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データ標準化及びデータ流通基盤に関する動向

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データ標準化及びデータ流通基盤に関する動向
資料4
データ標準化及びデータ流通基盤に
関する動向
(欧米の事例を中心に)
平成21年7月27日
LCDM推進フォーラム
事務局長 礒部猛也
Copyright ©2009 LCDM 推進フォーラム. All rights reserved.
目
次
1.欧米先進国のデータ共有手法の変遷
2.米国国防総省(DoD)の動向
3.米国国防総省のNet-Centricデータ戦略
4.省庁横断的な情報共有標準の例:NIEM
5.米国国立癌研究所(NCI)のデータ流通基盤
6.連邦政府レベルでの標準化推進ルール
7.EUにおける電子政府プロジェクト
8.国連におけるEC分野の共通辞書づくり
9.まとめ
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1.欧米先進国のデータ共有手法の変遷-1
【欧米先進国は次の順にシフト】
„ 大規模統合DBの構築(80年代)
・情報爆発により構築コスト、維持管理コストが増大し継続を断念
„
トップダウンによる標準化(90年代前半)
(次第に次のような問題が顕在化)
・既存データの活用が困難(多大な再入力や、変換コスト)
・標準準拠へのシステムの更新負担大
・標準維持管理負担大(業務改善は常に標準の更新を促す)
„
メタデータ(データ仕様やデータの所在情報)の可視化(90年代
後半以降)
・データそのものではなく、データの記述仕様や所在情報の可視化に方針転換
・データ仕様の自発的な標準化を誘導、標準の開発・維持負担を低減
・ニーズ(業務の変化等)に応じたアップツーデートな標準改定を促進
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1.欧米先進国のデータ共有手法の変遷-2
可視化以後の動向
データ仕様
公開基盤
の構築
データの
公開基盤の構築
データ
変換・流通
基盤の構築
データの公開
データのXML化
日本の今の段階
欧米の状況
流通するデータの形式
既存形式のデータ
(非XML)
XMLデータにシフト
日本の今の段階
XMLのみならず
既存形式のデータも流通
(XMLのほか、ワード、エクセル、
テキスト、Shape、Kml等)
欧米の状況
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2.米国国防総省(DoD)の動向
2002年頃の国防総省の状況
世界最大規模の行政組織かつ最先端の情報通信技術を活用している米国
国防総省 といえども・・・
„トップダウンの統合情報管理体系の行き詰まり
„ 巨大化し過ぎて戦略変更への迅速な対応困難
„ 既存標準・基準類の維持管理負担の増大(30年間の膨大な蓄積)
„ 上記既存標準・基準類に準拠しないXMLベースのシステム開発が横行
„ネットワークやITの進歩
„ インターネットの普及やWebサービス技術の進歩へのキャッチアップ遅延
„さらに新たな問題発生
„ XMLの自由度の高さが、新たなデータ互換性の阻害要因(タグの乱立)に
国防情報戦略の大変換
2003年8月、ラムズフェルト国防長官「Net-Centricデータ戦略」へ
の移行を宣言
の移行を
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3.米国国防総省のNet-Centricデータ戦略‐1
„
基本戦略
「システム中心の工業時代」(System-centric Industrial Age)から
「ネット中心の情報時代」(Net-centric Information Age)への移行
z情報のトップダウン管理から、現場指向のネットワーク分散管理へ
z現行業務対応の個別システム開発から、予測不可能な事態へも敏速に
対応可能な動的体制へ
→ボトムアップの市場原理によるデータ戦略
TIGHT
SPECTRUM OF CONTROL
LOOSE
メタデータレベルの緩やかな管理へ
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3.米国国防総省のNet-Centricデータ戦略‐2
データ管理の中核機構としてメタデータレジストリを設置
データの管理をメタデータによる間接管理に移行
メタデータ(データ仕様)の組織横断的な可視化とワンストップ提供
国防総省メタデータレジストリ(DoD MDR)は次の2つで構成
„ 国防総省全体の基本仕様(DDMS: DoD Discovery Metadata Standard)
„ 省内共通的個別仕様(XML仕様、他の標準、コード類、各コミュニティー特有の仕様や、
メタデータ間の関連情報、過去に蓄積したレガシー仕様等)
国防総省メタデータレジストリ(DoD MDR)の構成図
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4.省庁横断的な情報共有標準の例:NIEM‐1
NIEM; National Information Exchange Model
„ 組織横断的に情報共有を図るためのデータ標準。DHS(国土安全保障省)とDoJ(司法
省)が協同で設計
„ 連邦政府、州政府、地方が集まって発案された、シームレスなインテリジェンス情報交
換・共有基盤
„ 行政担当者を対象とした教育プログラム等を、DHSが強力に推進
„
Domain
„ 右図の”花弁”に当たる部分で、目的・専門を同
じくする組織や機関の集合体等によって構成さ
れる。
„
Core
„ 右図中心の共通部分(Common: Universal
Core)で、全てのドメイン間で定義や構造を調
整し、全てのドメインで利用可能な共通データ
(※)で構成される。
„ ※例:人、住所、組織 等々
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4.省庁横断的な情報共有標準の例:NIEM‐2
NIEMによる情報共有の実現イメージ
„
例:Personに関して異なる機関が管理する情報を横断的に検索して、
必要な情報を集約利用する
一般的なPersonの属性
・名前
・性別
・誕生日
警察等のPerson
・犯罪歴
・指紋等
に加え一般的な属性
入国管理等におけるPerson
・パスポート情報
・ビザ情報
に加え、犯罪歴等
および一般的な属性
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5.米国国立癌研究所(NCI)のデータ流通基盤
caCORE :NCIの癌研究用共通意味情報提供サービス
„
„
„
最も完成度が高く国際的にも評価されているデータ流通基盤の最新事例
癌の研究者と治療に当たる現場のための統合情報提供サービス
caCORE( Cancer Common Ontologic Representation Environment)の構成
図のように、caDSR(メタデータレジストリ)、EVS(用語辞書サービス)を中心に、 caBIG
(統合サイト)がこれらのサービスを統合する
Biomedical Information Grid
DB
caDSR
EVS
caCORE SDK
caAdapter
Cancer Data Standards
Registry and Repository
Enterprise Vocabulary
Services
Software Development
Kit
Adapter
コンピュータに意味が
理解できる用語辞書
caCORE類似のシステ
ム開発を支援するた
めのソフトウェア一式
を提供
データ要素単位まで
ブレークダウンした
メタデータレジストリ
DB
外部の医療
機関等
caCOREのデータと関連
する情報の変換を行う
アダプタを提供
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6.連邦政府レベルでの標準化推進ルール‐1
行政情報作成ガイドライン(XMLに関するルール化)
・特にXMLは開発自由度が高いため、仕様の開発を放任すると仕様間の互換性が
確保できずデータ流通の阻害要因になりかねない
・これを防止するために、主要な機関はXML NDR (XML Naming and Design Rules:
XML命名及び設計規則)を策定してデータ要素(タグ)の命名や、これらを組み立
てて構築する仕様の設計ルールを定めている
„
連邦政府NDR(FEDERAL XML NDR Draft, 9 June 2005)
米国政府CIO評議会のXMLWGは、連邦政府機関横断的なNDRとしてこれを開発し、
2005年公表
„
米国海軍NDR(Department of the Navy XML Naming and Design Rules)
海軍省は、上記FEDERALに準拠してNDRを開発。この開発は上記XMLWGが支援
„
NIST(国立標準技術研究所 )によるフォロー
米国商務省傘下のNISTは、上記連邦政府NDRの推進を支援するため、このNDRに
準拠したXML開発ツールの開発や、このツールを利用したXML仕様品質管理実証
実験を実施
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6.連邦政府レベルでの標準化推進ルール‐2
DRM:データ参照モデル
„
„
米国政府のEA(Enterprise Architecture:業務・システム最適化計画)の一環として整
備されている、データモデル構築支援のための雛形
モデルは自由に作成可能なため、放置すると整合性の無い属人的なモデルが乱立
する恐れ(異なる機関間で、類似の組織や業務間の関連付けや比較が困難になる)
これを防止するために、このような雛形(参照モデル)を提示して省庁横断的な標準
化を進めることが重要
EAの全体構成( DRMは、EAを構成するデータ体系の記述を標準化)
政策・業務参照モデル
政策・業務体系
(Business Architecture)
データ体系
(Data Architecture)
適用処理体系
(Application Architecture)
技術体系
(Technology Architecture)
(Business Reference Model )
業績測定参照モデル
(Performance Reference Model )
データ参照モデル
(Data Reference Model)
サービスコンポーネント参照モデル
(Service Component Reference Model )
技術参照モデル
(Technical Reference Model )
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6.連邦政府レベルでの標準化推進ルール‐3
情報カタログの整備
米国航空宇宙局(NASA)は、世界の55地球科学情報機関のポータルが扱う2万5千件のデータ
セットについて、全カタログ情報を統一様式で整備しこれを可視化してデータの所在と内容を明ら
かにすると共に、組織横断的なワンストップ検索サービスを提供し、実データの取得を仲介する
(統合ポータルサービスGCMD:Global Change Master Directory地球変動マスターディレクトリ )
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7.EUにおける電子政府プロジェクト‐1
IDABC:EU各国電子政府サービスの相互運用プロジェクト
IDABC:Interoperable Delivery of European eGovernment Services to public Administrations, Businesses and Citizens
IDABACの掲げるコンセプト European Interoperability Framework
European Interoperability Framework-The General Public Services Conceptual Model GPSCM)から引用
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7.EUにおける電子政府プロジェクト‐2
SEMIC.EU:EU各国電子政府サービス統合XMLレジストリ
SEMIC.EU(Semantic Interoperability Centre Europe )http://www.semic.eu/semic/
2009年を最終年度とするEU各国電子政府関係XML、UML 等の情報資産共有レ
ジストリ構築プロジェクト(IDABCのプロジェクトの1つ)
レジストリ検索画面の例:各国が開発し登録した仕様が、分野別に整理されている
*黒字の分野には、
現状登録仕様が無い
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7.EUにおける電子政府プロジェクト‐3
INSPIRE:EU地理空間情報共有プロジェクト(2007~2016)
環境保護を主目的に、EU指令に基づき、加盟各国で整備している地理空間情報の相互利用を
実現しようとするもの
„34分類の領域毎に、国際標準準拠のメタデータ仕様やシステムアーキテクチャ開発
„地理空間情報共有基盤プロトタイプ(Geoportal)の開発・運用
Geoportal検索初期画面 http://www.inspire-geoportal.eu/index.cfm/pageid/341
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8.国連におけるEC分野の共通辞書づくり‐1
国連電子商取引国際標準化機関(UN/CEFACT)の取組み
„UN/CEFACTは、ISOに準じる国際標準化機関
ISO, IEC等とMOUを締結し、棲み分け。日本の窓口は(財)日本貿易手続き
簡易化協会
„共通用語辞書CCL(Core
Component Library: EC用のコア構成要素ライブラ
リ)を開発
„ 2002年以降CEFACT内で、分野や国境を越えた調整作業によりデータ
単位の共通用語辞書を作成中
„ 産業横断的な国際標準として、EC以外の分野でも広く利用
„ 現在約1万件(一部はISO化、さらに一部JIS化済。原本は英語。ECOMが
順次和訳中)
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8.国連におけるEC分野の共通辞書づくり‐2
UN/CEFACT EC共通用語辞書(CCL)の、コア構成要素調整
(用語と定義の統一)作業のイメージ
業界標準EDI事情http://www.jpca.or.jp/cedi/Forum/13.0905/1.JEDIC.pdfから引用
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9.まとめ
①IT投資対象の変化
従来、ITの世界ではシステムづくりに重点が置かれていたが、データの付加
価値を高め資産化する方向に変わってきている。
②トップダウンとボトムアップの標準化の使い分け
データを標準化しないとシステムの連携はできないが、トップダウンによる標準
化だけでなくボトムアップの標準化も重要である。
③国際標準準拠
極力国際標準に準拠し、ガラパゴス化は回避することが望まれる。
④関連ルール・制度の整備
データ標準化にあたっては、関連各種のルール、制度づくりを行う必要がある。
⑤データ標準の品質管理体制整備
品質の高いデータ標準を維持するためには、その体制づくりが重要である。
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ご清聴有難うございました。
【問合せ先】
LCDM推進フォーラム
〒103-8430 東京都中央区日本橋浜町3-21-1
Tel:03-3668-4752
Fax:03-3668-4177
E-mail:[email protected]
http://www.lcdm-forum.jp/
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