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(歯車の場合)

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(歯車の場合)
荒ur票Nara畿孟eiも盈vT,若at.管:ll
ci.,背恩11,Mar.1963
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プラスティックの転造加工について
(歯車の場合)
徳 永 恵 則
(奈良学芸大学工業教室)
(昭和37年9月29日受理)
On the Plastics Rolling (in Case of Gears)
Yosinori TOKUNAGA
(Laboraとoiy of Engineering, Nara Gakugei Univ.)
Summary
I tried to manufacture mechamical element parts in the rolling method instead of the injection
molding way.
1) As the result of cold rolling the free drive, the manufacturing was found possible o.lM'-0.6M.
Though, not the same way according to the nature of materials, the hot rolling seems suitable
over 0.7M.
2) The rolling possibility of each material when the cold rolling is applied is fair, as far as Polyvinyl Chroride, Styrol, Acril, Cycholac and Tyril are concerned, and grows gradually worse
in the order of Polyethelen, Hyzex and Nylon.
Out of gear blanks got from logs rather than from blanks, a better result can be obtainable
without any difference of strength caused by the directions of blanks.
3) As the rolled plastic has less mounding character than metals, gear blanks outside diamter
coincides with addendum circle diameter of the finished gear.
4) Among the rolling conditions, the rolling speed is better when the rotating speed is low while
the pressing speed of the die-rollers is great.
1.ま え が き
最近のプラスティックの使用分野はその材質向上と共に大きく発展し単なる外装用、容器構造
用としての他に機械構成部品として使用され将来は金属に代ってプラスティックの部品も出る事
が予想されるOプラスティックがこの様な機械要素部品に進出して来た原因は一般に機械要素
中、歯車、軸受、カム、リンク等は滑り接触運動を行うものであるからこれを構成する機械材料
としては、耐摩耗性に富み、静しゅくな運動が行えその上軽量のものが要求されるからである。
プラスティックは材料により多少の差はあるが耐摩耗性に優れ摩擦係数も小(自己姶油性を持つ
為)で、又適度の弾性体であるから運動状態も静かで衝撃、振動等も吸収する.比重も金属より
徳 永 恵 則
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小さいから単位重量当りの強度は金属に劣らぬという優れた機械的性質を有している。更に工作
上では金型等を用いた射出成型法によれば比較的精度の良い均一な部品を能率良く多量生産出来
る。この様に数多くの特長を有するプラスティックも射出成型による多量生産の時にのみ、その
特長を発揮するが機械要素部品の性格上、少量多種生産という事も通常必要であり、この場合に
はその製作法を変更して行かねばならぬ加工上の問題点がある。この様に少量生産の場合には金
属と同じ切削加工に依っているが、この場合切削熟、切削力等による変形や勝者が起り易く金属
加工より面倒で非能率的なのが実状である。この加工上の問題点を解決する方法として転達によ
るプラスティック加工を試みた。そこで機械要素申、一番製作が困難で叉要求変化の多い歯車を
採り挙げて見たが今后他の要素についても実験してみたいと思う。転造法というのは素材とダイ
と呼ばれる工具を互に押付けながら回転させて所定の形状の部品を製作する加工法で、即に金属
に於てはボルトの大部分がこの方法によって製作されている。この加工法の特長は加工能率が良
く、切屑が出来ず組織の流れが切れない所にある。
2.実 験 装 置
2図に示す如く素材にダイローラーを押付けて素材、ブイローラ【を回転せしめ通常の歯車の
吹合状態にして回転を続けながら割り切り、喰込み、盛上り、創成を行って歯形を造り上げるも
ので、この場合素材、ダイロラー共に強制回転させる強制駆動方式と、ダイローラー叉は素材の
いづれか一方のみを駆動する自由駆動方式があるが、・本実験では旋盤主朝日こ素材を、刃物台にダ
イローラーを取付けて加工した自由駆動である。又素材を加熱軟化して行う熟問加工と常温のま
、1、
ま行う冷間加工があるが本実験では主として冷問加工を行い一部熟間加工も試みた。
3.転造加工の適否
多くのプラスティックの性質を金属と比較して転造加工に必要な塑性についてみると常温に於
A
A
一
A
ッ
ク
B
レ
ラ ッ チ
B
ル ル ク ス ン ン
︻
C
ポリエチレン、ナイロン、ハイゼックス、サイコラック等につ
ロ
ビニール板を用いた。結果は一応写真の如きものが出来て転造
可能という事が判明した。又塩化ビニールの他にスチロール、
ピ コ ゼ ヱ イ
大部分の実験は入手し易く比較的機械性質の安定している塩化
化 テ ィ イ リ
いる。本実験でとりあげたプラスティックは熟加塑性のもので、
塩 ス サ ハ ボ ナ
ては、プラスティックは弾力性がある為、伸展性が小さくその 各種プラスティックの加工性
上すぐ疲労するという、塑性加工には都合の悪い性質をもって
いても加工性を試した結果表の通りである。.これは材料の硬度とも関連があると思われるが、材
料名は同一であっても合成成分や板にする時の加工条件で硬度等の材質が異るので断定は出来な
い。
4.加 工 条 件
加工の終った歯車を観察すると完全というものは少く、その精度判定にはダイローラーと仕上
り歯車を比較してもわかる位で誤差の測定解析に迄到らなかった。更に精度の良い製品を得る為
又能率の良い加工状態を知る為、加工条件を種々変えて調べた0加工条件の主となるものはこの
場合加工速度であるが、加工速度は歯を創成して行く時の周速と、ダイローラ←の押込速度が考
プラスティックの転造加工について(歯車の場合)
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えられる。ダイローラーの作用を考えてみると割出し、喰込みが主となり創成はこれらが完了し
てから行われるのであるから、まづ押込速度が問題になって来る。押込速度は素材一回転当りの
ダイローラーの進み量で表わすとすれば一回転当りの進み量は極めて少さい故、素材の転造完成
迄の回転回数により表わされる。この回転回数は仕上り迄の時間と回転数によっても表わせる故
回転数(rpm)で結果を示したのが第1図である。但しこれは材質は塩化ビニール、ピッチは
0.5M40Tの時である。これによると押込量の
多い方が良い即ち転造回転速度の低い方が良
い事がわかる。特に0.25M以下の小ピッチの
ス量迄押付んで二回日から創成に掛る方が良
い。これは小ピッチでは転道による変形体積
が少さい為と考えられる。回転数が高くなる
調 加
仕上り歯枚数
場合には一回転日にダイローラーの全デッブ
と加工熟による変形、素材の疲労、自由駆動
の為のピッチ誤差等が出て来て都合が悪い。
ピッチが大きくなると変形体積も大きくなり
又ダイローラーの歯先部分の面積も広くなる
為、割出し、喰込み共に無理を併う故全部に
通用は出来ない。創成仕上げの周速は小ピッ
チの場合は大体喰込みと同時に創成が行われ
ているし、弾性体である素材を喰込后、多少
南面をなぜても創成効果は少い様である。故
に用達即ち回転数は押込時の回転数と同じで良い。
300
rPノ帆
Fig.1素材回転数と仕上り歯枚数の関係
5.素材直径の決定
素材の盛り上り性は金属に比べて殆んどなく写貝の如く大部分側面へはみ出して居る。歯車の
場合の盛り上り量はダイローラーの入った分だけ、理論的には素材のピッチ円より歯先円の間の
部分は盛り上りによるのである故にダイローラーの押込量はピッチMmmだけであり、故に素材
(2)
直径は所定歯車のピッチ円径として良い訳である。けれどもプラスティックでは盛り上り量が大
変少い為ダイローラーの歯の仝デッブス迄押込む事になる。これらの事より所定の歯数の歯車を
作る時に素材外径を決定する事が大切であるが、その外径は所定歯車の歯先円径として製作すれ
ば正しく割り出され所定の枚数の歯車が得られる事になる。又今の所ではダイローラーの入った
部分の変形量は側百へ出る為出来上った歯車について所定の歯巾になる様二次加工しなければな
らない。
6.転 造 歯 車
出来上った歯重の歯形を観察すると歯丈が低くなったり、左右の歯形が異ったりしている。こ
れは2図(a)の如くグイローラーの歯先で押下げられた素材の歯底部分が再び弾力で元に戻る為と
考えられる。叉2図(b)の如く素材よりダイローラ【を駆動する力と最初の喰込の影響で、鋸歯
状になると思われる。この様な現象を防ぐには正逆両方に回転さすか、更に割切り喰込み廟と創
徳 永 恵 則
Fig.2 転造歯車の変形形状図
t
成用の二つのダイローラーを使用し強制駆動を行えば良い。又転造素材は板より切り出すと方向
性のために加工時に層が、はがれたり、硬度の異る所が出来たりしてやりにくく、完成后も強度
的に方向性に影響される。だから棒材から素材を取る方が無難で加工も行い易く厚さにも制限を
受けない。二次加工品より成形品の方が加工し易い。
7.ダ イ ロ ー ラ ー
ダイローラーは真諭であったが、歯先、歯末面の摩耗が目立った。これは喰込み、創成を行う
際一番良く働き且滑り率の大きい部分である為と恩われる。素材がプラスティックである為硬度
は真銃でも充分であるが摩耗防止の為に硬質クロムメッヰ等を施せば素材の弾力変形の影響等を
考慮した特殊歯形のダイローラーの一種にもなり、小ピッチの場合はダイローラーの製作法から
も便利と思われる。2図でわかる通り圧力角の大きい歯車の方が加工し易く標準14030′と20。で
は200の方が加工し易く特にダイローラー、仕上り歯車からみても使用上強度的に都合が良い。
8.熟 闇 転 進
ピッチが大きくなると変形体積も増加する等の原因で転造し難いので加工に先立って軟化して
行う事を試みた。まづ軟化さす為の加熱法であるが、熱風又は高温池によって加熱するやり方は
手軽るではあるが素材全体が軟化して加工不能になる。これに対して加工部分のみを加熱するに
は高周波等を使用しなければならず装置が大きくなる。一番良い方法はダイローラーを加熱して
変形に必要な部分のみに熟を与える事である。この場合強制駆動なら問題はないが自由駆動の場
合は素材を駆動側にしなければ滑り等が多くなり割切りもうまく行かない。熟間転造で難しいの
はダイローラーの温度調節である、高すぎると素材の歯の部分全部が熔けてダイローラーに付着
する。これはピッチが小さくなる程著るしい。大体プラスティックは軟化点と熔点がはっきりし
ない為熟問転造の場合加工し難いという事になる。又加工条件も冷間とは異り素材の周速が遅い
と付着や熔解を起す。
プラスティックの転造加工について(歯車の場合)
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9.む す び
本実験でプラスティック歯車を転造によって製作する事が可能とわかったが、0.6M迄の小ピ
ッチに止って屠る為プラスティック歯車の実用限界と考えられる2M迄は製作が出来る様に実験
を重ねたいと思う。一応これについて加工条件等がわかれば他の各種歯車、軸受の製作も容易に
なるものと思う。
最后に実験に当り御力添頂いた溝口教授、市川助教授、積水化学太田邦利氏に謝意を表します。
参 考 文 献
和 式
夫男
上 川
井槌
、−ノ ヽノ
1 2
歯車の研究P.392
機械学会誌No・ユ75P・319
図 版 説 明
Platel.ピッチ0・5Mに於ける各種プラスティックの転造状態、中央はダィ、下着の黒いナイロン、その上
の白いのほポチヱチレン。
2・ピッチ0・5M200圧力角PサイコラックギヤーとダイローラF。
3・ピッチ0.5Mで熱間転造歯車、左上はダイロrラー、材質は塩化どこ′ル。
4・ピッチ0・25Mのダイローラーと転造歯車、材質は塩化ビニール。
5・ピッチ0・4M塩ビ素材の加工状況、上はダイローラーを一回目より金歯丈迄入れて割切った様子、
下は歯が鋸歯状になった所。
6・ダイローラーの入った分だけ側方へはみ出した所。
7.0.8Mで割切り迄行った所、材料が軟化して側方へふくらみ歯の部分は変形限界を越えたのでむし
り取られている。
8.0.5Mで3mm厚塩ビ素材に1.5mm巾のダイを当てて転造した結果歯の盛上り性なく歯先円径が素
材外径と等しくなっている。
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