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Title Author(s) 学報. 号外 昭和39年第4号 大阪府立大学 Editor(s) Citation Issue Date URL 1964-11-02 http://hdl.handle.net/10466/9432 Rights http://repository.osakafu-u.ac.jp/dspace/ 昭和39年11月2日 大阪府立大学 号外第4号 1 学 報婁4算 昭和39年11月2日 編 集 発行 大阪府立大学事務局 目 告 次 示 学位論文内容の要旨および論文審査の結果の要旨公表…・……………・・…・……………・………・…………1 も有効適切に操作するため諸種の操作因子とイオン交 告 示 換樹脂の交換機能との関係を研究したものである。本 論文は三章よりなり第一章は混床式イオン交換操作に 学位論文内容の要旨および論文審査 対する特徴操作、樹脂の混合、混合度と脱塩性能、陰 陽両樹脂の分離、再生及び馬追に関して10節にわたっ の結果の要旨公表 て論じたもので本論文の主要部をなしている。 大阪府立大学告示第6号 すなわち混床方式では、陰陽両樹脂が至近距離に密 昭昭36年10月31日、学校教育法(昭和22年法律第26 接することにより門戸式において生じる樹脂と溶液の 号)第68条第1項の規定に基づき博士の学位を授与し 平衝に起因するイオンの漏洩が阻止され、いわゆる微 たので、学位規則(昭和28年文部省令第9号)第7条 分床が無限に存在する状態となり、高性能を発櫃する の規定により、論文内容の要旨および論文審査の結果 とみられる。このため塔内において陰陽両樹脂が安全 の要旨を次のとおり公表する。 且つ均一に混合していることが必須条件である。 昭和39年11月2日 本報では均一な混合状態をうけるため水中で二層に 大阪府立大学長 赤 崎 称号および氏名 工学博士 繁 分れた両樹脂床に空気を吹込む方法を採用した。塔の 湯 川 正 文 混合状態は樹脂仕込量に対する偏差または分散で表示 (学位規則第5条第2項該当者) 論 文 し、これらが最小値になるとき脱塩効果は最良になる (和歌山県 明治43年11月18日生) ことを確め混合偏差に対する空気量、吹込時閲、樹脂 名 イオン交換塔の操作に関する研究 層長、水位などの相互関係を見出し、最適混合条件を 1.論文内容の要旨 確立した。また塔内の軸方向の混合状態の良否と脱塩 機能との関係を明らかにした。すなわち塔底部に不完 イオン交換塔はイオン交換樹脂を充填した二二装署 である。イオン交換寸寸の化学的研究すなわち化学分 析、イオン濃縮、難溶性塩の溶解、触媒反応などにつ いて多くの研究が行なわれ、広い分野にわたって開拓 され、また工業的にも高純度の工業用水、糖類の精製 あるいは触媒として多くの用途が見出されている。 全混合状態の部分が存在するとき脱塩機能が著しく底 下することを見出した。さらにこの事実を任意に作っ た不完全混合塔において確認し、完全混合塔における 純水収量に対する不完全混合塔の収量の比Rは 一〇. 102 8 R= e 工業的なイオン交換塔としては単床式、複母式また で与えられることを示した。εは塔底で占める不完全 は複床多段式、陰陽両十指を均密な混合状態で使用す 混合域の割合%である。すなわち塔底部(塔出口)に る混床式などが開発されてきた。しかしイオン交換塔 おける混合状態の良否は塔性能を支配する最も重要な 操作の化学工学的研究すなわちイオン交換塔操作に含 因子であることを指摘した。 まれる諸操作の最適操作条件についての研究はまだ不 充分であり、必ずしも明確にされていない現状である。 本研究はイオン交換塔を工業的に利用する場合、最 樹脂層中の胃液速度にも最適値があり純度の面から 16cc/cm2/min、収量の面からみる12cc/cm2/minの 値をえた。 (11) 2号外第4号 つぎに丁丁式イオン交換塔の樹脂を再生するため陰 陽両樹脂を二層に分離する必要がある。このためには 昭和39年11月2日 を、第三章では徴量イオウイオンの交換吸着が可能な ことなどを示した。 両樹脂の大きさ、密度、すなわち自由沈降速度を予め 以上イオン交換塔操作に関する化学工学上の諸問題 調整しておく必要のあることを論じ水流による流動化 を解明し新らしい知見を加え、また工業上有益な結果 法を採用して所期の目的を達する条件を明示した。ま を与え、資するところに大なるものがある。 た陰イオン樹脂の再生は陽イオン樹脂に比して困難で ありNaOHの濃度と量を種々に変えて実験した結果2 %NaOHが陰イオン樹脂の固結を防ぎ、再生結果も最 良であることが確められた。 さらに再生液を洗深する通水にはSV=10∼20〔1/hr〕 が適当であることを洗演速度恒数、PH戻り率、所要 洗面時間等の総合的観点から結論づけている。 第二章では連続式イオン交換塔を設計し、その性能 について研究した。向流移動床方式を採用し、底部よ り再生すべき樹脂を連続的に再生塔へ送り、再生した 樹脂は存亡よりイオン交換塔に供給するようにした。 この連続式の設計要項はいずれも前章の結論を基礎に したもので、塔長、樹脂排出血塗の選定(0.1cc/sec) 水流速(12∼16cc/cm2/min)などを規準にした。この 結果は向流操作のため、水流速を固定床に比してやや 低く10∼11cc/cm2/minにとることにより約8Me9Ω 一cmの純水が得られ、混床面の連続操作が可能である 事を示した。 第三章では2∼3の応用例について述べている。ま ず強塩基性陰イオン交換樹脂数種を用い、Na2Sまたは H2Sの稀薄溶液からSイオンの交換吸着を試みた。こ の結果は①樹脂はCl型よりOH型の方が交換量が大② 粒径小なる程交換量は大③樹脂量V〔cc〕とイオン漏 出までの溶液量Q〔cc〕との間にQ;3.2Vの関係があ ることなどを見出した。なお樹脂は再生し反覆使用に 耐える事、その他液流速、イオウイオン濃度と交換量、 再生剤についても比較検討した。また過酸化水素製造 エ程における原料用水の精製、電解液あるいはメッキ 液の精製、クロム酸の回収などに応用し、これらの操 作条件について言及した。 2.論文審査結果の要旨 本研究はイオン交換塔の操作に関する研究として第 一章においては固定混合床に関する操作上の諸因子に ついて詳細な研究を行ない、完全な混合床を作るため 気(空気)、液(水)、固(樹脂)の3相混合の量的関 係を求めた。また三内の混合度を規定し混合偏差で脱 塩効果を比較しうることを示し、特に塔出口における 不完全混合は著しく塔性能を低下せしめることを指摘 した。さらに第二章では混合床でも連続化が可能な事 〈12) 以上により工学博士の学位を授与することを適当と 認ある。 昭和39年10月8日 主査 教授 矢野武夫 副査 教授 山 上 惟 恒 副査 教授 北 浦 嘉 之