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(事業申請書)(PDF:121KB)

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(事業申請書)(PDF:121KB)
2.事業の目的と概要
(1)上位目標
ミャンマーの一般国民及び青少年に民主主義の意味についての教育を広め、国
家建設に役立つ基礎能力を持った人材を養成し、経済発展、特に貧困削減に寄
与する。
(2)事業の必要性(背景)
ミャンマーは、1948 年の独立後、約 10 年間は議会制民主主義が続いたが、1962
年から 1988 年まではネウインの独裁政治、1988 年から 2011 年までは軍事政権
であった。2011 年ようやく民政移管が実現し、新政府は現在真の民主国家建設
を目指して改革に努力している。
しかし、過去半世紀にわたり独裁政治が続いたため、大多数の一般国民は民主
主義の意味について正しい理解と知識を有していない。
ミャンマーが、国家再建に当たり、山積する課題に対処するためには、先ず各
方面における人材の養成が重要である。その場合、専門的技術的能力を持つ人
材の養成も重要ではあるが、国民一人一人が民主社会を築く基礎能力を持つこ
とが肝心である。すなわち、
「民主主義とは何か」について、自由、平等、義務、
責任などの意味を理解し、正しく行動できる人材の養成が必要である。
ミャンマーの指導層も、ミャンマーには民主主義の意味を誤解しているものが
多いので、第 2 次大戦後の日本での民主主義教育の事例を学びたいとして、日
本側に民主主義教育面での支援を要望している。
このような背景に照らし、ミャンマーでの民主主義教育の普及を支援すること
は緊急に必要と認められる。よって、日本での民主主義教育の教科書をミャン
マー語に翻訳し、ミャンマー語版の「民主主義」教科書を作成してミャンマー
国内に広く配布し、効果的な教育方法についても伝えることが、最も有効であ
ると考え、本事業を企画立案し、実施するものである。
なお、本事業は、日本政府の対ミャンマー経済協力方針の一つ「経済・社会を
支える人材の能力向上や制度の整備のための支援(民主化推進のための支援を
含む)」に正に合致するものであり、実施する必要性が極めて高いものである。
(3) 事業内容
第1段階:
ミャンマー政府が希望した日本の終戦直後の文部省教科書「民主主義」上下
2巻(計370頁)をミャンマー語に翻訳し、編集、製本して「民主主義教科
書」第1種とする。
さらに、最近の社会科教科書「公民」
(ミャンマーに適当な部分は計約25頁)、
及びそれら教科書に対応する教師用指導書(必要部分は約10頁)
(注:具体的
には、帝国書院、東京書籍、教育出版の3社がそれぞれ発行した文部科学省検
定済社会科教科書「公民」
、及び「教師用指導書」を利用する。
)を、ミャンマ
ー語に翻訳し、ミャンマー語の「民主主義教科書」第2種、及び「教師用参考
書」
(注:「指導書」ではなく「参考書」として、押し付けの印象を避ける)を
編集、製本する。
また、これらの翻訳及び製本を行なうに当っては、著作権問題をクリアするた
め、上記3社の教科書及び指導書の利用許諾申請の手続きを行なう。
第2段階:
ミャンマー語版「教科書」第1種及び第2種を作成後、その試作版をミャン
マー政府に示して、賛同の評価を得る。先方がその内容に納得した後に、それ
ら教科書をどのような場で、如何に使うかにつき、先方の希望と当方の提案と
を照合し、第1次としての印刷部数を決定する。
当方の提案としては、
「教科書」第1種は、民主主義に関する総合的な基本書
として、主要な政府機関、議会、大学、学校、または団体の図書館等への配布
用とする。従って、例えば300部を印刷、製本し、配布後の評価を見て、第
2次の印刷部数をミャンマー側と相談する(合計約800部を予定)
。
「教科書」第2種は、一般用として政府職員、国会議員、大学及び学校の教
師、学生、生徒等に自習または教科書として広範囲の配布用とする。従って、
例えば2000部を印刷、製本し、配布後の評価を見て、第2次の印刷部数を
ミャンマー側と相談する(合計約15,000部を予定)
。
「教師用参考書」は、
「教科書」第2種を配布した大学及び学校の教師用、並
びに、団体または講義集会の講師への配布用とし、例えば、第1次として50
0部を印刷し、製本する(合計約1500部を予定)
。
第1次の印刷、製本が完成した後に、政府代表及び関係指導層を招待し、教
材の贈呈式を開催する。
第3段階
「教科書」第2種及び「教師用参考書」の配布を受けた大学、学校等の教師、
及び団体や講義集会の講師の中の適当数の者を対象にワークショップを開催
し、如何に効果的に民主主義教育を行なうかについて、
「教師用参考書」の指針
に基づいた講習を実施する。講習の講師は日本から派遣する。
ワークショップ開催の場所、回数、対象人数等については、ミャンマー
側と協議して最終決定するが、効率を高めるため、当初は人口の多い都市部に
モデル地区を選定し、集中的に本事業を実施する。
各都市における概ねの開催回数、参加人員の目安は次の通り。
(4)持続発展性
開催場所
回数
延参加人員
ヤンゴン
3
600
マンダレー
2
400
ネピドー
2
400
計
7
1,400
この事業は、国民一般、国会議員、政府職員及び将来の国家を担う青少年を
対象に、ミャンマー語で簡潔に記述された民主主義教材(いわば、民主主義読
本)を幅広く全国に配布し、民主主義を正しく理解させる方策を継続的に実施
する予定にしている。
同時に、民主主義教育を行う教師や講師への指導を行うワークショップを開
催し、質の高い教育者が育成されることを併せて重視している。それにより、
本事業で研修を受けた教育関係者は、配布された「教科書」をもとに、国内の
地方での民主主義教育の普及にも貢献することが可能となり、それは本事業の
効果の持続性と発展性を示すことになる。
また、本事業で提供された民主主義教科書の内容が、今後ミャンマーで作成
される教科書や他の出版物あるいはラジオ、テレビ等で紹介、あるいは引用さ
れることも期待される。
すなわち、本事業は、民主主義教育の相乗効果が内容、地域ともに拡大して
行くことが期待される実際的で有効な方策であると信じる。
(5)期待される成果と成果を測
る指標
1、期待される成果
本事業により直接教材の提供を受ける約 15,000 名に上る学生、生徒、教
育関係者及びワークショップを受講する 1,400 名の教育関係者や政府関係
者等が、民主主義についての正しい知識と理解を深めるとともに、その知識や
理解を知人、友人等に伝え、さらに国内各地での普及にも努めることにより、
ミャンマーの民主化が全国的に正しい方向で円滑に進む効果を生むことが期待
される。
2、成果を測る指標
(1)本事業を通じての教材の配布を受ける者は約 15,000 名。
並びにワークショップを受講する者が約 1,400 名、更にその教材が回覧され
ることにより知識を得る者、受講教育者から民主化教育の授業を受ける者を
入れると、本事業の裨益者何万人にも上るであろう。
それらの中から、生徒、学生、教育者、政府関係者等々、階層毎に例えば
200 名、合計1,000名を選び、アンケート調査を行い、本事業の成果の
定着度合いとその効果を多面的に評価する。
尚本事業の成果を測るアンケート調査の結果、評価基準として概ね 70%
の理解度を目標とする。
(2)評価すべき本事業の成果は、短期的には、本事業への参加者が、民主主
義の意味についての知識や理解を深めることができたか否かである。
中期的には、幅広い地域において教師自身あるいは教育関係者の組織等
が、本事業のワークショップを参考に同様の講座や講演会を各地で開催する
など、国内の地方まで民主主義教育が浸透することに貢献しているか否かで
ある。
また、本事業の教材の内容が、国内で作成される教科書、雑誌、新聞、テ
レビ等に反映され、一般国民及び青少年の民主主義についての正しい知識と
理解の普及に寄与しているか否かの点もある。
(3)長期的には、国家建設に役立つ基礎能力を持った人材の養成により、
経済発展、特に貧困削減に寄与したかの点である。すなわち、①政治、経済、
社会各分野での国民の活動が、公正で、生き生きとした積極性に満ち、前向
きに進展したか。②その結果、生産性が向上し、経済が発展し、国民の貧困
層が減少したか等の点である。
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