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T細胞 - GEヘルスケア・ジャパン株式会社 ライフサイエンス統括本部
Protocol T 細胞 プロトコール WAVE Bioreactor System System2/10, System20/50 適用 ヒト T 細胞の培養は WAVE BioreactorⓇにとってよく用いられている適用例です。非常に高い生存率で、1 ml あたり 88×106 cells/ml という細胞密度が得られています。WAVE Bioreactor の Cellbag はディスポーザブル、滅菌済みかつ完全に閉鎖系の ため、交差汚染の防止が重要となる応用例に適しています。さらに WAVE Bioreactor システムの特徴から、容量をバイオリアク ター中で 10 倍に増やすことができるので、播種および移し替えを減らすことができます。例えば、Cellbag20L で約 1L の培養 を開始し、細胞の増殖に合わせ新しい培地を加えて、Cellbag 内で最終バッチ量 10 L にすることができます。WAVE Bioreactor のパーフュージョン機能を使用すれば、閉鎖系を維持しながら極めて高い細胞密度を達成できます。 播種 Cellbag を膨張してかたくなるまで空気と 10%CO2 混合ガス(重炭酸緩衝培地を使用する場合)で膨らませ、培地を加え、入 口および出口フィルターをクランプで締めます。速度を 15 rpm に、角度を 6°にして Cellbag の揺動を開始します。温度ならびに pH を平衡化します。Cellbag に細胞を添加します。初期の細胞密度は培地と添加剤の成分および添加する細胞分裂/増殖フ ァクターの量と種類により決まります。以下に述べるように揺動速度 rpm と角度を調節します。WAVE Bioreactor の特徴であ る優れたガス交換性能により、重炭酸で緩衝作用した培地の pH が突然シフトします。培養初期段階中、フィルターをクランプ を締めたままにすることで一定の pH を保持するのに役立ちます。推奨テクニックについては、pH 制御の項を参照してくださ い。 オペレーション 細胞が増殖し続けている間は、細胞密度、生存率および代謝をモニターし、必要時に培地を加えます。可能であれば、運転温 度に暖めてある培地を加えます。Cellbag は常に膨張させてかたくなるまで膨らましておきます。オプションの内部ヒーター付 き System2/10EH 、System20/50EH または System20/50P を使用する場合、温度プローブと培養液とがよく接触するように してください。そうすることで、培養の量が少ない場合に特に問題となる加熱状態になるのを防ぐことができます。細胞の増殖 をうまく行うには培養の酸素濃度がきわめて重要となります。DOPROBE20 と DO20 アンプまたはオフラインの血液ガス分析 装置で酸素濃度をモニターします。培養液の酸素要求に応じて揺動速度および角度を調節します。パーフュージョンを使用し ている場合には、細胞が安定した増殖期にあるということが重要となります。最初は 0.25~0.5 容量/24 時間の低速度でパー フュージョンを開始します。パーフュージョン中の栄養分および代謝物質の濃度をモニターし、必要に応じパーフュージョンの速 度を調節します。 -1- T 細胞 プロトコール System2/10, System20/50 培養パラメータ 揺動速度: 揺動速度は培養容量、細胞密度、Cellbag の大きさにより決まります。一般的に酸素要求量の増加に応じ速 度 rpm を上げます。Cellbag2L、10L および 20L では、最初は 10~18 rpm に設定します。Cellbag の最大培 養量の 10~20%の場合、開始速度は 10 rpm で十分です。培地を加える際に、速度を 20~25 rpm に上げ ます。Cellbag の最大培養量または細胞密度が高い場合には、速度を 25 rpm 程度にする必要があります。 Cellbag50L に対しては初期速度 rpm を 8~16 rpm に設定します。最大培養量の 10~20%時には、速度は 8 rpm に設定します。最大容量時には、22 rpm を使用します。これらはあくまで一般的な目安です。酸素濃 度をモニターし、必要に応じ速度 rpm および角度を調節します。 揺動角度: Cellbag2L、10L および 20L では、最初の揺動角度は 5°で十分です。Cellbag50L に対しては、初期角度を 4° に設定します。一般的には酸素要求量が上がるにつれ角度を増やします。Cellbag を最大培養量で使用時に 酸素移動を増加させるには、Cellbag2L、10L および 20L では、6~7°の揺動角度が必要となる場合がありま す。Cellbag50L では、最大容量時 5~6°を使用する場合もあります。過剰な気泡の発生が見られる場合には 揺動角度を下げます。培養液の酸素濃度をモニターし、必要に応じ揺動角度を調節することが重要となりま す。 通気量: Cellbag は膨張してかたくなるまで膨らましておいてください。Cellbag が膨張している間は 0.5 L lpm まで通 気することができます。培養の初期段階は、フィルターをクランプで締めたままにしておきます。活発な増殖 が観察されたら、Cellbag2L では通気量を 0.1 lpm に、Cellbag10L および 20L では 0.2 lpm に、Cellbag50L では 0.3 lpm に設定します。 温度: T細胞に対する一般的な培養温度は 36~37℃です。 pH 制御: pH の制御は極めて重要です。WAVE Bioreactor のガス移動性能は高いため、pH が急にドリフトする場合があ ります。下記の手順に従ってください。 1. 最初に Cellbag を 10%CO2/空気で膨張させます。膨張後、バイオリアクターに培地を加え、入口 と出口のフィルターを締めます。15 rpm で 1~2 時間揺動し、pH と温度が完全に平衡化します。 播種を実施する前に、サンプルを取り、pH をチェックします。必要であれば pH を調整します。 2. 細胞を播種します。入口と出口フィルターは締めたままにしておきます。 3. pH、グルコース濃度、細胞密度をモニターします。pH とグルコース濃度が下がり始めたら、上部 への連続的に通気にして 5%CO2/空気に切り換えます。活発な細胞の増殖が生じると、培地 pH の上昇はおさまり、通気ガス中の CO2 濃度が pH 制御に使用できます。 4. 揺動速度および角度を上げ、酸素濃度を維持します。溶存酸素濃度の測定にはオフラインでサ ンプリングするか、DOPROBE を使用します。 -2- T 細胞 プロトコール System2/10, System20/50 スケールアップ: Cellbag20L 中での一般的なスケールアップを以下に記述します。これはあくまで一般的な目安であることを 忘れないでください。 1. 培地 1 L を Cellbag20L に充填します。適当な細胞密度が得られるように播種します。揺動速度 を 10 rpm、揺動角度を 5°に設定します。装置の運転温度を保持しておきます。 2. 細胞の増殖にともない培地添加を続けます。リアクター内の容量が増えるにつれ速度 rpm を上 げ、適正な酸素濃度を維持します。容量 4 L で、速度は約 12 rpm になります。容量 10 L では、 細胞密度によりますが 25 rpm 程度を要する場合があります。 3. Cellbag20L 内の最大培養量に達したら、細胞密度がピークに達するまで培養を継続して、ハー ベストします。最大細胞密度は培養液を新鮮な培地と共に灌流させることにより得られます。パ ーフュージョンを開始したら、細胞を安定して増殖期に保つようにします。細胞の増殖速度により ますが、培地流量は 1 日あたり培地容量の 0.25~0.5 倍で開始します。例えば、開始時には容 量 10 L の培養液には 1 日あたり新鮮な培地 2.5~5.0 L のパーフュージョン速度が必要となり ます。最大細胞密度には新鮮な培地が 1 日あたり 1.5~2.0 倍必要となる場合があります。 他のサイズの Cellbag に対しては容量に比例で調整します。Cellbag10L は 500 mL で開始し、Cellbag2L は 100 mL で開始します。25L の培養量で Cellbag50L を使用するときには、一般的に小さなバッグと比較して 若干速度と角度を下げて使用します。例を挙げると、Cellbag50L では最大の揺動速度 22 rpm、揺動角度 5° を使用します。 注意 一般的に T 細胞由来細胞系は他の哺乳類細胞系よりも酸素要求量は少ないです。T 細胞がうまく増殖しな い場合には、Celbag20L の 10~20%では速度 6 rpm、角度 4°のように遅い速度および低い角度を試みてく ださい。必ず細胞が培養液中で沈降してしまわないような速度および角度を設定します。培養液容量が増え るにつれ、速度と角度を上げます。 © 2008 GE ヘルスケア バイオサイエンス株式会社 本書の全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上の例外を除 き、禁じられています。 本書に掲載されている製品の名称、仕様などは改良のため予告なく変更される場合があります。掲載されている社名や製品名は、 各社の商標または登録商標です。