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スミターマルシステムの設計

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スミターマルシステムの設計
技 術 資 料
D.スミターマルシステムの設計
D-1
設計方法の概要
設計方法の概要
スミターマルシステムの設計は、大別すると熱設計と電気設備設計とに分かれる。
設計に当たっては電気設備技術基準及び内線規定に準拠して設計を行う。
設計手順
1.設計条件の設定
・最初にスミターマルシステムの設計条件の設定を行う。
電力種別:業務用蓄熱調整契約電力、深夜電力、時間帯別電灯等の夜間電力
建物条件:部屋寸法、壁体構造、断熱仕様等
床暖房設置可能範囲
室内条件:室内使用温度、部屋使用用途、暖房使用時間、補助暖房の有無等
気象条件:厳寒月(1月)の日平均月平均温度等
2.システムの選定と設備容量の設定
・建物構造、部屋使用条件等からスミターマルシステムの種類を選択する。
・設備の敷設可能数量を考慮して設備容量[蓄熱材枚数、ヒーター容量]を設定する。
3.熱設計による暖房性能評価
・熱設計により建物の暖房負荷を推定して室内温度、床表面温度及び暖房可能時間等のシステムの
性能予測を行う。
・予測した性能が設計条件を満足しない場合は設備容量の変更、建物の断熱仕様の変更、補助暖房
の併用等を検討する。
4.システム設計
・蓄熱 体、ヒーター等の敷設設計と施工断面設計を行う。
・制御盤及び二次側電気工事の設計を行う。
5.経済性検討
・設備費及び維持費等の計算と評価を行う。
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技 術 資 料
D.スミターマルシステムの設計
D-2
スミターマルシステム標準設計仕様
連続暖房
スミターマルシステムは、夜間電力を利用して潜熱蓄熱体スミターマルやコンクリートに蓄えた熱を昼
間連続して放熱するため、長時間暖房を必要とする連続暖房に適したシステムである。暖房時間が短い
場合、または部分的な床暖房には非蓄熱式のスミウォーマーが適している。
室内温度
室内温度はその部屋の使用目的、人員、生活様式等により温度に多少の違いはあるが、スミターマル
システムでは通常は18℃位を目安に設計をする。参考のため推奨される室内温度を以下にまとめる。
部 屋 用 途
住宅
標準設計室内温度
部 屋 用 途
標準設計室内温度
居
間
18~20 ℃
保育園
遊戯室
15~17 ℃
厨
房
16~18 ℃
学校
教
室
16 ℃
寝
室
13~15 ℃
学校
講
堂
16 ℃
老人室
18~22 ℃
病院
病
室
18 ℃
子供室
16~18 ℃
福祉施設
居
室
18~20 ℃
玄関ホール
13~14 ℃
廊
下
16 ℃
※電気床暖房自主基準 第二編 施設型電気床暖房設計・施工基準より抜粋
床表面温度
床表面温度は温度が低ければ暖房感が弱くなり、温度が高すぎると不快感が生じるため、23~29℃
位が適温とされている。スミターマルシステムでは通常は25℃位を目安に設計する。
敷設率
床暖房はマイルドな暖房方式のため、快適な居住空間を得るためには可能な限り敷設することが望まし
い。床暖房を主暖房とする場合は、床暖房敷設率は一般的には65%以上にする必要がある。
補助暖房を併用する場合
敷設率が65%以上確保できない場合、また住宅等で室内温度の細かな制御が必要な場合は補助暖房の
設置が必要となる。スミターマルシステムと補助暖房との併用で室内温度を確保する場合は、原則的に
補助暖房は連続運転とする。補助暖房を停止し室内温度が低下するとスミターマルシステムからの放熱
量が多くなり暖房時間が短くなるので、補助暖房の運転方法に注意が必要となる。
その他
・プールサイドや浴室等水廻りでヒーターを使用する場合は、ヒーター線にアース機能が内蔵された銅
編組スダレヒーター線を使用する。その際、ヒーター線や温度センサーが高濃度の洗剤等で浸されな
いように床断面構造や運用方法の検討が必要となる。
・精密機器など微弱な磁界でも影響する機器を使用する部屋でヒーターを使用する場合は、導体と発熱
体を一体化した磁界抑制スダレヒーターを使用する。
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技 術 資 料
D.スミターマルシステムの設計
D-3
建物の仕様
建物の断熱について
床暖房で、満足すべき室内環境を保つためには、総熱負荷を小さくする必要がある。
断熱仕様の詳細は、寒冷地など地域によって異なるが、省エネルギーの観点からもできるだけ断熱性能
をよくすることが求められる(断熱が良いほど暖房にも冷房にも省エネルギーとなる)。18℃前後の
室内温度を確保するためには、床暖房対象室の暖房負荷を58W/m2 以下にすることが望ましい。
以下にスミターマルシステムで推奨する建物断熱仕様をまとめた。
壁
体
屋外に面する壁
屋根・天井
床下
窓ガラス
断熱材の目安
フォームポリスチレン
備
考
30mm 以上または
グラスウール24K
100mm 以上
グラスウール24K
100mm 以上または
フォームポリスチレン
30mm 以上
フォームポリスチレン
50mm 以上または グラスウールでは将来脱落等による断
硬質ウレタンボード
30mm 以上
ペアガラス または 二重サッシ
熱低下の可能性有り
夜間厚手のカーテンをひくことを推奨
コールドドラフトの防止
吹きぬけ、トップライトなどガラス面から下降してくる冷気をコールドドラフトといい、床暖房の効果
を減殺させる。そのため二重サッシにしたり、カーテンによりコールドドラフトを防止する必要がある。
大きなコールドドラフトが発生する場所には、補助暖房を設置する等の対策が必要である。
床仕上げ材の選定について
スミターマルシステムでは、熱抵抗の大きな床仕上げ材を選定すると、蓄熱体から室内への十分な放熱
が行われず、結果として室内温度、床表面温度が下がり床暖房の効果が得られなくなる場合がある。
特に厚みの割に熱抵抗が大きいフローリング、カーペット、コルクタイル、などの床仕上げ材の選定に
は注意が必要である。
床暖房設置厚みについて
床暖房を設置する床と設置しない床とレベルをあわせるために、床暖房する場所の床は方式に応じた厚
みだけ床構造を下げる必要がある。必要床厚みは、システム別床断面図を参照する。
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技 術 資 料
D.スミターマルシステムの設計
D-4
建築材料の熱伝導率
建築材料の熱伝導率
材
料
熱伝導率
名
W/(mK)
備考
材
料
名
熱伝導率
W/(mK)
セメントモルタル
1.5
住宅用グラスウール断熱材 (10K)
0.05
コンクリート
1.6
住宅用グラスウール断熱材 (16K)
0.045
軽量骨材コンクリート
1種
0.81
住宅用グラスウール断熱材 (24K)
0.038
軽量骨材コンクリート
2種
0.58
住宅用グラスウール断熱材 (32K)
0.036
軽量気泡コンクリートパネル
0.17
高性能グラスウール断熱材 (16K)
0.038
普通レンガ
0.62
高性能グラスウール断熱材 (24K)
0.036
耐熱レンガ
0.99
吹込み用グラスウール (GW-1)
0.052
JIS A 5416
銅
370
吹込み用グラスウール (GW-2)
0.052
アルミニウム合金
200
吹込み用グラスウール (30K)
0.04
鋼材
53
吹込み用グラスウール (35K)
0.04
鉛
35
住宅用ロックウール断熱材
0.038
ステンレス鋼
15
ロックウールフェルト
0.049
フロートガラス
1.0
ロックウール保温板 (1号)
0.044
アクリルガラス
0.2
ロックウール保温板 (2号)
0.043
PVC(塩化ビニル)
0.17
ISO/TC163
吹込み用ロックウール (25K)
0.047
ポリウレタン
0.3
N293E
吹込み用ロックウール (35K)
0.051
シリコン
0.35
ロックウール化粧吸音板
0.058
プチルゴム
0.24
吹付けロックウール
0.047
1種(檜・杉・えぞ松等)
0.12
ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板 (特号)
0.034
2種(松・ラワン等)
0.15
ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板 (1号)
0.036
3種(ナラ・サクラ・ブナ等)
0.19
ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板 (2号)
0.037
天然
木材
合板
0.16
JIS A 5404
ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板 (3号)
0.04
断熱木毛セメント板
0.10
JIS A 5417
ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板 (4号)
0.043
木片セメント板・ハードボード
0.17
JIS A 5905
押出法ポリスチレンフォーム保温板 (1種)
0.04
パーティクルボード
0.15
JIS A 5908
押出法ポリスチレンフォーム保温板 (2種)
0.034
せっこうボード
0.22
JIS A 6901
押出法ポリスチレンフォーム保温板 (3種)
0.028
せっこうプラスター
0.6
JIS A 6904
硬質ウレタンフォーム保温板 (1種1号)
0.024
漆喰
0.7
硬質ウレタンフォーム保温板 (1種2号)
0.024
土壁
0.69
硬質ウレタンフォーム保温板 (1種3号)
0.026
繊維質上塗材
0.12
JIS A 6908
硬質ウレタンフォーム保温板 (2種1号)
0.023
畳床
0.11
JIS A 5901
硬質ウレタンフォーム保温板 (2種2号)
0.023
タイル
1.3
JIS A 5209
硬質ウレタンフォーム保温板 (2種3号)
0.024
プラスチック(P)タイル
0.19
JIS A 5705
吹付硬質ウレタンフォーム (現場発泡品)
0.026
A級インシュレーションボード
0.049
フェノールフォーム保温板 (1種1号)
0.033
タタミボード
0.045
フェノールフォーム保温板 (1種2号)
0.03
シージングボード
0.052
フェノールフォーム保温板 (2種1号)
0.036
吹込み用セルローズファイバー断熱材
0.04
フェノールフォーム保温板 (2種2号)
0.034
JIS A 5905
JIS A 9523
※(財)建築環境・省エネルギー機構「住宅の次世代省エネルギー基準と指針」より抜粋
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備考
JIS A 9521
JIS A 9523
JIS A 9521
JIS A 9504
準用
JIS A 9523
JIS A 6301
JIS A 9511
JIS A 9511
JIS A 9526
JIS A 9511
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