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公衆無線LANを活用した幕張新都心魅力向上のための調査業務 報告書
【公衆無線LANを活用した幕張新都心魅力向上のための調査業務 報告書概要】 ■第1章 幕張新都心の現状 平成23年度の「幕張新都心の持つ魅力を高めるための県市共同調査」によると、幕張新都心への来街 者は目的地型の移動が多く、街を回遊する動機に乏しいため、「ついで」の回遊につなげるには、イン ターネット等を活用し、地域の情報等を提供することで回遊を促すことが必要としている。 平成24年度の「幕張新都心魅力向上のための社会実験」においては、情報発信拠点を設置しイベント 情報等を配信することで来街者の回遊性向上の確認がとれたが、更なる活性化のためには継続的に魅 力ある情報をどのように配信すべきかの課題があるとしている。 そこで、幕張新都心の更なる活性化のためには、幕張新都心エリアに入れば、来街者は必要とするタ イミングでイベント情報や地域の情報等を手軽に閲覧できる仕組みが必要であり、それにはインターネッ ト(公衆無線LAN)を活用した情報配信が効果的であると考える。 ■第2章 公衆無線LANを取り巻く環境 無線LAN対応のモバイル端末は年々増加し続けており、今後も増え続けると考えられる。また、公衆無 線LANサービスの利用者数も年々増加傾向にある。携帯電話事業者の提供する無線LANサービスの ユーザ満足度は着実に上昇しており軒並み昨年の満足度を上回っている。 ・横浜市では、世界的に旅先でのスマ-トフォンやタブレットを利用して、SNS等による旅行情報 の入手等が一般化するのに伴い、外国人旅行者の利便性の向上を図るためにNTT東日本のフ レッツ光回線を用いた「光ステ-ション」設置エリアで、14日間無料でインタ-ネットを利用できる 「ID/PASSカード」を横浜市内の観光案内所等で配付。 福岡市 15分/回、回数制限なし キャリアフリー 24時間 キャリアフリー 外国語対応 セキュリティ 4カ国語(日、韓、中、英) ID/パスワードの設定なし 登録情報について 4カ国語(日、韓、中、英) ・青少年フィルタリング ・氏名、メールアドレスの登録 ・認証ログ 有効期間:6カ月 登録情報なし サービス開始 AP数(サービス開始時) H24.4.27 146AP(うち新設8AP)/39拠点 H24.9.30 18AP AP数(H25.10.1現在) 264AP/66拠点 27AP SSID名※1 Fukuoka_City_Wi-Fi @GinzaFree コンテンツ ・フリーインターネット接続 ・災害時活用 ・アンケート ・スタンプラリー(期間限定イベント) New Taipei City Wi-Fi(インローミング) 特になし その他特長 (出展)ICT総研 「2013年度 公衆無線LANサービス利用者動向調査」 訪日外国人が旅行中に困ったこととして 「無料公衆無線LAN環境(の不備)」が最 も多く、次いで「コミュニケーション」「目的 地までの公共交通の経路情報の入手」と いう結果であった。一方で、日本滞在中に 得た旅行情報で役立ったものはインター ネットという回答が多かった。 また、日本滞在中にあると便利な情報と しては「交通手段」「飲食店」「宿泊施設」 「買い物場所」という順で多かった。 銀座(東京と中央区) 無料インターネット 京都市 3時間まで無料(バス停等) 7日間まで無料(公共施設) キャリアフリー 2カ国語(日、英) ID/パスワードの設定なし 指定メールアドレスにメールを送り 「ゲストコード」を取得 H24.8.31 385箇所 ※順次拡大対応中 KYOTO_WiFi 01:バス停等 KYOTO_WiFi 02:公共施設 特になし - - ■第4章 幕張新都心における実証実験 幕張新都心エリアにて公衆無線LANの実環境(図4-1 )およびポータルサイトを構築。 幕張メッセイベント時、海浜幕張駅おいて来街者の方に図4-2のチラシを配布。 幕張メッセ内にて構築した環境をご利用頂きアンケート調査を実施。 【裏面】 【表面】 (出展)観光庁 「訪日外国人の消費動向 平成25年10-12月期 報告書」 ■第3章 先進自治体の取組み ・福岡市では、近年中国や韓国をはじめとした海外からの観光客が増加傾向にあり、その観光 客に対し、どのように福岡市の情報を伝えていくのかが一つの課題であった。観光客(来街者) の利便性向上、観光情報の発信、災害時の活用を目的として公衆無線LANサービスを整備。 ・銀座(東京都中央区)では、国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の開催に合わせ、一般 社団法人銀座通連合会が事業主体となり、『いつでも・どこでも・だれでも・無料で』簡単に利用 できるWi-Fiとして、東京都中央区の補助を受けて公衆無線LANサービスを整備。 図4-1 公衆無線LANアクセスポイント設置場所 ・京都市では、国内外から多数お越しいただく観光客の皆様に、快適に観光情報等を入手して いただく環境を整備するため、観光客の重要な移動手段である市バスのバス停(通電タイプの み)や地下鉄駅,「京都まちなか観光案内所」、24時間年中無休で営業しているセブン-イレブン、 市民にとって身近な市役所や区役所等の公共施設等に、誰もが無料でインターネットを利用でき る無線LANスポットを整備。 ・札幌市は、旅の出発前には動画で札幌の魅力を知り、旅行中は位置情報を使用したナビゲー ション機能でまちめぐりをさらに楽しいものにするために、観光スポット、観光マップやお得なクー ポンなど、札幌観光に役立つ情報を集めた無料の観光アプリ「札幌いんふぉ」を提供。 図4-2 駅前配布物(チラシ) 調査業務実施日 実施場所 実施内容 第1回 平成25年9月21(土) ~22日(日) 幕張メッセ(東京ゲームショウ) 海浜幕張駅前 アンケート調査:200名/2日 チラシ配布:2000枚/2日 第2回 平成25年10月3日(木) ~4日(金) 幕張メッセ(CEATEC JAPAN) 海浜幕張駅前 アンケート調査:220名/2日 チラシ配布:1000枚/2日 第3回 平成25年11月2日(土) ~3日(日) 幕張メッセ(サイクルモードインターナショナル) 海浜幕張駅前 アンケート調査:200名/2日 チラシ配布:200枚/2日 1.必要性 幕張新都心における公衆無線LANの必要性について97%の利用者から「必要である」という回答があった。 利用理由としては、「利用したい場所にあった」が42%で、「無料だから」が41%であった。 また、77%の利用者から「もっとアクセスポイントを増やすべき」という回答があった。 これらのことから、幕張新都心へ公衆無線LANを求める声は多いが、来街者が利用したい場所で利用できなければならな いことと、無料で利用できることが重要であるという結果であった。 2. 利用目的 公衆無線LANの利用目的としては、メールSNS、検索機能、ニュースといっ た、幕張新都心エリアの情報収集に限らない活用をする方が53%と半数以上 となった。 一方で、幕張新都心の現地情報(交通、飲食店、商業施設)の検索として活用 する方も44%と多く、幕張新都心に関する効果的な情報発信の必要性が確 認できた。 ■第5章 幕張新都心における公衆無線LAN環境プラン 1.整備目的 (1)無料インターネット接続環境の整備 観光庁の調査によると、訪日外国人旅行者の情報収集の手段としてインターネットが一般的である一方で、日本の公 衆無線LAN環境の不備に対する不満が多い。 先進自治体の取組み事例においても、「外国人旅行者に対する利便性向上」を整備目的に掲げている事例が多く、実 証実験の結果では、外国語によるアクセスが約14%あり、幕張メッセのイベントを訪れた外国人旅行者からは、「公 衆無線LANが使えるようになり便利になった」というコメントがあった。 以上のことから、 『外国人旅行者の利便性向上のためにインターネット(公衆無線LAN)環境を構築すること』が整 備目的のひとつと考える。 (2)効果的な情報発信環境の整備 観光庁の調査によると、訪日外国人旅行者の情報収集の手段としてはインターネットが一般的であり、情報の内容と しては「公共交通情報」や「飲食店」などが求められている。 先進自治体の事例では、ポータルサイトやアプリなど様々な情報発信の仕組みがあり、札幌市の事例のように外国人 旅行者に対しても評価が高い。実証実験の結果、幕張新都心の現地情報を求める声が多くあったことから、効果的な情 報発信環境への必要性は高いと言える。 以上のことから、イベント情報だけでなく、公共情報やショッピングなど幕張新都心に関する様々な情報の発信 (※)を効果的に行い、『主要目的地の他へも「ついで」の回遊をしていただき、多くの方に幕張新都心を楽しんでい ただける環境を構築すること』が整備目的の二つ目と考える。 (※)前項の目的を踏まえると情報発信は多言語対応をする必要あり。 2.整備にあたっての基本的な考え方 3. 利用場所 アクセスポイント場所としては、起点目的地となる場所での活用希望が多く、場所としては、①海浜幕張駅前(北口南口)、 ②アウトレット(商業施設)、③メッセ前広場、④リムジンバス乗場(メッセ)、⑤球場前広場、⑥各ホテルロビーの順に多くの回 答を頂いた。 また、メッセモール、海浜公園やWBG入口など人が滞留する場所については活用希望があるものの、起点目的地で情報収 集をするため優先度としては起点目的地よりも活用希望は低くなっている。 無料インターネットの整備について 公共エリア:行政が整備。 民間施設 :民間が独自で整備。行政は、民間施設が独自で整備を行うための旗振り役 となる必要がある。 効果的な情報発信環境の整備について ・将来を見据えた提案を幅広く募る必要がある。 ・来街者のために、効果的な情報発信環境の整備に重点を置く必要がある。 その他 継続的な運用を実施するためには、運用負担を最小化するための仕組みが必要。 3.アクセスポイント(AP)の設置場所 ①AP設置場所についての考え方 公衆無線LANにメリットを感じる人 理由 携帯回線に接続でき 外国人旅行者 携帯回線への接続機能を持たない端末の所有者でも、Wi-Fi機能があれば無線LANに ない端末を持つ人 PCユーザーなど 接続できる。 外国人旅行者 動画など大容量通信 PCユーザー 携帯回線の場合、月別の通信量が一定以上になると通信速度が急減する契約形態が多 のヘビーユーザー 日本人来街者 いが、無線LANに接続すれば通信速度に影響なし。 オフィスワーカー 外国人旅行者等の「携帯電話回線に接続できない人(国際ローミングは非常に高額)」が主に利用する場所で、且つ、 「起点・目的地となる場所」「滞留する場所」が、AP設置場所の候補地と考える。 ②AP設置場所候補 外国人旅行者向けには、幕張新都心の玄関口であるJR海浜幕張駅を中心に、エアポートリムジンが到着するバス ロータリーなどをアクセスポイントの設置場所として検討すべきと考える。 「起点・目的地となる場所」「滞留する場所」である幕張メッセ、商業施設、ホテル、レストランなど、民間施設内 でも公衆無線LANの活用が考えられるため、民間施設に対してAP設置を働きかけていく必要があると考える。 4. 外国人の利用について 実証実験期間中の約5か月間で約3万件のインターネット接続があり、そのうち、約14%は英語中国語韓国語によるアク セスであった。 幕張メッセ(国際会議場)での外国人参加者からは「公衆無線LANが利用できてとても便利」という声も聞こえている。 5. 周知方法について 実証実験期間中に、公衆無線LANが利用可能であることについて、「プレスリリース」「ポスターや横断幕の掲示」「チラシ配 布」により周知を図ったが、紙でのアンケート調査対象者(620名)の約74%が今回提供の無料Wi-Fiを未利用であった。 また、約71%の利用者から、公衆無線LANが利用可能であることの周知方法を分かりやすくするべきと回答。 周知の方法については、利用可能場所でのポスター等の掲載の希望が約48%あった。 ■無料インターネット接続数 期間 8月23日(金)~31日(土) 9月1日(日)~30日(月) 10月1日(火)~31日(木) 11月1日(金)~30日(土) 12月1日(日)~31日(火) 1月1日(水)~31日(金) 合計 接続数 1,504回 6,025回 7,724回 4,680回 6,836回 2,937回 29,706回 4.情報発信を効果的に行う方法 街あるきを楽しめるような、幕張新都心情報を一元的に閲覧できる環境構築の必要がある。 多くの外国人旅行者の方に利用して頂くことを想定しているため、多言語対応とする必要がある。 将来を見据えた幕張新都心に適した仕組みを採用する必要がある。 幕張新都心の街あるきを楽しめるような情報発信を効果的に行えるようにする必要がある。 5.環境整備後の運営 公衆無線LAN環境の維持管理コストについて、行政の負担を最小化する場合、以下2つの方法などが考えられる。 ①広告料収入で公衆無線LAN環境の運営費用を賄う仕組みの導入。 ②公衆無線LAN環境を民間企業のビジネスに使用させ、前項の収入で公衆無線LAN環境の運営費用を賄う。 6.利用の促進について 無料の公衆無線LAN環境の整備を行ったとしても利用されなければ意味が無く、又、広告料収入を考える場合でも 多数の利用者が必要なため、利用を促進する環境づくりは重要である。 実証実験の結果、利用可能場所での告知が不十分と感じている方が多く、使える場所でポスターの積極的な掲載や、 ニュースリリースを行うことによる意識造りも継続的に実施する必要がある。