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7 当期の生産における財別低下要因について 12年の鉱工業生産は上昇
当期の生産における財別低下要因について 12年の鉱工業生産は上昇傾向で推移したものの、足下である10∼12月期の生 産動向をみると、前期比 0.4%と小幅な上昇にとどまるなど、これまでよりも緩やかな 上昇となっている。特に、このところ比較的高水準で推移してきた生産財及び耐久消 費財が低下に転じている(それぞれ前期比▲0.4%、同▲1.7%)ことから、鉱工業生 産全体の減速が懸念されている。そこで、両財における低下要因について、その理 由を探ってみよう。 まず、生産財における当期の低下寄与品目をみると(第Ⅰ−1−5表)、既述のとお り変成器、蒸気タービン部品等が上位に入ってきており、上位5品目のうち4品目が情 報化関連品目であることがわかる。これらの品目は第Ⅰ−1−2表にもあるとおり、12 年の鉱工業生産において牽引役であったものである。特に低下寄与の第1位である 変成器及び、第4位の固定コンデンサにおいては9期ぶりの減少であり、絶好調で あった品目にも生産の減速が表われてきている。なお、蒸気タービン部品は景気へ の感応度が相対的に鈍く、数値が大きく振れる傾向があることから、特殊な要因と考 えることが出来る。 第Ⅰ−1−5表 生産財の低下に寄与した品目(平成12年10∼12月期) 寄与度 (%point) -0.065 -0.056 -0.049 -0.047 -0.038 -0.033 -0.030 -0.022 -0.022 -0.021 生産財 前期比(%) 減少品目名 00/Ⅰ 00/Ⅱ 00/Ⅲ 00/Ⅳ 変成器 16.9 12.7 4.2 -5.5 蒸気タービン部品 -21.9 3.9 14.7 -39.7 リチウムイオン蓄電池 -5.6 18.3 3.1 -7.6 固定コンデンサ 8.7 4.2 4.9 -3.7 アルカリ蓄電池 7.7 4.4 -6.6 -9.9 コンピュータ関連用ブラウン管 -5.9 23.6 -3.7 -18.7 ポリエチレン -0.4 -6.4 10.1 -8.7 モス形半導体集積回路(記憶素子) -4.4 15.9 4.4 -1.9 印刷用紙(非塗工類) -1.5 -0.9 3.0 -5.9 ポリスチレン 3.8 -6.2 8.9 -8.0 主な減少要因 9期ぶり 3期ぶり 3期ぶり 9期ぶり 2期連続 2期連続 2期ぶり 3期ぶり 2期ぶり 2期ぶり 携帯電話向け受注減 国内向けに奮わず 携帯電話(国内、欧州・東南アジア)向け受注減 携帯電話向け受注減 携帯電話向け(欧州・北米)受注減 海外への生産移管、液晶へのシフト 定期修理による生産減 市況の軟化による生産調整 需要弱含みによる生産調整、ライン切り替え等 定期修理による生産減、原料のスチレンモノマーのまま輸出傾向有 (注)寄与度は当期における鉱工業生産の前期比 0.4 %に対するもの 当該情報化関連品目の低下要因を探ってみると、輸出の減少に加え、携帯電話 の新製品生産への端境期による生産調整や、夏以降のパソコン販売台数の減速が 影響している。携帯電話向けについては、13年の新機種生産に伴い再び増加に転 じる可能性を示唆する一方、パソコン向けについては米国経済の減速を主因とした 輸出の減少も要因として存在することから、生産財の先行きは不透明である。 次に、耐久消費財における当期の低下寄与品目をみると(第Ⅰ−1−6表)、セパ レート形エアコン、軽乗用車の寄与が特に大きくなっている。軽乗用車に関しては、 平成12年低排出ガス規制車への切り替えにより、10∼11月に生産調整を行ったこと が当期の減少に影響しているが、依然として高水準であることや12月は増加に転じ ていることなどから当面は堅調に推移すると思われる。一方、セパレート形エアコンや 7 電気冷蔵庫は、コスト削減のため在庫圧縮による生産調整を実施しており、当面生産 の抑制が続くものと思われる。また、輸入の増加とともに生産が減少傾向にある品目も 見受けられ、輸入代替による更なる生産縮小の可能性もある。しかしながら、当該財 における減少品目の上位には、生産財のように12年の牽引役が減少に転じたものは あまり見受けられず、逆にパーソナルコンピュータや普通乗用車といった12年の牽引 役である品目は、当期も上昇寄与の上位に位置するなど堅調な動きを示している。な お、パソコンの販売動向は12年初と比較して勢いが弱まりつつあることから、今後の 動向を注視する必要がある。 第Ⅰ−1−6表 耐久消費財の低下に寄与した品目(平成12年10∼12月期) 寄与度 (%point) -0.097 -0.076 -0.042 -0.023 -0.018 耐久消費財 減少品目名 セパレート形エアコン 軽乗用車 電気冷蔵庫 コードレスホン デジタルオーディオディスクプレーヤ 前期比(%) 00/Ⅰ 00/Ⅱ 00/Ⅲ 00/Ⅳ 20.3 7.7 -3.6 -23.9 -3.4 3.7 8.5 -14.9 -1.9 2.8 5.1 -15.5 -1.8 4.4 6.6 -19.3 0.8 -0.8 8.5 -11.0 主な減少要因 2期連続 3期ぶり 3期ぶり 3期ぶり 2期ぶり 長期的な在庫縮減のため生産調整 新車種への切り替えによる生産減 10月に新機種が出たものの、在庫積み上がり気味による生産調整 (注)寄与度は当期における鉱工業生産の前期比 0.4 %に対するもの 8