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1回 第 ? ? どう診る どうする SUGA Yasushi a c 図 1 フォトフェイシャル®に よる肝斑の悪化例 * b していた. b:3回施術後.矢印で示した右頰 骨上の色素斑のみが治療に抵抗 性であった. c:4回施術直後.矢印(b)の部位 により高いフルエンスで光照射 した後の皮膚の変化.局所的に 発赤・腫脹がみられた. d:その後には色素斑 (肝斑)の顕在 化,増悪がみられた. d 症例 30 歳代半ばの女性.両頰部に多発するシミ (図 1a)を 改善したいという希望で来院した.初診時には日光黒 子がシミ病変の主体と考えられたため,フォトフェイ シ ャ ル®治 療 (NatuLight®, 日 本 ル ミ ナ ス 社 製, 22J/ cm2, 560nm cut offフィルター)を 4 週ごとに 1 回, 合計 3 回施行したところ,左頬部の色素斑については 患者もほぼ満足する改善が得られた (図 1b, aの*部 ここに 注目! 顔面のシミの鑑別には,その色 解決のヒント 調,形状,分布などに着目する必 要がある.日光黒子では境界が明 瞭な類円形の色素斑が出現する.典型的な肝斑の場合 は,境界明瞭な淡褐色の色素斑が頬骨部や眼周囲など に左右対称性に出現するが,一方で,今回の症例のよ うに,輪郭がはっきりとしない,不整形で不明瞭な色 素斑として肝斑が日光黒子などに混在していることが ある. レーザーやフォトフェイシャル®をはじめとした光 治療の際に,色素斑 (シミ) の鑑別が大切なのは,治療 に対する反応が大きく異なってくるためである.たと えば小型の日光黒子が多数集まった小斑型日光黒子と 呼ばれる病変では,光治療に対する反応は大変良好で 分) .一方,右の頬骨部には,色素斑が一部残存してし まったため,患者からの要望もあって,さらに高いフ ルエンス (25J/cm2)で同部位を中心に 4 回目の照射を 行った.その結果,照射直後より図 1cに示したような 紅斑・浮腫が出現し,その後に同部位の色素斑が悪化 した (図 1d) . あり,治療効果も高い 1).一方,肝斑に対する光治療 の効果は一定ではなく,強いフルエンスで照射した場 合には,病的な表皮細胞や色素細胞が刺激を受けて反 応性の色素斑の増悪が照射後から生じることが多い 2). さらに光治療が対象としている病変では,いくつか の色素斑が混合している状態であることも多く,治療 開始後の数カ月で肌の状況が変化して,日光黒子の中 にまぎれて潜んでいた肝斑が表立って出現してくるこ (図 1b)のように片側性で とがある 2).とくに本症例 非典型的なものでは,肝斑の診断が困難である.頬骨 部は肝斑の潜在する要注意部位であり,この場合は眼 窩下縁から上側の下眼瞼には出現しない特徴がある. 同様に鼻根部や鼻下の人中といった部位にも肝斑が潜 在していることがあるので注意が必要である. NatuLight®は現在製造を終了しており,代わりに最新の後継機種としてM22TMが日本ルミナス社より販売されている. SAMPLE 67 ( 67 ) Copyright(c) Medical Review Co.,Ltd. Vol.1 No.1 2016‒8 Bella Pelle