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第1号 - 全国学校図書館協議会
郡山市学校図書館協議会だより える・あい Library. Information 平成26年7月発行 No.1 <巻頭言> 読 書 の 質 福島県学校図書館協議会長 今野 隆 県教委が実施した平成25年度「読書に関する調査」の結果によると、前年11月の1か月間におけ る平均読書冊数は、小学生が10.9冊、中学生が2.6冊、高校生(高校のみ12月実施)が1.5冊 で、不読率、つまり「1冊も読まない」と回答したのは、小学生が1.5%、中学生が16.3%、高 校生が49.0%でした。この調査は平成16年度から実施され、今回で9回目の調査となりますが、 平成16年度からの調査結果の推移を見ると、小学生の読書量は4.2冊から10.9冊、中学生も1. 6冊から2.6冊、高校生もこれまでの最高冊数とどの校種も格段の伸びを示しています。震災を経験 しつつも、このように年々子どもたちの読書量が増えてきた背景には、読書に関する法律や新学習指導 要領の改訂等の法的整備はもちろんのこと、 「朝読」や教科等の学習で図書を積極的に活用した学校現場 の努力があったと言えます。 しかし、調査結果はあくまでも「読書量(冊数)」でしかありません。より大切なのは子どもたちが「ど んな本を、どのように読んだか」という「読書の質」ではないでしょうか。もちろん量(読書冊数)が低迷 していている場合はとにもかくにも子どもたちに読書をすすめ、読書冊数の増加をめざすことが優先さ れますが、最終的に私たちは「読書の質の向上」こそ、目指すゴールとすべきではないかと思います。 ここで、 「読書と学力」という角度からも観てみたいと思います。全国学力・学習状況調査の結果を分 析すると国語Aの平均正答数は、当然のことながら読書好きの子どもほど正答数が高くなっています。 しかし、平日の読書時間と国語Aの平均正答数を見てみると、読書時間が長い方が必ずしも学力が高い とは言えないという結果が出ています。読書の冊数から観てみると、小学生では読む冊数が多くなるほ ど学力が高くなっていきますが、中学生になると1か月間5∼10冊の層が正答率のピークで11冊以 上の層はむしろ正答率が悪くなっています。このことは読書の量ばかりではなく、質が大きく関係して いることを示しています。 それでは、 「質の高い読書」とは、どのようなものなのでしょうか。当たり前のことを述べるようです が、私が考えているのは以下のような読書です。 ・限られた生活時間の中で目的をはっきりさせ、集中して取り組む読書・・・ 〈読み浸る読書〉 ・言語感覚を磨き、新たな言葉・知識・情報を与えてくれる読書・・・〈常に発見のある読書〉 ・より深い「思考」やより豊かな「表現」へ誘導する読書・・・ 〈思考・表現につながる読書〉 そのために私たち学校図書館関係者は、 ・限られた図書予算で豊かな学びと感動が期待できる質の高い図書を選書し、子どもに提供すること ・「読書センター」として価値の高い良書の紹介、ブックトークや読み聞かせ等を積極的に行うこと ・「学習・情報センター」として学習に資する図書を整備し、子どものリテラシーを高めること ・学校図書館に携わるスタッフ(教科主任・図書主任・司書教諭・司書補)が連携・協力すること 等に 努めていくことが肝要であると思います。 <提 言> 本との出会い∼私の場合 郡山市学校図書館協議会長 遠藤 俊彦 今年度、郡山市学校図書館協議会 会長を仰せつかりました。昨年から 学校図書館関係の仕事に関わらせて いただいて1年余り、何もわからな いまま会長を仰せつかったものですから、皆様のご 助言とご協力が頼りです。何卒よろしくお願いいた します。 さて、今年も5月に開催されましたブックフェア に合わせて市内小中学校にお勤めの司書補の皆様の 研修会が行われました。その中で、グループで一冊 お薦めの本を選び、その理由を模造紙に表現し、プ レゼンテーションを行う活動がありました。短い作 業時間にもかかわらず、各グループとも工夫を凝ら したプレゼンテーションになったことに、司書補の 方々の本に対する愛情と読書活動に対する意欲を感 じ取ることができました。 当日、研修の準備・ご指導をしてくださった市立 図書館の職員の方々をはじめ関係者の皆様、並びに 当日ご参加くださった司書補の方々に御礼と感謝を 申し上げます。 話は変わりますが、昨年の『える・あい』に私の 娘と本との出会いについて、 「本と出合うきっかけ は大人が作ってあげる」その後は本人の成長に合わ せて、 「自分で本を選択できる環境を与えてあげる」 「そして、大人も一緒に本を読む姿を見せる」とい う内容の文章を書かせていただきました。そのこと について、さて自分が幼かったときに、どのような 本との出会いがあったか、記憶の糸をたどってみま した。 すると、私が小学生のころ、毎月一冊自宅に届け られた「世界の名作図書館」という本を思い出しま した。このシリーズには、 「ピノキオ」 「ピーターパ ン」 「二十四の瞳」 「風の又三郎」 「ハムレット」 「あ あ無情」 「怪盗ルパン」 「名探偵シャーロック・ホー ムズ」 「トム・ソーヤの冒険」 「十五少年漂流記」 等々、様々なジャンルの物語が収められていました。 小学生のころ様々なジャンルの名作に接することが できたおかげで、その後、自分の成長や興味に合わ せて、自分で本を選択できたような気がします。ま さに、親に『本と出会うきっかけを作ってもらって いた』のです。 『めざせ一人100冊 !』 郡山市学校図書館協議会副会長 笠井 修 今年の朝日が丘小学校の図書館 の貸し出し冊数の目標は、およそ 70,000冊です。全校児童が688 名なので、達成すると一人平均1 00冊を超えることになります。 これまでの記録は、平成20年 度の一人平均91冊が最高で、昨 年度は一人平均81冊でした。到 達できそうで、なかなか到達でき ない「一人100冊」です。 私が職員会議で先生方に話をした後、図書担 当の司書教諭と司書補の先生方でいろいろと手 立てを考えてくれました。 その一つは「めざせ一人100冊!」の目標 を児童昇降口のエントランスホールに掲示する とともに、各学級にラミネートをかけたカード を配付し、掲示して意欲付けをしました。 貸し出しも、学級の名簿の集約と図書の整理 を早めに進め、例年よりずっと早くスタートし ました。 また、 4月23日を皮切りに毎月23日を「子 ども読書の日」として、一人3冊まで借りられ るようにしました。 さらに、火曜日、金曜日、そして雨の日は「雨 読デイ」として一人2冊まで貸し出しできると いう取り組みを進める中、5月には、1日1,0 00冊を超える貸し出し日も出てきました。 4月、5月貸し出し冊数の合計は、10,000 冊を超えました。でもまだまだです。 1年生の貸し出しも例年より早 くスタートしました。先日は、1 年生対象に司書補の遠藤広美先生 によるブックトークも行い、子ど もたちへの本への意欲付けを実施 しました。1年生のクラスでは、「借りられる よ」の一声に、「ヤッター!」の声が上がりま した。低学年は意欲的です。 あとは、特設等で忙しい高学年の子どもたち の足をいかに図書館へ向かせるかです。 <随 想> 「子ども達の本との出会いを大切に」 大成小学校 教諭 荒井 久美江 今年、私の大好きな本「赤毛のアン」の翻訳者である村岡さんの生涯を描いた「花子とアン」がNH K連続テレビ小説で放映されている。毎日、録画をして欠かさず見ている。主人公の花子とアンがとても 似て描かれていて、何か出来事が起こると、 「赤毛のアン」のあの出来事と重なっているなあと思いなが ら楽しく見ている。私が、アンと出会ったのは、小学校低学年の時。初めは、絵本のような簡単な本で 「こんな女の子いるんだぁ。」 「こんなきれいな場所に行ってみたいなあ。」 「木イチゴのジュースってど んなのだろう。 」と感じたのが初めである。そして高学年になり、赤毛のアンには続きがあることを知り、 小学校の図書館から借りて夜遅くまで夢中で読んだ。中でも「アンの青春」は本当に大好きだ。それか らすっかり自分のお気に入りの一冊となった。そしてグリーンゲイブルスの虜になってしまった。将来 自分の2人の娘を連れてあこがれのグリーンゲイブルスに行くことが私の夢である。 子どもの頃に出会った良書は、本当にいつまでも心に残っている。それが、生き方に関わったり、考 えを深めてくれたり、夢を与えてもらったりするのである。だからこそ、子ども達にたくさんの良書に 出会ったもらいと思う。たくさんのジャンルの本を読み、その中で自分の心に残る本を見つけてほしい と思う。 たまにしかできないが、娘に本の読み聞かせをする。 「これ読んで」と言う本は、たいてい何度も読み 聞かせたものである。やはり娘にもお気に入りがあるのだと思う。それも大切にしながら時々は、私の お気に入りの本を読み聞かせる。楽しく聞いているときもあるが、つまらなそうにして、「別の本にし て!」という顔をするときもある。しかし、それでもいいのだと思う。たくさんの本と子どもを出会わ せてその中の1冊を見つけてくれればいいと思う。だから、根気強く読み聞かせをしようと改めて思うの である。 そして、職場でも図書館教育という「子ども達と本との出会いの場を作る」という仕事に携われたこ とをとても嬉しく思う。 『私の1冊』がどの子も見つけられるような図書館教育を目指していきたい。 「中学一年生と本」 郡山第一中学校 教諭 小林 桂子 4月から、中学一年生の担任になった。入試と卒業という怒涛の日々を終えて味わっている、3年ぶ りの一年生との生活。 「中学校生活に早く慣れよう」、 「中学生としてきちんとしよう」という思いで頑張 っているなあということがいろいろな場面からうかがえて、感心したり癒されたりすることが日々たく さんある。 そんななか、出会い当初から特に感じていたのは、本が好きな生徒が多そうだということ。というこ とで先日、クラスの生徒たちに、本が好きかどうか「はい」か「いいえ」の二者択一で聞いてみた。す ると、八割以上の生徒が「好き」との答え。理由としては、 「1ページ読むたびに次のページのことが楽 しみになるから」 「ページをめくるたびおもしろくなっていくから」 「作品の世界に引き込まれるような 感じがして、もっと読みたいと思えるから」 「自分がその場にいるような感じになり、主人公になった気 分が味わえるから」 「知識を得られる楽しさがあるから」などなど。きっとこれまで、小学校や家庭の中 で、いい本との出会いがたくさんあったのだろうなと嬉しく思った。じっくり落ち着いて考えたり行動 できたりする生徒が多いのも、本好きなおかげかもしれない。 現在、本校の図書室は、普通教室がある本校舎から離れたプレハブ校舎の中にあり、本を読む机や椅 子もない狭い状態である(今年度行われている大規模改修工事のあと、本校舎に入る予定ではあるが) 。 それでも、 「あのプレハブの静かさが落ち着く」と言う生徒もいるし、休み時間に大事そうに本を抱えて 図書室に向かう生徒ともたくさんすれ違う。実際、読書する時間がなかなかとれなくなっていくのが多 忙な中学校生活の厳しいところなのだけれど、今の、本とのつきあい方や本への思いを大事にしてほし いと、読書に没頭している一年生を見ながら思う。大人として、そういう環境作りを手助けすることが 大切だとも考えている。 『新メンバー紹介』 明健小学校 ○好きな本 ツナグ (辻村 わ たなべ 渡辺 と も こ 明健中学校 智子 深月) ○図書館に勤務して 司書補の仕事は初めてで、不慣れですが、 司書の先生や、司書補の研修会で教えてい ただいたことを参考にし、子どもたちがた くさん図書室を利用して、本に親しみを持 ってくれる様にしていきたいと思います。 ば ば 馬場 し お み 士臣 ○好きな本 桑田 真澄「試練が人を磨く」 ○図書館に勤務して 図書館の本に囲まれていることに幸せを感じてい ます。自分が書籍登録をして、ラミネートをかけて 書棚に並べ、それを生徒が手に取ったときの喜びと いったら、言葉には言い表せない感動があります。 司書補となって、まだまだ学ばなければいけない ことはたくさんあります。その中で思うことは、図 書館とは学校現場の心臓部であり、学習・情報セン ターとしての機能を発揮される場所でなくてはなり ません。 明健中学校図書館は、まさにこの機能を持ち合わ せた素敵な空間であり、今後もこの機能を十分に発 ○趣 味 ドライブ、バドミントン 揮することができるよう、教職員の方々との連携を 強めていきたいと思っております。 ○趣味・・・・新聞購読、大相撲観戦 熱海小学校 ご と う あ ん な 後藤 杏奈 ○好きな本:銀河鉄道の夜(宮沢賢治) バムとケロシリーズ(島田ゆか) 蝉しぐれ(藤沢周平) ○図書室に勤務して 今年 1 月から司書補となり半年が経ちま した。先生方や司書補の先輩方に支えて頂 き、まだまだ不慣れではありますが、図書 室での仕事を楽しんでいます。 子どもたちがお気に入りの本に出会える ようお手伝いをするのが私の仕事ではあり ますが、私自身、児童書の中で素敵な本を 見つけると、この仕事に就かなければこの 本に出会えなかっただろうと思うと、本と 触れ合える仕事ができることをとても幸せ に思います。本を通して子どもたちとの触 れ合いを大切にしていき、魅力のある図書 室を作っていきたいと思います。 ○趣 味:水泳、ボードゲーム 三穂田中学 校 なか のさい 中野西 ゆ き え 幸恵 ○好きな本 今、読んでいる本は「永遠の0」 「ありがとう、先生」 「あ・い・た・く・て」 ○図書館に勤務して 初めて、図書室に入ってあまり本を読む 習慣がない私には本がいっぱいあることに ビックリしました。 司書補ということで、毎日の生活の中で 本を読む事が少しずつ習慣になっていま す。 子供達と毎日話をして、本の面白さを教 えて貰ったりしています。まだ、本を好き ではない子供達に司書補として、本を読む 楽しさを知ってもらうために色々な本を紹 介していきたいと思っています。 私自身も学びながら子供達に伝えていけ るように頑張りたいです。 ○趣 味 カラオケ 『新メンバー紹介』 あ 芳山小学校 べ 阿部 ゆかり 今 私が一番 好きな本 は、「母さん の、あお いくま」コロッケ著です。子供の学年便りを きかっけに、読んでみたいなあと思い手にし ました。一人の人間として、子を育てる母と してこんな人になりたいなあとつくづく感じ ました。 4月から保護者とし てではなく、司書補と して学校や児童たちとふれあい、感じること は 子 ど も た ち が と て も 素 直 だ と 言う こ と で す。何気ない一言、些細な一言をかけるだけ で次 の日「先 生これ面 白かった よ!」「次は これよんでみよう!」と、嬉しい反応が返っ てきます。小学生と言う大切な成長の期間に 自然に本に触れられたらいいなあと思い、毎 日子供たちの声を励みに頑張っています。 趣味はアウトドアですが、我が子の成長と ともに、子供達の応援・追っかけが趣味とな りエネルギーになってます。 御舘小、御舘中 遠藤 紀子 なか ざわ 開成小学校 仲澤 さ や か 沙也果 4月から郡山市立開成小学校の司書補にな りました仲澤沙也果です。宜しくお願いしま す。 好きな本は、絵本「つみきのいえ」です。 黄色を基調としたやさしい絵柄で、地球温暖 化や家族愛など様々なメッセージが感じとれ る作品です。私はこの本を読んで、やさしい 絵と物語の家族愛にとても感動しました。 勤務してみて、たくさんの子どもたちが図 書室を利用している姿を見て、この仕事への 責任を強く感じました。本を読んで様々なこ とを感じ、考える手助けができる図書館にし ていきたいです。 趣味は、ウインドウショッピングです。さ いきんは、お店のディスプレイなどを参考に して図書室の展示を工夫するようにしていま す。 宮城中学校 神山 尚美