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小規模火力発電等の環境保全に関する検討会 御中 平成 27 年 8 月 3
小規模火力発電等の環境保全に関する検討会 御中 平成 27 年 8 月 3 日 委員 圓尾 雅則 本日は所用にて欠席せざるを得なくなりました。つきましては、書面にて意見を述べさせ て頂きます。 まず、年末に COP21 を控える中で、我が国として CO2 削減に向けた目標と道筋を明確に 示すことの重要性が高まっていることは疑う余地がありません。しかしながら、エネルギ ーを安価かつ安定的に確保することは、我が国の維持・発展に欠かせない要素であること も事実です。また、エネルギー事情が各国によって大きく異なることを踏まえ、国際社会 の中で、したたかに立居振る舞う政治力も求められています。本検討会では昨今計画が増 えている石炭火力を念頭に議論が進められると思われますが、決してミクロな視点のみか ら結論を得ようとせず、全体最適を常に意識すべきと考えます。この様な視点から、事前 に頂戴した資料に関しまして、数点意見をまとめました。 (1) 各資料中の「ガイドライン」という記述について まず、資料全体についてです。資料2の通り、本検討会における検討内容の一つと して「ガイドラインの改定」が挙げられており、資料3以降において「ガイドライ ン」という記載が多く見られます。しかしながら、私自身が専門委員を務めている 内閣府 規制改革会議 投資促進等ワーキンググループにおいて議論した通り、これ は行政手続法に則ったガイドラインではなく、あくまで「事例とりまとめ」です。6 月 30 日の閣議決定の主旨を尊重するのであれば、誤解を避けるためにも本検討会 で使用する資料においては、 「事例とりまとめ」という呼称に統一すべきと考えます。 (2) 長期エネルギー需給見通しについて 資料3に記載の通りに 2030 年の電源構成目標が決まっています。しかし、この数 値目標を金科玉条との認識で議論を進めるのは危険なことと思います。この目標が あるにもかかわらず、昨今、大小多くの石炭火力の建設計画が発表されている一因 は、「原子力が 22~20%など達するわけがない」と多くの事業者が考えているから です。逆に言えば、本当に原子力がこんなに回復するとのコンセンサスができれば、 現在の様に石炭火力の建設計画が乱立する可能性は限りなくゼロに近いと思います。 最も効果的な石炭火力抑制策は、原子力の推進なのかもしれません(念のため、私 は原子力推進派でもなく反対派でもなく、是是非非で議論すべきとの立場です)。再 生可能エネルギーに関しても同じです。発電コスト低減に伴う普及の加速を期待し たいところですが、2030 年までの技術進歩を正確に予測することは不可能です。そ もそも、電力需要の長期予測自体も、これまで当たったためしがありません。いか なる状況になろうと、電力供給を止める訳にはいかないのですから、石炭火力につ いても 26%が唯一絶対の目標値ではなく、増えることも減ることも念頭におきなが ら議論を進める必要があります。 (3) 調査の進め方について 小規模火力と燃料転換火力の実態について、詳細な調査を行うことは大変有意義だ と思います。是非、個々の事例の背景をしっかりと理解するように調査を行いまし ょう。状況の悪い電源は、なぜその様な決断をしたのか、逆にしっかりと対策が出 来ている電源は、なぜその様に取り組んだのか、が明確になるように整理できれば と思います。その結果を分析する結果として、例えば、法アセスの一連の手続きの 中で、どの部分を義務化すれば必要最低限のコントロールができるのかを考えて行 きたいと思います。もし、小規模電源や燃料転換電源にもフルに法アセスを課すと すれば、ほぼ 100%の計画はストップするでしょう。そうなれば国が立ち行きませ ん。現実的な対策を模索したいと思います。具体的な意見は、調査結果を踏まえて 申し上げます。 また、小規模火力の調査に関して、6.今後の対応方針(1)調査の方向性のページ に調査項目が挙げられていますが、せっかくなので、事業者の「事例とりまとめ」 に対する認識と、これの改定に対する意見についても合わせて調査することを提案 致します。 (4) 関西電力赤穂発電所について 法アセス対象外の電源がどの様に行動しているのか確認したいと考え、先日、関西 電力の赤穂発電所(石油から石炭への燃料転換を計画;取水路、放水路、煙突、発 電機、タービンなどは既存のものを利用するため法アセス対象外)を訪問してきま した。重要と感じたポイントを報告致します。 ・自治体等とのコミュニケーション 石炭利用に向けた自主アセスに関しては、兵庫県ならびに赤穂市当局の意向を踏ま えつつ進めている。地域住民とのコミュニケーションについても、丁寧に準備を進 めている印象である。これは、一般電気事業者としての経験から、長期に大型電源 をオペレーションするためには地元自治体との連携が欠かせないことを十二分に理 解していることが背景と思われる。 ・自主アセスの内容 NOx、SOxはもちろん、猛禽類等に至るまで、法アセスにおける方法書と同じ項 目について検討を行っている。ちなみに、SOx、NOx、ばいじんについては、現 在の協定値に比べて、転換後の計画値はいずれも大きく低下する模様。結果として、 近隣に最新鋭の石炭火力として計画されている J-POWER の高砂火力と比べてそん 色ない水準となっている。 ・CO2 削減について 赤穂発電所だけで考えれば、間違いなく燃料転換によって CO2 発生量は増加するも のの、先行して姫路第二発電所のコンバインドサイクル化、ならびに相生発電所の 石油から LNG への燃料転換を行っており、この2件による削減効果は、赤穂の増 分を大きく上回ると考えられる。発電所単体だけで考えるのではなく、企業レベル や地域レベルなど、もう少し大きな範囲での状況を把握し判断する必要性がある。 ・課題 BAT への適合を求めた場合には USC にする必要があるが、その場合にはボイラー 改造のみでは対応不可となる。しかしながら、上述の通り、結果として最新鋭の高 砂火力とそん色ない影響度となるのであれば、問題ないがないように思える。BAT の運用について、細かい差異にまでこだわるのではなく、実態の影響を良く吟味し た上で、適切な幅を持った運用をすることが肝要との印象。 以上です。次回以降、出席できると思いますので、よろしくお願い致します。