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パソコン用PCB設計ツールの実力

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パソコン用PCB設計ツールの実力
32ビットWindowsに対応し,実用性も増した
パソコン用PCB設計ツールの実力
▽
丸一 威雄
プリント基板設計ツールは,これまで
プリント基板設計ツールの主な機能
ネント)の種類や,各ラインを配線する
UNIXワークステーション上でしか十分
基板設計ツールは,回路図の情報(結
場合の太さに関する情報などを含ませる
に使うことができない,複雑で難しいも
線情報,ネットともいう)をプリント基
ことができます.回路設計ツールOrCAD
のと考えられてきましたが,Windows95
板上に配線するためのツールです.回路
Captureの場合,回路図中に配線をする
やWindows NTなどの32ビットOSが登
図エディタで記述した回路図の結線情報
場合のラインの太さや,パーツの格納さ
場することにより,パソコン環境でも十
をEDIF200などのネットリストに変換
れるパッケージの情報などを指定するこ
分に使える時代になってきました.
します.ネットリストには,回路で使わ
とができ,これらの情報はネットリスト
以下ではプリント基板設計ツールの機
れている各パーツの接続情報が含まれて
を介して基板設計ツールに渡すことがで
能や実力を,1995年末に米国OrCAD社
おり,基板設計ツールはこのネットリス
きます.もちろん,基板設計段階で基板
が発表したOrCAD Layout Plus Ver 6.4
トを読み込んで基板上にそのネットをレ
に依存する情報を定義し,ネットリスト
を例に紹介します.
イアウトする作業を支援します.
と合わせてレイアウト作業に入ることも
ネットには,電気的な接続情報の他に
パーツの置かれるパッケージ(コンポー
可能です.
基板を設計する場合には,基板上に配
回路図にパーツを配置して配線し,回路を完成させる
アノテーションを実行し,パーツにリファレンス番号を与える
回路設計ツール
回路のネットリストを作成する
基板,パッケージなどの外形データ(フットプリント)を作成する
ネットリストを読み込み,パーツ用パッケージを配置する
プリント基板設計ツール
自動配線,マニュアル配線を行い基板を完成する
スワップ・ファイルがあれば読み込み,回路図を更新する
回路設計ツール
基板と回路図の情報に一貫性が保たれる
〔図1〕 回路図の作成からプリント基板作成までの流れ
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Design Wave Magazine No.2
パソコン用PCB設計ツールの実力
置した各パッケージや配線の位置関係な
どから,設計時に回路図上で割り当てた
番号を変更したほうがよい設計になるこ
とがあります.最近のプリント基板設計
ツールは,マルチパーツ・パッケージや,
パーツのピンの状態を管理しており,配
線条件などからゲートやピンを自動的に
入れ替えることができるような機能が用
意されています.
これらは,ピン・スワップや,ゲー
ト・スワップと呼ばれ,交換情報はスワ
ップ・ファイルとして出力されます.ス
ワップ・ファイルは後で回路設計ツール
に読み込むことができ,読み込んだスワ
ップ情報を元に回路図を自動的に更新す
ることができます.こうして回路図面と
プリント基板の情報が常に同じになるよ
うに管理することができます.
〔図2〕フットプリント・ライブラリ・エディタを開いた様 子
CADによるプリント基板
の作成方法
回路図の作成からプリント基板作成ま
での一般的な流れを図1に示します.
フットプリント定義
( 基板やコンポーネントの外形定義)
基板設計ツールで最初に行う作業は,
基板の外形の定義と基板上に配置するパ
ッケージ(コンポーネントと呼ばれる)の
確認です.これらは,フットプリント
(Footprint)と呼ばれます.基板の外形
は,常に最初に定義する必要があります.
そして,使われるコンポーネントの確認
を行う必要があります.
基板設計ツールには標準的なフットプ
リントのライブラリが付属していますが,
ユーザーがASICなどのパーツを製作す
〔図3〕クラスタを使ったコンポーネントの自動配置
るような場合,ライブラリには該当する
部品がないので,新たに作成しなければ
オート・プレイスメント
ることができます.また,電源やCPU
なりません.そのような場合には,フッ
( コンポーネントの自動配置)
周辺など決まった場所に配置したいコン
ポーネントはマニュアル(手)で配置し,
トプリント・エディタでパッケージの外
基板の外形,コンポーネントの外形(フ
形を定義することが可能です.フットプ
ットプリント)の定義が終わったら,次
移動不可能の属性を持たせることができ
リント・ライブラリ・エディタを開いた
はコンポーネントを基板上に並べる作業
ます.それ以外のコンポーネントは,オ
ようすを図2に示します.
です.
ート・プレイスメント機能により自動的
OrCAD Layoutの場合,メモリなど
Design Wave Magazine No.2
に配置させることができますが,この際,
の規則正しい配列を必要とするコンポー
近くに配置したい互いに関係の深いパー
ネントは,マトリクス(格子)状に配置す
ツの集合は,その集合にクラスタという
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