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買売春と労働概念
買売春と労働概念 日 時 2002 年7月6日(土) 13:00∼18:00 会 場 創思館 1F カンファレンスルーム 第一部 報告 買売春と労働概念 司 会 姫岡とし子(立命館大学) 報 告 江原由美子(東京都立大学) 池内 靖子(立命館大学) 小倉 利丸(富山大学) 第二部 シンポジウム 性労働を考える 司 会 中川成美(立命館大学) コメント 田崎 英明(立命館大学) 山家 悠平(立命館大学大学院) 金 水島 友子(立命館大学大学院) 希(京都大学大学院) 労働のジェンダー化 パート2 「買売春と労働概念」の開催にあたって 昨年 12 月、本研究所では「労働のジェンダー化」と題して、女性労働の諸状況をとりまくジェン ダー概念の労働現場への浸透を、社会学、法学、文化表象の多面的なアプローチから考察するシンポ ジウムを開催しました。各界のパネリストやコメンテーター、そして多数の参加者によって熱気に溢 れた討論が交わされ、問題の諸相があらわになったことは、開催者として非常に喜ばしいものでした。 しかし、一方に問題の端緒は今解きほぐれだしたのだという観を強くもしました。問題が複雑にから まりながら、女性の労働を規定しているのではという疑問は、例えば今回企画しました買売春をめぐ る社会言説を分析していく途上でいつも繰り返されているのです。 日本において、明治近代以降の廃娼運動や人道的女性保護、売春禁止法にみられたアプローチは、 女性の純潔や貞操といった観点から、被害者として女性をみる視点が圧倒的でした。しかし、そうし た強者としての買う男性と、弱者としての売る女性という構図の転換を試みる潮流が、1970 年代以降 のフェミニスムの中から生まれ出ました。その一つが自立的な労働として買売春を見直そうという立 場から、セックス・ワークをサーヴィス労働・感情労働の一種として位置づけようという「性の商品 化」論です。 買売春問題は現在こうした概念規定の困難につきあたっています。売春が世界最古の女性職業とい ったような俗言であらわされてきたのは、まさしくジェンダーが職業を規定し、 「自然化」されてきた ことを如実に示すものです。それは一方に、買う側をも「自然化」して何も疑問を持たなかった長い 歴史を問い直さなければならないということでもあります。買う性として固定化されてきた男性のセ クシュアリティをも、再審問することによって見えてくる情景は、どのようなものでしょうか。今回、 私たちをとりまく政治・社会・文化の諸条件の中で、真正面からこの問題に立ち向かっているパネリ ストを迎え、共に買売春と労働概念について考えてみたいと思います。 多くの参加と、徹底した討論を期待します。