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P16-P19(PDF:0.94MB)

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P16-P19(PDF:0.94MB)
3.基本的な整備手法
森林整備の作業は、大きく分けて「下刈り」、
「つる切り」、
「除・間伐」、
「落ち葉かき」
があります。目標に合わせてこの作業を進めていきます。
(1)下刈り
下層にコシダなどのシダ類やネザサなどのササ類が繁茂している場合、多様な植
物が生育できるようにそれらを刈り取ります。また、生育させたい幼樹のじゃまに
なる草や低木を刈り取ります。
普通、下刈りにはカマを用います。低木の常緑広葉樹を除去するときは、ノコギ
リを用います。草刈り機を利用することも可能ですが、安全技術の研修を受講した
人が使用するようにします。また、下刈りは夏に行うのが効果的です。ただし、重
労働でもあるため、秋から冬に行ってもよいでしょう。
ササの刈り取り
(2)つる切り
樹木(特に高木)に巻き付いて、樹木の生育を抑えているフジやクズなどのつる
植物を除去し、樹木を元気に生育させます。カマや剪定ばさみ、ノコギリを用いて
根元部のつる植物を切ります。なるべく巻き付いているつるを取り除きます。高い
ところは上部が枯れてから処理を行います。
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(3)除・間伐
枯死木や衰弱木、病虫害の木を伐採します(除伐)。林内を明るくするため、ソヨ
ゴやヒサカキなどの常緑広葉樹を伐採します。
密度調整のため必要に応じて高木を伐採します(間伐)。また、たくさん株立ちし
ている木の株を整理して、弱っている幹や細い幹を伐ります。侵入した竹がある場
合は、伐採します。
伐採した樹木は、長さ1m程度に伐りそろえ(玉切り)、転がらないよう根株など
に引っかけて集積します。一般の人は、ノコギリを使い、玉切りや伐採可能な中低
木や竹の伐採をします。チェンソーを利用することも可能ですが、安全技術の研修
を受講した人が使用するようにします。比較的大きな樹木の伐採は、危険を伴う難
易度の高い作業です。
萌芽を抑えるには夏の伐採が効果的ですが、比較的重労働ですので、秋から冬に
行うのが望ましいでしょう。また、萌芽更新を期待する場合は、冬に伐採すると再
生しやすくなります。
ノコギリを使うときに意識しなければならないのは、引くときに力を入れるとい
うことです。使い慣れていない人の多くは、押すときにかなりの力を入れています。
このような使い方は、効率が悪いばかりか無理な力を加えることによりノコギリを
傷めてしまいます。また、伐採作業は危険ですので、安全のためヘルメットの着用
が必要です。
伐採した木が他の木に引っかかる(かかり木)と後の処理がやっかいになります
ので、かかり木にならない方向に切り倒すことが重要です。
伐倒の方向をある程度定めるために、受け口と追い口を作ります。
(次ページ参照)。
伐倒するときには笛などで合図をし、倒す方向にいる人に、待避してもらうことが
大切です。
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(4)落ち葉かき
厚く積もりすぎた落ち葉は、草木の発芽や生長の妨げになります。種子の発芽
により樹木を成立させたい場合、落ち葉かきをして地表を処理することが必要で
す。落ち葉のかき方は斜面の上から下にかき出します。土の表面を少し裸出させ、
表面に少し落ち葉が残るようにします。
過度にかきすぎると土が流出し、逆効果となります。
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4.里山林整備計画の立案
里山林の植生や林の状況は、地域によって条件が異なり多種多様です。整備を始め
る前にまず現地調査を行い、その里山林に適した整備計画を立てることが必要です4)。
(1)手入れする森林の範囲(所有界、地形など)を決めます。
(2)その森林の様子を調べます。
①植生状況
主にどのような種類の木が生えているのか(木の高さ、太さなど)、また混み具
合はどうかといった状況を調査します。大まかにその林を構成する木の種類から
コナラ林やアカマツ林などに区分して、整備計画を立てる資料とします。
また、貴重な植物の有無を記録します。地元の植生に詳しい方に聞くのもよい
方法です。
ササユリ
②地形及び土壌条件
作業の安全性や土壌の流出防止のため、地形や土壌状況を把握します。尾根や
谷を区分するとともに、特に、急傾斜の場所や土が崩れている場所がないか調べ
ます。
③その他
歩道の状況や森林の法規制についても確認します。
(3)どのような森林を目指すのか目標を決めます。
(4)具体的な手入れ方法の計画を立てます。
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