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絶縁の信頼性試験法

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絶縁の信頼性試験法
絶縁の信頼性試験法
プリント配線板において導体を支持する絶縁体の絶縁の信頼性は非常に重要である。この信頼
性も初期の潜在故障と長期の使用による磨耗故障がある。この場合も、初期の潜在故障の顕在化
によることが多い。絶縁は導体パターン間、層間、めっきスルーホール、あるいはブラインドホール
のめっき層と隣接導体間の絶縁などが問題になる。最近の高密度化、ファインピッチ化、薄型化で
高い絶縁状態を保持することは大変に重要なことになってきている。
絶縁劣化は電圧の印加、導電性の不純物、水分、微細なクラックの存在が不可欠である。絶縁
の故障モードには絶縁層界面のイオン伝導、絶縁層内部のイオン伝導によることが多い。層間剥離、
界面の剥離、処理液などの不純物浸透、絶縁体内の不純物、絶縁材料の劣化などにより引き起こ
される。
絶縁の信頼性評価の試験法には水分の存在が必要なため、加湿下で行う。
① 恒温恒湿試験(定常状態)
この試験は供試品が高い相対湿度の状態で使用または
貯蔵できる能力を調べることを目的とする。またバイアス
電圧の印加により、主としてマイグレーション劣化による
寿命を評価する。
試験条件:40℃、90%RH
60℃、90%RH
加速試験として
85℃、85%RHでおこなう
電圧を印加して行う場合(DC50、100V)が多く、試験
時間はユーザーと協議のうえ決めることが多いが 1000 時
間程度が最も多い。
測定項目:外観検査、耐電圧、絶縁抵抗値測定を測定し 5×108Ω以上であること。
② HAST(不飽和加圧蒸気試験)
もともと電子部品の評価に採用されたもので、デバイスに温度と
湿度ストレス場合によってはバイアスを同時に加える方法がとられ
ており、並列複合試験の代表的な試験方法である。特に樹脂封止半
導体の信頼度を評価したいということで従来からのアルミ配線の腐
食試験である85℃、85%RH条件に対してさらなる加速試験と
して採用されてきた。これがプリント配線板やその材料にも適応さ
れており使用状態との加速性試験であることから、耐熱性との問題
も絡んで故障モードの違ったところでの評価にならないように採用
時には充分注意が必要である。
試験条件
条件
厳しさ
温度
相対湿度
さらし時間(h)
(℃)
(%RH)
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
110
85
96
192
408
120
85
48
96
192
130
85
24
48
96
試験中に DC25、50、100Vを印可する場合もある。
測定項目:絶縁抵抗測定、外観検査、腐食による接続不良
③ PCT(飽和加圧蒸気試験)
飽和水蒸気での高温試験で、HAST以上に厳しい試験条件であり、故障モードが低い温
度条件での耐湿性試験と違ってくることなども懸念されて、最近ではHASTが推奨される
試験条件:121℃、2atm、2∼8 時間
測定項目:絶縁抵抗測定、外観検査、腐食による接続不良
材料により分解の可能性があるため、加速を目的とするならば短時間で行うものでこの試
験での破壊にいたるまでの耐久試験は意味をなさない。
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