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Title Author(s) 多角形管の転造成形組織 津田, 滉; 尾鷲, 幸男 Editor(s) Citation Issue Date URL 大阪府立工業高等専門学校研究紀要, 1991, 25, p.23-28 1991-10-30 http://hdl.handle.net/10466/13359 Rights http://repository.osakafu-u.ac.jp/dspace/ 第25巻 多角形管の転造成形組織 津 田 滉* 尾 鷲 幸 男** Optical Microstructures of Polygonal Tubes after Form−Rolling. Hiroshi TsuDA*・ Yukio OwAsHI** ABSTRACT A new method of fomm−rollilig in which polygonal tし巾es wc祀fb“ned in rol且ers by rotating raw tubes given E suitable pre−defonnation are studied. ln this report, optical microstruetures after form−rolling are presented for stee1 tubes, copper tubes and aluminum tubes. ln steel tubes, Lx)arse crystal goins by fonn−rolling was observed in order ofsides, corners and corners oflengthwise. In O−grade copper tubes, micro−Vicker’s hardness increages by fonn−rolling but any variation of miciastructures was not observed. ln aluminum tubes, coarse grains by form−rolling was observed but inciease of micro Vicker’s hardness did not observed. Key Words: Fonn−Rolling, Optical Microstructure, Micro VILcker’s Hardness, Coarse Ctystal Grains, Polishing and Etching. Electrolytic Polishing. 1.緒 言 2.実験方法 角管の転造成形法は,素材円管から断面形状が多角形 2.1 焼なまし熱処理 状の管を成形する方法であり,副管は転造工具により予 まし処理を表1に示す. め軸心方向に圧縮変形(以下予変形という)を受けた後 表f 焼なまし処理 円管は強制回転させられ角管に成形される. この転造成形過程は,円管に予変形が与えられる過程, 各素材管に対して行った焼な 素 材 管 加熱温度(。C) 円環の強制回転中に起こる角部の形成過程および角管が 鋼 管 700 成形された後の角部,辺部の整形過程の三過程に分ける 銅 管 300 ことができる. アルミニウム管 400 保持時間(min) 30 25 30 この中,予変形過程においては,圧縮変形を受ける転 造工具と円管の接触点直下の円管局部は凹形に変形する 2.2 転造成形条件 転造成形はローラ3個による5 のに対し,転造工具間の円管は凸形に変形する.続いて 蝋管およびローラ4個による3角管の成形とした.素材 起こる角部形成過程および整形過程においては,転造工 管の寸法および成形条件を表2に示す. 具により素管局部は繰り返し曲げ作用を受けることにな 表2 素材管の寸法および成形条件 る1} 本報では,転造成形における成形影響を調べるための 素材管 鋼管,銅管H材,銅管0材およびアルミニウム管の各 鋼 管 外径35,肉厚1.0 0,875 0.06 材質管についての転造成形前後の光学顕微鏡組織と,関 銅 管 外径318,肉厚0.8 0.63 0.04∼0.06 アルミニ 0.5 0.10∼0.13 連するマイクロビッカース硬さ測定結果を記す. Dウム管 寸 法(皿m) 外経15,肉厚1.0 半径比Rt/R, 予変形率δ/Rt 王991年4月10日受理 ee名誉教授(Honorary Professor) **機械工学科(Department of Mechnical Engineering) 一23一 2.3 研摩およびエッチング 各成形角管の軸直角断 津 田 滉 大阪府立高専研究紀要 尾 鷲 幸 男 面および角部縦断面試料を作製し,次のように研摩およ びエッチングを行った.研摩は鋼管,銅管については粗 研摩,アルミニウム管は粗研摩の後精密研摩を行った. 粗研摩は耐水エメリー研摩紙#320∼#1000による研 摩およびアルミナ微粉#1500,#3000によるパフ研摩 Tltt流竃源 8川1F 一 撹搾機 電圧計 φ婁電流計 墾\ 抵抗 一 (a}管外周部 9 、 %% 、 電解液 試料(陽極) 1〆−ーノ 7,ーノノノー−−−!−−」 ステンレス板(陰極) 図1 電解研摩装置 とである.精密研摩は図1に示す電解研摩である.電解 条件は,3%水酸化ナトリウム溶液,液温600C,電極間 隙2 cm,電解電圧5V,同電流2.5A,時間約1分であった. エッチングは鋼管については,ナイタル液(エチルアlt・コ ール9:硝酸1)とし,銅管にはエチルアルコール100 (b)管肉厚中央部 ∼120 me,塩酸20∼SO〃m6,アルミニウム管には蒸留水 100 me,弗酸0.5∼IOm6のエッチング液を使用した. 3.実験結果および考察 3.1 焼なまし組織 図2は鋼管の焼なまし組織であ 纏 り,{a)は管外周部,〔b)は管肉厚中央部,(c)は管内周部 を示す.この写真から,焼なまし温度からの冷却状態の 違いにより内周部には粗大結晶粒が観察される。 転造成形は主として外周部に転造力がより大きく作用 すると考えられるので,成形管の特性に及ぼす内周部の 影響はあまり考えなくてもよさそうである. 図3は鋼管の焼なまし組織を示す.銅および銅合金に 見られる双晶なども観察されるが,成形前後の組織とあ (c}管内周部 まり違いは認められない. 図4はアルミニウム管の焼なまし組織で,ASMの Metal Handbookに掲載されているアルミニウム焼 図2 鋼管の露なまし組織 なまし組織と比較すると,本実験に使用している材質は A1合金の1100−0材と考えられる.2} 一24一 ’αレ朗 第25巻 多角形管の転造成形組織 磁毒細編騨 轡 繍 ・ . . 違、憎齢畷 図4 アルミニウムの焼なまし組織 図3 銅管の焼なまし組織 3.2 転造成形組織 図5は鋼管の場合の成形前,成 れた結晶粒数の総和である. 形後の5角管と3角管のそれぞれについて横断面辺部, N値の測定結果によると,鋼管の転造成形の前後にお 横断面角部および角部縦断面の組織を示したものである. いて若干の結晶粒粗大傾向が見られた.この傾向は辺部 鋼のフェライト結晶粒度試験方法により粒度番号を測 よりは角部,角部よりは角部縦断面において強く,また 定した.粒度番号Nは次式によって求める. 3角管よりは5角管の方が強いことが見られる.素管局 部は曲げ作用を受けており,中立面からの距離によって N=log n/0.301+1,ただしn=500(M/100)2 (ll × 121L1 xL2) 曲げの影響は変化することから顕微鏡写真擦影位置によ るばらつきを考慮しなければ何とも言えないので,この ここでnは顕微鏡倍率100倍における25皿m平方中の結 程度では各部の成形による影響はあまり差異はないと考 晶粒の数,Mは顕微鏡の倍率, Ll(またはL2)は互に えられる.また5角管の成形では,3角管の成形の場合 直交する線分のうち1方向の線分の長さの総和(mm), よりは大きな予変形を必要とすることから説明ができ. ノ1(または12)はしi(またはL2)によって切断さ 角部縦断贋 1∼角管 る. N 一t= 6. 3 N−6.1 3角管 謎 成形前N・・7.3 辺郁 角翻 甲羅断奮 5μ1管 5Af Nm 6. 1 図5 鋼管の成形組織 一25一 N−5・7煽 N=5. 9. 津 田 滉 尾鷲幸 男 大阪府立高専研究紀要 図6に銅管H材,図7に銅管0材の成形組織を示す. A1exmm 鑑管 舞郁辺部 塗.. 3角管 鰯 ・執 # 諸. t s 崎 成形前 , 辺郁 角部 胴部鰹断面 5角菅 5角三 IOOAnt 図6 銅管H材の成形組織 負部罐断厘 3角管 負鶴辺郁 獅懸 揮 頃 1 ’t 、軒 ︸ 1:S, 灘蕊蟄、 キ ヂ ”tfu 竃,藷1・ le 成形前 辺部 角部 倉郵縦断贋 鷲灘,壕 ∵唾坤駅桑 獣蜜 5角膏 5角管 図7 銅管0材の成形組織 一26一 バ ハ ど 辺部 .角部:. ノoeJ4m 多角形管の転造成形組織 第25巻 銅管H材と銅管0材とを比較すると,H材は素材管 表3 マイクロビッカース硬さ(SOO g)*(25g) 5角管 辺 織とあまり変わらない組織を示している. またH材において5角管,3角管とも,角部縦断面に 結晶の流動化が明瞭に観察される.これに対し0材にお いては角部縦断面に結晶の流動は認められず,結晶粒の 微細化が見られる. 図8はアルミニウム管の成形組織を示すもので,5角 管,3角管とも殆んど差は認められないが,焼なまし組 織と比較すると,結晶粒が僅かに粗大になっているのが 見られる.角部縦断面においては,辺部,角部には認め 鋼 管 103 銅管H材 3角管 角縦 f面 角 角管腫別 角 れる.これに対し0材の成形前組織は,上記焼なまし組 成形前 がなされているため,成形前組織に結晶の流動が観察さ 焼鈍材 の受入れ時において相当の加工(以下素材加工度という) 辺 ノ 角縦 142 135 141 137 165 136 134 129 129 130 130 131 128 134 55 75 86 68 73 65 70 50 40 詔 覗 43 44 45 50 銅管O材 アルミニ Eム管 *6 あまり変わりがないのに対し,H材では焼なましに比較 られない流動化が見られる. し成形前すなわち素材加工度による硬さ値は2倍以上に 以上の成形組織を硬さとの関連で確認するために,同 増加しており,またH材の成形前と成形管の硬さ値に変 一試料について行ったマイクロビッカース硬さ値を表3 化が認められないのに対し,0材では成形前と成形管で に示す. は成形による影響が大きく硬さ値に現われている.これ 鋼管では成形によって結晶粒度番号の減撫すなわち結 らは成形組織とよく相関しているといえる. 晶の粗大化が起こることがわかったが,マイクロビッカ アルミニウム管については,硬さ値が成形とともに減 ース硬さ値では辺,角,角縦断面の順で増加しており, 少傾向を示しており,成形組織に現われていた結晶粒の また5角管の方が3角管より硬さ値が大きく,成形組織 粗大化と関連するものかも知れない.この傾向は鋼管の との相関関係がよく一致してといえる. 場合における成形による結晶の粗大化と硬さ値の成形前 銅管については,0材の硬さ値が焼なまし,成形前で 後における極微増傾向と相似している. 3角管 角部縦断面 負部辺部 3角管 葱・ 成形前 辺部 門部 角麟謄斯璽 5角管 5降月 /50>am 図8 アルミニウム管の成形組織 一27一 滉 尾 鷲 幸 男 津 田 大阪府立高専研究紀要 (a)圧縮方向⊥溶接漏 N罫8.8 N 一= 8. 1 N篇8「2 rv 一一 8. 4 (b)圧縮方向.グ溶1酬‘ 図9 鋼管の偏平試料の組織 3.3 成形管と扁平試料との組織比較 図9は鋼管の 粒度番号値の差は,5角管で0.6,3角管では0.4とな 扁平試料の辺部,南部および角部縦断面の結晶組織を示 っており,結晶粒度の変動の観点から転造成形法は曲げ したものである.扁平試料は円管に対し一軸圧縮を行っ の極限内の成形であるとともに,素管局部の間にあまり たもので,図10に示すように溶接部の位置によって, 大きな結晶粒度の相違のない成形であるといえる. 〔a)は圧縮方向と直角に溶接部があり,{b}は圧縮方向に溶 接部がある場合である.(a}の場合,粒度番号値で騒騒と 4.結 言 角部縦断lfli (1)鋼管の成形組織は,辺部,角部,角部縦断面の順に 角部 また3角管よりは5懇懇の方により大きな結晶粒が表 圧縮方向 辺部 われるN値を示した. ② 銅管H材では転造成形による組織変化は認められ なかったが,0材では硬さ値に大きな変化が現われた. ③ アルミニウム管では結晶粒の粗大化と硬さ値の減少 一 co が現われた. (4)転造成形での結晶粒度変動は,曲げ極限内にあり局 部間における差異は少ないことがわかった. 参 考 文 献 ↑:溶接部 図10偏平試料の作成方法 1)津田他;成形機構の解析一続報,昭57年度塑性加工 角部縦断面の差は0.7,〔b}の場合は同じくその差は0.6 春季講演会 となっている.この扁平試料が円管の曲げ作用の極限と 2) ASM; Metal Handbook, Vol 7−v 8. 考えるならば,転造成形の場合の三部と角部縦断面との 一28一