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第三章 高誘電率絶縁膜の作製
第三章 第 一節 高誘 電 率絶縁 膜 の作製 は じめ に 本 研 究 で は 、低 電 圧 駆 動 有 機 薄 膜 トラ ン ジ ス タ を 実 現 す る た め、 大 き な誘 電 率 が 期 待 で き る酸 化 チ タ ン を用 い て 絶 縁 膜 の 作 製 を試 み る こ と と した 。 しか し、 一 般 に 酸 化 チ タ ン は図3.1に 示 して あ る よ うに 非 常 に 大 き な 比誘 電 率 を 有 す る が バ ン ドギ ャ ップ が 狭 い た め 、絶 縁 性 が 悪 い。 ま た 、 結 晶化 しや す く平 坦 な膜 が 得 られ に くい こ とな ど問題 点 が あ る。 有機 薄 膜 トラ ン ジ ス タ に用 い られ る絶 縁 膜 は そ の 平 坦 性 が性 能 向 上 の 一 つ の 指 導 原 理 で あ るた め 、 酸 化 チ タ ン と他 の金 属 酸 化 物 と の 混 成 膜 で は 、非 結 晶 化 に よ り術 坦 な膜 が得 られ る と期 待 し、そ の膜 を ゲ ー ト絶 縁 膜 に利 用 す る こ とに した。 金 属 酸 化 物 と して 比 誘 電 率 は低 い が 、平 坦 性 が 良 い Al2O3とZrO2を 検 討 し、 酸 化 チ タ ン との 混 成 膜 を 作 製 し、 そ の 膜 を ゲ ー ト絶 縁 膜 に 利 用 した。 作 製 した 混 成 膜 はTiAl2O3とTi1-xZrxO2(両 混 成 膜 と も、 化 学 量 論 組 成 は 定 量 的 に確 認 され て い な い が 、便 宜 的 に この よ うに表 記 で あ る。 混 成 膜TiAl2O3とTi1-xZrxO2の 電 子 顕 微 鏡(SEM)を 表 面 観 察 に は 、 原 子 間 力 顕 微 鏡(AFM)お 用 い た 。 混 成 膜 の膜 厚 はSEMに 図3.1誘 よ る 断 面 観 察 よ り測 定 した 。 電 率 と バ ン ド ギ ャ ッ プ の 関 係[21] 本 研 究 で はTio2とAl2O3、TiO2とZrO2の 18 よび捜 査 混 成 膜 を 作 製 した 第 二節 絶 縁膜 作製装 置 TiO2とAl2O3、TiO2とZrO2の 混 成 膜 は ア ル ゴ ン 、 酸 素 中 の2元 同 時RFス パ ッタ リン グ に よ り成 膜 した。本 節 で は ス パ ッ タ リ ン グ の 原 理 と本 実 験 で 多 く使 わ れ た ス パ ッタ リン グに つ い て 簡 単 に説 明 す る。 ス パ ッ タ とは 、 タ ー ゲ ッ ト(本研 究 で はTi、Al2O3、ZrO2)表 面 に入 射 す る高 運 動 エ ネ ル ギ ー 粒 子 が 弾 性 衝 突 に よ りター ゲ ッ ト構 成 原 子 に そ の運 動 量 を 与 え 、跳 ね 返 られ た原 子 を近 傍 の 原 子 と次 々 に衝 突 を繰 り返 す 。結 果 と して 、 ター ゲ ッ ト表 面 原 子 が放 出 され 、放 出 され た ター ゲ ッ ト原 子 が 基 板 上 に堆 積 す る現 象 で あ る。 一 般 的 に ス パ ッタ蒸 着 は 、電 極 間 の グ ロー 放 電 に よ り放 電 空 間 に プ ラ ズ マ が発 生 す る。 この プ ラズ マ 中 の ス パ ッ タ正 イ オ ン が 電 極 近 傍 の 電 位 降 下 で加 速 され 、 タ ー ゲ ッ ト陰 極 表 面 に衝 突 し、 タ ー ゲ ッ ト表 面 を ス パ ッタす る。 ス パ ッ タ粒 子 は 、 陽 極 上 に 配 置 され た 基 板 上 に 堆 積 して 、 タ ー ゲ ッ ト材 料 か らな る 薄 膜 を形 成 す る。 図3.2ス パ ッ タ リン グ の原 理 を 示 す 。 図3.2ス パ ッ タ リン グ の 原 理 DSス パ ッ タ装 置 の 場 合 、 タ ー ゲ ッ トに 絶 縁 物 を 用 い て ス パ ッ タ させ よ う と して も、 ター ゲ ッ ト表 面 が 正 電 位 に 帯 電 し、 陽極 とタ ー ゲ ッ ト表 面 との 間 の 電 位 差 が 消 失 す る た め 、放 電 が持 続 せ ず 、スパ ッ タ を 起 こ させ る こ とは で き な い。 しか し、 直 流 電 源 を 高 周 波 電 源 に 変 え る こ とで 、絶 縁 物 ター ゲ ッ ト表 面 に イ オ ン と電 子 が 交 互 に 衝 突 し、絶 縁 膜 タ ー ゲ ッ ト表 面 で も グ ロー が維 持 され る。 プ ラ ズマ 中 の 電 子 は 、 イ オ ン よ りも速 度 が 大 きい た め 、 ター ゲ ッ ト表 面 に 電 子 が 過 剰 に 蓄積 し、 タ ー ゲ ッ ト表 面 は 直 流 的 に 負 電 位 バ イ ア ス され 絶 縁 物 タ ー ゲ ッ トで も ス パ ッタ 19 す る こ とが 可 能 に な る。 こ の よ うに 、高 周 波 グ ロー 放 電 を 用 い た ス パ ッ タ装 置 で は 、 導 電 体 か ら絶 縁 体 に 至 る任 意 の材 料 を 薄 膜 化 す る こ とが で き る。 本 研 究 で は 、 ス パ ッタ ガ ス に ア ル ゴ ン と酸 素 を 用 い 、薄 膜 作 製 に あ た っ て は 一 回 ご と に処 理 生 産 す るバ ッチ 式 の スパ ッタ 装 置 を使 用 した。RF電 極 にお い て は 、 ター ゲ ッ トを 除 く電 極 は 一 定 の 距 離 を隔 て 、カ ソー ド・シー ル ドで 覆 わ れ て い る。 こ の シー ル ドは 、陰 極 の ター ゲ ッ ト面 以 外 で 放 電 が発 生 す る こ とを 防止 す るた め で あ る。 電 源 は 電 波 法 で 決 め られ た 工 業 バ ン ドの 周 波 数13.56MHzで 500WのRF電 最 大 出力 源 を使 用 して い る。 ま た 、RF電 源 と負 荷 との イ ン ピー ダ ン ス整 合 を と るた め 、陰 極 と電 極 の 間 に マ ッチ ン グ ・ボ ッ ク ス(整 合 回 路)が 設 け られ て い る。 良質 の 薄 膜 を 作 製 す るた め に は 、 反 射 波 を最 小 に抑 え る こ とが 重 要 で あ る。 特 に 、本 研 究 で は 図3.3に 示 した よ うに基 板 を 回 転 させ る こ とが で きた 。 これ に よ り、二 つ カ ソー ド(TiO2とAl2O3、TiO2とZrO2の 組)に 同 時 にRF電 源 を印 加 して混 成 膜 を作 製 す る こ とが 可 能 で あ っ た 。 図3.32元 第三節 絶 縁 膜TiAlOの 同 時 ス パ ッ タ リ ン グ の概 略 図 作製 ま ず 、高誘 電 率 ゲ ー ト絶 縁 膜 と して 酸 化 チ タ ン と酸 化 アル ミの 混 成 膜 を試 み た 。 酸 化 チ タ ン は 高 い 誘 電 率 を 有 す る が 絶 縁 性 、平 坦 性 が 問 題 と な るた め 、 トラ ン ジ ス タ の ゲ ー ト絶 縁 膜 と して は適 合 して い な い 。 そ の た め 、非 常 に 平 坦 で あ り、絶 縁 性 に 優 れ た 酸 化 ア ル ミ薄 膜 を 混 合 す る こ とに よ り問 題 が 改 善 され る と期 待 し た 。酸 化 チ タ ン と酸 化 アル ミの 混 成 膜 作 製 の 際 に は 混成 膜 の 平 坦 性 と絶 縁 性 に 主 案 点 を 置 い た。 混 成 膜 の作 製 に は 第 二節 で説 明 した2元 同 時RFス パ ッタ リン グ を用 い た。混 成 膜 を成 膜 す る基 板 はn-シ リ コ ン を使 用 した 。 そ の 後 、 基 板 を ス パ ッタ の ホ ル ダ の 20 大 き さ に 合 わ せ 、 縦 と 横 を そ れ ぞ れ 、14mmと22mmの BHF(フ 大 き さに 切 り取 っ た 。次 に ァ ッ パ ド ブ ッ 酸 、 濃 度 記 入)を 用 い て 基 板 の 表 面 に 堆 積 さ れ て い る 自 然 酸 化 膜 を 剥 離 し た 。 洗 浄 す る 時 間 は1分 間 し 、 流 水 を1分 間 流 した 。 洗 浄 の 直 後 に 基 板 を ス パ ッ タ 装 置 に セ ッ トア ッ プ し た 。 ア ル ゴ ン と 酸 素 の 流 量 を そ れ ぞ れ 20sccmと10sccmと 固 定 し 、 ア ル ゴ ン 、酸 素 中 の2元 成 膜 を 行 っ た 。 基 板 を 回 転 速 度rpmで 同 時RFス 回 転 させ な が ら成 膜 を 行 っ た 。 基 板 の 冷 却 水 温 度 は 室 温 に し た 。 ス パ ッ タ の タ ー ゲ ッ トはAl2O3とTiで 加 す るRFパ 第一項 パ ッタ リン グ に よ り ワ ー は そ れ ぞ れ50-250Wと100-400Wの あ り 、Al2O3とTiに 印 範 囲 内 で 制 御 した 。 表 面形状 ゲ ー ト絶 縁 膜 に 求 め ら れ る 最 も 重 要 な 特 性 の 一 つ が 表 面 の 平 坦 性 で あ る 。 ゲ ー ト絶 縁 膜 の 上 に 有 機 半 導 体 層 を 形 成 す る と き に 、 ゲ ー ト絶 縁 膜 の 平 坦 性 に よ っ て 有 機 半 導 体 の 形 成 の 品 質 は 左 右 され る 。有 機 半 導 体 層 の 形 成 具 合 は トラ ン ジ ス タ 性 能 に 大 き く 影 響 を 及 ぼ す の で 、 ゲ ー ト絶 縁 膜 の 平 坦 性 は ト ラ ン ジ ス タ に と っ て 大 き な 鍵 と な る 。 ま ず は 酸 化 チ タ ン 膜 と 酸 化 ア ル ミ 膜 の 作 製 を そ れ ぞ れ 行 い 、RF パ ワ ー に よ る 成 膜 速 度 を 計 算 し て み た 。 図3 .4は ア ル ゴ ン(20sccm)、 雰 囲 気 中 に チ タ ン タ ー ゲ ッ ト のRFパ 分 の 時 、 酸 化 チ タ ン 膜 のSEM像 ワ ー が400W、 酸 素(10sccm) ス パ ッ タ リ ン グ 時 間 が1時 間10 で あ る 。 一 目 瞭 然 、 平 坦 性 が 悪 い こ とが わ か る。 当 然 な が ら 、 こ の 膜 で は ト ラ ン ジ ス タ の ゲ ー ト絶 縁 膜 と し て は 使 用 で き な い 。 ス パ ッ タ 時 間 とSEMの 断 面 図 か ら ス パ ッ タ リ ン グ に よ る 成 膜 速 度 を 行 っ た 結 果 、酸 化 チ タ ン の 場 合 は47nm/hで あ っ た。 図3.4酸 図3.5は ア ル ゴ ン(20sccm)、 化 チ タ ン 膜SEM像 酸 素(10sccm)雰 21 囲 気 中 に 、 酸 化 アル ミ タ ー ゲ ッ トの RFパ ワー が100W、 ス パ ッ タ リン グ時 間 が1時 間10分 の 時 の 酸 化 ア ル ミ膜 のSEM像 で あ る。 酸 化 アル ミ膜 は チ タ ン酸 化 膜 とは 違 い 、膜 表 面 が 非 常 に平 坦 で あ る こ と が わ か る。 そ の た め 、酸 化 ア ル ミ膜 の場 合 に は 平 坦 性 の 良 さ と酸 化 シ リ コ ン よ り 高 い誘 電 率 を有 す る た め 、有 機 薄 膜 トラ ン ジ ス タ の ゲ ー ト絶 縁 膜 と して 使 用 され た報 告 も あ る。 ス パ ッタ 時 間 とSEMの ル ミ膜 の ス パ ッタ 速 度 は40nm/hで 図3.5酸 図3.6は2元 膜 のSEM像 断 面 図 か ら成 膜 速 度 を行 っ た 結 果 、酸 化 ア あった。 化 ア ル ミ膜 のSEM像 同 時 ス パ ッ タ リ ン グ に よ り成 膜 し た 酸 化 ア ル ミ と酸 化 チ タ ン の 混 成 で あ る 。 成 膜 条 件 は 左 図 が 酸 化 ア ル ミ のRFパ ワ ー が そ れ ぞ れ100Wと300Wの 両 方 と も ア ル ゴ ン(20sccm)、 時 、右 図 は そ れ ぞ れ が100Wと400Wの 酸 素(10sccm)の ス パ ッ タ 時 間 は2時 間2分 で あ っ た 。SEM像 400Wか ら300Wま ワ ー と チ タ ン タ のRFパ 時 で あった。 雰 囲 気 中 で ス パ ッタ リン グ を行 った 。 か ら わ か る よ う に チ タ ン のRFパ ワー を で 下 げ て も混 成 膜 の表 面 に は 、 弱 間 窪 み が 減 っ た だ け で平 坦 に な らな か っ た。 図3.6酸 化 アル ミ と酸 化 チ タ ン の 混 成 膜 ま た 、 図3.6の 右 図 の 酸 化 ア ル ミ と酸 化 チ タ ン の 混 成 膜 は ち ょ う ど図3.4の 酸 化 チ 22 タ ン と図3.5の 酸 化 アル ミを合 わ せ た膜 と考 え て も良 い。酸 化 ア ル ミと酸 化 チ タ ン の 混 成 膜(の 結 晶 性 が 基 板 の 温 度 と関 係 が あ る と考 え 、 基 板 の周 囲 に 流 れ る 冷 却 水 の 温 度 を室 温(25C程 酸 素(10sccm)の 度)か ら10Cに 設 定 し、 成 膜 を 行 っ た 。 ア ル ゴ ン(20sccm)、 雰 囲 気 中 で 酸 化 ア ル ミ のRFパ ぞ れ100wと300wに ワー とチ タ ン タ のRFパ した。 混 成 膜 の 表 面 のSEM像 ワー が そ れ を 図 に示 す 。 冷 却 水 の 温 度 を 下 げ る こ とに よ り、結 晶性 が緩 和 され 、窪 み の密 度 と面 積 は 減 少 す る こ とが わ か っ た が 完 全 に 平 坦 な 膜 は 得 られ な か っ た 。そ の結 果 、混 成 膜TiAl2O3は 表 面 の 粗 さの た め 、 有 機 トラ ン ジ ス タ の ゲ ー ト絶 縁 膜 と して は 適 して は い な い こ とが わ か っ た 。 図3.7冷 却 水 温 度 を10Cに し た 時 の 酸 化 ア ル ミ と 酸 化 チ タ ン の 混 成 膜 のSEM像 (混 成 膜 の 表 面 に 窪 み が 減 っ て い る の が わ か る) 第二項 電気 的特性 混 成 膜TiAl2O3の 比 誘 電 率 を 見 積 も る た め 、キ ャ パ シ タ を 作 製 し 、キ ャ パ シ タ ン ス 測 定 を 行 っ た 。 キ ャ パ シ タ ン ス 構 造 はTiAl2O3膜 MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構 た 混 成 膜TiAl2O3の 蒸 着 し た 造 で あ っ た 。 ま ず 、ス パ ッ タ リ ン グ で 成 膜 し 表 面 に メ タ ル マ ス ク を 張 り付 け た 。 メ タル マ ス ク に は 4mm×4mm、2mm×2mm、1mm×1mm、0.5mm×0.5mmの 正 方 形 角 が あ る。 そ の 後 、 蒸 着 は 真 空 装 置 に て 行 っ た 。 蒸 着 条 件 は 圧 力104Pa、 ま で 成 膜 を し た 。 キ ャ パ シ タ ン ス の 測 定 に はLCRメ っ た 。 上 側 の 電 極 の 面 積(一 辺1mmの 蒸 着 速 度 を1A/sに し 、100nm ー タ を 用 い 、 周 波 数1kHzで 行 正 方 形)を 用 い て 、 単 位 面 積 あ た り の キ ャ パ シ タ ン ス を 算 出 し た 。 比 誘 電 率 を 求 め る 際 に は 式3.1を TiAl2O3を 上 にAlを 用 い た 。 図3.8に 混 成 膜 有 す る キ ャ パ シ タ 構 造 を 示 す 。 そ の 結 果 、 図3.6の 左 図 に 対 応 す る 混 成 23 膜 は キ ャ パ シ タ ン ス が182nF/cm2、 比 誘 電 率 は15.1で あ っ た 。 図3.7に 対 応 す る 混 成 膜 は キ ャパ シ タ ン ス は178.8nF/cm2、 比 誘 電 率 は17.9で あ り、 同 じ材 料 で成 膜 を 行 っ て もそ の 成 膜 条 件 に よ り比 誘 電 率 が 変 わ る こ とが わ か っ た。そ の 理 由 は基 板 温 度 を 下 げ る こ とに よ っ て 図3.7の 方 が 図3.6の 左 図 の方 よ り結 晶 性 が 緩 和 され 、 比 誘 電 率 に差 が 生 じた と考 え られ る。 ま た 、 両方 の 比 誘 電 率 の 値 はバ ル ク で の 比 誘 電 率 と比 べ 、小 さい 。 そ の理 由 と して は 薄 膜 の 場 合 は 下 地 の 影 響 を 強 く受 け る こ と と 、この厚 み の 膜 で は 混 成 膜 の ほ とん どが 比 結 晶 質 で あ る か らだ と考 え られ る。 式3.1 第 四節 絶 縁 膜Ti1-xZrxO2の 図3.8混 成 膜TiAl2O3を 有 す る キ ャパ シ タ構 造 作製 第 三 章 の 第 三 節 の 結 果 、 混 成 膜TiAl2O3は 表 面 の 粗 さ の た め 、 有 機TFTの 絶 縁 膜 と し て は 適 し て い な い こ と が わ か っ た 。本 節 で は 混 成 膜TiAl2O3の ZrO2とTiO2の ゲー ト か わ りに 混 成 膜 を作 製 し、 そ の 評 価 を行 っ た。 混 成 膜TiAl2O3と 同 様 に 、 混 成 膜Ti1-xZrxO2を 作 製 す る 際 に も 基 板 はn-シ リコ ン を 使 用 した 。 基 板 を ス パ ッ タ の ホ ル ダ の 大 き さ に 合 わ せ 、 縦 と横 を そ れ ぞ れ 、 14mmと22mmの 大 き さ に 切 り 取 っ た 。 次 にBHF(フ ァ ッ パ ド ブ ッ 酸 、 濃 度 記 入)を 用 い て 基 板 の 表 面 に 堆 積 さ れ て い る 自 然 酸 化 膜 を 剥 離 す る 。 洗 浄 す る 時 間 は1分 間 し 、 流 水 を1分 間 流 し た 。 洗 浄 の 直 後 に 基 板 を ス パ ッ タ 装 置 に セ ッ トア ッ プ し た 。 セ ッ トア ッ プ し た 後 、 ア ル ゴ ン と 酸 素 の 流 量 を そ れ ぞ れ20sccmと10sccm (10sccm,3sccm)と し と し 、 ア ル ゴ ン と 酸 素 の 雰 囲 気 中 の2元 グ に よ り成 膜 を 行 っ た 。 基 板 を 回 転 速 度rpmで 同 時RFス 回 転 させ な が ら成 膜 を 行 っ た 。 基 板 の 冷 却 水 温 度 は 第 三 章 の 第 三 節 の 結 果 を も と に し て 、 す べ て10Cに ス パ ッ タ の タ ー ゲ ッ ト はZrO2とTiで れ50-200Wと400Wの 比(X)は あ り 、ZrO2とTiに 印 加 す るRFパ 範 囲 内 で 制 御 し た 。 混 成 膜Ti1-xZrxO2で そ れ ぞ れ の タ ー ゲ ッ ト に 印 加 す るRFパ 24 パ ッ タ リン 設 定 した。 ワー は そ れ ぞ のZrO2とTiO2の 組成 ワ ー に よ り 見 積 も ら れ た 。つ ま り 、 タ ー ゲ ッ ト に 印 加 す るRFパ ワ ー を 変 え る こ と に よ り 、薄 膜 の 厚 さ が 変 わ る こ と を 利 用 し た 。 本 研 究 で 使 用 し た 組 成 比(X)の TiのRFパ ワ ー が αWの ー を βW nm/hだ 、TiのRFパ 時 の 蒸 着 速 度 がAnm/hだ ワ ー を αWに と す る と 、ZrO2の X=(B-A)/Aと 第 一項 と し よ う 。 ま た 、ZrO2のRFパ し て 作 製 し た 混 成 膜Tii-xZrxO2の 蒸 着 速 度 はB-A nm/hに ワ 蒸 着 速 度 をB な る 。 そ れ に よ っ てXの 値 は な る。 表 面形 状 図3.4と 図3.5にn-シ リ コ ン 基 板 上 に 成 膜 し た 約70nm程 像 お よ び 断 面 図 とSEM像 ZrO2タ 200Wで AFM像 ワ ー が0Wで の サ イ ズ は1μm×1μmで 表 すRMS(root mean 含 ま な いTiO2の 個/μm2程 直 径10nm程 のAFM ワ ー は(a)0W、(b)40W、(c)60W、(d)80W、(e) あ り 、 そ れ ぞ れ の 場 合 、TiのRFパ し 、(f)の 場 合 はTiのRFパ 度 のTi1-xZrxO2膜 を 示 した 。 ー ゲ ッ トに 印 加 す るRFパ 200W、(f) ZrO2を 決 定 方 法 に つ い て 説 明 す る。 例 え ば 、 ワ ー は400Wに あ り 、 作 製 さ れ た 膜 はZrO2で あ る 。 数 枚 のAFM像 固 定 した 。 但 あ る。 か ら求 め た 表 面 の 粗 さ を square)の 平 均 値 を 図3.4に 示 し た 。 図3.4のAFM像 膜(a)で は 、 直 径50nm-100nm程 度 見 ら れ る 。 こ のZrO2膜 を 図3.5のSEMで にお い て 、 度 、 深 さ 数nmの 窪 み が20 観 察 した と こ ろ 、 窪 み 部 分 は 度 の グ レ イ ン か ら 成 っ て い る こ と が 確 認 さ れ て い る 。ZrO2を 少 量 含 ん だ(b)で は 、 そ の 窪 み の 密 度 が 減 っ た 。 ま た 、 窪 み の 直 径 が 減 少 し 、 深 さ も 浅 く な っ て い る こ と が わ か っ た 。 さ ら にZrO2組 察 さ れ な か っ た 。 ま た 、ZrO2のRFパ 成 の 大 き い(c)で は 、 こ の よ う な 窪 み は 観 ワ ー を そ れ ぞ れ80Wと200Wに し た(d)、(e)の 混 成 膜 の 表 面 に つ い て も 、(c)と 同 様 に 窪 み が 観 察 さ れ な か っ た 。(c)-(e)の 場 合 と は 逆 に(f)のZrO2膜 の 表 面 で は窪 み は 存 在 しな い が 、た く さん の 凹 凸 が表 れ 、非 常 に 平 坦 性 が 悪 い こ と が わ か っ た 。AFM像 を 比 較 す る と 、(a)で は0.1nmオ に よ り 、(a)-(e)に つ い て 窪 み 以 外 の 部 分 ー ダ ー の 凹 凸 が あ る が 、(b)、(c)、(d)、(e)で の 程 度 が 小 さ か っ た 。 図3・4と 図3・5の 結 果 はTiO2にZrO2を は凹 凸 混 合 す る こ とに よ り、 そ れ ぞ れ の平 坦 性 が 改 善 され る こ と を示 唆 して い る。 ま た 、 こ の 結 果 は 窪 み の な い 平 坦 な 表 面 を 得 る た め の 最 小 のZrO2組 成 が 存 在 す る こ と も示 唆 して い る。 25 図3.9ス パ ッ タ リ ン グ 膜Ti且-xZrxO2のAFM像 26 と断 面 図