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第6章 事業成果と総括
第6章 事業成果と総括 Summary 「6.1.事業の周知活動」・・・モデル事業の周知活動として、研究会を通じた報告、ホ ームページ掲載、プレスリリース等によるメディアに対する公表、県内他地域の会 議等における報告、県公衆衛生学会での発表を実施し、今後、論文による更なる周 知を目指す。また、実態調査や受診者数把握調査についても周知を図った。 「6.2.事業の波及」・・・管内市町において、モデル事業を参考とした事業の展開が 実施、実施予定となっている。 「6.3.その他」・・・従業員規模50人未満の事業所に対する「がん予防講座」を、3年間 で21回、聴講者は延べ1,086人に実施した。 「6.4.総括」・・・成果として、管内のがん検診状況は好転していることについて述 べ、本事業が与えた影響について触れる。課題として、不足した取組みや連携でき なかった点について挙げる。 33 6.1. 事業の周知活動 モデル事業の周知活動として、以下の取組みを行った。 当事業の第一義的な目的は管内機関の連携によるがん検診受診向上であるため、管内市町及び検診機関 に対しては、報告書公開前の平成 23 年 8 月に情報提供として事業説明を行なった。これは早急な情報提供 により次年度事業の設計に役立てることができると考えたことによる。また、平成 23 年 9 月 28 日に開催し た平成 23 年度第 1 回研究会において、研究会委員に対して詳細な説明を行なった。 同時に、管内市民や事業所、管外関係機関に対して事業の周知を計るために、山形県ホームページに情報 を掲載した。ホームページでは、事業実施に係るエピソード等の内容について週に一回の頻度で連載コラ ムを掲載した。【参考資料3:連載コラム一覧】 それらにより、複数の自治体等より事業に関する問い合わせを受けたり、ブログに情報を掲載していた だいた。また、プレスリリースや個別の情報提供によりメディアに対する公表を行ったところ、荘内日報や コミュニティ新聞及び複数のインターネットニュースサイトで取り上げていただいた。【参考資料4:新 聞掲載記事(一部)】 管外関係機関に対する周知として、平成 23 年 10 月 20 日に秋田市で開催された第 70 回日本公衆衛生学 会総会で設けられた自由集会「がん検診受診向上に果たす医療従事者の役割」において、モデル事業での取 組みを紹介した。平成 23 年 12 月 19 日には、山形県最上地域の市町村と検診機関が参集する「最上地域健康 増進事業評価検討会」において事業の説明を行った。また、平成 24 年 3 月 7 日に山形市で開催された第 38 回山形県公衆衛生学会において、 「がん検診再受診勧奨(Re-call)のあり方 -庄内町のモデル事業での 取組み-」を演題に口演を行った。 さらに今後、論文投稿により更なる周知を目指すところである。 また、 「庄内地域の「がん」に関する統計一覧」及び「庄内地域における地域・職域がん検診受診者数把握 調査報告」についても、山形県ホームページに掲載することで関係機関による活用に供した。 6.2. 事業の波及 モデル事業の性格は、通常の事業と比較して実験的なものであるため、その事業効果を正確に把握して 次に活かすことが、その役割となる。がん検診の実施主体ではない県保健所として、モデル事業の実施はそ の報告に留まらず、その成果を地域内に波及させることで目的を達成することができる。 管内市町においてモデル事業を参考とした事業の展開が、以下により実施又は実施予定となっている。 ①モデル事業と関係する新規取組み(H22、23、24) ②その他の新規取組み(H23、24) ・「日曜日がん検診」の実施(年3回)(H23実施 、・意向調査登録制度の導入(H24 検討中) H24検討中) ・「40歳総合健診」の実施(H24 検討中) ・職域への情報提供(商工会議所等へ案内リーフ ・事業所訪問による職域の状況把握、受診促進 鶴 レット配布)(H23実施、H24検討中) 岡 (H24 検討中) ・女性医師の一部対応(荘内地区健康管理センタ 市 ・受診啓発キャンペーンの実施(H24 検討中) ーで設定)(H22~) ・子ども・地域からの受診呼びかけの実施(H24検 討中) 酒 ・土曜検診の拡大、日曜検診の実施(H22~) 田 ・早朝クイック検診の実施(H24) 市 ・検診申込書未回答者への再勧奨(H24) ・集団検診時(一部日程)の託児助成(H24) ・がん検診 啓発のための絵、標語コンクール (H24) ・女性医師の一部対応(荘内地区健康管理センタ ・セット検診の拡大(H24) 三 ーで設定)(H22~) 川 ・過去3年間未受診者への再勧奨の実施について検 町 討中(H24) 34 ・「忙しい男性のための1時間で終わるがん検診・ ドック」の実施(H23) 庄 内 ・「女性のためのがん検診」の実施(H23) 町 ・上記周知のリーフレットの作成と全戸配布 (H23) ・職場検診受診者の把握(意向調査書)(H23) ・フォロー調査の実施(H23) ・のぼり旗、ステッカー、イベント用グッズ作成 (H23) ・保育園の保護者に対して「がん検診受診勧奨」を ・検診日前の個別電話勧奨(予防協会に委託) 実施(H22) (ドック検診のみ H23~) 遊 ・過去3年間未受診者への再勧奨(H22) ・40 歳の方への胃がん検診無料クーポン券配布 佐 (H24 予定) ・乳幼児歯科健診で啓発(H22~) 町 ・前立腺がんの町内集団検診実施(従来は人間 ・土曜、日曜日検診の拡大(H23~) ドックのみで実施)(H24) (平成 24 年 3 月 9 日現在) 6.3. その他の取組み 産業医の選任義務のない事業所(従業員規模 50 人未満)を対象とした庄内保健所長による「がん予防講 座」を実施した。実施数は 3 年間で 21 回、聴講者は延べ 1,086 人であった。 6.4. 総括 本事業では、庄内町におけるモデル事業を核として、庄内地域におけるがん及びがん検診の現状を確認 することや関係機関の取組みの情報交換を通じて、当地域全体におけるがん検診の受診向上を目指して取 組んできた。 モデル事業で行った取組みは、アンケート調査においてその効果が確かめられたこと及び庄内町の受診 者数が大幅に増加した結果から、有効性が高かったと考える。併せて「働く人のがん検診受診向上モデル事 業効果検証報告」において、阻害要因の克服の面、様々な周知方法、事業遂行方法等についても詳細にその 効果を示すことができたことは、今後の取組みを進めるにあたり大きな成果であると考える。 3 年間の取組みにおける当地域のがん検診受診状況の推移を見ると、 「4.2.庄内地域の地域・職域がん検 診受診者数把握調査」において詳述したとおり、全ての部位において受診者数は増加していた。特に職域検 診の受診者数増加傾向が大きいため、関係機関の勧奨等の取組みと併せて本事業の取組みが少なからず機 運醸成に結びついたことが考えられる。独自の調査方法と集計方法をもって実施し、受診状況の現状把握 を精緻に確認できたことは、当地域の財産として継続実施していくことによって、更に有用性を高めた資 料になると考えられる。 また、事業効果の波及の面から見ると、 「6.2.波及」で詳述したとおり、管内市町においてモデル事業を参 考とした取組みがされており、成果の一つとして捉えることができるとともに、その継続性が期待できる。 検診受診者数の今後の推移と併せて、がん死亡数と罹患数がどのように変化するか確認していくために、 「4.1.庄内地域のがんに関する統計一覧」で詳述した資料についても引き続き作成及び公表していきたい と考えている。 がん検診受診向上研究会は 3 年間の事業として取組みを行ってきたため、以上の総括をもって活動を終 了することとなるが、今後もがんに関する課題に取組んでいくために庄内地域健康づくり協議会に事業を 継承する。 なお、本事業に係るいくつかの内容については、今後論文として発表することで、当地域だけでなく全国 的な財産として残したいと考えている。 35 36