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謎を呼ぶ、竹中大臣の異例の「訪中」

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謎を呼ぶ、竹中大臣の異例の「訪中」
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☆SPECIAL REPORT(霞ヶ関インサイド)
謎を呼ぶ、竹中大臣の異例の「訪中」
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<No.9452>
2003. 8. 22 (金)
―― なぜか北京に立ち寄らず=経済問題協議も微妙
竹中経済財政・金融担当相が 8 月末に中国を訪問する予定だ。今回の訪問地は香港、シ
ンセンとなっており、香港では薫建華行政長官とのバイ会談も行われる見通し。経済担当
閣僚があえて中国を訪問することは極めて異例のため、靖国参拝問題で訪中できない小泉
首相の密使の可能性も注目されたが、先に福田官房長官が訪中を果たした経緯もあるため、
この見方には疑問符がつく。むしろ竹中氏が将来の経済人としての活動に向け「中国で人
脈をつくることを目的した」(事情筋)との指摘もあるだけに、改造人事で仮に閣外に出
された場合に備えた動きとも見られている。
8 月 28 日から沿岸部を訪問=事務方も直接タッチせず
竹中大臣が 28∼30 日に訪中を検討していることが、関係者の間で話題になって
いる。内閣府では「正式に何も決まっていないのでノーコメント」としているが、
今回の訪問地は香港とシンセンの 2 ヶ所とされる。首都・北京が含まれていないこ
とも含め、日本の経済閣僚がこのタイミングで中国を訪問すること自体が極めて異
例なだけに、様々な思惑を呼んでいるようだ。
ただ今回、中国の沿岸部が訪問地である以上、常識的に考えれば経済・金融分野
の視察が主たる目的であるのは間違いないようだ。事情筋によれば、訪問先の香港
では薫建華行政長官との会談も予定されているようで、金融担当相として香港市場
の動向などで意見交換すると見られる。
しかし、それ以外の面談者は現在のところ未定のようで、中国側のカウンターパ
ートとも言える項懐誠財政部長との会談などは実施されない可能性が高いという。
実際、先の訪米の際に同行した国際経済担当の事務方は留守番役を務めるほか「マ
ーケットが神経質になるようなテーマは話し合われないだろう」(内閣府筋)との
指摘もある。ただ、日米で人民元問題に対する関心も高まっているのが現状だけに、
このタイミングでの動きは気になるところだ。
首相密使か、または個人的理由か=中国での人脈づくり説も!?
今月 27 日からは北朝鮮の核問題などを巡り、北京で 6 ヶ国協議が開催される予
定でもある。一部報道では「香港のヘッジファンドに日本株をセールスする」「金
融特区構想を表明する」――との指摘もあるが、日中とも政治的にナーバスな状況
となるだけに、このタイミングでの訪中に政治的意図があったのではないかとも指
摘されている。
1 つは、小泉首相の側近として竹中大臣が密使の役目を担ったというもの。足も
と、靖国神社参拝問題で小泉首相が訪中できないため、北朝鮮問題打開のために外
交的役割を負わされたという説だが、これは今月 9∼11 日まで福田官房長官が訪中
した経緯がある以上、信憑性に疑問符がつく。中国側が官邸外交のキーマン・福田
氏を直接招聘しただけに、飯島首相秘書官を差し置いてまでして、竹中大臣が外交
上で影響力を図るのは非現実的と言えそうだ。
その一方で、むしろ可能性が高いのは「改造人事後に入閣できなかった場合に備
えた動き」(前出・事情筋)という個人的な理由かも知れない。8 月初の訪米の際
も、竹中氏は過密スケジュールにも関わらず、ある米大学関係者と面談していたと
報じられた。
「就職活動のための訪米なら、大学ではなくホテルで会えば良いだけの話」(金
融庁筋)との声も聞かれるが、今回の訪中についてもグローバルに活躍できる経済
人としての地位を確立するため、中国での人脈づくりを図った可能性がある。9 月
中間期に向け 1 ヶ月余りとなったが、株価上昇を受け、金融市場でも大きな混乱は
見受けられない。今回の訪中がマーケットに与える影響は未知数とはいえ、ドイツ
を訪れた小泉首相のオペラ鑑賞と同様、金融監督行政の不在を示唆するものとなり
そうだ。(了)
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