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アーノンクール・エターナル・コレクション パンフレット

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アーノンクール・エターナル・コレクション パンフレット
7月20日発売
8月24日発売
●第1回(8タイトル)●ベスト
(3タイトル) ●第2回(8タイトル)
(ベスト)¥1,000(本体)+税 (1枚組)¥1,400(本体)+税 (2枚組)¥2,300(本体)+税 (3枚組)¥3,100(本体)+税
ひとつの歴史を築いた巨匠指揮者ニコラウス・アーノンクール。
彼の素晴らしい遺産を代表する、彼の転機となった多くの名演奏、
現在入手にくいアイテムを厳選し、日本独自企画にて再発売。
日本語解説・歌詞対訳付。
オリジナル・ジャケット・デザイン使用。
ワーナーミュージック・ジャパン
オフィシャル・ホームページ / クラシック
「アーノンクールが変えた世界」
の記録
矢澤孝樹(音楽評論)
もし音楽家ニコラウス・アーノンクールがこの世界に現れなかったら、
20世紀中葉以降の
「クラシック」
演奏は、
どうなっていただろう。
まず、
パーセルのヴィオールのためのファンタジアや、
ムッファトやビーバーなどJ.S.バッハに先立つドイツ・オーストリアのバロック音楽や、
マレの
《膀胱結石手術図》
や、
その他
数多のバロック音楽の至宝の再発見は、
ずいぶん遅れていただろう。
あるいはJ.S.バッハの
《マタイ受難曲》
は荘厳かつ厳格なカール・リヒター様式で、
ヘンデルの
《メサイア》
はサー・
トマス・ビーチャム編曲で聴くことが今でも当たり前だったかもしれない。
ヴィヴァルディの
《四季》
が、
イ・ムジチ流の心地よい世界から脱し、
イル・ジャルディーノ・アルモニコからベルリン古楽アカデミーまで、
それぞれに曲に潜む劇的なドラマを聴か
せてくれる演奏の多様性が、
果たして実現されただろうか。
モンテヴェルディ、
ラモーからハイドンまで、
過去の遺物と見なされていたバロック/古典派のオペラが、
現代的な演出と共にかくも生き生きと蘇る、
そんな状況が訪れただろうか?
ベルリン・フィルやロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団をはじめとする世界の名だたるオーケストラ、
さらにはウィーン・フィルまでもが、
そのサウンドを勇気をもって変革し、
巨匠
たちの時代の残影を振りきり21世紀にふさわしい新しい響きへと進化した現在は、
果たしてあり得たか。
ギドン・クレーメル、
サイモン・ラトル、
パーヴォ・ヤルヴィ、
チェチーリア・バルトリ、
イザベル・ファウスト、
パトリツィア・コパチンスカヤ、
テオドール・クルレンツィス…。
現代の第一線
で先進的な活動をくりひろげるこれらの音楽家たちの歩みは、
いったいどうなっていただろう。
さらには、
「クラシック」
がハイ・アートを気取って他ジャンルの音楽を見下すようなかつての状況から、
ワールド・ミュージックやジャズ、
ロック、
タンゴ、
ヒップホップやエレクトロニカ
等々と生き生きとした交流を交わすようになるまでの歩みを、
想像できただろうか。
これらすべてを100%アーノンクールの功績に帰す、
とまでは言わない。上記の変革は、20世紀後半から大きな潮流となっていった古楽演奏のムーヴメントに、種子として胚
胎されていた要素ばかりである。
その発芽と開花のためにアーノンクールと共に尽力し、偉大な成果を残した巨匠たちは数多くいる。
グスタフ・レオンハルト、
フランス・ブリュッヘ
ン、
アンナー・ビルスマ、
デヴィッド・マンロウ、
クリストファー・ホグウッド、今も活躍中のクイケン兄弟やウィリアム・クリスティ…。
だが、妥協を許さない信念で他者との議論を辞さ
ず、
あらゆる種類の無知と偏見に対し演奏と言葉とで徹底して説明を試み続けたこのオーストリアの音楽家がいなかったら、
古楽演奏はより困難な闘いを強いられていただろう。
それは実際、闘いだった。1953年、
パウル・ヒンデミット指揮するモンテヴェルディ:
《オルフェオ》
の歴史的上演で非公式に産声を上げたウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
(以下CMW)
は、
初期はほとんどヴォランティアに近い
「音楽開拓団」
だった。
彼らは信念のみによって結びつき、
オーケストラ勤務等の傍らでかろうじて時間を捻出し、
歴史的楽
器を信じられないような困難の中で入手し、奏法を
「発見」
し、埋もれた楽曲の価値を演奏することで再認識し、過酷なスケジュールと条件下での演奏会を通じてその成果を聴
衆と分かち合っていった。
しかも内輪のサークルにとどまることなく、
ウィーンの音楽界の中心に、
欧州の各地に、
アメリカ大陸に打って出て、
テレフンケン
(後のテルデック)
制作
のレコードと共に、
激しい賛否両論を巻き起こしながらも少しずつ支持者を増やしていった。
気がついた時には、
時代の最先端にいた。
彼らの演奏が、
博物館的・教条主義的な
「復元」
などではなく、
過去の音楽が持っていた
「ことば」
の力を、
表面的な
「美」
に囚われることなく、
生々しく、
力強く現代にとり戻してゆく試みなのだということに、
人々は気づいた
のだ。
そしてアーノンクールは、
CMWの活動を基盤にしつつ、
最高峰の現代オーケストラやソリスト、
歌手たちとも熱く切り結び、
その哲学を浸透させていった。
この度、
ワーナー・ミュージックから再発される
「エターナル・コレクション」
は、
アーノンクールのそのような軌跡を体感するための、必携の録音ばかりだと言えるだろう。
まず、
1960∼70年代初頭のJ.S.バッハ:四大宗教曲ほかの録音がある。
これらは、
リヒターの権威が他を圧していた時代に、
楽譜、
演奏様式、
楽器、
演奏形態のすべてに渡って徹
底した読み直しを敢行した勇気ある挑戦であり、
歴史の画期である。
その若々しい気概に満ちた演奏は、
いまだ豊かなメッセージに満ちている。
世俗カンタータ2曲も、
その後のカ
ンタータ全集への布石として重要だし、
ヴィオラ・ダ・ガンバのソナタ集はガンバ奏者アーノンクールの、
いまだ色あせぬ記念碑だ。
そして79年の
《モテット集》
と86年の
《ミサ曲ロ
短調》
、
93年の
《ヨハネ受難曲》
は、
わずか十数年の間にアーノンクールと仲間たちの音楽言語がどれだけ深化したかの証明となろう。
80年代以降のセレクションも見逃せない。
一期一会の共演となったドレスデン・シュターツカペレとのモーツァルト:
《ハフナー・セレナード》
、
CMWとの名盤
《レクイエム》
とその
後の記念碑的な
『教会音楽全集』
とをつなぐ重要作
《ミサ曲ハ短調》
、
90年代以降の新たなパートナー、
ヨーロッパ室内管弦楽団との新鮮なメンデルスゾーン:
《夏の夜の夢》
、
そしてウィーン・フィルと20世紀の宗教的オラトリオに挑み、
この壮大な作品の価値を再認識させたフランツ・シュミット
《7つの封印の書》
。
そして埋もれていた3点の復活
(すべて国内初CD化)
にも注目である。
アーノンクール得意のオーストリア音楽に焦点を当てた
『ウィーン、
レオポルト1世の宮廷にて』
は60年
代、
EMIに残した唯一の録音。
『オランダ・フェスティヴァル・ライヴ1973』
は1973年オランダ音楽祭での貴重なライヴ録音。
そして、
アーノンクール夫人にしてCMWのコンサー
ト・ミストレスを長く務めた欠かせぬ音楽的伴侶、
アリス・アーノンクールが主役となったJ.S.バッハ
《ヴァイオリン・ソナタ集》
。
これまで容易に入手できず幻の録音となっていた復
元協奏曲集からの3曲がカップリングされ、
ヴァイオリン協奏曲BWV1052Rではアリスの嵐のごとき名演を聴くことができる。以上、
すべて発売当時のオリジナル・ジャケット、
アーノンクール自身のものを含むオリジナル解説が掲載されるのも資料的価値が高い。
これがアーノンクールの変えた世界の一端だ。
そしてその問いかけに耳を澄ますことで、
私たちもまた、
この世界を変えてゆく一員となれる。
アーノンクール指揮による名盤、発売中タイトル
J.S.バッハ:
『マタイ受難曲』
(2000年録音盤)
∼CMW
[WPCS-16198/200]
(3CD) モーツァルト:
『ピアノ協奏曲第23&26番』
∼フリードリヒ・グルダ、RCO
J.S.バッハ:
『音楽の捧げもの』
∼CMW
[WPCS-21121]
(1CD) モーツァルト:
『コンサート・アリア集』
∼エディタ・グルベローヴァ、COE
J.S.バッハ:
『狩りのカンタータ&農民カンタータ』
∼CMW
[WPCS-21142]
(1CD) モーツァルト:
『オペラ・アリア集』
∼チェチーリア・バルトリ、他
J.S.バッハ:
『ブランデンブルク協奏曲第1, 2, 4番』
『管弦楽組曲第2番』
(1981&1983年録音盤)
∼CMW
ベートーヴェン:
『序曲集』
∼COE
[WPCS-21048]
(1CD)
[WPCS-21145]
(1CD)
[WPCS-21094]
(1CD)
[WPCS-21210]
(1CD)
[WPCS-21044]
(1CD) ベートーヴェン:
『交響曲第3番「英雄」』
∼COE
[WPCS-21001]
(1CD)
ベートーヴェン:
『交響曲第5番「運命」』
∼COE
[WPCS-21002]
(1CD)
[WPCS-21045]
(1CD) ベートーヴェン:
『交響曲第6番「田園」』
∼COE
[WPCS-21003]
(1CD)
J.S.バッハ:
『ブランデンブルク協奏曲第3, 5, 6番』
『管弦楽組曲第3番』
(1981&1983年録音盤)
∼CMW
J.S.バッハ:
『ヴァイオリン協奏曲集』
∼CMW
[WPCS-21046]
(1CD) ベートーヴェン:
『交響曲第7番』
∼COE
[WPCS-21101]
(1CD)
J.S.バッハ:
『カンタータ第140&147番』∼CMW
[WPCS-21092]
(1CD) ベートーヴェン:
(1CD)
『三重協奏曲』
『合唱幻想曲』
∼ピエール=ロラン・エマール 他、COE [WPCS-22167]
ヴィヴァルディ:
『四季』他∼CMW
[WPCS-21043]
(1CD) ベートーヴェン:
『ヴァイオリン協奏曲』
∼ギドン・クレーメル、COE
ヘンデル:
『水上の音楽』他∼CMW
[WPCS-21027]
(1CD) シューベルト:
『交響曲第5番』
『未完成』
『ザ・グレイト』
∼RCO
[WPCS-22128/9]
(2CD)
ハイドン:
『交響曲第94番「驚愕」&第101番「時計」』
∼RCO
[WPCS-21005]
(1CD) シューベルト、
シューマン:
『交響曲第4番』
∼ベルリン・フィル
[WPCS-21202]
(1CD)
モーツァルト:
『交響曲第35番「ハフナー」&第36番「リンツ」』
∼RCO
[WPCS-21009]
(1CD) シューマン:
『ピアノ協奏曲』
『ヴァイオリン協奏曲』∼マルタ・アルゲリッチ、ギドン・クレーメル、COE
[WPCS-21222]
(1CD)
モーツァルト:
『交響曲第38&39番』
∼RCO
[WPCS-21008]
(1CD) ブラームス:
(1CD)
『ヴァイオリン協奏曲』
『二重協奏曲』
∼ギドン・クレーメル、RCO、他 [WPCS-21223]
モーツァルト:
『交響曲第40&41番』
∼RCO
モーツァルト:
『交響曲第38, 39, 40, 41番』
(1991年録音盤)
∼COE
モーツァルト:
『ポストホルン・セレナード』
∼ドレスデン・シュターツカペレ
[WPCS-21007]
(1CD) ブルックナー:
『交響曲第4番「ロマンティック」』
∼RCO
[WPCS-10819/20]
(2CD) ドヴォルザーク:
『交響曲第9番「新世界より」』
∼RCO
[WPCS-21107]
(1CD) ドヴォルザーク:
『交響曲第7&8番』
∼RCO
[WPCS-21052]
(1CD)
[WPCS-22130]
(1CD)
[WPCS-22131]
(1CD)
[WPCS-21201]
(1CD)
(1CD) ドヴォルザーク:
モーツァルト:
『グラン・パルティータ』
『ナハトムジーク』∼ウィーン・モーツァルト管楽合奏団 [WPCS-21108]
『スラヴ舞曲集Op.46&72』
∼COE
[WPCS-22145]
(1CD)
モーツァルト:
『序曲集』
∼CMW、RCO、
チューリヒ歌劇場管弦楽団
[WPCS-21030]
(1CD)
[WPCS-21029]
(1CD) J.シュトラウス:
『美しく青きドナウ∼シュトラウス管弦楽曲集』
∼RCO
モーツァルト:
『レクイエム』
(1981年録音盤)
∼CMW
[WPCS-21093]
(1CD) CMW=ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、COE=ヨーロッパ室内管弦楽団、RCO=ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
モーツァルト:
『管楽器のための協奏曲集』
∼CMW
[WPCS-22166]
(1CD)
(2016年7月現在)
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