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~ 安全でおいしい水の安定供給 ~ 富 士 市 水 道 事 業

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~ 安全でおいしい水の安定供給 ~ 富 士 市 水 道 事 業
~ 安全でおいしい水の安定供給 ~
富 士 市 水 道 事 業
表紙の写真
富士山百景写真コンテスト 「藤と富士」
富士市水道事業基本計画(概要版) 目次
1 章 はじめに......................................................................................................................................................................... - 1 1.1 富士市水道事業基本計画とは............................................................................................................................ - 1 1.2 富士市水道事業基本計画の位置付け ............................................................................................................. - 2 2 章 水道事業の概要 .......................................................................................................................................................... - 3 2.1 水道事業の沿革 ........................................................................................................................................................ - 3 2.2 給水区域と主要施設の構造諸元 ....................................................................................................................... - 5 2.3 水需要の見通し ........................................................................................................................................................ - 7 2.3.1 人口の見通し ..................................................................................................................................................... - 7 2.3.2 給水量の見通し ................................................................................................................................................ - 7 3 章 現状分析......................................................................................................................................................................... - 8 3.1 水源の評価.................................................................................................................................................................. - 8 3.2 配水池の評価 ............................................................................................................................................................. - 9 3.2.1 配水池容量の評価 ........................................................................................................................................... - 9 3.2.2 主要施設の耐震性評価及び老朽状況 ..................................................................................................- 10 3.3 配水管網の評価 .....................................................................................................................................................- 11 3.3.1 管路施設の現況 .............................................................................................................................................- 11 3.3.2 管路地震被害推計 ........................................................................................................................................- 12 3.4 簡易水道組合の現状............................................................................................................................................- 13 3.5 経営状況の分析 .....................................................................................................................................................- 14 4 章 将来像の設定 ............................................................................................................................................................- 15 4.1 基本理念及び基本方針 .......................................................................................................................................- 15 5 章 実現方策......................................................................................................................................................................- 17 5.1 安心・安全:皆さまが安心しておいしく飲める水道水の供給 ......................................................- 17 5.2 安定:いつでもどこでも安定した水道水の供給...................................................................................- 18 5.3 持続:経営基盤を強化し将来にわたり安定した経営の推進 ...........................................................- 22 5.4 サービス:皆さまのご要望にお応えした信頼される事業の推進 .................................................- 23 5.5 環境:環境への負荷の少ない水道 ...............................................................................................................- 24 6 章 事業計画とフォローアップ................................................................................................................................- 26 6.1 年次別事業化計画.................................................................................................................................................- 26 6.2 フォローアップ .....................................................................................................................................................- 27 -
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
1章 はじめに
1.1 富士市水道事業基本計画とは
平成 20 年 11 月 1 日に富士市と富士川町が合併し、新しい富士市が誕生しました。合併後の富
士市水道事業は、「富士上水道」と「富士川上水道」の 2 事業体で構成し、それぞれの事業体で合
併前に策定した基本計画に基づき運営しています。
近年、環境保全意識の高まりから、節水意識が高揚していく中で、節水型機器が普及し、社会全
体が節水型に構造転換し、本市においても、水需要は毎年減少傾向にあります。
このことから、経営基盤のさらなる強化と水運用の効率化、維持管理体制の強化が求められ、2
つの水道事業の統合を見据えた基本計画の策定が必要となりました。
今回策定した「富士市水道事業基本計画」は、それぞれの事業体が持つ基本計画を踏まえ、社会
経済情勢や地域特性を考慮した計画となっています。計画の策定段階では、老朽化した水道施設の
機能評価及び更新計画、事業の現状を分析・評価した上での財政計画など、多方面から検討を行い
ました。
本計画は、本市の水道事業が目指すべき将来像と、これを実現するための具体的方策を示したマ
スタープランとして公表するものです。
富士市水道事業基本計画の計画期間は、平
富士市水道事業基本計画
成 24~38 年度までの 15 ヵ年とし、前期
計画期間 15 ヵ年(平成 24~38 年度)
計画(平成 24~28 年度)、中期計画(平成
前期計画
(H24~28)
29~33 年度)、後期計画(平成 34~38 年
度)に分けて設定します。また、期間中 3~
中期計画
(H29~33)
5 年を目途として内容を再度評価し、その時
後期計画
(H34~38)
点での目標達成度や社会ニーズの変化に応
じて計画の見直しを実施します。
■ 富士市位置図
富士市の位置(基礎自治体位置図画像情報より)
-1-
富士市全景(市ウェブサイトより)
1
はじ
じめ
めに
に
1章
章 は
1.2 富士市水道事業基本計画の位置付け
富士市水道事業基本計画は、基本理念である「安全でおいしい水の安定供給」をもとに、「水道
ビジョン」で掲げられた「安心」、「安定」、「持続」、「環境」の政策課題について、本市水道事業に
適応した「水道事業基本計画」として、新たに今後 15 ヵ年の基本構想を示すものです。
需要者(市民)
意見
公表
報告
厚生労働省
反映
推奨
富士市水道事業基本計画
(地域水道ビジョン)
上位計画
「第五次富士市総合計画」
(平成 23~32 年度)
●第4章 環境
(人と自然が共生し環境負荷の少ないまち)
●安全でおいしい水の安定供給
・水道施設の整備促進
・簡易水道の統合整備推進
・水質の適正管理
「水道ビジョン」
●基本理念
~世界のトップランナーを目指して
チャレンジし続ける水道~
●政策課題
~安心・安定・持続・環境~
【 用語解説 】
○水道ビジョン
平成 16 年 6 月 1 日、厚生労働省において策定されたもので、「世界のトップランナーを目指して
チャレンジし続ける水道」を基本理念とし、わが国の水道の現状と将来見通しを分析・評価し、水道
のあるべき将来像について全ての水道関係者が共通目標を持って、その実現のための具体的計画を策
定するためのアクションプランや目標を示した。
○地域水道ビジョン
平成 17 年 10 月に、厚生労働省より「地域水道ビジョン策定について」が通知され、水道事業が
自らの現状を分析・評価したうえで、将来あるべき姿を描き、目標達成のための具体的計画を策定す
ることを奨励するもの。「水道ビジョン」を個々の水道事業体に適用したもの。
富士市では、平成 17 年度に富士上水道の地域水道ビジョンを、平成 18 年度に富士川上水道の地
域水道ビジョンを作成済みだが、今回策定する「水道事業基本計画」を新たな「地域水道ビジョン」
として位置づける。
-2-
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
2章 水道事業の概要
2.1 水道事業の沿革
■ 富士上水道の沿革
富士上水道は、昭和 6 年に創設されました。昭和 41 年 11 月 1 日に吉原市・富士市・鷹岡町の
合併を経て、昭和 42 年 3 月 31 日に認可を得た第 3 期拡張事業が、独立運営されていた 2 市 1
町の水道を有機的一体化する、現在の富士上水道の基礎を描いた実質的な創設事業といえます。
昭和 46 年からの第 4 期拡張事業では、都市基盤施設としての整備水準が提案され、概ね現在の
水道施設形態が確立されました。その後の順調な市政の発展に伴い、給水量が増大し、現在は平成
18 年 6 月に認可を得た第 7 期拡張事業により施設整備を行っています。
区分
認可年月日 目標年度
給水人口 1日最大
(人)
配水量(m3)
備考
第4期拡張事業
S46.3.31
S53
197,000
102,500
・吉原市・富士市・鷹岡町が合併
・給水人口及び給水量の拡張
第4期変更事業
S47.2.23
S53
213,000
111,000
・給水人口及び給水量の拡張
・簡易水道事業の統合
第5期拡張事業
S54.6.7
H2
213,000
137,000
・給水量の拡張
・簡易水道事業の統合
第6期拡張事業
H3.3.30
H17
217,800
150,000
・給水人口、給水量及び給水区域の拡張
・簡易水道事業の統合
(軽微な届出)
-
H17
217,800
150,000 ・簡易水道事業の統合
第7期拡張事業
H18.6.28
H27
222,800
121,000
■ 岩松配水池
・給水人口の拡張
・簡易水道事業の統合
■ 今宮 3 号配水池
-3-
2
章 水
水道
道事
事業
業の
の概
概要
要
2章
■ 富士川上水道の沿革
昭和 30 年 10 月、小学校児童を中心に約 300 名の集団赤痢が発生しました。これにより、「深
井戸を水源とする町営の水道を布設するべき」との声が高まり、昭和 32 年 4 月 15 日に富士川上
水道が創設されました。
その後は、人口の増加に伴う給水量の増加に対応しつつ給水区域を拡張し、現在は、平成 8 年
11 月に認可を得た第 4 期拡張事業により施設整備を行っています。
給水人口
(人)
1日最大
配水量(m3)
備考
区分
認可年月日
目標年度
創設
S32.4.15
S42
12,100
1,820 ・創設事業
第1期拡張事業
S43.3.30
S53
13,000
5,200 ・給水人口、給水量及び給水区域の拡張
第2期拡張事業
S50.8.1
S62
20,000
12,000 ・給水人口、給水量及び給水区域の拡張
第2期拡張事業
(変更)
S55.5.30
S62
20,000
12,000 ・浄水方法の変更
第3期変更事業
S62.3.26
H7
20,000
12,000 ・老朽化施設の改善及び増強
第4期拡張事業
H8.11.29
H17
20,000
15,000 ・給水量の拡張
■ 吉津浄水場沈澱池
■ 吉津浄水場急速ろ過池
-4-
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
2.2 給水区域と主要施設の構造諸元
■ 富士上水道、富士川上水道の給水区域図
● 配水水系および凡例
● 次郎長配水池
● 鷹岡高区 2 号配水池
● 岩松配水池
● 吉津浄水場
● 元吉原 1 号配水池
● 泉ヶ丘配水池
-5-
2
章 水
水道
道事
事業
業の
の概
概要
要
2章
■ 富士上水道、富士川上水道の施設概要
一級河川富士川を境界として、右岸側が富士川上水道、左岸側が富士上水道となっています。
富士上水道は、地下水 71 井(合計 135,710
/日)と配水池 47 池(合計 70,120
し、富士川上水道は、地下水 5 井の他、湧水 1 箇所、表流水 2 箇所の合計 15,930
と、11 池の配水池(合計 8,660
)、2 箇所の浄水施設(合計3,190
)を有
/日の水源
/日)により市内への給
水を行っています。
■ 施設概要(平成 22 年 3 月 31 日現在)
施設名称
水 系
神 谷
八 王 子
富 士 本
大 渕
伝 法
今 宮
富士団地
吉 原
舟久保
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
16.
17.
18.
19.
20.
21.
22.
23.
24.
25.
26.
27.
28.
29.
30.
31.
32.
33.
神谷配水池
八王子配水池
富士本1号配水池
富士本2号配水池
富士本4号配水池
富士本中継漕
次郎長配水池
大富2号調整槽
城山1号配水池
城山2号配水池
城山3号配水池
城山中継槽
新田調整槽
曽比奈配水池
曽比奈調整槽
穴原調整槽
中野配水池
東片倉配水池
神戸2号配水池
久保町配水池
伝法配水池
末広配水池
今宮1号配水池
今宮3号配水池
桑崎配水池
富士団地高区配水池
富士団地低区配水池
富士団地調整槽
泉ヶ丘配水池-1
泉ヶ丘配水池-2
泉ヶ丘配水池-3
舟久保配水池
元吉原1号配水池
容 量
2,000
500
250
200
35
18
1,000
40
100
50
100
50
33
1,200
52
40
140
2,000
2,000
600
1,700
2,000
400
2,500
1,000
2,500
2,000
35
2,700
3,000
6,000
3,000
1,400
※表中の番号は、区域図上の番号と一致します。
-6-
施設名称
水 系
鷹岡
富士
34.
35.
36.
37.
38.
39.
40.
41.
42.
43.
44.
45.
46.
47.
鷹岡高区配水池(RC)
鷹岡高区配水池(PC)
鷹岡中区配水池(RC)
鷹岡中区配水池(PC)
鷹岡地区配水池
伝法地区配水池
鷹岡高区2号配水池
岩松配水池(PC)-1
岩松配水池(PC)-2
岩松配水池(PC)-3
岩松配水池(PC)-4
岩本公園配水池
万野配水池
羽渕中継槽
富士上水道配水池(47池) 合計
富士川
51.
52.
53.
54.
55.
56.
57.
58.
59.
60.
61.
岩淵配水池
四十九配水池
中之郷調整槽
新岩淵配水池
木島配水池
室野配水池
松野配水池
新松野配水池
矢所配水池
吉津配水池
北松野配水池
富士川上水道配水池(11池) 合計
310
1,000
860
2,500
6,000
6,000
2,000
2,700
3,000
3,500
3,500
40
4
63
70,120
1,000
100
360
2,000
450
100
1,000
2,000
150
1,000
500
8,660
1,190
2,000
135,710
(水 源)
富士川上水道 5井,1湧水,2表流水 15,930
(浄水場)
62. 北松野浄水場
63. 吉津浄水場
富士上水道 71井
容 量
/日
/日
/日
/日
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
2.3 水需要の見通し
2.3.1 人口の見通し
富士市の将来人口は、少子高齢化等の影響により、平成 22 年度、23 年度をピークに減少傾向
に転じ、平成 32 年度末で 257,200 人、平成 38 年度末には 250,700 人となる見込みです。平
成 21 年度末人口(261,573 人)と比べると約 10,900 人(約 4.2%)の減少となり、この傾向
は将来さらに加速する可能性も考えられます。
■ 人口の見通し (平成 22 年~平成 38 年)
280,000
実績値
行政区域内人口(人)
270,000
推計値
260,000
250,000
(実績値)
(推計値)
240,000
H 38
H 36
H 34
H 32
H 30
H 28
H 26
H 24
H 22
H 20
H 18
H 16
H 14
H 12
230,000
2.3.2 給水量の見通し
過去10年間の傾向を踏まえて、本市における将来の水需要を推計した結果、平成 38 年度にお
ける 1 日平均給水量は 86,020
/日であり、平成 21 年度実績と比べて約 8,900
/日(約 9.4%)
減少する結果となりました。これは、人口減少や節水意識の高まり等が原因と考えられており、水
道料金収入も同様の傾向になる見込みです。今後は、コスト管理の徹底や適正な水道料金設定等に
ついて検討していく必要があると考えています。
■ 給水量の見通し (平成 22 年~平成 38 年)
150,000
実績値
推計値
90,000
60,000
(実績値)
(推計値)
30,000
-7-
H 38
H 36
H 34
H 32
H 30
H 28
H 26
H 24
H 22
H 20
H 18
H 16
H 14
0
H 12
1日平均給水量(m 3 /日)
120,000
3
章 現
現状
状分
分析
析
3章
3章 現状分析
3.1 水源の評価
富士市は市内全域の水量を、自己水源からの取水によって賄っています。富士上水道の水源は全
て地下水によるもので、富士川上水道では地下水、湧水、表流水によって構成されています。
地下水水源水量は 147,950
/日と大半を占め、湧水、表流水の合計で 3,690
/日となってい
ます。全体として市内全域の需要に対して十分な水量が確保されていますが、水源系統別にみると、
1 水源しかなくバックアップ等に不安がある系統や、老朽化等によって安定した水量が得られない
井戸施設については、新規水源についても計画的な整備を実施する予定です。
■ 岩松 1 号水源:地下水
■ 吉津川水源:表流水
水源の大半は、水質のよい富士山系の地下水が汲み上げられており、水質・水量ともに問題ありま
せん。富士川上水道では、一部、表流水を水源としており、原水水質には十分留意しています。今
後も監視体制を強化し、一方では、水源の変更も視野に入れた対策を検討していきます。
【 用語解説 】
○表流水
表流水は、ダム放流水、河川水、湖沼水等を水道水源とするものをさす。雨水等の外部影響を受け
やすく、水質は地下水と比べると変動が大きい。
○地下水
地表面下にある水をいい、不圧地下水と被圧地下水が、また、浅層地下水と深層地下水がある。一
般的に地下水は表流水と比べて水量、水質、水温が安定した良質の水源である。水道水源としては、
浅井戸水、深井戸水、湧水、伏流水が地下水に分類される。
-8-
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
3.2 配水池の評価
3.2.1 配水池容量の評価
■ 評価方法
配水池は給水量の時間変動調整、事故時における非常用水量の確保、消火用水量の確保を目的と
した水道水の貯留施設です。ここでは、各配水池容量が給水量等に対する所定の必要容量(一日最
大給水量の半分(≒12 時間分)が基準)を確保しているかを評価しました。下の 2 つのグラフは、
「配水池必要容量(
/12時間)÷配水池容量(
)」を百分率(%)で示したもので、棒グラフ
が 100%を下回る配水池は基準となる容量が確保できていないことを意味します。
■ 評価結果〔富士上水道〕
■ 配水池容量の評価結果(富士上水道)
0%
富士上水道の給水区域全体の配水池
容量は 70,120
であり、一日最大給
神谷 V=2,000
水量の約 14 時間分に相当する容量が
八王子 V=500
確保されています。ただし、各配水池
城山1号 V=100
す。
中野 V=140
東片倉 V=2,000
神戸2号 V=2,000
舟久保・元吉原 1 号・岩松では、必要
久保町 V=600
容量が確保されていません。
伝法 V=1,700
また、給水量に対して配水池の施設
末広 V=2,000
今宮3号 V=2,500
が大き過ぎるため、貯留水の滞留時間
桑崎 V=1,000
が長くなることが課題となっている施
富士団地高区 V=2,500
設もあります。
富士団地低区 V=2,000
これらの配水池では、配水区域の見
150%
次郎長 V=1,000
曽比奈 V=1,200
比奈・中野・久保町・富士団地低区・
100%
富士本1号 V=250
においては容量の過不足が生じていま
八王子・富士本 1 号・城山 1 号・曽
50%
泉ヶ丘 V=11,700
舟久保 V=3,000
直し、あるいは配水池の規模の見直し
元吉原1号 V=1,400
等をおこない、適正な配水池容量とな
鷹岡高区 V=1,310
るよう改善していく必要があります。
鷹岡中区 V=3,360
鷹岡地区 V=6,000
伝法地区 V=6,000
■ 評価結果〔富士川上水道〕
富士川上水道の給水区域全体の配水
池容量は 7,660
鷹岡高区2号 V=2,000
岩松 V=12,700
あり、一日最大給
水量の約 16 時間分に相当する容量が
■ 配水池容量の評価結果(富士川上水道)
確保されています。ただし、施設別で
は、北松野・木島配水池において容量
0%
岩淵、新岩淵 V=3,000
不足が生じており、今後、水源系統の
木島 V=450
再編に併せて配水池容量の適正化を図
新松野 V=2,000
る必要があります。
矢所 V=150
吉津 V=1,000
北松野 V=500
-9-
50%
100%
150%
3
章 現
現状
状分
分析
析
3章
3.2.2 主要施設の耐震性評価及び老朽状況
平成21年度に主要施設の耐震一次診断を実施し、多くの施設で東海地震等の大規模地震に対す
る耐震性が確保されていない可能性が指摘されました。また、竣工後30年以上経過した老朽化施
設が多くあるため、耐震対策に併せて、内面防水工の劣化対策も実施する必要があります。
ただし、配水池が1つであるため、工事を施工するためには、断水させなければならない施設が
多くあります。次表に示す配水池は、各水系や地区において特に重要な施設であり、配水池の機能
を生かしながら、対策を実施しなければなりません。このうち、現状では対策を講ずることができ
ないと判断された曽比奈配水池、東片倉配水池、舟久保配水池、八王子配水池、富士本 2 号配水池
は、補強や補修等の工事を実施するためには、先行してバックアップ用の配水池を増設しなければ
なりません。
■ 各水系における重要配水池の耐震性評価結果
水 系
神谷
1
2
八王子・
4
富士本
7
14
18
大渕・
19
伝法
21
22
24
今宮・
25
富士団地 26
27
29
30
吉原・
31
舟久保
32
33
35
37
鷹岡
38
40
41
42
富士
43
44
51
54
55
富士川
57
58
59
施設名称
神谷配水池
八王子配水池
富士本2号配水池
次郎長配水池
曽比奈配水池
東片倉配水池
神戸2号配水池
伝法配水池
末広配水池
今宮3号配水池
桑崎配水池
富士団地高区配水池
富士団地低区配水池
泉ヶ丘配水池
泉ヶ丘配水池
泉ヶ丘配水池
舟久保配水池
元吉原1号配水池
鷹岡高区配水池
鷹岡中区配水池
鷹岡地区配水池
鷹岡高区2号配水池
岩松配水池
岩松配水池
岩松配水池
岩松配水池
岩淵配水池
新岩淵配水池
木島配水池
新松野配水池
矢所配水池
吉津配水池
施設概要
竣工年
H7
S49
H5
H6
S47
S47
S52
S39
S50
H10
H10
S48
S47
S40
S57
S63
S47
S43
S52
S54
H14
H5
S43
S45
S55
S56
S44
H13
S57
H11
H15
H6
構造 容量( )
PC
PC
RC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
PC
RC
PC
RC
PC
2,000
500
200
1,000
1,200
2,000
2,000
1,700
2,000
2,500
1,000
2,500
2,000
2,700
3,000
6,000
3,000
1,400
1,000
2,500
6,000
2,000
2,700
3,000
3,500
3,500
1,000
2,000
450
2,000
150
1,000
耐震性
(今回)
中
中
中
中
低
低
中
低
低
高
高
低
中
低
高
高
低
低
低
低
高
高
低
低
中
中
低
高
低
高
高
高
対策対象施設
地震動 重要
L1 L2 度 既計画 増設 ランクA1ランクA2
○
○
○
○
×
×
○
×
×
○
○
○
○
×
○
○
×
×
×
×
○
○
×
×
○
○
×
○
×
○
○
○
△
△
△
△
×
×
△
×
×
○
○
△
△
×
○
○
×
×
×
×
○
○
×
×
△
△
×
○
×
○
○
○
A1
A2
A2
A1
A1
A1
A2
A2
A1
A1
A2
A2
A1
A2
A2
A1
A1
A2
A2
A1
A1
A2
A2
A2
A1
A1
A2
A1
A2
A1
A2
A2
○
○
○
○
◎
◎
◎
◎
○
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
○
○
◎
◎
◎:実施対象で優先度が高い。○:実施対象で優先度が低い
【 用語解説 】
○配水池(配水場)
浄水処理を行った水を一時貯留させておくための施設。
水道水の使用状況は、一日の時間帯によって大きく変動するため、配水池に適切な水量が貯留され
ていれば、多く使われる時間帯でも、安定した給水が可能となる。また、貯留水は、火災時には消火
用水として、地震等で断水した場合には、非常時の飲料水や医療用水として使用される。
- 10 -
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
3.3 配水管網の評価
3.3.1 管路施設の現況
管路総延長(φ75mm 以上)は、富士上水道、富士川上水道合計で 934km となっています。
耐震性の比較的高いダクタイル鋳鉄管が約 70%(うち耐震管は約 11.3%)を占めている一方で、
老朽管路を含む普通鋳鉄管が合計で 24%程度残存している状況です。強度が低く、漏水等の原因
ともなる石綿セメント管の布設替えはほぼ完了している状況ですが、残りの延長についても老朽管
路と併せて早急に更新を実施する予定です。
■ 管種別管路延長(富士上水道、富士川上水道合計、φ75mm以上)
管 種
記号
配水管構成比 (%)
延長 (km)
ダクタイル鋳鉄管
DIP
656.3 km
70.3%
普通鋳鉄管
CIP
226.5 km
24.2%
SGP・GP
27.7 km
3.0%
石綿セメント管
ACP
0.7 km
0.1%
塩化ビニル管
VP
22.8 km
2.4%
ポリエチレン管
PP
0.2 km
0.0%
934.2 km
100.0%
鋼管
合 計
SGP・GP ACP PP
VP
CIP
DIP
※平成 21 年度水道事業年報から引用
年代別の管路布設延長では、1970 年代から 1990 年代前半の高度成長期における布設された
ものが多くなっています。管路施設の法定耐用年数は 40 年となっていることから、1970 年代以
降に布設された管路施設が、今後は更新対象として大量に発生するため、計画的に更新していかな
ければなりません。
■ 年代別管路延長(富士上水道、富士川上水道合計、φ75mm 以上)
100%
布設延長
40.0
80%
累積比率
30.0
60%
20.0
40%
10.0
20%
0.0
不明
1948
1958
1968
1978
1988
1998
比率(%)
布設延長(km)
50.0
0%
2008 年度
【 用語解説 】
○耐震管
離脱防止機能を持つ NS、SⅡ、S 型のダクタイル鋳鉄管や、水道配水用ポリエチレン管、溶接鋼管
等が該当する。これらの管種は、過去の地震災害に対しても強い耐震性が確認されている。
○石綿セメント管
錆の発生がなく、安価な管材料として、高度成長期の昭和 30~40 年頃をピークに使用されていた
が、強度の問題から布設替が進められ、需要減少により昭和 60 年に製造中止となった。
- 11 -
3
章 現
現状
状分
分析
析
3章
3.3.2 管路地震被害推計
■ 評価方法
(社)日本水道協会による管路被害予測式に基づいて、管路の地震被害規模を想定しました。
地震被害予測には、管路の材質、口径、延長のほか、富士市域で想定される地震動強度や液状化
などの情報が必要となり、これらを用いて総合的な評価を行いました。
想定地震動は、東海・東南海地震を想定した震度 7 クラスの地震を選定しています。
(※ 液状化、地盤のデータは、静岡県防災局の第 3 次地震被害想定における地図情報を使用)
■ 評価結果
東海・東南海地震レベルの地震が発生した場合、本市域の口径 75mm 以上の管路で、1,465 件
の被害が発生する結果となりました。これは、1 日に 50 箇所の復旧が実施できると仮定した場合
でも、全復旧には約 1 ヶ月かかる計算となります。
基幹となる口径の大きな管路や、病院及び避難所へと接続される重要な管路については、非常時
でも配水機能を保持している必要があり、本市においても優先的に耐震化を進めていく予定です。
その他の管路施設においても、老朽管路更新事業に併せて耐震管への布設替えを実施します。
■ 富士市域で想定される最大級の地震(50 年間 2%で発生)
震度 6
震度 7
- 12 -
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
3.4 簡易水道組合の現状
平成 22 年 3 月現在、富士市内に存在する 14 の簡易水道の内、富士市水道事業の給水区域に組
み込まれていないものは 11 事業あり、すべて、地元の組合で運営されています。簡易水道組合は、
本市の東部に位置し、東は沼津市に接しています。組合ごとに異なりますが、給水開始は昭和 10
~51 年度と、非常に歴史のある水道事業です。
多くの簡易水道では、1 つの井戸と配水池から供給しており、地震等で井戸や配水池が崩壊した
り、水源の水質が悪化した場合は、給水できなくなることがあります。
このことから、非常時に給水を可能とするため、富士市と簡易水道統合推進協議会は、統合に向
けて協議を続けています。
■ 簡易水道組合の位置
拡大
■ 簡易水道組合の水源、配水池、給水量、所在地
簡易水道事業
名
称
水
種別
源
配 水 池
計画最大
取水量
(m3/日)
箇所
池数
(池)
給
池容量
(m3)
戸数
(戸)
人口
(人)
水
日最大
給水量
(m3/日)
有収率
(%)
滝川比奈簡易水道組合
深井戸
泉簡易水道組合
深井戸
1
200
1
15
85
山の根簡易水道組合
深井戸
1
672
1
300
481
東比奈富士岡簡易水道組合
深井戸
1
1,516
1
300
553
2,060
花守町簡易水道組合
深井戸
1
272
1
20
147
富士岡簡易水道組合
深井戸
2
1,051
2
350
742
中里西簡易水道組合
深井戸
1
1,329
4
540
783
2,685
1,131
80.2
3
1,720
1
1,000
1,130
1,487
79.5
350
150
86.7
1,381
555
81.7
881
76.3
469
186
94.4
3,119
1,036
72.7
3,500
中里簡易水道組合
深井戸
2
2,152
1
800
1,100
3,500
1,412
86.1
川尻町簡易水道組合
深井戸
1
320
1
50
260
801
280
95.2
増川江尾簡易水道組合
深井戸
2
1,390
2
300
810
2,400
1,200
86.3
95.3
浮島町簡易水道組合
深井戸
計
1
910
1
150
461
1,480
817
16
11,532
16
3,825
6,552
21,745
9,135
※
給水戸数、給水人口は「平成 21 年度 富士水道組合連合会会員名簿(平成 21 年 5 月)」より抜粋
※
その他の項目は「全国簡易水道統計
平成 19 年度」より抜粋
- 13 -
3
章 現
現状
状分
分析
析
3章
3.5 経営状況の分析
■ 評価方法
経営指標を用いて、本市の経営状況の評価を行いました。それぞれの指標の概略は以下のとおり
です。
① 自己資本構成比率
:事業運営がどの程度自己資本によって実施されたかを示す。
② 総収支比率
:事業の全収益を全費用で除した比率であり、事業の健全性を示す。
③ 企業債償還元金対減価償却額比率:借入金の返済能力を示す。低いほど返済能力が高い。
④ 供給単価
:水道水 1
当たりの収入単価を表す。平均販売単価ともいう。
⑤ 給水原価
:水道水 1
を供給するための費用を表す。
⑥ 料金 回収率
:費用を水道料金収入としてどの程度回収できているかを示す。
■ 評価結果
① 自己資本構成比率:年々指標値が増加しており、改善傾向にあります。建設投資における企業債借
入をできるだけ抑え、自己資金を有効活用している結果が表れています。
② 総収支比率:H20 の富士川上水道を除いて、常に 100%を超えた状態で推移しています。
③ 企業債償還元金対減価償却額比率:H19 の富士上水道において、繰上償還により一時的に上昇し
たものの、それを除くと減少傾向にあり、健全な状態を保っています。
④ 供給単価、⑤ 給水原価:浄水コストにより、二つの事業で差が見られます。今後、事業統合及び
料金統一を行うことにより、水道サービスの均一化を図ることが望ましいです。
⑥ 料金回収率:二つの事業を合算すると常に 100%を超えています。したがって、統合による経営
基盤の強化にあたり、スケールメリットが発揮される見通しです。
■ 経営指標の推移
富士上水道
※
H19
H20
H21
①自己資本構成比率
②総収支比率
③企業債償還元金対減価償却額比率
④供給単価
⑤給水原価
⑥料金回収率
富士川上水道
(%)
(%)
(%)
(円)
(円)
(%)
66.2
112.9
80.8
85.3
81.2
105.2
H19
67.2
108.8
50.0
85.4
83.4
102.5
H20
68.5
112.4
49.2
85.4
81.4
104.9
H21
①自己資本構成比率
②総収支比率
③企業債償還元金対減価償却額比率
④供給単価
⑤給水原価
⑥料金回収率
富士+富士川合算
(%)
(%)
(%)
(円)
(円)
(%)
67.8
102.1
51.7
125.4
130.6
96.1
H19
69.1
97.4
54.1
125.7
144.6
87.0
H20
69.4
101.1
52.3
126.4
123.7
102.2
H21
①自己資本構成比率
②総収支比率
(%)
(%)
66.5
111.8
67.5
107.6
68.6
111.2
63.7
109.2
③企業債償還元金対減価償却額比率
(%)
77.1
50.5
49.6
84.3
④供給単価
⑤給水原価
⑥料金回収率
(円)
(円)
(%)
88.1
84.5
104.2
88.1
87.4
100.8
88.2
84.4
104.6
172.9
173.4
99.7
全国平均は、
「平成 20 年度 水道事業経営指標」より抜粋
- 14 -
全国
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
4章 将来像の設定
4.1 基本理念及び基本方針
水道の目指すべき方向性は、市の総合計画における水道事業に関する取り組みである「安全でお
いしい水の安定供給」を尊重して設定します。この目指すべき方向性の下、わたしたち水道事業に
課せられた社会的な役割や使命を果たしつつ、中長期的な視点でさまざまな課題に取り組み、安心・
安全な水を安定して将来に届けるため、
「安心・安全」、
「安定」、
「持続」、
「サービス」、
「環境」とい
ったキーワードを基本とした5つの政策目標を掲げます。
この政策目標を基にした整備方針と具体的な整備計画の施策体系を次ページ以降に示します。
安心・安全
安 定
安全な水道水の供給
施設の維持管理と
耐震化等の推進
・表流水水源の転換
・水質監視体制の強化
・貯水槽水道の管理
基本理念
・安定給水の確保
・緊急時の対応強化
・管路の耐震化
・基幹施設の耐震化
【安全でおいしい水の安定供給】
持 続
経営基盤の強化
・経営基盤の強化
・水道技術の継承
環 境
サービス
水道事業の情報提供
・水道サービスの向上
【 水道事業の基本理念 】
- 15 -
環境対策の充実
・温室効果ガス発生抑制
・有効率の向上
4
章 将
将来
来像
像の
の設
設定
定
4章
■ 施策の体系
基 本 方 針
基 本 施 策
具 体 的 施 策
『
~
表流水水源の地下水への転換
人
安
表流水水源の転換
と
全
安心・安全
安心・安全
水質監視体制の強化
安全な水道水の供給
安全な水道水の供給
貯水槽水道の管理
水質管理の実施
鉛給水管の対策
貯水槽水道の管理の充実
自
で
水源の整備
然
が
調
和
す
る
環
境
お
い
し
い
水
の
安
既設配水池の増設
直送系水源の施設整備
安
安 定
定
施設の維持管理と
施設の維持管理と
耐震化等の推進
耐震化等の推進
安定給水の確保
緊急時対応の強化
管路の耐震化
基幹施設の耐震化
主要配水池の耐震化
管路施設整備計画
重要管路の耐震化
基幹管路の耐震化
老朽施設の更新
持
持 続
続
経営基盤の強化
経営基盤の強化
づ
定
く
供
サービス
サービス
水道事業の情報提供
経営基盤の強化
水道技術の継承
人材育成と水道技術の継承
水道サービスの均一化
水道サービスの向上
情報公開の推進
水道事業の情報提供
り
給
環
環 境
境
環境対策の充実
コスト縮減と料金統一
温室効果ガス発生の抑制
有効率の向上
』
~
環境対策の充実
【 水道事業の施策体系 】
- 16 -
動力費の削減
漏水の低減
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
5章 実現方策
5.1 安心・安全:皆さまが安心しておいしく飲める水道水の供給
皆さまが利用する水が安全であるということは、時代が変わっても水道の最も基本的な条件であ
り、皆さまが安心しておいしく飲める水の供給を第一の目標とします。
(1)表流水水源の地下水への転換
富士川上水道の吉津川水源および有無瀬川水源は、透明度が高く水質は良好で、浄水場において
適正に処理が行われており問題はありませんが、今後は浄水場の更新とともに、より安全性の高い
地下水水源への転換を検討していきます。
● 吉津浄水場、北松野浄水場の更新に伴う地下水水源への転換
■ 判断基準(クリプトスポリジウム等対策指針より)
原水での
指標菌の検出
あり
はい
原水は地表水
レベル4
レベル4
適切なろ過の実施
適切なろ過の実施
いいえ
レベル3
レベル3
なし
適切なろ過の実施
適切なろ過の実施
又は紫外線処理
又は紫外線処理
いいえ
地表水などが混入しない
レベル2
レベル2
被圧地下水
原水の指標菌検査
原水の指標菌検査
による監視の徹底
による監視の徹底
はい
レベル1
レベル1
隔絶性の確認
隔絶性の確認
【 用語解説 】
○クリプトスポリジウム
人などの消化管に寄生する原生動物(原虫)であり、感染した場合、腹痛を伴う激しい下痢、発熱
などを引き起こす。塩素に強い耐久性を有しているため、通常の消毒では死滅させることは困難であ
る。
○クリプトスポリジウム等対策指針
耐塩素性病原生物対策に紫外線処理を新たに位置づけるため、水道施設の技術的基準を定める省令
を改正するとともに、新たに「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」をとりまとめた。ま
た、指標菌及びクリプトスポリジウム等の検査方法等も通知している。
- 17 -
5
章 実
実現
現方
方策
策
5章
(2)水質管理の実施
本市では、地理的背景により配水池等の水道施設が分散しています。配水池の状態を常に監視で
きるよう、多くの施設に監視設備を設置し、集中管理システムにより24時間体制で管理していま
す。
今後も、監視装置の故障や機能低下等により日常の水質管理に支障が生じないように、日常点検
の充実と老朽化した装置の適切な更新を計画的に実施していきます。
また、水質検査については、水質検査計画を毎年見直し、計画的かつ効率的な水質検査が実施さ
れるよう務めています。
(3)鉛給水管の対策
鉛給水管は、漏水や水質悪化の原因となる可能性があるため、本市においても老朽管更新にあわ
せて取替えを進めています。
(4)貯水槽水道の管理の充実
ビルや集合住宅等の所有者が設置している貯水槽水道などの管理については、設置者の責任が水
道法の改正(平成 14 年 4 月 1 日施行)で明らかになり、設置者が適正に貯水槽水道の維持管理を
行う必要があります。貯水槽水道は、水道水を一時的に建物備え付けのタンクに貯留するもので、
非常時の生活用水確保には役立ちますが、長期間の滞留やタンクの洗浄等が十分に行われていない
場合は、水質が悪化する等の問題があります。今後も、関係機関と連携しながら、設置者に対して、
管理基準や清掃及び点検の実施などについて指導・助言等を行い、貯水槽水道の管理適正化を図る
と同時に、直結給水方式の拡大を積極的に進めていきます。
5.2 安定:いつでもどこでも安定した水道水の供給
今や水道は、生活や産業活動にとって、欠くことのできないライフラインであり、施設がその機
能を十分に発揮できるだけではなく、現在の需要者と将来の需要者との世代間の負担公平性を維持
できるよう、計画的・効率的な施設更新を実施していきます。
また、平時だけではなく、地震等の自然災害、停電、水質事故等の非常時においても、施設の被
害を最小限に抑えるための施設整備を推進し、断減水による皆さまへの影響を最小化していきます。
【 用語解説 】
○貯水槽水道
ビルやマンション等の建物内に設置され、受水槽以下の給水施設により給水する水道の総称として
改正水道法で定義されたもので、水道事業者から給水される水のみを水源とした受水槽方式の水道で、
供給規定により水道事業者および設置者の責任を明確にすることが必要となった。
○直結給水方式
受水槽を介さず、水道配管から直接給水栓に接続する方式。滞留時間が短く、新鮮な水道水を供給
することが可能となる。一方で、3 階建て以上の建物等に給水するには、水道配管中の圧力を適正に
確保する必要がある。
- 18 -
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
(1)水源整備による安定給水および維持管理性の向上
安定した給水を行うために、計画期間内に 6 水源の新規開発と 2 水源の改修を予定しています。
新規水源整備により、平常時の水量確保だけでなく、既設井戸の維持管理性の向上(水源複数化に
より点検や補修に伴う停止が可能となる)や、地震時等の非常時対策の充実を目的としています。
■
水源整備計画
水
八王子・富士本
富
水源名称
計画取水量
【届け出水量】
富士本 2 号水源
1,100 m3/日
岩松 15 号水源
4,320 m3/日
東片倉水源
1,000 m3/日
木島 2 号水源
2,000 m3/日
系
士
大淵・伝法
富士川
備考
未設置(富士本 1 号配水池付近を予定)
※系統再編の検討が必要
新中野水源
改修
※既設の改修
中之郷第 1 水源
改修
※既設の改修
中野新水源
2,000 m3/日
※有無瀬川水源の代替水源
吉津水源
3,000 m3/日
※吉津川水源の代替水源
(2)既設配水池の増設及び直送系水源の施設整備
配水池容量の適正化と単独施設の複数系列化及び直送系水源の配水安定化を目的として、次表に
示す 8 ヶ所の配水池を新設・増設します。
配水池の増設により単独系列の配水池は耐震補強工事及び内面防水工等の補修工事を行えます。
■ 配水池の整備計画の概要
整
施設名称
施設規模
備
目
配水池容量
適 正 化
施設複数化
岩松第 2 配水池(新設)
V = 4,000 m3
○
○
吉小配水池(新設)
V = 2,700 m3
○
○
曽比奈配水池(増設)
V=
700 m3
○
○
東片倉配水池(増設)
V = 1,000 m3
○
○
舟久保配水池(増設)
V = 1,700 m3
○
○
富士本 2 号配水池(増設)
V = 400 m3
○
八王子配水池(増設)
V = 500 m3
○
V = 1,100 m3
○
木島配水池(更新)
- 19 -
○
的
直送系の
解消
○
5
章 実
実現
現方
方策
策
5章
(3)重要給水拠点への供給施設の耐震化
耐震一次診断及び施設の重要度評価の結果、次表に示す 10 ヶ所の配水池の耐震化が必要と判断
されました。これらの施設では詳細な耐震2次診断を行い、その結果を踏まえて耐震補強工事を実
施し、東海地震クラスの大規模地震に備えます。51 ヶ所の水源も対象として、耐震化対策を実施
します。さらに、周辺に給水拠点(避難場所、配水池など)がない地域では、地震により断水した
場合に、応急給水に支障が出ることが予想されるため、緊急貯水槽を設置します。
■ 耐震化が必要な主要配水池一覧(重要給水拠点への供給施設)
水系名
吉原 ・ 舟久保
富
士
泉ヶ丘配水池
施設概要
規模(m)
S40
PC
φ22.0 × 15.5
2,700
元吉原 1 号配水池
S43
PC
φ13.4 × 10.0
1,400
岩松配水池
S43
PC
φ15.2 × 15.1
2,700
岩松配水池
S45
PC
φ15.0 × 17.0
3,000
容量(
)
富士団地低区配水池
S47
PC
φ16.0 × 10.0
2,000
富士団地高区配水池
S48
PC
φ19.0 × 9.0
2,500
曽比奈配水池
S47
PC
φ13.0 × 9.1
1,200
伝法配水池
S39
PC
φ12.0 × 15.0
1,700
末広配水池
S50
PC
φ23.0 × 4.9
2,000
岩淵配水池
S44
PC
-
1,000
大淵 ・ 伝法
富
竣工年度
構造
士
今宮・富士団地
施設名称
川
(4)基幹配水池耐震化事業
水道施設の重要度が高く、本計画において耐震性が「中」、「低」と判定された施設を対象として、
耐震化事業を行います。
■
耐震化が必要な主要配水池一覧(重要度が高く、耐震性が低い施設)
施設概要
施設名称
竣工
年
構造
神谷
神谷配水池
H7
PC
φ20.0×6.5
容量
( )
2,000
八王子
・
富士本
八王子配水池
S49
PC
φ10.0×6.4
500
中
中
10.0×6.5×3.1 200
中
水
系
大淵・伝法
吉原・舟久保
鷹岡
富士
富士本2号配水池 H5
RC
規模
(m)
耐震性
評価
重要度ランク
A1
○
○
○
1,000
中
○
φ16.0×10.0 2,000
低
◎
次郎長配水池
H6
PC
φ15.0×5.7
東片倉配水池
S47
PC
神戸2号配水池
S52
PC
φ22.0×5.5
2,000
中
○
舟久保配水池
S47
PC
φ20.0×9.8
3,000
低
鷹岡高区配水池
S52
PC
φ15.0×5.7
1,000
低
鷹岡中区配水池
S54
PC
φ21.0×7.3
2,500
◎
岩松配水池
S55
PC
φ22.0×9.2
3,500
低
中
岩松配水池
S56
PC
φ21.0×10.2 3,500
中
○
◎:対策優先度が高い。○:対策優先度が低い
- 20 -
A2
◎
◎
○
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
(5)管路施設整備計画
開発区域への送水管や配水池間の補給管を計画的に整備するとともに、水圧不足区域の解消等を
目的とした管路整備事業を実施します。
● 計画管路の整備
● 管路増径による水理機能改善
(6)重要管路の耐震化
避難所、緊急指定病院等の防災拠点への地震発生時の給水を確保するために、これらの施設への
連絡管路の耐震化を図ります。耐震化の対象管路の総延長は約 100km、そのうち、布設替延長は
約 33km です。
● 避難所・緊急指定病院等への重要管路の耐震化
● 重要施設へ給水を行う配水池までの導・送水管の耐震化
(7)基幹管路の耐震化
水道施設の中で施設運用面から重要な基幹管路(導水管、送水管、配水本管)の耐震化を行いま
す。これらの管路は耐震性継手を有するダクタイル鋳鉄管に布設替をします。
● φ150mm 以上の基幹管路の耐震化
■ 悪い地盤における管種と被害率の関係(兵庫県南部地震)
耐震管の採用
被害なし
被害やや大
(ダクタイル鋳鉄管 NS 継手)
DIP-NS
DIP-K
SP
DIP-A
HIVP-TS
CIP
(8)老朽施設の更新
本市では、水源、配水池、浄水場において、数多くのポンプ施設、滅菌設備等の機械設備や自家
発電装置、受変電設備等の電機設備、水質監視等の計装設備を保有しています。水道事業で発生す
る断水事故は、これらの機器設備の故障を原因とするものが最も多いとされていることから、日常
からの点検・補修を徹底するとともに、老朽化した設備については計画的な更新を実施します。
また、老朽化や、出水不良、濁り等の問題がある井戸施設についても改良・更新を行い、安定し
た水量確保に努めます。
- 21 -
5
章 実
実現
現方
方策
策
5章
■機械及び装置の耐用年数
機械及び装置
電気設備
動力盤
20 年
計装盤
20 年
制御盤
20 年
送水ポンプ
15 年
水中ポンプ
15 年
加圧ポンプ
15 年
塩素滅菌設備
滅菌機
10 年
内燃設備
自家発電機
15 年
その他機械装置
遠隔監視設備
10 年
水位計、残留塩素計
10 年
流量計
10 年
減圧弁設置工
17 年
ポンプ設備
5.3 持続:経営基盤を強化し将来にわたり安定した経営の推進
平成 20 年 11 月の合併から 2 年を経過しており、さらなる経営・管理の効率化、コスト縮減を
行いつつ、官民それぞれが有する長所、ノウハウを活用し、施設効率、経済効率のよい水道への再
構築を図り、持続可能な水道システムを支える基盤を強化していきます。
また、これまで培ってきた水道に係る文化や技術を継承すべく、水道技術に携わる人材の確保・
育成を行っていきます。
(1)コスト縮減と料金統一
富士上水道と富士川上水道は、独自の料金体系で、別々に運営管理されています。
将来予定されている事業統合を見据え、事業の効率化によるコスト縮減方策、市内全域の水道料
金の統一、適正な料金体系の設定について検討していきます。
(2)人材育成と技術の継承
水道事業に必要な知識や技術の向上を目指すために、研修会や講習会などに積極的に参加し、人
材の育成を図っていきます。また、現在行っている職場研修をさらに充実させ、専門研修や研究発
表会などを実施していきます。
- 22 -
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
5.4 サービス:皆さまのご要望にお応えした信頼される事業の推進
皆さまのご要望を常に的確に把握しつつ、それらに迅速に応え、給水サービスの充実を図るとと
もに、水道事業者と皆さまとの相互理解を促進するため、水道事業に関する情報の積極的な公開と
対話を推進し、より的確で効率的な水道の運営を実現させていきます。
(1)水道サービスの均一化
「持続」の項目でも説明したように、市内には複数の水道事業が存在しており、それぞれ別々に
管理運営されているのが現状です。
今後も安定経営を継続していくために、2つの上水道の統合のみならず、簡易水道の統合を見据
え、具体的な統合の時期や方法について検討をしていく必要があります。
同一行政区域内では、同一サービスとするのが原則であり、これらの効率的な運営を見据え、サ
ービスの均一化を図っていきます。
(2)情報公開の推進
インターネット等、様々なメディアを有効活用して積極的に情報公開を実施し、皆さまと情報の
共有化を図るとともに、あらゆる機会を捉えて皆さまの意向、要望等の把握に努め、事業運営に反
映させていきます。
○ウェブサイトアドレス:http://www.city.fuji.shizuoka.jp/
- 23 -
5
章 実
実現
現方
方策
策
5章
5.5 環境:環境への負荷の少ない水道
公共サービスの提供者として、社会的責任を率先して果たすため、施設の効率化による省エネル
ギー化、建設リサイクル法の遵守による廃棄物減量化、貴重な資源である水の効率的運用に取り組
み、環境にやさしい水道の構築を図ります。
(1)動力費の削減
分散化した施設の統廃合や、合理的な水源の配置により、配水方式を自然流下方式に切り替え、
動力費の削減とともに停電等による給水停止のリスク低減を図ります。
また、老朽化した設備の更新にあたっては、より環境へ配慮した設備仕様とするため、エネルギ
ー消費の軽減化を図ります。
● 吉津浄水場、北松野浄水場の更新に伴う地下水水源への転換
● 富士上水道区域内、水源直送系統の改善
● 省エネ設備の導入検討
(2)漏水の低減
老朽化した鉄製管路や塩化ビニル管、さらには劣化の著しい配水池等の改良・更新により、漏水
を抑制します。漏水低減により、井戸施設からの効率的な取水が可能となり、地下水保全、揚水電
力削減等の効果が期待されるなど、環境に配慮した水道事業を目指します。
● 老朽管路更新による有効率の向上
● 鉛給水管の更新による漏水低減
- 24 -
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
■ 事業の目標
項
安心
目
事業の目標
持続
実績(H21)
目標(H38)
0.0 %
0.0 %
100.0 %
100.0 %
【 基幹管路耐震化率 】
13.7 %
40.0 %
①
水道水の安全確保
PI:1107
PI:1108
PI:1109
②
おいしい水の供給
PI:1105
PI:1106
③
基幹管路の耐震化
④
配水池耐震化
PI:2209 配水池耐震化率
(※L2 対応の配水池)
41.4 %
80.7 %
⑤
管路耐震化
PI:2210 管路耐震化率
※口径 75mm 以上
23.8 %
45.0 %
⑥
運営基盤の強化
PI:3003
総収支比率
111.2 %
110.0 %
⑦
収益性の向上
PI:3013
料金回収率
106.8 %
105.0 %
⑧
財務の健全性維持
PI:3023
率
68.6 %
70.0 %
⑨
漏水の低減
PI:3018
86.4 %
86.4 %
⑩
動力費の削減
91.3 %
91.3 %
安全
安定
評価指標
トリハロメタン濃度
有機物濃度
農薬濃度
カビ臭
塩素濃度
自己資本構成比
有収率
環境
【 有 効 率 】
- 25 -
6
章 事
事業
業計
計画
画と
とフ
フォ
ォロ
ロー
ーア
アッ
ップ
プ
6章
6章 事業計画とフォローアップ
6.1 年次別事業化計画
本計画の計画期間内における年次別事業計画を下図に示します。15 年間の総事業費は約 233 億
円を予定しており、事業実施にあたっては事業コストの縮減に努めるとともに、最新技術の導入等
を検討するなど、効率的な事業運営を図っていきます。
■ 年次別事業計画
事
業
事業概要
簡易水道整備事業
親子台
東部 11 簡易水道
施設整備事業
(富士上水道)
配水池増設等
水源整備
施設整備事業
(富士川上水道)
配水池増設等
水源整備
平成 平成 平成 平成
24
25 26
27
平成 平成
28
29
配水池等耐震化
耐震化事業
管路耐震化
緊急貯水槽設置
その他
老朽管更新
管路整備
設備更新等
- 26 -
平成 平成 平成 平成 平成
30
31
32
33
34
平成 平成 平成
35
36
37
平成
38
富
士市
市水
水道
道事
事業
業基
基本
本計
計画
画
富士
6.2 フォローアップ
「富士市水道事業基本計画」では、水道事業を取り巻く環境や社会的ニーズを把握した上で、現
状と将来見通しを分析・評価し、
“安全でおいしい水の安定供給”を基本理念として、今後 15 年間
にわたる事業の方向性と、それに基づく具体的な施策を示しました。
施策の推進は、財政の将来見通しに基づき策定された事業計画に沿って着実に実施していきます。
事業運営面では、民間企業への業務委託による経営の効率化、職員の技術向上による経営基盤の強
化を軸に、お客様サービスの向上に努めていきます。
本計画策定後 3~5年が経過した時点で、施策の効果や目標の達成度を評価し(フォローアップ)、
評価を行う時点での社会情勢や市民ニーズに適応した、より実行性の高い計画となるように改善、
軌道修正を行っていきます。(※ PDCA サイクルの実施)
事業の実施効果は、業務指標(PI)に基づいて分析し、施設の状況や業務効率、サービス水準、
経営状況等がどのように変化・改善しているかを評価します。
見直し・改善:Action
計画の策定:Plan
・目標の設定
・新たなニーズの把握
・改善策の立案
PDCAサイクル
≪持続≫
事業の推進:Do
達成状況の確認・評価:Check
・進捗状況の管理、運営
・事業内容の評価
・計画の実施
【 PDCA サイクルによる水道事業評価 】
【 用語解説 】
○業務指標(PI)
水道事業ガイドラインは、全国の水道事業者を対象とし、水道事業のサービス内容を共通指標によ
って数値化する国内規格として、2005 年 1 月に(社)日本水道協会規格(JWWA Q 100)として
制定されたものである。
- 27 -
富士市水道事業基本計画
平成23 年 3 月
富士市水道事業
TEL 0545-55-2843〔水道管理課〕
〒417-0047
- 28 -
富士市青島町191
Fly UP