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EVO Commodity Report
Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 8 月 12 日発行 6 月の公的機関の金準備は 2 ヶ月連続で増加! ●6 月の公的機関の金準備は、前月比 2.7 トン増加 国際通貨基金(IMF)が既に発表しているデータの確認となるが、有力産金業界団体のワールド・ゴールド・カウン シル(WGC)が、IMF のデータを基に 8 月 6 日に発表したレポートによると、5 月の公的機関の金保有は 3 万 1,956.0 トンとなり、前月比 2.7 トン増加。2 ヶ月連続で増加となった 国別にみると、目を見張るの市場の注目を集めた中国で前月比 604.0 トン増加。また、ロシアは同 24.1 トン増と なり、4 ヶ月連続で増加している。カザフスタンは同 2.3 トン増となり、19 ヶ月連続で増加。債務問題で揺れるギリシ ャも同 0.1 トン増加となった。また、豪州が同 0.1 トン、セルビアが同 0.2 トン、ブルネイが同 0.1 トン、残高の増減が 激しいモンゴルが同 0.7 トン増となっている。 一方で、ドイツが同 2.4 トン減少、トルコは同 1.8 トン減少、メキシコが同 0.1 トン減少するなど、お馴染みの国が 金の売却に動いた他、フィリピンが同 0.1 トン減少、デンマークが同 0.1 トン減少、モロッコが同 0.1 トン減少させて いる。 ●公的機関の金準備 保有ベスト 100 で前月から増加した国(前月比) 中国(+604.0 トン)、ロシア(+24.1 トン) カザフスタン(+2.3 トン)、ギリシャ(+0.1 トン) 豪州(+0.1 トン)、セルビア(+0.2 トン) ブルネイ(+0.1 トン)、モンゴル(+0.7 トン) 保有ベスト 100 で前月から減少した国(前月比) ドイツ(-2.4 トン)、トルコ(-1.8 トン) フィリピン(-0.1 トン)、メキシコ(-0.1 トン) デンマーク(-0.1 トン)、モロッコ(-0.1 トン) EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 1 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 8 月 12 日発行 ●公的機関の金準備増減と NY 金の動き 世界公的機関の金購入と NY 金の動き ドル建て金価格の 6 月の平均価格は 1,181.2 ドル となり、前月(1,198.6 ドル)から下落。7 月は 1,130.0 ドルまで下落しただけに、3 ヶ月連続で公的機関が 金準備を増加させている様だと、金の下支え要因と して意識され始めるだろうか。 なお、金保有国ベスト 100 で前月から増加させた 国は 8 ヶ国、一方減少させた国も 6 ヶ国となり、増加 させた国が上回った。 米国の早期利上げ観測が拡大し、ドル独歩高とな 国別 公的機関の金購入推移 る中、金価格は下落基調にあるが、一方でユーロ安 が続いているため、金を購入する動きが出ている様 だ。 NY 金 平均価格 公的機関の金保有残高 高 値 安 値 世界合計 前月比 増加した国 減少した国 2014 年 7 月 1,311.6 1,346.8 1,281.3 31,866.1 54.1 5 5 8月 1,296.7 1,324.3 1,273.4 32,004.8 138.7 11 3 9月 1,296.7 1,290.9 1,204.3 32,056.5 51.7 12 2 10 月 1,223.6 1,255.6 1,160.5 32,139.1 82.6 11 3 11 月 1,177.2 1,207.6 1,130.4 32,099.2 -39.9 6 3 12 月 1,200.4 1,239.0 1,141.7 31,977.6 -121.6 6 7 2015 年 1 月 1,253.1 1,307.8 1,167.3 32,033.3 55.7 9 5 2月 1,225.8 1,286.5 1,190.0 31,997.4 -35.9 3 7 3月 1,177.8 1,223.0 1,141.6 31,957.5 -39.9 9 5 4月 1,199.8 1,224.5 1,174.1 31,949.0 -8.5 6 3 5月 1,198.6 1,232.0 1,168.4 31,953.3 4.3 6 6 6月 1,198.6 1,232.0 1,168.4 31,956.0 2.7 8 6 (単位:トン、ドル/トロイオンス、平均価格は終値ベースで計算、公的機関の増加・減少国はベスト 100 位以内、WGC のデータを基に ERI 作成) EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 2 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report ●ロシアの金準備 平成 27 年 8 月 12 日発行 ●カザフスタンの金準備 ロシア中銀は外貨準備高の 10%まで金を積み増 カザフスタンの金準備は 6 月時点で 205.7 トンとな す方針を示し、2007 年から実際に積極的に金を買い り、前月比 2.3 トン増加。19 ヶ月連続で増加となって 付けているが、6 月時点の金準備は 1,275.0 トンとな いる。 り、前月比 24.1 トン増加。4 ヶ月連続で増加となった。 ●トルコの金準備 トルコの金準備は 6 月時点で 504.7 トンとなり、前 月比 1.8 トン減少となっている。 ●アゼルバイジャンの金準備 アゼルバイジャンの金準備は 6 月時点で 30.2 ト ン。8 ヶ月連続で前月比変わらずとなっている。 トルコ中央銀行は、2011 年から準備預金制度の 商業銀行の預け入れ義務を金でも可能としており、 増減が激しくなっている。 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 3 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 8 月 12 日発行 ●ロシアの外貨準備と金の割合推移 ロシアの外貨準備と金の割合推移 ロシアの外貨準備(金を含む)は、米欧がロシアへの 経済制裁を強化する中、減少傾向が続いているが、ロ シア中央銀行によると同国外貨準備は 7 月末時点で 3,576.26 億ドルとなり、前月末比 39.45 億ドル減少となっ た。 原油安や米欧が経済制裁を強めていることに加え、 米国の年内利上げ観測が拡大する中、ルーブルの下 落が続いており、8 月 3 日には対ドルで大幅続落とな り、2 月下旬以来 5 ヶ月ぶりに 1 ドル=63 ルーブルの大 台まで下げて来ている。そのため、同中銀はルーブル防衛のため市場介入を行っていると見られ、保有金やパラジ ウム在庫放出の噂は根強い。なお、6 月末時点の外貨準備に占める金の割合は 13.3%で前月比 0.1%低下した。 ●中国の金準備は 6 月末時点で 1,658.25 トン!前回発表時から 604 トン増加に留まる 中国人民銀行(中央銀行)は 7 月 17 日に、6 月末時点の金準備が 1,658.25 トンとなり、前回、保有量の調整が行 われた約 6 年前に比べ 57%増加したと発表。重量ベースでは増加したものの、中国の外貨準備全体に占める金 の割合は 2009 年 6 月の 1.8%から 1.65%に低下している。ただ、中国人民銀行は外貨準備おける金の割合を 10% まで引き上げる目標を示しており、その方針に変更は無いと見られている。 人民銀は、金投資がリスク管理に有用との認識を表明。「金の資産評価と価格変動に関する分析を踏まえると共 に、市場の混乱を引き起こさないとの前提に立ち、国内外の様々な経路を通じて金保有量を着実に積み増した」と している。前回の調整から増加した 604 トンは、時価で 219 億 6,400 万ドル相当で、中国の外貨準備高の安全性や 流動性、評価額を保証するのに役立つとみられている。金保有高を将来調整するかどうかについては、引き続き柔 軟に判断する方針とした。中国は人民元の国際通貨化に向けて国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の 構成通貨入りを目指しており、準備通貨としての人民元の地位向上を後押しする目的があったと見られている。 今回発表された数字を WGC の発表に照らし合わせると、中国 ●中国の金準備 の金保有量はロシアを抜いて米国、ドイツ、IMF(国際通貨基 金)、イタリア、フランスに次ぐ世界 6 位。中国は世界最大の金生 産国である一方、輸出を禁止している。また、金準備について国 家秘密とし、IMF への報告を行っていないことから、金準備につ いては以前から様々な臆測が飛び交い、市場では 3,000 トン以 上保有しているとの見方もあっただけに、予想よりも低い水準に 留まったとの見方が多い様だ。 なお、外貨準備の構成比率を前回調整したのは 2009 年 4 月 で、金準備を 600 トンから 1,054.1 トンに引き上げている。 EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 4 Evolution Japan Co., Ltd. EVO Commodity Report 平成 27 年 8 月 12 日発行 ●2015 年第 2 四半期の公的購入は同 61.9%減の 45 トン 貴金属調査会社トムソン・ロイターGFMS が 7 月 28 日に公表した「GOLD SURVEY 2015:Q2 REVIEW & OUTLOOK」によると、2015 年第 2 四半期(4-6 月)の公的購入は同 61.9%減の 45 トンとなり、前期(135 トン)から 購入量は大幅に減少となった。 (8 月 12 日 ERI 大湖 一樹 記) 本レポートは EVOLUTION 総研株式会社(以下「ERI」という)が情報提供を目的として作成したものであり、投資その他の行動を勧誘する ものではありません。本レポートは信頼できると思われる情報に基づき作成されておりますが、ERI はその正確性及び完全性に関して責任 を負うものではありません。また、記載された内容は作成時点のものであり、予告なく変更する場合があります。投資に係る最終決定はお客 様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 Copyright © EVOLUTION RESEARCH INSTITUTE CO.,LTD All Rights Reserved. EVOLUTION JAPAN Co.,Ltd. 5