...

﹁開国博 Y 1 5 0 ﹂ 開 幕 せ ま る

by user

on
Category: Documents
19

views

Report

Comments

Transcript

﹁開国博 Y 1 5 0 ﹂ 開 幕 せ ま る
Vo l . 5 8 7 C o n t e n t s
1-3
SPECIAL TOPICS 「開国博Y150」開幕せまる
藤麗華(天津)服装有限公司
NEWS CLIPPING
伊藤忠、中国杉杉集団と資本提携
REPORT
海外報告
中国 上海の消費者はいま?
■発行/繊維経営企画部
■大阪市中央区久太郎町 4-1-3
■TEL06-6241-2027
■FAX06-6241-2008 発行所
vol.587
REPORT
ファッションレポート マクラーレンのブランディング
2009
since 1960
3
毎月 1 回発行
本紙は、下記のアドレスからでもご覧いただけます。
URL
SPECIAL
TOPICS
かれた「日本国際博覧会」(愛・地球博)のキャラクター「モリゾー」
「キッコロ」に続き、横浜開港150周
年記念事業のマスコットキャラクター「たねまる」およびロゴマーク等のライセンス管理運営業務を受託しました。
繊維月報3月号は、開国博Y150の意義や見どころに加え、キャラクタービジネスの内容を紹介します。
横浜市の中田宏市長は2月5日、東京都内
主催する横浜開港150周年協会の佐々木
謙二会長は「近代日本の開国を記念する半
世紀に一度の記念事業」と強調。開国の歴
で開かれた開国博Y150開催期間中の主要イ
史を振り返り、環境問題や最新の科学技術
ベントを紹介する記者会見で、開口一番、
「世
の中、暗い話が多い。横浜だけは明るく、そ
して明るい横浜が日本のけん引役になれるよう
開国博Y150を成功させたい」と熱く語った。
取り上げ、「驚きと感動を横浜市民、神奈川
県民はもとより広く全国の皆さんに提供した
い」と話す。とくに次世代を担う青少年、子
供たちに「近代日本の歩みを学んでもらいな
戸数100ほどの半農半漁の寒村、横浜村。
がら、未来への夢・希望・誇りを育める催
その横浜が函館、新潟、神戸、長崎ととも
に開 港したのは1859年(安 政6年)で、米
国ペリー提督の浦賀来航、いわゆる
“黒船来
しにしたい」とその意義を語る。
また、開国博Y150の総合プロデューサーを
務める小川巧記氏は、開国博Y150を「横浜
航”
からわずか6年の後のことである。それか
ら今年は150年を数える。開港はすなわち「開
を舞台にした『巨大な実験場』
」
と位置づける。
小川氏によれば、参加出展する企業や自治
国」であり、横浜は新生日本の象徴となった。
その後の関東大震災、横浜大空襲での被
災を乗り越え、日本最大の政令指定都市、
体はもとより、参加市民、来場者の一人ひとり
に至るまで、自分の可能性を探る実験の場と
なるという。単に楽しむだけのイベントではなく、
国際都市へと発展してきた。
2009年。横浜は未来への「出航」
をテーマに、
未来の担い手である子供たちや学生をはじ
め、会社から社会に出てきたシニア層、会社
員、主婦など「あらゆる生活者の方々が『横
浜の夢』に共感し、その実現に共に参加して
横浜150年目の大博覧会
その歴史や魅力が満載の博覧会「開国博
Y150」を開催する。開港150周年事業のコア
となる、横浜にとっては50年に一度の大型イベ
ントだ。横浜は1859年の開港以来、50年ごと
に盛大な祭典を行ってきた。今回は、みなとみ
らい21新港地区を中心としたメーン会場「ベイ
サイドエリア」
、自然豊かなよこはま動物園ズー
ラシア隣接地区に広がる「ヒルサイドエリア」
、
もらうことで、これからの150年に向かって持
続可能な世界を創造する時代のエンジンとし
ての自分を発見してほしい」と熱く語る。
「150年前に海の向こうからやってきた様々
な近代化の種を受け取り、育み、近代日本
食やファッションなどの人気スポットが立ち並ぶ
のマザーポートとなった横浜から、今度はわ
たしたち一人ひとりが、自分の可能性の種に
横浜駅周辺から山下・山手地区の
「マザーポー
トエリア」
。
「海」
「街」
「自然」が生きるこの3つ
のエリアから、未来を輝かせる夢の種をまく。
気づき、新しい時代の海に出航していく、そ
のような稀有な機会となる事業を目指す」。
(3面に小川氏のインタビュー掲載)
この開国博Y150のほか、古代都市アレク
サンドリアの至宝を公開する「海のエジプト
展」や世界卓球選手権、横浜国際トライア
スロン大会などの祝祭イベントも用意しており、
通常、年間4000万人訪れるという横浜に、
今年は5000万人を呼び込む計画だ。
ハコモノなしのイベント
“街”
そのものが会場
簡単に開国博Y150の概要を紹介する。大
阪万博や愛・地球博のような巨大な会場・建
物を設けて、そのなかで開く催しではなく、
“街”
そのものが会場となるのが特徴だ。いわゆる
“ハコモノ”
がない。具体的には7つの種をコン
セプトに、3つのエリアと8つの会場で展開する。
7つの種(たね)とは、
①異文化や多様性を
受け入れる横浜の原動力「共生力」
、
②地球に
生きる者としての出会いと喜びを交歓する「共
感力」
、
③創造都市としてあるべき未来を描く
「想
像力」
、
④その未来を実現する原動力となる「創
造力」
、
⑤あらゆる連来を生み出す「交流力」
、
⑥
“横浜らしさ”
を生み出す「横浜力」
、
⑦これ
からの主人公である行動する「市民力」――。
持続可能な発展のために地球規模での共
生が求められるなかで、150年間、多様な
文化を受け入れ、育んできた横浜はこの7つ
の種を備えている、というものだ。そしてこれ
からの150年に向けて、横浜に育った7つの
種を乗せて
“新しい横浜”
が出航するイメージ
を博覧会に込めた。
伊藤忠 キャラクタービジネスで協力
メーン会場となる「ベイサイドエリア」と横浜動物園ズーラシアに隣接する「ヒルサイドエリア」
(いずれもイメージ図)
5
6
横浜開港150周年記念テーマイベント
2009年4月28日から9月27日まで、横浜市で横浜開港150周年を記念して「横浜開港150周年記念テーマ
イベント『開国・開港Y150』(愛称「開国博Y150」)が開催されます。伊藤忠商事は2005年に愛知県で開
4
﹁開国博Y150﹂開幕せまる
関係会社紹介
TOPICS
2
「開国博 Y150」開幕せまる
2009年(平成21年)3月号
エリアのコンテンツ決まる
ベイサイドエリア
注目の「ラ・マシン」
会場別に見ると、みなとみらい21新港地区
周辺「ベイサイドエリア」が、複数のイベント
会場が集まる記念イベントの中心エリアとな
る。みなとみらい地区から赤レンガ倉庫、山
下公園と有名な観光スポットを舞台に、3つ
の有料入場施設と5つの無料周遊会場で構
成する。
この地区でのメーンイベントが日本初上陸
のフランスの巨大スペクタクルアート劇団「ラ・
マシン(La Machine)」だ。動物をモチー
フにした巨大な機械アートで、数日間にわ
たって街を練り歩くパフォーマンスとして知ら
れ、デザイナーや技術・制作スタッフ約50
人で構成、仏ナント市とトゥールーズを拠点
に
“生命ある機械”
という世界観をコンセプト
に活 躍している。2008年9月、「ヨーロッパ
文化首都2008」記念イベントとして英国リバ
プールで行った公演では、5日間で30万人を
動員した。
ラ・マシンは、かれらの
“生命のある機械”
によって、
「街が劇場に変わる」という巨大な
アートを描く。観客はもちろん、街を構成す
る花や緑、空、海、車や船、建物などすべ
てが
“劇 場”
を作るための構成要素となる。
今回、ラ・マシンが考えたコンセプトは
“横浜
という街をイベント化”
するということ。“横浜=
共生都市”
のシンボルとして、開国博Y150の
会場を中心に街並みといかに共生し、街をイ
ベント化するのか、一大実験プロジェクトとい
えよう。
横浜市は「クリエーティブシティ」構想を
掲げている。同じくクリエーティブシティである
仏ナント市を拠点とするラ・マシンとの連携を
図ることで、横浜市は世界の創造的都市と
のネットワークを拡大し、国際文化交流・芸
術創造を目指すとしている。
小川総合プロデューサーは「生命ある機
械が、街に生命を吹き込み、横浜が劇場に
変わる。クモは糸で巣を作る創造的な生き物
であり、ウェブ社会やネットワークを象徴する
生き物でもある。今回、横浜では巨大なクモ
がプレイベントで4日間街を席巻しながら回遊
し、会期中153日間『Y150はじまりの森』に
“棲
みつく”
ことになる。これは世界初の試み」と
紹介した。
豪華キャストの「BATON」
一方、「BATON」は、大学時代を横浜
で過ごし「お世話になった街にひとつ恩返し
ができた」と語る岩井俊二プロデューサー
が、初めて手がけるアニメーション作品。
「岩
井さんからバトンを受け継いで参加させてい
ただいた」と話す北村龍平監督が、近未
来を舞台に「過去から現代、そして未来へ、
人から人、そしてロボットへ、大切な何かを
繋ぎ、残していく」SFファンタジーに仕上げ
た。市原隼人、上戸彩をはじめとした豪華
な俳優陣を起用。実際の俳優たちの演技を
ロトスコープという特殊な技法でアニメ化し
た。期間中、各章約20分の構成で一話完
結の三部作としてY150トゥモローパーク内の
「未来シアター」で順次公開する。中田市
長は「開港150周年。子供たちが夢を持っ
てチャレンジしていく社会にしたい。夢を持
つこと、イマジネーションを持つことが大事。
そういうイマジネーションがかきたてられる作
品」と語った。
SFファンタジーの「BATON」
アポロ役の市原隼人、ミカル役の上戸彩を囲んで右から中田横浜市長、岩井プロデューサー、ふたりを挟んで北村監督、
小川開国博Y150総合プロデューサー(撮影:大下美紀)
「レ・メカニック・サヴァント(博識な機械)」(©David Mayo)
昨年の英国公演で出現した高さ15m、重さ37tの巨大クモ。横浜にも巨大クモが上陸
アースバルーン「HOME」
このほか、トゥモローパークの「アースバ
ルーン」は夜のメーンイベント。直 径20m
級の巨大なバルーンが上空10mに浮かぶ。
アジア初の女性宇宙飛行士である向井千
秋 氏がシャトルから見たときの地 球や、環
境 破 壊 への危 機 感などから原 案を作 成、
監修した。プロデュース・演出にファッショ
ンデザイナー滝沢直己氏、音楽監督に作
曲家の服部隆之氏、映像監督に映像作家、
西郡勲氏を起用し、
「HOME」と題して『人
類が帰るべき故郷の惑星は地球である』と
いうメッセージを音と光と映像で展開する。
バルーンは上 演 時 以 外も、夜 空に浮かぶ
日産の電気自動車「ピボ2」が楽しくご案内
アースバルーン「HOME」上演時
開国博Y150のメーンアイコンとして光り輝く
予定だ。
向井氏は「地球では日常的に当たり前と
思っていることが、宇宙から見れば特殊な
こと。地球の環境や美しさを守ることの大
切さ。そして、未来においてどんなにテク
ノロジーが進 歩し、宇 宙での生 活が可 能
になったとしても、人類が帰るべき故郷の
惑 星(HOME)は地 球」と狙いを語って
いる。
また、NISSAN Y150ドリームフロント &
スーパーハイビジョンシアターでは、開国博
Y150会期中の2009年夏に、本社を横浜み
なとみらい地区に移転する日産自動車が提供
する、子供と環境をテーマにしたイベントもあ
る。日産の電気自動車「ピボ2」が案内役と
して登場する。「横浜発、地球への思いやり
活動を世界へ。
」をテーマに「子供たちが、
明日から何ができるか、みんなで考え、言葉
でうめていく」空間となる。
ベイサイドエリアではこのほか、〈赤レンガ
会場(広場)〉で公式記念品ショップやワー
ルドマーケット、〈大さん橋会場・赤レンガ
会場(1号館)〉で市民参加型イベント「横
浜FUNEプロジェクト」「18区ブランド紹介」
「ベイサイド市民協催」、〈象の鼻会場〉で
日比野克彦アートプロデューサー監修による
灯台アートワークイベント、〈山下公園会場〉
で「黒船来航イベント」などをそれぞれ予
定している。
「開国博Y150」の開催概要
■ 事業名称 横浜開港150周年記念テーマイベント「開国・開港Y150」
■ 愛 称 開国博Y150
■ 主 催 財団法人横浜開港150周年協会
■ 後 援 諸官庁、横浜市各団体など(予定)
■ 有料入場者数 500万人(予定)
■ 会 場
●ベイサイドエリア
〈みなとみらい21新港地区周辺〉
会期:2009年4月28日
(火)
∼9月27日
(日)
10:00∼22:00
※周遊会場は閉場時刻が異なる
●ヒルサイドエリア
〈よこはま動物園ズーラシア隣接地区〉
会期:2009年7月4日
(土)
∼9月27日
(日)
9:30∼17:30
※ただし、8月の毎週土日及び9月19日∼27日の9日間は、9:30∼20:30
●マザーポートエリア
〈横浜駅周辺∼山下・山手地区〉
会期:2009年の年間を通じて展開
日本初登場となる、フランスの巨大アートスぺクタクル劇団「ラ・マシン」による
パフォーマンスや、日本を代表する映像作家・岩井俊二氏がプロデュースするオ
リジナルアニメーション「BATON」の上映、開国・開港をテーマとした歴史体
験やエンターテインメントイベント、ライブ、国際交流、市民参加型イベントを予定。
横浜で伐採した竹で作る、竹の大屋根(竹の海原)が会場中央に出現。横
浜の市民自らが中心となって企画出展する
〈市民創発プロジェクト〉
が展開される。
会場ではトークショー、ワークショップ、パフォーマンスなど、様々な参加体験がで
きる。
横浜を訪れる市内外からの来場者が、Y150開催と同時に横浜の街全体を楽し
める様々なプランを、2009年を通して行政・商店街・企業・市民が協働で考案、
実施している。
「開国博 Y150」開幕せまる
キャラクター「たねまる」
伊藤忠 ライセンス管理を受託
2007年夏、財団法人横浜開港150周年
協会(以下、協会)は、横浜開港150周年
事業マスコットキャラクターデザインの募集を
行い、日本全国520点の応募の中から1作品
が選ばれた。マスコットキャラクターの愛称も
一般公募され、日本全国から4906点の応募
の中から「たねまる」と選定された。
伊藤忠商事・繊維カンパニーは、この「た
ねまる」のマスコットキャラクター、愛称ロゴタ
イプ、シンボルマークなどのライセンス管理お
よび運営業務の公募に応募し、昨年1月、
委託業者に選定された。
当社は2005年に開催された「愛・地球博」
でキャラクター等のプロパティーを一元管理す
るマスターライセンシーオフィスの運営を受託
した。ライセンス管理業務について、そこで
培った豊富なノウハウを有している。今回、
こうした実績が評価されて受託に至ったもの。
2008年4月に「横浜開港150周年マスターラ
イセンシーオフィス」を協会内に設置し、同
事業の特性を十分考慮しながら万全な体制、
最適な方法で業務を進めてきた。
これまで、サブライセンシーの募集、キャラ
2009年(平成21年)3月号
クターのPRを兼ねたオフィシャルグッズ商品の
企画、各種イベントでの販売などを積極的に
展開し、「たねまる」が横浜開港150周年記
念事業の顔として、一日も早く皆様に認知さ
れるように働きかけを行ってきた。
またキャラクターの商品展開に関しては、
会期中のみといった一過性に終わらせること
なく、会期前から会期終了後までをも視野に
いれた永続性のある横浜を象徴するキャラク
ターとして育てあげることを目標としている。
このため、地元企業とも協調しながら地域産
業の活性化にも貢献していく。
このキャラクタービジネスを推進するのは当
社繊維資材・ライフスタイル第二課の安達彰
宏と伊藤忠ファッションシステム㈱・ブランディ
ング推進グループの高山豪史。安達は「愛・
地球博」で「モリゾー」「キッコロ」の商品
化を手がけ、成功に導いた実績がある。今
回、その経験を買われ、昨年春より横浜の
マスターライセンシーオフィスにて、プロジェク
ト・スーパーバイザーとして、11人の少数精
鋭スタッフを率いてライセンス管理、商品化
に奮闘している。
安達がイベントキャラクタービジネスに取り
組んだきっかけが「愛・地球博」だった。こ
のときに試行錯誤を重ね培われたノウハウが、
今回の「たねまる」に生かされているという。
「まず大切なことは、キャラクター・マーク
などの使用承認基準の厳格な運用だ。通常
のライセンスビジネスにはない
“無償使用”
を
有効に活用し、認知を広げ、いかに
“有償
使用”
につなげていくかがポイントとなる」
「次に、戦略的な商品展開。キャラクター
商品は、早い段階でのオフィシャル商品展開
を実施し、サブライセンシー商品展開への先
鞭とする。一方NB商品へのキャラクター使
用を促し、広い範囲へのキャラクター認知を
図るなど、商品別、流通別、段階別に商品
展開していくことも重要となる。また、マスコッ
トキャラクターの『たねまる』に息吹を与える
ため、絵本の制作や背景、性格付けなどの
作業も大切だ」
「これらの活動を支える運営体制作りも重要
で、
ライセンス管理、商品開発、
ライセンス営業、
商品販売など、明確に役割分担した組織と他
社との協力体制を構築し、厳格なキャラクター
の使用管理と商品販売管理が必要となる」
このように、しっかりとした運営体制のもとで
長期的で幅広いビジネス展開が可能となるの
は、
「商社の企業規模と業際のない業容があ
ればこそだ」と、安達はイベントキャラクタービ
ジネス成功のためのノウハウについて語る。
詳しい商品情報は【たねまるドットコム】www.tanemaru.com
開国博Y150を取り仕切る小川巧記(おがわ・たくのり)総
合プロデューサー。小川氏は「愛・地球博」瀬戸会場で、235
にのぼる市民参加型のプロジェクトを手がけた実績がある。開
国博Y150への思いをうかがった。
◇
── 開国博の記念イベントの詳細が続々と決まっていま
す。改めて開国博への思いは。
昨秋以降、世界中で閉そく感が漂っています。経済のグロー
バル化を改めて思い知った方が多いのではないでしょうか。
今から150年前、横浜が開港しました。日本が長く続いた鎖
国に別れを告げ、近代国家へと巣立つ、開港はそのきっかけと
なりました。暗い話題が多い昨今、次の150年に向けてもう一
開国博Y150 総合プロデューサー
小川 巧記氏に聞く
みんなが 共に夢 見る場に
3
ライセンスビジネスに取り組む安達(右)と高山
商品は2000SKU目標
ショップ 150拠点で販売へ
展開商品は、
ぬいぐるみ、
ストラップ、
根付け、
キーホルダー、ステーショナリー、お菓子、ピ
ンズ、タオル、ミニハンカチ、
Tシャツ、帽子、
ネクタイ、トートバッグ、食器など多岐にわたる。
今後も、地元企業とのタイアップ商品などを加
えていき、最終的には2000SKU(最小在庫
保管単位)となる見通し。販売店舗は、赤レ
ンガ会場ショップ(約500㎡)など各テーマイ
ベント会場内3店舗の公式記念品ショップのほ
か、地元横浜を中心に取扱店を最終150カ所
に拡大する予定だ。
安達は「昨年7月にキャラクター商品の取
り扱いに関しての説明会を開催したが、満員
御礼で反応も非常によかった」と振り返る。
昨秋以降の景気の大失速が拍車をかけ「国
内外に明るい話題がなく、開港博Y150その
ものや、それに伴うキャラクター商品などの
販売拡大への期待が一段と高まっている」と
安達は分析する。
ライセンスの受付、審査、商品企画・PRを
含めたブランディング等を担当する伊藤忠
ファッションシステムの高山も「昨年来、期待
感の醸成が進み、今年に入って一層手応え
を感じる」と口をそろえる。今回のプロジェクト
ではとくに「横浜らしい150周年記念の商品づ
くり」を意識しており、これまでの150年という
ことで、地元の老舗のお菓子メーカーとのタイ
アップ商品や、これからの150年ということで、
オーガニックコットン使用などの「環境にやさし
い」商品を集約した「たねまる」グリーンレー
ベルの展開など、多様な企画を盛り込んだ商
品ラインを実現したいと話している。
度開国するくらいのつもりで、新しい時代の海に出航していく、
そんな機会を皆さんに提供できれば、と考えています。
閉そく状況を横浜から打ち破り、みんなで共に夢見る場になっ
てくれるといいのですが。
── どのような人たちに来てほしいとお考えですか。
横浜市民は366万人を数えます。しかし、“横浜都民”
の方
が多いのではないでしょうか。かく言うわたしも横浜に住んで40
年近くが経ちますが、主に東京を仕事場とする横浜都民でした。
多くの横浜市民は、自分たちの街の良さに気づいていない。街
は個性的で、街それぞれに深い魅力があります。それに気づ
いていただいて、都民から真の市民に変わってほしい。
また、団塊世代の方にもお越しいただきたい。会社を卒業さ
れて第二の人生を歩み始めた方が多いと思います。開港で近
代国家への歩みを始めて150年、団塊世代の方たちとともに改
めて出航したいですね。
もちろん子供たちや学生、主婦や会社にお勤めの方……、
皆さん大歓迎です。「横浜の夢」に共感し、これからの150年
に向かって持続可能な世界の創造に向けて共に歩んでいけたら
と思います。
4
関係会社紹介 / NEWS CLIPPING
2009年(平成21年)3月号
グループ経営を目指して
関係会社
藤麗華
(天津)服装有限公司
特注ユニフォーム工場 始動
85人が働く縫製工場
藤麗華(天津)服装有限公司は、特注
ユニフォーム専門の縫製工場として15年以上
の実績を誇る天津華達服装有限公司と、中
国の内販を中心に密接な取引関係にある東
麗(中国)投資有限公司、および日本で国
内外の生産全般を統括する株式会社ユニコ
による3社合弁の縫製工場だ。
親会社の天津華達服装は天津経済技術
開発区という中国でもトップクラスの開発区内
にあり、現状では、これ以上の増設余地が
ないこと、また労働力の確保にも限界がある
ことから数年前より近隣での候補地を探して
いたところ、特注ユニフォーム業界では本社
同士も非常に良好な関係にあることから、東
レグループとの初の合弁事業として設立、創
業に至った。ちょうど北京五輪の開催前とい
NEWS
CLIPPIN
ニュース・クリッピング
う時期とも重なり、途中で建設が立ち遅れた
り、工場のある静海県開発区管理委員会の
人事異動等の影響で当初の予定から工場建
設がかなり遅れ、やきもきする場面も多くあっ
た。昨年12月、ようやく工場が完成し、本格
稼働の体制が整った。
藤麗華の特筆すべき点は、2点ある。一
つは、東レという素材メーカーとの合弁であ
ること。一般的に縫製工場の合弁は、アパ
レルとの共同出資が多いが、藤麗華は東レ
グループとの合弁ということで東レ南通、東レ
即発という強大な生産背景とのタイアップが
可能となる。対日、中国内販、第三国のす
べての顧客に対して、素材から縫製品まで
一貫で供給できる縫製拠点というのは、際
立った特色といえる。
もう一つは、総経理以下の幹部がすべて
中央の男性が李冬総経理
藤麗華
(天津)
服装有限公司
TENGLIHUA
(TIANJIN)
GARMENT CO.,LTD
(略称:TLH)
所在地
中国 天津市 静海県経済開発区
連絡先:JINHAIROAD,JINGHAI ECONOMIC DEVELOPMENT AREA NEW-ZONE,
TIANJIN, CHINA
電 話:0086-22-59526008,0086-59526009 FAX:0086-22-59526007
E-MAIL: [email protected]
代表者
総経理 李冬
業 種
特注のユニフォームの生産、販売
資本金
出資者
出資比率
資本金500万元
(約73.3万US$)
資本構成:天津華達服装有限公司 75%、 東麗
(中国)
投資有限公司 14%
株式会社ユニコ 11%
従業員数
現在 85 人、最終規模 280 人
生産(販売)
アイテム
年産
生産(販売)
アイテム:各種ユニフォーム:ブルゾン、ズボン、シャツ、防寒服、
エプロン等の縫製品
生産能力:30万点/年
(09年度末目標)
、 3年以内に50万点を目指す
企業沿革
(設立)
2007年4月 (操業)
2008年3月
2008 年 12 月新工場建設完了、本格稼働
企業概要
機能衣料課の特注ユニフォーム専門の縫製拠点として15年以上の実績を持つ天津華達服装有
限公司と、中国内販中心に密接な取引関係にある東レ(中国)
、特注ユニフォームの生産を統
括する株式会社ユニコとの3社合弁
特徴
総経理の李冬氏は、天津華達創業以来のスタッフで、生産現場から販売に至る幅広い経験を
有する。日本語も堪能。現地スタッフで事業会社の総経理となったのは伊藤忠の長い歴史の中
でも、おそらく初めてのケースで、大いに期待されている
その他
セールスポイント
中国の事業会社同士の合弁とは言え、伊藤忠と東レによる初の合弁工場で、東レ南通、東レ
即発の生産背景とタイアップした素材から製品まで一貫の供給が可能
お国自慢
天津市静海県は、浅田次郎の小説『蒼穹の昴』の主人公の出身地として有名。華北の集積
港である天津新港にも近く、沿海部でありながら、周辺は農村地域であり労働力の確保も比較
的容易な好立地にある工場です
中国人であることだ。総経理の李冬、工場
責任者の高欣は、天津華達の創業以来の
スタッフで日本が求める特注ユニフォームの特
性を熟知しており、伊藤忠、ユニコの各メン
バーとも気心が知れている。とくに李総経理
は、生産現場から販売、労務管理に至る縫
製工場のすべてを経験してきた。日本語も堪
能なため、その運営手腕は本社からも高く
評価され、今回、総経理としての活躍が大
いに期待されている。彼を中心に5人のメン
バーが、天津華達から出向して藤麗華の成
長に向けて、奮闘している。
天津空港から車で1時間、北京からも新
幹線で30分と時間的距離は魅力。皆様のご
来訪をお待ちしています。
2008年12月から本格稼働
伊藤忠、中国杉杉集団と資本提携
内販ビジネス強化へコラボレーション
杉杉の鄭董事長
(中央)
と握手する伊藤忠の岡藤専務
(左)
、
桑山常務執行役員
(右)
伊藤忠商事と伊藤忠(中国)集団有限公
司はこのほど、中国の大手複合企業、杉杉
集団との資本提携契約に調印しました。本
体が25%、中国法人が3%の株式を取得す
ることで、杉杉は伊藤忠の持分法適用会社
になります。
杉杉集団は1989年、浙江省寧波市でア
パレル企業として設立されました。現在は資
源・エネルギー、金融・不動産にも事業領
会社名
域を広げ、年商は118億元(約1534億円)
。
グループ内に2社の上場企業を抱えていま
す。伊藤忠とは1993年に日本、米国向けの
シャツのOEM
(相手先ブランドによる生産)を
委託したことから取引関係が生まれ、2000
年代に入ってからは
「マルコ・アザーリ」
「ルコッ
クスポルティフ」「レノマ」の3ブランドを合弁
会社方式で展開しています。
今回の資本提携により、ブランドなど繊維
事業での取引を強化するだけでなく、繊維
以外にも提携分野を広げることにしています。
2月16日には寧波市内のホテルで記者会見
と調印式が行われ。中央テレビや新華社など
多くのメディアが集まりました。
たものである。両者で力を合わせて中国の
マーケットにいいものを供給し、企業価値を
高めていきたい。
岡藤正広専務・
繊維カンパニープレジデントの話
設立から20年が経過した杉杉集団が、グ
ローバル化が進むなかで100年企業として勝
ち残るためには何が必要かと考え、中国の
総合商社を目指すことにした。古くからの付
き合いである伊藤忠商事に提携を申し入れた
のは2007年末。ほぼ1年の話し合いで合意
に至ったのはたいへん喜ばしい。150年の歴
史を持ち、世界中で事業を展開している伊
藤忠から多くのことを学びたい。
中国市場を重視するのは全社方針である。
その場合、有力な現地企業とパートナーシッ
プを組むのが望ましい。杉杉をパートナーに
選んだ理由は3つある。第一にコングロマリッ
トという形態が総合商社と組むにふさわしい。
第二に20年近い取引で培われた信頼関係が
ある。そして鄭永剛氏という尊敬できる経営
者の存在だ。
鄭永剛杉杉集団董事長の話
桑山信雄常務執行役員・
中国総代表の話
これまで中国では貿易に重点を置いてきた
が、今後は国内需要に力を入れる。簡単に
言えば米ドルより人民元を稼げ、ということだ。
切り口は環境・省エネ、資源、消費者関連
などだ。杉杉との提携はこの戦略を具体化し
会見には中国中央テレビや新華社など多くのメディアが
詰めかけた
海外報告
5
2009年(平成21年)3月号
消費主導型成長を目指す中国
海外報告
上海の消費者はいま?
MARKET REPORT
艾服思(上海)企業策划諮詢有限公司 董事・総経理 藪
中国・上海
重和
当社が伊藤忠ファッションシステムの現地法人として上海で活動を始め早2年、アパレルを中心に延べ20社以上の日系企業
の中国内販支援を行なっている。仕事上、中国の小売市場、そして消費者に一番近いところでアンテナを張っているが、その
変化の早さを実感する。中国の1年の変化(進化)は日本の3年分に当たる実感がある。それは目で見える現象面のみならず、
消費者の嗜好や意識の変化にも表われている。一方で、時代の変化についていけない多くの人がいるのも事実だ。良い面も
悪い面も、上海、そして中国の消費者は持ち合わせており、理解できたと思ったらもう変わっている、影を捕まえるような苦労の
中で見た上海の今をレポートする。
上海の一人当たりのGDP
も多く出始めた。
金融危機でも1万ドル突破
食と文化
昨年12月31日から年明け1月3日の上海市主要百貨店売上
高は、前年同期比25%以上増え、1月末からの春節期間に
おいても同様で、GDP1万ドルクラブ入りした上海の消費パ
ワーは衰えていない。昨年NHKで放映された
“上海タイフー
ン”
は、実話を元に作られており、実際当地での日本人起業
家も多く、進出した日系企業でも日本以上の好業績を残して
いる会社も増えている。
また金融危機の影響では、中国市場の悪化というより本国
の経営悪化、経費削減の影響で欧米企業や韓国企業の中
国撤退、縮小の話は耳にするが、日系企業の多くは踏ん張っ
ており、これは海外でありながらも、現地化が進んでいること
にも起因していると思われる。
ファッション
いつ、どんな場面のスタイル?
日本同様に韓流ブームが落ち着き、市内中心部のZARA、
H&M、C&Aといった欧州カジュアル開店ラッシュも一巡し、
今は郊外での開店が中心。話題になるほどではないが、現
実は日系ブランドが徐々にシェアを伸ばしてきた。
ファッション誌の情報による影響度が増し、日系のファッション
誌が依然大きな支持を得ている。すでに、
『S.Kawaii』といっ
たセクシー系ファッション誌の現地版まで発刊されているほどだ。
ファッション誌の影響で、多様化するライフスタイルのなか、
デートやパーティー、旅行などシーン毎にファッションを楽しむと
いう誌面の提案に、上海の女性の生活レベルが追いついてき
た。また消費者の収入の増加に並行して、商品を見る目やブ
ランドの知識は確実に上がり、商品の値段の高低ではなく、そ
れぞれの価値観が購入のポイントに移行してきた。その結果、
感性と完成度の高い日本ブランドへの支持が高まり、シェアは
確実に拡大している。
今、
ショップでは綺麗なディ
スプレーへの投資だけでは
なく、店 頭における接 客や
マナーを重視し、販売員に
日本式「おもてなし」の心を
持った対応を教育、他店と
の差別化を図っている企業
安心・本物志向と「山寨版」
冷凍餃子や粉ミルク事件の影響で、割高でも日本からの輸
入品や日本メーカー商品の信頼は増し、ローカル系の店舗に
も日系食品が多く並んでいる。純中国企業ながら、商品名に
わざと日本語で表記する食品も多い。
浦 東で昨 年 末 開 業したモール96広 場で中国 初 進出の
“がってん寿司”
が大盛況だ。大衆的な回転ずしはこれまでも
あったが、似て非なる寿司が多かったなかで、築地からネタ
を空輸し、日本並みの安価で設定している。中国では日本人
が認める味でないと中国人にも支持されない。寿司に対して
も本物志向、価値観で上海人は選択しており、どんな日本
食でも支持されるわけではない。消費者を甘く見ている経営
では、すぐに市場から淘汰される。
逆に昨年の中国で流行語となったのが、本物の特徴に付
加価値を付け、別の名前で安く出回る商品などを指す言葉で
ある
「山寨版」
(サン・ザイ・バン=日本で言う山賊のような意味)
。
これまでよく見かけたブランドの偽物「盗版」とは違い、機能
や使い勝手はあまり落とさず、ネームも変えて安く(元となった
商品の半額から3分の1の価格)売るので、購入者の抵抗感
も少なく、社会的に認知されつつある危険な状況にある。
商品は携帯電話やパソ
コンなどの機械ものが中心
で、路上ではなく堂々と一
般の商品と一緒に家電店
で販売されている。
ファッショ
ンや雑貨には及んでいない
が、どう見ても新手のコピー
ビジネスという感じで、早期 “I-ORANGE?”
こんな山寨版が売られている
の規制が求められる。
(当地インターネット一般サイトに掲載の写真)
ライフスタイル
男はつらいよ
今年1月の新車販売台数は、中国が米国を抜き世界一と
報道されているが、まだ上海の自動車保有は10世帯に1台以
下。それでも車はあふれかえり、市内中心の黄浦江を渡るト
ンネルや橋は常に渋滞している。自転車やバイク、そして歩
行者の一部は今でも渡し舟(フェリー)でこの両岸を移動し
ており、バイク、自転車は他に両岸の移動手段がない(基
本的に、橋は高く、トンネルは深く車、地下鉄専用)。
いつかは、この渡し舟ともおさらばしたい気持ちの車所有
にあこがれる自転車の若者たち。一方で、すでにアッパー(月
1万元以上の収入?)入りした若者は、マイカーで、浦東に
森ビルが昨年開業した上海環球金融中心ビルの展望台
(472mの世界一の高さを誇る展望台、入場料は150元)
でゆっ
くり彼女と夜景を楽しむというのが人気ルートだ。
しかし、上海でも結婚の平均年齢は日本並みに30歳前後
であり、晩婚を奨励してきた政策もあるが、上海では男性に
持ち家を求める女性が多く、男性にとってはゴールまでたどり
着くのは日本より厳しい現実
が……。そのせいだけでも
ないが、女性に比べ男性
の衣料品支出は低く、まず
車、家への貯蓄が優先で、
メンズファッションはいまだス
ローな拡大基調にある。
動脈、南浦大橋の下には渡し舟
上海万博テーマ
「より良い都市・より良い生活」
期間=2010年5月1日∼10月31日、会場面積=528ヘクタール
(愛知の約3倍)、入場者予想=7000万人(同)。
いま、着々と施設の建設は進んでおり、同時に地下鉄工
事や街の化粧直しも至るところで行われ、工事の粉塵や道
路渋滞にはうんざりだ。また、街中にメーンキャラクターの「海
宝」の人形やテーマ広告、そしてあと何日というカウントダウ
ンの標識であふれている。中国の景気も、万博までは大丈
夫とよく言われてきたが、現在のインフラ整備は、万博という
よりその後100年の大計を見て行われており、むしろますます
中国が強くなるきっかけと思える。
この万博の場を生かしたいというのが、日本の多くの地方
都市だ。世界で日本が一番中国と多くの航空路線を持ってお
り(日本の17都市と中国22都市が直行便で結ばれている)、
今やこの路線で、多くの中国人観光客を取り込む競争が激
化している。万博で多くの日本の郷土芸能や産品、温泉も
紹介されるはずで、中国人旅行者の呼び込み合戦が始まる。
愛知万博のノウハウを持って、伊藤忠グループとしての取
り組み交渉も行われており、我々もこのイベントに関わっていき
たいと考えている。
上海は地下鉄網も充実しており、商談にはすでに時間の
読めない車移動から電車移動が定番になり、万博も電車で
の会場入りが主となるだろう。相変わらずラッシュ時の整列無
視や車内での携帯電話の会話など、閉口する場面もあるが、
車内で高齢者ら弱者に対して席を譲るという習慣は定着して
おり、日本人が学ぶ点も多く目にする。
「より良い都市・より良い
生 活」を目指して、上 海
の消費者の目は輝いてい
る。日本から2時間程度で
上海。ぜひ上海の元気を
体感してみては?
上海歓迎您!
日系ファッション誌の影響力強し
ヤオハン前の「海宝」
(USセント/LB)
75.00
(AUSTセント/KG)
900
(円/US$)
85.00
65.00
850
90.00
NY綿花
豪州羊毛 M/I
100.00
35.00
700
105.00
2
5
20
月 日
2
21
月 日
1
16
月 日
12
1
月 日
ICACによれば、今季08/09年度の世界綿花消費高は2400
万トンで前季比9%、同生産高は2370万トンで同10%各減の
見通し。消費減は世界経済の急速な悪化による綿製品の最終
消費の減退などが要因。生産減は競合作物や採油作物へのシ
フトによる作付け減などが起因している。中国とインドで、国内の
農産物価格を維持するために政府が綿花の買い付け枠を増や
し始めた。これら政府保有数量増大が相場に不透明感と供給
圧迫の要因となる可能性あり、上ぶれ要因は見いだしにくい。
12
月 日
24
月 日
2
30
月 日
1
31
月 日
12
1
月 日
12
1
月 日
11
1/20のEMI750AC(495USC/447円)以降、豪州羊毛市況
は軟調に推移し、
2/20現在EMI725AC(465USC/436円)
となっている。品質の良い羊毛は根強い需要に支えられている
一方、干ばつ明けの品質の悪い羊毛中心に、値を下げている。
中番(20.5ミクロン)
から太いメリノは羊毛生産減のあおりを最
も受けてじり高。雑種は中国の旺盛な需要で値を上げている。
ヴィクトリア州の山火事・クイーンズランド州の水害は、牛を中心
に被害甚大だったが羊毛生産地域への被害は軽微だった。
為 替
12
1
1
1
2
17
1
16
31
15
月 日
750
月 日
45.00
月 日
95.00
月 日
800
月 日
55.00
米当局は金融安定化策・景気刺激策など次々と対策を発表。
一方日本は当局による効果的な施策の見えないなか、08年
10∼12月期GDP成長率が年率▲12.7%と欧米と比較し
て最も悪化したことが判明。これらを受けて円売り地合が強
まり、先週ドル円は94円半ばまで値を戻した。いったんドル円
の急落予想は弱まったものの、
ドル安要因が根本的に解決
された状況にはほど遠い。目先はドル底堅く推移しようが、当
面90∼95円を中心とした動きを予想する。 (2/23)
6
ファッションリポート
2009年(平成21年)3月号
ポストバブル世代が変えるベビーカーマーケット
マクラーレンのブランディング
No.543
伊藤忠ファッションシステム株式会社
マーケティングディビジョン R&Dグループ
砂原 朝美
[email protected]
少子化で縮小するベビー市場。ベビーカーマーケットも過去7年で市場規模が2割減と
いう状況だが、そんな中急成長しているのが英国ブランドのマクラーレンだ。2003年
に上陸し、2007年には販売台数は初年度の80倍。品切れ続出、人気ラインは盗難
騒ぎまで起こる好調ぶりだ。2008年には青山に直営店をオープンさせ、首都圏を中
心に若い子連れファミリーのおしゃれアイコン的な存在となっている。急成長の裏側に
あるマクラーレンのブランド戦略について取材した。
旧態依然の業界常識にとらわれず、子育て楽しむ提案を
ここ4、5年、
「アクタスキッズ」や「こどもビームス」といった子育てファミリーのためのライフ
スタイル、ファッション、育児用品の高感度なセレクトショップが増えている。ポストバブル世代が
出産・子育て期に差し掛るとともにベビーマーケットが再編されているのだ。
マクラーレンが上陸したのは2003年。当時、ベビーカー市場は国産大手ブランド、コンビとアッ
プリカがシェアを二分する寡占状態が続いており、赤ちゃん本舗や西松屋などベビー関連を取り
扱うディスカウントストアに出向いてこの2社から選ぶのが購買の主流だった。新規参入の壁と
なっていたのは業界内の品質基準(SG規格)。意外なことに、ベビーカーは法律による規制が
存在せず、㈶製品安全協会が安全性品質に関する認定基準を定めている。日本特有の生活
環境に合わせた安全性という意味では保障されたものだが、裏返せば海外からの参入の盾と
なっているのも事実。
「重いベビーカーは売れない」「メッシュは絶対に売れない」という業界の
定説もあり、海外ブランドは蚊帳の外だったのだ。
加えて、これはベビー・キッズ関連商品すべてにおいていえることだが、子育て関連の商品
は安全性が求められる上に、子育て期を過ぎると必要性がなくなるため、買い手も「限られた
期間だけだから安く済ませよう」「とりあえず機能的に足りていればよし」という選択がなされて
いた。だが、
「期間限定だからこそ楽しみたい」「見た目にかっこわるいママ・パパにはなりたく
ない」というポストバブル世代が出産・子育て期に入り、新しい世代の志向とギャップが生まれ
ていたのだ。
マクラーレンは、スタイリッシュなデザインと操縦性の高さが特徴。ベッカムファミリーなど海外
セレブ御用達ブランドとしても知られている。欧米で圧倒的なシェアを持つマクラーレンに目をつ
けたのは、総合商社・野村貿易だ。B to Bが主体で小売りの経験がなかった同社は、子供
服の老舗、ファミリアと提携して日本上陸を果たす。「消費者の目線に立てば、子育てを楽しむ
ベビーカーが欲しいと思うのは当たり前。もっとベビーカーにも多様性があっていいはず。二重
価格が当たり前となっていた従来のマーケットとは一線を画し、ブランドがターゲットとする層に確
実にリーチしていく戦略を選んだ」(野村プレミアムブランズ取締役・山田英貴氏)
。2005年に
はべビーザらスと提携。現在も両チャネルで売り上げの95%を占める。
(億円)
180
140
120
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
マクラーレン販売台数推移
2007年
※実数は公表していない
販売台数が2002年比80倍に
海外ブランドブーム創出
南青山直営店オープン
(2008年)
国内大手2社による
寡占状態
SG企画による
製品の均一化
2001年
2002年
マクラーレン上陸
ファミリアにて
販売開始
べビーザらスと提携
2003年
2004年
マクラーレン南青山
東京都港区南青山4-23-9 03-3486-7534
◀ファッションデザイナー皆川明氏(左:2008年)とジューシー・クチュール(右:
2009年)とのコラボモデル。ユーザーは、他の人と一緒はいやという意識が強く、
話題性やプレミアものに敏感に反応する。ネットオークションで30万円のプレミア
がついているものもある
メディアによるプロモーションも2005年から。ママ同士のコミュニティの力はすごい。マクラーレン
は国産ブランドとは作りが全く違うので、良い面も悪い面もある。どちらも差別化ポイントではある
が、デメリットも含めてユーザーから発信してもらうほうがリアリティある情報になる」と同社プレ
ス道間恵美氏は語る。
実際のところ、マクラーレンは国産に比べて重い。子供を乗せて階段を昇り降りするには一
苦労だし、玄関先に置くことを考えると折りたたんだ時の嵩だか感が気になる。一方で、車体
に安定感があるので運転操作しやすいというメリットもある。国産に比べて持ち手が高い位置に
あるので、小型のベビーカーをやや前向きに屈みながら押す姿よりも背筋を伸ばして颯爽と歩く
ほうがかっこがつくというものだ。
また、育児担当(育児参加というよりママと分担して育児を担う意識が強い)することが当た
り前となったパパの存在も大きい。自分が押すシーンを思い描いたとき、かっこ悪いものは押した
くないのだ。もとより車好き、メカ好きな性分も手伝って、ベビーカー選びは育児用品の中でもパ
パの意向が尊重されるアイテム。「直営店では週末はパパと来店するのは当たり前。上世代で
は考えにくいかもしれないが、積極的に自ら選んでいる」(山田氏)という。
ライフスタイルまで入り込んでブランドの背景伝える
ベビーカー市場
160
100
▲グローバルモデルにシートの綿量を増やすなど日本仕様に加工を行う。
本社側も日本の消費者の目が厳しいことを理解しているので、コミュニケー
ションはスムーズだという。生産現場まで足を運んで細かく指示するので、
結果的にグローバルの生産クオリティが上がったとの評価も高い
2005年
2006年
2007年
高感度のポストバブル世代ママのコミュニティが先導
ターゲットは「ニューラグジュアリー」と名付けたポストバブル世代ファミリー。
「ターゲット像を
年収など属性ではなく、ライフスタイルイメージで捉えた。ファッション感度が高くトレンドを発信す
る人たち。ガチガチのセレブ志向というよりも、セレブに憧れを持つ予備軍」
(山田氏)
。
真っ先に飛びついたのは二子玉川や自由が丘など東京西部のポストバブル世代ママだ。投
入後すぐに、ママ同士の口コミによって人気に火がつき、公園やブログなどで情報交換され、
急速に認知が広まった。
mixi内の「マクラーレン」コミュニティは約6600人が参加し、人気モデ
ルの最新情報から盗難防止策、パパユーザーの声などが飛び交っている。試しに国内メーカー
のコミュニティが存在するか調べてみたが、いずれも存在しない。
「B to Bが主体だったこともあって、最初はマーケティングやプロモーションの予算はなかった。
南青山直営店は2008年7月にオープン。マクラーレンの全商品が並ぶほか、イベントや絵本
展スペースも備える。ブランドの世界観を発信することでブランド力を高める狙いだ。「B to Bの
ビジネスの延長では比べられないほど、直営店を持つことから得られる情報は多い。出産前か
ら足を運んでくれる夫婦も多い」
(山田氏)
、
「お客さんは、大々的にメディアで訴求しても、聞
いてくれない人たち。マクラーレンを選ぶ理由を求め、機能+αとなるブランドの背景を知りたがっ
ている。商品だけではなくて、ライフスタイルまで入り込んでいけるプロモーション、アートなど他
の切り口が求められている。イベントを通じてリアルにショップから発信していきたい」(道間氏)。
直営店の滞在時間は1 ∼ 2時間と長い。「購入の際、他社と比較するというよりは、マクラー
レンにすることは決めていて、自分の生活スタイルに合うものをスタッフに相談するお客さんがほ
とんど。最近、
『マクラーレンのベビーカーで子供と外出したいから出産しました』というお客さ
んがいてびっくり。同時にうれしかった」
(山田氏)
。マクラーレンユーザーは、ブランドに対する
期待度が高いことが特徴的だ。
発信力を強化して選ばれるブランドに
今後は、地方都市にも出向いてプロモーションを行う。2009年1月には、大阪毎日放送1Fに
て期間限定ショップを展開し、オープン日には行列ができたという。
一方で、関東ではもはやスタンダードとなった今、皆が持っているからという理由で離れていく
ことも否めない。「これからは直営店を中心に、マクラーレンのDNAを伝えるよう働きかけ、ブラ
ンドの発信力を高めたい。それが、一過性に終わらないブランド力につながる」(山田氏)
。
マクラーレン上陸から6年、約130億円規模のベビーカー市場で10%のシェアを占めるまで成
長した。「数字的にシェアを伸ばすことは目標ではないし、チャネルを増やすことも考えていない。
グローバルでは全方位的なブランディングを行っているが、日本ではセグメントされたターゲット層
に選んでもらえるように地に足をつけてブランドを育てたい」(山田氏)。
これまで保守的と言われてきたベビー・キッズマーケットは、ポストバブル世代のライフステー
ジが変わる今、モノ作りやコミュニケーションの方法を変えざるを得ない。マクラーレンの急成長
から学ぶことは多いだろう。
Fly UP