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スーパービジョンへの誘い - 聖学院学術情報発信システム「SERVE」
スーパービジョンへの誘い 聖学院大学人間福祉スーパービジョンセンタ}発足会報告集 2 0 0 8 . 3・ 1 聖学院大学 人間福祉スーパービジョンセンター 聖学院大学総合研究所人間福祉学研究センター 聖学院大学人間福祉学部人間福祉学科 目 次 目次 I はじめに 2 中村磐男 スーパービジョンとはなにか? はじめに スーパービジョンの目的・意義 4 スーパービジョンの場と契約上の諸問題 教育するのか 3 柏木昭 4 スーパービジョンの力動的関係 13 5 スーパービジョンは教育的機能がある。何を 6 スーパーバイザーの支持 7 スーパービジョンをめぐる諸課題 9 スーパービジョンの方法 10 14 まとめ 卒業生シンポジウム 15 「今、実践の中で、困っていること、そしてスーパービジョンセンターへ期待すること」 シンポジスト 吉田 亮介 ( 0 9 7 W・1期生/精神保健福祉士) 岡安努 ( 0 9 8 W・2期生/精神保健福祉士) 森本浩平 ( 1 0 3 W・6期生/精神保健福祉士) 司会相川章子 16 シンポジスト紹介 今 実践のなかで、園っていること スーパービジョンセンターに期待すること 16 22 聖学院大学人間福祉スーパービジョンセンタ一概要説明 24 スーパーパイザー自己紹介 27 助 川 征 雄 先 生 27 慶 江 仁 先 生 28 田 村 綾 子 先 生 30 意見交換会 33 おわりに牛津信忠 34 参加者からの言葉 36 参加の動機 37 参加しての感想 37 現在、実践の中で、困っていること スーパービジョンセンターに対する要望・期待 42 4 1 はじめに また、パンフレットに対象者として「関 皆さん、こんにちは。お久しぶりで、懐 係者J という表現があります。この関係者 かしいお顔を拝見してうれしく思います。 というのは順次広がって、やがて卒業生が 案内書の中にパンフレットが入っている かと思います。このスーパービジョンセン 勤めておられる職場の方でありますとか、 ターの構想は、相川章子先生を中心に、プ あるいは助川先生が本学赴任前に教授され ログラム等につきまして、大学院の柏木昭 た方々、あるいは、スーパーバイザーのお 先生のご指導もいただいて作成しました。 知り合いの方などを想定しております。最 実施の主体は、聖学院大学総合研究所人 初からあまり手を広げてしまうと先生方の 間福祉学研究センターであります。そこに、 負担が大きくなりすぎて、できなくなって 聖学院大学人間福祉学科、大学院人間福祉 しまうと思いますので、最初は関係者と、 学研究科が共催として加わっております。 すこし限定的ですが、決してクローズな会 学校法人全体から申し上げますと、総合研 とする意図はございません。その辺はご理 究所の補助事業と位置づけ、予算をいただ 解し、ただければと思います。どうぞよろし いて開催しております。 くお願いいたします。 大学としては相川先生、助川征雄先生、 牛津信忠先生、それから大学院から柏木先 中村磐男(聖学院大学大学院人間福祉学研究科教 生、そして総合研究所との連絡役として私 授・学部長/総合研究所人間福祉研究センター副セ がコーディネーターをさせていただいてお ンター長) ります。 それからもう一点、人間福祉学科の先生 方からも、全体的に精神保健のほうに少し シフトしていないかというご意見もありま した。しかし、スーパーバイザーとしてご 担当される先生方、それぞれ大変ベテラン の先生方であります。必ずしも精神保健の 分野だけでなく、現に社会福祉士として相 談業務等に当たっている方にも対応できる と思っております。 2 0 8 / 3 / 1 スーパービジョンとは何か svc発会式 聖学院大学大学院人間福祉学研究科 柏木昭 聖学院大学大学院人間福祉学研究科教授。 1954年 6月ボストン大学スクール・オブ・ソーシャ ルワーク卒業。マスター・オブ・サイエンス・イン・ソーシャル・サービス(ボストン大学)、日本 2 0 0 1年 現在)、日本社会福祉学会名誉会員、日本デイケア学会 精神保健福祉学会名誉会長 ( 2 0 0 2年 現在)、日本精神衛生学会員(19 8 5年 現在)、日本精神障害者リハビリテ 理事長 ( ーション学会員 ( 1 9 9 5年 現在)、著書は、「ケースワーク入門 J r 精神科デイケア J r スーパ ービジョン J r 新精神医学ソーシャルワーク」他。 3 引はじめに イエント ( C 1 ) にかかわろうとしたか、迷 いがあったとすればそれはどうしてなのか 筆者は東京都医療社会事業協会のスーパ ービジョン制度を立ち上げたひとりです。 等が討議の中で主として採用される課題と 1963(昭和 3 8 )年のことでした。今日のよう なっています。 な定形は未だ見当たらない時代で、もっぱ ら方法論の模索の時が数年間経過していま 1スーパービジョン ( S V )の目的・定義 す。個別のスーパービジョンよりも、わが 1)目的 国の土壌には、グループ。スーパービジョン スーパービジョン (SV)の目的 が相応しいことを念頭において、試行錯誤 の数年間を過ごしたのです。初めは“裁判 職員の力量の開発と専門性の発達によるクラ ゲーム"をやって、報告者はあたかも被告 イエントへのサービスの向上 熟練した専門職員の初級職員に対する専門 のような立場に立たされ、それを批判する 的指導・支援活動 スーパーバイザー (SVR)とスーパーバイ ジー (SVE)は原則として同一職種 検事役と、終始支持の役割を取ろうとする 弁護側に分かれ、筆者は裁判官の役回りを コンサルテーションは異職種閣の相談助言 受け持って討議を進める形でスーパービジ ョンを行ったこともあります。しかしこう スーパービジョンは相談援助に当たる職 した形のスーパービジョンの試行は一年く 員(ソーシャルワーカー)の能力開発と専門 らいしか続かず、もっぱらスーパーバイザ 性の向上発達をはかる上での職員への支援 ーが質問したり、助言したりしているうち 体制であり、福祉サービスを必要とするク に、スーパービジョンという機能そのもの ライエントへの的確な対応を保障すること を、グループ。の働き(グループ。ダイナミック を目的とします。この目的を達成するため ス 、 group dynamics,集団の力動性)にゆだ に、熟達した専門職員が初級職員に対し専 ねるという形になっていきました。それか 門的指導・支援活動を行し、ます。この指導者 らは筆者が終始心がけたことは、報告者を をスーパーパイザー ( S V R )、スーパービジ 含む参加者それぞれに対する支持的態度を ョンを受ける職員をスーパーバイジー 保持することでした。やがて、それは参加 ( S V E ) といいます。なお、スーパーバイザ 者全員が相互的な関係の中で、支持的態度 ーとスーパーバイジーとは同一職種である をとることが求められるとし、う基本理念に ことが原則です。因みに、コンサルテーシ 変化成長し、今日筆者が実施するグループ。 ョンは異職種の間での相談助言活動です。 スーパービジョンの定型となったのであり ます。 今日筆者が実施するグループ。スーパービ ジョンでは、報告者が事例を報告しまが、 クライエントの状況の改善や、事態の推移 等よりも、どうソーシャルワーカーがクラ 4 2) 定義 しょうか。言い換えれば スーパービジョ ンの目的はクライエントへのサービスの質 の向上よりも、施設・機関の行財政条件に叶 スーパービジョンの定義 うかどうかが、個々のソーシヤルワーカー に対して優先されて強調されるからです。 ス1 ' ¥ービジョンは SVR-SVEの「かか わり j これは現在でも変わらないでしょう。とは SVEによる自己自身の点検を SVRが 支援する力動的過程 いえ、ソーシャルワーク教育を受けた職員 の中には、やはり間違いなく葛藤を覚える ものも少なくなかったに違いありません。 一方、民間の施設では、クライエント中 スーパービジョンは SVRと SVEの間で、 心の援助行動をとることについては公的機 定期的な頻度で一定期間、 SVE のクライエ 関と違い、経営側の態度には相対的に柔軟 ントとのかかわりについて検討する集中的 で、ソーシヤルワーカーの裁量にはより自 な指導体制を言い、それは SVE 自身の点検 由度があったのではなし、かと考えられます。 を SVRが支援する力動的過程であります。 しかし実績を重視する点では民間施設・ 機関も、公的施設・機関と五十歩百歩で、職 2 スーパービジョンをめぐる諸課 員が少数のクライエントだけに全精力を傾 題 注するということは、あまり現実的なこと スーパービジョンという用語は 1 9 5 0年 ではあり得なかったのではないかと思われ 代の後半から、ようやくソーシャルワーク ます。自ずとそこにはクライエントにかか の分野で用語として普遍化の様相を見せ始 わるソーシヤルワーカーの理念と、施設・ めました。「職員の能力開発」とか「専門性の 機関の経営方針の間で経験するソーシャル 発達」といった説明は当然のこととしてソ ワーカーの葛藤が少なからず存在したと考 ーシャルワーカーの問では受け入れられる えられます。 ところとなりました。しかしそれがクライ このように、公私を問わず、最前線にあ エントへのサービスの質的向上に、即、つ るソーシヤルワーカーにとって何らかの形 ながっていったかどうかについては、必ず で、多少の差異はあるものの、葛藤経験の しも肯定できるわけではありません。つま 存在を否定するわけにはいきません。しか りそこには機関(例えば、福祉事務所や児 し、こういう事態にはほとんど打つ手がな 童相談所等の公的機関)の機能との整合性 く、多くがソーシャルワーカー自身に責任 を問うことが優先され、個々のソーシャル (葛藤解消の自己責任)がかったのではな ワーカー、特に公務員は専ら実施要領に基 いでしょうか。そこではクライエントの意 づいて処遇に当たりましたから、クライエ 向を無視した扱いがなされることがなかっ ントと機関の聞の板ばさみの葛藤を自覚す たとは言えません。しかし逆にクライエン るといった機会は少なかったのではないで トにしわ寄せが行かないように、手を尽く 5 した挙句、成果が得られないままに、消耗 ョンはこのように施設・機関の機能との問 の果て、バーンアウト ( b u r n o u t ) の憂き目 で起きる葛藤を経験する際に、 SVE に対し を見るソーシャルワーカーも少なくありま でかかわりを提供し、吐露の経験を保障す せんでした。そういう状況の中、 1950年代 る過程でもあります。そうした援助を介し 後半に登場したのがスーパービジョンの概 て、施設機関との事離の感情を回避し、あ 念でした。 るいは無用なバーンアウトを防止すること が出来るのであると思います。 上の定義で、 SVE のクライエントとのか かわりについて、 SVE 自身の点検を SVRが スーパービジョンの場と契約上 支援する力動的過程であると述べています。 3 それは必ずしも相談に与っているクライエ の諸問題 ントをめぐる事態の推移について検討した 構成的スーパービジョンと非構成的スー り 、 SVE のソーシャルワークとしての手続 ノミービジョンがありますが、前者は SVR と きや方法等そのものについて、点検したり SVE の間での契約により、目的、実施期間 することを目的とした指導ではないことに ならびに頻度、 1回ごとの時間、実施場所、 注意を向けたいと思います。焦点はあくま 料金等を取り決め、その上での契約に基づ でも SVEのクライエントとのかかわりに当 き、対面的面接によって進められる支援過 てられなければなりません。 程です。形としては個別のスーパービジョ また SVE とのかかわりは力動的であると ンの他、 1 0人前後のグループ。で、対面的関係 いうことについてですが、 SVRが SVE を実 を形成するグループ。スーパービジョンが行 践の主体者として尊重し、 SVE の話とその われます。 裏にある気持ちを汲み取りながら、その動 スーパービジョンは同一職場の上司、ま きに沿った理解を進めるのが重要であると たは先輩ソーシャルワーカーが SVRになっ いうことです。時には必要に応じて、自ら て、スーパービジョンそのものが業務の範 の考え方や気づいた点を伝えるというやり 囲内に位置づけられている場合、料金は契 取りも求められますが、一般論としてのお 約要件のうちに入りませんが、外部講師に 決まり文句の形で、問題点を指摘するとい スーパービジョンを依頼する場合は、適切 った指導に終わるのは力動的とはいえませ な料金設定が必要になります。本来的には ん 。 相応の謝礼を支払い、あるいは受け取るこ また、職員である SVEがクライエントに と自体は、 SVR、SVE両者にとって、スーパ サービスを提供する中で、出来るだけ相手 ービジョンに臨む動機形成に有効な要素で の利益になるように、ひたすらクライエン もあります。 トの自己決定を尊重しようとするために、 これに対し後者の非構成的スーパービジ 時聞がかかったりして、機関や施設が期待 ョンは、日常、随時、個別的にあるいは集 するような能率を上げることが出来ない場 団の場で行われる助言指導です。 uJT(職 場 合が無きにしもあらずです。スーパービジ 内訓練)はその一例です。また例えば、医療 6 や福祉現場で実施されるケースカンファレ す。さらにこれらの関係論、援助論、資源 ンス(事例検討会)やスタッフミーティン 論等に関する情報を「共に」検討すること グ(職員会議)は、持ち方によっては十分 が必要です。一方向的な流れの教育指導で スーパービジョンの機能を果たすこともあ はなく、その時々にふさわしいあり方を SVR り得ます。 と SVEの共同作業として求めて行きたいも のです。 非構成的スーパービジョン 2) ソーシャルワーク実践の価値 日常、随時個別的に、あるいは集団の 場で行う専門的助言指導等 C O J T ) 何を教育するのか ケースカンファレンスがス-/~ービジョン ソーシャルワーク実践の価値 の機能を果たすことは十分あり得る 専門職者の自由と裁量権 ソーシャルワー力一回クライエントの相互主体性 クライエントとの共同作業遂行の自由 課題共有とソーシャルワー力一の自己開示 4 スーパービジョンには教育的機 能がある。何を教育するのか。 ソーシャルワーカーには専門職者として 1)ソーシャルワークの基礎 の自由があります。怒意的という意味での 自由ではないことは言わずもがなで、それ 何を教育するのか は根拠のある自由であり、しばしば裁量権 という形で、それぞれのソーシャルワーカ 対人援助サービスの知識、技術および 価値ならびに倫理 ーに付与されるものです。この自由裁量権 a当置 は、クライエントを一人の人格として尊重 援助実践の方法論に関する理論・情報を のIIsb'G提供し、必要に応じて関係論、援助 論、資源論等に関する情報を共に検討 し、かかわりの中で、相手の気持をきちん h e r ea n dn o w )J と受け止め、「ここで、今 ( 彼が願う希望の実現に向かつて協働しよう ソーシャルワーカーがクライエントと向 とする企てが、クライエントにとって至当 かい合って、相談支援を引き受けるに当た なことであり、社会の福祉に大きく反する り、対人援助サービスとしてのソーシャル ものでない限り、 j 軍身の力を込めてクライ ワーク方法論に関する知識、技術及び価値 エントの意向に寄り添うといったものです。 ならびに倫理に関する教育が必至であるこ この協働はクライエントの課題を共有し とは改めて言うまでもありません。ここで ようとするソーシャルワーカー独特の方向 は援助に関する理論・情報をあくまでも「現 性であり、援助行動上の価値でもあります。 場の観点から J 提供することが求められま ソーシヤノレワーカーはクライエントの話を 7 聞きっぱなしにしません。しかし一方向性 う意味になりますが、一方、 passion には の指示・指導とは異なり、課題をクライエン 苦難、受苦という意味もあります。コンと トと共有しようとする立ち位置において、 パッションを合成すると「苦しみを共に」 初めてソーシャルワーカーは、自らの気づ するという意味になります。ソーシヤルワ きや思いを相手クライエントに伝えること ークにはコンパッションによって支えられ ができるようになるのです。これをソーシ る理念が中核にあるのです。 ヤルワーカーの「自己開示 Jといいます。こ 守秘義務の遵守という倫理規定がありま れはソーシャルワーカーの専門性における すが、これは共に「受苦の時」を過ごすこ 自由に係る価値に基づく行動で、スーパー とに他なりません。単なる規定や、規則に ビジョンの重要な教育的課題でもあります。 よって拘束された不自由で他律的なもので はなく、コンパッションが具現化された行 為なのです。援助行為として、ソーシャル 3) 理念・倫理にかかわらせて ワークにおいては、しばしば行政や他施設・ 機関あるいは主治医等関係者との緊密な連 何を教育するのか 携が必要とされます。しかしそうした折衝 理念・倫理にかかわらせて は、当事者の了承が前提です。彼の知らな 感 性 :Com l J assion 守秘義務の遵守・プライバシーの保護 いときに、背中の後ろで、こっそりと連絡 行政・他機関・施設等の関係者との折衝は利 を取り合うことは内容の如何にかかわらず、 用者の了承が前提 相手に対して嘘をつかない クライエントの自己実現を阻害します。「共 クライエントに責任転嫁しない にある j関係ではなく、いわゆる「本人不在」 の処遇になってしまいます。 ソーシャルワーカーは職業人である前に また、相手に対して嘘をつかない。当た ごく当たり前の人間であることを自認しな り前のことのようですが、ソーシャルワー ければなりません。たとえば、客観主義で カーがケースカンファレンスにおいて、自 はクライエントには添いきれないことはい らのし損ないを隠そうとして、言い訳をし うまでもありません。そこにはソーシャル たり、クライエントに責任を転嫁したり、 ワークを特徴づける鍵概念としての「主観 報告を担造したりするのは大罪です。これ の重要性 J があります。相手クライエント らの行為は倫理という以前の人間としての に対して同情的になることをあえて禁忌と 資質が間われなければなりません。 しないのです。むしろ他者によって動かさ れる自己があることを自覚できる存在であ りたいものです。コンパッション (compassion)という言葉があります。 com は「共に」であり、 passion は情熱です。 相手と共に'情熱を持って課題に向かうとい 8 5 スーパーバイザーの支持 いうことはきわめて難しい課題です。しか 1)ソーシャルワー力ーの自己点検 し専門職者として自己自身を知ることは必 須の要件なのです。この自己自身の理解を ソーシャルワークにおいては「自己覚知」 ス-/~ーバイザーの支持 といいます。自己覚知形成の支援のために ス1 ' ¥ービジョンの対象 SVR の存在は必至です。このような存在と スタッフとしての SVEの利用者との豆辺直E SVEの必要に合わせ、そのくせ、傾向、性格、 価値観等について自己点検作業の支援 SVRはSVEの人格、生活、人生観、対象者 観、価値観等を深く尊重する しての SVRは 、 SVEの人格、生活、人生観、 対象者観、価値観等を深く尊重しなければ なりません。 3) いかに支持するのか スーパービジョンという用語は極めて広 く、またあいまいな使われ方がされていま いかに支持するのか す。筆者はここでは、ソーシヤルワーク実 践に限定して使うことにします。はっきり 洞察(自己理解)より承認と支持に徹する SVEの自己指示的態度:自己自身敢えて 言えることは、スーパービジョンは治療で まな板の上にのる覚悟で 事例検討を通してなされるのが望ましい SVRは「かかわり jの明確化の作業を手伝う 指摘するというより提案し反応を待つ はありません。したがって精神療法でもカ ウンセリングでもないということです。そ れは援助職員である SVEの職業行動の中で 1 0 の自己自身のあり方、つまりクライエント とのかかわりにおける不安、自身の不全感 既にスーパービジョンはカウンセリング 等に関する点検の支援過程です。すなわち でも精神療法でもないと述べました。した SVE 自身の自己点検活動を支持する過程で がって、精神療法において目的とする「洞察 あって、一定の枠組みにおける教示とは異 (深い無意識レベルに及ぶ自己理解)Jは取 なるものです。課題として何を取り上げる り扱い範囲外です。むしろ SVEからの発言、 かは SVEの選択であり、 SVRは寄り添うと 発信を受け止め、承認し、支持する作業が いう距離感覚を維持しながら、支援を心が 求められるのです。スーパービジョンは通 けなければならないわけです。 常 SVEが自分の取り扱い事例を提供して、 自分自身のありょうを SVRに伝えることが、 2) ソーシャルワ一力ーの自己覚知 方法として広く行われています。 SVRは SVE ソーシャルワーカーは実践の場面におい のクライエントとのかかわりの明確化の作 て意識的、無意識的に表れてくる自分に特 業を手伝います。問題点を指摘するという 有の癖とか、傾向、価値観等について自己 より、一貫して支持的態度によってこれを 点検作業をしてし、かなければなりません。 行うのです。何か問題を感じた時は、意見 しかしこの自己自身を内省的に点検すると として提案し、応答を待つという姿勢が求 9 「支持 j についてまとめると、 SVRは SVE められます。 に対し、傾聴に徹し、理解に努めることに 尽きるわけです。批判や反論、一方的な教 SVEを支持する 示や指示を避けます。特に留意すべきこと SVEに焦点を当てる は 、 SVR は自分が理解していることを出来 SVEの不安、緊張、不満への気づ、き るだけ言葉を通して表明し、相手に伝える 過度の楽観、矛盾、主観的な見方への気づき SVEの中の根強い価値観への気づき ことが望まれます 相手に対する優越感、劣等感への気づき いわゆる対抗転移への気付き また時にはいわゆる称 賛は SVEに自信を与える上で有効です。 1 1 6 これを言い換えれば、 SVRは SVE 自身に スーパービジョンの方法 1)個別スーパービジョン よる自己の不安、緊張、不満等への気づき スーパービジョンの方法 を促す上で、いわゆる「待ち Jの姿勢をとる ということになります。また SVEの中に、 個別スーパービジョン スタッフには S E 慮 茨: / 90 3 . 穿 Mノな態 度が求められる 過度の楽観があったり、あるいは主観的な 見方が強かったりする時は、 SVR は率直に 積極的に課題解決に取り組む姿勢 c o n f r o n t a t i o n )は本 自己自身への直面 ( 来困難な過程 SVRはSVEのサポートに回れるか 自らの思いを伝えます。時には SVEの中の クライエントとの関係において精神分析で 言う非現実的な愛・憎など、一種のとらわれ 1 4 である転移並びに逆転移(対抗転移)等に ついて、その言語化による表白を支持しま スーパービジョンの方法には、おおよそ す。しかし批判したり解釈したりはしませ 個別スーパービジョンとグループ。スーパー ん。受け止めて、わかったという気持を伝 ビジョンがあります。個別にせよ、グルー えるだけです。 プにせよスーパービジョンを受けようとす るものには自己指示的(自発的)な態度が必 4) 支持的技法 要です。つまり積極的に自己に直面し自己 自身の中の課題に取り組む姿勢が求められ るのです。自己自身への直面化(コンブロン 支持的技法 テーション confrontation)は、本来やさし SVRの対応 い作業ではありません。そこにスーパービ ジョンの必要性と SVRの支持が必要な理由 傾聴に徹し理解につとめる 批判・反論や教示・指示を避ける SVRは理解していることを言葉で表明する 称賛の有効性を認識する があるのです。そこでは SVRが SVEのサポ ートの役割に徹することが出来るかどうか が関われるわけです。 1 2 1 0 2) グループスーパービジョン ョンの機会を見つけて、異なる施設・機関か ら複数のソーシャルワーカーが集まって、 積極的に参加する形が見られるようになっ 機関外研修としての ています。助言者の役割を取る熟練のソー グループスーパービジョン シャルワーカーが SVRになります。 目的:グループダイナミックスを通してクライエ ン卜とのかかわりの検討によりソーシャルワー 力一(以下 SW)としての自己覚知を積む 3) グループスーパービジョンの方法 講師は同職種に限定 機関外研修としての 1 6 グループスーパービジョン 一例紹介東京都医療社会事業協会の研修 参加者:経験満 1 年以上。 1 0名。月 1 回年間 1 0回 個別スーパービジョン体制がとられてい ない施設や機関では、ケースカンファレン スや職員会議(スタッフミーティング)が一 目的:クライエントとのかかわりにおける自分 部スーパービジョンの機能を果たすことが 自身に直面し自己点検を試みる 毎回一人ずつ事例を提出することとし、報告 時間その後自由討議 時聞は約 1 出来ると思います。ケースカンファレンス 1 7 では事例提供者は出来るだけクライエント との自分の「かかわり」 に焦点を当てて、 東京都医療社会事業協会を例にとって説 報告することに努めなければならないので 明します。筆者が担当するグループ。は約 1 0 す。しかし報告者は間々被害的な気持にな 名の医療ソーシャルワーカーが毎年 4月の り、自分が「まな板の上の鯉 J になる思い 新規募集に応じて参加してきます。会員数 を強くすることがありますが、自らを追い は 900名に及ぶから、その中の 1 0名という 込むことのないように平常心を維持したい とグループへの参加の競争率は、他に 2、3 ものです。また参加者も、問題点を指摘す のグループ。がありますが、相当高いといわ るだけにとどまらず、事例提供者の労苦を なければなりません。裏返して言えば、会 察し、サボーティブ(支持的)に会議に臨む 員のグループ。スーパービジョンに対する関 必要があります。 心はすこぶる高いということです。会合は グループ。スーパービジョンは自分が属す 毎月 1回、年間 1 0田をめどに実施していま る施設・機関外の研修の一形態として、近来 す。グループスーパービジョンへの参加資 比較的多く行われるようになっています。 格は現に医療機関等で、福祉的援助の業務 施設・機関内のスーパービジョンはしばし についている協会の会員です。経験年数は ば上司によってなされるので、自分の考課・ 少なくとも満 1年以上を経たものとしてい 評価に直接響くのではないかという恐れも ます。これは筆者の考え方ですが、比較的 あり、 SVE が率直な応答や、やり取りに困 早期にクライエントとのかかわりに焦点を 難を覚えることが少なくありません。そこ 当てることを狙いとしたスーパービジョン で機関外に存在するグループ。スーパーピジ を体験する必要だという認識からで、あえ 1 1 くると、期待はずれになるかもしれません。 て長い経験年数を参加資格として問うこと をしないのです。 svとグループダイナミックス 機関外研修としての グループスーパービジョン グループの中での気づきゃ気持の変化を経 験することが目的。『ここで、今Iの考え方は s v でもke vc o n c e o t( , 4 嘗' I I ! I g)! レポーターの報告後、約 1時間の自由討議 全員発言とする 参加者はレポーターや他のメンバーの人格を 尊重し、その発言に傾聴する 報告者はsw としてクライエントとどのような 「かかわり」を持ったかを中心に事例を説明 事態がどう推移したか、問題が解決したかど うかや、 CIの人生への向かい方がどう変化した か等は二の次 援助過程が行き詰まったからこの先どうした らいいのか、助言を望むと期待はずれ 1 9 1 8 グループ。の中では報告者は勿論、参加者 グループ。スーパービジョンの目的は個別 も報告を聞いていて自分の普段の実践に照 の場合と特に異なるわけで、はありません。 らし合わせて、さまざまな思いを抱くでし すなわちクライエントとのかかわりにおけ ょう。そういう思いを感想として述べるこ る自分自身の姿勢に直面し自己点検を試み とは、集団に対する刺激になります口報告 ることです。個別との違いをあえて言うと 者は自分のしたことが間違っていなかった すれば、複数の参加者がいることであり、 という安堵感や、逆に間違っていなかった 集団力動を活用してスーパービジョンの過 と思っていたのに、「甘かったかJ といった 程が進められるということです。特にグル 反省が促されます。また参加者にしてみれ ープの中での気づきや気持ちの変化を経験 ば、報告者の発言を人ごととしては聞いて すること自体が大事なのであることが強調 いられない、という思いを抱かざるを得な されています口 くなることもあります。したがって、参加 方法は毎回一人ずつ事例を提供し、報告 者は、報告者や他の参加者の人格を深く尊 者となります。報告時間は約 1時間、その 重し、その発言に傾聴することが求められ 後は自由討議となっており、全員発言が求 ます。 められます。報告者はソーシャルワーカー 事例の文脈にとらわれるのではなく、む としてクライエントと、どのような「かか しろ取り交わされているグループの話し合 わり」を持ったかを中心に事例を説明しま いに注意を向けたいものです。「ここで、今 J す。上述したように、事態がどうなってい の経験の重視こそが、グループ。スーパービ ったか、問題がどう解決したかや、クライ ジョンの鍵概念なのです。あるメンバーの エントの人生の送り方がどう変化したか、 発言の真意や感情の動きに自分がついてい その聞のソーシャルワーカーの援助は適切 っているかどうか、自分の発言を他のメン であったか等の詮議は二の次となります。 ノミーが正確に受け取ってくれていたかどう したがって、援助過程が行き詰まったから か、グルーフ。はきわめて流動的で、注意を この先どうしたらいいのか、助言を求めて 集中しないと取り残されます。注意深く聞 1 2 いたり発言したりしていると、あるところ で、ふっと自分に向かつて言った他のメンバ svとグループダイナミックス ーの言葉の真意がわかって、自分の中の理 仮説2 解が急転回するといった経験をするもので グループの「ここで、今 J の状況とその場の雰 囲気を受け止めることができる場合、個別、集 団(デイケア等)を問わず、実践場面でも同様 のことができる す。これはグループ。ダイナミックスの作用 であり、グループ。経験こそがグループ。スー ノミービジョンの中心的な意義なのです。 グループで SVEの想像力と注意力が動員さ れれば、実践的経験につながる 2 1 7 スーパービジョンの力動的関係 「グループ。の『ここで、今』の状況とそ 1)パラレリズム(並立性) の場の雰囲気を感知し、受け止めることが svとグループダイナミックス 出来れば、個別、集団を問わず、相談援助 の実践場面でも同様の質のかかわりを維持 仮説 1 できる。さらに、グループ。で、 S V Eの注意 グループでの力動的関係は援助実践での S WとC Iとのかかわりのあり方につながる 力と想像力がきちんと働けば、それは実践 他者の発言をきちんと聴くことができ、その ときどきのその人の気持を受け止めることが できるならば、実践場面で、も CIの発言をまっと うに聴き、受け止めることができる 的経験につながる。注意力が働いていると いうのは、集団に在る自己を感じることが できる」ということなのです。たとえば、「自 2 0 分はこの雰囲気の中にいられる Jとか、逆に 「グループ。から浮いている J といった感じ この並立性とは個別スーパービジョンに せよ、グループ。スーパービジョンにせよ、 がわかるというように、自分と周囲のかか そこにおける力動的関係は援助実践でのソ わりが見えていることなのです。 ーシャルワーカーとクライエントのかかわ 想像力とはいうまでもなく、他者が「ここ りのあり方につながるという意味です。グ で、今」どのような状況に置かれているのか、 ループスーパービジョンについて言えば、 想像することが出来るということです。ま メンバーが他者の発言をきちんと聴くこと さに鋭い感性が問われてくるわけです。 ができ、その時々のその人の気持を受け止 めることが出来るのであれば、実践場面に おいてもクライエントの発言をまっとうに 聴き、気持を受け止めることが出来るとい う仮説がパラレリズムです。 1 3 町まとめ パッションにおいても人後に落ちない人で す。そういうような人格になることを目標 にスーパービジョンを活用したいものです。 まとめとして スーパービジョンの目的は、クライエント 感性に富むソーシャルワー力ーとは想像力と 注意力の持ち主でありコン Jやyションにおいても 人後に落ちない人 自身の思いに寄り添うかかわりが、持てて いるかどうかの点検です。そしてこれはし スーパービジョンの目的は私たちの常識の枠 組みを超えて、クライエント自身の思いに沿うか かわりが持てているかどうかの点検 この課題に対する接近は rSVRのSVEへのか かわりの保障 J以外にない ばしば私たちの常識の枠を超えた課題です。 この課題に対する接近は fSVR による SVE に対するかかわり(スーパービジョン関係) 22 の保障」に他ならないと思います。 感性に富むソーシヤルワーカーとは、豊 以上 かな注意力と想像力の持ち主であり、コン 2008/03/01 1 4 卒業生によるシンポジウム 「今、実践のなかで困っていること、 そしてスーパービジョンセンターに期待をすること」 シンポジスト 吉田亮介様 ( 0 9 8 W・2 0 0 1年度卒) (社福)こぶし福祉会通所授産施設リバーサイド・精神保健福祉士 岡安努様 ( 0 9 9 W・2 0 0 2年度卒) (社福)白千鳥会精神障害者生活訓練施設まっかぜハイツ・精神保健福祉士 森本浩平様 ( 1 0 3 W・2 0 0 6年度卒) 医療法人二本松会山形病院・精神保健福祉士 司会相川章子(聖学院大学) 1 5 -シンポジスト紹介 司会(相 J 1 1 ) それでは、まずシンポジ お話も聞けて、何年前になるんでしょうね、 ストの皆さんをご紹介したいと思います。 けどよろしくお願いいたします。(拍手) 昔を思い出しました。今日は短い時間です 今日はそれぞれ卒業年度の違う 3名の方々 にお声かけさせていただきました。ちょっ -今、実践の中で困っていること と立っていただきますね。 ー岡安努さんは期性・精神障害者生活訓 2002年度卒の岡安努さんです。現在は生 練施設まっかぜハイツ・精神保健福祉士) 司会 活訓練施設のほうで精神保健福祉士として それでは岡安君からお願いいたし 仕事をされています。岡安君は今日は石川 ます。岡安君は先輩ソーシャルワーカーに 県からいらしてくださいました。 恵まれているというお話をしていただける 岡安 かと思うので、よろしくお願いします。 岡安です。二期生で卒業したんで 岡安 すけども、いつの聞にかこんなに卒業生が ふえて、大分上の代になっているんだなと 本題に入る前に簡単に自己紹介さ せていただきます。 私は大学を卒業後に石川県にあります単 いうことを今日お集まりの皆さんを見て実 科の精神科病院に一年と、それとその附属、 感しました。よろしくお願いします。(拍手) 次は森本浩平さんです。去年の卒 関連施設の福祉ホームに一年、それと今の 業生で、今は病院の精神保健福祉士として 職場であります生活訓練施設に三年勤務を お仕事をされていますが、四月からこの山 して、精神保健福祉士として実践をしてま 形病院のほうに移られてお仕事をされると いりました。私が所属するまっかぜハイツ いうことで、山形からいらっしゃいました。 は人口約三万四千人のかほく市という、金 司会 山形から参りました森本と申しま 沢市は聞いたことあるかもしれませんけど す。山形弁が抜けなくて聞き取りづらいか も、そのもう少し北部に位置します市に存 と思いますが、勘弁していただきたいと思 在する社会福祉法人立の生活訓練施設で、 います。よろしくお願いします。(拍手) 近隣に県立の単科の精神科病院と、それと 森本 そして吉田亮介君です。一期生で その附属のデイケアセンターが隣接をして すね。吉田君は最初は一般企業のほうにお います。スタップは旧体系ですので、施設 勤めになられて、その後、通信などで P S 長と、精神保健福祉士であります私と、そ W を取られて、いま授産施設の P S Wをさ れと指導員が四名の計六名の体制になって れているということで、よろしくお願いい おります。 司会 今回、実践の中で困っていることという たします。 吉田亮介です。一期生の卒業生と テーマをいただきましたので、まず私の実 して、まさか僕自身がこの仕事に今ついて 践の中で、の迷いや不安についてスーパービ いるなんて想像していなかったんで、、今こ ジョンがどういうふうに作用したかという の場でここに立っていること自体信じられ ことを簡単にご紹介させていただきたいと ない気持ちです。久々に今日は柏木先生の 思います。 吉田 1 6 私は日々のクライアントの方のかかわり 両親の不安や施設を利用させたいと思う気 の中で、非常に協働というものを重視して 持ちを代弁してしまい、本人を施設利用に おります。例えば両親が施設入所を希望し 誘導しているのではなし、かと考えることも て、両親と一緒にまっかぜハイツのほうに ありました。それで、も私は本人の入所した 来所した方がいました。それまで両親と自 いと言ったときの表情が不安げで、入所し 宅で三人暮らしの方だ、ったんですけども、 たくないと言っているように感じたことと 両親は高齢で、心臓を患っていて、本人と暮 か、あるいは自分がかかわりの中で感じて らしていると治療に専念できない、また将 いる焦りや迷いというものも伝えながら、 来、本人が一人残されると思うと心配であ 相手に安心して本音を言ってもらえるよう る、一人でも生活できるよう施設で練習し な関係を築いていきたいというふうに考え てほしいと考えていました。その両親の言 ました。 葉について、本人は私に同感であるし、そ そうしたかかわりの中で、本人は少しず う思うし、入所したいというふうにお話を つ実は両親に見捨てられるのではなし、かと していました。ただ、その言葉を話す本人 いうふうな思いがあって不安だ、ったと、入 の表情が非常に不安げで、私は本人が入り 所したらもう両親に会えないんじゃなし、か たくないと訴えているように感じていまし というふうな不安もあったというようなこ た。そのため入所が前提ではなくて、本人 とも話してくれました。また本人は両親が がどんな生活を送りたいと考えているのか、 高齢であるので、自分も将来の漠然とした 両親のそうした不安についてご本人さんは 不安がある、両親に頼らない暮らしを少し どう考えているのかということとかを共有 ずつ考えなければならないというふうなこ しながら、望む生活についてどんな手だて とも語ってくれて、とりあえずまっかぜハ が必要かということを一緒に考えていきた イツで暮らしながら今後の生活について考 いというふうにご本人さんや家族に伝えま えていくこととしました。 した。 私はこの事例を通して、施設入所にする それからしばらく本人さんや家族とかか とかしないとか、あるいは施設入所を決め わりを深めたいと考えて、自宅へ訪問した るとか決めないとか、そうした表面的で断 りとか、本人さんが施設を体験利用する中 片的な決定に注目したかかわりではなくて、 で、そういった思いを聞いていくことにし 時間をかけたかかわりの中でクライアント ました。そんな中私は、両親の何とか入所 の思いを理解していくことが大切であると させてほしいと、この子はどこに行っても 気づきました。また、かかわりの中では時 最初は不安が強し、が、しばらくたてば慣れ にソーシャルワーカーの迷いとか焦りとか、 るというように、積極的に入所を希望する そういった気持ちも伝えながら、良質な関 中、なかなか本人から本音が聞けないとい 係を築いていく過程の中で、本人の望む生 うことで、かかわりに焦りを感じることも 活を一緒に考えていくというような協働の ありました。また私は本人に対して、つい プロセスというものが非常に大事なんじゃ 1 7 ないかということを思いました。 てみたらというような提案、またはこれは こうしたかかわりや気づきというのは、 だめだよというような批判ではなくて、私 私とクライアントの方との間だけで成り立 の迷いとか不安を理解しようとしてくれる つものではなくて、かかわりにおける自己 姿勢とか、常に一緒に考えてくれようとす 自身の点検を支援するスーパーバイザーと る姿勢によってそうした関係は築かれてい の協働作業の過程というものも非常に重要 くんではないかと感じます。 だ、ったというふうに考えます。私にとって 日々の実践においてクライアントとのか のパイザーは、クライアントの生活支援に かわりの中で、協働のフ。ロセスが重要である おいて連携を密にしています隣接した県立 ということと、それを可能にするためにス の単科の精神科病院の先輩ワーカーであり ーパービジョンによるかかわりの点検が有 ます。この事例でも私がかかわりの中で感 効であるというふうなことを今お話しさせ じた本人不在ではないかとか、本人の言葉 ていただきましたけども、少し視点を変え は本音なんだろうかとか、表情とか態度か ますと、昨今の介護保険の改正だ、ったりと ら本人の思いのシグナルをきちんとキャッ か、自立支援法の施行、これは皆さんお悩 チできているのかとか、あるいは家族の思 みのところも多いと思うんですけども、ク いだけを重視していないか、施設入所に誘 ライエントの生活課題を解決するためにあ 導していないか、十分な情報を提供・共有 らかじめ用意されたサービスを当てはめる できているのかなどといった疑問とか、あ というような、問題解決志向のシステムが るいは迷いというものとか、そういった自 導入されてきています。そうしたものによ 分自身の感情をバイザーと共有することで ってクライアントとの関係性を重視したか かかわりにおける気づきを深めることがで かわりというものが欠落しやすい状況にあ きたというふうに考えます。 るというふうに、非常に危機感を私自身抱 そのためにかかわりが明確化されて、事 いています。私自身もそうしたシステムに 例のように私は本人の自分自身が感じた疑 とらわれて、利用者のニーズで、はなくてサ 問や懸念を素直に伝えることができて、ク ービスを中心に考えてしまうということも ライアントとの協働フ。ロセスを大事にしよ あります。 うと考えることができたのではないかと思 こうした状況の中、私はそうした法制度 います。 にとらわれることなく、むしろ法制度も含 そしてそのスーパービジョンにおいて、 めたクライアントを取り巻くあらゆる環境 私にとっては何よりも日々のかかわりを安 について、クライアントと理解を共有し、 心して披涯できるバイザーとの良質な関係 クライアントの自己実現への思いやニーズ が不可欠で、あったというふうに考えます口 を大切にするということが重要だと思いま それは実践を共有して、時間をかけたバイ す。そうしたかかわりを可能にするために ザーとの関係の中で、バイザーからもこれ はやっぱり実践の点検が不可欠で、そのた でいいよといった安易な容認とか、こうし めにスーパービジョンを活用することが有 1 8 効であるというふうに考えております。(拍 という温度差、何でこんなになるのかなと 手) いうふうに勝手に悩んだりしていました。 司会 どうもありがとうございました。 非常勤という立場で悩んだということが 実践現場は本当にさまざまだなというふう あったんですけども、正職員と非常勤、大 に思います。とても恵まれた環境でできて きく分けて二つあるんですけども、正職員 いる方のお一人かなと思います。ありがと の人が上に立ってという感じで仕事を進め うございました。 ている今の病院の状況なので、またせっせ せっせと働いている正職員の方にしがみつ 回森本浩平氏 ( 6期生・二本松会山形病院・ いて仕事をもらっているというか、そんな 精神保健福祉士) 司会 感覚で働いているんで、やりがいもなけれ それでは次に山形で、いま認知症 ば、ただ大変そうだから正職員の方を手伝 高齢者のデイサービスを中心に、この一年 っているという感覚で仕事をしなきゃいけ 間仕事をされてきました森本君、よろしく ないというつらさですか、というのを悩み お願いします。 ました。 森本 昨年の四月から現在働いている病 四月から新しい業務に転職という形で行 院に非常勤として就職したわけですけども、 くことになったんですけど、やめた原因に 入って一カ月、二カ月でもう人間関係のこ この二つのことがなっていて、正職員にな とや非常勤という立場で悩むことが多くあ れるからといって転職したわけじゃなくて、 りました。特に人間関係で悩みまして、女 次の病院は実習で一回お世話になったんで 性が多い、女性がほとんどを占める職場で、 すけども本当に人間関係がよくて、やりが その中に男の自分がぽつんと置かれて、何 いのある仕事ができるのではなし 1かなと思 からしていいかわからないとか、そういう って、四月から新たなところで、頑張ってい のもありましたし、あとは女性の社会、男 きたいと考えております。以上です。(拍手) 性にはわからないような難しい、ごちゃご 司会 ありがとうございました。森本君、 ちゃとした、その中にただいるだけで何か ありがとうございます。職員との人間関係 自分も巻き込まれているような感じがして、 ですごく悩まれたということで、高齢者の 非常に仕事がしづらい、そんな環境でした。 方々とのかかわりの中で、印象に残っている 認知症のデイケアで相談員をしながら、 ことがあればお願いします。 ケアワーカーもしながら、という感じで働 森本デイケアの中で認知症の方とのか いているんですけども、デイケアの職員の かわりの中で、本当にいろんな学びや経験 ほうはそんな感じが全然なく、和気あいあ をさせていただいています。重度の認知症 いと仕事を楽しんで、いるような感じで、同 の方を対象としてやっているデイケアで、 じ職場の中にも何か冷め切っている、殺気 家族からすれば手がつけられないと思われ 立ったさっきの事務所の中と、デイケアで ているような方を日中預かっています。そ はわいわいやって明るい、仕事をしている のような利用者の中で、何かわけのわから 1 9 ないようなことをしゃべったりや、うろう のスタッフもしゃべったことがない、声を ろ動き回ったりすることにも、何かメッセ 発したことのない人というふうに把握して ージを伝えているということに、かかわっ いる人でしたが、そういう方でもやはり必 て気づきました。それを無理にとめてしま ず何かしら伝えたいメッセージを持ってい うとますますそれらの行動がひどくなって るということが改めて気付かされたことで しまうことにも気付きました。わかってい した。なかなかうまくまとまらないんです ないと思ってしゃべりかけるんじゃなくて、 けどそういう気づき、学びがありました。 目を見て、わかっているというか、普通の 人と同じようにかかわっていると、イ可かメ ー吉田亮介氏 ( 1 期生・精神障害者通所授 ッセージを伝えてきているような、そのよ 産施設リバーサイド・精神保健福祉士) 司会 うな感じがしました。 どうもありがとうございました。 (拍手)次に吉田さん、よろしくお願いい 一人例に挙げると、一日じゅうずっとデ イルーム内を歩き続けている方がいたんで たします。 すけども、職員の中でもどう対応したらい 吉田 僕自身がこの精神保健福祉の仕事 いかわからないような感じで、疲れて足が につくというのが先ほど信じられなかった ふらふらになりながらもずっと室内を歩き と言ったんですけど、僕は大学を卒業して 続けている方で、無理にとめると興奮して から二年間民間企業に就職しまして、全く 手や足が出ちゃうという方でした。それを、 福祉に関係のない販売員の仕事をしていま ご本人もどうにかしてくれと言わんばかり した。ある日、普通のサラリーマンといい に思えた。そんな言葉はもちろんないのだ ますか、同じ仕事の繰り返しというのにち が、まず、かかわってみようと思い話しか ょっと疑問を感じて けてみたんですけども、やっぱり話が通じ こととかを思い出して、もう一度専門職と ないというか、何を話しかけても無反応で、 して福祉の世界にも挑戦してみようと思っ ただひたすら歩き続けている。しかし、こ て進んだのがこの世界に入ったきっかけで うして歩き続けていることにも何か目的が す。僕自身、仕事をやめて当てがなかった あるんじゃなし、かなと思って、「何をしたい ので、池先生に相談しまして、最初ボラン んですか J というふうに声をかけたら、「し、 ティアから始めてみてはということで、精 や、ここから出たいんで、帰りたいんで、 神障害者の小規模作業所で、ボランティアを 何で帰れないの j というふうに言われまし 始めて、その一つのつながりもありまして、 た 。 現在の埼玉県狭山市にあります精神障害者 今までのスタッフはやっぱり俳回をとめ 大学のとき勉強した の授産施設に勤務することになりました。 たい、周りの人に迷惑をかけてはいけない 授産施設に入る前は同じ組織内の作業所 と思ってかかわっていたと思います。けれ に勤めておりまして、そのときは非常勤で ども、何で歩いているんですかという問い 一年半お世話になりました。作業所なので、 かけにちゃんと答えてくれたのです。周り 限られた補助金の中で運営をしておりまし 20 て、常勤の所長が一名と私、非常勤が一名 ですが、ボランティアさんが時には我々以 で、二人体制で、作業所をやっておりました。 上に大きな力を発揮してくれるときも多々 私のいる組織だけかもしれないんですけど、 あるんですが、時にその逆で、利用者にと なかなか職員が定着せず、結構ころころ職 ってマイナスな方向で働いてしまったりと 員がやめていかれたりとかで、人事異動が か、支援の方向性とか施設の方針などをボ 激しい世界で、一年半非常勤で、ゃった後に、 ランティアさんに伝えてはみるものの、中 突然ほかのもう一つの作業所のほうに異動 には納得していただけないままだらだらと してくれと上から言われました。突然常勤 かかわってしまうというケースも過去にあ として、常勤ということは所長としてなん りました。その件に関しては解決できない ですけど、そこの作業所の所長をやること まま現在の通所授産施設に異動になってし になりました。 まいました。 正直僕自身、一年半の非常勤の経験の中 今現在悩んでいる点というのが、やはり で、半分学んだ点もあれば遊び半分で、やっ 職場内の人間関係のことです。女性がとて ていた点もあったので、気楽な気持ちで一 も多い職場なので、なかなか先ほどもおっ 年半過ごしてしまって、突然所長と言われ しゃってたんですけど、女性の難しい世界 たときにとても焦ってしまいました口私ど ですか、その辺で、話が合わなかったりする もの組織内ではその当時、精神保健福祉士 ときもあるんですけど、やはりそこは社会 などの専門職がいなかったというのもあり 人なんで、時には嫌でものみ込んでし、かな まして、なかなかそういった専門的なかか ければならないときもあると思います。現 わり方とか、考え方とか、そういったもの 状はそういった形で我慢をしているんです のアドバイスを受ける機会というのがほと けど、なかなか自分の思いとか考えが上司 んどなかったんですね。 や同僚にぶつけられないというのが私自身 二番目の所長としての作業所時代、がむ の悩みでもあります。 しゃらにやる羽目になってしまいました。 先ほど離職率が私どもの組織では多いと その中で利用者さんとのかかわりで一番苦 話しました。スーパーバイザー的な役割を 労した点というのが家庭内で起こっている とれる職員がし、ないということで、限られ 問題でした。家庭内なので手を出せる部分 た資源、人材でサービスを提供してし、かざ と出せない部分とがありまして苦労をしま るを得ないのが現状です。少しでも地域格 した。しかし次第に時間とともに解決する 差を埋めていくためには、我々の一人一人 ことができたのでよかったんですが。 の力というのを向上させていくしか埋める 利用者以外にも、先ほどお隣の森本さん 道はないのかなと常々感じております。そ も職場の雰囲気で、あったり、同僚との人間 のためにも今回このスーパービジョンセン 関係とか、そういった点はやっぱり私も悩 ターの立ち上げということで、私どもの身 みました。あと作業所には必要なものとし 近な存在であってほしいということで期待 てボランティアさんの力というのがあるん をしております。ちょっと話がまとまって 2 1 ないんですけど、私からの発表からは以上 しい、そういう方もいると思うんですけど にしたいと思います。(拍手) も、そういう方でも、私自身もこのような 当センターでの充実したスーパービジョン 司会 ありがとうございました。共感し の機会ということが得られるように、例え てお聞きになられた方もたくさんいらっし ばセンターでパイザーの育成研修とか、あ ゃるんじゃなし、かなと思います。 るいはフォローアッフ。研修等の機能も持っ ていただいて、このセンターでスーパービ 圃スーパービジョンセンターに期待 ジョンを受けた方がバイザーとなって各地 すること 域で今度はスーパービジョンを展開すると 司会 いった機会を提供してくれれば非常にあり 今日は皆様に「実践の中で困って がたいなというふうに感じています。 いること J をご発表いただきつつ、さらに その因っていることに対してスーパービジ 司会 さらなる展開までご提案していた ョンセンターにどんなことを期待している だいてありがとうございました。森本君、 のかなというあたりを一言ずついただきた よろしくお願いします。 いと思っています。それでは岡安君、期待 森本 することをお願いいたします。 スーパービジョンセンターに期待 することということで、職場では上司など 岡安先ほどは相川先生からもありまし に相談したりする機会を持つことというの たとおり、私自身はバイザーに恵まれて、 は、話しかけることすらなかなか気まずい スーパービジョン自体が得られているとい 感じなので、こういう職場の事情に関係な うふうに実感することもあるんですけども、 く悩みとかつらさを話せる場所ができると 石川県全体で見ますとやはりいわゆる一人 いうこと、本当に自分自身にとってもうれ ワーカ一、そういう職場の方もいて、スー しいことですし、同じことを思っている人 ノ《ービジョンの機会が十分得られていない は多いと思います。それで気軽に話せるよ というような方もいますし、たとえ得られ うなセンタ一、だれでも気軽にどなたでも ていてもその機関の中で限定されて、時に 受け入れてくれるようなセンターにしてほ は機関の機能にとらわれたりというふうな しいなというふうに思っております。以上 こともあって、客観性に欠けるということ です。 もあるんじゃなし、かなと。そういったとこ 司会 ありがとうございます。それでは ろでこのスーパービジョンセンターの発足 最後にもう一回、スーパービジョンセンタ によってそのかかわりの点検を客観的にし ーに期待することということで、吉田さん、 てくれるセンターの発足ということには大 よろしくお願いします。 変期待をしております口 吉田 日々仕事をしていく中で聞きたい それと、これは要望のようになりますけ こととか疑問に思ったことというのは毎日 ども、私のように立地的に遠かったりして 頭に浮かんで、くるんですけど、それを相談 なかなかこのセンターを利用することが難 する時間がなかなかなかったり、相談でき 2 2 る場所や人がいないということで、そのま まその悩みとか疑問というのが頭の奥底に 「実は出席するつもりでいたのですが、う 埋もれてしまうときが多々あります。です ちの所長に急に研修内容が施設の業務と直 から今回スーパービジョンセンターが発足 接関係がないので有給(休暇)にはできな するということで、私自身もとても期待し いと言われてしまいまして、出席できなく ておりますし、いま利用されている方とか、 なってしまいました。行くと言っておきな これから利用しようとしている方とかの期 がら本当に申しわけありません。僕たちは 待も我々にかかっていると思っております 権利としての有給ですら使えない劣悪な環 ので、そういった個々の方々が自分自身の 境で働いています。きつい労働時間、けが 力というものを発揮できるよう、我々も支 や精神的な病になる可能性、職場の先輩方 援できるよう、自分自身のレベルアップと の利用者に対しての言葉、いつまで、たって いうものも含めまして、そういったスーパ もボランティア色が抜けない低賃金などな ーバイザーの方々からのご指導、相談に乗 ど、例を挙げればきりがないです。夢とや っていただけたらなと期待しております。 る気に満ちあふれた若い力がどんどん現実 まだスーパービジョンセンターの内容と を見て福祉から離れていきます。こんなこ いうものを全然見ていないので、どういっ とで明るい福祉の未来はないと感じていま た形で展開されていくかというのがわから す。それと同時に、愚痴ばかり言っていて ないんですけど ぜひスーパービジョンセ も何も変わらない、自分たちで変えていか ンターという、あまり耳にしたことがない なければと最近は感じられるようになって 今回のこういった会が発足ということなの きました。だからこそ今、スーパービジョ で、全国どこにいても身近な存在であって ンセンターの発足、とてもうれしかったで くれることを強く望みたいと思います。こ す。みんなで共通の悩み、問題に立ち向か れからのスーパービジョンセンターに私自 つてゆき、福祉の世界を変えるようなセン 身期待しておりますので、今後ともよろし ターになってほしいです。発足会の成功、 くお願いいたします。(拍手) 心よりお祈りしています」 司会 どうもありがとうございます。 こんな方もたくさんいらっしゃるのでは 今日ここにお越しいただいている方は四 なし、かなと思いましてご紹介をさせていた 十名ほどです。今日お声をかけても来られ だきました。今日はシンポジストの皆さま、 なかったという方もたくさんいらっしゃい 本当にありがとうございました。改めても ました。その方のお一人で、実は今日この う一度拍手をお願いします。(拍手) シンポジストのお一人としてお願いをして いたんですけれども、急逮いらっしゃれな くなったというメールをいただきました。 ちょっとそれを読ませていただきます。 2 3 聖学院大学 人間福祉スーパービジョンセンター 概要説明(パンフレツトより抜粋) 福祉実践に夢と希望を持ち続けるために 福祉現場における孤立と燃えつきを防ぐために 一つひとつの出会いを大切に思いつづけるために <目的> 1. 福 祉 の 現 場 で 勤 務 し て い る 本 学 の 卒 業 生 お よ び 関 係 者 に 対 し て ス ー パ ー ビ ジョンの機会を提供する。 2. 卒 業 生 同 士 の 横 の つ な が り を 形 成 し 、 ピ ア ス ー パ ー ビ ジ ョ ン と し て の 出 会 い の場を提供する 3. O スーパーバイザーの養成-育成を目的としたスーパーバイザー支援の機会を 提供する O <背景と経緯> 本学人間福祉学科の卒業生の約半数ほどが高齢者、障害者、児童、医療機関等々 さまざまな社会福祉現場に就職をしており、(対人)福祉援助職に就いています。 また、一般企業に勤めた後に援助職に就いている方も珍しくありません。相談援 助職や介護職あるいは指導員等として、社会福祉士、精神保健福祉士、カウンセ ラーその他職種はさまざまですが、おおよそ福祉援助職としての専門的な知識、 技術、価値および倫理が求められる第一線に立ち、日々、さまざまな戸惑いや、 失敗、迷、¥揺れに直面することは少なくないでしょう。 福祉実践の専門職、いわゆるソーシャルワーカーとは、大学を卒業し、社会福 祉士や精神保健福祉士等の国家資格を得れば、たちまちすべてをこなせる専門職 O J T )な ど の 機 会 を に な れ る わ け で は あ り ま せ ん 。 職 場 内 の 新 人 教 育 や 現 任 者 訓 練( 得ながら、少しずつ専門的知識と技術と価値を身につけていくものです。しかし 職場内に新人教育のシステムがある福祉現場は未だ少なく、サポートのない中で 不安を抱えながら仕事を続ける人や、問題意識を一人で抱え込み孤立する人、対 人援助の中で自分自身の課題と向き合わざるを得ずに傷つく人などなど、夢と希 望を抱いて就いた職業のはずが、未来を描けなくなっている人は少なくな、¥そ れがまさに現実です。 24 こ の よ う な 壁 は 越 え ら れ な い も の で し ょ う か O 答えは「ある」です。ソーシャル ワークにはそれを防ぐーっとして、スーパービジョンという支援方法があります。 来年度から本学人間福祉学科と聖学院大学総合研究所人間福祉研究センターの共 同事業として卒業生を中心とする現場関係者に対し、スーパービジョンの機会を 提供することになりました。皆様方にこのことをお知らせすると共に、是非とも この制度をご活用下さいますようにお奨め致します。 <スーパービジョンとは? > スーパーパイザー(熟練のソーシャルワーカー)がスーパーパイジー(経験の 浅いソーシャルワーカー)に対し、その人の能力を最大限に生かしてよりよい実 践ができるように責任を持って指導訓練を行うものです。これは、今、問題とな っている状況や困っている事例などについてともに考え、不安やとまどいに耳を 傾け、背後にある気持を受け容れ、有効なアドバイスや視点について示唆を与え ることによる指導体制を言うものです。 <プログラム> ①個別スーパービジョン スーパーパイザーがスーパーパイジーと契約をして、個別に応じた課題について のスーノ〈ービジョンを提イ共する。 対 象:福祉援助職についている本学卒業生及び関係者て¥スーパーパイザー による個別スーパービジョンを希望するひと(経験年数は不問) 開 催 頻 度 : 個 別 の ニ ー ズ に 応 じ る が 、 お お よ そ 毎 月 1回 程 度 1回1.5時 間 程 度 開催日時:スーパーパイジーとスーパーバイザーの日程調整による 開催場所:聖学院大学生涯学習センター ( J R北 与 野 駅 前 ) 及 び 聖 学 院 本 部 ( J R駒 込駅) (申し込み時に希望を記入) 費 用 : 1回 6 . 0 0 0円 ( 本 学 卒 業 生 2 . 0 0 0円) ②グループスーパービジョン 1 0名 前 後 の グ ル ー プ に お い て 、 お 互 い の 実 践 現 場 の か か わ り に つ い て 事 例 提 供 す るなどスーパーパイザーとの聞でとりさめた方法によって実施する。 対 象:対人援助職についている本学卒業生及び関係者で、グループによるスー ノ〈ービジョンを希望する人(経験年数は不問) 開 催 頻 度 : 月 1回 年 1 0回 ( 5月 ' " " ' 3月) 開催日時:平日夜 間時半' " " ' 2 0時 半 ( 2時 間 ) 開催場所:聖学院大学生涯学習センター(北与野駅前) 実 費 負 担 : 1回 3 . 0 0 0円 ( 本 学 卒 業 生 1 . 0 0 0円) 2 5 ③研修交流会(ピアスーパービジョン)の開催 実践現場で必要な知識やかかわりについて見直し、また自己覚知を促すなど、日々 の業務を見直す機会となるような研修会を開催する。個別スーパービジョンやグルー プスーパービジョン等に参加することのできない人たちも参加でき、お互いに知り合 い、情報交換の機会とする。 対 象:本学卒業生および福祉実践者 1回 開催頻度:年 開催日時:土日休祝日等の日中(詳細は別途、案内をする) 参加費:無料(懇親会のみ実費負担) ④スーパーパイザー支援制度 後輩や実習等においてスーパービジョンを行っているものの自信がないといっ人 は少なくな ¥'¥0 スーパービジョンのかかわりについての話し合いを通し、サポートの 機会を提供する。 対 象:現在、福祉現場において後輩および学生等に対してスーパーパイザーと してスーパービジョンを提供している人 開 催 頻 度 : 個 別 の ニ ー ズ に 応 じ る が 、 1回1.5時 間 程 度 開催日時:スーパーパイザーとの日程調整による J R北 与 野 駅 前 ) 及 び 聖 学 院 本 部 ( J R駒 開催場所:聖学院大学生涯学習センター ( 込駅) (申し込み時に希望を記入) 費 用 : 1回 8, 000円 ( 本 学 卒 業 生 5, 000円) <スーパーパイザーおよびコーディネーター> スーパーバイザー 柏木 昭 助川 千正ま住(聖学院大学人間福祉学部人間福祉学科教授/精神保健福祉士) 庚 ; エ イ ニ (聖学院大学大学院人間福祉学研究科教授/社団法人白本精神保健福祉士協会名誉会長) (就労支援センタ -MEW 所 長 / 聖 学 院 大 学 非 常 勤 講 師 / 精 神 保 健 福 祉 士 / 社 団 法 人 日 本 精 神 保健福祉士協会認定スーパーパイザー) 田村 綾:子(社団法人日本精神保健福祉士協会特命理事/聖学院大学非常勤講師/社会福祉士・精神保健 福祉士/社団法人日本精神保健福祉士協会認定スーパーパイザー) 相川 章子(聖学院大学人間福祉学部人間福祉学科准教授/精神保健福祉士) コーディネーター 中村 磐男(聖学院大学人間福祉学部人間福祉学科教授学部長/総合研究所人間福祉研究センタ一副所 長) 牛津 信ー忠(聖学院大学人間福祉学部人間福祉学科教授・学科長) 26 スーパーバイザー自己紹介 圃助川征雄先生(聖学院大学人間福祉学部人 外国に行ったり来たりだとか、いろんな 間福祉学科教授・精神保健福祉士) 中で病院、あるいは施設から地域へ次第 それでは一番バッターでお話しさせて に利用者さんが出ていく時代状況を見て いただきます。助川征雄でございます。 きました。その中で自分も一線で悪戦苦 どうぞよろしくお願いいたします。 闘して問題を何とか解決しようと思って 三年前から非常勤講師として聖学院大 奮進してみたり、討ち死にしそうになっ 学にお世話になっております。この四月 たり、もう一方で、はやっぱり今までにな から正式な教員として赴任することにな いサービスや制度をどうやってつくるか りまして、大変わくわくしております。 ということにも熱心に取り組みました。 今日この席では赴任のごあいさつではあ 月の半分ぐらいは現場へ出ていって、い りませんので、スーパーバイザーとして ろいろ「飲みにケーション j と称して、 どんなことをやるべきなのかということ 毎日酒を飲んだり、いろんな形で私はや をまず、どんな考え方を持っているのか ってきたわけです。 ということをちょっとお話ししなければ 私自身の経験を振り返っても、私は精 いけないと思いまして、そこに限ってお 神障害者の最初病院の経験三年、その後、 話しさせていただきます。 地域で専ら行政のワーカーとして支援体 まず大きく分けると二つございまして、 制をどうつくっていくかということを現 一つはいろいろ今日一線に出られた皆さ 場で、ずっと取り組んだ経験があります。 んのお話を伺いました。そういう苦労を それからイギリスへ勉強に行った経験も エネルギーに変えたり、いろいろどうや あります。またお話は戻るんですけれど って自分のほうの備えをしていくかとい も、柏木先生が何か自分の考えをよく受 うことがーっと、もう一つは、スーパー けとめてくれた一人だということをおっ ビジョンというのは若い人材を大事に、 しゃってくださいました。そうでありた 大事に育てていくという役割だと思うん いと思います。それは私自身が学生時代、 です。これは時聞がかかります。かく言 国立精神保健研究所に行って個別スーパ う私自身も先ほど柏木先生のお話にあり ービジョンを受け、それから社会人にな ましたように、四十年以上前、柏木先生 ってからグループ。スーパービジョンを受 にお会いして、すてきな先生だなとあこ け、お世話になりました。 がれました。そこから入りました。そし その中で先生に何ていうか、反発した ていろんなことがありました。 り、生意気を言った時期もございました。 精神障害者支援の領域だけでも四十年 しかし、愛情というのはこういうものだ 以上のいろんな世の中の変わり方とか、 と今になって思います。頭にきていると いろんな出来事とか、法律の改正だとか、 きは柏木先生のことを瞬間的には本当に 27 悪く思ったりした時もありましたけども、 -贋江 今こうやってこういった席に立ったり、 /聖学院大学非常勤講師/精神保健福祉士/ こういうふうな時代を超えてやっていき 社団法人日本精神保健福祉士協会認定スーパ ますと、ああこうやって自分は育てられ ーパイザー) 仁先生(就労支援センタ -MEW所長 たんだなという、今日のテーマにあえて 慶江です。助川さんのようにいっぱい 関連づけていえば、こうやってここへ来 しゃべれないと思いますが、簡単に経歴 た、ここへ立っているんだなということ などをお話しさせていただきます。 をしみじみ感じます。 今日、柏木先生のお話を聞かせていた ですからスーパービジョンというのは だいて、スーパービジョン、本当にやる そういう意味で本当に若い皆さんに大き んだなと思って、一番一生懸命メモをと な期待をかけ、現実の時代、現実の社会 ったのは僕じゃなし 1かなと思うんですけ 情勢の厳しさ等に対してどうやって皆さ ど。柏木先生と最初にお会いしたのが、 んが挫折しないで、人を大事にしたり命 三鷹にあります井之頭病院という精神科 を大事にする仕事にプライドを持って取 の病院に勤めていたころです。そちらに り組み、どうやって長続きしていくか、 は大学を出ましてから八年間勤めました。 やっぱりやっていてよかったなという、 就職当初、一年目のころから、たまたま やっぱり頑張って・・・になるような、 私、武蔵野市というところに住んでいま そういうことだといいなと思っています。 して、三鷹市の隣なんですよね。その武 そういう意味で、自分の経験をできるだ 蔵野市に精神障害者の作業所が一個もな け駆使しながら、皆さんのそういうもの かったんです。その関係で福祉事務所の にできるだけ耳を傾けて、一緒にまた今 方から声がかかって、作業所づくりを一 の時代、今の社会情勢、利用者さんが少 緒にやらなし、かということでそこに加わ しでもいい状況の中で、やっている私た って、二年後に作業所を立ち上げること ち自身が夢や希望をやっぱりつないでい ができました。その作業所の運営のほう けるような状況がつくれればいいなと思 にそのまま加わるようになって、運営委 っています。 員会で夜、月一回会議をして、運営のほ 長くなりましたけども、そういうつも うに携わっていました。その作業所が M りで、そういう気持ちでこのスーパービ E Wというところで、 M は武蔵野の M 、 ジョンセンターの取り組みには私自身も Eはエンジョイアブル (Enjoyable)の E、 向き合っていきたいと思っています。ど W は WorkshopのW ですが、その M E Wの うぞよろしくお願いします。(拍手) 立ち上げにかかわりまして、たまたま病 院の中で就労支援ということに興味を持 っていたものですから、病院のワーカー の方も、今日いらっしゃっていると思う んですけれども、就労までなかなか手が 28 回らないというのがどうしでもあって、 しか来ないとか、そういう時代だ、ったも どうしたものかなと思いながら過ごして のですから、そういう状況でもあるし、 いたんです。ある時とある見学ツアー、 自分がそういうのに興味があったという アメリカのクラブハウスを見にいくツア のもあるし、そういうアメリカでクラブ ーがあって、たまたまそれに乗っけても ハウスを見てきて、これをやりたいなと らうことができて、一緒に行かせていた いうような思いもあったものですから、 だいたんです。豊島区の作業所連絡会の じゃ自分がやりますということで病院を ほうで企画されていたんですけれども、 やめまして、そのまま作業所の職員にな アメリカのクラブハウスを幾っか見て回 りました。なので病院が嫌でやめたわけ ったりして、一緒に体験をさせていただ ではなくて、自分のやりたいことがあっ きました。その中のシステムが非常に就 て、チャンスがめぐってきたのでやめた 労に力を入れている部分があって、ああ と し 1 う経緯です。 こういうやり方をできればいいなという 最初は一人職場でした。東京は A B C ような思いを持って帰ってきました。 という三つのランクがあるんですけど、 病院には八年勤めたんですが、八年目 Cランクという一番小さいランクで、職 でやめる前、実は M E Wのほうでもうー 員一名、非常勤が一人で、やっているんで カ所作業所ができる、市のほうで認可が すけども、そういう形で、やっていて、全 ようやくおりたということで、二カ所目 くゼロからのスタートで、利用者さんと の作業所を立ち上げることになりまして、 一緒にいろんなものを買いに行ったりと そのときにどういうタイプの作業所にし かして、プログラムを一緒に考えたり、 ょうかということを運営委員会で話し合 そんなところからゼロからスタートした、 いをしました。同じような授産作業をや そういう経験がありました。 る、下請作業をやるような作業所ではな それが B ランク、 A ランクと上がって くて、できれば違うタイプの選択肢とし いきまして、今は A ランクということで、 てやっぱり色が違うものがいいんじゃな 職員が三名、非常勤職員三名おります いかということの中で、就労をきちっと さらに市から委託事業がありまして、今 支援していけるような作業所をつくろう は常勤が四名、非常勤も一名という体制 という最終的な結論が出まして、一般就 で、やっております。その作業所に行きま 労を希望する方に利用していただくため してから十年たってしまいまして、今年 の作業所ということで、就労支援センタ 十周年記念式典をやったんですけども、 ー M E Wが立ち上がりました。 都合合わせると大学を卒業して今十九年 今日は人材難ということで、募集しで D 目に入っています。先ほど四十年前に助 も人が来ないという話がありましたが、 川先生が柏木先生にお会いしたという話 当時も結構そういう時代で、応募してく があったんですけど、実は私、実習でち る人はほとんどいない、相当変わった人 ょうど二十年前に助川先生とお会いして 29 いまして、何か親、子、孫みたいな感じ なと思うんですけども、石川の震災のと なんですけども。(笑) きに精神保健福祉協会のほうから現地視 察に行ってこいということで、理事をし ちょうど二十年前にたまたま神奈川県 の、まだ当時は精神衛生センター(現・ ているものですから行ったときに、たま 精神保健福祉センター)といっていた時 たまちょうど支援に駆けつけているとこ 代ですが、実習に行かせていただきまし ろでお会いして、その後も時々お会いし て、そこで助川先生にお会いして、今日 たりすることがあるんですけれども、本 のスーパービジョンの柏木先生のお話に 当に縁を感じます。 も大事に育てるという話がありましたけ 私のほうで何ができるかわかりません ども、非常に大事にしていただきました。 が、くだらない冗談ぐらいは言えるので、 その実習先には二週間いたんですが、学 ちょっと和んで帰りたいなという方がい 校で紹介されて行くんじゃなくて、自分 らっしゃれば選んで、いただければいいの で実習させてくださいという感じで押し かなと,思って、ちょっと 忙しいもので、 かけていったものですから、本当に迷惑 あまり人数多くはお受けできないような な話だ、ったと思うんですが、温かく迎え 気もするんですが、もし何か縁があれば ていただきまして、助川さんの話が非常 ご協力していきたいなと思います。(拍 に印象的で、イギリスに行かれたときの 手) J 話を一生懸命話してくださって、本当に 三時間ぐらいしゃべってくれたんですね。 園田村 綾子(社団法人日本精神保健福祉士 この人は仕事大丈夫なのかなと学生な 協会特命理事・研修センター長/聖学院大学非 がら心配になるぐらい、午前中ずっとお 常勤講師/社会福祉士・精神保健福祉士/社団 話をしてくださって、ちょっと心自己した 法人日本精神保健福祉士協会認定スーパーバ わけですが、すごく熱心に教えてくださ イザー) ったり、帰りに飲みに連れていってくだ こんにちは。今ご紹介いただきました さったり。横浜には黄金町というちょっ 田村綾子と申します。時聞が押している と怪しいエリアがあるんですが、怪しい ようですが、大丈夫でしょうかというこ エリアのほうに一緒にいざなってくださ とが少し気になりました。助川さんも贋 いまして、飲みに行った思い出がありま 江さんも、ごらんになってお感じのよう す 。 に、私たちみんな話が好きなんですね。 スーパービジョンは多分何かの縁とい それでしゃべり出すと意外と長くなって うか出会いなんだろうなと思っています。 しまうんですけれども、スーパービジョ ちょっとした出会いがその後もずっと続 ンの場面ではぜひ、まず皆さんにたくさ くということもありますし、特にこの業 んお話ししていただきたいと思っていま 界にいる以上、何かの縁かなと思います。 す。その中から私たちも感じることをい 今日、岡安さんと会ったのもすごく縁だ ろいろとお話ししていくことになるだろ 30 うなと思います。 ていくのが嫌になっちゃうなとか、ゃめ 先程から出会いとか縁というお話があ ちゃおうかなと,思ったときなどにも、随 りましたので、その絡みで自己紹介も含 分話を聞いていただいて助けていただき めて話しますと、私は大学では慶江さん ました。そうやって人との繋がりに支え の一つ後輩になるんですね。別に大学時 て頂きながらやってきたことが今の私を 代には何もお世話になっていないんです つくってくれています。皆さんも今日い けれども、ゼミが同じでした。(笑)一回 ろいろな仕事があって大変な中や、疲れ ぐらいもしかしたらゼミの飲み会に来て ている中いらっしゃったと思います。疲 笑わせてもらったかなという感じのご縁 れているんだけど、一歩踏み出してみる があって、なおかつ私は神奈川県の丹沢 とか、だれかと会って話してみようとい 病院に就職したんですけども、その就職 う、そういうお気持ちをぜひこれからも が決まったときに神奈川県の精神保健福 大切にしていただきたいです。本当に力 祉センターへあいさつに行って助川さん が出ないときって、なかなかそういうこ にお会いしました。そのときは 2時間以 とがしづらいものですが、でも何かちょ 上も、いまのカリキュラムで言う精神保 っとしゃべるだけでも楽になることがあ 健福祉論の授業のようなことを話してく ると思いますし、同じ思いをしている人 ださいました。 ライシャワ一事件とか、 がいると聞くことで安心できたり、元気 精神衛生法の改正とか、そういうお話を をもらったりということもあると思いま ホワイトボードを使って突然始めてくだ す 。 さったので、圧倒されながらも、何てい せっかく相川さんをはじめとして聖学 うか、先輩の優しさというか、ちょっと 院大学の先生方が尽力されて発足したス あいさつに伺っただけなのにこんなふう ーパービジョンセンターを、ぜひ皆さん に親切にしていただける先輩がいらっし の力で本当に形のあるものにしていって ゃるんだなということで、すごくうれし 頂きたいなと願っています。私もたまた く思ったのを覚えています。 ま非常勤で聖学院とのご縁をいただいて そのおかげで、その後も何か困ったこ おりますので、どの程度お役に立てるか とがあるとよく助川さんに電話をして話 わかりませんが、自分が今まで先輩たち を聞いていただきました。さっき森本さ からいただいてきたものを少しお返しす んの発表にもありましたけど、職場が病 るような気持ちで、やっていきたいと思っ 院でしたので、看護師さんなど女性が多 ています。なお、私、精神保健福祉士と かったんです。それで苦労するのは男性 パンフレットには書かれていますが、社 だけではなくて、女性もやっぱり苦労す 会福祉士の資格も持っております。特に るんですね。女同士のごちゃごちゃとい 今回、スーパーバイザーとして精神保健 うのは、女同士でもあまり好まないもの 福祉士の領域の方の名前が目立ちますけ なんですよね。そういうところで、やっ れども、社会福祉を基盤にしているソー 3 1 シヤノレワーカー全体のためのものだとと たいことやってみようというふうに何か らえて良いと思っています。そういう意 元気が出るような、そういうセンターに 味では領域に縛られずにぜひ皆さんが活 なっていけることを私も願っています口 用していただけたらとも思います。そん これから楽しくやっていきましょう なことで、まずあしたから、じゃあやり うぞよろしくお願いいたします口(拍手) 3 2 D ど 意見交換会 098W034 の川田虎男です。一期 は今日十二時からその打ち合わせを食事 生になります。私自身はちょっと現場か をしながらしておりました。そのことの ら離れてしまっているので、長期のスー インフォメーションする方がおりますの ノミービジョンを受けたいけど受けられる で、マイクを渡したいと思います。 川田 メンバーなのかわからないのですが、一 つ教えていただ、きたいのが、研修交流会 岡安(卒業生ネットワーク代表) 今 でピア・スーパービジョンの開催という のお答えになるかどうかわからないんで、 のがあるんですが、具体的にもう内容が すけども、ご卒業されて実践を積みなが ある程度形があるものなんでしょうか。 ら学びを深めている方とか、あるいはこ というのは、もし可能であれば、例えば れから在校生の方で、現場に出ようと思っ 実行委員会という形まではし 1かないまで て不安とか希望とかを抱えながらおられ も、ここで研修を受ける方、ないしは行 る方がいると思うんですけども、そうい 政の方が一緒にかかわる形で・一一・。要は った方、せっかくの機会ですので、同期 そのプロセスの中でインフォーマルネッ の縦のつながりだけではなくて、やっぱ トワークを広げていくというのが多分大 り横のつながりを大事にして、そのネッ きな趣旨だと思うんですね。その意味で トワークをつくって、そういったピア・ もそういうかかわりをしていけるような スーパービジョンのような機能に持って 場ができたらいいのかな、もしくはかか いけたらなというふうに考えております。 わりたいなという思いがあります。 司会 ありがとうございます。まさに 三年前にもウエルカムフェアというの 川田さんがおっしゃってくださったとお を福祉学科の同窓会みたいな形で、ゃった りで、今日という機会は本当に貴重だと んですけれども、そのときのねらいの一 思っておりまして、皆さんのご協力が得 つも、できれば現場の仲間たちをインフ られれば参加者名簿を作成するなど、ぜ ォーマルにつなげたい。そのときは単発 ひそういう形で横のつながりを徐々に で終わってしまったんですけど、こうい 徐々に広げていければなというふうに思 うセンターというすてきな場所ができた っています。また、こういう機会を皆さ ので、そこを基点に、むしろ自分たちの ん自身が実行委員会などをつくって、っ 力でさらに広げていくという流れがつく くり上げていっていただければなと思っ れたらいし、かなと思いましたので、すみ ています。ぜひそのときには川│田さんも ません、提案と質問ですがお願いします。 実行委員会に加わっていただければと思 司会 どうもありがとうございます。 います。よろしくお願いいたします。 まさにそのことは考えておりました。卒 業生の方々からもお声がありまして、実 3 3 おわりに 牛津と申します。こうして柏木先生が イキアトリック・ケースワークの領域の 講義されて、私がまたお話ししますと、 方で、厳しい厳しいスーパーパイザーと 卒業生の皆さんのなかには、昔のパター しての機能を果たしてくださいました。 ンを思い出して、ここで一時間ぐらい掛 またその後、私はなぜかコミュニティー かるかなと思われる方もいらっしゃるか ワークの世界に飛び込んでしまいまして、 もしれません。しかし、出来るだけ手短 コミュニティーワークの世界でもやっぱ にお話したいと思います。 りある意味においてコミュニティーワー 先ほど田村先生が言ってくださいまし クのスーパービジョンを受けてきたとい ていう必要もないのですが、先生方の顔 う思いがあります。これはかなり技量の ぶれをごらんになって、精神保健福祉士 高い先輩方がスーパービジョンをしてく の会なんだなと思って、ひょっとしたら ださったということを、今、思い起こす 社会福祉士の方は、居づらくなったので のであります。 はと、ちょっと心配していまして、「決し そうした中で、ソーシャルワークはや てそうではありませんよ。柏木先生も精 っぱり一つだと、目指すところも一つで 神保健福祉士の立ち上げ者であるととも あり、いろんな領域からスーパービジョ に、社会福祉士の方々を育てるために随 ンを活用し、自分を高めていくことがで 分努力してくださいまた。私たちの学科 きるという確信を持って現在に至ってお かなめ でもソーシャルワークの要でご講義く ります。 ださいました。また助川先生もそうでご 各スーパーバイザーの方々からいろん ざいますし、決して精神保健福祉士のみ なことを学びました。幾つも幾つも挙げ というようなことではなくて、社会福祉 ることができますが、一番申し上げてお 士も含めたソーシヤルワークのスーパー きたいのは、ワーカーにも、クライエン ビジョンを今後ともここで考えて行くの トの方々にも、それぞれに異なるそれぞ ですよ」と言うことを申し上げたい。 れの時聞が流れているということです。 それぞれの領域で、スーパーバイザーの ところで、私も随分と異質なところか 方々が、私に暗黙の内に強く教えてくれ ら福祉の世界に飛び込んで参りましたの ました。スーパービジョンを受けるワー で、四十年ぐらい前になりますが、大変 カ一、またクライアントの方々すべてに に苦労をして、その頃数少なかった、ス その人独自の、特有の「内なる時間」が ーパーパイザーの方々にお世話になって 流れています。それに目をやり、心を接 まいりました。私のスーパーバイザーは し、そしてともにあることができるとい ケースワークの分野ではドロシー・デッ う、それぞれに流れている時間をキャッ ソーとし、う方で、かなり厳しかった。サ チしていくということ、 34 ドロシー・デッ ソーをはじめとした方々が、表現はさま けていくことができると思います。どう ざまでしたが、私の心に伝えてくれまし かここに、この産声を上げたセンターに た。「あなたの時閉じゃないんだよ、クラ 集い続け、輪を広げていただきたいと思 イアントの方々の時間に接しながら、共 います。 感の道を辿ってし、く。そこから何かが生 そして、先ほどのお話にもありました まれていくよ」ということを、いつも心 ように、このセンターを核に、ネットワ にとどめておくように教えてくれました。 ークを形作っていき、その関係性を大切 加えて、思い返して申しますと、スー にしたいですよね。それは、いろんなほ ノミービジョンを受けておりますと、柏木 かの学校の方々、またさまざまな地域に 先生のお話にもありましたように、支援 も広がっていくと思いますけども、私ど を受け、心を、「あなたでも大丈夫なんだ もはワーカーのピア・グルーフ。、仲間集 よJ という気持ちにさせてもらって、エ 団の意識を持って活動を広げたいと思い ンパワーされてし、く、そういう思いが本 ます。 当にたくさんあります。 仲間としての苦しみ等をそれぞれに語 さらに、さっきどなたかがおっしゃい りながら、地域ごとに核とネットワーク ましたが、私たちはどうしても当てはめ ができて、身近なところで専門性が支え 型のパターンの中で仕事をすることが多 られればいいなと思います。 いですよね。その当てはめ型のパターン さっき山形弁も本当に懐かしく聞かせ に苦しみ悩む、その当てはめ型のパター てもらったし、福島のイントネーション ンを内省しつつ、利用者の側に立って、 も聞かせてもらったし、それぞれの地域 ニーズに即してという道を辿りますが、 に仲間集団ができて、そして語り合って そのギャップに悩む中で、スーパーバイ いく。各地域の専門家のピア・グループ。 ザーに接しますと、「やり方ないし方向 ができて、さらにスーパービジョンがな 性」そのものを指し示すのではなくて、 されてし、く。 そうした新たな道を考える力を与えてく れるように思う。 そういうふうな展開を含めて懇談会の 席で、またその後の広がりのなかで、お 話をなさり、活動へと繋げていただけれ スーパーバイザーとしての先生方、本 ばと期待いたします。 当にすばらしい方々がここに集ってくだ さいました。ですから、皆さんがたは、 牛津 私がこれまで経験してきた以上に非常に 科教授・学科長/人間福祉スーパービジョンセンタ 高度で、また深いスーパービジョンを受 ーコーディネーター) 3 5 信忠(聖学院大学人間福祉学部人間福祉学 聖学院大学人間福祉スーパービジョンセンタ一発足会 参加者からの言葉 - 参加の動機 . 参加者の感想 ・ 現在困っていること 圃 s v cへの期待・要望 36 圃参加の動機 医療機関の中で働く中で、医学モデ、ルに振り因されている自分に気づき、職場を離れ た機関で自分の点検を行い、専門職としての力量と専門性を高めたいと思い参加申 込みをしました。 職場の中で誰にも悩みを打ち明けられず苦しんで、いた時、相川先生に相談をしてそ の悩みを打ちあけた時、とても救われたとしづ経験があった 今は同じ職場の中でよい O 上司に恵まれ、相談を気軽にできるようになったが、以前の状況と今の状況、精神状 態が全く違っていて、やはりスーパービジョンがあるのとないので、は精神状態が全く違 うなと私自身が身をもって思ったので、今回参加しようと思いました シンポジストの吉田君の呼び、かけがあったため O O 相川先生を通じて。悩みは人それぞれ違うと思うけど、みんなも悩んでいるとわかるだ けでも今後の仕事の糧になると思ったため O 相川先生のお誘いで参加させていただきました。 自分の抱えている思いを誰かとわかり合いたい。グチになってしまうかもしれないけれ ど、ただ聴いて欲しい。 現在の職場では、スーパーバイザー的存在の人がいないため。 0人を越え、多くの先輩がいる一方で¥現在私が 当院の法人グループ。には PSWが 3 所属するサテライトクリニックで、は一人職場としづ状況の中、その場その時に相談したく てもできないことも多い。日々の業務の振り返りをしたいと考えたため。 自分の職場では、ワーカーとして経験のある方があまりいないので、ぜひこの機会に 活用させていただきたいと考えたため。 -参加者の感想 シンポジストの方々の切実な悩み等を聞くことで、自分の業務内容を振り返ることが できた。現在、市役所直営の地域包括支援センターの社会福祉士として働いている が、主任ケアマネージャーが社会福祉士で、日常業務の中で、も普段からスーパーバ イズを受けることのできる自分はとても恵まれた職場にいると感じた。日々の業務の 中で、スーパーバイザーに相談で、きる環境にいる自分でも、仕事のやりがいを見失っ たりすることもあるが、みんな同じ悩みを抱えているのだとし、うことがわかった O 本日はこのような会を開催してくださり誠にありがとうございます。卒業以来、お会い していなかった方との再会、同窓会のようで気持ちがワクワクしました。柏木先生の久 しぶりの講義を、かつて一緒に授業を共にした友人と机を並べて受講することを懐か 37 しく思いました。久しぶりに会って色々な話をすることができ、充実した時になりまし た。これからまた、人脈が広がればいいなと思います。 職種や立場が違っても、同じような悩みを持つ方がたくさんいるとし 1うことがシンポジ ストの方々の話からわかりました。もっと色々な人の話が聞きたい。自分の悩みも誰 かと共有できたらなと思いました。懐かしい先生方、級友、学内のどこかで見たことの ある方々にお会いで、きてよかったで、す O 日々仕事をしてして中で生じる悩みや疑問。自分だけではないんだということを感じ ることができて、とても良かったと思いました。ひとつひとつの小さな悩みや問題をどう 解決していくか、サービス利用している方にどう支援し、関わってしてか・・・ みんな で考えていきたいと思いました。 実践の中で、困っていることを聞いて、これから仕事をすることへの不安よりも、悩んで も話ができ、一緒に考えてくれる場所があるという安心感のほうが大きくなった。初め て会う先輩方がたくさんいらしていて、スーパービジョンの必要性を感じるし、先輩方 と会う機会をきっかけにしてネットワークを広げていけたらいいなと思う。 卒業と同じ年にスーパービジョンセンターが立ち上げられ、働き始めてからも自分で 悩みを抱えることなく相談できることを感謝しております。来年度から働くとし 1うこと で、今回先輩方から現場のお話と苦労されていることなどをうかがうことができ、心の 準備をすることができたように感じています。やはり、実践現場で先輩方が経験され た多くのことを聴くだけで学ぶことがありますし、疑問を持つことの大切さ、それが自 然なことであることを知りました。 同じ悩みや希望をもってがんばっている人の話を聞くと力になります。 同じ現場で働く方たちの心情がわかり、自分自身の振り返りにもなりました。良い機 会となりました。 実践現場での話を聞き、改めて大変さを感じるとともに、 s vセンターの必要性を実感 しました。卒業後も悩みを聞いていただける場があるということは、大きな支えであり、 安心して進んでいけると思います。発足会を通して、多くの先生方や先輩方とお会 いすることが出来、ネットワークを広げていくことの大切さを実感しました。 休みを取るのは本当に大変だ、ったので、すが、来て本当に良かったで、す O ありがとうございました。岡安さんの話にあったように自分も「サービスを利用者にあて はめている」のではないかと気付かされました。柏木先生のお話を聴き、生活支援を 行う福祉の職員として、クライエントの話を聴き、クライエントとの関係を作って、クライ エントの望むことを福祉の立場として、チームに働きかけて行くべきなのだと安心でき ました。この気持ちを忘れずに、この思いを持って、また現場に戻ろうと思わされまし た。よかったで、す O これから現場で働くなかで、不安などがあったら、是非活用したいと思いました。 3 8 スーパービ、ジョンセンターの開設がとても心強いと思いました 困ったとき、悩んだと O きに利用させてもらいたいと思いました。 色々な話を聴くことができて、自分とは違った面で、の悩みや考え方を知ることが出来 ました。「自分だ、けで、はない」という事がわかるだ、けで、も精神的に楽になれると思いま す。今日はありがとうございました。 今現在での悩み、大きな悩みをかかえているとしづ訳ではないのですが、かかえきれ なくなった時に、この様な場所があるとし、うことに安心感を持ちました。 講師の先生方のお話を聴いて元気になりました。 卒業生の方々の現場での悩みを聴いて、自分自身の悩みとリンクするところが多く、 私一人だけじゃないんだと気付き、焦りを感じていた時期だ、ったので、正直少し安心 しました。 柏木先生は PSW協会、書物などで、知っていたので一度お話をお聞きし たいと思っていたので、今日はとても有意義な時間を過ごさせて頂きました。ありがと うございます。 突然の参加を快く受け入れていただきありがとうございました。私は一般企業で働い ておりおますが、現場で働いている友人と会うと職場での悩みや矛盾をよく聞きま す。同じ職場の中で悩みを解決する機会は少ないように感じました。今回このセンタ ーの立ち上げにより、悩みを解決に導く機会が出来、より良い支援につながることで、 しよう。私も数年後には障害者施設で、働きたいと考えておりますので、その際にはぜ ひ皆様のお力をお借りしたいと思っております よろしくお願いいたします。 O この様な機会をつくって下さって、本当にありがとうございます。参加させていただき たいです。 久しぶりに先生方にお会いできたこと、仲間に会えて本当に良かったで、す また参 O 加したいと思います。 とても勉強になりました。また参加したいです。 とてもいい刺激になりました。同じ不安、同じ悩みをかかえている事を知り、この会に 参加したかいがあったなと感謝しています。 やはりスタッフ聞の悩みが、多くを占めているんだなと感じました。ネットワークだけで、 も本当に力になると思います。 講演の方は参加できませんでしたが、本日シンポジストで、欠席された方のメールの 内容を伺い、まさにそうだと思いました。私たち福祉の現場にいる者が、その志を失う ことのない様、カを合わせていけたらと思います。 同期の仲間と会う機会になると思い参加しました。もちろんそれは叶いましたが、そ れ以上にスーパーバイザ一、コーデ、ィネータ一、シンポジストのお話を聴くことがで き、参加したかいがあったと感じています。 39 柏木先生をはじめ、久しぶりにお世話になった先生方に会うことが出来ました 卒業 O 生のシンポジウムでは、自分も悩んでいるようなことであったり、経験してきたことで悩 んでいる方がし、たりと、色々な話が聞けてよかったと思っています O 柏木先生のお話をじっくり聴く良い機会となり、この場を用意していただいた事に感 謝したいと思います。卒業後、大学の先生方に会う事もなく過ぎ、久しぶりに拝見さ せていただいた顔ぶれに懐かしく思いました。卒業生が現場で、今何を感じて業務 を行っているのか聞け、共感が得られたことにうれしく思います。残念ながら、同期の 卒業生の参加が少なく、今後こうしりた機会に多くの呼びかけをして、一人でも多く の同級生が参加してくだされば、よりありがたいと感じました。 柏木先生のお話が、大学での講義を思い出し、なつかしく感じました 仕事の内容 O はみんなそれぞれ違っても、同じ様な悩みを持っていて、スーパーバイザーの存在 の大きさも知った O 来れてよかったで、す 一人ではないことがとても良く感じられました。 O 先生方をはじめ、先輩、後輩にもお会いすることが出来、とても充実した時間を送る 事が出来ました。そして改めて、スーパービジョンの大切さ、必要性を知ることが出来 てとても勉強になりました。 今日はありがとうございました。 久しぶりに柏木先生のお話を聴いて、大学時代を思いだし、懐かしく、嬉しく思いま した。又、シンポジストの方々のお話を聴き、やはり同じ気持ちを持っていらっしゃる ことが分り、心強くもあり、改善の必要があるのだと改めて思いました。 シンポジストの方々の悩みや意見が伺えて、共感することが非常に多くありました。そ うし、った中で、日々の業務に当っている人は多いと思います。人材不足が叫ばれる 中、離職による担い手を失うことや、人材育成のチャンスを失うこと、もったいないと 思います。ぜひそうし、った中で、大きな役割を果たして頂くシステムとなることを願い ます。僕は又、明日からがんばろう。という気持ちになりました。 柏木先生の講義を久しぶりに聞けて良かったで、す 私自身、仕事で苦しんで、いた時 O の相川先生の一言にどんなに救われたか分らないので、スーパービジョンの大切さ をすごく実感しています。時間に余裕があれば是非又参加したいです。 柏木先生の貴重なお話を伺えて、とても嬉しく思います。シンポジウムでの発表で は、様々な思いを知ることが出来、自分ひとりだけじゃないという思いに至りました。 ありがとうございます。 40 -現在、実践のなかで困っていること 職場に相談できる上司がいなし、。人間関係は大きな問題はないが、コミュニケーショ ン不足で互いの動きが見えにくく、すれ違いができてしまうところがあること。 他職種との連携がうまくし、かないことがあり、孤立感を感じることがある。特に看護職 員と行っている SST や行動制限最小化委員会の中で強く感じ、無力感に陥ることが ある。 利用者とその家族との調整 現在は特にありません。日々経験勉強です。ちなみに私は地域で、もケースカンファ、 ' " ' " ' 2回)を通してスーパーバイザーの役割・機能があり私も助けられて 事例検討(月 1 おります。 人手不足 デイの職員の中で正社員が 3人しかいないので、 1年目でわからないことが多くて、 どうしてもやらなくてはいけないことが多かった 働くまで、正社員とパートの壁はそん O なにないと思っていたけど、責任とか様々な場面で感じる。利用者にとっての優先順 位をいつもつまずく。利用者の精神面・身体面など場面によって異なるが、その時ど ちらが大切なのか、実施したことについてあれで、よかったのか常に迷っている。利用 者の死について気持ちの整理がうまくできない。 私は仕事で直接ご利用者にお会いすることは少ないのですが現場でおきているこ とを上司に伝えるとしづ仕事をまかされています。現場経験がほとんどない私にとって は、どう解決したらいいのかわからないケースが多く悩んで、います。 自分の思うことと、施設の方針の違い。マンパワーの不足。迷った時にすぐ相談で、き るところが欲しい。人がころころかわってして施設。行き詰ってしまって自分は何をし ているのだろうと、自己嫌悪に陥る日々 それでもどんどん仕事に追われて流されて O しまい、心が空になるような気持ちになってしまうこと ありすぎて何で、図っているのか O すらもわからなくなってしまっている。 日々の仕事、外来患者さんや電話での相談、救急対応、書類作成等に追われ、入 院患者さんの支援がいそがしいのを理由になかなかできていなし、。 医療職の多い中、福祉職の PSWがきちんと自分を持てているのか。「関わり」の仕事 以外の業務(つまりは事務的なこと)が多い。 自立支援法施行に伴う新体系への移行により施設問の(同法人内の)連携がうまく し、かないこと。そのことから法人内の人間関係が円滑に図れず、利用者への支援に 支障をきたしてしまう。新しいスタッフへの指導・助言等。医療機関経験者と援助方 針の違い 4 1 -スーパービジョンセンターに対する要望・期待 研修会等に参加することで、情報の収集や新しいネットワークづくりの場として活用し ていきたい。 人が集まる条件として、①場の確保、②集まる人の共通項、があると思います。その 条件を揃えてくださりありがとうございます。今の私は“スーパーバイジー"としてです が、いずれ経験が増え、受けてきた事を継ぐ時が来ると思います。“スーパーバイザ、 一"の自分も将来、見据えて参加できたら良いなと思います。 ぜひスーパービ、ジョンを利用したいと思いますが、家から遠いことでなかなか都合が つきにくいのが残念で、す 研究交流会のように土日休祝日の開催はありがたいで O す 。 スーパーバイザーの方々をはじめ、みんながセンターを作り上げていけるように力を 合わせていきたいです。人材育成のためにもセンターの今後に期待しています。 話を聞いて一緒に考えてもらい、成長できるような場と、個別だけじゃなくて、集団で 学ぶ機会もあるので、ネットワークを広げられるような場、交流会などで情報交換がで きるような場として利用していきたい。 制度と法人や倫理の間で揺れ動くことや悩みを感じることが多くあります。できればど こにいても、いつからで、も参加で、きることを希望します O 誰でも気軽に参加することの出来る場になればと思います。 ネットワークを広げたり、関係者同士のつながりを深めるためにも、研修交流会を期 待しています。 研修などを希望します。 専門職として、人としての成長。 大学と福祉現場のつながり、卒業生同士のネットワークの場として機能することを期 待します。 自分自身、経験が浅いのに室長になってしまし、(現在退職している)、先輩などの指 導を受ける機会がなかったので、この様なセンターが発足し、心強いばかりです。私 のような悩みを持つ方々も多いと思うので、センターを利用し、多くのスーパーバイザ、 ーを輩出して頂きたいとおもいます。 現場での情報交換。 長く愛されるセンターになることを願っています。 関係者でもさらに参加しやすくなる様、費用を下げていただけるとありがたいです。 施設内や、身近なところにスーパーバイザーがいないワーカーはたくさんいると思い ます。そんな人たちがいつで、も来られるように敷居の低いもので、あって欲しいで、す 卒業生同士の交流の場を希望します。情報交換できれば幸いです。 42 O この場に来れない、なかなか時聞がとれない人に対する対応。 遠隔地域の人にも利用出来る様に展開していっていただ、きたいと思います。 グループ。スーパービジョンのグループ。を複数にしていただけると幸いです。同じ職場 の同僚とも参加がしやすくなると思うので、よろしくお願いします。 自己解決しにくいことやストレスになっていることを、表出し、一緒に考えていただくこ とで、より仕事に前向きに取り組めるようになりたい。 専門職として自信が持てるようになりたい。 利用者の方と接していると、これは自分のエゴなのではなし、かと悩むことが多々あ る。そんな時、その思いを吐き出し、自分自身が悩んでいることをまとめたり、軌道修 正をする手助けをしてもらいたい。 人材の育成・支援・指導などなど、個別のニーズに合わせたシステム作りをしていた だきたいと思います。 日程などを見ると参加は難しいと思いますが、このようなセンターがあるというだけで 安心します。卒業生の居場所のようなところになって欲しいです。 同職種の人にしかわからない悩みやイライラ、葛藤などの共有、この先仕事を続けて いく上での支え。 日々の業務の振り返りをするためにも、 PSWの関わり、関係性について再確認で、き る場を設けていただきたい 同じくらいの年数働いている方と、ケース等の話をしたり、職場について話す場がで、 きる。先生方にお話を聞いてもらい、自分の問題点を見つめなおす 能力の向上。 O 43 聖学院大学スーパービジョンセンタ一 発足会 ス-/ミービジョンへのお誘い 聖学院大学総合研究所 人間福祉学研究センター副センター長 中村磐男 大学で 4年間、人間について学び、福祉について知識を得たはずなのに、福祉や保健 医療の現場に就職したら、わからないことばかりで戸惑った万は少なくないでしょう。 対人援閑職というのは卒業したら即一人前の援朗者になれるというものではありません。 まして職場の戦力となるまでにはかなりの時間を要するものです。 しかしながら現場には人を育てるゆとりがなかったり、アドバイスをしてくれだり指 導をしてくれる先輩がいないということは決して珍しいことではありません。先輩職員 がいても忙しくて新人教育ができない、聞きたくても忙しそうで聞くことができない、 結局わからないまま目の前のことをこなしていかなければならないといったことがかな り多いはす、です。例えば、介護保険の改正や障害者自立支援法等による情勢の変化の中 で、事務的な仕事に追われて、利用者の思いに寄り添い、かかわりを大切にしたいと思 いつっち状況に流されてしまう、そんなことが日常的になってしまっている自分に危機 感を感じる、等々悩みは尽きないのではないでしょうか。 そこで人間福祉学科では、このたび卒業生を中山として、実践現揚で働く皆様にスー J ' ¥ービジョンの機会を提供する目的で、来年度 (2008年度)からスーパービジョンセン ターを立ち上げることとしましだ。 スー J ' ¥ービジョンとは、そのような実践を積み重ねる中で、自らの利用者へのかかわ りを振り返り、そこにある利用者の思いについて吟昧、確認をしながら、利用者の望む 生活の実現ヘ向けだ支援について示唆を受けるものです。これは先輩ソーシャルワー力 一等スーパー J ' ¥イザーとともに、利用者とのかかわりについて険討を深めていく共同作 業の過程です。そしてそれらは夢を抱いて就いた仕事に苅して、夢を抱き続けられるよ うなサポートとなるに遣いありません。 来年度、スーパービジョンセンター開設にあだって、皆様にその目的や支援内容等に ついて知っていただき、活用していただくだめに、下記の日程で発足会を開催すること といたしました。 皆様の多くのご参加をお待ちしております。 44 記 日時:2008年 3月 1日(土) 一部 14時"-'17時 二部 (懇親会)17時 30分 "-'19時 30 分 場所:新都 I~\ ビジネス交流プラザ聖学院大学教室 北 与 野 駅 ( 埼 京 線 〉 徒 歩 1分 さいたま新都ω l駅 徒 歩 7分 <一部> 14 : 0 0 " '14 :10 開会の言葉 人間福祉学部学部長中村磐男 14 :10 " '14:50 講 演 :r スー J ' ¥ービジョンとは伺か」 大学院教授柏木昭 14 : 5 0 " '15:00 休 憩 15 : 0 0 " '15:30 卒 業 生 か ら 福祉保健医療現場勤務卒業生 「今、実践のなかで因っていること、 そしてスーパービジョンセンターに期待すること」 103W森本 浩平(医療法人二本松会山形病院・精神保健福祉士〉 099W岡安 務(社会福祉法人白干鳥会精神障害者生活訓練施設まっかぜハイツ・精神保健福祉士) 098W吉田 亮介〈社会福祉法人こぶし福祉会リバーサイド・精神保健福祉士) 15 : 3 0 " '15:40 休 憩 15 : 4 0 " '16:00 スーパービジョンセンターの説明及びスーパーバイザーの紹介 教授柏木昭 16 : 0 0 " '16:45 意 見 交 換 会 司会専任講師相川章子 16 : 4 5 " '16:50 閉会の言葉 人間福祉学科学科長牛津信忠 <二部> 1 7 : 0 0 " ' 園田園田一きりとり 懇 親 会 (2000円実費負担) 圃ー._ . 一 ー ーー・ーー・ーーきりとり きりとり ー ._ . . 聖 学 院 総 合 研 究 所 事 務 室 宛 (FAX 048-781-0421) 口出席口欠席 懇親会【 3月 1日 】 (2000円実費負担〉に 口出席 先 ︹絡 属連 所ご 発足会【 3月 1日】に お名前〔 45 口欠席 スーパービジョンへの誘い 聖学院大学人間福祉スーパ}ビジョンセンタ}発足会報告集 2 0 0 8年 9月 2 7日(土)発行 発行 聖学院大学人間福祉スーパービジョンセンタ一 代表 柏木昭 編集・構成相川章子 印刷 やどかり印刷 46