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NS0 - GEヘルスケア・ジャパン株式会社 ライフサイエンス統括本部
Protocol NS0 プロトコール WAVE Bioreactor System System200 適用 組換えタンパク質生産用の NS0 細胞の培養は WAVE Bioreactor System200 にとってよく用いられている適用例です。この細 胞は増殖が容易で、Cellbag 方式を使用して容易にスケールアップすることができます。WAVE Bioreactor の特徴から、容量を バイオリアクター中で 10 倍に増やすことができるので、播種および移し替えを減らすことができます。例えば、Cellbag200L で 約 10L 培養を開始し、細胞の増殖に合わせ新しい培地を加えて、Cellbag 内で最終バッチ量 100 L にすることができます。大 部分の NS0 細胞はコレステロール依存性です。培地には脂質を含有する必要があるか、または脂質添加剤を添加する必要が あります。スケールアップの間、細胞系の脂質要求を確認し、WAVE Bioreactor 内の脂質濃度を最適化することが重要です。 播種 Cellbag を膨張してかたくなるまで、空気と 10%CO2 混合ガスで膨らませ、培地を加え、入口および出口フィルターをクランプ で締めます。速度を 15 rpm に、角度を 7°にして System200 の揺動を開始します。温度ならびに pH を平衡化します。 System200 に細胞を添加します。細胞の播種は、開始細胞密度が少なくとも 5.0×105 cells/ml となるようにします。細胞系に より必要となる場合には、より高い細胞密度を用います。以下に述べるように揺動速度 rpm と角度を調節します。WAVE Bioreactor の特徴である優れたガス交換性能により、重炭酸緩衝作用による培地の pH が突然シフトします。培養初期段階中、 フィルターをクランプで締めたままにして一定の pH を保持します。推奨テクニックについては、pH 制御の項を参照してくださ い。 オペレーション 細胞が増殖し続けている間は、細胞密度、生存率および代謝をモニターし、必要時に培地を加えます。可能であれば、運転温 度に暖めてある培地を加えます。室温培地も使用可能です。WAVE Bioreactor System200 は培養液を速やかに適正温度に 加温します。Cellbag は常に硬く膨張させておきます。細胞の増殖および目的物生産をうまく行うには培養の酸素濃度がきわ めて重要となります。DOPROBE と DO200 アンプまたはオフラインの血液ガス・分析装置ーで酸素濃度をモニターします。培養 液の酸素要求に応じて揺動速度および角度を調節します。 -1- NS0 プロトコール System200 培養パラメータ 揺動速度: 揺動速度は培養容量、細胞密度により決まります。一般的に酸素要求量の増加に応じ速度 rpm を上げます。 最初は 10~15 rpm に設定します。Cellbag の最大培養量の 10~20%となるごく少量の場合、開始速度は 12 rpm で十分です。培養液に培地を加えながら、速度を 15~20 rpm に上げます。Cellbag の最大培養量ま たは細胞密度が高い場合には、25 rpm 程度の速度を要する場合があります。これらはあくまで一般的な目 安です。酸素濃度をモニターし、必要時に速度 rpm および角度を調節します。 揺動角度: 最初の揺動角度は 6°で十分です。Cellbag を最大培養量で使用時に酸素移動を増加させるには、8~9°の 揺動角度が必要となる場合があります。過剰な気泡の発生が見られる場合には揺動角度を下げます。培養 液の酸素濃度をモニターし、必要に応じ揺動角度を調節することが重要となります。 通気量: Cellbag は膨張してかたくなるように膨らましておきます。Cellbag が膨張している間は 5 lpm までの通気する ことができます。培養の初期段階は、フィルターをクランプで締めたままにしておきます。活発な増殖が観察 されたら、運転中は最低 2 lpm に設定します。一般的に 0.3 lpm までの通気量をします。 温度: NS0 細胞に対する一般的な培養温度は 36~37℃です。 pH 制御: pH の制御は極めて重要です。WAVE Bioreactor のガス移動性能は高いため、pH が急にドリフトする場合があ ります。下記の手順に従ってください。 1. 最初に Cellbag を 10%CO2/空気で膨張させます。膨張後、バイオリアクターに培地を加え、入口 と出口のフィルターを締めます。15 rpm で 1~2 時間揺動し、pH と温度が完全に平衡化します。 播種を実施する前に、サンプルを取り、pH をチェックします。必要であれば pH を調整します。 2. 細胞を播種します。入口と出口フィルターを締めたままです。 3. pH、グルコース濃度、細胞密度をモニターします。pH とグルコース濃度が下がり始めたら、上部 空間へ 2.0L/分で連続的に通気にして 5%CO2/空気に切り換えます。この低下は 24~60 時間以 内に生じます。細胞の活発な増殖が観察されたら、培地 pH の上昇はおさまり、通気ガス中の CO2 濃度が pH を制御します。 4. 揺動速度および角度を上げ、酸素濃度を維持します。溶存酸素の測定にはオフラインでサンプ リングするか、DOPROBE を使用します。 スケールアップ: Cellbag200L 中での NS0 細胞培養の一般的なスケールアップを以下に記述します。これはあくまで一般的な 目安であることを忘れないでください。細胞系が異なると、その手法も異なります。 1. 培地 10 L を Cellbag200L に充填します。開始細胞数が最低 0.5×106 cells/ml なるように播種し ます。揺動速度を 12 rpm、揺動角度を 6°に設定します。装置の運転温度を保持しておきます。 2. 培養 2-3 日後(増殖率に依存)、細胞数が 2×106 cells/ml に達するはずです。この段階で、新し い培地 40 L を加えて容量を計 50 L にします。揺動速度を 18 rpm に上げます。 -2- NS0 プロトコール System200 3. 細胞数が 2×106 cells/ml に達するまでさらに数日間、培養を続けます。この段階で、新しい培地 50 L を加えます。速度を 25 rpm に、角度を 7°に上げます。培養液中の酸素濃度を注意してモニ ターします。 4. 細胞生存率が低下し始めるまで、さらに数日培養を継続し、必要であれば培地を追加します。 前もって回収時点の最適細胞生存率を求めておきます。 他のサイズの Cellbag に対しては容量を比例して調整します。Cellbag100L は 5 L で開始します。 注意 揺動は遅すぎないようにしてください。増殖が緩慢な場合には、揺動速度を 3~5 rpm 上げてみて、24 時間 後の細胞数を観察します。理想的には、DOPROBE と DO200 アンプを使用してオンラインの溶存酸素をチェッ クします。System200 にはカスケード式溶存酸素制御装置付きのものもあり、この装置は DOPROBE で測定し た酸素濃度に応じて揺動速度を上げます。 脂質の前処理に関する情報については、 ‘WAVE Cell Culture Protocol #03-14 Cellbag の脂質前処理 ’を参 照してください。 © 2008 GE ヘルスケア バイオサイエンス株式会社 本書の全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上の例外を除 き、禁じられています。 本書に掲載されている製品の名称、仕様などは改良のため予告なく変更される場合があります。掲載されている社名や製品名は、 各社の商標または登録商標です。