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生チップ焚き自動運転ボイラの燃焼技術

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生チップ焚き自動運転ボイラの燃焼技術
再生可能エネルギーの一翼を担う
生チップ焚き自動運転ボイラの燃焼技術
採算性も含め、実現可能性高い小型施設。施設の冷暖房も可能。
株式会社トモエテクノ 代表取締役 岡本利彦
京都議定書での CO2 削減が待ったなしの状態である一方、油燃料が乱高下し、各地の施設
での燃料のコスト増の懸念される中で、木質の生チップ焚きのボイラがこれらに対応する
有力な手段の一つとして注目されている。再生可能エネルギーの一角を担う燃料として作
今では暖房や給湯のみでなく、木質が年間を通して消費できる冷暖房システムや貫流式蒸
気ボイラも実際に稼動して、木質バイオマスの利用が拡大しつつある。
はじめに―――なぜ木質バイオマスか
いま地球温暖化を増加させない新エネルギーの導入が、国などの助成をバックに推進さ
れている。新エネルギーは温暖化防止という理由の他、外国からの輸入による化石燃料に
頼らず、エネルギーの自己供給強いてはエネルギーの安全保障を実現できる。
その中でも太陽エネルギー利用や風力発電においてはエネルギー自体のコストはゼロであ
り、省エネという観点からは大きな魅力である。しかし一方で設置の為のコストは高く、
またそのエネルギーを年間を通して貯蔵できないというデメリットもある。
それに対しては、木質バイオマス熱利用は、エネルギーの貯蔵が可能である他、木質のエ
ネルギー自体のコストは廃棄物でない限りゼロではないが、一般的に木質チップは油燃料
よりも安く、特に作今の油燃料の高騰は木質燃料の割安感をもたらしている。またその地
域の木質需要を起こし、林業を活性化させ、地域産業や雇用を促進するという他の新エネ
ルギーにはないメリットがある。
この木質バイオマス利用はもっとも身近な有望な分野であるが、同時にそれを最大限生か
すためにはその特性や経済性を含めた導入案をよく検討する必要があろう。
木質バイオマス燃料の種類
木質バイオマス燃料としては、林地残材、木材チップ、樹皮、おがくず、ブリケット、
ペレットなどがあるが、主にペレット系とチップ系とに分かれ、それらを比較してみる。
ペレットは、主に樹皮やおがくずを乾燥させ、熱を加えて成型機で粒状に固めた燃料で
ある。燃料としての扱いやすさや燃焼装置を小型化できる等のメリットもあるが、ペレッ
トを作る過程で動力や熱を加えるために環境負荷は比較的高く、そのために発熱量当たり
のコストも、場合によっては灯油と同じレベルとなる。またその地域にペレットの製造装
置がないとその地域の林業や雇用などにもほとんど寄与することがない。
チップは、伐採された木材をチッパーで機械的に加工するだけでよく、環境負荷も少な
い。また発熱量当たりのコストも一般的には重油を下回り、普及のための経済性の点でも
十分導入する価値がある。チップが間伐材だけでなく、製材所や製紙用木材の未利用木質
資源からも容易に入手でき、身近な地域内での産業の活性化につながる。ただし燃料とし
て考えるとき、貯蔵スペースが広めに必要であり、また「生チップ」と呼ぶ含水率の高い
チップまでを燃焼させるための燃焼装置が求められる。
実現可能性の高い小型業務用施設――冷暖房システムも含む
最近の社会的要請を背景にこの木質バイオマスエネルギーの利用を検討する場合、ガス
化や発電については大規模施設においては実動事例もあるが、採算性や木質燃料の供給量
のバランスなどを考えるとまだ特殊なケースと考えられ、一般的な普及においてはまだ研
究途上であると言えよう。
一方、温泉、宿泊施設、事務所棟、給食センターなどの小型業務用施設などでの冷暖房、
温泉加温、給湯、乾燥、積雪地域でのロードヒーティングなどの用途としての導入が、比
較的身近であり、採算性も含め最も実現可能性の高いものとして考えられる。
既設の施設の熱源を利用したバックアップシステムを組み、木質焚きボイラに特有な運
転特性にもかなうベース運転を行える木質ボイラの出力規模を選定することにより、投資
コストを低く抑えることが可能である。
[システム例]
(バックアップシステム方式)
チップ
ボイラ
給
バックアップ
グ
ボイラ
湯
ロードヒーティン
冷凍機
暖
房冷
房
生チップ焚きボイラとは
生チップ焚きボイラは次の要素から構成される。
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サイロ及びサイロからのチップ積出し装置
チップ搬送装置
ボイラ本体(燃焼炉と熱交換部からなる)
サイクロン(排ガス浄化装置)
自動灰処理装置
自動煙管掃除装置
制御盤
警報・安全装置
従来から薪焚きボイラなどがあったが、薪を長い時間かかって乾かし、手動で木質と燃
焼空気の量を適宜加減する単純なものであった。
トモエの生チップ焚き木質バイオマスボイラは
1. 独特な移動式ストーカーによって燃焼炉の下段で燃焼ガスや輻射床の熱で水分を蒸発さ
せ、ガス化燃焼しながら、中段の二次燃焼室で完全燃焼するため、水分を多く含む生チ
ップ(例えばドライベースでの含水率 150%程度まで)をそのまま他の補助バーナなしで
燃焼させることができる。
2. また高度な燃料制御技術を装備し、缶水温度、燃焼炉温度、排ガスの酸素濃度、炉内圧、
燃焼室の湿気などを測定して、燃料チップの送り速度、燃焼炉への送風量、煙道での吸
引風量などを制御し、さまざまな燃焼条件にあってもボイラを最適な燃焼状態を常に維
持する。
3. 特に排ガスの通る煙道に設置されている O2 センサーによって、さまざまな木質、例え
ば異なる樹皮や異なる含水率のチップが燃料として送られてきても空気量などを調整し
て常に最適燃焼が維持されるよう制御される。
4. 公害対策としては、①最適燃焼制御システム、②煙道での燃焼灰や排ガスの煤塵を除去
する装置(サイクロン)、③燃焼炉内の NOx 低減用二次燃焼室,などで、排ガス中の煤塵
や CO、NOx などの有毒物質の発生量を極力抑える。
5. 灰は、燃焼炉下段で発生する燃焼灰と、煙道部分のサイクロンからの灰や煤塵は、それ
ぞれ灰処理ボックスに自動的に送られ、その灰は定期的に処理する。
トモエのバイオマスボイラは、基本的に法規上の「ボイラ」の適用を受けない無圧式に改造
し提供するので、ボイラ使用検査や労働基準局の届け及び取扱者の資格は不要である。
■
生チップ焚きボイラの制御システム
制御システム
センサー対象
①出力制御
缶水温度
②燃料送り量制御
炉内温度
③炉内負圧制御
炉内圧
④酸素濃度制御
(ラムダ制御)
⑤燃焼空気量制御
煙道部の O2
空気圧
木質燃料ボイラでの冷暖房システムの概念フロー
化石燃料ボイラとの違い
木質ボイラは、追随性が緩慢であるという運転特性から、できるだけ出力の変動のない
最大負荷の半分程度の出力でのベース運転を基本に、低負荷にも対応できるようにし、ボ
イラを完全に停止させないで 24 時間連続運転をすることが好ましい。
一方停電時などの場合は、残り火からの逆火や缶水の沸騰などの対策をとる必要がある。
特に送られるチップへの逆火防止に対しては燃料供給路にセンサーを取り付け、温度が異
常に上昇したときは消化水を供給するような機械的バルブを装備する。
燃焼炉内は燃焼ガスが逆流して機械室内に入りこまないようにするため、煙道の誘引フ
ァンにより常に負圧を保つ様なシステムになっている。
木質焚きボイラの実績
トモエでのこれらの木質焚きボイラの実績としては、平成 23 年月末現在で、全国北海道か
ら九州までの合計で約 117 基を納入または受注している。
生チップ焚きボイラに加え、乾燥チップ焚きボイラ、ペレット焚きボイラ、薪焚きボイラ
があり、それぞれの実績は、生チップ焚き 44 基、乾燥チップ焚き 22 基、ペレット焚き 48
基、薪焚き 3 基です。このうち蒸気ボイラは 4 基で、その他は温水ボイラである。
また冷暖房システムは 13 現場(チップ焚き 7 基、ペレット焚き 6 基)が稼動している。
株式会社
トモエテクノ
住所〒101-0042
東京都千代田区神田東松下町 27
TEL03-3254-2514 FAX 03-5256-0655
URL http://www.tomoe-techno.co.jp
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