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韓国の住宅事情 その2

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韓国の住宅事情 その2
E S S A Y
ソウル報告
加藤 篤志
野村リファ資産運用
( ARES マスター M0902686 )
韓国の住宅事情 その 2
韓
94
国
(ソウル)からお届けす
たが 、複数の方から
「 ソウルで何し
るこのコラムも今回で 7
てるの?仕事してるのか」という問い
回目、2 年目に入りまし
かけをいただきましたので、今回は
た。この原稿を書いている時点で
少し
「不動産フレーバー」を入れてみ
は、過ごしやすい春の気候にも関わ
ようかと考えた次第です。
らず、花粉の影響か黄砂の影響か 、
昨年の不動産証券化ジャーナル 9
鼻炎気味の加藤
( 野村リファアセッ
-10月号において
「 韓国の住宅事
トマネジメント)です。このコラムを
情」と題して、主にチョンセという韓
お読みいただいている皆様におか
国特有の仕組みについてご紹介しま
れましては、いかがお過ごしでしょ
したが 、今回は月払い型の賃貸住
うか。
宅について書いてみようと思います。
ソウルは4月に入っても肌寒い日
と申しますのも、最近、
「日本のよう
が多くコートが必要な日もありまし
に民間賃貸住宅会社が誕生するだ
たが 、やっと暖かくなったと実感し
ろうか」と題された新聞記事を読ん
ております。また、ソウル市内の桜
だものですから。
かとう あつし
はピークを過ぎ、散ってしまっている
記事の趣旨は、民間賃貸住宅市
1989 年野村不動産入社後、
2001 年より新日本 E&Y、
2003 年より野村證券勤務。
野村證券においては J-REIT
組成サポート及びその引受、
私募不動産ファンドの組成、
不動産流動化に関するアド
バイザーを務め、一貫して
不動産金融に関連する業務
に携わる。2010 年 5 月よ
り野村リファ資産運用株式
会社に出向し、韓国に軸足
を置いた不動産アセットマ
ネジメント業務を展開。
ところが多くなっています
(東京より
場が成長した日本のように、韓国で
もやや遅い感じでしょうか)。暖か
も賃貸住宅専門の開発会社や管理
くなったことが理由ではないでしょ
会社が登場するだろうというもので
うが 、最近日本からビジネスの話で
す。その根拠として、人口構造の変
弊社にお越しになる方が多くなって
化と賃貸住宅の仕組みがチョンセ
います。
からウォルセ
(月払い)へ転換するか
さて、今回は住宅に関連すること
らだとされています。昨年のコラム
をお届けしようと思います。前回の
においても少し触れましたが 、韓国
コラムではテニスについて書きまし
の人口は近い将来減少へと転換す
ARES 不動産証券化ジャーナル Vol.07
ることが予想されておりますが 、世
著に現れているようで
帯数は増加傾向を一定期間維持し
す。横道に逸れました
ます。これは世帯人数が減少する
が、日本においては賃
ことを意味していますが 、こうした
貸住宅供給が多様な
少人数世帯が分譲ではなく賃貸住
形で行われていること
宅
(特に月払い)
嗜好を強め 、ウォル
を紹介しており、韓国
セ型賃貸住宅に対する需要が増加
においても、賃貸住宅
すると考えられています。チョンセ型
を開 発及び/または
( 借りる時に売買価格の 50%程度
管理する企業が登場
をオーナーに預け入れることによ
し 、分 譲ではなく管
り、月払い賃料等は発生しない仕組
理・運営で収益を上げ
み)では、借りる段階でまとまった
られるようになるので
資金が必要であるため住み替えが
はないか 、というトー
容易ではないことが大きな要因と思
ンで記事は書かれて
われます
(チョンセ型は次のステップ
います。
として取得を前提としているのでは
ところで、記事にお
ないかと勝手に考えています)
。
いては、重 要な視 点
また、記事においては、日本にお
が抜け落ちていること
ける賃貸住宅供給の形として、
「賃
に皆様 お気付きでは
貸住宅会社が地主の土地を活用し
ないかと思います。それは供給者側
は難しいのですが 、記事の最後に
賃貸住宅を建設する形態 」、
「 賃貸
( 記事においては
「 民間賃貸住宅会
ある大学の不動産学科教授の言葉
住宅事業者が個人の所有する住宅
社 」)にとっての事業性です
( 決して
が紹介されています。
「 都心の土地
を長期間借り、賃貸住宅事業をす
記事を批判しているわけではありま
を保有する地主たちが小型の賃貸
る事例」という2 つが紹介されてい
せんので、念のため)。事業性とい
住宅を開発することを望むが 、これ
ます。これまで韓国においては住宅
う観点を抜いては、民間で賃貸住
を実行するだけの信用力のある企
供給のほとんどは分譲型でした
(集
宅を建設し賃料で収益を上げるよう
業は多くない。日本の賃貸住宅の
合住宅形態において)
。これは、地
な会社が登場するかどうか 、なかな
開発 · 管理事業のようなサービスが
価が 右肩上がりで上昇してきてお
か判断しづらいところではないかと
行われれば、新しい賃貸管理業が
り、供給者側にとって収益性が高
思います。一方で、先に書きました
急成長するだろう」。
かったことと、需要者側も資産形成
ようにウォルセ型賃貸住宅に対する
これから、韓国のウォルセ型賃貸
の一環として所有権に対する志向
需要は高まることが予想されており
住宅のマーケットはどのような展開
が強かった
( 現在も強い)ことが理
ますので、こうした需要層をター
を見せるのか 、見届けたいところで
由として挙げられると思います。足
ゲットとする何等かの形態が登場す
す。今回は韓国の
「住宅事情その2」
元では分譲在庫の発生や、セカンダ
るのではないかとも思われます。
と題して、特にウォルセ型の賃貸住
リーマーケットが弱含んでいること
政策にも拠るところが大きいとこ
宅に関するコラムをお届けしました
などから、取得を躊躇する動きが顕
ろでもありますので、なかなか予測
が 、いかがでしたでしょうか。
ソウル市中心部に建つサービスレジデンス(やや築古)
May-June 2012
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