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地域ブランドとツーリズム

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地域ブランドとツーリズム
地域ブランドとツーリズム
早稲田大学ツーリズム産業論
Y
地域ブランドとツーリズム
2010年7月8日
西武文理大学教授
安田 亘宏
自己紹介
地域ブランドとツーリズム
安田 亘宏 (やすだ のぶひろ)
西武文理大学サービス経営学部教授
【経歴】
1977年JTBに入社。支店にて旅行営業、添乗業務を経験後、本社、営業
本部、グループ会社で販売促進・マーケティング・事業開発等の実務責任者、
およびJTBグループのシンクタンクJIC旅の販促研究所所長を歴任。
2010年4月より現職。
【所属】
NPO法人日本エコツーリズム協会理事
日本地域資源学会常務理事・日本観光研究学会会員・地域活性学会会員
日本創造学会会員・日本旅行作家協会会員
【専門】
旅行者マーケティング・観光地域ブランド・ニューツーリズム
1
地域ブランドとツーリズム
著書
2
『鉄旅研究』
『島旅宣言』
『祭旅市場』
『犬旅元年』
(教育評論社)
(教育評論社)
(教育評論社)
(教育評論社)
『食旅と
観光まちづくり』
(学芸出版社)
『「澤の屋旅館」はなぜ
外国人に人気があるのか』
(彩流社)
『旅人の本音』
(彩流社)
『キャッチコピー
に見る「旅」』
(彩流社)
はじめに
『食旅入門』
(教育評論社)
『旅行会社の
クロスセル戦略』
(イカロス出版)
『長旅時代』
(教育評論社)
『旅の売りかた入門』
(イカロス出版)
地域ブランドとツーリズム
ブランド品を持っていますか?
なぜブランド品を購入したのですか?
多分、ちょっと高いけどブランド品は安心だからでは・・・
旅行の旅先を選ぶのも同じです。
それが地域ブランドです。
3
地域ブランドとツーリズム
1.地域ブランドとは
4
地域ブランドの価値
付加価値と消費者の信頼、満足度により価値が高まり、
高く売れる
夕張メロン
5,000円
ようていメロン 1,500円
関さば
5,000円
岬さば
1,000円
阿蘇温泉
1泊15,000円
湯布院温泉 1泊40,
1泊40,000円
(イメージ例)
しかも、苦労しないで売れる
地域ブランドとツーリズム
1.地域ブランドとは
地域ブランドの定義
5
(経済産業省)
地域の特性を活かして
他の同種の商品・サービスとの差別化を図ることにより、
その商品・サービスに対する消費者の認知を高めるとともに
その地域自体のイメージを向上させた状態
地域ブランド化とは
地域発の商品・サービスのブランド化と、
地域イメージのブランド化を結び付け、好循環を生み出し、
地域外の資金・人材を呼び込むという
持続的な地域経済の活性化を図ること
地域ブランドとツーリズム
1.地域ブランドとは
6
地域ブランドの概念図
(経済産業省)
(Ⅰ)地域発の商品・サービスのブランド化
商品サービス
地域イメージ
を強化
新たな商品
サービス
新たな商品
サービス
連続的に展開
・・・・・・・・・・
付加価値
地域イメージ
(Ⅱ)地域イメージのブランド化
1.地域ブランドとは
地域ブランドとツーリズム
原義、ブランド(brand)とは
「焼印をつけること」を意味する brander という古ノルド語から派生したもの
であるといわれている。自分が所有する放牧している家畜を他人のそれと
区別するために用いられた自製の焼印のこと。
そこから「識別するためのしるし」という意味を持つようになった
ブランドの定義=古典的な定義
ある売り手が商品やサービスを他の売り手のそれと異なると認識するため
の名前、言葉、デザイン、シンボルおよびその他の特徴
(米国マーケティング協会(AMA)1988年)
7
地域ブランドとツーリズム
1.地域ブランドとは
8
ブランドの第一義的な役割
他社の商品・サービスからの識別するための手段
(識別機能)
企業経営戦略の手法
※1990年代、アーカー教授の『ブランド・エクイティ戦略』の出版以来、
欧米や日本でブランドに関する議論が盛んに発表された。
2000年『コーポレートブランド経営』(伊藤邦雄著)により企業ブランド論
が定着。
地域ブランドとツーリズム
1.地域ブランドとは
9
企業ブランドとは
機能だけでなく、顧客やステークホルダーとの
『信頼の絆』『約束』
ブランドの3つの機能
識別機能
保証機能
意味づけ機能
&
企業
提供価値
ブランド
信頼の絆・約束
期待価値
☺ 顧客・ステークホルダー
地域ブランドとツーリズム
1.地域ブランドとは
10
企業ブランドの効果
選択の手間や時間が省け、安心感が得られる
企業ブランドのステークホルダー別の効果
顧客・消費者 ⇒
この会社の商品を買いたい、高くても買いたい
社員
⇒
この会社で働き続けたい、社員が誇りだ
株主
⇒
この会社に投資したい、経営を任せて安心だ
取引先
⇒
この会社と取引したい
就職希望者 ⇒
この会社に入社したい
マスコミ
この会社の話題を取り上げたい
⇒
地域ブランドとツーリズム
1.地域ブランドとは
11
地域ブランドのステークホルダー別の期待効果
顧客・消費者 ⇒ この地域の商品を買いたい、高くても買いたい
この地域に行ってみたい、住んでみたい
住民
⇒
この地域に住み続けたい、
住民であることが誇りだ
投資家
⇒
この地域に投資したい
マスコミ
⇒
この地域の話題を取り上げたい
地域ブランドとツーリズム
2.地域ブランドの種類と特徴
12
地域ブランドの種類
特産地域ブランド
・・・買いたい価値(域外の消費者):農水産物・加工品・
こ
工芸品
産業地域ブランド
・・・取引したい価値(域外の企業):地場産業
生活地域ブランド
・・・住みたい価値(域内外の住民):住環境・コミュニティ
観光地域ブランド
・・・行きたい価値(域外の旅行者):観光資源
※ 4つの地域ブランドが有機的に結びついて強い地域ブランドになるが、
その構築、管理は明確に分けて取組む必要がある。
2.地域ブランドの種類と特徴
地域ブランドとツーリズム
特産地域ブランド
「一度は買ってみたい」 「ちょっと高くても買いたい」 「いつも買っている」
特産地域ブランドとは
地域ブランドと同義に扱われることが多い。または狭義の地域ブランド。
地域固有、または特徴のある農水産物、加工品、工芸品などを開発、品質管理、
アピールすることにより、その地域を代表する強い商品ブランドとして構築する。
市場での優位性を確立し、低価格競争することなく販売することができる。
近年はインターネットを利用した販売、「お取り寄せ」として通信販売もある。
※ 本場で食べる、購入するという観点から、旅行者を誘引する
「観光地域ブランド」の重要な観光資源となるケースがある。
13
2.地域ブランドの種類と特徴
地域ブランドとツーリズム
14
特産地域ブランド事例
農水産物: 夕張メロン、鵡川ししゃも、大間まぐろ、比内地鶏、
越前かに、一色産うなぎ、松阪牛、宇治茶、広島かき
加工品 : 仙台味噌、草加せんべい、小田原かまぼこ、
灘の酒、馬路村の柚子加工品、長崎カステラ
工芸品 : 江戸切子、小千谷紬、金沢仏壇、加賀友禅、
美濃焼、若狭塗箸、播州そろばん、博多人形
2.地域ブランドの種類と特徴
地域ブランドとツーリズム
地域団体商標制度
地域の名称と商品またはサービスの名称と文字のみからなる商標を登録する制度
商標法の一部を改正し、2006年4月1日から商標登録の出願の受付が開始された
2006年10月27日に第一弾として52件が登録された。現在404件登録。
商標登録の要件
① 出願人が事業協同組合などの特別法で設立された組合であること。
② 組合の構成員に使用させる商標であること。
③ その商標が地域の名称と商品またはサービスの名称からなること。
(例)「大間まぐろ」、「美濃焼」、「有馬温泉」、「横濱中華街」
④ その地域の名称が商品またはサービスと密接な関連性を有していること。
⑤ その商標が使用の結果、周知となっていること。
⑥ その商標自体が普通名称化していないこと。
登録対象の商品・サービス
農水産物・加工品・工芸品・温泉など
15
地域ブランドとツーリズム
2.地域ブランドの種類と特徴
16
産業地域ブランド
「その地域の製品なら仕入れたい」 「その地域の技術なら任せたい」
産業地域ブランドとは
地域の同一製品・技術の中小企業の集積があり、組合などの連携により、
品質などを管理していき、地域を代表する製品ブランドや技術ブランドを
構築する。市場が世界規模になることもあり、企業ブランドとしてではなく、
この地域の製品だから、技術だから取引をしたいという企業を増やしていった。
以前からの地元産業の再生と新しい地元産業の創出とがある。
※ 先進事例の視察の旅行を創出する。
“産業観光”の観光資源として「観光地域ブランド」となるケースがある。
地域ブランドとツーリズム
2.地域ブランドの種類と特徴
17
大田区「太田ブランド」
高度な機械製品やものづくり
技術の発信
東大阪市「ものづくりの町」
多種多様な中小企業の高度な生産ネットワーク
産業地域ブランド事例
高岡市「HiHill」
鯖江市「THE291」
今治市「ふわり」
伝統工芸の銅器、漆器職人の
組織化と新商品開発
眼鏡フレームの統一的な
デザイン開発
日本一のタオル生産地の統一的な
商品開発
2.地域ブランドの種類と特徴
地域ブランドとツーリズム
18
生活地域ブランド
「いつかは住んでみたい」 「ずっと住み続けたい」 「家族で暮らしたい」
生活地域ブランドとは
特産地域ブランド、産業地域ブランド、観光地域ブランドなどが構築され、
雇用が安定し、地域財政が健全となり、住宅施設、住居環境、住民福祉、
住民サービス、教育、医療などが整備と地域文化の向上により実現されるブランド。
特別な地元産業はもたず、特化された住環境や住民サービス、地域コミュニティ、
利便性を地域資源とし、個性的な住宅地域ブランドの構築を進める地域もある。
※ “ロングステイ”、”二地域居住”という観光の観点から、住環境を
観光資源として「観光地域ブランド」となるケースがある。
2.地域ブランドの種類と特徴
地域ブランドとツーリズム
生活地域ブランド事例
武蔵野市 生活核都市
府中市
いつまでも、住みつづけたい。三世代生活。
芦屋市
住んでみたい街芦屋、国際文化住宅都市、芦屋庭園都市
金沢市
文化と福祉とコミュニティ
成城
成城生活 (生垣、地下室禁止・・・)
田園調布 田園調布に家が建つ (長島茂雄、石原慎太郎・・・)
北山
緑あふれるハイセンスな町
19
3.観光地域ブランド
地域ブランドとツーリズム
20
観光地域ブランド
「一度は訪れてみたい」 「また行ってみたい」 「ゆっくり滞在したい」
観光地域ブランドとは
地域に存在する自然、歴史、文化、食、サービス、産業、特産品など
有形・無形の観光資源の付加価値を高め、他の地域との差別化をはかること
により、場において優位性を持ち、旅行者が訪れ、共感、愛着、満足感を感じ
リピーター化し、同時に地域住民がその観光資源に自信と誇りを持っている状態。
地域振興の目的の達成を加速させ、持続させるため地域の価値を高める、
もっとも有効な手段
※ 「観光地域おこし」「観光まちづくり」と同義に扱われることがあるが、
観光地域ブランドづくりはそれを達成するための手段
3.観光地域ブランド
地域ブランドとツーリズム
観光地域ブランドづくりの具体的な目的
① 交流人口と交流時間を増やし、
外貨(域外からの収入)の獲得、雇用の創出
② 地域外の人との交流による地域文化の相互理解
③ 地域住民の精神的な満足度、郷土愛、誇りの高揚
21
地域ブランドとツーリズム
3.観光地域ブランド
22
定住人口の減少
(千人)
2015年
125,430千人
140,000
2025年
119,270千人
120,000
80,000
2010年
127,176千人
2005年
127,768千人
100,000
2035年
110,679千人
30.5%
45%
40.5%
40%
38.2%
35%
26.9%
23.1%
33.7%
20.1%
2055年
89,930千人
高齢化率
60,000
30%
2045年
100,443千人
25%
20%
15%
総人口
40,000
10%
65歳以上人口
20,000
5%
75歳以上人口
0
2005
2010
2015
2025
2035
0%
2055
2045
(年)
国土審議会計画部会資料より引用国土交通省国土計画局暫定値
地域ブランドとツーリズム
3.観光地域ブランド
23
圏域別将来推計人口
(単位:万人)
北海道 東北圏 首都圏 中部圏 北陸圏 近畿圏 中国圏 四国圏 九州圏 沖縄県
2005年
563
1,207
4,238
1,722
311
2,089
768
409
1,335
136
551
1,174
4,287
1,723
305
2,071
754
398
1,315
139
-2.0%
-2.7%
1.2%
0.1%
-1.8%
-0.9%
-1.8%
-2.6%
-1.6%
2.4%
517
1,089
4,249
1,677
288
1,984
711
369
1,248
143
-8.2%
-9.8%
0.3%
-2.6%
-7.5%
-5.0%
-7.4%
-9.8%
-6.5%
4.9%
2010年
2020年
国土審議会計画部会資料より引用国土交通省国土計画局暫定値
地域ブランドとツーリズム
3.観光地域ブランド
24
観光交流人口拡大の経済効果
・定住人口の減少
2010年12,718万人 → 2020年12,273万人
*特に北海道、東北、北陸、中四国で減少
・1人当たりの年間消費額=121万円
定住人口1人減少分
・外国人旅行者 7人分(1回18万円)
・国内宿泊者 22人分(1回5.4万円)
・国内日帰り 77人分(1回1.6万円)
定住人口は国勢調査(総務省)、定住人口1人当り年間消費額は家計調査(総務省)による。
旅行消費額は旅行・観光消費動向調査(2006年度) 、国際交流人口はJNTOにより,国内交流人口及び1人1回当り消費額(国
内・外国人)は両調査を用いた試算。
定住人口1人減尐分に相当する旅行者人数は、定住人口1人当り年間消費額を交流人口1人1回当り消費額で除したもの。
3.観光地域ブランド
地域ブランドとツーリズム
観光地域ブランドづくりの対象
① 地域外の日本人旅行者および海外からの訪日旅行者
② 地域住民
③ 地域の行政、観光関連企業・団体
④ 旅行会社、運輸機関などの観光関連事業者および
マスメディア
25
地域ブランドとツーリズム
3.観光地域ブランド
26
観光地域ブランドでの地域とは
観光地(≒行政区画)
デスティネーション(旅行目的地=destination
)
(旅行目的地=destination)
行政区域と一致しない場合がある
ニセコ(ニセコ町・倶知安町など)
軽井沢(長野県の軽井沢町・群馬県にある北軽井沢地区)
八ヶ岳高原(八ヶ岳山麓の山梨県・長野県にまたがる地域)
立山黒部アルペンルート(長野県扇沢~富山県立山)
※ 市町村合併による旧観光地の課題
※ 観光圏での取り組み
3.観光地域ブランド
地域ブランドとツーリズム
観光地域ブランドの観光資源
一定の地域に存在する観光旅行の対象となりうる、
特徴的な歴史・文化遺産などの文化財、温泉、食など
の有形な要素と気象、風景、民俗、芸能、伝説、歴史、
人物、サービスといった無形ないし人文的な要素のもの
※ 旅行者が魅力と感じるものはすべて「観光資源」
※ ほとんどの地域資源は活用の工夫次第で観光資源になる
「観光資源=地域資源」
27
地域ブランドとツーリズム
3.観光地域ブランド
28
観光資源の分類
自然観光資源、人文観光資源、複合観光資源および観光施設資源に分類される
自然観光資源
人文観光資源
○歴史的資源
○近代的資源
山岳、高原、湿原、湖沼、渓谷、滝、河川、海岸、岬、島、
岩石・洞窟、動物、植物、自然現象、気候(温度・雪)、
地理(地勢・位置)、空間等
史跡、神社、仏閣、庭園、公園、記念碑、像、
歴史的建造物(武家屋敷・蔵等)、
産業遺産(鉱山、工場、倉庫等)
近代的建造物(ビル、橋、塔、ダム等)、近代公園、動物園、
植物園、博物館、美術館、水族館、遊園地、テーマパーク等
○その他人文資源 民俗文化(衣・食・住、郷土料理、祭、芸能、伝承等)、
伝統産業、特産品(農林水産物、加工品、工芸品)、
イベント、言語、人物、ノウハウ、もてなし等
3.観光地域ブランド
地域ブランドとツーリズム
29
複合資源
歴史景観(街並み、旧街道等)、田園景観(棚田、ブドウ畑等)、
郷土景観(朝市、田植え等)、
都市景観(高層ビル群、通勤電車等)
観光施設資源
温泉施設、
レクリエーション施設(ゴルフ、テニス、スキー、海水浴場等)、
参加体験施設(農作業、手作り等)、
宿泊施設、飲食施設、
ショッピング施設(デパート、アウトレット、専門店等)、
二次交通機関(レトロバス、トロッコ等)
※観光施設資源は「観光対象」のひとつとして観光資源と別にする場合もある。
観光施設資源もそれ自体が観光資源となっているものもある。
加賀屋(和倉)、和田金(松阪)、川奈ゴルフコース(伊東)、
御殿場アウトレット(御殿場)
地域ブランドとツーリズム
3.観光地域ブランド
30
行ってみたい旅行タイプ=魅力的な観光資源
1. 温泉旅行 (55.0)
2. 自然観光 (44.4)
3. グルメ (42.4)
4. 歴史・文化観光 (40.9)
5. 海浜リゾート (31.3)
6. テーマパーク (26.5)
7. おしゃべり旅行 (25.2)
8. 世界遺産巡り (25.0)
9. ショッピング (24.8)
10. 動物園・水族館(23.6)
=温泉、宿泊施設、食、もてなし
=山岳、高原、湿原、湖沼、渓谷、滝
=食、郷土料理、特産品、おもてなし
=史跡、神社、庭園、歴史的建造物、
=海岸、宿泊施設、気象、空間、もてなし
=テーマパーク
=空間
=自然観光、歴史文化観光
=ショッピング施設、伝統産業、特産品
=動物園、水族館、博物館、美術館
「旅行者動向」(財団法人日本交通公社)2008年
地域ブランドとツーリズム
3.観光地域ブランド
31
観光資源の加工
自然
+ 遊歩道・展望台
自然散策
自然
+
保護管理・専門ガイド
エコツアー
建造物 +
修理・整備・公開
歴史的建造物
建造物 +
統一デザイン・集中管理
歴史的街並み
祭り
演出・見学場所
祭り(観光イベント)
特産物 +
料理・食事処
郷土料理
美術品 +
展示・スペース
美術館
鯨
+
ウォッチングボート
ホエールウォッチング
農業
+
体験プログラム
グリーンツーリズム
+
3.観光地域ブランド
地域ブランドとツーリズム
32
観光資源別と地域ブランドの成功事例
温泉
洞爺湖(北海道) 小野川(山形) 草津(群馬) 黒川(熊本) 由布院(大分)
世界自然遺産
知床(北海道) 白神山地(青森・秋田) 屋久島(鹿児島)
世界文化遺産
白川郷(岐阜) 高野山(和歌山) 姫路(兵庫) 石見銀山(島根)
自然(湖)
十和田(青森) 田沢(秋田) 富士河口湖(山梨) 松江(島根)
自然(滝)
袋田(茨城) 日光(栃木) 富士宮(静岡) 那智勝浦(和歌山)
3.観光地域ブランド
地域ブランドとツーリズム
歴史的建造物(城)
会津若松(福島) 松本(長野) 姫路(兵庫) 松江(島根) 熊本(熊本)
歴史的建造物(近代)
小樽(北海道) 神戸(兵庫) 門司(福岡) 長崎(長崎)
街並み
角館(秋田) 大内宿(福島) 川越(埼玉) 小布施(長野) 長浜(滋賀)
祭・イベント
五所川原(青森) 真壁(茨城) 越中八尾(富山) 長崎(長崎)
花
富良野・美瑛(北海道) 横浜(青森) 館山・南房総(千葉) 砺波(富山)
食(海産物)
大間(青森) 気仙沼 (宮城) 日間賀島 (愛知) 氷見(富山) 香住(兵庫)
33
3.観光地域ブランド
地域ブランドとツーリズム
34
食(B級グルメ)
喜多方(福島) 宇都宮(栃木) 横須賀(神奈川) 出石 (兵庫) 佐世保 (長崎)
体験学習
飯田(長野) 松浦(長崎) 水俣(熊本) 安心院(大分)
フィルム
富良野(北海道) 葛飾柴又(東京) 尾道(広島) 呉(広島)
特産品
輪島(石川) 馬路村(高知) 上勝町(徳島) 大川内山(佐賀)
その他
アート・直島(香川) 民話・遠野(岩手) 人物・花巻 (岩手)
マンガ・境港(鳥取) ショッピング・御殿場(静岡)
ペット・ 伊豆高原(静岡)
4.観光地域ブランドづくり
地域ブランドとツーリズム
観光地ブランドづくりの5つのステップ
STEP1
観光資源さがし
“たからものさがし”=観光資源を探す・磨く・創る
STEP2
推進組織づくり
“束ねる”=地域ブランドづくりを実行する組織体制をつくり人と意思を束ねる
STEP3
ブランド優位性づくり
“カタチづくり”=観光資源をカタチにし、コンセプト、シンボルをつくる
STEP4
コミュニケーション活動
“知ってもらう”=ターゲットを明確にし、効率よいコミュニケーション活動をする
STEP5
ブランド管理の仕組みづくり
“守り続ける”=観光資源と保護、進化させ、ブランドと顧客(来訪旅行者)を守る
35
4.観光地域ブランドづくり
STEP1
地域ブランドとツーリズム
36
観光資源さがし
“たからものさがし”=観光資源を探す・磨く・創る
● 身近な地元の人が誇り、自慢するものの発掘する
● 既存の観光資源に工夫、手を加えて新しい観光資源に
● 地元の素材やノウハウから新たに創り出す
● 「外部からの目」を持つことで新発見、再発見
● 複数の観光資源のマッチングを考える
※「観光資源が全部ある」、「いっぱいある」は、何もないと同じ
4.観光地域ブランドづくり
STEP1
観光資源の要件
① 地域固有なモノ・コト
(Unique、No.1、オンリーワン、珍しい、差別化等)
② 地域住民が共感するモノ・コト
(住民も共有、住民の誇り等)
③ 物語性のあるモノ・コト
(歴史、伝説、ストーリー、薀蓄等)
④ 持続性のあるモノ・コト
(消滅しない、流行でない、保護出来る等)
地域ブランドとツーリズム
37
4.観光地域ブランドづくり
STEP2
地域ブランドとツーリズム
38
推進組織づくり
“束ねる”=地域ブランドづくりを実行する組織体制をつくり
人と意思を束ねる
●地域の現状と今後の課題を共有し、気運をもりあげる
●地域のビジョン・目標を明確にする
●継続的、持続的な事業展開が可能な組織とする
●地域住民主体の組織作り
●熱意溢れた強いトップリーダーをつくる
●強い推進組織は人づくりからはじめる
●役割分担と責任の所在を明確にする
●外部のメンバーを入れる
※トップリーダー+ばかもの・わかもの・よそもの+女性、がポイント
4.観光地域ブランドづくり
STEP3
地域ブランドとツーリズム
ブランド優位性づくり
“カタチづくり”=観光資源をカタチにし、コンセプト、
シンボルをつくる
● 地域の特性を知る
● 観光資源に付加価値をつけて観光商品・サービスへとカタチにする
● コンセプトを明確にし、シンボル(ネーミング、キャッチフレーズ、マーク
等)をつくる
● 宿泊施設、飲食施設、ショッピング施設、二次交通、案内標識、公園等
を整備する
● 地域内観光ルート、体験型観光、着地型企画旅行をつくる
● 長期間・長時間滞在を考える
● 行政、旅行会社、運輸会社、大学、研究機関との連携をはかる
※ 観光資源はそのままでは旅行者を呼べない
※ 工夫と努力でカタチにし付加価値をつける
39
4.観光地域ブランドづくり
STEP4
地域ブランドとツーリズム
40
コミュニケーション活動
“知ってもらう”=ターゲットを明確にし、
効率よいコミュニケーション活動をする
●コミュニケーション計画を立てる
●ターゲットを決め、ターゲットを知る
●地域住民もターゲットにする
●観光地マーケティングの考え方を取り入れる
●多様なコミュニケーション手法を組み合わせる
●旅行会社と商品造成等の連携
●マスメディア対策を忘れない
※「すべての人がターゲット」では、誰にも伝わらない
※ 訪日外国人を忘れない
※ 最大のメディアは「来訪した旅行者」である
4.観光地域ブランドづくり
STEP5
地域ブランドとツーリズム
ブランド管理の仕組みづくり
“守り続ける”=観光資源と保護、進化させ、
ブランドと顧客(来訪旅行者)を守る
●観光資源を保護、育成し、ブランドの約束を守る、安売りしない
●競合観光地の類似ブランドに負けないよう進化を怠らない
●地域一体、地域住民参加を継続し続ける
●周辺観光地との広域観光連携をする
●来訪旅行者の満足度を上げ、リピーター化、長期滞在化を促進し
●旅行会社、運輸機関等観光関連企業との連携を強化継続する
※ 「観光資源は必ず消耗していく」、「顧客は必ず離れていく」と考える
※ 持続する熱意と人材・組織の活性化によるブランドづくりの継続
41
地域ブランドとツーリズム
事例研究
Y
42
観光地域ブランド事例研究
地域ブランドとツーリズム
事例研究
43
小布施
―美しい街並みと栗と花のまち―
美しい街並みと栗と花のまち―
―人口11,000
人の小さなまちに、年間10
00万人以上
の旅行者―
―人口11,000人の小さなまちに、年間1
0万人以上の旅行者―
■行政
: 長野県上高井郡小布施町
■人口
: 11,117人(2010年)
■アクセス: 東京―(新幹線)―長野―(長野電鉄)
―小布施 約2時間30分
■観光資源: 街並み+特産品+花+イベント
■推進主体: ㈱ア・ラ小布施(第3セクター方式)
■入込客数: 112万人(2008年)
地域ブランドとツーリズム
事例研究
44
小布施
■経緯
1976年
「北斎館」開館
1984年~1992年「悠然楼周辺町並み修景事業」推進
1990年
「うるおいのあるまちづくり条例」制定
1992年
「景観づくりの指針」策定
「フローラルガーデンおぶせ」開園、「おぶせミュージアム・中島千波館」開館
1994年
㈱ア・ラ小布施設立
1996年
周遊シャトルバス「おぶせ浪漫号」運行開始
1997年
第3回北斎会議開催(1.2回イタリアベニス開催)
2006年
景観行政団体となる
事例研究
地域ブランドとツーリズム
小布施
■観光資源の現状
□街並み修景
「北斎館」「高井鴻山記念館」、老舗栗菓子店、遊歩道「栗の小径」など歴史建築物と調和した
美しい街並み
□特産品
「小布施堂」「竹風堂」など老舗栗菓子店の栗おこわ、栗羊羹、栗鹿の子
□花
庭園施設「フローラルガーデンおぶせ」、「ポケットパーク」(住民の自主管理の空地利用)
「オープンガーデン」(一般家庭・商店・学校)、沿道沿いの花壇・花飾り
□イベント
「小布施国際音楽祭」「小布施映画祭」「小布施演劇フェスティバル」「小布施見にマラソン」な
どのイベントのほか、美術館、博物館でのコンサートや企画展もありほぼ365日のイベント
45
地域ブランドとツーリズム
事例研究
46
小布施
■まちづくりのポイント
外はみんなのもの、内は自分のもの
観光一元ではなく、共に住まうことのあり方を表現する
観光客が増えても何かを増やしたり、新しくつくったりしない、既存のものを変えて
いく=「修景」
住民が楽しく快適に住むことのできる環境、その結果として観光客もくる
=「結果観光」
地域としてのリアリティを守る、観光中心になったら町としてのリアリティがなくなる
出資者への配当は行わず、町の発展が出資の見返り、「金出し、汗出し、知恵出
し、力出し」(㈱ア・ラ小布施のコンセプトとモットー)
欧米の「花のまちづくり」先進国へ派遣団、町民、小中学生を150名以上
まず自分たちが交流を楽しむことこそが、いいまちづくりにつながる
地域ブランドとツーリズム
事例研究
47
小布施
小布施マップ
地域ブランドとツーリズム
事例研究
48
小布施
栗の小径
小布施堂
北斎館
栗おこわ・栗羊羹
地域ブランドとツーリズム
事例研究
49
小布施
岩松院
フローラルガーデンおぶせ
おぶせミュージアム・中島千波館
小布施見にマラソン
地域ブランドとツーリズム
事例研究
50
黒川温泉
―旅館経営者が一体となった優しい温泉地づくり―
旅館経営者が一体となった優しい温泉地づくり―
―入込客100万人、宿泊客毎年30万人以上キープの温泉地域ブランド成功例―
■行政
: 熊本県阿蘇郡南小国町
(南小国温泉郷のひとつ)
■人口
: 4,308人(南小国町・2010年)
■アクセス: 博多―(直行高速バス)―黒川温泉
約3時間
■観光資源: 温泉+もてなし
■推進主体: 黒川温泉観光旅館協同組合
■リーダー : 後藤哲也(新明館社長、観光カリスマ)
■宿泊客数: 34万人、入湯手形販売数15万枚(2006年)
地域ブランドとツーリズム
事例研究
51
黒川温泉
■経緯
1980年代 後藤哲也氏露天風呂つくり、植樹始める、各旅館露天風呂できる
1986年
「入湯手形」発行開始
1987年
黒川温泉地の共同看板設置
1998年
旅行情報誌「じゃらん九州発」で人気観光地トップに
1993年
「よもぎ石鹸」導入
1998年
「露天風呂の日」開始(毎年6月26日は加盟旅館温泉無料開放)
2006年
「入湯手形」20周年
事例研究
地域ブランドとツーリズム
52
黒川温泉
■観光資源の現状
□温泉
24軒の旅館すべてに露天風呂をつくり、それらの露天風呂に入れる「入湯手形」の発行ヒットし、
200万枚を突破(2006年15万枚)
□街並み
街並み統一条例設定、旅館施設の高さ制限、壁の色合いの統一、ガードレール・カーブミラーも
土色、植樹を進め、建物全体を道路から見えにくくする等を取組む
□自然・環境
春秋の植樹活動、自然に優しい「よもぎ石鹸」の利用、ユニバーサルデザインのシャンプー・リ
ンスの利用
□おもてなし
「おもてなしの心」向上推進のための経営者、女将、幹部候補者に対するセミナー・研修の実施
事例研究
地域ブランドとツーリズム
黒川温泉
■まちづくりのポイント
旅館一つひとつが旅館のお部屋、通りの一本一本がお部屋を結ぶ廊下と考える
=「黒川温泉一旅館」
黒川全体が良くならないと個々の旅館は良くならない
「露天風呂」の整備や「樹を植える」「看板を取り去る」ことによる環境整備=「癒し
の里」「都会人の好む田舎の風景」
土産は土産屋、二次会は飲食店へ街全体で商売する
「耳を澄まし、客の話に聞き耳立てよ」「客は何を求めているのか、客はどうしたら
喜んでくれるのかを最初に考えること」(後藤哲也の哲学)
行政には頼らず組合費と入湯手形の販売収入によるまちづくり
顧客管理は個々の旅館でしっかりおこなう。インターネットでの情報提供と予約管
理
観光旅館組合が宿泊旅館を紹介
53
地域ブランドとツーリズム
事例研究
54
黒川温泉
温泉街風景
地域ブランドとツーリズム
事例研究
55
黒川温泉
女性専用露天風呂
周辺の自然
共同浴場「穴湯」
地域ブランドとツーリズム
事例研究
56
観光地域ブランド事例研究
Y
―食と食文化による観光地域ブランド事例―
食と食文化による観光地域ブランド事例―
事例研究
地域の「食」を食べることを主な目的とした国内旅行経験は1/2
地域の「食」を食べることを主な目的とした国内旅行意向は3/4
地域ブランドとツーリズム
57
地域ブランドとツーリズム
事例研究
58
喜多方
ー元祖フードツーリズム・ラーメンでまちおこしー
-入込客100万人以上をキープ、「蔵とラーメンのまち」定着―
-入込客100万人以上をキープ、「蔵とラーメンのまち」定着―
■行政
: 福島県喜多方市
■人口
: 53,000人(2009年)
■アクセス: 東京―(東北新幹線)―郡山
―(JR磐越西線)―喜多方 約3時間
■観光資源: 食+歴史的建造物
■推進主体: 喜多方老麺会
■入込客数: 120万人(2008年)
地域ブランドとツーリズム
事例研究
59
喜多方
■経緯
1975年
NHK「新日本紀行」で「蔵ずまいの町」として紹介、観光客が来始める
1982年
NHK東北アワーで林家木久蔵が喜多方ラーメンが紹介
青年会議所が「ラーメン消費量日本一のまち」を宣言
1983年
旅行雑誌「るるぶ」に「喜多方の味~ラーメン」が掲載
発売と同時に問い合わせ殺到
1987年
「喜多方老麺会」設立、老麺会マップ作成配布
グルメブームに乗り、観光客やツアーがやって来る
1993年
入込み客100万人突破
地域ブランドとツーリズム
事例研究
60
喜多方
■観光資源の現状
□ ラーメン
会津地方の小麦、飯豊山の良質な水などによりラーメンが地域に根付き、現在120軒以上、
「喜多方老麺会」を中心にラーメンマップなどを作成、旅行者に配布。
入込客数1983年20万人が現在100万人以上をキープ、ラーメン産業規模70億円以上。札幌
ラーメン、博多ラーメンと並んで日本三大ラーメンといわれる。
□ 蔵と街並み
「男40にして蔵のひとつも建てられないようなら・・・」という喜多方、現在2,600軒の蔵が残り、
保存、移転を開始。観光案内所や喫茶店、商店などに改装され、美しい街並みを形成。大和
川酒造北方風土館、喜多方蔵の里、うるし美術博物館。
□ 環境
観光蔵馬車の運行。NPO法人環境ストレンクスによるベロタクシー、環境にやさしい三輪の
電動補助付自転車タクシー。ドライバーは運転するだけでなく、観光ガイドも行う。
□ 広域観光
会津若松市とのまちづくりと連携、周辺観光地とのまち巡り、広域観光を推進。
地域ブランドとツーリズム
事例研究
61
喜多方
■まちづくりのポイント
「喜多方ラーメン」+「蔵の街」をセットでアピール
喜多方ラーメンの独特な味を守り、技術向上を目指す
→旅行者に食べてもらう
地域住民がラーメン好き、消費量日本一、「朝ラー」
「ラーメンマップ」がポイント約50万枚発行
「おあいなんしょ」(「おあがりなさい」「いらっしゃい」の方言)でもてなす心意気
観光の場所と同時に生活の場所→道路にゴミが少ない
地域ブランドとツーリズム
事例研究
62
喜多方
喜多方ラーメン
老舗ラーメン店
事例研究
地域ブランドとツーリズム
63
喜多方
蔵のまち並み
ラーメンマップ
地域ブランドとツーリズム
事例研究
64
日間賀島
ー人気急上昇の「多幸の島・福の島」ー
-出荷していた特産品を観光資源に変え年間30万人の観光地に―
-出荷していた特産品を観光資源に変え年間30万人の観光地に―
■行政
: 愛知県南知多郡南知多町
■人口
: 2,214人(2009年)
■アクセス: 東京―(東海道新幹線)―名古屋
―(名鉄)―河和~~日間賀島
■観光資源: 食
■推進主体: 観光協会・旅館組合
■入込客数: 30万人(2009年)
地域ブランドとツーリズム
事例研究
65
日間賀島
■経緯
1980年代
特産品のタコをどの旅館、民宿でも提供し始め「タコの島」として
観光客誘致開始
1989年
特産品のフグをフグ料理として提供し観光客誘致を検討
「ふぐ加盟店」設置、フグ調理資格取得を促進
1990年代
名鉄が「ふぐづくしプラン」企画旅行商品販売開始
「多幸の島・福の島」が浸透
1995年
1996年
体験漁業プログラム開始
イルカふれあい事業開始
1999年
「ふぐ祭り」開催
事例研究
地域ブランドとツーリズム
66
日間賀島
■観光資源の現状
□ タコ
漁業の島としてもともと特産品。「タコの丸茹で」はもちろん、刺身・唐揚げ・タコしゃぶ・タコの
酢の物などのタコのフルコースが通年食べられる。
□ フグ
トラフグはもともとの特産品、以前は下関に出荷していた。フグ刺し・フグ鍋・フグの唐揚げ・
炙りフグ、フグ雑炊のフルコースが、10月から3月食べることができる。名鉄の「ふぐづくしプラ
ン」は日帰りと宿泊コースがあり、鉄道、船、宿泊料理がセットになったお得な料金で人気を
呼んでいる。
□ 体験漁業プログラム
漁業者との全面的な連携により企画実施、小中学校の臨海学校などの学校行事として多く
の学校が来島。また、ビーチ内にイルカを誘致しイルカふれあい事業、インストラクターによる
本格的な自然学校キッズアドベンチャーなども開始している。
事例研究
地域ブランドとツーリズム
日間賀島
■まちづくりのポイント
まず、もともと特産品だったタコをタコ料理として旅館、民宿で提供を開始し「タ
コの島」をアピール。「たこあみだ様」などの民話もあった。
次に、やはり特産品だった高級食材トラフグを出荷のための地域資源から、島
内消費の観光資源としていこうとした。
そのために、フグ調理の資格取得を促進し、島民が積極的に参加。現在約60
軒の宿で提供。
地元大手鉄道会社の名鉄が「ふぐづくしプラン」という企画旅行商品を造成販
売、ヒット商品となる。
「漁師も観光業者も相互によくならないといけない」(元漁業組合長)漁業者と
観光業者の強い絆
体験漁業プログラム、イルカふれあい事業、キッズアドベンチャーなど島内一
体となって観光誘致に取り組む
67
地域ブランドとツーリズム
事例研究
68
日間賀島
港と旅館
フグとタコ
事例研究
地域ブランドとツーリズム
69
日間賀島
島の体験
ぶくづくしプラン
パンフレット
地域ブランドとツーリズム
事例研究
70
大間
―「大間のまぐろ」で観光地としても注目―
「大間のまぐろ」で観光地としても注目―
―メディアがつくった大間が旅行者を呼ぶ可能性―
■行政
: 青森県下北郡大間町
■人口
: 5,944人(2010年)
■アクセス: 東京―(東北新幹線)―八戸―(JR)
―野辺地―(JR)―下北からバス 約6時間
羽田―(飛行機)―函館―(フェリー)―大間
約4時間
■観光資源: 食(特産物)+イベント
■推進主体: 大間町役場/大間町商工会/町内団体
■入込客数: 27万人(2008年)
地域ブランドとツーリズム
事例研究
71
大間
■経緯
1982年
大間町海峡保養センター落成
1983年
映画「魚群の群れ」(緒方拳・夏目雅子)ロケ
2001年
初せりで1本2000万円で話題に
「大間超マグロ祭り」開始
2002年
NHK連続テレビ小説「私の青空」で大間が舞台に
2003年
テレビ朝日ドキュメント「マグロに賭けた男たち」
テレビ東京「TVチャンピョン」マグロ漁師王決定戦舞台
2007年
テレビ朝日「マグロ」(渡哲也)ロケ
事例研究
地域ブランドとツーリズム
72
大間
■観光資源の現状
□ 大間のまぐろ
一本釣りで有名な最高級マグロ、特産地域ブランドとして高く評価され全国的に定着している。
200kg級のものは1000万円以上になる。本場で食べたいという旅行者に注目されている。以
前町内で食べられるところは少なかったが、現在は14~15カ所になった。
□ イベント
「ブルーマリンフェスティバル」(大間町主催)毎年8月14日に開催、舟競争大会、 ライブ
ショー、マグロ解体ショーなどが行われる。
「大間超マグロ祭り」(大間町商工会主催)10月20日から22日、近年大間での最大イベントと
なっている。3日間で1万人を突破。マグロの解体ショー、即売会、海鮮バーベキュー、マグロ
漁ウォッチなど盛りだくさんの内容。ほか7月の「天妃様行列」「大漁祈願祭」など。
□町内団体の活躍
「まちおこしゲリラ集団・あおぞら組」は、全国的に注目。「旗振りウェルカム隊」「町民スター化
作戦」「マグロ一筋Tシャツ」などで観光まちづくりをリード。その他の団体も、ロケなどに協力し
ている。
事例研究
地域ブランドとツーリズム
大間
■まちづくりのポイント
「大間のマグロ」「マグロの一本釣り」をアピール、特産品として全国区に
映画、テレビドラマを利用し地域ブランド形成
本場でマグロを食べたいという需要は大きいが、アクセスに難
イベントは成功、年々来訪者増加、青森市はじめ近県より
大間崎を除くと観光スポットが弱い、本州から函館への「通過点」
「まちおこしゲリラ集団・あおぞら組」など町内団体が積極的に観光まちづくりを
リードする
2015年度に「電源開発大間原子力発電所」が稼動予定
73
地域ブランドとツーリズム
事例研究
74
大間
マグロ
超マグロ祭りの解体ショー
ブルーマリンフェスティバル
地域ブランドとツーリズム
事例研究
75
大間
マグロ一本釣りのモニュメント
西吹付山展望台から函館を望む
おあぞら組の旗振りウェルカム隊
地域ブランドとツーリズム
事例研究
76
佐世保
―「基地の街」に伝来した郷土食を地域ブランドへ
―
―「基地の街」に伝来した郷土食を地域ブランドへ―
―佐世保バーガー・九十九島牡蠣、「食」でブランディング―
■行政
: 長崎県佐世保市
■人口
: 231,519人(2010年)
■アクセス: 博多―(JRまたは高速バス)―佐世保
約2時間
■観光資源: 食
■推進主体: 佐世保観光コンベンション協会
■入込客数: 620万人(2005年)
ハンバーガー売上200万個
地域ブランドとツーリズム
事例研究
77
佐世保
■経緯
1950年頃
米海軍よりハンバーガーのレシピが伝わる
(1971年 東京銀座三越にマクドナルド上陸)
1999年
横須賀市で開催の旧軍港4港の交流物産会にハンバーカー出店人気に
2001年
佐世保バーガーを地域ブランドとしてPR開始
佐世保市観光活性化基本計画策定
2002年
NHK連続テレビ小説「てるてる家族」で佐世保バーガー取上げられる
2003年
佐世保出身者が東京にハンバーガーショップ開店、
はじめて「佐世保バーガー」と命名される
キャラクター「佐世保バーガーボーイ」(やなせたかし作)が誕生
2005年
首都圏に佐世保の有名店「ビッグマン」の直営店が開店、ブームに
事例研究
地域ブランドとツーリズム
78
佐世保
■観光資源の現状
□ 佐世保バーガー
1950年代より駐留米海軍によって伝えられ、市民の食として定着していたハンバーガーのブ
ランディングを開始。市民による「佐世保バーガー認定委員会」により特徴と品質を維持。
現在30店舗、約200万個のハンバーガーを売り上げる。
□ キャラクター
「アンパンマン」の作者やなせたかし氏による、「佐世保バーガーボーイ」が誕生し、子供たち
に人気になる。同氏がデザインした女の子のキャラクターを「させぼのボコちゃん」も登場した。
□ 認定制度
「手作りでこだわりのあるメイドイン佐世保のハンバーガー」と定義づけ、「独自性・主体性」
「信頼性」「地産地消」「将来性」などの項目を基準に審査し、「佐世保バーガー認定店」として
いる。
□ 観光イメージの一新
「基地の街」=怖い街、から、アメリカ文化が早くから根付いた街、だから美味しいハンバー
ガーがある街、とイメージを転換。
事例研究
地域ブランドとツーリズム
佐世保
■まちづくりのポイント
「基地の街」というマイナスイメージを逆手にとった戦略
1950年代より駐留米海軍によってレシピが伝えられ、市民の食として定着して
いるというストーリー(物語性)のアピール
実際に、老夫婦の夕食にハンバーガー、飲んだ後はハンバーガー、夜のお土産
もハンバーガーと、郷土色として定着している。
著名漫画家によるキャラクターの作成と活用
調理法と素材による差別化とブランド認定委員会設置による品質維持
テーマパーク(ハウステンボス)と連携した旅行者、訪日外国人の取り込み
79
事例研究
地域ブランドとツーリズム
80
佐世保
佐世保バーガーマップ
事例研究
地域ブランドとツーリズム
81
佐世保
佐世保バーガー
佐世保バーガーショップ
地域ブランドとツーリズム
事例研究
82
八戸
―「食文化」屋台村と市場でまちおこし―
―入込観光
客数増加、進化する食旅都市
増加、進化する食旅都市―
―
―入込観光客数
■行政
: 青森県八戸市
■人口
:
236,995 人(2010年)
■アクセス: 東京―(JR新幹線)―八戸 約3時間
■観光資源: 食
■推進主体: ㈲北のグルメ都市他
■入込客数: 590万人(2005年)
地域ブランドとツーリズム
事例研究
83
八戸
■経緯
2002年
屋台村「みろく横丁」オープン、東北新幹線「八戸駅」開業
2003年
八戸の台所「八食センター」第2期リニューアル来場者300万人突破
「みろく横丁」がリデュース・リユース・リサイクル推進協議会会長賞受賞
2004年
「みろく横丁屋台村役場」設置、
日曜朝市循環バス「ワンコインバス」運行開始
2006年
新規起業者育成のため屋台村リニューアル
八戸横丁連合協議会設立
事例研究
地域ブランドとツーリズム
84
八戸
■観光資源の現状
□屋台村「みろく横丁」
歴史的に“横丁文化”を持つ八戸に、2002年屋台村「みろく横丁」を新幹線開業に合わせ開業。
3.3坪の常設固定式環境対応型屋台が25店舗並ぶ。寿司、おでん、焼き鳥など地元食材を重
視した郷土料理が中心。年間客数45万人以上、旅行者も多い。
□八戸の台所「八食センター」
八戸の“朝市文化”から発展した郊外型の市場「八食センター」。1980年にオープンし、2003年
にリニューアルし飲食部門を充実、八戸駅からの100円バス、JR東日本とのタイアップ、買物
券付1万円日帰りきっぷの企画などで、旅行者を呼び込む。年間客数250万人。
□ 朝市
歴史的に“朝市文化”があり、現在市内では9ヶ所で朝市が開催されている。日曜朝市循環バ
ス「ワンコインバス」が運行開始され、旅行者も楽しむ。
□新しい「食」
1926年を起源とする「八戸ラーメン」を統一的に復活(八戸ラーメン会46軒)、郷土食「八戸せ
んべい汁」の推進(市内180軒)など「食」をテーマに取組んでいる。
事例研究
地域ブランドとツーリズム
八戸
■まちづくりのポイント
新幹線開業のおもてなしの目玉、商店街活性化の目玉として取組む
屋台は全てリサイクル資材利用、発生する生ゴミをリサイクルし、肥料として農家
に提供するなど日本初の環境対応型屋台村
屋台村内に屋台村役場を設置し情報発信基地として観光客等来訪者へPR
若手起業者が屋台村へ出店し、育成をはかる同時に、出店期間を3年間とするこ
とでチャレンジショップ的要素と中心市街地空き店舗対策
地元食材を用いた郷土料理等を提供し、スローフード、地産地消を実践
人とのコミュニケーションの原点である屋台の良さを十分に発揮
「地元のひとが大切にしない店は、観光客にも魅力がない」、「店主が接客する」
姿勢を守る
85
地域ブランドとツーリズム
事例研究
86
八戸
みろく横丁
地域ブランドとツーリズム
事例研究
87
八戸
八食センター厨スタジアム棟
朝市風景
八戸ラーメン
八戸せんべい汁
地域ブランドとツーリズム
88
ご清聴ありがとうございました。
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