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第43号(2.0MB) 10/07/31

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第43号(2.0MB) 10/07/31
北海道ラムサールネットワーク鶴居総会 開催!
道内12サイトの「現場系」ネットワークである北海道
ラムサールネットワーク(HRN)の第5回総会が、7月10
日から11日にかけて鶴居村で開催されました。宮島沼の
会がHRNの事務局を務めて2回目の総会となります。
総会では、昨年度の活動報告(と言っても事務局とし
ては何もできていなかったのですが…)と今年度の活動
計画が話し合われました。今年度は、各サイトで世界湿
地の日の行事を行い、パンフレットの作成に着手するこ
となどが決まりました。
総会終了後は、各地の外来種対策、湿地環境の変化、
地域づくりなどの事例について情報交換を行いました。
この成果は9月4日に行われる日本湿地学会大会におい
て発表されます(HPで発表要旨を閲覧できます)。
会場となった鶴居村総合センターでは、道内12サイ
トのパネル展も開催しました。翌日が選挙だったことも
あり、多くの村民の目にとまったことと思います。
晴天に恵まれた2日目は、NPO法人釧路湿原やちの
会のご案内で温根内湿原と温根内ビジターセンターを視
察しました。広い空と見渡す限りの湿原。ガイドを受け
ると一見単調に見える湿原も多様な姿を持っていること
がわかります。かつてのイシカリ湿原もこのような姿を
見せていたのでしょうか。
帰り道、タンチョウサンクチュアリのビジターセンタ
来年度の総会開催地はサロベツ湿原です。子ど
ーや「タンチョウフレンドリーファーム」を見学し、実
も交流事業も予定されていますので、マガレンジ
り多い総会となりました。
ャーを連れて参加できればと思っています。
『ラムサール湿地のふゆみずたんぼ米×3』予約受け付け中!
ラムサール湿地の保全のため「ふゆみずたんぼ」に取り組んで
いる宮島沼、片野鴨池、蕪栗沼が手を組んだ!美味しいお米を食
べて湿地と水鳥の保全に貢献できるふゆみずたんぼ米のお得なセ
ット販売を始めます。チラシを同封しますので、ぜひお早めにお
申し込みください!宮島沼のHPからも申込用紙をダウンロード
できます。なお、ふゆみずたんぼin宮島沼の新ブランド「えぞの
雁米」の新米は10月中旬頃からセンターで販売する予定です。
自然戦隊マガレンジャー「子供交流事業・天売島」
7月24~25日、(財)北海道新聞野生生物基金の
助成を受け、天売島に行ってきました。羽幌町から「ジ
ュニアレンジャー」(北海道海鳥センター)、サロベツ
湿原から「なまら!!サロベツ∞クラブ」(NPO法人サ
ロベツ・エコ・ネットワーク)、天売島から天売小学
校、宮島沼から自然戦隊マガレンジャーの子供達、大人
スタッフも合わせて総勢約50名が集まりました。天売
羽幌&天売&サロベツ&宮島沼、総勢約50名
島は羽幌フェリーターミナルから約28km。高速船で
たった1時間のところにある島です。少々波が高く、船
酔いしてしまった隊員もいましたが、昼飯を食べ終わっ
た頃には皆、元気に復活です。
まずは海底探勝船に乗り、海からの観察です。波の影
響で海鳥繁殖地のある西側には行くことができませんで
したが、海鳥と人とが共存している秘密や天売島のこと
海底探勝船、透明な船底から海をのぞく
を教えてもらい、オジロワシ、ヒメウ、クラゲ、ヒト
デ、ウニなどを観察しました。
次は陸からの観察。赤岩展望台からみた海と空の美し
さ!思わず涙をこぼしている隊員がいました。高校生ジ
ュニアレンジャーが海を泳ぐウミガラス(オロロン
鳥)、ケイマフリを望遠鏡で見せてくれました。
各団体の活動発表会。マガレンジャーはトップバッタ
夕暮れ時、ウトウの帰巣を待つ
ーでした。「活動発表」をすることで自分たちの活動の
意義をもう一度考え直し、「人に伝える」ためにどんな
表現を使ったらよいのかを試行錯誤し、「人の発表をき
く」ことで新しい活動を思いつく。そんな良い連鎖が生
まれてきたように思います。
夕食後、ウトウ帰巣ウォッチングに出発です。夕陽が
落ち、辺りが薄暗闇になる頃、ものすごい数のウトウが
すぐ足もとに、無数の巣穴(ウトウ)
一斉に戻ってきました。マガンのねぐら入りのような優
雅な情景ではなく、ウトウが弾丸のように次々と飛んで
来ます。ウヒャー、スゲー、ウォーなど隊員たちはずっ
と歓声をあげていました。
翌朝早朝2時半、眠い目をこすりながら、今度はウト
ウ出巣ウォッチングです。坂道を転げるように落ちてく
るウトウ。出巣の時にカモメにつかまるウトウの雛。感
動だけではない、自然の、野生の営みを体験することが
マガレンジャー活動発表
できました。帰りのフェリーで一番印象深かったことを
隊員達にきいてみたところ、ウトウの出巣ウォッチング
と答える隊員が多かったです。
「また来年もどこかに行こうね」と隊員達。
海鳥センターの石郷岡さん、スタッフの皆様、とても
素晴らしい体験を、本当にありがとうございました。
天売小の子供たちに、お別れを告げる
明治37年(1962)夏には、この辺りに大
洪水がありました。それでも、秋になれば学校行
事は予定通り進みます。先の話に出てきた、炊事
遠足のときのことです。河原には、水の流れてい
ない川とつながっている幾つかの切り込みの窪み
がありました。
「バシャ!バシャバシャ!」
ふと見ると、2匹の大きな魚が暴れるように浅
瀬で騒いでいるではありませんか。生徒たちは、
ホッチャレとは、アイヌ語で鮭類の産卵後の死
骸を指します。ホッチャレなら、川に流れて腐っ
ていくだけ、誰が拾おうと問題にはなりません。
この後、メスのお腹に『イクラ』をいっぱい詰
めた2匹の『ホッチャレ』は、駐在員も交えた立
派な『処理』がなされたという話がひっそりと伝
わっていたそうです。
川を上る頃の鮭。婚姻色が紅葉したブナの葉の模様に似ることから。
炊事の片付けをほっぽりだして駆けつけます。多
勢に無勢?逃げ場もなく、2匹は終いに掴まえら
れてしまいました。
さあ、それからが大変です。密漁は、立派な犯
罪です。禁猟の鮭を捕まえてしまった!どうす
る?生徒たち罪を被らせるわけにもいかず、引率
の先生たちは頭を悩ませました。
協議の上、現物を持って上美唄の駐在所に届け
ることにしました。駐在の巡査に、事の顛末をこ
と細かく話し、最良の案として浮かび上がった知
恵は、2匹の『ホッチャレ』を拾ったことにした
のです。
ホ・チャリ(尻からばらまく)、もしくは「放る」が語源と言われる。
三軒屋沼は、西沼と東沼から成る三日月湖です。石狩
川流域には、河川改修の結果生まれた数多くの人工的な
三日月湖がありますが、三軒屋沼は天然の三日月湖で
す。その形成時期に関する情報は得られませんでした
が、石狩川が氾濫してごく短期間のうちに流路を変え、
取り残された沼なのでしょう。西沼と東沼もかつては一
つの沼で、その湾曲部に土砂が堆積して切り離されたの
だろうと考えられます。
いかにも旧川らしく湖岸は切り立っていて、ヨシなど
の抽水植物はほとんど見られません。春の渡りの時期は
多くのコハクチョウやオナガガモが一時的に立ち寄りま
すが、それ以外の水鳥はあまり多くはないようです。そ
昭和51年の航空写真
れでもアイサ類を始めとするカモ類、カワウやアオサ
ギ、また、毎年のようにオオヒシクイも見られます。山
に近いからなのかオシドリを見かけたこともあります。
珍しい生きものでは、タンスイカイメンの一種やオオマ
リコケムシの群体が報告されています。
昭和51年の航空写真と2000年代の衛星画像を比
べると水面積等にあまり大きな変化はないように見られ
ます。ただ、西沼と東沼のそれぞれ北側に橋がかかり、
今ではここから沼を一望することができます。細い河川
北側道路から見た西沼
が流入していて、沼の水は農業用水にも使われているそ
うです。
三軒屋沼の名の由来が、沼の近辺に移り住んだ三戸の
開拓者からなのか確かめるため浦臼町郷土資料館に問い
合わせましたが、はっきりしたことはわかりませんでし
た。昭和51年の航空写真を見ると沼の内側には5~6
軒の家屋が見られますので、三軒の先駆者の子孫なのか
もしれません。今度地元の方々にいろいろとお伺いした
いなと思います。
道路から北方向に見た東沼
三軒屋沼がある晩生内地区と、石狩川の対岸に位置す
る美唄の中村地区は古くから渡船によって結ばれ、交流
が深かったそうです(ちなみに冬は「氷橋」を使ってい
たそうです)。両地区を結ぶ美浦大橋の建設が急ピッチ
で進んでいますが、渡船もまだ予約を受けて運行してい
るそうです。いつかは乗りたいと思っているので、ご一
緒してくれる方は一声かけてください!存続の危機にあ
るらしいので是非お早めに…。
春の渡り鳥
杭州湾湿地センターに行って来ました!
上海から南へ約150㎞、長江が注ぐ杭州湾の対岸に位
置する慈渓市。近年の発展は目覚ましく、中国第三の経
済都市でもあります。ここに20億円近く投資し、43.5平
方キロメートルの再生湿地や干潟を含む杭州湾湿地セン
ターが完成し、その開幕式典と「杭州湾湿地サミット」
に招かれて訪問してきました。
慈渓市までは上海から杭州湾にかかる世界最長の橋を
通っていきます。湾岸には広大な干潟も見られますが、
急速に干拓地化しているようでした。自然干潟の埋め立
てが進む横で、莫大な予算をかけて干拓地に湿地を再生
していることに違和感を覚えましたが、そうした構図は
日本でも珍しくないのかもしれません。
到着翌日に行われた式典は豪勢そのもの。来賓席から
会場までチャイナドレスのコンパニオンにエスコートさ
れ、電動カートで続々と移動。お偉い様のスピーチが続
き、テープカットと同時に何と花火があがりました。そ
の後はボートとカートを乗り継ぎ広大な敷地内を案内さ
れました。立派なビジターセンターを見るのを楽しみに
していたのですが、まだ整備途中ということで見学でき
ませんでした。
再生湿地では間近にツバメチドリのコロニーを見るこ
とができました。サギのコロニー用に作ったという林で
は巣立ちラッシュであちこちに雛が転がってました。周
辺の干拓地には養殖が盛んなのに食害は大丈夫なのか
な?とか、先ほどの花火の影響は考えたりしないのか
な?とか思ったりしましたが…。
再生湿地は上記のサギが繁殖する湿地林の他、水質浄
化の湿地、ガンカモの湿地、ビジターセンター周辺の親
水湿地にゾーニングされていました。親水湿地にはオー
ガニックなミニ農園もあり、イネも作られていました。
宿泊先のホテルで開催された湿地サミットでは、ラム
サール賞を受賞されたオーストラリアのPriettoさんを
始め、多彩な国際ゲストの貴重なお話を聞くことができ
ました。オハイオ州立大学のMitsch教授からは、メキシ
コ湾原油流出事故の現状や、メキシコ湾に出現する瀕酸
素水域の原因となる農地からの栄養塩流出を流域単位で
くい止める事例など聞くことができました。日本からは
宮島沼の他、谷津干潟の紹介がありました。
杭州湾湿地センターは、アジアでも最大規模の、いわ
ばテーマパーク型の湿地公園です。庭園的な要素も数多
く見られ、いかにも中国的。こうした湿地公園は、中国
国内で今後も多く作られていくとのことです。
初雁はいつやってくる?
残暑が厳しい中にも少しずつ秋の気配が感じられるようにな
り、初雁の到来が待ち遠しい季節となりました。過去3年間の
初雁の飛来日は9月18日、20日、17日でしたが、今年は
どうなるでしょうか?
ここ20年間の初雁飛来日は9月20日前後と言えますが、
1980年代には初雁はもう少し遅く飛来していました。しか
も、かつては真っ先に飛来するのは非繁殖鳥だったと聞いてい
整いました!
宮島沼とかけまして
親父の背中と解きます
ますが、最近では家族群も早々にあらわれているような気がし
ます。また、かつては10月いっぱいは宮島沼で見られたマガ
ンが、今では10月中旬を過ぎるとほとんど南下してしまうよ
うになっています。こうした秋の飛来の前倒し現象は、極地の
温暖化に伴ってマガンの繁殖が早く終わるようになったなど、
地球温暖化が何らかの形で関わっているのかもしれません。
一方、今年は少し気になるニュースもあります。マガンの繁
殖地であるロシア極東でも、落雷と猛暑で森林火災が多発した
その心は
…
「気づけばずいぶん小さ
くなった」 で
…しょう
ということなのです。宮島沼に飛来するマガンの故郷、チュコ
トカ半島の事態も深刻で、8000ヘクタール以上の森が焼失
し、トナカイの放牧地などが被災しているとの情報もありま
す。こうした事態がマガンの繁殖にどのような影響を与えたか
は明らかではありませんが、宮島沼ではマガンの成鳥と幼鳥の
比率を調べていますので、もし異変があればわかるかもしれま
せん。
写真:左の2羽が幼鳥で
右の2羽が成鳥。幼鳥
はおでこの白い部分が
まだ無く、くちばしは
濃いオレンジで黒い縁
取りがある。こうした
幼鳥の特徴は、一冬過
ごした来年の春にはほ
とんど消えてしまう。
●お問い合わせ、ご要望は…
宮島沼の会事務局( 宮島 沼 水 鳥 ・ 湿 地 セ ン タ ー内 )
〒072-0057 美唄市西美 唄 町 大 曲 3 区
電話:0126-66-5066 フ ァ ッ ク ス : 0 1 2 6 - 6 6 - 5 0 6 7
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【編集後記】
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