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線形代数の基礎
線形代数の基礎 pg. 1 ベクトル 列ベクトル(縦ベクトル) 1 12 5 ⋮ 19 9 7 行ベクトル(横ベクトル) 1219 1597 ⋯ pg. 2 行列 12 10 19 23 2 行 2 列行列(2×2 行列) 1 7 5 7 9 7 2 行 3 列行列(2×3 行列) 3 行 2 列行列(3×2 行列) ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ r 行 c 列行列(r×c 行列) pg. 3 対角行列 0 0 ⋮ 0 ⋮ 0 ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ 0 0 ⋮ 単位行列 1 0 ⋮ 0 0 1 ⋮ 0 ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ 0 0 ⋮ 1 pg. 4 上三角行列 0 ⋮ 0 ⋮ 0 ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ 下三角行列 0 ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ 0 0 ⋮ pg. 5 転置行列 ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ pg. 6 ベクトル・行列の演算 ⋮ , ⋮ , ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ , ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ とおく。 pg. 7 ベクトルの足し算 ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ベクトルの引き算 同じ次元の列ベクトルどうし、あるいは行ベクトルどうしは、足し算や引き算ができ る。 pg. 8 行列の足し算 ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ ⋮ 行列の引き算 ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ 同じ次元の行列どうしに限って足し算や引き算ができる。 pg. 9 スカラーとのかけ算 スカラーとベクトルのかけ算 ⋮ スカラーとベクトルのかけ算 ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ pg. 10 ベクトルや行列どうしのかけ算 ベクトルとベクトルのかけ算 ⋯ ⋯ ⋮ 1× 次元の行ベクトルと ×1 次元の列ベクトルのかけ算はスカラー量になる。 例) 11 1 2 35 1 2 2 3 10 13 pg. 11 ベクトルと行列のかけ算 ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ ⋮ ⋮ 行列の列数とベクトルの行数が一致していなければいけない。 例) 2 0 0 2 0.5 1 2 ∙ 0.5 0 ∙ 0.5 0∙1 2∙1 1 2 pg. 12 行列と行列のかけ算 ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ ⋯ ⋯ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋯ 1 つめの行列の列数と 2 つめの行列の行数が一致していなければいけない。 pg. 13 練習 という計算はできない。 pg. 14 順番が大事 行列のかけ算の順番を変えてはいけない。 1 3 2 4 5 7 6 8 19 43 22 50 5 7 6 8 1 3 2 4 23 31 34 46 pg. 15 結合則 分配則 スカラー量に関する交換則 pg. 16 単位行列のかけ算 例) 1 3 2 4 1 0 0 1 1 3 2 4 1 0 0 1 1 3 2 4 1 3 2 4 pg. 17 式の両辺に行列を掛けるときは同じ側から掛ける のとき (D を右から掛けた) (D を左から掛けた) は成立する。 しかし、 (左辺には D を右から掛けて、右辺には左から掛けた) (左辺には D を左から掛けて、右辺には右から掛けた) は成立しない。 pg. 18 正方行列の「トレース」と「行列式」 正方行列:行数と列数が等しい行列 次正方行列のトレース トレース:対角成分の和 Tr pg. 19 次正方行列の行列式 Det 例) 1 4 1 4 2 8 2 7 1⋅8 1⋅7 2⋅4 2⋅4 8 7 8 8 0 1 行列式を求めると、行列を構成する行ベクトルが互いに一次独立であるかどうかが分かる。 行列式 0 だと、互いに一次独立。(どの行ベクトルも他の行ベクトルの線形結合で表せない。 2 次正方行列の場合には、一方の行ベクトルが他方の行ベクトルのスカラー倍となっていない。) 行列式 0だと、互いに一次独立ではない。(行ベクトルのなかには他の行ベクトルの線形結合 で表せるものがある。2 次正方行列だと一方の行ベクトルが他方の行ベクトルのスカラー倍とな っている。) pg. 20 次正方行列の行列式 例) 1 7 11 2 3 0 3 5 1 1 3 3 0 96 5 1 2 99 0 7 11 5 1 3 7 11 3 0 1⋅ 3 0 2⋅ 7 55 3⋅ 0 33 この行列の行ベクトルは一次独立でない。たとえば、 1101 2 735 3 123 と表せる。 pg. 21 対角行列・上三角行列・下三角行列の行列式 行列式は対角成分の積で与えられる。 0 ⋮ 0 たとえば、 ⋮ 0 ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ のとき、| | ∑ pg. 22 逆行列 行列 について、 が成り立つ行列 を の逆行列とよび、 と 表す。つまり pg. 23 次正方行列の逆行列 のとき 1 | | | | 0 のとき(行列式=0 のとき)は、逆行列は存在しない。 pg. 24 対角行列の逆行列 0 0 ⋮ 0 ⋯ ⋯ ⋮ ⋯ ⋮ 0 0 0 ⋮ の逆行列は、 1 0 0 1 ⋯ 0 ⋯ 0 ⋮ 1 ⋮ ⋮ ⋮ 0 0 ⋯ となる。 pg. 25 連立一次方程式 行列とベクトルで表すと、 . , → , → とおくと、 → →. pg. 26 連立一次方程式 の逆行列を として、両辺に左から掛けると、 → → → → → →. つまり、 . pg. 27 固有値と固有ベクトル 正方行列 M についての等式 λ がスカラー量 λと 0でないベクトルを について成り立つとき、 λを固有値、 を固有ベクトルと定義する。 pg. 28 固有多項式 固有値は固有多項式を解くことによって求めることができる。 λ を式変形する。 ここで、行列 λ の逆行列 λ 0 λ 0 λ 0 λ が存在すると仮定する。すると、この 逆行列を左から掛けると、 λ λ 0 0 となり、 がゼロベクトル0になってしまう。これは の定義に反する。 pg. 29 固有方程式 λ が存在すると仮定したことによる。 でない が存在するためには、 λ の逆行列は存在してはいけない。 この結果は、行列 つまり、0 λ λ の逆行列 の逆行列が存在しないためには、| λ| 0 であればよい。 この | λ| 0 を の固有多項式とよぶ。 M が d 次正方行列のとき、これは固有値λ に関する d 次多項式になっている。 これを解くことによって、固有値を求めることができる。 d 次多項式の解は最大 d 個ある。そのため、d 次正方行列 M の固有値は最大 d 個ある。 λ λ ,λ ,⋯,λ pg. 30 次正方行列の固有値 2 次正方行列 の固有値を求める。 λ であるから、固有多項式は | λ| λ λ 0 となる。整理すると、 λ λ 0. これを解いて固有値を求めると、 4 λ 2 ,λ 4 2 . pg. 31 次正方行列の固有値 Tr , Det となっていることに注意すると、 固有多項式は、 λ λ ⋅ Tr Det 0. 固有値は、 λ Tr Tr 4Det 2 ,λ Tr Tr 4Det 2 . となる。 pg. 32 次正方行列の固有値 2 4 の固有値を求める。 0 3 λ 2 0 3 4 であるから、固有多項式は | λ| 2 λ 3 λ 0 0 となる。整理すると、 2 λ 3 λ 0. これを解いて固有値を求めると、 λ 2,λ 3. pg. 33 固有ベクトル いったん固有値 λ が見つかると、それに対応した固有ベクトル → λ → → は、 を解くことによって見つけることができる。 【注意】固有値が d 個ある場合、それぞれの固有値に対応した固有ベクトルが d 個あ る。 pg. 34 固有ベクトル 2 4 の固有ベクトルを求める。 0 3 固有値は、λ λ 2,λ 3。 2 に対応する固有ベクトルを → 2 0 が成立する。つまり、2 成立するのは、 立つ。そこで とおく。 4 3 4 2 2 → λ → より と 3 2 が成立する。2つめの式が 0 のときのみ。このとき1つめの式は となり常に成り 1 とする。このとき固有ベクトルは → 1 . 0 pg. 35 固有ベクトル λ 3 に対応する固有ベクトルも同様に 2 0 が成立する。つまり、2 常に成り立つので、 → 4 3 4 3 とおく。 3 → λ → より と 3 3 が成立する。2つめの式は 1 とする。このとき1つめの式より、 4 となる。よっ て固有ベクトルは、 4 . 1 → pg. 36 左固有ベクトル これまでに扱ってきた固有ベクトルは、実は「右」固有ベクトルである。 正方行列 A についての等式 λ がスカラー量 λと でないベクトル について成り立つとき、 λを固有値、 を左固有ベクトルと定義する。 固有値は右固有ベクトルと左固有ベクトルとで同じ。なぜなら、固有値λが満たす固有 方程式は、右固有ベクトルと左固有ベクトルとで共通。 (証明してみよ。) pg. 37 右固有ベクトルと左固有ベクトル 1 3 λ 2 の左右固有ベクトルを求める。 2 1 3 2 2 であるから、固有多項式は | λ| 1 λ 2 λ 2⋅3 0 となる。整理すると、 λ 4 λ 1 0. これを解いて固有値を求めると、 λ 1,λ 4. pg. 38 右固有ベクトルと左固有ベクトル λ 1 に対応する右固有ベクトルを 1 3 つまり、 2 2 2 と 3 2つの式は同等なので、 とおく。 1 2 より 。 が成立する。整理すると、 2 2 0 3 3 0 1 、 λ 1 とする。つまり右固有ベクトルは 1 。 1 pg. 39 右固有ベクトルと左固有ベクトル つぎに、λ λ とおく。 1 に対応する左固有ベクトルを より、 1 3 2 2 1 。 つまり、 2ϵ 3ϵ 0 2ϵ 3ϵ 0 が成立する。これらは同等なので、ϵ トルの内積が 1( 3、ϵ 1)になるようにしておいたほうが便利なので、 3 5 2 とする。ただ、左右の固有ベク 2 5 pg. 40 右固有ベクトルと左固有ベクトル λ 4 に対応する左右の固有ベクトルを求めてみよ。 (答え) 2 3 1 3 3 5 5 pg. 41 右固有ベクトルと左固有ベクトル 行列 の左固有ベクトルは、転置行列 の右固有ベクトル(の転置ベクトル)とな っていることを知っていると便利である。 (証明) λ の両辺を転置して、 λ λ より。 pg. 42 右固有ベクトルと左固有ベクトル 異なる固有値に対応した右固有ベクトルと左固有ベクトルは直交している。(内積 0) (証明) λ λ λ でない限りは、 となるので、λ λ λ でなくてはならない。 pg. 43 右固有ベクトルと左固有ベクトル 左右の固有ベクトルから行列 ϵ ϵ ϵ ϵ を定義すると、 の転置行列は の逆行列になっている。つまり、 および (証明)pg.43 の結果を使う。 pg. 44 スペクトル分解 正方行列 の 固有値をλ , … , λ 対応する右固有ベクトルを ,…, 対応する左固有ベクトルを ,…, ⋯ ⋮ λ ⋮ 0 ⋯ 0 ⋱ ⋮ ⋯ λ とすると、 が成立する。 (証明) の 番目の列は λ であり、これは の 番目の列に一致する。 pg. 45 スペクトル分解 の両辺に右から をかける。 ( の転置行列は の逆行列)なので、 の 番目の行は、 , λ ϵ λ ϵ の 番目の列は、 ⋮ ϵ ,…, なので、上の式は、 λ ϵ λ ϵ ⋯ λ ϵ ということを示している。 pg. 46 スペクトル分解 ここで、対応する左右の固有ベクトルの外積を定義する。 ⋯ ⋮ ⋱ ⋯ ⋮ ⋯ ⋱ ⋯ ⋯ ⋮ ⋮ であることから、 の 行 列要素は、 前ページより λ λ ⋯ λ λ となる。 これを行列 のスペクトル分解という。 pg. 47 スペクトル分解 1 3 2 のスペクトル分解は・・・ 2 3 5 1 1 2 3 1 3 5 2 5 3 5 3 5 3 5 2 5 3 5 2 5 2 5 2 5 3 5 なので、 1⋅ 3 5 3 5 2 5 2 5 2 4⋅ 5 3 5 2 5 3 5 (確認してみよ。 ) pg. 48 スペクトル分解 行列 の性質として、 が重要。 (証明) ⋯ ⋮ であり、 1 or0 ⋮ ⋯ に注意するとよい。 pg. 49 スペクトル分解 この性質を使って λ λ が得られる。 λ の絶対値が他の固有値よりも大きいとするとき、 が十分大きくなると ≅λ となる。 pg. 50 スペクトル分解 1 3 2 の 50 乗は、 2 ≅4 2 5 3 5 2 5 3 5 と近似できる。 pg. 51