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植物工場のコストの実態 −タイプ別コスト−
植物工場のコストの実態 −タイプ別コスト− 定義 完全制御型植物工場 のコスト構成要素 • 光に不透明な断熱材に囲まれ,換気を最小に抑制した倉 庫状の建物内で人工光による照明のみで行う植物栽培シ ステム。光源は現在は蛍光灯が主流,多段栽培が主流 • 人工光のみ・換気率極小→高度環境制御が可能 コスト構成要素 立地条件,配送量,建物,断熱性,光源,空調システム, 栽培棚,養液栽培システム,環境制御システム,培養液 管理システム,育苗システム,栽培培地,定植・移植・ス ペーシングシステム,自動化システム,栽培作物,品種, 電気料金,水道料金,人件費,コンサルティング料金,栽 培技術→歩留まり・回転率,包装コスト その他 15% 人件費 31% 水道光熱費 16% 100∼120 円/100g 償却費等 38% 完全制御型植物工場コスト試算例 定義 太陽光併用型植物工場 のコスト構成要素 • 光に透明、半透明の資材で被覆され,ある程度の換気 を行う園芸施設(温室・プラスチックハウス)内で,人工光 による補光システムを有する植物栽培システム • 太陽光+人工光・換気あり→太陽光を入れるため換気 が必要。光源としては,HPSが主流,多くは平面栽培 コスト構成要素 立地条件,配送量,温室,光源,暖房・冷房システム,栽 培ベッド,養液栽培システム,環境制御システム,培養液 管理システム,育苗システム,栽培培地,定植・移植・ス ペーシングシステム,自動化システム,栽培作物,品種, 電気料金,水道料金,人件費,コンサルティング料金,栽 培技術→歩留まり・回転率,包装コスト 人件費 28% その他 31% 人工光 の密度 等に大き く依存 水道光熱費 13% 償却費等 28% 太陽光併用型植物工場コスト試算例 定義 太陽光利用型養液栽培システム のコスト構成要素 • 光に透明な資材で被覆され,十分な換気を行う園芸施 設(温室・プラスチックハウス)内で,育苗以外に人工光 を使用せず,自然光のみを利用する植物栽培システム • 太陽光のみ(育苗を除く)+換気あり→太陽光を入れる ため換気が必要。 コスト構成要素 立地条件,配送量,温室,カーテン装置,暖房・冷房シス テム,栽培ベッド,養液栽培システム,環境制御システム, 培養液管理システム,育苗システム,栽培培地,定植・移 植・スペーシングシステム,自動化システム,栽培作物, 品種,電気料金,水道料金,人件費,コンサルティング料 金,栽培技術→歩留まり・回転率,包装コスト その他 20% 55∼60 人件費 40% 円/100g 水道光熱費 18% 償却費等 22% 太陽光利用型養液栽培施設コスト試算例 販売価格 • 完全制御型植物工場 • 太陽光併用型植物工場 • 太陽光利用型養液栽培 販売価格 130円/100g 80円/100g 小売価格 198円 148円 目標コスト(損益分岐点?) • 完全制御型植物工場 • 太陽光併用型植物工場 • 太陽光利用型養液栽培 現状 100円/100g 50円/100g 将来 60∼70円 45円 いかにコストを削減するか • 養液栽培・植物工場用栽培品種の育成(最適条件にし て,生育速度を高めても生理障害等を発症しない品種。 最適温度がより高い品種,高品質,機能性品種など) • より効率的な光源開発,ヒートポンプ開発 • 栽培の自動化・省力化支援装置の開発 • 培養液管理システムの確立とサポートシステムの開発 等のソフト,ハードの開発によりコストは大きく削減できる。 ミツバ自動定植機 ミツバ自動移植機 ICチップを備えたムービングベンチシステム ICチップと連動したムービングベンチ管理システム 制度面等からのサポートも有効である ① 完全制御型植物工場は、倉庫、作業場とみなす。 理由:完全制御型植物工場を農業施設や倉庫、作業場では なく工場とした場合、商業地域、準住居地域に建設でき ない。 倉庫であれば、いずれの用途地域にも建設可能。 根拠は、原動機を使っていない、加工もしていない点 ② 完全制御型植物工場、太陽光併用型植物工場を農地に 建設する場合、転用せずに農地として取り扱う。 その他 ① ランニングコストを削減するため、電気料金の優遇を考 える。 ② 植物工場等への太陽光発電設備等の設置に対し公的 補助を考える。 ③ 植物工場本体の設備投資に補助金を出す場合、効率の 悪い施設も一律に対象とならないよう注意が必要である。 ④ 完全制御型植物工場等の固定資産税を優遇する。 ⑤ 完全制御型植物工場への融資を充実する。 ⑥ 完全制御型植物工場の用途地域には制限を設けない。 ⑦ 太陽光利用型養液栽培施設、太陽光併用型植物工場 等の施設については、建築基準を見直し、一部緩和す る。 ⑧ 関連した研究開発に公的補助金を積極的につけ,国際 競争力を付けてマーケット自体を拡大する。 「農業=土」の前提を撤廃する 人材育成・サポートセンターの重要性 ① 現在我が国では,施設園芸/植物工場を専門的に研究 する機関(大学も)はほとんど皆無である。我が国の優 位性の高い分野であることから,積極的に研究開発の 拠点を設立する必要がある。 ② 今後,本分野を拡大しようとすれば,関連分野の専門的 知識を有するエキスパートや指導者を大量に教育し輩 出する必要があり,そのような教育機関の設置が必要 である。国際的教育センターを考える必要もあろう。 ③ 養液栽培/植物工場専用品種を積極的に育成する企 業へのサポートを考えるか専用の公的機関を設立する。 ④ 培養液等の分析を安価・迅速に行い,適切なアドバイス を与える公的なサポートセンターを設立する必要がある。