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公共建築物等における木材利用推進に関する 法律の成立を受けて

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公共建築物等における木材利用推進に関する 法律の成立を受けて
公共建築物等における木材利用推進に関する
法律の成立を受けて
平成23年1月22日
大 阪 木 材 青 年 経 営 者 協 議 会
はじめに
本年度 大阪木材青年経営者協議会(以下略称:大青協)は、全国組織である日本木材青壮年団体連合会が制定
いたしました「日本木材青壮年団体連合会 環境憲章」に則り、類まれなる環境性能を有する木質資材を扱う
“木財人”として、 長期的な視野に立ち、更なる地球規模での環境保全に取り組み、循環型経済社会の形成を通じて、
人類と森林と地球が調和する豊かな未来に貢献する業界団体として、活動しております。
この環境性能の優れた木材の更なる需要と利活用の拡大こそが、未来を担う子供達に豊かな社会をもたらすもの
と考え、木育活動に邁進しております。
先般、第174回通常国会において、いわゆる「公共建築物 木材利用促進法」が衆参両議院で可決され、成立され
ました。
この内容は公共建築物の原則木造化(木材利用)により、
・国土保全、水源のかん養等が持続的に発揮されることが国民生活・国民経済の安定に貢献することの重要性
・上記が、地球温暖化防止、循環型社会形成、山村や地域経済の活性化に貢献することなどの重要性
・日本国として木材需要増進、利活用の促進などを支援すること
・木造建築物に係る建築基準法等の規制のあり方や、規制撤廃及び緩和
・教育活動・ 広報活動を通じて、木材利用促進に関する国民の理解を深めること
・木材利用が公共建築物だけではなく、ガードレール、遮音壁などの工作物や木質バイオマスの製品利用など
にまで言及したものであります。
特に木材の断熱性、調湿性に優れていること、紫外線吸収効果が高いことが明記されたことと、木材の癒し効果が
法律の条文に明記されたことは、業界として喜ばしく思っております。
この法律を受けて、更なる木材利活用の推進のため、大青協として、英国が国を挙げて推進している木材製品利
用促進活動「Wood for good」の日本版なる提言をさせていただきます。
この提言は日本国の目指す「低炭素社会の実現」、「森林による温室効果ガス3.8%削減」に大きく貢献することを
望むもので、国際森林年である今年に関連する活動であり、『木』材ルネッサンスを喚起する提言です。
【 「Wood for good」 の概要 】
第1章 「Wood for good」 Education
~ 木育活動 ~
①地域教育(社会人教育)における『木』づかい運動
②学校教育における「『木』の文化」継承の促進
③家庭教育における正しい『木』の知識の向上
第2章 「Wood for good」 Movement
~ 木材利用の更なる普及 ~
①『木』デザイナーの育成
②『木』を利活用したデザインコンペの開催
③『木材アドバイザー』認定試験などの実施
第3章 「Wood for good」 Proposal
~ 木材利用促進に関する更なる提言 ~
①新設 及び 改修する建築物の木材使用の義務化
②新設 及び 改修する建築物の税制優遇措置等
③木材における二酸化炭素吸収・固定量の評価に関する提言
④カーボンフットプリント制度等の創設
⑤メディアにおける『木』の正しい情報発信
木材の環境性能に関して
木材使用のための森林伐採=環境破壊という認識がマスコミ宣伝にもより、消費者の中に「『木』を本当に使っても
良いのだろうか?」という疑念を生じさせています。
特に「化石燃料の大量使用」と「森林伐採」が大気中に CO2などの温室効果ガス放出をもたらし、それが地球温暖
化の悪因と考えられております。
事実として、地球全体が保有する炭素総量は一定であり、気体の炭素の割合が増加することにより、固体の炭素
が減少し、それにより地球の温暖化の原因となります。つまり地球の炭素循環が正常でない状況にあり、そのことが
地球温暖化を引き起こしています。
世界の森林面積は約40億haで、陸地の31%を占めておりますが、農地化・都市化や商業伐採、自然災害などに
より減少しており、2000年~2010年の間に、年間約1,300万haの森林が減少したと言われておりますが、これ
は、1分間に大阪ドーム7個分の森林が減少したことになります。
ではやはり、森林の樹を木材利用の為、伐採することは良いのだろうか?という疑問がのこりますが、1998年時
の統計では世界における森林伐採の割合として、農業要因が90%、工業要因が2%、林業要因が6%(内、木材利
用分は3%)という数値が出ています。
また日本においては、国土面積の約67%の約2,510万haが森林面積で、過去40年間ほとんど増減がなく、戦
後植林した人工林においては増加が著しく、現状伐採し、木材利用する時期にあり、日本国内における木材需要量と
蓄積増加量が年間数値として均衡している状況にあります。
上記からも日本では国産材を利活用する時代を迎えていると考えられます。
つぎに、木材の環境性能について記述致しますが、先ず、炭素循環における森林の役割として、2つあります。
光合成から解るように、植物は大気中の二酸化炭素と根から水を吸収し、そこから有機物を生産し、その有機物は
呼吸により一部消費され、残りは枝や幹という形で組織形成する(炭素の長期貯蔵)という、「二酸化炭素の吸収固
定」と「炭素の貯蔵」(光合成による吸収量と呼吸による排出量の差)があり、これらは樹齢とともに変化し、一定の樹
齢まで増加した後、減少していきます。
樹木が貯蔵している炭素量に関しては、木材の全乾重量の約50%が炭素量で、木材は炭素の塊と言えます。
周知の通り、化石燃料や鉄鉱石とは異なり、木材は植林を計画的に行なうことで、永久に持続可能な資源であり、
この循環を守ることにより、前記の炭素循環を正常な状態にすることが出来ます。
樹齢と二酸化炭素吸収量&炭素固定量の関係
出典 : 林野庁HP ・・・「木の学校」 及び 「H20 年度 森林・林業白書」 より
また、木材は再生産可能なリサイクル型資材である上に、省エネ資材という特性を有しています。建築用の資材を
生産する際の加工時のエネルギー消費量からも明らかで、Kg当たりの対比は以下のようになります。
単位(MJ ㎏)
出典 : 日本木青連パンフレット「大切な資源『木』と、地球のかかわり」 より
これらの資材を用いて住宅(約136㎡)を建築する際の、大気中に放出される炭素量と、貯蔵する炭素量の比較が
下記図のように表せます。
このことからも木造住宅が地球に優しい住宅であることが解ります。
出典 : 林野庁HP・・・「一戸あたりの炭素貯蔵量と材料製造時の炭素放出量」 より
(日本住宅・木材技術センター「木材のすすめ」より抜粋)
前記に述べた通り、木材の全乾重量の約50%が炭素量ですから、木材製品として使用している期間は炭素を保
管し続けています。木造住宅や木材製品は炭素貯蔵庫として役割を担っており、全国の住宅に使用されている木材
に貯蔵されている総量は約1億4000万tと概算され、国土の全森林が貯蔵している炭素総量(7億8000万t)の
約18%を占めます。
つまり木造住宅は都市における森林とも言えるのです。
木材の健康性能に関して
次に木材の健康性能について記述致しますが、前文の「公共建築物 木材利用促進法」の条文にも明記された
癒し効果に関連すると思われるデータとして以下の表があります。
これは、内装木質化校・非木質化校で、児童の校舎内の好きな場所を尋ねた結果を示しており、内装木質化校・
非木質化校で共通するのは、好きな場所として図書館、特別室、教室を挙げている点である。
非木質化校では、保健室・相談室を挙げる児童が多く、「好きな場所はない」とする回答も多い。
一方、木質化校では、廊下、階段を挙げた児童が多く、「好きな場所がない」と回答した児童は極めて少ない。
これらの結果から内装木質化校の児童のほうが校舎内での心地よさや自分の居場所などをより感じて生活してい
ることがわかり、木質化の優れた点を示唆していると考える。
出典 : 林野庁HP・・・「木の学校」/「児童の校舎内での好きな場所」 より
(浅田茂裕:学校建築における子どもの学びと木の役割、文教施設2009 夏号、(社)文教施設協会)
木製の机・椅子が導入された後の授業中の子どもの様子(教師から見た様子)
出典 : 林野庁HP より
公共建築物の代表的なものとして学校校舎がありますが、別視点からとして木材の人体への健康面における優位
性を表すものにインフルエンザの罹患率があり以下はそのデータです。
インフルエンザ罹患率
19%
18%
18%
18%
17%
16%
15%
15%
14%
13%
13%
12%
11%
10%
大阪市
奈 良 県 (桜 井 市 )
奈 良 県 (桜 井 市 )
非 木 造 ・非 木 質 内 非 木 造 ・非 木 質 内 非 木 造 ・木 質 内 装
18%
18%
15%
インフル エンザ 罹 患 率
地 域 ・木 造 ・内 装
奈 良 県 (桜 井 市 )
木 造 ・木 質 内 装
13%
※大阪市データは平成21年9月1日~10月5日までの市内小学校108校、中学校58校の公表数字に基づく。
ただし罹患率%=欠席児童数÷在席児童数とした。(日本木材青壮年団体連合会 渉外交流特別委員会/越井氏 作成)
※奈良県桜井市データは平成21年7月以降の小学校11校(児童数6,630人)を対象にした数字。
(日本木材青壮年団体連合会 渉外交流特別委員会/山口氏 作成)
また下表は2004年に公表されたデータです。木造校舎(=柱・梁など構造が木材でできている)及び、木質校舎
(=構造は鉄筋コンクリートだが、壁・床などを木材で覆い、また机・椅子なども木製品を使用している)のインフルエン
ザによる影響は、鉄筋コンクリート造に比べて顕著な差がでています。
出典 : 林野庁HP・・・「木の学校」/「橘田紘洋:木造校舎の教育環境(P68)」 より
(財)日本住宅・木材技術センター、2004)
更に、前文の「公共建築物等における木材の利用推進に関する法律」の木材の特有している性能に関しての条文
があり、その一つである断熱性に優れている実証として「住宅の省エネルギー化に貢献する高断熱技術」(科学技術
動向08年93号)の資料として(左下)、各資材別の熱伝導率の数値があり、住宅に使用される断熱材の代表である
グラスウールに次ぐ断熱性能を有しており、室内の温度変化を軽減する効果があります。
また、開口部の省エネ化に寄与する窓の断熱構成の例(同出展)からも木材の断熱性能の優位性が証明されてい
ます。
他に上記法律内に木材の調湿性能や、紫外線吸収性能にも言及があり、以下はそのデータです。
出展 : 林野庁HP
より
これら実例に基づく資料からも、他資材と比較し、木材の健康性能の優位性は示されており、国民の健康増進にも
効果的であります。
ついては、木材業界である大青協として、地球温暖化防止の為にも木材をより利活用した低炭素社会(高炭素貯
蔵社会+低炭素排出社会)を目指し、この木材の環境性能と健康性能を正しく社会に伝え、消費者が抱く木材に対す
る誤認を払拭し、特に国産の木材は使うべきであることを普及していきたく思う所存です。
これらの活動が、政府の「森林林業再生プラン」~コンクリート社会から木の社会へ~が掲げた10年後の2020年
までに木材自給率50%への後押しに繋がると考えます。
木育活動に関して
大青協としては通年、大人の正しい木材知識と認識の向上のため、木育活動として、近畿中国森林管理局が主催
の「森林の市」や、大阪府建築士会との共同で「木の学校」を開催しており、直近の例として、以下があります。
【 森林の市 : 木育活動「自分でつくる自分のための木のはなし」(MY箸づくり体験) 】
【 木の学校Ⅱ /大阪木材仲買会館 : 「木」についての川井京大教授の講演 及び パネルデスカッション 】
【 木の学校Ⅲ /伊太祁曽神社 : 木育活動「親子参加型の木で創り、木で食べ、木を植える体験プログラム」 】
※木育とは : 木育とは、平成16年度に、北海道で生まれた新しい言葉で、「木育とは、子どもをはじめとするすべて
の人が『木とふれあい、木に学び、木と生きる』取り組みです。それは、子どものころから木を身近に
使っていくことを通じて、人と木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育むことです。」
またこれは、日本人が古来より当たり前に持っていた「木との関わり」をもう一度思い出し、私たち自
身も自然の一部であり他の多くの生命と共存しているということを認識するための取り組みです。
上記にある通り、これらの木材への正しい認識を大人から未来を担う子供達へ伝える木育を大阪府としても実行し
ていくことを望むものであり、以下の提言を申し述べます。
第1章
「Wood for good」 Education ~ 木育の普及 ~
①地域教育(社会人教育)における『木』づかい運動
1.戦前及び戦後しばらくは学校教諭含め一般市民は、地域の大工との交流や『木』に触れる生活習慣などにより、
木材や木造住宅に対して正しく認識がありましたが、現在は地域内でのコミュニケーションの希薄化にもより、
上記に対しての誤認が多く見受けられます。
この事に鑑み、先ずは、幼稚園・小学校・中学校・高等学校などの教諭に『木』の正しい知識(木材の環境性能と
健康性能に関する知識や、日本の森林の状況に関する知識)を取得頂くため、教育委員会の主催による、上記教
諭に対する年1回の木育セミナーの開催の義務化を望みます。
2.一般市民向けの『木』の正しい情報(木材の環境性能と健康性能に関する情報や、日本の森林の状況に関する)
の提供として、各地方公共団体の広報物において上記情報を掲載することを望みます。
3.各地方公共団体が上記以外のメディアを活用した「Wood for good」(『木』はいい)キャンペーン開催の推進を
望みます。
4.長引く不況・低迷が続いている日本において、「ものづくり」の復興が重要と考えます。そのため、各地方公共団体
の所有する公共施設に一般市民向け木工教室を設置することを望みます。 (例 : 出雲市)
他の素材と比べ、木は温かみがあり、環境・健康性能の優位性があり、木材の加工は比較的簡易であることから
も「ものづくり」の基本として木工は優れており、木工教室を一般市民に開放することにより、「ものづくり」を振興し、
循環型社会の実現に貢献すると考えます。
②学校教育における「『木』の文化」継承の促進
1. 林業・木材業・木造建築物に対する誤った意識や知識を払拭すべく、教科書への正しい『木』の情報の掲載を
教育委員会に望みます。
(例 : 中等教育における光合成の説明では、二酸化炭素を吸収し、酸素を排出することしか触れておらず、
葉緑素をもつ植物が光を利用すて二酸化炭素と水から炭水化物を作り働きのことには言及していない
ケースが見受けられる。)
2.学校教育プログラムに林業・木材業などの職業体験プログラムを盛り込み、実施することを望みます。
3.学校教育において、日本国内における林業・木材業や木造建築物の歴史・意義・今後の課題を、正しく児童・生徒
に伝えることを望みます。
4.『木』が健康性能面において、他の資材よりも優れた性能を有していることを踏まえ、学校教育における教育用学
習机や椅子、また室内環境においても木質及び木質内装への転換を推奨することを望みます。
5.いわゆる「公共建築物等の木材利用促進法」の条文通り、新築する学校校舎や施設に関して、原則木造化に伴い、
児童・生徒自身が自分たちの学校校舎に対して正しい知識を取得できるような学校教育プログラムを作成し、実
施することを望みます。
6.『木』育活動である「木工工作の推進」の重要性を学校教育の基本方針に加え、教育要項に明示することと、授業
内で「木工工作」の原則実施を望みます。
その際、実施自治体の日本木青連 単位会団(大阪府の場合は大青協)が上記に関する出前授業を
その地方公共団体と共催で開催することも可能であります。
③家庭における正しい『木』の知識の向上
1.一般市民の親子を対象とした「木育課外授業」を各地方公共団体主催で、年1回以上開催することを望み、またそ
こへの市民の参加を促進する大規模キャンペーンの実施を望みます。
2.各地方公共団体が展開する児童職業体験施設に、民間団体や NPO 法人との連携のもと、林業・木材業・木造建
築業などの一貫したプログラムを常設することを望み、またそこへの市民の参加を望みます。
3.各地方公共団体が所有する公園などの遊具を、木製遊具に転換することや、木製遊具を充実することを望み
ます。
4.各地方公共団体の一般市民への木育活動として、生涯学習的な市民講座の開設を望みます。
5.化石燃料加工製品(石油製品など)に取り囲まれた環境での子育てをする現状、日本の『木』の文化の継承の
重要性に鑑み、木材活用による循環型社会の実現の第一歩として、「ファースト・ウッド(初めての木材製品)」
活動を提案します。
これは新生児に対して各地方公共団体が木材製品(木の知育玩具や机・椅子)を贈呈する、という活動です。
この活動が、木を取り入れた住生活文化の契機になればと考えます。
第2章 「Wood for good」 Movement ~ 木材利用の更なる普及 ~
①『木』デザイナーの育成
1.在来木造住宅に関する建築知識力が、全国的に著しく低下している現状を重く受けとめ、各都道府県立高校・専
修学校の建築に関わる学科において、木造建築についての授業時間拡大及び、カリキュラムの拡充を望みます。
2.また、同様に建築に関わる学科以外にも「木デザイン科」を設置するなど、多角的な教育体制の確立を望みます。
3.今後、各地方公共団体が所管する既存の、あるいは新設の公共建築物などにおける改修・建設工事は、木質内
装・木造(低層建築物において)によるものとし、またそのデザインや設計は一般公募コンペの実施によって決定
すること望みます。
4.各地域の民間木材業界団体とて各地方公共団体の共催による、『木』デザインをテーマとしたイベントの開催を望
みます。
②『木』を利活用したデザインコンペの開催
1.公共建築物や工作物に『木』を利活用し、まち全体を『木』でデザインするという趣旨の一般公募コンペを各地方公
共団体が主催、実施することを望みます。
(例 : 宮崎県が後援している「杉コレクション」(宮崎県木材青壮年会連合会 主催)など )
2.木工技術・デザイン向上を目的とした「木工・デザイン甲子園」イベントを各地方公共団体が主催、開催することを
望みます。
3.各地方公共団体におけるプレス会見施設への木質パネル採用を望みます。
③『木材アドバイザー』認定試験などの実施
1.木材利用促進の観点から、日本木材青壮年団体連合会 及び 関係団体が実施する木材に関する資格認定制度
の多角的な支援を望みます。
※『木力検定』制度の概要(案) ・・・ 現在、制度を構築中。 H23年中に制度の創設予定。
2.当制度における上記検定が、各地方公共団体によって実施されることを望みます。
3.各都道府県民を対象とした『木』に関する意識と知識のアンケート調査を、各地方公共団体と教育機関が連携し、
実施されることを望みます。
第3章 「Wood for good」 Proposal
~ 木材利用促進に関する更なる提言 ~
①新設 及び 改修する建築物の木材使用の義務化
公共建築物 木材利用促進法や 改正省エネ法の観点からも、更なる木材利用促進のため以下の施策の実現を
望みます。
1. 低層商業店舗/共同住宅を含む戸建住宅(事業者管理物件含む)の構造材の 100%木材使用(内 50%は国産
材及び国内製材品 ※①・②内の項目全てに共通)の義務化を望みます。
2. 低層商業店舗/共同住宅を含む戸建住宅(事業者管理物件含む)の構造材の 100%木材使用新設工事に対す
る政府系事業資金の 100%融資、並びに融資債権の証券化を望みます。
3. 低層商業店舗/共同住宅を含む戸建住宅(事業者管理物件含む)の構造材の 100%木材使用改修工事に対す
る政府系事業資金融資の推進を望みます。
4. 消防法抜本的見直しを望みます。
※ 内装制限・防火対策 他
5. 高層商業施設の内装における木質化に関して、一定㎡以上の義務化を望みます。
②新設 及び 改修する建築物の税制優遇措置等
上記①と同様に以下の税制優遇措置の実現を望みます。
1. 低層商業店舗/共同住宅を含む戸建住宅(事業者管理物件含む)の構造材の 100%木材使用新設及び改修
工事に対する助成制度の創設を望みます。
2. 低層商業店舗/共同住宅を含む戸建住宅(事業者管理物件含む)の構造材の 100%木材使用建築物に対する
消費税課税率 0%の推進を望みます。
※ 建築総工事費用に対する非課税措置など
3. 商業店舗/共同住宅を含む戸建住宅内装リフォームによる木材可視率 50%以上改修工事費に対する消費税
課税率 0%の推進を望みます。
※ リフォーム総工事費用に対する非課税措置など
4. 一定量以上の木材使用による家具消費税課税率 0%の推進を望みます。
5. 商業店舗/共同住宅を含む戸建住宅の構造材の 100%木材使用建築物に対する固定資産税等の減免措置の
推進を望みます。
6. 低層商業店舗/共同住宅を含む戸建住宅(事業者管理物件含む) の構造材の 100%木材使用建築物に対する
固定資産評価法の構築や、内装材 100%国産材建築物に対する固定資産評価法の構築を望みます。
※ 環境付加の数値化
7. 高層商業施設の内装において、一定㎡以上の木質化をはかった工事費に対する消費税課税率 0%の推進及び
それに相当する措置制度の推進を望みます。
③木材における二酸化炭素吸収・固定量の評価に関する提言
1. 木材における二酸化炭素吸収・炭素固定量の評価と表示に関しての義務化を望みます。
2. 地球温暖化防止の一役を担うといわれる木材の利用促進のため、木材の持つ環境性能(高炭素ストック性、
低炭素排出性、サスティナブル性)の中の、絶乾重量の約半分が炭素重量である木材(国産材・外材問わず)の
炭素貯蔵性能を数値化し、木材需要拡大につなげる「炭素固定量認証制度」を日本木青連は H23年度からの
実施を検討しております。
この制度は第1段階として、今後の公共建築物に関して、各地方公共団体が木材利用促進のために炭素固定量
評価をする際、木材提供者(例:森林組合や輸入者)とユーザー(例:工務店・ゼネコン)の間に立ち、各地方公共団
体の代理として全国版の炭素固定量評価を日本木青連会員が行うものであり、その後、民間部門に関しては
消費者団体の意見を交えて、普及推進するものであります。
このモデルを各地方公共団体が認定する制度として、実施されることを望みます。
④カーボンフットプリント制度等の創設
今回施行された公共建築物等への木材利用促進法の基本方針では、木材利用の促進が、森林整備や地球温暖
化防止につながることが明記されています。しかしながら、京都議定書の取り決めでは、木は山で伐採された直後に、
成長過程で固定してきた二酸化炭素を大気中に排出したとみなされています。従って、焼却(分解)されても大気中に
二酸化炭素を排出したことにならず(=カーボンニュートラル)、わが国でもバイオマスエネルギーの利用促進が推奨
されています。一方、木造住宅や木製家具に本来「貯蔵されている」炭素はカウントされず、いわゆるカスケード利用
よりもエネルギー利用が優先されるしくみになっています。
国内クレジット制度においても実績があるのは化石燃料から木質バイオマスへの転換のみで、木材製品の利用に
ついては事例がありません。今、議論されている地球温暖化対策基本法には3つの新しい制度があると言われてい
ます(国内排出権取引、温暖化対策税、再生可能エネルギー買取り)が、ここでも木材製品の利用について言及され
ていません。
そこで、木材(国産材及び外材を含む全般として)の有する優れた性質等に鑑み、具体的に木材の活用が促進され
るべく、健康・環境(省エネ含む)・耐震に力点を置いた新築やリフォームにおいても、以下の制度の創設を望みます。
1. CO2を排出する自動車、電化製品等の省エネ製品への買い替えはエコポイントの対象になっていますが、木材
自体には適用されていません。今後、新築やリフォームにおいて内・外装の木質化、構造材等の木造化、また屋
上等の居住空間に木材を使用したときは、エコポイント制度の適用を望みます。
2. 今後成立するであろう「地球温暖化対策基本法」において、木材製品に関して正しく評価されることを希望し、木
材製品のクレジット化(=カーボンポイント、国内における排出権取引のみ)の制度創設を望みます。
⑤メディアにおける『木』の正しい情報発信
1. 『木』に関する正しい情報を発信すると共に、メディアからの情報の正誤をチェックする機関の創設を望みます。
日本木材青壮年団体連合会 環境憲章
【 理念 】
日本木材青壮年団体連合会は、類まれなる環境性能を有する木質資材を扱う“木財人”として、 長期的な視野に
立って、更なる地球規模での環境保全に取り組み、循環型経済社会の形成を通じて、人類と森林と地球が調和する
豊かな未来に貢献します。
~私たちは、木材が人類共有の財産であることから、その持続的な利活用を目指す会員を“木財人”と称しています~
【 基本方針 】
1. 《木材利用の地球環境貢献》
木材利用の促進を通じて、地球環境に貢献する事業を推進します。
① 木材製品の炭素貯蔵による地球環境貢献効果を正しく理解し、高炭素ストック社会の形成を目指して、木材
利用の促進に努めます。
② 木材加工の省エネルギー性能を正しく理解し、低炭素排出社会の形成を目指して、さらに環境負荷の小さい
木材製品と、その生産、流通技術の開発に努めます。
③ 地球上の健全な炭素循環における森林の役割を理解し、木材の持続可能な利用によってその機能が最大
限に発揮される観点から、森林による炭素吸収源の拡大に貢献します。
2. 《事業活動》
事業活動全般において、環境法令の遵守と一層の環境負荷の低減に努めるとともに、木青連会員全体の環
境管理レベルの向上を図ります。
① 有害物質の適正管理、3R の推進(リデュース、リユース、リサイクル)による省資源を推進します。
② 会員への環境教育を推進し、環境保全意識の高揚を図ります。
③ ビジナスパートナーと協働して、木育活動などの環境保全活動を推進します。
④ 合法木材の利用を推進します。
3.《社会活動》
森林資源の有効な循環利用を通じて地球環境保全を推進します。
① 木材の利用促進を通じて、循環型経済社会の形成に努めるとともに、持続可能な企業価値向上と会員の社
会貢献への意識を高めます。
② 行政機関、地域、関係団体と連携して、環境保全活動に積極的に参加、支援します。
③ 社会と協調して豊かな地域環境の実現を目指した環境活動に取り組みます。
4.《情報発信》
正確な環境情報を開示するとともに、フィードバック情報を環境活動の改善に活かします。
① 環境情報を積極的に公開し、社会との環境コミュニケーションを推進します。
② 木材製品における温室効果ガス排出量等の「見える化」に努めます。
③ 環境行動計画を公表し、計画的かつ継続的な環境活動を推進します。
制定 2010年 6月 19日
大阪木材青年経営者協議会とは
昭和 33 年 4 月 29 日、大阪木材界の青年経営者が経営に関する総意を結集し、斬新なる理念と卓抜せる実行力を
発揮して、我が国の木材業界の発展に寄与することを目的として、大阪木材青年経営者協議会(大青協)が発足しま
した。 尚、大青協の独自な点といえば、大阪木材業界の各種各様の業態から夫々参加して、木材、合板、新建材を
通じ、生産、販売全部門を網羅した木材界の総合団体である処にあります。
●大阪木材青年経営者協議会ホームページ www.daiseikyo.jp
●大阪木材青年経営者協議会 平成22年度 会長 : 森下 能成
平成23年度 会長 : 松下 哲也
H22年度会長 森下 能成
H23年度会長 松下 哲也
●事務局 / 〒550-0013 大阪市西区新町3-6-9 /TEL : 06-6541-3423 /FAX : 06-6536-0240
MAIL アドレス : [email protected]
日本木材青壮年団体連合会とは
日本木材青壮年団体連合会(略称:日本木青連)とは、1956年 10 月 13 日に設立された、北は北海道より南は沖縄まで
の全国8地区52会団から構成する、会員数約 1,000 名以上の林業・木材業に従事する若手経営者の全国組織であり
ます。
●日本木材青壮年団体連合会ホームページ http://www.mokusei.net
参考資料:Wood for good キャンペーン 概要(和訳)
Wood for good は英国が国を挙げて推進している、
木材製品利用促進キャンペーンです
キャンペーンのゴール:
木材製品を No.1 の建築材料にすること。なぜなら、
① 木材は美しい
② 木材は軽くて強い
③ 木材は唯一、サスティナブルである。
キャンペーンの背景:
1.
キャンペーンは 2000 年に始まった。主催はスウェーデン木材産業連合、英国林業協会、木材産業連合会、
北アイルランド林野庁、その他
2.
キャンペーンの活動は、プレスリリース、広告、セミナー、オンライン教育、出版、展示会などを通じて実施して
いる。
3.
木は森で育ち、そこは野生動物の棲家であり、人間の憩いの場でもある。成長する森林は大気中の二酸化
炭素を吸収し、呼吸に必要な酸素を供給してくれる。そして二酸化炭素吸収は、「カーボン・シンク(炭素貯
蔵)」となり、地球温暖化防止に役立つ。欧州の森林は 1 年間にキプロス国と同じサイズ、1 時間当たりだと、
ちょうどサッカー場を 100 個集めた面積で成長している。欧州で使用される木材の 90%は欧州の森林から供
給される。
基本的コンセプト:
 成長の止まった森林の木は死んだり、腐ったりする前に伐採すべきである。
 そういう木材を若い木で置き換えることで炭素貯蔵量を増やすことができる。
 木材製品の耐久性(寿命)を伸ばすことは二酸化炭素を閉じ込めるのに役立つ。
 再利用、リサイクル、最後はバイオマスエネルギーとして、使うことが重要である。
 木を使うことは二酸化炭素削減につながる。
 平均的な木は、1 立方メートル成長するごとに 0.9 トンの二酸化炭素を吸収する。
 1 立方メートルの製材品は約 0.8 トンの二酸化炭素を含んでいる。
 他の製品(石油製品など)は製造過程において平均 1.1 トンの二酸化炭素を排出している。
 したがって、他の製品を使わずに、木材製品を使用することは、差し引き、約 2 トンの二酸化炭素を削減している
ことになる。
キャンペーンの内容(例)
 オンラインを通じた、最新技術情報の提供
 地球温暖化防止を図る諸政策、法律の案内
 教育施設・公共建築物・住宅のデザイン・施工事例の紹介
 建築家向けの、スペック一覧、詳細図、購買方法などの情報提供
 カーボン計算機の提供(オンラインで簡単に計算できる)
 ロンドンオリンピックに向けた木造・木質施設の提案
※ 詳細に関しては、右記HPをご参照下さい。
www.woodforgood.com
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