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☆SPECIAL REPORT(BOJウォッチャー)
プルーデンス、国際路線を強化へ
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<No.9268>
2003. 5. 28 (水)
―― 日銀人事=市場局、政策室に考査出身加わる
日銀が 26 日、夏の定例人事を発表した。今回の異動で目をひいたのは、山本兼三金融
市場局長(51 年入行)がNY駐在参事として赴任する一方、新金融市場局長として中曽宏・
前金融市場局参事役兼国際局参事役(53 年入行)の就任が決まったこと。中曽氏は2代前
の信用機構課長として、本邦金融不安の処理に当たっていた他、BIS(国際決済銀行)
でリサーチ業務を行い、国際畑の経歴も兼ね備える人物として知られる。「まずはABS
の実用化、ABCP 市場の育成が最優先事項」(日銀筋)との声が聞かれる中、金融市場局が
プルーデンス&国際路線を強化してることは、今後の金融市場安定に向けて注目されるも
のとなりそうだ。
福井体制もプルーデンス強化?=49年入行組の調整に苦慮
日銀は毎年5月、11 月に定例人事を発令している。この5月 26 日に発表された
局長クラスの人事をもって、まずは福井総裁での人事体制にも大きな区切りがつい
たようだ。
今回の人事で注目されたのは、山本金融市場局長がNY駐在参事として海外赴任
が決まったこと。山本氏は 51 年入行だが、今回の人事で人事局長への就任が決ま
った前原康宏・前NY参事(49 年入行)のように、本来なら日銀の海外参事は局
長就任前の人物が務めるポストである。この背景には、現在LDN駐在参事を務め
る小山高史氏(49 年入行)も含め、49 年入行組が多いという、人事バランスに苦
慮する日銀の現状が影響しているという。
実際、他の 49 年入行組には稲葉延雄考査局長、山口廣秀企画室審議役、秋山勝
貞・新政策委員会室長らの幹部が存在しており、「人材の宝庫」として重要な役目
を担っている。今回の人事異動で発券局長から政策委員室長に転じたその秋山氏は、
考査局で職務に当たっていたこともあり「発券局という通常業務を行う部門から、
政策部門へ復帰した」(前出・日銀筋)ことが解る。霞ヶ関の各省庁と同様、再就
職先が減少して年次バランスに苦慮する日銀とはいえ「プルーデンス路線」を強化
する傾向は続いているようだ。
市場局は国際路線も強化!?=対外的な協調・説明上、注目
それを示唆するのが今回、新金融市場局長として就任した中曽氏への評価である。
中曽氏は2代前の信用機構課長として、本邦金融不安の処理に当たっていた他、B
IS(国際決済銀行)でリサーチ業務を行い、国際畑の経歴も兼ね備える人物とし
て知られる。
また、かつては企画室にも在籍していたが「どちらかというと調査役時代も含め、
プルーデンス部門が長いことで有名」(同)との声もあり、金融市場局でもプルー
デンス路線が強まっていることがうかがえる。それ以外にも英語が堪能な中曽氏は、
BISでリサーチ業務を短期間おこなっていた経歴もあり、国際面での調整役とし
ての手腕も期待されている。「まずはABSの実用化、ABCP 市場の育成が最優先
事項」(同)との声が聞かれる中、川添敬同局為替課長と共に、金融市場局が国際
協調路線も強化している点は注目されそうだ。
おりしもこの5月 30 日には、米連邦準備制度理事会(FRB)のベルナンケ理
事 が 一 橋 大 学 で 講 演 を 予 定 し て い る 。 “ Causes and lessons of the great
depression”――、邦題で「アメリカ 1930 年代・大恐慌の原因と教訓」と題して
単独講演が行われるが、今回の講演実現にはデフレ脱却に強い意欲を示す黒田東彦
内閣府参与の関与があったとされる。「政府サイドだけでなく、ベルナンケ理事自
身もマスコミ対応などの情報管理にナーバスになっている」(一橋大関係者)との
声も聞かれる状況下、日銀の金融政策を巡って緩和圧力が強まる事態は今後も懸念
されそうだ。(了)
※本レポートは情報提供のみを目的に作成されたもので、投資・運用に当たっての最終的な判断は、お客様の責任に委ねられま
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