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ネットで外国語を 「読む」「話す」「書く」

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ネットで外国語を 「読む」「話す」「書く」
特集 2
勉強不要、Web サービスやアプリを活用
ネットで外国語を
「読む」
「話す」
「書く」
仕事や趣味、旅行などで外国語に触れる機会は多い。だが、英語
のような比較的なじみのある言語であっても、読み書きや会話に
戸惑うことは少なくない。なじみのない言語ならなおさらだ。何
とかしたいとは思うものの、外国語を習得するのは容易ではない。
しかし、心配ご無用。ネットの力を借りれば、勉強しなくても、
「読
む」
「話す」
「書く」はある程度こなせる。
(勝村 幸博)
スマートフォンで動作する翻訳ア
●大手の翻訳サイトは数十言語に対応
プリもある。アプリなら、翻訳の場
Google 翻訳
図 3 翻訳サイトの利用例。
左の「Google 翻訳 」は 70
言 語 以 上 、 下 の「 B i n g
Translator」は 40 言語以上
に対応。後者は、SF 番組に
登場する架空の言語「クリン
ゴン語」にも対応している
所を選ばない。例えば、看板や店の
メニューなどをカメラで撮影して、
翻訳することができる(図 4 右)
。
音声の翻訳も可能だ。スマートフ
ォンのマイクに日本語で話しかける
と、目的の言語に翻訳して画面に表
Bing Translator
示するとともに、音声でも出力でき
る(図 4 左)
。
外国語を書く際にも、Web サービ
「外国語を勉強しておけばよかっ
だけでも便利だ(図1)
。
メールやソーシャルネットワーキ
スは有用だ。読むときと同様に翻訳
た」──そう思ったことのある人は
海外旅行に行ったときはもちろん、
ングサービス(SNS)の普及で、海外
サイトが役に立つ。検索サイトも、
少なくないはずだ。例えば、知りた
国内でも、外国の人と話す機会は少
の人と文章でやり取りする機会も増
自分で書いた外国語の精度を確認し
い情報が外国語の Web ページにし
なくない。そのようなとき、片言で
えた。
たり、別の表現を調べたりするのに
かないことがある。看板やメニュー
も会話ができればコミュニケーショ
とはいえ、外国語を習得すること
使える。
などに書かれている外国語を読める
ンは深まる。
は難しい。多くの人は身をもって知
翻訳サイト自体は新しいものでは
っている。時間がかかるし、努力も
ない。10 年以上前から存在する。だ
必要だ。
が、近年では対応言語が増え、精度
サービスやアプリが翻訳
も確実に向上しているといえるだろ
だが、IT の進歩が状況を大きく
印象を持った人も、改めて試してみ
変えている。時間をかけて勉強しな
ることをお勧めする。
くても、ある程度なら外国語の「読
む」
「話す」
「書く」が可能になってい
ビジネス用途は難しい
る。外国語を翻訳するための Web
とはいえ、 過度の期待は禁物だ
サービスやアプリが提供されている
(図 5)
。外国語を日本語に翻訳する
●「外国語ができれば」と思う機会は多い
外国語を「読む」
⃝ Web サイトに書かれた外国語を読みたい
⃝外国の人が発信する SNS を読みたい
⃝外国語のメニューや看板を読みたい
外国語を「話す」
Hello
外国語を「書く」
⃝外国語で簡単な
文章を書きたい
⃝外国語で簡単な
会話をしたい
⃝自分が書いた外
国語をチェック
したい
⃝外国語で電話し
たい
場合、
「ニュース記事のように事実を
例えば、翻訳サイトや SNS の翻訳
伝えるような文章なら、比較的長い
機能、翻訳アプリを使えば、外国語
文章であっても、翻訳精度は高い」
の内容もおおむね分かる。
●Webサービスやスマホアプリを活用する
近年の翻訳サイトの特徴は、対応
読む
話す
書く
48
日経パソコン 2013.7.8
翻訳サイト
SNS の翻訳機能
翻訳アプリ
検索サイト
図 2 外国語の読み書きや
会話に使える Web サービ
スとアプリの種類。翻訳サ
イトや検索サイトはもちろ
ん、翻訳アプリの多くは無
料で利用できる
図 4 スマートフォンアプリ「Google
翻訳 」の画面例。 左が iOS 版、 右が
Android 版。 日本語で話した文章を
外国語に翻訳して、音声で出力可能。
Android 版では、 看板などをカメラ
で撮影して、日本語に翻訳することも
できる
う。以前試して「使えない」という
からだ(図 2)
。
図 1 外国語に触れる機会の例。ネットユーザーや海外旅行に行く人なら、外国語を読んだり、話し
たり、書いたりしたいと思う機会は多いだろう
●スマホアプリが「通訳」になる
●過度の期待は禁物、
「レベル感」に注意
「読む」
「話す」
図 5 機械翻訳(翻訳サイトや翻
訳アプリ)のレベル感。過度の期
待は禁物。簡潔な文章や一般的な
単語なら、意味を取れることが多
いが、長い文章や複雑な文章は、
適切に訳せないことが多い
「書く」
(外国語→日本語)
(日本語→外国語)
(日本語→外国語)
⃝長い文章でも、大体の
意味はつかめる
⃝専 門用語が多い文章や
複雑な文章は難しい
⃝単 語や定型の短い会話
なら精度は高い
⃝長 い会話になると正確
な翻訳は難しい
⃝単語や簡潔な文章なら
精度は高い
⃝長い文章や、自分になじ
みのない言語は難しい
は高いが、日本語とヨーロッパ言語
多い。単語や簡潔な文章なら翻訳サ
マネージャの賀沢秀人氏)ものの、
では精度が落ちるという。一方、日
イトでも十分だが、ビジネス文書な
言語が多いこと。米グーグルが提供
文芸作品などは難しいという。
本語と韓国語は語順が似ているため、
どになると、コンピューターで翻訳
する「Google 翻訳」は 70 言語以上、
「どの言語をどの言語に翻訳する
精度が高い。
する「機械翻訳」は実用的とは言え
米マイクロソフトが提供する「Bing
かによっても、精度は大きく異なる」
翻訳アプリについても、単語や挨
ない。
「書く」については、単語の翻
(グーグル シニア エンジニアリング
Translator」は 40 言語以上に対応し
(賀沢氏)
。語順(文法)が似ている
拶などについては、はっきりと発音
訳や下訳作り、自分が訳した文章の
ている(図 3)
。ちなみに後者では、
言語同士なら精度は高いが、異なる
すれば、ほぼ正確に翻訳されるが、
確認などに使おう。
SF 番組「スタートレック」に登場す
言語同士では難しくなる。
長い文章になると精度が落ちる。
以下、IT を活用した「読む」
「話
る架空の言語「クリンゴン語」にま
例えば、フランス語や英語といっ
日本語の文章を外国語に翻訳する
す」
「書く」の実現方法と、その勘所
で対応している。
たヨーロッパ言語同士なら翻訳精度
場合も、期待通りにいかないことが
を紹介する。
日経パソコン 2013.7.8
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