策 PT)に報告するとともに、策定予定の「予 算編成の基本方針(骨子)」に反映すること。 2.チェックポイント 第 1 次ヒアリングの結果、厳しい財政制約の中で来年度予算編成を行うため には、概算要求に計上されている全ての予算・事業(特別重点・重点要求、一 般要求<特別会計についても、一般会計に準じる>)を、以下の諸点に照らし てさらに十分に精査することが必要である。 (1)要求予算・事業の必要性・合理性・緊要性・優先性。 (2)要求予算・事業の目的と手段としての合理性・整合性。 ― 政策や事業の目的を達成するために十分な合理性・整合性があるか。 3 ― 間接的な関係予算・事業を安易に計上していないか。 (3)政策目的や事業ニーズが抽象的なものは認められない。 (4)要求予算・事業の成果目標(コストパフォーマンス)は明確か。 ― 当該予算・事業が目指す付加価値は何か。 ― 成果目標や効果が未知数の予算・事業の安易な計上は認められない。 (5)要求予算・事業規模の妥当性・合理性。 (6)過去の事業の検証なくして新規事業の安易な計上は認められない。 ― 前身の事業がある場合にはその効果検証が不可欠。 (7)省内及び他省の同種事業の重複計上は認められない(優先順位づけの必 要性)。 (8)省内及び他省の同種事業の検証なくして新規事業の安易な計上は認めら れない。 (9)省内の要求予算・事業の優先順位づけ(財政制約の中での取捨選択)は 明確か。 (10)リードマネー・モデル事業の必要性・合理性(官が行うことの必要性・ 合理性)。 (11)「本来業務的なもの」に改めて予算・事業を計上していないか。 ― 調査・研究は府省の本来的業務ではないか。 ― 地方自治体の本来的業務を中央府省が予算・事業として計上してい ないか。 ― 国と地方自治体の役割分担に照らして、国が行うこと、または国が 補助金等の資金を地方自治体に拠出することが適当か。 (12)予算(資金)を計上しなくても対応できる政策課題ではないか。 ― 各府省の役割は、方向性等を示し、目的実現の障害となる規制・制 度改革等に腐心することではないか。 ― 本来は民間部門に委ねるべきではないか(民間の事業を活用すべき ではないか)。 ― 金融機関やアカデミア等が本来の役割・機能を果たすことに期待す べきではないか(わざわざ官が代替する必要はない)。 (13)義務的経費は本当に義務的経費か。 ― 義務性に関する法律的根拠のない義務的経費の安易な計上は認めら 4 れない。 ― 過年度事業の継続のための「拡大解釈された義務性」は安易に認め られない。 (14)過年度・既往事業等の更新経費ではないか。 ― 更新の必要性・合理性を確認の要。 ― 特別重点・重点要求に更新経費を安易に計上することは認められな い。 (15)既存予算・事業の単なる衣替えの内容を特別重点・重点要求として計 上していないか。 ― 継続の必要性・合理性が確認できることを前提に、一般要求として は可。特別重点・重点要求として安易に計上することは認められない。 (16)未確定事業を先取りしたものではないか。 ― 実現が未確定な事業、未確定な要素を含んだ事業を先取りする格好 で予算を安易に計上することは認められない。 (17)将来の維持管理費も念頭においた総合経費的視点で計上しているか。 ― コストパフォーマンスを検討する際に、維持管理費を勘案している か。 ― 公共事業・ハコモノ建設等に関しては特に留意の要。 ― 人口減少局面に入った人口動態や経済の実情を踏まえ、財政や社会 の持続可能性を十分に鑑みて対応すること。 (18)不要不急の予算・事業は不可。 ― 「あれば便利」的なハコモノ建設・事業等は厳しい財政状況下、不 可。 ― 人口減少局面に入った人口動態や経済の実情を踏まえ、財政や社会 の持続可能性を十分に鑑みて対応すること。 (19)一般要求、特別重点・重点の中に、外郭団体等の組織運営のための経 常的経費を特別の予算・事業として計上していないか。 (20)同種の予算・事業を複数の府省で計上していないか(連携不足) 。 ― 中小企業対策、金融事業等に散見される傾向が強い。 (21)その他 ― 上記(1)~(20)に分類できないチェックポイントまたは留意 事項。 5 3.具体的指示 第 2 次ヒアリングに臨むに当たり、上記1.2.の基本原則とチェックポイ ントに照らして検討を加えるため、以下の基礎データ、情報を 11 月 12 日(月) までに提出すること。 (1)各府省は特別重点・重点要求を、一般要求を見直し・削減することによ ってどこまで残す意思があるか(どこまで一般要求を削れるか=3%圧縮 の結果)。 (2)各府省は、特別重点・重点要求を「分野別」「目別」「主要経費別」に示 すこと(提示は総括的な整理資料・整理表で可。 「三段表」の提出は想定 していない)。 ― 「分野別」「目別」 「主要経費別」の 3 つの合計額が一致すること。 ― 個別の予算・事業の積算根拠について、作業チーム等の要求がある場 合には提示できるように準備すること。 ― 個別の予算・事業の成果目標(コストパフォーマンス)について、作 業チーム等の要求がある場合には提示できるように準備すること。 ― 一般要求についても、特別重点・重点要求に準じた対応ができるよう に準備すること。 (3)各府省は、特別重点・重点要求の支出先が決まっている場合、想定され る場合には、その情報を開示すること。 ― 一般要求についても、特別重点・重点要求に準じた対応ができるよう に準備すること。 (4)原発関係の要求予算・事業を、主管府省(環境省を想定)が統括して網 羅的に整理すること(現状は、各府省の特別重点・重点要求、一般要求、 特別会計等に混在している)。(注) (5)復興関係の要求予算・事業を、主管府省(復興庁を想定)が統括して網 羅的に整理すること(現状は、各府省の特別重点・重点要求、一般要求、 特別会計等に混在している)。(注) (注1) 原発関係・復興関係の要求予算・事業については、以下のマトリックスに従っ て整理すること(11 月 12 日提出)。 (注2) とくに復興関係については、復興特会の内容を、①一括計上分(復興庁以外分)、 6 ②復興庁所管分、③復興庁以外分の 3 つに分別し、かつ④府省別に報告するこ と。また、上記(2) (3)も適用される。なお、復興関係予算への対応につい ては、これらのデータ、情報の報告を受けたうえで、党行政改革調査会、政府 行政刷新会議における検討・対応に諮る。 一般会計 特別重点・重点要求 (府省別) 一般要求 (府省別) 特別会計 (府省別) 原発関係 復興関係 (6)特別重点・重点要求について、第 1 次ヒアリングで行政事業レビューシ ートを未提出の事案は提出すること。 (7)第 2 次ヒアリングに向けた検討結果を反映したうえで、平成 24 年度当初 予算と平成 25 年度予算概算要求の対比図(1 枚紙)を作成、提出するこ と(第 1 次ヒアリングにおける警察庁の資料参照。同じである必要はな く、各府省で工夫すること)。 (8)各府省は、概算要求の中から、前倒しで編成・執行することで所期の効 果及び経済対策効果を即効的に期待できる予算・事業を、作業チーム及 び政調担当会合(成長戦略・経済対策 PT)に 11 月 12 日までに申告する こと。 (9)内閣官房国家戦略室は、財務省主計局と連携しつつ、各府省の上記の具 体的指示への対応、及び基本原則とチェックポイントを踏まえたうえで の概算要求の再検討、内閣官房地域活性化統合事務局による総合特区関 係の評価、内閣府規制・制度改革担当事務局による規制・制度改革関係 の評価等の情報を収集し、包括的に作業チームに報告するとともに、策 定予定の「予算編成の基本方針(骨子)」に反映すること。 以 7 上