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522 - 熊本県産業技術センター

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522 - 熊本県産業技術センター
サブ 0.1 ミクロン加工のための誘導結合型プラズマ特性の評価
○森
康雄*1,木原
健雄*1,森川
*1 熊本大学
晃次*1, 久保田
弘*1,中田
明良*1,中村
一光*2
〒860-8555 熊本市黒髪 2-39-1
*2(財)くまもとテクノ産業財団
〒862-2202 熊本県上益城郡大字田原 2081-10
1. はじめに
デバイスの大規模化・多機能化に対して、多大な影響を持つの
スの集積度を向上させるためには、加工寸法の微細化のみでは
なく、高さ方向にも積み上げていくことが必要で、これにより
デバイス集積化からの要求に応えることができる[1]。 このため、
配線層と基板とを接続するコンタクトホールのアスペクト比は
10 以上へと増加の一途を辿っている。このような深いホール形
状を実現するためには、プラズマからイオンを垂直性よく基板
に引きこむために、高周波電源による大きなバイアス形成が必
要となるとともに、プラズマ中で生成するイオン・中性ラジカル
Pattern Size/ Design Size
が高アスペクト比のコンタクトホール加工技術である。デバイ
1.8
1.6
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
0
種の制御が必要となってくる。
本研究では誘導結合型プラズマ装置を用いて、SiO2膜のエッ
チング機構を解明し,加工パターン 0.1μm 以下でアスペクト比
0.2
0.4
0.6
0.8
1
Design Size [μm]
図 1.電子線描画装置によるパターンサイズ
報告ではエッチング形状のパターンサイズ依存性についての評
3.誘導結合型プラズマエッチング装置 (ICP:
Inductive Coupling Plasma)
価結果と、誘導結合型プラズマ特性について分光器を用いたイ
本研究で用いた実験装置である誘導結合型プラズマエッチン
オン・中性ラジカルのプラズマ発光強度の変化について報告す
グ装置を図 2 に示す。エッチング用ガスを注入しながら,誘導
る。
コイルを通して高周波電力をかけると、高周波によりコイル内
10 以上のホールエッチングを行なうことを目的としている。本
で交番磁場を生じ、その磁束のまわりに渦電流が発生して電子
2. 電子線描画装置によるパターン形成
が加速される。加速された電子は注入されたガス原子・分子と
本実験では,SiO2膜 1μm を熱酸化法により形成した、4 イ
衝突し、原始・分子がイオン化する。イオン化によってエッチン
ンチの Si 基板上に電子線描画用レジスト ZEP-520(日本ゼオン
グガスが放電状態になると、プラズマは表皮効果のために表面
製)をスピンコーターで厚さ 0.5μm 塗布し,電子線描画装置
付近で電流密度が最大となるといった特徴を有している。
(HL-700)によりパターニングしたものをサンプルとして用い
Gases
た。
図 1 は設計したパターンサイズに対して実際形成されたパタ
ーンサイズを規格化してプロットしたものである。設計 0.1μm
Sample
RF1
13.56MHz
においてはその割合がほぼ 1 であるがそれ以外のサイズのライ
ンパターンでは、1.2~1.5、ホールパターンでは、0.4~0.6 の間
の値をとり、約 50%程度のサイズが増加する傾向となっている。
これは本研究においては、0.1μm のパターン形成を優先し最適
化を行った為である。
Gases
RF2
13.56MHz
図2.誘導結合型プラズマエッチング装置
4. エッチング結果と考察
本実験では誘導コイルに 500W、基板電極に高周波電力を印
加した。また、エッチングガスとして CF4 を用い圧力 5Pa、流
0.3μm
0.2μm
量 3.1sccm でプラズマを生成した。エッチング後のサンプル(ホ
0.4μm
ール形状)の断面 SEM 写真を図 3 に示す。観察は、工技センタ
ー所有の FESEM(HITACH S-4000)を使用して行った。また,そ
600nm
の SEM 写真により測長したエッチング深さのパターン依存性を
エッチング形状シミュレータによるシミュレーション結果を合
わせて図 4 に示す。図 4 よりパターンサイズが微細になること
0.5μm
で、エッチング深さが減少しており、ほぼシミュレーション結
0.6μm
0.7μm
果と同様な傾向となった。パターン内に入射したイオンや中性
活性種などの反応粒子が被エッチング表面(底面や側壁)に到
達する際、流束がアスペクト比により大きく変動していると推
測される。
5. 誘導結合型プラズマの圧力と発光強度の依存
性
図3
0 .8
誘導結合型プラズマにおける、イオン発生量を調べる為に Ar
0 .7
コイルに 100W の高周波電力を印加して生成した。測定はプラ
ズマプロセスモニタ(浜松ホトニクス製 C6670)を使用して行
Depth[μm]
ガス雰囲気中で圧力と Ar+波長 749.8nm の発光強度の関係を計
測した。その結果を図 5 に示す。プラズマは流量 10sccm、誘導
CF4 ガスプラズマによるエッチング後のホール形状
0 .6
0 .5
0 .4
H ole
0 .3
0 .2
Line
の発光強度は増加した。したがって、圧力が高いほどプラズマ
0 .1
Simulation
中での活性分子の量は多くなり、例えば CF4 ガスを用いた場合
0
った。Ar 、1Pa~15Pa の範囲では圧力が増加するに従い Ar+
0
エッチングレートは大きくなると推測される。しかし一方で高
力の方が一般的に大きくなる。エッチングレートと異方性の両
者の向上が高アスペクト比のコンタクトホールを形成の為の課
題となっている。
6. まとめ
電子線描画により 0.1~0.9μm のライン及びホールパターン
を形成し、CF4 ガスプラズマにより SiO2 膜のエッチングを行っ
た。シミュレーション結果との比較を行いほぼ、同様の特性と
なることを確認した。さらに、Arプラズマを用いた発光分析
結果から、誘導結合型プラズマにおける圧力と発生イオン量の
関係を得た。今後は,圧力,流量,発光強度などのプラズマパラ
Luminescence Intensity [a.u.]
アスペクト比を実現する為には異方性が要求され、これは低圧
0 .2
0.4
0 .6
0 .8
1
1.2
Pattern Size[μ m]
図 4 エッチング深さのパターン依存性
35000
30000
25000
20000
15000
10000
Ar 100W 10sccm
5000
0
0
2
4
メータによるエッチング形状やエッチングレートの制御,また
6 8 10 12 14 16
Pressure [Pa]
図 5 圧力と発光強度の関係
CF4 にArガスを添加したときのエッチング効果について評価し
.
ていく予定である。
問い合わせ先
参考文献
熊本大学・久保田 弘
[1]International Technology Roadmap for Semiconductors 2002
Tel:096-342-3294
E-mail:[email protected]
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