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骨盤MRI検査( PDF 1103kB)

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骨盤MRI検査( PDF 1103kB)
2010年10月
N―301
研修コーナー
5.画像診断
1)骨盤 MRI 検査
2)骨盤 CT 検査
3)妊婦に対する放射線検査,MRI 検査
1)骨盤 MRI 検査
・MRI とは Magnetic Resonance Imaging
(磁気共鳴画像)
の略であり,コイルに電流を流して磁場
を発生させて撮影した画像である.
・骨盤部では MRI を,腹部では CT を第一選択にする.
・T1強調画像では T1が長いほど磁化の回復が遅れるため信号が低く
(黒く)
,T2強調画像では T2
が長いほど磁化の減衰が遅れるため信号が高く
(白く)
描出される.T1と T2の組み合わせで組織
の成分が推定できる.
MRI 読影のコツ
T1 low,T2 high は 1 つ
①尿,胆汁,膵液といった液体
生体内では液体成分が最も T1,T2が長いため,尿,胆汁,膵液といった液体成分は,T1強調画
像では真っ黒く,T2強調画像では真っ白く描出される.
T1 high は 2 つ
①脂肪
②血腫
たまにタンパク成分に富むものもあるので,卵巣囊腫で T1 high なら類皮囊胞腫か子宮内膜症性囊
胞,まれにタンパク成分に富む卵巣囊腫があげられる.
T2 low は 4 つ
①線維成分→子宮筋腫を含んだ fibroma
②筋肉由来→子宮筋腫.しかし変性を起こすと T2 high になる
③血腫→T1 high+T2 low が典型的.T2 low の血腫は T1 high の血腫より新鮮である.
④ヘモジデリンなどの沈殿物
子宮筋腫
研修コーナー
N―302
日産婦誌62巻10号
研修コーナー
・T2強調画像で T2 low
・子宮体部前壁から外方性に突出する充実性腫瘤
(→)
・小さな筋層内筋腫もある
(矢頭)
・境界明瞭
・有茎性漿膜下筋腫の場合は T2 low の卵巣腫瘍と鑑別
→両側卵巣が存在するか確認する
→T2 low の卵巣腫瘍には,線維腫,莢膜細胞腫,Brenner 腫瘍,顆粒膜細胞腫,Krukenberg
腫瘍,内膜症性囊胞,卵巣甲状腺腫がある
・小さいが多発性の子宮筋腫
(矢頭)
・子宮内膜は白い
(←)
子宮腺筋症
・子宮体部後壁の筋層は T2 low
・子宮筋腫との鑑別は T2強調画像で低信号域の境界が不鮮明
・内部に点状の T2 high 高信号の散在する像(←)
・子宮筋腫の変性の場合の T2 high は高信号域がもっと広く大きい
研修コーナー
2010年10月
N―303
研修コーナー
・血液成分は T1 high の点状高信号域を示すこともある
・CT では,単純,造影のいずれにおいても特異的な画像を描出するのが困難
・子宮体部前壁の筋層は T2 low
類皮囊胞腫
(成熟囊胞性奇形腫)
・T1強調画像
(右)
で皮下脂肪と同じ高信号域の境界明瞭な囊胞性病変
・脂肪抑制 T1強調画像
(左)
で高信号が抑制される→内膜症性囊胞との鑑別
漿液性囊胞腺腫
・T1(左)
low,T2(右)
high
・壁の肥厚なし
研修コーナー
N―304
研修コーナー
・充実部なし
内膜症性囊胞
・T1強調画像
(左)
で皮下脂肪と同じ高信号域の境界明瞭な囊胞性病変
・脂肪抑制 T1強調画像で高信号が抑制されない→類皮囊胞腫との鑑別
・T2強調画像
(右)
での囊胞背側に信号低下が起こる→shading と呼ばれ特徴的
卵巣粘液製囊胞腺腫
左:脂肪抑制 T2強調矢状断像,右:脂肪抑制 Gd 造影 T1強調矢状断像
・薄い壁で構成される囊胞性腫瘤
・各囊胞性の大きさがさまざま
・壁は造影されている
・薄く平滑であり
・壁が集簇したようにみえる部分
(←)
は境界悪性
卵巣卵管膿瘍
左:脂肪抑制 T2強調矢状断像,右:脂肪抑制 Gd 造影 T1強調矢状断像
研修コーナー
日産婦誌62巻10号
2010年10月
N―305
研修コーナー
・厚い壁で構成される囊胞性腫瘤→卵巣卵管膿瘍
・卵管が高度に拡張
・壁は厚く造影→炎症性の肥厚
卵巣がん
(卵巣明細胞腺癌)
左:脂肪抑制 T2強調矢状断像,右:脂肪抑制 Gd 造影 T1強調矢状断像
・囊胞壁に充実性成分を有する腫瘤
・単房性の囊胞の腹側に粗大な結節が存在
・造影されている
(矢印)
・内膜症性囊胞に由来する明細胞癌
子宮頸がん
T2強調矢状断像
・子宮頸部を占拠する T2 high
(矢印)
研修コーナー
N―306
日産婦誌62巻10号
研修コーナー
子宮体がん
左:MRI
T2強調像 右:MRI 造影 T1強調像
(ダイナミック造影)
・T2強調像で年齢不相応な内腔の拡大
(患者年齢を記入してください)
・正常子宮内膜よりも低信号を示す子宮体癌
(矢印で示してください)
・Junctional zone は保たれている
・腫瘍―筋層境界は整
・ダイナミック造影の一コマで,後壁側の subendometrial enhancement(SEE)
が明瞭
(矢印)
・前壁側では SEE が不明瞭
・SEE の所見から筋層浸潤の疑い→子宮体癌 pT1b
2)骨盤 CT 検査
CT には以下の 3 種類があるが通常の臨床で用いるコンベンショナル CT について述べる.
コンベンショナル CT(大根の輪切り的画像)
シングルスライスヘリカル CT
ヘリカル CT
(りんごの皮むき的画像) マルチスライスヘリカル CT
上腹部では CT を骨盤部では MRI を第一選択にする.
類皮囊胞腫
研修コーナー
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