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農山村集落との交流型定住による故郷づくり

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農山村集落との交流型定住による故郷づくり
平成19年度 現代的教育ニーズ取組支援プログラム
「農山村集落との交流型定住による故郷づくり」
−持続的に
関わり続けるという定住のカタチ
による21世紀のふるさとづくり−
第4回丹波公開講座「丹波の未来を考える」
■日時 2009 年9月 26 日(土) 13:00∼16:10
■場所 関西大学 第 4 学舎 3 号館 3101 教室
■プログラム 13:00∼14:30 「丹波の未来を考える①」
「大学は街に貢献できるか? 学生と市民による幾つかの試み」
小林 正美(明治大学理工学部教授 工学博士)
14:40∼16:10 「丹波の未来を考える②」
「身の丈と、身の程に合った、地域再生と交流を…!」
山田 脩二(株式会社山田脩二淡路かわら房)
現代 GP「農山村集落との交流型定住による故郷づくり」は、関西大学と丹波市が持続的に交流し、フ
ィールド・体験型の教育と 21 世紀のふるさとづくりをめざすプロジェクトです。丹波市青垣町佐治地
区における空き家リノベーション、交流ワークショップ、滞在型ワークキャンプなどとともに、学生と
住民が共に学ぶ公開講座を毎月開催しています。第4回丹波公開講座は、以下のような内容でした。
1 公開講座の報告(概要)
■大学は街に貢献できるか? 学生と市民による幾つかの試み
まちづくりは、かつては中央省庁の予算に基づいて行われる「トップダウン型」でしたが、現在は住
民やNPOの参加を軸とした「ボトムアップ型」へと移行しています。大学のもつ「知識や情報」が社
会の「経験」を経て「知恵」になるという意味では、学生は大学と地域をつなぐ役割を果たします。だ
から、現代における大学の役割は、社会に貢献できる人材を育てることにあり、そのための実践的な活
動が、学生たちが地域に短期間滞在し、現地踏査やヒアリング、話し合いなどを行う中から、課題や資
源を見つけ、まちづくりプランの提案を行う「シャレットワークショップ」です。
下北沢では、小田急線の高架化に伴う跡地をどう利用するか、都市計画道路の整備と建物の高層化を
認める地区計画に伴う住環境の悪化をどう防ぐかが課題になりました。住民の関心が高まる中で、日米
の3大学による計画案の検討、専門家と市民の参加による検討などが行われ、成果として遊休土地の利
用に関するアイデア募集が行われました。また、全国の大学生の参加によるシャレットワークショップ
の開催によって様々なアイデアが出され、公開されています。
姫路では、鉄道の連続立体化を契機に整備されることになった駅前広場のデザインが必要になりまし
た。素案は、歩行者の安全で快適な動線の確保などの面から問題があり、地域の NPO の要請によって2
回のワークショップが開催されました。その成果をもとに、一般車を排除するトランジットモールにす
るとともに、タクシー乗場の配置を変えて、連続した歩行者動線が確保される案が市から出されました。
黒石では、年ごとに減少している「こみせ(道路沿いの私有地につくられた屋根のある歩行者空間)」
、
「裏地(敷地の裏にある空き地)」
、「浴場」などをどう活かすかのワークショップが行われました。裏
地をつないで、みんなが使えるオープンスペースをつくる案、浴場を「子育て支援施設(昼)+バー(夜)」
に利用する案などが出されました。
フランスのセルジーポントワーズでは、洪水の恐れのあるセーヌ川をどうするかをテーマに、日本を
含む世界の大学から集まった学生による国際ワークショップが開かれました。学生から出されたプラン
に対して、専門家のチームが評価やアドバイスを行い、発表の後、使える案であるかどうかを参加者で
検討します。面白いことに、提案にランキングをつけ、1位の案には賞金が出されました。
シャレットワークショップは、地元の人と話し合いながら、専門的な知識を短期に知恵に変えていく
効果が得られるので、市民を支援するボトムアップ型の大学のあり方として、有効だと思います。
■身の丈と、身の程に合った、地域再生と交流を…!
私は、40歳過ぎまで建築カメラマンでしたが、淡路島に行って瓦を焼くカワラマンになりました。
淡路島の津井は、500軒ぐらいの集落ですが、ほとんどの家が瓦産業に従事しているという、日本で
も珍しい集落でした。窯元は200近くありましたが、阪神大震災による被害を受けたことと、瓦が利
用されなくなったことなどにより、現在では40ぐらいになりました。また、身の丈にあった瓦屋の工
場で瓦を焼いていたのが、身のほど知らずの大きな工場を造り、工業的に瓦を焼くようになったから、
日本全国の瓦があまりにも簡素で表情のない、感動しない瓦になったと思います。
淡路の瓦で葺いた屋根が壊れかけて、法隆寺などに比べればだらしなく波打っていますが、日常暮ら
してきた身の丈に合った作り方であり、美しいと思います。やがて壊れていきますが、壊れる前に刺激
をもらって、美しさを頭の中に植え込んでおきたい。たとえ崩れ落ちても、瓦の身の丈に合ったくたば
り方をしていると思います。たばこの乾燥小屋などは、ポロポーションも瓦もいい。建築家によって新
しい建物がつくられますが、こういうものをそのまま持ってくると、いい建物ができると思います。
瓦は光と角度によって表情が全然違ってきて、やっぱり魅力的です。淡路の瓦屋さんや住民が、地元
のものがいいという感動と感激をもたない限り、いくら立派な建物を造っても、地域の刺激は与えられ
ないと思います。佐治は、まだまだ瓦屋根が多く、美しい風景が残っています。納屋の瓦の曲がり方が
良く思えるのは、時間とともに瓦が動いてしまったからです。しかし、この瓦の持っている力強さ、刺
激的なところが、今のデザインや建築に欠けてしまった部分ではないかと思います。
山の端があって、夕日にカズラが光っている。この程度が身の丈に合った風景、これがいいなと思え
ることが、これからの地域おこしのまず一歩だと私は思っています。
2 公開講座の成果と今後の事業への反映
「大学は街に貢献できるか?
学生と市民による幾つかの試み」からは、シャレットワークショップ
が社会に貢献できる人材を実践的に育てる場であり、市民を支援するボトムアップ型の大学のあり方と
して有効であることを学びました。また、
「身の丈と、身の程に合った、地域再生と交流を…!」から
は、地域の素材や風土を大切にし、ありふれた日常の風景をいいと思えることが地域づくりの基本であ
ることを学びました。関西大学現代GPは、丹波市をフィールドに、地域との交流やワークショップを
通じて、人材(学生)を実践的に育てるとともに、これを通じて地域づくりに貢献することをめざして
活動してきました。今回の講演で得られた成果をこれからの活動に活かしていきたいと考えています。
3 参加人数と業種
49名 (内訳:大学生 21名、高校生 0名、大学教員 9名、一般
17名、講師 2名)
最後に、多くの皆様のご参加をたまわり、ありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。
(文責:TAFS 千里山スタジ)
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