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情報・通信ネットワーク社会の未来を支える特許審査第四部です。(PDF
情報・通信ネットワーク社会の未来を 職場訪問(第12回) :支える特許審査第四部です。 特許審査第四部 1.特許審査第四部とは コンピュータや携帯電話がない世界を想像できますか?ここ10年で情報化が急速に進み 社会生活の環境が大きく変化しました。それはコミュニケーション技術(情報・通信技術) のイノベーションによるものと考えられます。現在の情報・通信ネットワーク社会を発展 させ、未来の社会生活を一変させることが期待されるIT技術。それらの発明の審査を担 当するのが、特許審査第四部*です。 2.組織構成について(審査室と技術分野) 特許審査第四部は、情報、通信、画像の3部門に分かれています。さらに、情報部門は、 電子商取引、インターフェイス、情報処理の3つの審査室から構成され、通信部門は、伝 送システム、電話通信、デジタル通信の3つの審査室から構成され、画像部門は、映像機 器、画像処理、情報記録の3つの審査室から構成されています。それぞれの主な担当技術 は下表の通りです。 また、付属する審査調査室では、出願審査請求動向の調査・分析などを行っています。 当部ではIT産業がメインユーザーですので、技術が急速に進展し爆発的に出願が伸びる ような分野が多く、そのような技術分野を事前に調査し審査体制に反映しています。 *経済産業省組織令第141条には「特許審査第四部は、電気及び通信に関する発明の審査及び実用新案技術評価書の 作成に関する事務をつかさどる。」と規定され、特許審査第四部では「電気及び通信」の技術分野に関する審査を 担当しています。 Webとっきょ 平成22年4月号(No.12) 16 3.特許審査第四部の特徴 ①コンピュータ・ソフトウエア関連発明(CS発明)が多い 特許審査第四部では特に情報部門でCS発明の出願が多く見られます。これは、ハード ウエアとソフトウエアを一体として用いて、あるアイデアを具体的に実現しようとする場 合に、そのソフトウエアの創作を特許法上の発明とするものです。10年ほど前に社会現象 にもなったビジネス関連発明も、CS発明の考え方の延長にあります。この分野の審査で は非特許文献(特許文献以外の開示された技術や発明)を参考にすることが多く、技術情 報誌、雑誌、パンフレット等も対象とした先行技術文献調査(サーチ)が求められていま す。そこで、非特許文献を収録するCSデータベースを構築し、日々更新することで、サ ーチの効率化にも力を入れ、迅速な審査を心がけています。 ②技術のライフサイクルが短い 例えば今販売されているノートパソコンと数年前のものとを比較すると、サイズや処理 速度など、すべての面において性能が格段に向上しています。またデータを保存する記録 媒体も、少し前まで活躍していたFDDやMOは今ではもう見られません。データの通信速 度も飛躍的に向上していますし、通信機器は小型化されました。ユビキタスも生活に浸透 してきました。TV業界では、近頃、立体テレビジョンが販売され市場を賑わしています。 このような生活環境の変化を実感されていると思いますが、これらの技術の大部分は特許 審査第四部が担当しています。審査官は技術の変化のスピードに即応するため、日々、新 しい技術のキャッチアップにも力を入れています。 ③標準化活動が活発 「IEEE1394」、「XML」、「MPEG」。どこかで聞いたことはありませんか?すべて標準 化(規格)の名称です。IT産業などではシェア獲得のため、世界規模で標準規格競争を 繰り広げています。そういった技術を担当しているのも特許審査第四部です。規格関連で はいち早く特許化を目指す企業が多く、早期審査やスーパー早期審査が利用されることも 多くなっています。そのため、審査段階では世の中にはまだ出回っていない、「次世代の …」とつく製品の技術がよく見られ、審査官は学会などで最新の技術を吸収しつつ的確な 審査を行っています。 また、中には、規格に認定された特許件数の比で収益を配分する規格もあります。そう いった規格に関連する技術分野では、出願件数が突発的に増加することもあり、特許審査 第四部では企業とのコミュニケーションを大切にし、市場動向にも注視しています。 4.おわりに 特許審査第四部では、未来のIT社会を担う出願人の皆様とのコミュニケーションを大 切にし、めまぐるしく進歩する技術に後れを取らず、的確な審査を行うよう努めています。 今後も、情報・通信分野のイノベーションに息を合わせて、情報・通信ネットワーク社会 の未来を支えていきます。 Webとっきょ 平成22年4月号(No.12) 17