28ページ - 熊本市ホームページ

漱石とくまもと
〈19〉
『草枕』
『二百十日』
の旅
明治32（1899）年9月、同僚の山川信次郎は、第一高等学校へ転
任が決まります。山川は明治30（1897）年4月、漱石の紹介で五高
お あま
に赴任し、英語科の教授として漱石と共に尽力した人ですが、小天
温泉、阿蘇への旅行に同行した人でもあります。
これらの旅行が素
▲前田家別邸
（漱石が泊まった部屋）
材となって、のちに『草枕』
『二百十日』
という作品ができました。
阿蘇登山旅行は、山川との最後の旅行となりました。明治32
小天温泉は旧小天村湯ノ浦地区（現玉名市天水町小天）にあった
か
が し
温泉で、前田案山子の別邸でした。漱石は熊本での最初のお正月、 （1899）年8月末から9月にかけて3泊4日の旅です。その時作った
と した
うち の まき
俳句が30句ほどあります。それによると戸下温泉、内牧温泉に宿泊
年始客の多さに懲りて、正月は留守を決め込んだのでした。その最
し、阿蘇神社を参拝したあと阿蘇登山に向かいました。
しかし、火口
初の旅行が小天温泉でした。明治30（1897）年の暮れ、山川と連れ
すすき
とり ごえ
の いで
はら
まであと少しのところで道に迷い、薄の原をさまよい、やっとのこと
だって、金峰山の麓の道を上り、鳥越、野出の二つの峠を越えておよ
で立野の馬車宿にたどり着いたようです。
そ22、3キロの道を歩いて行きました。漱石たちはこの宿で年を越
前年、阿蘇には新たな噴火口ができ、2本の煙が立ち上っていま
します。
「小天に春を迎へて」
という前書きのある句があります。
あか
こ　ぞ
なめら
した。阿蘇山の活動が非常に活発な時期でした。
この旅から帰った
温泉や水滑かに去年の垢
山川はすぐに、第一高等学校赴任のため、東京へ出発しました。
この
漱石たちが泊まったのは別邸の離れで、2階の6畳間でした。現在
山川との別れは、漱石に寂しさをもたらしました。
は、
この離れも漱石が入浴した浴室も修復され、
「前田家別邸」
とし
『二百十日』
（『中央公論』明39・10）には、
この時の漱石の体験が
て公開されています。
ろく
描かれています。圭さんと碌さんという2人の青年の軽妙な会話に
明治39（1906）年9月『新小説』に発表された『草枕』には不思議
し ほ だ
な み
よる短編小説は、
これまでの日本の文壇にはない新しい小説でし
な言動をする志保田 那美が描かれましたが、案山子の次女ツナ
（卓
のどか
た。
子）がモデルと言われています。小天の長閑な風景だけでなく、温泉
とり い そ せん
朝日新聞社の鳥居素川は『草枕』に感心し、漱石を朝日新聞社へ
でのさまざまな体験が作品に生かされています。
招こうと交渉が始まります。漱石はやがて新聞社に入ることを決意
漱石は明治33（1900）年7月、英国留学のために熊本を離れま
か の う こう きち
します。
『草枕』は、漱石が専業作家へ転身するきっかけとなった作
す。ロンドンから狩野亨吉、山川信次郎など4人に宛てた手紙で
「帰
など
品です。
つたらだれかと日本流の旅行がしてみたい小天行抔を思ひだす
よ」
（明34・2・9付）
と書いていますが、漱石の心に深く刻まれた旅
（くまもと漱石倶楽部会員・熊本大学五高記念館客員准教授　村田 由美）
でした。
※左上のイラストは夏目漱石記念年イメージキャラクターです。
「草枕」国際俳句大会一般部門大賞作品紹介
大　賞
（一般部門）
眼下には、冬は
（文化振興課　☎096-328-2039） あふれるような太陽の光と果実のいのちを包み込む袋掛。
鯨もやってくるいのちの海が青々とひろがる。ふっくら丸々とした果実と鯨
の相似形。両者のとりあわせが、大胆で楽しい。生活実感と光あふれる、いか
（愛知県名古屋市　大矢 節子さん） にも夏らしい生命賛歌である。
鯨くる　海を真下に　袋掛
流通情報会館
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番 号 を ファ ク ス（ 0 9 6 - 3 5 9 - 9 3 0 0 ）か K A B ホ ーム ペ ー ジ
（https://www.kab.co.jp/）でKABイベント
（☎096-359-9051）へ
熊本市コールセンター
休日在宅当番医、
イベント情報、区の窓口 午前8時～午後9時（年中無休）
業務など、いつでもお尋ねください
さ あ みんな 知ってる ひ ご
ま
る
ひごまるコール ☎ 096-334-1500
FAX 096-370-2002
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1500＠higomaru-call.jp
検　索
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配布に関するお問い合わせ
市政だより配布センター
☎
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