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日本における友人関係に関する研究の動向
日本における友人関係に関する研究の動向 本田周二 (東洋大学大学院社会学研究科〉 1 .はじめに 苅人関係に関する問題は,山理学の分野の中で中山的なテーマのーっとして扱われてきた。中でも友人関係 に関する研究は,重要な苅人関係のうちのーっとしてこれまで数多くの検討がなされてきている。しかレ、個 々の研究が非常に多岐にわたる問題意識から行われてきているため、研究の蓄積がなされていく中でそれぞれ の研究のつながりが見えにくくなっている。 本稿では,ます世界青年意識調査の結果から、人々の日常生活における友人関係の位置づけについて明らか にする。次に、日本における友人関係に関する研究を紹介いそれぞれの研究をいくつかの軸をもとにまとめ ることで今までの研究のつながりを明らかにしていく。具体的には、これまでの友人関係に関する研究の雑誌 別掲載論文数、年代別推移、研究対象者分類を見ることで先行研究を概観する。次に、現代の友人関係の特徴、 性差、研究で使用されている尺度に注目し、レビューを行う。それを踏まえ、最後に今後の友人関係研究にお いて必要であると考えられる視点について述べる。 2 . 世界青年意識調査から見た,青年の友人関係 様々な対人関係の中で、友人関係は人々にどのように認識されているのであろうか。この点を明らかにする ために、世界青年意識調査の結果を検討する。世界青年意識調査とは、内閣府が 1 9 7 2年以来 5年ごとに実施し ている調査である。調査苅象者は、日本、アメリ力、ドイツ、スウェーデン、韓国など様々な国の 18 歳 ~24 歳までの青少年であり、調査内容は、家族関係や学校関係、友人関係、人生観などについて回答を求めるもの である。本調査の結果を検討することにより、日本において友人関係がどのような位置づけにあるのかを明ら かにすることが可能であると考えられる。世界青年意識調査は、これまで 7回実施されている。その中で、平 成 1 5年に行われた第 7回世界青年意識調査(内閣府政策統括官 2004) の結果を見ると、 「どのような時に充 T a b l e 実感を感じるか」という質問に苅レて、ほとんどの固において「友達や仲間といるとき」と回答している C 1 )。多くの国の青年にとって友人や仲間と一緒にいることは、充実感をもたらしていることが示されている。 T a b l e1充実感を感Uる時(複数回筈) 1 1 立 (%) 2位 4 1 立 3位 5位 ;友人や仲間品、るとき 日本 ; ! 72. 5 詩人事神間以 ! アメリカ 5 2 . 7 j 家族とL 、 る と き ! i j 友人や仲間といるとき ! i し …一九;.~_....:;...Ö"..~......._.t 一一 九. . 3 j 友人や仲間といるとき j 家族といるとき スウェーデン J j 向 ; 肱 5 … "悶 ! 左J 人 ぶ I . . t > 神 弘 岡 T ι l る ヒ t : き m ドイツ ! ! ! 7 0 . 2 I j 社会のため│こ ; 仕 事 ! こ I 役 立 つ こ と を し い とき; 打ち込んでいるとき p . x . . . ! L .. . . . . . . _ t . : c . . vて " " "る ] 1 ,.~{._\..: J .J ~I V ' -' " "~'I....'-" t z “一一; " ぷ : 空 白 崎 _ . . . . . . . . . ( “ " 竺 ;親んい異性といるとき i スポーツや趣味 1 ; : 打ち込んでいるとき 1 I ! I i 6 3 . 2 昆 5 将・ 6 ミ湘見己“[口l異恒と出~\る"とぎ一-寸?蒙族とL口::苓蓄とぎ 目 閏 一 … . … . “ 一 . 紬 一 . … … . . 1.!3支 …… f米ご予~苓 5趨題l峠開開味味湘湘T~γEE. i 親しい異性品、るとき j j mj 札口町 !他人にわずらわされず、 ;一人でいるとき I 4 2 . 2 m ! ! ! i 1 4 2 . 0 ! とき I打ち込んでいる .-~'--- : !打ち込んでいるとき ! ! JJ -"K....;;rv'-v ! 4 1 . 4 7 3 3 6 . 9 3 6 . 4 「悩みや I~\ 配ごとがあった揚合に 、誰に 相談するか」という質問の結果を以下に示す C Table 2 ) 。日 次に、 本は、他の固に比 べ て悩みや I~\ 配ごとがあった揚合に相談する相手を尋ねた 質問 に刻して「近所や学校の友だ ち」をあげる割合が多い C T a b l e2 ) 。なお、この質問項目に苅する回答の年次推移を見ても、日本は、 「近所 や学校の友だち」をあげる割合が一貫 レて高い 。 日本の青年にとって、友人は他の関係に比べて重要な関係で あるといえるだろう 。 T a bl e2 悩みや心配ごとの相談相手 (複数回管) 1 1 1筒, ヂ . , 、 、 - (~の si 立 l l位 4位 3位 2位 近所や学校の 友だち きょうだい 父 日の E 校 学 やち 所だ 国 緯 近友 母 母 語 恋 ょ人うだい 21 .8 4 3 . 5 1 8 . 2 2 0 . 3 恋人 母 65. 1 15 . 1 きょうだい 近所や学校 王 3 3 4 4 の4 0 アメリカ i !理 き ょ 工 う 母 5 7 . 9 21 .5 7 こL 13 2 . 6 3 2 . 3 30. 5 J ア ン ヱ 内 ノ ス 恋人 父 友だち 5 0 . 3 52. 3 3 8 . 9 。 恋人 父 母 ド イツ 40. 4 5 3 . 4 3 5 . 8 3 5. 3 近所や学校の 友だち 3 0 . 5 きょうだい 21 .2 2 9 .1 3 -1.日本における友人関係研究 ます、これまで山理学の中において友人関係に関する研究がどの程度行われてきているのかについて紹介す る 。 I~\ 理学の中において、友人関係に関する論文は 74 本であつだ l 。 苅象となっ疋雑誌は、 I~\ 理学研究、社会 I~\ 理学研究、パーソナリテイ I~\ 理学研究、実 験社会 I~\ 理学研究、 教青 山理学研究、発達 I~\ 理学研究、青年 I~\ 理学 研究の 7誌とした。雑誌別の論文数を F i g u r e 1に示す。教青山理学研究において、友人関係に 閲する研究が多 く扱われていることがわかる。 02 52 01 51 050 3 , # ~4~ ~ø て q え てt 1 < . . . . _ %' 、 ずをみ ~4~ c ~# ~# ~# " , , & ' て 《 一 《 球 環 -% で き 惨 み ー 多 . きw ' 空 襲 恥 f i L a ず ポ ザ ザ 之、トポ 場 弓 今 場 J /lu e 句 i J " Figure1 雑誌別掲載論文数 1 論文の俊索は 、 Ci N ii により行った 。 タイトルに「友人」を含み、雑誌名は rl~' 理学研究」に限定して償索を行つだ 。 なお 、 タイ トルに「友人」ではな く「友達」で検索 した湯合は、 2本のみであった。また、 「仲間」で険索しだ鼠合は、 2 7本であった。 74 次に、友人関係に関する研究の年代別推移を F i g u re2に示す。最初に友人関係に関する論文が掲載されたの は、小学生を河象に、ソシオメトリックテストを 3年間行った研究 ( 依田・大橋・畠田 1 9 5 4 ) であるが、それ 0年ほどはあまり研究がなされてきていない。 1 9 90年代になると、友人関係に関する研究が多く男られ 以降、 4 0 0 0年代においては、現時点で 4 4本の研究があり、友人関係に閲する研究の必要性が高まって るようになり、 2 きていることが見てとれる。 nuponURdnukunuRunuponU 544332211 44 / / / 23 / / / / ソ O~ 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 F i g u r e2 掲載論文年次推移 次に、友人関係に関する研究を苅象者別に分類した結果を F i g u r 巴 3に示す 2。友人関係に関する研究は、小学 生から成人までと非常に広い年齢を対象に横討が行われてきている。 しかし、全体で見ると、大学生を苅象に した研究が多いことがわかる。大学生は、青年期後期に分類される ( 難波 2 0 0 4 ) ことを害えると、これまでの 友人関係に関する研究は青年期後期における友人関係を主に扱ってきたといえる。また、多くの研究は同性の 友人を対 象に検討を行っており、異性の友人に関する研究は、恋人や異性の友人が青年の自己の安定や親密さ の形成に 影響 を与えていることを明らかにした阿達 ( 1 9 9 4)のみである。他にも、ほとんどの研究が健常者を 対象にしていることち特徴の一つであろう 。障がい蓄を対象にしだ研究は脳性マヒ周の友人関係の実態を明ら かにすることを目的に横討を行った中邑 (1 987) しか男られない。 50 45 40 35 30 25 20 1 5 1 0 。 5 小学生 中学生 高校生 大学生 成人・その他 F i g u r e3 研究対象者分類 2 1 つの論文の中で、 筏/ マ な苅象者 (j 列えば、 高校生と大学笠を対象)に回筈を求めている研究はそれぞれ加算をしているため、論 文 章 史と苅象者分類の獄は一致 していなし1 。 75 3 ・2 .現代の友人関係の特徴 現代の友人関係は希薄か?,..., 従来、友人関係は青年期の特徴的な関係として取り上げられてきた。それは、比較他者とレての友人であり ( e . g .,磯崎・高橋, 1 9 8 8, 1 9 9 3 ; 外山, 2 0 0 4 )、個人の内的適応を促進レ〈丹野, 2 0 0 7 )、学習活動に影響を与え(岡 2 0 0 8 )、情緒的な拠り所となる(柴橋, 2 0 0 4 )、重要他者 ( s i g n i f i c a n to t h e r ) としての友人である。つまり、 田 b, e . g .,天貝, 1 9 9 7 ;谷口・浦, 2 0 0 5 ; 菅沼・古城・松崎・上野・山本・田中, 1 9 9 6 ; 友人とはサポーティブな他者であり ( 田中・兵藤・田中, 2002) 、友人と親密で深い関係を築くことが望まレいものとして捉えられてきだ。そこで、 友人関係の喪失に伴う I~\理的苦痛の検討や(福川・西田・中西・坪井・新野・安藤・下方, 2005) 、友人関係に おいて生じた葛藤に苅する苅処方略の検討(加藤, 20073; 長峰, 1 9 9 9 ) 、親密な友人関係を形成、維持するため e . g .,古谷・坂田, 2 0 0 6 ; 金政, 2 0 0 7 ; 鎌田・淵上, 2 0 0 7 ;楠見, 1 9 8 6 ;永 の要因に闘して多くの検討が行われてきた ( 井・新井, 2 0 0 7 ; 岡田, 2 0 0 6, 2 0 0 8 a ; 山中, 1 9 9 8 )。 しかレ近年、現代の青年は友人との深いかかわりを避け、相手との距離を置いていることが、多くの研究で 1 9 9 3 a ) では、青年は不安定化レた自己を安定化させるために、親密な友人 見出されてきた。たとえば、岡田 ( 関係を求めるという伝統的な青年像に苅して、傷つくのを恐れて友人との関係が深まることを拒絶する表面的 1 9 9 5 ) は、現代の友人との関わり方に関して、友 な友人関係を持つ青年の害在を指摘している。また、岡田 ( 人に気を遣いながら関わる「気遣い」、深い関わりを避けて Eいの領域を侵さない「ふれあい回避」、集団で の表面的な面白さを指向する「群れ」という 3つの特徴を見出している。これらの研究は現代の青年の友人関 係が希薄化しているという立場をとっているといえる。このような友人関係の特徴は、ふれ合い恐怖 I~\性(岡 田 ,2 0 0 2 ) 、自尊感情(岡田,2 0 0 7 )、自己愛傾向(小塩, 1 9 9 8 ) 、山アラシ・ジレンマ(藤井, 2 0 0 1 ) 、不快情動 の回避(福森・ I Jリ1,2 0 0 6 ) 、対人ストレスコーピング(加藤, 2 0 0 6 ) 、携帯電話コミュ二ケーション(赤坂・ 高木, 2005)などとの関連が検討されてきている。だが、世界青年意識調査の調査結果を考慮に入れると、現代 の青年が友人との深いかかわりを避けていると結論づけるのは早計であろう。 最近、現代の青年の友人関係の特徴として、友人との関係が希薄であるという立場とは異なる視点が取り上 げられている。それは、現代の青年は、友人関係を状況によって切り替えているという立場である。だとえば、 2 0 0 6 ) は、現代の青年は、今いる友人の中から状況や目的に応じて遊んだり付き合 松尾・大西・安藤・坂元 ( う相手を選ぶという選択的友人関係志向に注目し、検討を行っている。また、大谷 ( 2 0 0 7 ) は、これまでの友 人関係の深さ、広さとは独立しだ、状況に応じて自己や柑き合う相手を切り替える傾向(状況に応じた切替〉 に注目レ、友人関係を捉え直している。その結果、 「状況に応じた切替」という次元を加えることで友人関係 から I~\ 理的ストレス反応への予測力が向ょすることを明らかにしている。このように、現代の青年の友人関係 の特徴を捉えるための立場はいくつか葎在レ、撮/マな憤討が行われてきている。今後、更なる検討が必要であ ろう。 3 ・3 .友人関係において見られる性差 友人関係の研究においては、これまで非常に多くの性差が見出されてきている ( e . g .,榎本, 1 9 9 9, 2 0 0 1 ; 福岡・ 橋本, 1 9 9 5, 1 9 9 7 ; 石田, 1 9 9 8 ; 量・新井, 1 9 9 8 ;松岡・加藤・神戸・津本・菅野・詫間・野瀬・森, 2 0 0 6 ;三島, 2 0 0 3, 2 0 0 8 ; 長沼・落合, 1 9 9 8 ; 中柑, 1 9 9 0 ; 岡田 b,1 9 9 3 ; 岡本・上地, 1 9 9 9 ; 柴橋, 2 0 0 1, 2 0 0 4 ; 下斗米, 2 0 0 0 ; 和田, 1 9 9 3, 1 9 9 6, 2 0 0 1 ) 。たとえば、和田 ( 1 9 9 3 ) は、大学生に友人関係に望むちのをたずねている。その結果、男性は女性よ りも友人に対して一緒に行動すること(共行動)を望んでおり、女性は男性よりも当人の情報を開示すること 〈自己開示〉を望んでいだ。また、橿本 ( 1 9 9 9 ) は、友人と行う活動と友人への感情をたすねている。その結 果 、 Eいの相違点を認め合い、価値観や将来の生き方を話レあう「相 E理解活動」、仲が良いことを確認する ような「親密確認行動」、自分だちだけの鮮を作り出す「閉鎖的活動」に闘して、女性は男性よりも多く行っ ていた。一方、男性は、友人と遊ぶことを中山とした「共行動」を女性よりち多く行っていた。他にも、男性 9 9 5 ) や、過去のいじめ より女性の方が友人から情緒的サポートを多く受けているといった結果(福岡・橋本, 1 経験に関して、男子よりも女子の方が仲の良い同性の友達からいじめられだ経験があるという結果〈三島, 2 0 0 3, 2 0 0 8 ) が見出されている。これらの研究を見ると、全体的に男性よりも女性の方が友人に苅して親密さを 求める傾向が強く、友人から多くのサポートを得ているといえる。しかし、その分、自分の所属している関係 に依害する傾向が強く、友人から拒絶されることに苅するネガティブな影響力T強いと考えられる。 次に、性差に関する解釈について検討する。友人関係において見出されている性差については、様々な解釈 1 9 9 3, 1 9 9 6 ) は、男性は が考えられるが、伝統的性役割観4の観点から考察されることが多い。たとえば、和田 ( 達成、競争、独立といった社会的役割を重視し、女性は暖かさ、親密感、表情の豊かさといった社会的役割を 3 加藤 ( 2007) では、対処方略ではなく、コーピンクという用語を使用しているが、本稿では同義として捉える。 東・鈴木 (1991) によると、性役割とは「男女にそれぞれふさわしいとみなされる行動やパーソナリティに関する社会的期待・ 規範およびそれらに基づく行動」と定義されている。 4 76 重視しているという性役割の観点から検討を行い、性役割が友人関係における性差を反映している司能性を示 している。友人関係に関する性差の問題は非常に重要なものであり、生物学的観点との兼ね合いなども含めな がら、更なる研究が必要になると思われる。 3 ・ 4 .友人関係を測定する尺度 これまで、いくつかの研究の中で友人関係を測定する疋めの尺度が開発されてきている。以下に友人関係を 測定する尺度の一覧を載せる ( T a b l e3 )。具体的には、友人関係に望むものとして 1 0カテゴリーを見出しだ和 田 ( 1 9 9 3 )、友達とのつきあい方として 2つの次元を見出レた長沼・落合 ( 1 9 9 8 )、友人関係が個人の内的適 応に影響を与える機能に着目し、 1 6の機能を見出した丹野 ( 2 0 0 7 )などがある。これらの尺度は、友人とのつ 0 0 5 )と、友人関係に きあい方や動機づけを測定するもの〈松尾ら, 2 0 0 6 ;長沼・落合, 1 9 9 8 ;岡田, 1 9 9 95; 岡田, 2 おける機能を測定するもの(小塩, 1 9 9 9 ;柴橋, 2 0 0 1 ;丹野, 2 0 0 7 ;和田, 1 9 9 3 ) に大剖できる。各尺度の信頼性、 妥当性については、対人不安や公的自意識(岡田, 2 0 0 5 )、自己愛傾向 ( 1 9 9 9 )などとの関連から検証されてい るが、まだまだ検討する余地があると考えられる。 T a b l e3 友人関係を測定する尺度一覧 著者 尺度名 和 田 ( 1 9 9 3 ) 友人関係に望むちの カテゴリ 「 協 力J r 情報J r 類似J r 自己向上J r 敏感さJ r 共行動」 「真正さJ r 自己開示J r 尊敏J r 相互依葎」 1 9 9 8 ) 友達とのつきあい方に隠する尺度 長沼・溶合 ( 相手との山理的接近の仕方」 「友達とのつきあいの深さJ r 岡 田 ( 1 9 9 9 ) 友人関係尺度 「自己閉鎖J r 自己防衛J r 友人へのやさしさJ r 群 れ 」 小温 ( 1 9 9 9 ) 友人への要求尺度 「理解・評価欲求J r 関与欲求J r 過剰関与回避欲求」 小塩 ( 1 9 9 9 ) 友人獲得尺度 「親友の獲得J r 所属集団の獲得」 友人関係における自己表明尺度 「限界・喜びの表明J r 意見の表明J r 不満・要求の表明J r 断わりの表明」 2 0 0 1 ) 吉 岡 ( 友人関係測定尺度 「自己開示・信頼J r 深い闘与・関山J r 共通J r 親密J r 切援琢磨」 2 0 0 5 ) 岡 田 ( 友人関係への動機づけ尺度 「 外 的J r 取り入れJ r 同一化J r 内 発 」 松尾ら ( 2 0 0 6 ) 友人関係志向性尺度 「選択的友人関係志向J r 全面的友人関係志向」 丹野 ( 2 0 0 7 ) 友人関係機能尺度 気楽さJ r 相互理解J r 重要性J r 娯楽性J r 尊敏・信頼J r 類似性」 「 安 山J r 「関係継続展望J r 情緒的結びつきJ r 相識・自己開示J r 支援性J r ライバル性」 学習・自己向上J r 人生の重要な意味J r 活動の共有J 「肯定・受容J r 柴橋 ( 2 0 0 1 ) 4 .これからの友人関係研究について ここまで、日本における友人関係研究に闘して現代の友人関係の特徴と性差、尺度の観点からレビューを行 った。上述のように、友人関係の研究は非常に多く行われてきており、様々な知見が蓄積されてきている。最 後に、これまでの友人関係研究における 3つの問題点を踏まえながら、今後検討すべき課題について述べる。 1 つ目は、研究を行っていく中で、友人関係をどのように定義するのかについて研究者間で一致していなし 1 とい う点である。これまで友人関係の論文は定義の不一致を理由に批判されてきており ( R o b e r t o&Kimboko,1 9 8 9 )、 一般的な概意として友人を扱うか、回答者が想定した友人を扱うのか(岡, 1 9 9 9 )といった問題が指摘されてい る。また、海外の文献においては、多様な友人の定義 ( a c q u a i n t a n c e, n e i g h b o r , c l o s e合i e n d, b e s tf r i e n d , c o n f i d e n t ) が使用されているが ( R o b e r t o& Kimboko,1 9 8 9 )、日本においては、友人と親友といった 2つの言葉でのみ検討 5 友人関係尺度に闘しては、これまで伺度ち作成、修正されてきている C e . g ., 岡田, 1993a,1993b,1995)。 77 が行われている。友人関係をどのように定義レ、研究を行っていくか、今後検討すべきであろう。 2つ目に、友 人との関わりにおけるネガティブな側面に関する研究が少ないという問題である。友人関係の研究においては、 友人との関係は当人にとって様々なサポートとなり、良好な関係を保つことが有意義であるという立揚から検 討が行われるものがほとんどである。レかし、あまりにもこの点が強調されると、友人との関係をうまくでき ない人は、何か当人に問題があるのではないかという結論にちなりかねない。親しい友人からのいじめに関す る研究や(三島, 2003, 2008)、非行経験のある友人の寄在が中学生の非行行為に影響を及ぼしているという研究 (小保万・無藤, 2005) を考慮に入れると、友人関係が~すしもポジティブな影響ばかりをちだらすとはいえな いだろう。友人との関わりにおいて生じるネガティブな影響に闘してち検討を行うことにより、包括的に友人 関係を捉えていく~要がある。 3 つ目は、同性の友人レか検討を行ってきていないことである。これまで、異性 の友人関係は恋愛関係との区別がつきづらいという理由から、ほとんど扱われてこなかっ疋。レかし、青年は 同性の友人だけでなく異性の友人ち多く〈内閣府政策統括官, 2004) 、同性の友人と異性の友人では相手に苅す e r r i l l P a l m e r,2007) 。また、本田 (2008) においては、同性の友 る期待に遣いがある (McDougall,Hymel,& M 人と異性の友人では友人関係機能力t 異なる可能性を示唆している。この点に闘しては、友人関係をどのように 定義するべきかという Iつ目の問題点と密接に関わる部分であり、今後の検討が待疋れる。 引用文献 阿達喜美子 1994 青年における意味ある他者の研究:とくに、異性の皮人(恋人)の意味を中山として,青年 I~\理学研究, 6 , 19・28. 赤坂瑠以・高木斉明 2005 携帯電話のメールによるコミュ二ケーションと高校生の友人関係における発達の 3, 269・ 271 . 特徴との関連,パーソナリティ研究, 1 東清和・鈴木淳子 1 9 9 1 性役割態度研究の展望,山理学研究, 4, 270・ 2 7 6 . 天貝由美子 1997 成人期から老年期に渡る信頼感の発達:家族および友人からのサポート感の影響,教青山理 学研究, 45,79・ 8 6 . 榎本淳子 1999 青年期における友人との活動と友人に対する感情の発達的変化, 教育 I~\ 理学研究, 47, 1 8 0 1 9 0 . 榎本淳子 2001 青年期の友人関係における欲求と感情・活動との関連,教青山理学研究, 48,444・ 4 5 3 . 藤井恭子 2001 青年期の友人関係における山アラシ・ジレンマの分析,教青山理学研究, 49,1 4ふ 1 5 5 . 福川康之・西田裕紀子・中西千織・坪井さとみ・新野直明・安藤富士子・下方浩史 2005 友人との死別が成 人期の抑うつに及ぼす影響・年齢および家族サポートの調整効果,山理学研究, 76,1 0・ 1 7 . 福森崇貴・ J I¥川俊樹 2006 青年期における不快情動の回避が友人関係に及ぼす影響:自己開示に伴う傷つき の予測を媒介要因として,パーソナリティ研究, 1 5,1 3・ 1 9 . 福岡欣治・橋本宰 1995 大学生における家族および友人についての知覚されたサポートと精神的健康の関係, 教青山理学研究, 43,1 8 5・ 1 9 3 . 福岡欣治・橋本宰 1997 大学生と成人における家族と友人の知覚されたソーシャルサポートとそのストレス 緩和効果 ,I~\ 理学研究, 68, 403・409. 古谷嘉一郎・坂田桐子 2006 対面、携帯電話、携帯メールでのコミュ二ケーションが友人との関係維持に及 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