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今、私にできること 糸魚川市立能生中学校三年 早津 美賢 私の将来の夢は
今、私にできること 糸魚川市立能生中学校三年 早津 美賢 私の将来の夢は、特別支援学校の先生になることです。先生になりたいという中学生は 多いでしょう。でも、その中でも、特に特別支援学校の先生になりたいという人は、多く はないのではないでしょうか。実際、同年代の友達に私の夢を言うと、 「なんで特別支援学 校の先生になりたいの?普通の学校の先生でもいいと思うけど…大変なんじゃないの?」 と言われます。なぜ、そう思うのでしょうか。 私の父は右半身に障害があります。父は私が二歳のとき、突然倒れました。緊急手術を して命は助かりましたが、右半身全体にマヒが残ってしまいました。その時、私は幼かっ たので何が起きたか分からず、呆然としていました。救急車で運ばれ、家族の応答にも答 えない父の姿は、今でもはっきりと覚えています。 みなさんは小学校の行事に親が来てくれたという経験があるでしょう。でも私には、そ んな記憶はほとんどありません。楽しみにしていた運動会や授業参観も、父はリハビリ、 母は介護の勉強と仕事で忙しく、来てくれることはあまりありませんでした。家族でどこ かに出かけたこともないし、ましてや、小さいころ父と遊んだ記憶もありません。小3の 時に、友達が家族旅行に行ったという話を聞いて、友達は家族で出かけるのに、なぜ私は 行けないのだろうといらだちを感じました。そんな気持ちを、祖母にぶつけたこともあり ます。「なぜ、父さんは体が不自由なの」と。祖母は優しく、「お父さんは好きで不自由に なったのではないの。なったものは仕方ないよ。」となぐさめてくれました。私は父に申し 訳ない気持ちになったと同時に、人の心を思いやれない恥ずかしさを感じました。そのこ ろからだったと思います。私にできることはないのだろうか、ということを考えるように なったのは…。 私が登下校でバスを利用するとき、障害のある人たちが乗ってきます。この地域には障 害のある人が働く場所があるので、その人達もバスに乗ってきます。いたって普通の光景 なのに、バスに乗っているほかの人たちの中には遠目で見たり、時には嗤っていたりする 人もいます。私は、これではいけないと思うのです。手助けを必要とする人を見て、 「面倒」 「手間がかかる」と思う人もいますが、そういう人とかかわると、いろいろなことに気づ くことができます。私は地域の老人ホームへ行くことがありますが、そこにいる人たちと 関わってたくさんのことを学びました。人は、人とかかわることで自分を成長させること ができるのだと感じました。手助けを必要とする人たちをたくさんの人が支えています。 しかし一方で、その人たちをあざ笑うかのように見ている人もいます。皆さんは、どちら の人ですか。私は、人の役に立てる人間でいたいと思います。 私はまだ中学生で、できることは限られていますが、困っている人、体の不自由な人と も積極的に接したいと思っています。そうすることが、自分のためにも、人のためにもな ると思うからです。今、私ができることは、自分自身が手助けを必要とする人の役に立つ こと。そして、周りの人にも伝えていくことです。小さなことかもしれないけれど、自分 の思いを伝えて、周りの人に理解してもらうこと。そういう行動の一つ一つが、困ってい る人を支えていくということなのです。皆さん。皆さんも、小さなことから人の役に立つ ことを始めてみませんか。私も、自分にできることを見つけ、一つ一つやってくつもりで す。