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昨年度、日本の輸入相手国として中国が アメリカを抜いて初めてトップに
昨年度、日本の輸入相手国として中国が アメリカを抜いて初めてトップになりまし た。両国の経済的な結びつきが強まる中、 「もの」の往来を支える物流の重要性は益々 大きくなっています。今回は外資系物流会 社としていち早く大連に進出された株式会 社ジェネック(旧:北九州運輸株式会社)の 西嶋首席代表に、大連の印象などお伺い致 しました。同社は、昨年10月に社名を改め るとともに、海外での事業展開を積極的に 推進していらっしゃいます。 大連進出企業 Q:大連進出の経緯についてお聞かせ下さい。 A:ご存知のように大連市と北九州市は1979年に友好都市の締結を行いましたが、 その6年後に大連港と北九州港が友好港の締結を行いました。その際に北九州市 から大連に進出しないかとの声を掛けて頂いたのが直接のきっかけでした。当社 としても長期ビジョンとして海外への展開を模索しておりましたし、地理的な利 便性も考慮した結果進出を決定いたしました。1986年に中方企業との間に合作 会社を設立したのが始まりです。当時としては大連における外国資本の入った物 流企業の第一号でした。その後1992年には北九州運輸大連事務所を開設しコン テナの海上輸送にも本格的に取り組むことになりました。 Q:現況等についてお聞かせ下さい。 A:業務としましては、合作会社(大連友諠貨櫃集散有限公司)で通関業務、国際貨 運代理、コンテナデポ、倉庫保管、陸上輸送などを行っています。また、㈱ジェ ネックでは大連と福岡を結ぶコンテナ専 用船の定期航路を運営しております。こ の航路はアカシアの花で有名な大連にち なんで「アカシアライン」と名付け、 2000年に開設いたしました。現在は青島 →大連→福岡→北九州の順で週1回往復 しています。お陰様で昨年度のコンテナ 取扱量はアカシアラインと合作会社を合 わせて約3万TEU(20フィートコンテナ 西嶋首席代表 換算で3万コンテナ)に達しこちらも順調 ● 4● に伸びております。 従業員数は合作会社、大連事務 所を合わせて80名、内訳は日本 人4名、ローカルスタッフ76名 で業務を担当しております。 Q:業務でご苦労されたことは? A:やはり人事管理でしょうか。以前 大連市内に設置されたオペレーションセンター コンテナ搬送状況等のチェックを行う は国営企業体質と言いますか、と にかく仕事に対する誠意や責任感の欠如など、意識のギャップが大きく、これを 一つ一つ改めて行くのに大変苦労いたしました。ただ、最近の若い人たちを見て いると皆さん大変勤勉で、労働意欲も高く日本と遜色ありません。 Q:大連における業界(物流)事情はいかがですか。 A:中国の経済成長と共に取扱量は年々順調に増加しています。ただし、大連の物流 業界でも1990年代中頃から外資企業の進出が増え、又、中国企業も実力を付け てきたこともあり同業者間の価格競争は一段と激しくなっています。 Q:首席代表ご自身の大連の印象、大連での生活はいかがですか。 A:大連の印象としてまず言えることはとにかく親日的であると言うことです。これ は我々日本人にとって大変有り難いことではないかと思います。 生活面では、ここ数年でインフラなどが急速に整備されたこともあり特に不自 由は感じません。大連は三方海に囲まれ、我々日本人には馴染みやすい町です。 又、新鮮な魚、野菜がふんだんに有り、今では町のあちこちに美味しい日本食の 店が出来ており食事にも困りません。あえて難点をあげるとすれば冬の11月 から3月までゴルフか出来ないことくらいでしょうか。私としましてはこの間は 読書などして余暇を有効に使うよう心がけています。晴耕雨読ならぬ暖打寒読と でも申しましょうか。 (笑) Q:今後の事業展開についてお聞かせ下さい。 A:大きく分けて3つあります。まずはアカシアライン(国際海上輸送)の強化です。 現在は大連、青島と北九州、福岡を結ぶ週一便のみですが、これに本年2月より 関西定期航路、そして4月から関東定期航路を増設します。具体的には青島→大 連→神戸→大阪、大連→名古屋→横浜→東京の2航路をそれぞれ週1便新設しま す。使用する船も新たに3隻投入し計4隻態勢にする予定です。又、これに合わ せて㈱ジェネック独資の現地法人を立ち上げる予定です。今後は更に営業体制を 強化し、新規の需要を積極的に掘り起こして行く方針です。 第二が航空貨物代理業務への進出です。既に1級ライセンス(中国全土で取扱 可能)の政府認可を終え、合作会社内に航空代理部を立ち上げました。これまで の陸運、海運に航空貨物が加わることで、国際複合一環輸送の幅広いサービスが ● 5● 開発区内にある物流センター。 36,000㎡の敷地内では商品 の保管管理、検品等、顧客の あらゆる物流ニーズに対応 する。 提供出来るようになると思います。 最後が中国国内での物流ネットワークの構築です。現在の大連を拠点としてそ の背後の遼寧省、さらには吉林、黒竜江省を加えた東北3省にネットワークを広 げ、日本企業の中国シフトによる物流需要の増加に積極的に対応していきたいと 考えてます。 当社が大連に進出して早16年になりますが、その間に培ったノウハウを今後 様々な形で業務に生かして行きたいと考えております。中国進出、中国ビジネス を検討されている方がいらっしゃいましたら、物流業務に限らずお気軽に声をお 掛け下さい。お役に立てることがございましたら是非ご協力させて頂きたいと思 っております。 Q:中国ビジネスに対するアドバイスをお願いします。 A:中国ビジネスで強く感じるのは個人対個人の信頼関係が不可欠だと言うことで す。会社間の取引においても最後は担当者同士、あるいは代表者同士の個人的な 信頼関係が大きくものを言い、非常に人間臭い部分が重視されると言うことです。 また、こう言った関係を築く努力が大切だと感じます。 《会社概要》 ■ 株式会社ジェネック大連事務所・アカシア ライン 取締役首席代表 西嶋 日出男 大連市中山区港湾街7号遼寧時代大厦 1705 A・1708室 TEL 0411 (279) 8757 FAX 0411 (279) 8756 ■ 大連友諠貨櫃集散有限公司(合作会社) 董事 総 経 理 西嶋 日出男 大連市開発区振鵬工業城南側路 TEL 0411 (279) 8725 FAX 0411 (279) 8731 インタビューを終えて お話をお伺い致しました西嶋首席代表は普段同様、今回のインタビューも非常にソ フトな語り口で応じて頂きました。ただ、お話しされるお言葉の中には、これま で16年間中国でビジネスを手掛けてきた自負と今後の業務推進に対する強い意欲を 感じました。これからの益々の発展と西嶋首席代表のご活躍を祈念申し上げます。 ● 6●