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博物館教育論
博物館教育論 Lec04 博物館の学び 博物館教育論 資料と学芸員による学び 第4講 博物館を利用した学び ■実物資料による学び:能動 的学び 博物館に展示されている実物資料 をみることで自ら学ぶ ■学芸員による学び:受動的 学び 小出良幸 学芸員と資料を通じて学ぶ 連絡 [email protected] 博物館教育論 Lec04:1 今日の概要:博物館を利用した学び 博物館の特徴を活かした学び がある ■資料を用いた学び 実物資料を用いた学びとはど のようなものか 資料を用いた学び:能動的 深まる学び ■博物館の学び 博物館教育論 Lec04:4 ■学芸員からの学び 学習者自身による行動 ■1:実物をみる 学びの導入として展示を見る ■2:実物からの学び 付随する情報から学びへ ■3:学びから実物へ 博物館の学芸員からの学びと はどのようなものか 再度実物をよく見る 博物館教育論 Lec04:2 博物館の特徴 博物館教育論 Lec04:5 学芸員からの学び:受動的 博物館には膨大な実物資料が 収集、保管、展示されている ■学芸員 実物資料にかんする調査研究 をしている専門家がいる 博物館教育論 Lec04:3 深まる学び 資料と学芸員 ■実物資料 ■1:実物の紹介 学びの導入として実物を紹介する ■2:実物の知識、研究成果の伝 達 実物の持つ意味を学芸員から伝える ■3:学びの活用 学びを深めたり、活用したりする場や機会 を提供する 循環へ →博物館ボランティアへ(次回紹介) →市民教育への協力・参加 博物館教育論 Lec04:6 1 博物館教育論 Lec04 学芸員からの学び 展示される資料 博物館 実物 学芸員 展示されている資料は、 博物館ボランティア 今日のテーマ この循環を 繰り返す 市民 ・代表的資料 ・象徴的資料 ・歴史的意義のある資料 ・見栄えのする資料 などを用いて、展示テーマにそっ たもので構成される。 老若男女 博物館教育論 Lec04:7 博物館教育論 Lec04:10 資料を用いた学び:能動的 展示される資料 深まる学び 学習者自身の行動 ■1:実物をみる 展示テーマを象徴的に示す資料 ■2:実物からの学び 学びの循環へ ■3:学びから実物へ 海・陸・空 神奈川県立生命の星・地球博物館 地球と科学の進歩 大英自然史博物館 博物館教育論 Lec04:8 博物館教育論 Lec04:11 ■1:実物をみる 展示される資料 実物・本物をみること 歴史的意義のある資料 ↓ 五感で感じる 間接的情報(書物、言葉、画 像、映像など)からは得られ ない貴重な体験 デボン紀の石灰岩を用いたテーブル 大英自然史博物館 世界最大のダイヤモンド・カリナン (レプリカ) 神奈川県立生命の星・地球博物館 博物館教育論 Lec04:9 博物館教育論 Lec04:12 2 博物館教育論 Lec04 資料を用いた学び:実物 収集される資料 博物館の資料 展示室で示されるもの。展 示室にはあるものは、ほん の一部で、博物館の資料の 大部分が収蔵庫に。 展示以外の活用法もある。 資料の収集にあたっては、収集計画、専 門家の鑑定、検討会の評価をへて、正式 に購入が決定される。1億円を超えるも のは議会承認が必要となる。 資料集委員会に提出された購入予定の資料 博物館教育論 Lec04:13 博物館の資料 神奈川県立生命の星・地球博物館 博物館教育論 Lec04:16 収集される資料 資料は、大量にぎっしりとつめて収納 脊椎動物の進化を説明する化石が系 統的に集められた 昆虫標本 神奈川県立 生命の星・地球博物館 収蔵庫の見学会 神奈川県立 生命の星・地球博物館 博物館教育論 Lec04:14 収集される資料 収集される資料 人類の資産として資料は収集さ れ続ける アメジスト レインボーアンモナイト 神奈川県立生命の星・地球博物館 博物館教育論 Lec04:17 恐竜の特別展示のために化石(頭骨)が 系統的に集められた カリナン・ダイヤモンド (レプリカ) 博物館教育論 Lec04:15 博物館教育論 Lec04:18 3 博物館教育論 Lec04 ■2:実物からの学び 収蔵された資料 永久保存 導入として 特に重要資料は永久保存さ れる。 実物はインパクトがある →実物を導入として、関連 する知識の学びへ →興味がわけば、展示ラベ ル、資料解説などを読む。 例:タイプ標本、絵画・陶芸など 唯一の芸術作品、絶滅種などの存 在記録、生物などの経年記録とし て、種の記録として 博物館教育論 Lec04:19 収蔵される資料 資料を用いた学び 大部分は収蔵庫に保管 公立の博物館の資料は税金によって購 入されているので、公有財産として登 録されているので壊れたり破損しない 限り廃棄されることはない。 収蔵庫 大英自然史博物館 博物館教育論 Lec04:22 学びの導入として 展示(常設展、特別展、企画 展)以外にも、 ・貸し出し:他の関連施設で の利用(特別展) ・学校で利用:ローンキット などで利用可能とされている。 博物館教育論 Lec04:20 収蔵される資料 博物館教育論 Lec04:23 博物館の資料 ローンキット コレクション 系統的に収集された資料(死後寄贈され ることも多い) 個人コレクション 貸出用資料セット 大英自然史博物館 櫻井コレクション:日本鉱物コレクション 鹿間コレクション:研究者の貝コレクション 丹波コレクション:浮世絵の世界的コレクション デュポン・コレクション:個人の隕石コレクション 博物館コレクション 隕石コレクション:国立極地研究所の南極隕石の世界 最大のコレクション 生物の進化・仕組み(模型と実物標本) 博物館教育論 Lec04:21 ヒトの進化(頭骨模型) 博物館教育論 Lec04:24 4 博物館教育論 Lec04 ■3:学びから実物へ 資料を用いた学びの特徴 長所 より深い理解へ 情報を得て、再度実物をよ く見る。 学びの体系化や確認ができ、 より深い理解となる。 ・自発的学びであるので、興味が湧けば、 いくらでも深く学べる ・1つの博物館にこだわることなく、どこ でも学べる ・年齢や知識など制約なく、だれでもでも 学べる 短所 ・途中でやめてしまうことが多い ・体系的な学びに繋がりにくい ・学習内容に限界がある 博物館教育論 Lec04:25 学びの循環へ 博物館教育論 Lec04:28 学芸員からの学び:受動的 ・学びの確認→体系化 ・実物の持つ重要性や価値 を深く理解 ↓学びの循環へ 自分の学びの成果を活 かす 重要 ■1:実物の紹介 ■2:実物の知識、研究成果 ■3:学びの活用 循環へ →博物館ボランティアへ(次回紹介) →市民教育への協力・参加 博物館教育論 Lec04:26 資料を用いた学び この循環を繰り返す 重要 博物館教育論 Lec04:29 学芸員からの学び 実物 ↓五感 学び ↓情報 実物へ 資料を通じた学びに学芸 員が関わるために、 学芸員のもつべき資質 ■実物に関する知識 ■実物を扱う能力・スキル 博物館教育論 Lec04:27 博物館教育論 Lec04:30 5 博物館教育論 Lec04 学芸員に必要なもの 学芸員の能力の利用 ・調査研究 研究者として資料に関する研 究能力と知識 ・資料収集、保管、展示 資料の管理者、活用者として 資料を扱うための能力と知識 例 ・講師:観察会、見学会、巡検、 講演会、教員研修講師など →ワークシートの活用 ・出前授業:学校教育へのかか わり ・スキル伝達:後継者育成 博物館教育論 Lec04:31 博物館教育論 Lec04:34 ■1:実物の紹介 資料の管理者、活用者 例 ・展示説明、解説する:資料ラベル、 展示パネル ・展示解説書の作成する:特別展、 企画展の説明 ・解説書、ガイドブックの作成す る:専門知識の普及 ・リファレンス対応:質問、取材へ の対応 などがある。 学芸員は実物の紹介者と して役割を果たす。 博物館のもつ実物を直接 体験して学ぶ手助けをす る。 博物館教育論 Lec04:32 学芸員の能力の利用 博物館教育論 Lec04:35 資料を用いた学び:実物 学芸員は、実物資料に関する ・調査研究の能力 ・収集、保存、修復、展示な どの能力 →その能力と知識を教育に活 用 博物館教育論 Lec04:33 資料解説の体験 博物館の資料を用いた解 説を、それぞれで体験し てもらいます。 (後半の講義で) 博物館教育論 Lec04:36 6 博物館教育論 Lec04 実物の紹介 実物の知識、研究成果 解説書、ガイドブック作成 展示説明 ・展示のラベルや説明文、解説パネルの作成 ・実物の前での説明 ・資料に関する解説書 ・地域の解説書 ・調査研究に基づく成果の解説書 博物館教育論 Lec04:37 ■2:実物の知識、研究成果 体験的学びを導入にして、よ り体系的で、高度な、そして 最新の学びへと深めていく。 博物館教育論 Lec04:40 実物の知識、研究成果 リファレンス ・市民・組織からの質問や鑑定依頼への対応 ・メディアからの取材 ・各種問い合わせへの回答 夏休み終了直前の資料鑑定会などは、多くの子供、家族が参加する 博物館教育論 Lec04:38 実物の知識、研究成果 博物館教育論 Lec04:41 実物の知識、研究成果 講師 展示解説書の作成 ・常設展の解説書 ・特別展や企画展などの展示解説書 専門性を観察会、見学会、巡検、講演 会・・・などの講師として解説する 博物館教育論 Lec04:39 博物館教育論 Lec04:42 7 博物館教育論 Lec04 ■3:学びの活用 実物の知識、研究成果 学芸員の教育の場において 学芸員からの学びを経た市民 が、その学びを更に深めたり、 活用するために、博物館を活 動場として提供する。 資料に関する整理・補修、展 示や解説、調査研究をするた めの技術やスキルをも身につ けていく。 ワークシートの活用 博物館教育論 Lec04:43 実物の知識、研究成果 博物館教育論 Lec04:46 学びの活用 スキル伝達 ワークシートの体験 博物館や野外を対象にした ワークシートの企画、作成、 運用を講義後半で、それぞ れで体験してもらいます。 博物館業務(展示、解説、資料整理)や資 料にかんする調査研究などの専門性の高い 技術の指導 博物館教育論 Lec04:44 実物の知識、研究成果 博物館教育論 Lec04:47 学び循環 出前授業 学校や市民講座へ出向いてある目的の授業を 行う(数時間分の授業をすることがある) 1:実物の紹介 2:実物の知識、研究成果 3:学びの活用 重要 循環 →博物館ボランティアへ →市民教育への協力・参加 博物館教育論 Lec04:45 博物館教育論 Lec04:48 8 博物館教育論 Lec04 学芸員からの学び 博物館 実物 学芸員 博物館ボランティア この循環を 繰り返す 市民 老若男女 重要 博物館教育論 Lec04:49 学芸員からの学びの特徴 長所 ・学びの目標を達成しやすい ・深い体系的な学びになる ・先端の成果、収蔵庫や実験室なの博物館 機能をすべて利用できる 短所 ・ひとつの博物館につながると他の博物館 や施設との関係を生みにくい ・学びがノルマ的になり自発性が消えるこ とがある ・自分の興味と学芸員の能力に違いがある と目的を達成できない 博物館教育論 Lec04:50 今日のまとめ ■博物館の学び 実物資料と学芸員からの学びがある ■資料を用いた学び 実物→学び→実物、そしてその循環へ ■学芸員からの学び 実物の紹介→実物の知識・研究紹介→ 学びの活用、そして循環へ 博物館教育論 Lec04:51 9