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Page 1 Page 2 Page 3 室温2000前後で測定を”才手った。 試料の測定
鶏卵 の熱 凝 固 に及 ぼ す希 釈 と添 加 調 味料 の影響
一
カ ス タ ー ドプ デ ィ ン グ に つ い て 一
亀城 和子
吉田 尚子
1.緒
大谷 信子
言
鶏 卵 は 希 釈 液 の 量 及 び 種 類 に よ っ て,熱
凝 固 の 状 態 が 異 な り,更
に それ が添 加 調 味 料
に よ っ て 影 響 さ れ る1)∼4)こと は調 理 に お い て よ く経 験 す る。 本 実 験 で は ,希 釈 液 を 牛 乳,
添 加 調 味 料 を 砂 糖 と し た カ ス タ ー ドプ デ ィ ン グ の 場 合 に つ い て ,特
を 知 る た め に,砂
に鶏 卵 の希 釈 の影 響
糖 濃 度 を 一 定 に し た 何 種 類 か の 希 釈 倍 率 の 熱 凝 固 ゲ ル を 作 り,カ
メ ー タ ー を 用 い て ゼ リ ー 強 度 を 測 定 し,そ
ー ド
れ らの物 性 値 につ い て 比 較 を行 ったの で 報 告
す る。
皿.試 料 及 び 実験 方 法
1.試
料
鶏卵
市 販 卵(白
牛乳
市 販 牛 乳(雪
砂糖
市販砂糖
2.実
験方法
1)卵
原液
鶏 卵 か ら,殻
し・・電 子 天 秤Cメ
色 レ グ ホ ー ン種,卵
黄 係 数0.42内 外)
印 牛 業IK.K)
上 白 糖(三
井 製 糖K.K)
・カ ラ ザ を 取 り除 き,特
に 濃 厚 卵 白 を 切 る よ う に 混 ぜ た もの を 卵 原 液 と
ト ラ ー ・デ ジ タ ル ・ レ ン ジ"っ
き電 子 天 秤PC440)で
秤 量 して 試 料
に 供 した 。
2)希
釈液
牛 乳 を,希
3)試
釈 液 と して 電 子 天 秤 で 測 り,砂 糖 が 溶 け る 程 度 に あ た た め て 用 い た 。
料 の種 類 と調 味料 の配 合
実 験 試 料 の 種 類 を 表1に
示 し た。 希 釈 液 と して の 牛 乳 の ゲ ル 化 能 を 知 る た め に ,対
と して 水 を 希 釈 液 と したA.卵
原 液+水
と,B
を15°o溶 液 に な る よ うに 添 加 したC .卵 原 液+牛
.卵 原 液+牛
一1一
乳+砂
乳,そ
糖 の3種
照
れ に 調 味 料 と して 砂 糖
類 を 基 本 に,希
釈液量
譜
表1試
卵
料 の種類及 び配合割合
原
液
A
B
C
O
0
0
0
0
(A∼Cは
0
水
牛
乳
砂
糖
憐 鸞鸞 掣
0
を 各 々 卵 原 液 に 対 して 同 量,2倍
希 釈 に よ り各 々4種 類 とな る)
15%溶 液 とす る
量,3倍
量,4倍
砂 糖 の 配 合 割 合 に つ い て は,10,15,20そ
量 の4通
り 作 り,計12種
類 と した。
して30°oの カ ス タ ー ドプ デ ィ ン グ を 作 り,
甘 さ に 関 す る 予 備 実 験 を 行 って 一 番 多 く好 ま れ た15°o溶 液 を 採 用 す る こ と に した 。 砂 糖
は,実
験 上 の 便 利 さ か ら,外
4)実
割 り に 計 算2)し て17.6°oを
電 子 天 秤 で 測 り 添 加 した 。
験 試 料 の 調製
砂 糖 を 溶 か し た 牛 乳 と 卵 原 液 と を ま ぜ 合 わ せ ・ 毛 の う ら こ し器 で こ して ・ 均 一 な 調 製
試 料 液 を 作 り,こ
れ を80mlず
つ,あ
ら か じ め 水 で ぬ ら した ア ル ミニ ウ ム 製 プ デ ィ ン グ型
5個 に 分 注 した 。 こ の 時 の 試 料 液 の 高 さ は4.5cmで
あ っ た 。 蒸 煮 開 始 は,卵
原 液 と希 釈
用 調 味 液 を 混 合 して か ら10分 後 と し た 。
蒸 煮 方 法 は,ス
チ ー ム オ ー ブ ン(三
菱 電 機K.K製SO-102EK2)を
用 い た。 オ ー ブ
ン 内 の 蒸 し む ら を 知 る た め に,図1に
奥
示 す よ うに プ
側
デ ィ ン グ 型 を 置 く位 置 を 天 板 に① か ら⑰ の 印 を っ け
○
○
て 定 め た 。 蒸 煮 時 間 及 び 温 度 は,こ
通 り,カ
○① ○
の機 種 の説 明書
ス タ ー ドプ デ ィ ン グ の 標 準 表 示 と 同 様 に し
て 予 備 実 験 を 行 い 好 ま れ る 結 果 を 得 た の で,90℃,
25分 を 採 用 した 。
・'
ドア側
図1天
測 定 用 試 料 は,蒸
板 上 のプデ ィング型 の位置
煮 終 了 後 た だ ち に 冷 水 を 張 った
バ ッ トに と り 出 し,流 水 中 で15分 間 冷 や した 。 途 中
5分 位 して あ ら熱 が と れ た 頃,表
面 の 乾 燥 を 防 ぐた め に ラ ッ プ で 覆 い を し た。 試 料 は,
整 形 不 可 能 な も の も あ る た め,竹
串 を 用 い て 器 に接 して い る側 面 だ け を は ず し,プ
ディ
ン グ型 の ま ま測 定 に 供 し た 。
5)ゼ
リー 強 度 の 測 定 方 法
記 録 型 カ ー ドメ ー タ ー(飯
尾 電 機K.K製M-301-AR)を
用 い,破
断 曲 線 を 求 め て,
ゼ リ ー強 度 を 次 の よ う に算 出 し た 。
ゼ リー 強 度=F/S・980(dyne/cm2)
Fは 破 断 九Sは
感 圧 軸 の 断 面 積 で0.50cm2の
-2一
もの を 用 い,荷 重100g,上
昇 速 度0.36cm/sec,
室 温20°C前
後 で 測 定 を行 っ た 。
試 料 の 測 定 部 位 は,中
心 部 と外 層 部 と の 間 に 凝 固 程 度
の ち が い が あ る か ど う か を み る た め,図2に
示 す よ う に,
1個 の 試 料 に っ い て 中 心(以
下 中 心 部 と 呼 ぶ)及
び 中心
よ り約1cmの
下 外 層 部 と 呼 ぶ)の
計5箇
所5)と
部 位4箇
所(以
した 。
皿.実 験 結 果 及 び考 察
各 種 類 の 熱 凝 固 ゲ ル の ゼ リ ー強 度 を 表2に
量 が3倍
示 した 。Aの
希 釈 液 が 水 の 場 合 は,希
釈液
以 上 に な る と 一 様 な 凝 固 が 得 られ ず ゼ リー 強 度 は 測 定 不 能 と な っ た 。3倍
の場
合 は プ デ ィ ン グ 型 の 側 面 に 凝 固 物 の 付 着 が み られ る 程 度 で あ っ た が,4倍
にな る と凝 固
物 と い う よ り は 流 動 物 の よ うで あ っ た 。
希 釈 液 が 牛 乳 の 場 合 のBお
よ びCは,4倍
の 希 釈 液 を 加 え て も測 定 に 十 分 な ゼ リ ー 強
度 が あ った。
1)天
板 上 の 位 置 に よ る蒸 煮 む らの状 態
オ ー ブ ン 内 の 天 板 上 の 位 置(図1に
と ⑪ の 位 置 が,い
示 した)に
よ る 蒸 煮 む らの 状 態 は,ド
ア側の 右⑰
く ら か ゼ リ ー 強 度 の 大 き い 場 合 が 多 い よ うで あ っ た が,食
感 と して は
そ れ ほ ど き わ だ った 差 は 感 じ ら れ な か っ た 。
2)プ
デ ィ ン グ 型 内 の 中 心 部 と 外 層 部 と の 間 に お け る 熱 凝 固 ゲ ル の ゼ リー 強 度 の 差
先 ず 各 種 類 の 試 料 に つ い て,①
∼ ⑤ の 平 均 値 で 比 較 す る。 希 釈 倍 率 が 増 す と ゼ リ ー 強
度 は段 階 的 に 小 さ くな っ た 。 ま た,中
た 。 そ こ で,中
心 部 と外 層 部 の ゼ リ ー 強 度 の 差 に つ い て 希 釈 倍 率 の 影 響 を 検 討 す る と,
Aの 水 希 釈 卵 液 の 場 合 は,同
dyne/cm2)で
量 希 釈 と2倍
希 釈 に 於 て,差
が そ れ ぞ れ0 .40,0.25(×103
希 釈 倍 率 が 増 す と 中 心 部 と外 層 部 のゼ リ ー 強 度 の 差 は 縮 ま って き た 。Bの
牛 乳 希 釈 卵 液 の 場 合 は,同
3,4倍
心 部 は 外 層 部 よ りゼ リ ー 強 度 が 小 さ い 傾 向 に あ っ
量 希 釈 で は,そ
量 希 釈 で は0.01×1D3dyne/cm2で
差 が あ る と は 言 え な い 。2,
れ ぞ れ0.17,0.15,0.10(×103dyne/cm2)で,Aの
水希 釈 の
場 合 よ り差 も小 さ く,標 準 偏 差 を 考 慮 す る と希 釈 倍 率 に よ る段 階 的 影 響 が あ る と は 言 い
難 い 。Cの
砂 糖 添 加 の 牛 乳 希 釈 卵 液 の 場 合 は,同
量,2,3,4倍
の 差 が そ れ ぞ れ0.12,0.18,0.29,0.22(×103dyne/cm2)で,Bの
心 部 と外 層 部 の 差 に っ い て は,同
量 希 釈 の ゼ リー 強 度
砂 糖 無 添 加 と同様 に 中
量 希 釈 が 一番 小 さい が希 釈 倍 率 に よ る有 意 な影 響 が あ
る とは 言 い難 い結 果 で あ った。
次 に,①
∼ ⑤ の 平 均 の 標 準 偏 差 に 多 少 の バ ラ ッ キ が み られ る の で,表2の
3
各 種 類 にっ
表2鶏
表2-A卵
原液+水
希 釈液量
枩
譲
同
量
中心部
×1(戸
dyne/cm2
0
平
卵 熱 凝固 ゲ ル の ゼ リー強 度
3倍
2倍
外層部
中心部
外層部
X103
x103
dyne/cm2 dyne/cm2
7.29
7.45
7.06
均
1
7.25
1':
1
土0.10
6.70
*0.59
1':
1
7.64
!::
.,
1i・
7:64
1.02
0.59
均
標準偏差
7.74
1.18
7.64
1.18
7.69
1.09
tO.06
tO.10
.,
1・:
7.94
④
7.45
1・:
0.59
7.94
1.37
7.74
平
均
1:
:.
1.10
、
標準偏差
±0.09
土0.19
7.84
1・:
8.04
⑤
7.15
1
!::
7.94
1':
:1
平
均
①∼⑤平均
標準偏 差
総 平 均
標準偏差
1.18
7.90
標 準偏 差
1・:
tO.23
7.30
7.70
tO.14
tO.23
7.60
tO.33
定
定
不
不
能
能
1・:
7.74
平
測
tO.19
±0.14
7.64
0
測
1・:
7.72
標準偏差
外層部
1
tO.09
均
中心部
1
7.25
7.57
平
外層部
yne/cm20
.94
.,
U
中心部
×ln3d
7.31
標準偏差
4倍
XO.16
0.73
1':
tO.19
to.17
0.93
to.ig
*外 層 部 が 中 心部 よ りゼ リー強 度 の 小 さい もの
4一
表2∼B卵
原 液+牛 乳
釈液量
秀
鹸
同
2倍
量
中 心部,
X103
dyne/cm2
外層部
Xio3
dyne/cmz
3倍
中心部
外層部
X1:3
x103
dyne/cm.2dyne/cm2
13.92
*14
o
平
.95
14.41
均
*6
.76
平
標準偏差
平
④
2.74
2.74
6.34
4.02
±0.11
平
6.37
0
平
2.78
15.19
.:.
4.12
2.70
14.87
6.62
4.09
2.74
±0.23
①∼⑤平均
標準偏差
総 平 均
標準偏差
凝
ダ
}
丶
6.37
3.33
6.57
3.82
4.02
2.55
.・
3.63
2.94
・
6.49
3.70
XO.15
13.84
6.27
14.50
・1:
2.83
±0.29
玉0.19
3.63
2.55
3.92
3:63
2.74
2.55
14.90
6.17
3.53
.,
14.90
6.47
3.53
3.04
14.53
6.25
3.65
2.79
tO.17
13.92
6.51
13.92
6.76
6.76
14.31
6.57
14.46
0.19
4.16
6.47
土0.22
2.74
2.72
冑
'±0
..
3.74
tO.33
土o.13
士0.31
5
2.74
4.01
:・
tO.26
2.55
.94
tO.13
6.46
*中 心 部 が 外 層 部4点 全 て よ りゼ リー強度 の大 き い もの
*2
....
6.65
6.30
2.84
3.92
tO.13
fO.37
士0.20
1:
聖
3.92
15.09
tO.45
tO.47
2.94
2.55
6.37
t,0.55
14.47
2.90
14.82
14.31
14.47
±10.16
3.72
6.47
tO.63
tO.51
14.68
±0.50
,
2.94
2.65
3.72
14.30
標準偏差
3.72
6.43
均
2.55
3.82
6.51
13.84
標準偏差
tO.27
4.80
14.50
±0.22
均
2.65
0.29
6.76
14.52
り
2.25
4.ユ2
..
標準偏差
2.55
4.02
14.50
均
2.84
3.63
6.37
±0.28
13.97
Xio3
dyne/cm2
13.92
14.31
③
X13
dyne/cm2
3.63
・・
均
XtQ3
dyne/cmZ
外層部
6.47
14.90
.29
中心部
13.90
土0.25
*15
外層部
4.31
6.23
14.90
②
中心部
x103
dyne/cm2
6.27
14.03
標準偏差
4倍
2.`65
±0。
.12
2.75
玉7・
2.73
土0。18
tO.19
表2-C卵
原 液+牛 乳+砂 糖
釈液量
同
●
秀
鹸
3倍
2倍
量
中心部
外層部
中心部
xjO3
dyne/cm2
X103.
dyne/cm2
XjQ3
dyne/cm2
.,
外層部
×103
dyne/cm2
5.19
8.72
O
8.72
平
1.76
3.14
1.96
5.68
5.49
..
5.39
8.92
9.07
3.43
2.39
2.20
3.33
5:19
3.14
⑤
標準偏差
1.96
2.03
5.29
3.45
9.21
5.29
3.14
*5
.48
総平 均
tO.23
3.14
1.96
5.10
3.23
2.35
3.14
2.06
5.27
tO.19
5.24
tO.24
3.07
tO.19
3.36
to.as
tO.29
±0.31
*中 心 部 が 外 層部4点 全 て よ りゼ リー強 度 の 大 き い もの
1:
3.24
tO.15
3.30
6
1.96
4.90
5.15
tO.38
11・
1.96
tO.19
5.09
2.06
tO.15
±0.16
::
tO.24
標 準偏差
2.16
1.76
3.11
..
..
..1
2.94
.,
1.96
3.29
9.02
tO.19
3.14
5.19
tO.23
!
IS
±0.12
5.00
9.21
①∼⑤平均
3.23
fO.11
・
..
均
2.06
8.64
tO.05
標準偏差
2.25
3.33
3.06
..
平
3.ユ4
5.19
均
標準偏 差
1.96
5.29
5.39
・1
2.06
5.10
5.19
8.72
tO.20
:・
5.24
:・
平
2.74
tO.13
:・
8.62
tO.22
5.39
8.64
tO.17
2.06
2.06
3.55
8.72
④
3.63
3.43
2.00
5.52
4.90
標準偏差
3.82
5.33
..
均
10.17
2.35
..
平
tO.37
10.19
8.43
・・
3.33
.,
0
.:
5.68
tO.23
標準偏差
2.16
1.96
tO.09
9.31
2.06
3.92
5.27
8.92
均
3.92
3.72
8.73
!1:
外 層部
5.39
9.21
U
dyne/cm2
中心層
X1.3d
X13
yne/cm2 dyne/cm2
5.19
..
標準偏差
外層部
XiQ3
dyne/cm2
3.21
.・
均
中心部
×103
5.29
:・
平
4倍
1:
:・
tO.16
±0.20
2.05
tO.16
いて,個 別 に 中心 部 と外 層部 の ゼ リー 強度 の大 小 を検 討 す る。Aの 水 希 釈 卵 液 の場 合は,
① ∼ ⑤ の平 均 値 と同 じ く,個 別 に みて も表2-Aの*印
で示 した外 層 部 の1点 を 除 けば
全 て 中 心部 は外 層 部 よ りゼ リー 強度 が 小 さ か った。Bの 牛 乳 希 釈 卵 液 の場 合 は,① ∼ ⑤
の平 均値 で は 中心 部 は外 層部 よ りゼ リー 強度 が 小 さか ったが,逆 に外 層 部 の 中 に は 中心
部 よ り小 さい値 が い くっか含 ま れ て い た。1試 料 中 の外 層 部4点 全 てが,中 心部 よ りゼ
リー強度 が小 さ くな って い た試 料 は表2-Bに*印
釈 の①,4倍
で 示 した 同量 希 釈 の① ②,2倍
量希
量 希 釈 の⑤ の4試 料 で あ った。Cの 砂糖 添 加 の牛 乳 希 釈 卵 液 の 場 合 は,①
∼ ⑤ の平 均値 と逆 に外 層 部 が 中心 部 よ りゼ リー強度 の小 さい ものが 含 ま れ る率 は
無 添 加 のBの 牛 乳希 釈 卵 液 よ り少 な く,1試
,砂 糖
料 中 の 外層 部4点 全 てが 中心 部 よ り ゼ リー
強 度 が小 さ くな って い たの は,表2-Cの*印
に見 られ る2倍 量 希 釈 の⑤ の1試 料 だ け
で あ った。
3)各
種 類 にお け る熱 凝 固 ゲ ル の ゼ リー 強 度
卵 原 液 に対 す る 希 釈 液 お よ び 希 釈 倍 率 な
らび に 砂 糖 添 加 の 影 響 を み る 目 的 か ら,試
料
ゲ ル の 部 位 に よ る ゼ リー 強 度 は 大 差 が な か っ
た の で,中
心 部 と 外 層 部4点
の 平 均 を1っ
を 合 わ せ た5点
の 試 料 の 値 と し,5つ
の試料の
総 平 均 を そ の 種 類 の 値 として 表 わ し た の が 図3
で あ る。
Aの 水 希 釈 卵 液 は,鶏
卵 の熱 凝 固 に 塩 類 の
存 在 が 必 要 な こ と は 多 くの 著 書1)∼4)に 書 か れ
て い る こ と か ら,鶏
卵 自身 に含 ま れ る塩 類
に よ っ て 鶏 卵 蛋 白質 が,熱
凝 固 した も の と 思
わ れ る が,ゼ
リー 強 度 は 同 量 希 釈 が7.60×103
dyne/cm2,2倍
量 希 釈 が0.93'× ユOdyne/cm2
で 最 小 値 を 示 し,急 激 に 小 さ くな っ た 。3倍
量
希 釈 で は もはや 凝 固 を 可能 にす る程 の 存 在 で
は な く な り,ゲ
ル は 得 ら れ な く な った 。
次 に 希 釈 液 と して 牛 乳 を 用 い たBの
牛乳 希
釈 卵 液 は 同 量 希 釈 で14.47×103dyne/cm2と
試 料 中 で ゼ リー 強 度 が 最 大 値 で あ っ た 。
7
2倍 量 希 で6.46×103dyne/cmzと
ゼ リ ー 強 度 は 半 減 した 。 こ れ は 希 釈 に よ り鶏 卵 蛋 白質
量 の 減 少 に よ る も の と 思 わ れ る 。 しか し,3お
dyne/cm2・2・73×103dyne/cm2と
量 希 釈 に 比 べ れ ば,ゼ
よ び4倍
量 希 釈 で そ れ ぞ れ3.86×103
次 第 に ゼ リー 強 度 は 小 さ く な った が,Aの
水 の2倍
リ ー 強 度 は大 き く し っ か り し た 凝 固 ゲ ル で あ った 。 こ れ は,明 ら
か に 鶏 卵 蛋 白 質 の 熱 凝 固 に 対 す る 牛 乳 の カ ル シ ウ ム イ オ ン(Ca2+)の
れ る・加 え て ・ カ ル シ ウ ム ィ オ ン に は,蛋
効 果1)∼4)と 考 え ら
白質 の熱 凝 固 を 促 進 す る ほか凝 固 した もの の
硬 さ を 増 す 傾 向 が あ る と い う こ と が 顕 著 に み られ た 。
最 後 にCの
砂 糖 添 加 の 牛 乳 希 釈 卵 液 は,無
添 加 のBの
度 は 小 さ く な る傾 向 に あ った 。 こ の 砂 糖 の 影 響 は,特
糖 無 澪 加 で は14.47×103dyne/cm2で
牛 乳 希 釈 卵 液 に比 べ て ゼ リー強
に 同 量 希 釈 卵 液 に お い て,Bの
あ っ・
た の が8.80×103dyne/cm2と
な り,著
砂
しい ゼ リ
ー 強 度 の 減 少 を み せ た 。 そ して 数 値 的 に は
Aの
水 同 量 希 釈 卵 液7.60×103dyne/cm2に
近 くな っ た 。2,3,4倍
量 希 釈 で は それ ぞ
れ5.24.,3.30,2:05(×103dyne/cm2)と
厂第 に ゼ リ
次
▽ 強 度 は小 さ く な り,卵
て 牛 乳 量 が 多 く な る と,む
原 液 に対 し
し ろBの
牛 乳希 釈
卵 液 の 数 値 に 近 づ い た 。 これ は,希
釈倍率の
増 加 に 伴 い 鶏 卵 濃 度 が 減 少 し,鶏
卵 蛋 白質 に
対 す る砂 糖 の 影 響 が小 さ くな っ た た め と考 え
られ る。 砂 糖 が 蛋 白 質 の 熱 凝 固 を お く らせ,
凝 固 を 阻 害 す る 作 用 が あ る と い う多 くの 著
書2-4)に
述 べ られ て い る 事 が 認 め ら れ る結 果
を 得 た。
総 括 的 に み る と,ゼ
釈 卵 液 が 大 き く,次
リ ー 強 度 はBの
い でCの
砂 糖 添 加 し た 場 合 で,、Aの
牛乳 希
牛 乳希 釈 卵液 に
水希 釈 卵 液 の ゼ リ
ー 強 度 は小 さ か っ た。
図4鶏
4)全
卵 熱 凝 固 ゲル の 希 釈 液 量 別
ゼ リー 強度
試 料 間 のゼ り一 強 度 と食感
3種 類 の試 料 間 のゼ リー強度 を 希 釈 倍 率 別 に み る と図4の とお りに な る。 同 量 に お い
て はBの 牛 乳 希 釈卵 液 の場 合 が全 試 料 の 中で1位 と い う大 き な数 値 が得 られ た。
次 はず っ と小 さ くな ってCの 牛 乳 希 釈 卵 液 に 砂糖 添 加 した場 合 が2位
一g一
でAの
水希 釈
卵 液 が これ に 次 い で3位 で あ った。 同量 希 釈 の 場 合 の食 感 は,数 値通 りBの 牛 乳 希 釈 卵
液 が 最 もか た く,Cの
牛 乳 希 釈 卵 液 に砂糖 添 加 した もの は い くぶん な め らか さが加 わ っ
た が,い ずれ も カス タ ー ドプ デ ィ ン グと して はあ ま り好 ま し くな い ゲ ルで あ った。
2倍 量 希 釈 に お いて も,ゼ リー強 度 は,Bの
牛 乳 希 釈 卵 液 の場合 が一 番 大 きい 数 値 で
全 試 料 中4位 で あ った。 次が5位 のCの 砂 糖 添 加 の牛 乳 希 釈 卵 液 とな ったがBC間
は 同量 希 釈 の場 合 の そ れ に比 琴 て 縮 ま った。 しか し,Aの
の差
水 希 釈 卵 液 との 差 は 同量 希 釈
の場 合 と同 様 に著 し く大 き く,全 試 料 中の ゲ ル 形成 した試 料 間 で10位 と最 下位 の値 で あ
った。食感 の 方 は,数 値 通 りBの 牛 乳希 釈 卵 液 が 硬 く,次 にCの 牛 乳希 釈 砂 糖 添 加 卵 液 が
適度 な硬 さに加 え て程 よ い なめ らか さが あ ったo'Aの 水 希 釈 卵 液 は,カ ス ター ドプ デ ィ
ング と して は論 外 の悪 さ で,む しろ茶 碗 蒸 し風 の食 感 に近 か った。
3倍 量希 釈 に おい て も,や は りBの 牛 乳 希 釈 卵 液 の ゼ リー強 度 が 大 き く6位 ,次 い で
Cの 牛 乳 希 釈 で 砂 糖 添加 の卵 液 が7位,Aの
も同様 に,Bの
牛 乳 希 釈 卵液,Cの
水希 釈 卵 液 は測 定 不 能 とな った。 食 感 の方
牛 乳 希 釈 に砂 糖 添 加 した卵 液 の順 で あ った。
4倍 量 希 釈 に お いて も,ゼ リー強度 はBの 牛 乳 希 釈 卵 液 が8位Cの
添 加 の 卵 液 が9位,食
感 も3倍
総 括 す る と,Cの
卵 原 液 の2倍
牛 乳 希 釈1こ砂 糖
量 希 釈 と 同 傾 向 で 数 値 が 示 す 通 り更 にや わ らか くな つた 。
量 の 牛 乳 で 希 釈 し た 砂 糖 添 加 卵 液 が,カ
ス タ ー ドプ デ
ィ ン グ に 適 して い る と い う結 果 が 得 ら れ た 。 これ は 多 くの 調 理 の 本 と 同 じ様 な 配 合 割 合
と 言 え るo,即 ち,こ の 実 験 か ら カ ス タ ー ドブ
デ ィ ン グは砂 糖 の 添加 量 に もよ るが鶏 卵 の
2倍 量 位 の 牛 乳 希 釈 が,硬 さ}・
な め らか さ な
ど の 食 感 の 上 か ら一 般 に 好 ま れ て い る こ と
が わ か っ た。
5)凝
表3カ
時
固ゲ ル の破 断 曲線 の 性 状
図5カ
ー ドメ ー タ ー に よ る破 断 曲線 の 形
希釈液量
試料の種類
間
ー ドメ ー タ ー にxる
破噺 曲綿 の型
破 断 曲 線 か ら,凝 固 ゲ ルの 破 断
1
同量
2倍
3倍
4倍
曲 線 の性 状57<に類似 した型 が 観 察
A,卵
原 液+水
a
C
冖
一
B.卵
原 液+牛 乳
a
a
a
a
これ を3種 類 に大 別 した。 試料 の
C.卵
原 液+牛 乳+砂 糖
a
a
b
b
表 面 が 破 断 して か ら内部 の破 断 強
註:一
は 測 定不 能
をa型,表
され たの で,図5に
示 す よ うに,
度 が 急激 に 減少 して い る状 態 の 型
面 が破 断 して か ら も内 部 の破 断 強度 が 減 少 しな い状 態 を示 す型 をc型,そ
し
て そ の中 間 の表 面 が 破 断 され る時 はa型 の様 子 を みせ るが 内部 の様 子 はc型 に近 い もの
9
をb型
と した。
全 試 料 に っ い て,破
断 曲 線 の 性 状 に 従 って 型 の 分 類 を 行 った と こ ろ,表3の
よ うな結
果 が 得 られ た 。
試 料 の 種 類 別 に 破 断 曲 線 の 型 を 検 討 して み る と,Aの
で はa型
で あ っ た が,2倍
量 希 釈 に な る とb型
牛 乳 希 釈 卵 液 の 場 合 は,同
倍,4倍
を 経 な い でc型
量,2倍,3倍,4倍
Cの 牛 乳 希 釈 卵 液 に 砂 糖 添 加 の 場 合 は,同
水 希 釈 卵 液 の 場 合 は,同
量 希 釈 に お い てa型
量 希 釈 に な る と非 常 に や わ ら か さ が 増 して き て,破
結 論 的 に は,物
断 曲 線 はb型
性 値 か ら卵 白 熱 凝 固 ゲ ル の 硬 さ は 牛 乳 のCa2+に
砂 糖 の 凝 固 阻 害 に よ る こ と が 推 察 さ れ た 。 そ して,カ
て はa型
と な っ て し ま っ た 。Bの
量 希 釈 の 場 合 に お い てa型
量 及 び2倍
の か た さ を 持 ち つ っ,な
量希釈
で あ っ た。
を 示 す が,3
を示 した。
よ り,な
め らか さ は
ス タ ー ドプ デ ィ ン グ に は 破 断 に 於
め らか な テ ク ス チ ャ ー で あ る こ とが 好 ま れ る 要 素 で あ
る と い う事 が 示 唆 さ れ た 。
IV.要
約
鶏 卵 の 牛 乳 希 釈 倍 率 を 同 量,2,3,4倍
量 に した 場 合 と,そ
う に 砂 糖 を 加 え た 場 合 の カ ス タ ー ドプ デ ィ ン グ に つ い て,物
れ に15°o溶 液 に な る よ
性 値 を カ ー ドメ ー タ ー を 用
い て測 定 した。
は じ め に ス チ ー ム オ ー ブ ン 内 の 場 所 に よ る 蒸 しむ ら と プ デ ィ ン グ型 内 の 試 料 の 部 位 に
よ る 差 を 検 討 し た が,中
心 部 は 外 層 部 よ り ゼ リー 強 度 が 小 さ い 傾 向 が あ っ た が,い
の 場 合 も 試 料 に大 差 は な か っ た 。 こ の こ と か ら1試 料 に つ い て5箇
て そ の 試 料 の 値 と し,ま た5個
ずれ
所 の測 定 値 を平 均 し
の 試 料 の 平 均 を そ の 種 類 の 試 料 値 と して 用 い,各
種試料
間 の検 討 を 行 っ た 。
(1)各
種 類 に お け る熱 凝 固 ゲ ル の ゼ リ ー 強 度 の 希 釈 液 及 び 希 釈 倍 率 な ら び に砂 糖 添 加
に よ る影 響 は,卵
原 液 に対 す るAの
と急 激 に ゼ リー 強 度 が 小 と な り,3倍
は,希
水 希 釈 の 場 合 は,希
量 で は 測 定 不 能 と な っ た 。Bの
釈 倍 率 が 同 量 は も ち ろ ん,2,3,4倍
し っ か り し た ゲ ル が 得 られ,鶏
(2)全
凝 固促 進 と ゲ ル の硬 さ を
牛 乳 希 釈 液 に 砂 糖 を 添 加 した 場 合 は,Bの
量 希 釈 の 場 合 特 に 著 し くゼ リ ー 強 度 が 小 さ く な り,砂
害 が 認 め られ た 。2,3,4倍
減 少 し た が,Bの
牛 乳 希 釈 の 場合
量 で も ゼ リ ー強 度 は 次 第 に 小 さ くな るが,
卵 蛋 白 に 対 す る牛 乳 のCa2+の
増 す 作 用 が 顕 著 に 認 め ら れ た 。Cの
加 に 比 べ る と,同
釈 倍 率 が 同 量 か ら2倍 量 に な る
砂糖無添
糖 に よ る凝 固 阻
量 希 釈 と 卵 に 対 して 牛 乳 量 が 多 く な る と ゼ リ ー 強 度 は 更 に
牛 乳希 釈 卵 液 に近 くな った。
試 料 間 の ゼ リ ー 強 度 を 希 釈 倍 率 別 に み る と,Bの
‐io
牛 乳 希 釈 卵 液 が 各希 釈倍 率 に
於 て,ゼ
リー強度 が 常 に高 値 で,次 がCの 牛 乳 希 釈 卵 液 に砂 糖 添 加 を した場 合で あった。
Aの 水 希 釈 卵 液 の場 合 の み,同 量 希 釈 は全 試 料 中3位 で あ った のが2倍 量 希 釈で は 急 激
に ゼ リー強度 が減 少 し最 小値 とな った。
本 実 験 試料 の食 感 か らは鶏卵 の2倍 量 の 牛 乳 で 希 釈 した砂 糖 添 加 の もの が カス タ ー ド
プ デ ィ ング と してm好
③
まれ た。
凝 固 ゲ ル の破 断 曲 線 に類 似 の性 状 が 観 察 され た。表 面 が 破 断 して 後,内 部 破 断 強
度 が 急 激 に滅少 す る もの をa型,表
c型,前
面 が 破 断 して も 内部 の破 断 強 度 が 減 少 しな い もの を
者 と後 者 の中 間 の もの をb型 に大 別 され た。c型 はAの2倍
合 の1つ だ け,b型
はCの 砂糖 添 加 した牛 乳 希 釈 の3と4倍
量 水 希 釈卵 液 の場
量 の場 合 の2っ の他 は す べ
てa型 に属 した。Bの 牛 乳希 釈 の場 合 は例 外 な くa型 で あ った。
本実 験 か らカスター ドプ デ ィング と して 好 まれ るに は.破 断 に つ い て は牛 乳 のCa2・ に
よ って ゲ ル の破 断強 度 を保 ち っ っ食 感 と して 砂 糖 に よ って なめ らか さが 加 え られ た ゲ ル
で あ る こ とが必 要 な要 素 で あ る とい う示 唆 を 得 た。
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