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第27回価格調査評価監視委員会が開催されました

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第27回価格調査評価監視委員会が開催されました
第27回価格調査評価監視委員会が開催されました
このほど第 27 回(平成 22 年度第 1 回)価格調査評価監視委員会が開催され
ましたので議事概要をご報告いたします。本委員会は年 4 回(四半期毎)開催
され、経済調査会の調査基準、調査実施状況、調査結果等の妥当性、透明性に
ついて外部有識者が評価、監視するものです。
●議事概要
開催日時 平成 22 年 4 月 23 日(15 時 00 分~16 時 58 分)
開催場所 経済調査会会議室
出席委員 小林康昭、榊原渉、丸山淳一(委員長)、渡辺季男
議
題
1.前回委員会議事録(案)の承認
2.事例審議
(1)自主調査:「ラフテレーンクレーン作業料金」(関東)
(2)受託調査:「雑石類」(鹿児島県内)
(五十音順)
●議事要旨
議
題・質
問
説
明・答
弁
1.前回(第 26 回)委員会議 〇事前に配布した議事録 (案)について確認、
事録(案)の承認(審議資
承認された。
料 1)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.事例審議
(1)自主調査「積算資料」か
らラフテレーンクレーン
作業料金(関東)について
審議(審議資料 2、参考資
料 2)
○ 工事業者の規模の違いなど
により、取引価格に差が出
ると思うが。
○ 全国に協会に加入していな
い業者がいるが、調査対象
にしているのか。
○ 協会の加入業者と未加入業
者で価格差はあるのか。
○ オペレーターの技術力や機
械の性能・製造年数で価格
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇(説明)ラフテレーンクレーン作業料金の概
要を説明した後、調査総括表、調査情報票等
にしたがって調査プロセス、調査結果を説
明。
○ 掲載価格は他の資材と同様に最頻値で決定
している。
○ 需要家である建設会社にヒアリングした
際、業者を紹介してもらい可能であれば調
査対象に加えている。
○ 協会の加入・未加入で生コン協同組合のよ
うな差はない。
○ よほどの技能差がなければオペレーター個
人よりも会社単位で判断される。ただ、排
1
議
題・質
問
説
明・答
弁
差はあるのか。
ガス規制未対応などの古い機械でもいいと
いうことで、若干相場より低い場合もある
と聞いている。
○ 本州では北陸・中部の価格 ○ 特殊な機械でなければ遠方より搬送するこ
が高い理由は何か。
ともない。地方によっては稼働率が異なる
など各地区の相場と考えられる。
○ 海外の新興国が日本のクレ ○ 日本製は性能がよく中古でもメンテ費用が
ーンなどの土木用中古機械
かからないことと、日本では排ガス規制な
を購入している理由は何
どで買い替えが必要なことが理由と考えら
か。
れる。
○ トラッククレーンを掲載し ○ 確かに減少しているが、まだ多少使用され
ているが、現在あまり使わ
ているため掲載している。今後の市場動向
ないのではないか。
を見守りたい。
(2)受託調査から「石材等の ○ (説明)雑石類の資材の概要と受託した業
市場価格調査」(国土交通省)
務概要を説明した後、業務計画書、調査情
より「雑石類」について審議(審
報票にしたがって調査プロセス、調査結果
議資料 3、参考資料 3)
等を説明。
○ 工事業者に販売するのは流 ○ 流通業者に対するヒアリングを基に価格を
通業者としているが、調査
決定しているが、その妥当性を判断するた
対象名簿になぜ砕石業者が
めに、生産業者、協同組合等にもヒアリン
入っているのか。
グを実施している。
○ 調査会が算出した積上げ値 ○ 調査票に記入された価格やヒアリングの際
は何に使用するのか。
聞き取る価格を鵜呑みにするのではなく、
原価構成を確認しながら実際の取引価格を
聞きだすための検証材料として使用してい
る。
○ 調 査 対 象 は 国 の 直 轄 港 湾 ○ 県の補修工事などを含め全体の状況を聞い
か。その他、県や民間の港
て判断しているが、鹿児島県には民間需要
湾も調査対象に入るのか。
はほとんどない。
○ 県 外 産 と の 競 合 は あ る の ○ 県外産も多少はあるが、価格に影響を与え
か。その場合、価格が変動
るほどではない。
するのか。
○ 本来は原価の差はあるかもしれないが、販
○ 岩質による価格差はあるの
売価格に差は見られない。
か。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次回委員会の確認
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○7 月 30 日ごろを予定。
(文責
2
価格調査評価監視委員会事務局)
価格調査評価監視委員会規約
(目的)
第1条 財団法人経済調査会が実施する資材価格及び工事費(以下「資材価格等」という。)の調査について、その
妥当性・透明性を高め、調査の信頼性を向上させることを目的として、第三者による価格調査評価監視委員
会(以下「委員会」という。)を設置するものとする。
(委員会の事務)
第2条 委員会は、理事長の委嘱に基づき、次の事務を行う。
一 次の事項について、審議すること。
イ 資材価格等の調査基準
ロ 調査基準に基づく調査実施状況
ハ 資材価格等の調査結果
二 前号において、審議の対象とする資材価格等は、定期刊行物掲載価格に係る調査及び受託調査のうちから
委員会が選定する。
三 その他資材価格等の調査に関して必要と認められる事項について審議すること。
(委員会の委員及び任期)
第3条 委員は、公正中立の立場で審議を適切に行うことのできる学識経験等を有する者のうちから、理事長が委
嘱する。
2 委員会は、委員8人以内で組織する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし再任を妨げない。また委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、
前任者の残任期間とする。
4 委員は、非常勤とする。
(委員長)
第4条 委員会に委員長を置き、委員の互選により選任する。
2 委員長は、委員会を代表する。
3 委員長に事故あるときは、あらかじめ委員長が指名する委員がその職務を代理する。
(委員会の開催)
第5条 委員会は、委員長が招集し、原則として年に4回開催する。
(審議結果の報告)
第6条 委員会は、第2条により審議の対象となった事項に関し、改善すべき事項があると認めたときは、理事長
に対し報告する。
2 前項の報告及びそれにもとづく改善措置は、その内容を公表する。
3 委員会の審議結果は、委員会開催後、主務官庁に報告するものとする。
(委員会の意見等の聴取)
第7条 委員会は、第2条の事務を行うにあたり、必要に応じて委員以外の者から意見等を聴取することができる。
(秘密を守る義務)
第8条 委員は、第2条の事務を処理する上で知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も、ま
た同様とする。
(事務局)
第9条 委員会の事務局は、財団法人経済調査会価格調査評価監視委員会事務局に置く。
附則
この規約は、平成15年10月29日から施行する。
価格調査評価監視委員会委員名簿(五十音順)
木下
小林
榊原
丸山
吉越
渡辺
昌
康昭
渉
淳一
洋
季男
木下公認会計士事務所 公認会計士・税理士
足利工業大学 教授
(株)野村総合研究所 コンサルティング事業推進部 上級コンサルタント
(財)資源探査用観測システム・宇宙環境利用研究開発機構 アドバイザー
東京電力(株) 顧問
季仙企画 代表 (社)日本建築積算協会 元理事
3
審議資料 2
ラフテレーンクレーン
(資材解説)
1. 移動式クレーンについて
移動式クレーンとは、『荷を動力を用いてつり上げ、これを水平に運搬することを目的と
する機械装置で、原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に移動させることができるもの』
と定義される。
より具体的には、吊り上げ装置を架装する上部旋回体と下部走行体で構成されており、
上部旋回体にはジブを装備し、巻上げ、起伏、旋回等の作動を行うことができ、タイヤや
履帯などを装備した下部走行体によって使用場所への移動や現場内での移動を行う。また、
本体の転倒などを防止し安定を確保するため、アウトリガーやクローラが装備されている。
移動式クレーンは、上部旋回体及び下部走行体の構造、動力伝達方式の違いにより、次の
ように分類される。
表-1
移動式クレーンの分類
トラッククレーン
トラッククレーン
オールテレーンクレーン
積載型トラッククレーン
移動式クレーン
ホイールクレーン
ホイールクレーン
ラフテレーンクレーン
クローラクレーン
クローラクレーン
鉄道クレーン
その他
クレーン機能付ドラグシャベル
浮きクレーン
2.「積算資料」掲載規格について
積算資料に作業料金として掲載しているものは以下のものである。
(1)トラッククレーン
トラッククレーンは、通常、専用の下部走行体にクレーン装置を備えた上部旋回体、ア
ウトリガー(車体横に張り出して接地させることで車体を安定させる装置)等を架装した
ものである。路上走行用運転室とクレーン操作用運転室はそれぞれ別に設けられている。
下部走行体は、各トラックメーカーで作られたものとクレーンメーカーで作られているも
のがあるが、ともに後輪駆動、前輪操舵のシャーシを使用している。
吊り上げ作業時には車両本体の転倒を防ぐため、アウトリガーを使用して安定させる。
クレーン装置は油圧ポンプを駆動して油圧モータや油圧シリンダーを作動させる油圧式
と、動力を機械的に伝達する機械式がある。しかし、現行機種では純然たる機械式はほと
んどなく、各部に油圧の機構を使用した複合方式となっている。このため、現在は動力伝
達方式で油圧式と機械式の区別は行わず、単に箱型構造ジブのものを油圧式トラッククレ
ーン、ラチス構造ジブのものを機械式というのが一般的である。トラッククレーンは機動
性、操作性に富んでいることから小型機種から大型機種まで幅広く使用されている。
1
(1)’オールテレーンクレーン
オールテレーンクレーンはトラッククレーンの一種。all terrain=すべての地形の意味で、
荒地でも走行できるとの意味でオールテレーンと呼ばれており、軟弱地でも小回りが利き、
さらに高速道路も走行できる。下部走行体に走行用の運転席があり、上部旋回体に独立し
たクレーン操作用運転席が設けられている点はトラッククレーンと同様である。
吊り上げ能力が 100tを超えるものが多いため車軸数も多く、移動にあたっては上部旋回
体と下部走行体を分解して運搬する場合もある。
車軸は 4 軸以上のものが一般的であり、8×4、8×6、8×8 などの多軸駆動、多軸操舵機
構を備えているため小回りが効き、カニ操舵(横移動走行)なども可能である。
オールテレーンクレーンのクレーン装置は、テレスコピックブーム(伸縮式/基本とな
るブームの中にサイズの順番ごとにブームが納められている)を採用しており、数段から
構成されている。吊り上げ作業時には車両本体の転倒を防ぐため、アウトリガーを使用し
て安定させる。
オールテレーンクレーン
(2)ラフテレーンクレーン(ホイールクレーン)
ラフテレーンクレーンはホイールクレーンに含まれるもので、タイヤ付の車軸で支えら
れた専用の下部走行体の上にクレーン装置を架装したものである。トラッククレーンと異
なり、一つの運転室で走行とクレーン操作の両方を行う。大径タイヤを装備し、二軸四輪
駆動、四輪操舵方式により不整地や比較的軟弱な地盤でも走行ができるほか、狭隘地での
機動性も優れている。
安定を増すためにアウトリガーを装備したもの、または、前輪タイヤの外側に鉄輪を装
着し、荷をつり上げたとき、この鉄輪が接地して安定を増す構造のものとがある。
ラフテレーンクレーン
2
(3)クローラクレーン
クローラクレーンは、起動輪、遊動輪、下部ローラ、上部ローラおよび履帯(クローラ)
を巻いた装置で構成された下部走行体の上に上部旋回体を架装した形式のものである。
走行は履帯の上を起動輪の回転力によって下部ローラで転がって行く構造になっている。
クローラ式は、左右の履帯の接地面積がホイール式等にくらべ広いので安定性が良く、不
整地や比較的軟弱な地盤でも走行ができるが、走行速度はきわめて遅い。原動機、巻上装
置および運転室等(操作装置を含む)の全装置が上部旋回体に装備されている。ナンバー取得
ができず、公道を走行することはできないため、現場間の移動はトラックやトレーラーな
どにより運搬される。
トラッククレーン
クローラクレーン
参考-1 クレーンの運転・操作に必要な資格など
●吊り上げ荷重 5 トン以上の移動式クレーンの運転は移動式クレーン運転士免許(国家
資格。学科試験・実技試験に合格すると免許される)が必要。
●吊り上げ荷重 1 トン以上 5 トン未満の移動式クレーンの運転は小型移動式クレーン運
転技能講習(3 日程度の学科および実技教育)が必要。
●吊り上げ荷重 1 トン未満の移動式クレーンの運転は特別教育(2 日程度の学科および実
技教育)が必要。
参考-2 ジブの種類
●箱型構造ジブ
油圧式のトラッククレーンやラフテレーンクレーン等のジブは、箱型構造により強度
を増したもので、内部に油圧シリンダやジブ伸縮ワイヤロ-プ又はチェーンを併用した
伸縮機構を有している。 ジブ伸縮ワイヤロ-プ又はチェーンを併用したものは、伸縮シ
リンダによるジブの伸縮の作動を利用してそれ以降のジブを伸縮させるもので、通常 2
~6 段の油圧伸縮で、2、3、4段と順番に伸縮する順次伸縮方式と、各段が同時に伸縮
する同時伸縮方式がある。
●ラチス構造ジブ(継ぎジブ)
クローラクレーン等に使用されているラチス構造ジブはパイプを格子状に組み、強度
を増した構造で、基本ジブ(下部ジブ+上部ジブ)の間に継ぎジブを継ぎ足してジブの長さ
を変えることができる。ジブを継ぎ足す方法には、ボルトで継ぐ方法とピンで継ぐ方法
がある。
3
3.積算資料の掲載価格について
(1)調査対象事業所
全国のクレーン建設業者、工事業者
(2)調査段階
移動式クレーン作業料金の商取引は、供給側と需要側との直接取引が中心。以下の図の
通りであり、調査段階は▼で示している。
クレーン建設業者
工事業者
(3)調査対象地区と取引条件
1)調査対象地区
誌面は北海道から沖縄まで全国 10 地区展開の掲載をしており、その適用範囲は「各地
区の価格が適用できる都市は原則として以下の対象都道府県庁およびそれに準ずる都
市」としている。
2)調査対象取引条件
調査価格の取引条件は以下のとおり。
①荷渡し場所
クレーン建設業者置場渡し、置場戻し。
②取引数量
1台
③賃貸期間
一日、または一ヶ月
④価格に含まれるもの
オペレーター、燃料・油脂(クローラクレーンの場合は含まない)
⑤価格に含まないもの
回送費、運搬費、組み立て・解体費、アタッチメント費用、車両制限令その他法規を
遵守することにより特別に必要とする経費、オペレーター出張時の宿泊・食事・割増手
当、玉掛用ワイヤー他作業に必要な用具費用
(4)調査方法と調査体制
調査頻度 B:毎月通信調査(電話・郵送)が基本。随時面接調査併用。
1)面接調査
取り扱い品目が多岐にわたり、かつ情報の信頼度の高い事業所を調査対象事業所とし
て選定し、面接している。需給動向や市況動向等、所定の調査情報票の調査項目に沿っ
てヒアリングし、得られた情報は地区情報として整理している。
4
①面接調査項目
○需給動向
工事動向、公共工事・民間工事の状況など
○稼動状況
稼働率、前年同期比の稼働状況など
○主な取り扱い商品
○市況
・主要商品の実勢価格と積算資料掲載価格との対比。
・需要家との価格交渉、先行き動向の見通しと変動要因など。
・営業エリア及び地区間格差
・地場ゼネコンと大手ゼネコンの価格差
・期間、時間の割り増しについて
・需要家の購買姿勢、他社との競合状況など
○契約先
ゼネコン購買部、現場事務所など
○運賃
運賃体系の考え方など
○業界動向
排対型・低騒音型の配備状況など
2)通信調査
①電話による通信調査項目
面接調査項目と同じ
②郵送調査
年 2 回(7、1月頃)供給側、需要家側調査を実施。
内容
内訳
目的
①対象事業所
母集団を構成する全事業所対象
②調査品目
積算資料掲載品目他
③調査価格
日あるいは月当り賃料
④保有台数
品目・規格毎の保有台数
⑤その他
排ガス対策台数・低騒音型台数
事業所毎の基本的事項を確認整
理し、面接調査時に活用。
クレーン賃料全般にわたり規格
を網羅。
基本となる作業料金の把握。
5
流通状況・供給状況の把握。シ
ェアの推定、経年変化など。
環境対策型建設機械の配備状況
の把握。
3)調査対象事業所の選定
調査対象事業所の母集団は、供給業者が中心となる。需要側については、調査監理部
が発送する施工業者向け調査票による。それぞれの特徴については以下のとおり。
需給動向
市況動向
特
徴
供給業者
○
○
扱い製品の規格間格差等も含め幅広
い情報が収集可能。
需要家(工事業者)
○
○
代表規格の動向中心だが、広域にわた
る情報収集が可能。
※供給業者は全国クレーン建設業協会、施工業者の母集団は建設業協会の名簿にもとづい
ている。
(5)近年の業界概要
社団法人
全国クレーン建設業協会によると、2010 年4月(14 日)現在の登録会員(事
業所)数は 984 社となっているが、ここ最近は漸減傾向にある。国内におけるクレーン建
設事業者の全事業所数を把握することが難しいため、協会加入率は予想の域を出ないが、
概ね 50%程度と考えられる。
クレーンの保有状況については、種類別にみるとトラッククレーンの小型~中型機種の
保有数が減少傾向にある。これは小型機種についてはラフテレーンクレーンに需要が移行
しているためで、今後も中型以下のトラッククレーン需要は減少するものと予測されてい
る。また、ラフテレーンクレーンにおいては、吊上げ能力 60t・65tなどが増加傾向にあ
る(積算資料では 2009 年 4 月号より価格掲載対応としている)。
クローラクレーンについては、吊上げ能力 70t・90t・120tクラスの中型機種の保有
が増加している(積算資料では 2010 年4月号より価格掲載対応としている)。
低騒音型・排ガス一次・二次・三次規制についての対応は、国土交通省等の規制事項を
遵守するため、協会が加盟社に対しての通知・啓蒙活動を行っており、各事業所も買い換
え時には最新機種を揃えているため、都市部を中心に着実に浸透している。発注機関によ
る低騒音・排ガス規制の工事義務づけについては、直轄工事を中心として仕様書に排ガス
規制が明示されている。
(6)市場形成と価格動向
クレーン建設業界は 300tクラス以上のような大型機種を保有し、広範囲に営業する一部
の業者を除けば、全国的に展開している広域業者は少なく、地場業者主体となっており、
需要家であるゼネコンや地場建設業者との契約により現場での作業を行うケースが一般的。
建設機械の製造・出荷については、建設投資減少に伴う市場規模の縮小により低迷から
抜け出せない国内市場の落ち込みを、年明け以降、前年比でプラスに転じた海外向け出荷
が牽引するかたちで回復傾向にある。
クレーン作業料金の価格動向は、工事減少による市場規模の縮小にともなって、保有機
械の稼働率低下が目立つことから、需要者側の値引き要求に抗しきれずに、安値契約を交
わす場面が散見されるなど弱基調推移が続いており、積算資料 2010 年4月号では 4~5%程
度の下落となった。
6
当業界は現在、排ガス規制強化などにより機種の更新を迫られており、そのコスト負担
が重くのしかかっている。そのため、保有機械の絞込みを行うなどして生き残りを図って
いるが、当面、厳しい環境が続きそう。
ラフテレーンクレーン25t(関東地区)価格推移
円
52,000
50,000
48,000
46,000
44,000
42,000
40,000
20
08
年
20 11
08 月
年
20 12 月
09
年
20 1月
09
年
20 2月
09
年
20 3月
09
年
20 4月
09
年
20 5月
09
年
20 6月
09
年
20 7月
09
年
20 8月
09
20 年9
09 月
年
20 10
09 月
年
20 11
09 月
年
20 12 月
10
年
20 1月
10
年
20 2月
10
年
20 3月
10
年
4月
38,000
7
4.リース・レンタル・チャーターの違い
建設工事関連でみた場合、賃貸借形式で建設機械・資機材を使用する方法としては、リ
ース・レンタル・チャーターの3種類での取引が挙げられている。下記にその相違点を整
理してみる。
〔移動式クレーン作業料金は、チャーターにあたる〕
表-2
区分
対象物件
リース・レンタル・チャーターの一般的な相違
リース
レンタル
チャーター
需要家仕様動産の調達
特定の汎用物件
特定の汎用物件
企業用機械設備対象物件
企業用機械設備
建設機械(クレーン等)
が多岐
耐久消費財、汎用機種
特定
不特定多数
不特定多数
1物件1需要家
1物件不特定多数需要家
1物件不特定多数需要家
長期拘束賃貸
期間拘束のない短期
期間拘束のない短期
法定耐用年数以上
時間・日・月単位
時間・日・月単位
中途解約 不可
中途解約 自由
中途解約 自由(定めによる)
リース期間中に全額回収
再使用の反復回収
再使用の反復回収
中古市場があれば残存価格
一契約期間で全額回収しない 一契約期間で全額回収しない
対象需要家
契約期間
購入原価
の差引回収
期間で異なる
一定(期間の長短無関係)
一定(期間の長短無関係)
再リース料は安い
在庫期間の負担費用も含む
在庫期間の負担費用も含む
需要家 負担
賃貸者 負担
賃貸者 負担
修理代は需要家負担
修理代は需要家負担
在庫保有 なし
一定の在庫保有 有り
一定の在庫保有 有り
機種の選定
需要家の自由選択
賃貸者在庫からの選択
賃貸者在庫からの選択
オペレータ
なし
なし
あり
主に法人
法人/個人
法人
賃貸者
賃貸者
賃貸者
賃貸者
賃貸者
新型機械設備の導入など
一時的使用
一時的使用
建設機械
クレーン、建設機械
料金
物件の維持
在庫
賃借人
物件の所有権 賃貸者
原価償却
目 的
賃貸業界
8
5.建設機械に関する規制
① 排ガス規制
建設機械の排気ガス規制については、以下のようなものがある。
1)排出ガス対策型建設機械一次規制(平成3年発表)
旧 建設省経済振興局機械課(現 国土交通省総合政策局施工企画課)発表の
建設機械に関する排出ガス対策の指針。HC・NOX・CO・黒煙について規制。
直轄工事では、現在この規制を満たす機械しか原則使用出来ない。
2)排出ガス対策型建設機械二次規制(平成13年発表)
上記一次規制をさらに厳しくしたもの。平成 13 年 4 月より指定開始。HC・NOX・
CO・PM・黒煙について規制。
3)排出ガス対策型建設機械三次規制
平成 18 年 3 月に施行。PM、NOX の低減に重点を置いた規制。
4)NOX・PM 法
平成 13 年 6 月に「自動車 NOX・PM 法」が成立。窒素酸化物(NOX)と粒子状
物質(PM)の排出値を規制した法律で、平成 14 年 10 月より施行。規制値以下
の車輌は、車検を通らない。
5)PM 条例
首都圏の1都3県(千葉・埼玉・神奈川)+政令市(千葉・さいたま・川崎・横
浜) 計8自治体による条例。平成 15 年 10 月より施行。規制値以下の車輌は、
対象地区の走行を禁止する条例。粒子状物質(PM)についての規制で、新車買
い換えや「粒子状物質減少装置(DPF)」の装着が必要。兵庫県にも同様の条例
が平成 16 年 10 月より施行されている。
6)オフロード法
環境省・国土交通省・経済産業省による、公道を走行しない特定特殊自動車の排
出ガスを規制するための新しい法律。規制開始日以降は、製造業者には法律で定
められた基準値を満たす特殊自動車の製造が義務付けられ、使用者には業種を問
わず、すべての稼働現場で基準値を満たした特殊自動車の使用が義務付けられる。
2006 年 10 月から 2008 年 10 月までの間に、エンジンの定格出力ごとに段階的に
規制が開始。基本的に3次規制と基準値は同じだが、3次規制ではオフロード法
では対象外の 8kW~19kW 未満の建設機械、トンネル仕様建設機械、コンプレッ
サ、発電機も対象に含まれる。
オフロード法と 3 次規制の基準値は同じだが、オフロード法で認定されると 3
次規制適合車としても指定を受けることが可能。
②低騒音型の指定(平成9年発表)
旧 建設大臣名で告示された規程。住宅地や病院など、工事による騒音を低減させる
ために策定された規制
9
参考-3
排出ガス規制値
排出ガス第 1 次基準値
対象物質
HC
Nox
CO
黒煙
(g/kW・h)
(g/kW・h)
(g/kW・h)
(%)
7.5~ 15kW 未満
2.4
12.4
5.7
50
15~ 30kW 未満
1.9
10.5
5.7
50
30~272kW 以下
1.3
9.2
5.0
50
出力区分
排出ガス第 2 次基準値
HC
NOx
CO
PM
黒煙
(g/kW・h)
(g/kW・h)
(g/kW・h)
(g/kW・h)
(%)
8~ 19kW 未満
1.5
9.0
5.0
0.8
40
19~ 37kW 未満
1.5
8.0
5.0
0.8
40
37~ 75kW 未満
1.3
7.0
5.0
0.4
40
75~130kW 未満
1.0
6.0
5.0
0.3
40
130~560kW 以下
1.0
6.0
3.5
0.2
40
CO
PM
黒煙
(g/kW・h)
(g/kW・h)
(%)
5.0
0.80
40
対象物質
出力区分
排出ガス第 3 次基準値
対象物質
出力区分
NMHC+Nox
HC
NOx
(g/kW・h)
(g/kW・h)
7.5
8~ 19kW 未満
19~ 37kW 未満
1.0
6.0
5.0
0.40
40
37~ 56kW 未満
0.7
4.0
5.0
0.30
35
56~ 75kW 未満
0.7
4.0
5.0
0.25
30
75~130kW 未満
0.4
3.6
5.0
0.20
25
130~560kW 以下
0.4
3.6
3.6
0.17
25
※HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、
PM(粒子状物質)、NMHC(非メタン炭化水素)
10
審議資料 3
雑
石
【石材等の市場価格調査】
(
鹿児島県
)
・資
材
解
説
・地
区
事
情
1.雑石とは
国土交通省九州地方整備局港湾空港部発注の「石材等の市場価格調査」特記仕様書
による「雑石」は、「港湾工事用石材」全般を指しており、いわゆる「捨石」「被覆石」
等の総称となっております。なお「捨石」とは、防波堤や護岸等の基礎マウンド等を
建設するために使用される石で、「被覆石」とは、構造物の基礎捨石が波浪によって移
動、流出することを防止するために、その表面を被覆した石のことです。
2.雑石の種類
(下記の表は一例です)
用途
規格名
商
品
説
明
5~50kg/個
主に均し用
5~100kg/個
(捨石)
10~200kg/個
300kg/個内外
港湾土木工事において捨石マウンドの均し用に使用される。
港湾土木用被覆石としては波浪の影響の少ない場所や河川
護岸整備に使用される。
被覆石
500kg/個内外
自然石魚礁
港湾土木用被覆石として使用頻度は高く、その仕上げは自然
石の風合いが景観と調和する。
1,000kg/個内外
港湾土木用被覆石として使用頻度は高く、自然石魚礁として
の付加価値もある。
-1-
3.雑石の生産
① 採石場
↓
② 表土の除去
採石場によっては原石が山の深層にあるため、表土の層が厚く、原石の採掘には表土
の除去が最大の問題で、ブルドーザー、ユンボ、タイヤショベル、ダンプトラック等
で除去を行っています。
-2-
↓
③ 原石の採取
↓
④ 小割り作業及び選別
↓
⑤ 原石の洗浄
・あらゆる角度からの強力放水
-3-
・洗浄プールでの洗浄
↓
⑥ 陸上運搬(海上積み出し港まで)
採石場によっては、雑石の積み出し港が離れている場合、その港までダンプトラック
による陸上運搬が必要となってきます。各採石業者は、それぞれ雑石を一時保管する
ストックヤードを保有しています。
↓
⑦ 雑石のストック
各採石場から海上積み出し港まで陸上輸送された雑石は、ストックヤードを土砂の混
入を防ぐためコンクリート舗装しています。
-4-
↓
⑧ ガット船等による海上運搬
及び
海上現場投入
現場投入は、荒捨には底開きで投入し、
仕上げの調整にはガットで投入していま
4.洗浄目的
前記3.⑤のように、自然石とはいえ、洗浄作業を行う場合があります。この洗浄方
-5-
法は、写真のようにあらゆる角度からの強力な放水作業をしたり、大型選別レールスク
リーンにより洗浄プールに石を投入し、バックホウで洗浄する等様々で、石に付着した
汚れを取り除き、海中に投下する際に海が濁るのを防止します。製品の品質と、商品価
値を向上させ、海洋汚濁防止への積極的な取り組みの一つとなっています。
なお、洗浄した場合としない場合では、下記の写真のように海の状況に大きな違いが
見られます。
5.鹿児島県産の雑石の品質
九州地方整備局(港)
主な産地(a)
左記(a)の岩質
鹿児島港
鹿児島市桜島
安山岩※1
志布志港
肝属郡肝付町
砂岩※2
名瀬港
大島郡龍郷町
砂岩※2
※ 1)安山岩
火山岩の代表的な岩石で、斜長石、輝石、
または角閃石の結晶、及びそれらの鉱物の
石基より構成されている。主要有色鉱物に
よってそれぞれ黒雲母安山岩はフォッサ
マグナ以西の火山、角閃安山岩はフォッサ
マグナ以東かつ日光付近の火山、鳥海火山帯に多く見られる。輝石安山岩は玄武岩
に近い性質を示すものが多い。緻密で堅硬なものは砕石に適し、広く原石として採
掘されており、砂岩に次ぐ採取量となっている。しかし、中には膨張性を示すもの
-6-
や、変質鉱物を含むものや、多孔質で比重の軽いものなどの砕石として不適当なも
のがある。
※ 2)砂岩
砂粒が粘土等の膠結物質で固結した岩石で、
構成砂粒の大小により、細粒砂岩、粗粒砂岩
と呼ばれる。硬質砂岩と異なり一般に固結度
は低く、砕石として適さないものは、砂資源
としては利用される。((財)経済調査会発行
「建設資材ハンドブック」より抜粋)
6.九州地方整備局(鹿児島)管轄の港及び雑石産地について
国土交通省九州地方整備局港湾空港部発注の「石材等の市場価格調査」特記仕様書
による雑石の調査場所は下記の通り。
県
名
鹿児島県
港
名
地
区
名
鹿児島港
中央港区、谷山二区
名瀬港
立神地区、佐大熊地区
志布志港
若浜地区、新若浜地区
凡例
① 鹿児島港
② 志布志港
③ 名瀬港
▲1 桜島
▲2 肝付町
▲3 龍郷町
-7-
7.地区概況
1)鹿児島港
鹿児島港の雑石需要を賄っているのは、鹿児島市桜島町黒神地区に採石場を稼動させて
いる 2 工場が中心。しかし、一昨年前まで 3 工場が稼動していたことから島内での生産量
は縮小傾向にあり、特に被覆石は採石場の歩留まりが年々悪化していることから、島内で
の生産量は乏しく、代替品として県内の薩摩川内や県外から一部手当てをしている状況。
一方、実需は港内の防波堤関連工事向けに雑石投入が散見される程度で、賑わった市場と
は言い難い。価格は、燃料費のジリ高傾向はみられるものの、現状、大きな影響は出てお
らず、雑石 5~100kg/個程度で m3 当たり 2,800 円どころを横ばいで推移する模様。
2)志布志港
志布志港に雑石を供給しているのは、肝付町に採石場を稼動させている大隅砕石協同組
合員 4 社が中心。前年度まで冴えない出荷が続いていた当港だが、今年度はケーソン敷設
向けに約 2 万 m3 の荷動きがあり、同組合の集計でも 21 年度期は 4 万 m3 と、対前年度比で
2 倍の数量。しかし、この数量でも雑石投入がピークだった時期の 1/5 程度の水準まで落ち
込んでおり、決して実需が回復した市場とは言い難い。価格は、2 年前に燃料費高騰を理由
に、雑石単価も m3 当たり 100 円程度の値上がりはみせたものの、その後は軽油、重油も落
ち着いた状況を維持しており、5~100kg/個程度で m3 当たり 3,900 円と値動きは見られな
い。ここ暫く、横ばいで推移する模様。
3)名瀬港
名瀬港における雑石需要は、龍郷町を中心に旧住用町、瀬戸内町の各採石場で大半が賄
われているが、一時的に県外産の入荷も見られる。特に県外産は大型船で大量に搬入する
ことから、遠方とはいえ採算は取れている。しかし、地元採石業者は安価な県外産の流入
を防ぐため、地元優先を各発注機関やマリコンに働きかけている。反面、工事が輻輳し、
肝心の運搬船の手当てが遅れるケースも見られたため、地元採石業者は工事数量に見合っ
た生産及び在庫調整を進めている。価格は、2 年前に値上がりした以降は横ばいが続いてい
る。高騰を続けていた軽油や重油といった燃料費も安定し、一時期よりは生産、運搬コス
トは軽減されているが、これまでのコストアップを吸収できていないため、販売筋の売り
腰は弱まっていない。今後、状況次第では県外産との競合も予想されるものの、奄美群島
には雑石を生産できる産地が他になく、島内の需給も均衡を保っていることから、5~
100kg/個程度(洗浄石)で m3 当たり 4,700 円どころを横ばいで推移する模様。
-8-
8.価格推移
○報告単価:規格
港名
雑石 5~100kg/個程度
15 年 8 月 16 年 2 月 16 年 8 月 17 年 2 月 17 年 8 月 18 年 2 月 18 年 8 月
※1
鹿児島港
2,700
2,700
※1
-
※1
志布志港
3,800
3,800
5,100
-
5,100
-
2,700
2,700
2,700
-
3,800
3,850
3,850
-
5,100
5,100
5,100
※1
※1
名瀬港
(単位:円/m3)
※1
-
(洗浄石)
港名
鹿児島港
19 年 2 月 19 年 8 月 20 年 2 月 20 年 8 月 21 年 2 月 21 年 8 月 22 年 2 月
2,700
※2
志布志港
3,850
2,700
※2
3,850
2,800
2,800
※2
2,800
※2
3,900
3,900
3,900
2,800
※2
2,800
※2
3,900
3,900
4,700
4,700
※2
名瀬港
4,500
4,500
4,650
4,700
4,700
(洗浄石)
※1)平成 16 年度業務は当会が受託していないことから、単価報告無し。
※2)5~100kg/個の規格を報告していないことから、規格間調整で単価を算出。
-9-
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