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NPO法人 日本ティーボール協会

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NPO法人 日本ティーボール協会
第
1
2
回
日
本
テ
ィ
ー
ボ
ー
ル
セ
ミ
ナ
ー
第1
2
回日本ティーボールセミナー
ニ
〇
〇
五
年
一
月
二
十
二
日
NPO法人 日本ティーボール協会
N
P
O
法
人
日
本
テ
ィ
ー
ボ
ー
ル
協
会
と き 平成1
7
年1月2
2日(土)
ところ 早稲田大学国際会議場
主
支
後
催
援
援
NPO法人 日本ティーボール協会
独立行政法人 日本スポーツ振興センター
文部科学省/厚生労働省/ベースボール・マガジン社
第1
2
回日本ティーボールセミナー ―日本野球界改革のときに―
[兼 TTA中級公認指導者認定講習会]
平成1
7
年1月2
2
日(土),於:早稲田大学国際会議場
1月2
3
日(日)
,於:早稲田大学東伏見教場
主催:NPO法人 日本ティーボール協会
支援:独立行政法人 日本スポーツ振興センター
後援:文部科学省・厚生労働省・株式会社べースボール・マガジン社
日時
プ ロ グ ラ ム
1月2
2
日(土)
1
2
:2
0
1
2
:5
0
1
3
:0
0
1
3
:3
0
於:早稲田大学国際会議場
●総合司会: 鈴木 悳夫氏(元千葉ロッテマリーンズコーチ)
受付 (会場にてビデオ上映会)
開会式
海部 俊樹会長
■基調講演1 谷澤 健一氏(早稲田大学客員教授)
「日本野球界の現状と今後」
■基調講演2 吉村
正氏(早稲田大学教授)
「ティーボール2
5
年 ―創造・考案・組織化・展開―」
1
3
:5
0
*休憩* {
意見交換会}
1
4
:1
0
◆フリーディスカッション敢「楽天はプロ野球を変えられるか―その底辺拡大は―」
■キーノートレクチャー マーティーキーナート氏(東北楽天ゴールデンイーグルスGM)
●司会 渋沢 良一氏(元セントラルリーグ事務局長)
●講師 荒川
博氏(荒川野球塾塾長)
谷澤 健一氏(早稲田大学客員教授)
扇原
淳氏(山口東京理科大学講師)
安達 信彦君(早稲田大学教育学部4年・山形県立山形南高等学校)
藤野 敦子君(早稲田大学政治経済学部1年・宮城県第二女子高等学校)
1
5
:2
0
*休憩*
1
5
:4
0
◆フリーディスカッション柑「障害者のティーボール大会を企画・運営して」
■キーノートレクチャー 中村 薫氏(「赤い羽根」ティーボール北の甲子園大会
実行委員会事務局長)
●司会 頼住 道夫氏(厚木市立林中学校教頭)
小川 幸三氏(日本体育大学教授)
●講師 中村
薫氏
種茂 雅之氏(元日本ハムファイターズコーチ)
鈴木 悳夫氏(元千葉ロッテマリーンズコーチ)
久保田浩司氏(都立南大沢学園養護学校教諭)
佐藤 聖一氏(神奈川県立保土ヶ谷養護学校教諭)
1
6
:4
0
*休憩*
1
7
:0
0
◆フリーディスカッション桓「幼稚園や小学校(1
・2
年生)に対する普及を」
■キーノートレクチャー 前橋
明氏(早稲田大学教授)
●司会 末次 義久氏(NPOスポーツ福祉ティーボール理事長)
扇原
淳氏(山口東京理科大学講師)
●講師 前橋
明氏
有木 信子氏(作陽保育園園長
星
永氏(埼玉県立大学短期大学部教授)
1
8
:0
0
*休憩*
1
8
:1
0
日本ティーボール協会設立1
1
周年パーティー
{
意見交換会}
{
意見交換会}
日時
プ ロ グ ラ ム
1月2
3
日(日)
於:早稲田大学東伏見教場
●司会:岩浪 文明氏(日本ティーボール協会常務理事)
山路
学氏(早稲田大学助手)
9:0
0
1
0
:0
0
受付
開講式
吉村 正 理事長挨拶
1
0
:1
5
■講義
敢
1
0
:4
5
■講義
柑
1
1
:1
5
*休憩*
1
1
:3
0
■講義
1
2
:0
0
*昼食*
1
3
:0
0
◆実習
1
4
:0
0
*休憩*
1
4
:1
5
◆実習
1
5
:1
5
*休憩*(教室へ移動)
桓
敢
柑
「ティーボール大会組織運営論」
頼住 道夫氏(厚木市立林中学校教頭)
「スポーツ科学概論」
扇原
淳氏(山口東京理科大学講師)
「スポーツ医学概論」
河手 典彦氏(早稲田大学教授)
「ティーボール審判法実習Ⅱ」
久保田浩司氏(南大沢学園養護学校教諭)
「ティーボール指導法実習Ⅱ」
種茂 雅之氏(元日本ハムファイターズコーチ)
鈴木 悳夫氏(元千葉ロッテマリーンズコーチ)
1
5
:3
0
認定試験(レポート)及び質疑応答
1
6
:0
0
閉講式
第12回日本ティーボールセミナー
― 日本野球界改革のときに ―
(鈴木)本日の総合司会を承っております、協会常務理事の鈴木と申します。よろしくお
願いします。
(拍手) そして! 娘と今日は一緒にやります。娘を紹介します。
(竹地)娘ではないですが(笑い)、早稲田大学3年の竹地麻美と申します。今日はよろし
くお願いします。(拍手)
(鈴木)それでは、第1
2
回セミナーを開始します。
特別講演として、日本ティーボール協会会長、海部先生より、いただきます。海部先生、
お願いします。(拍手)
開会式
特別講演
海部
俊樹会長
(海部)おはようございます。このティーボールの毎年毎年の会合にも、私には不思議な
御縁があって、来られる限りは必ず来ております。ただ去年は無理だったかなぁ? 来た
ねえ。そして、私の出身を言って申し訳ありませんが、愛知県だったもんですから、一宮
市の高校の校長先生にいい人がおって、愛知県の会長をやってもらっておったんですが、
残念ですがお隠れになりました。吉村さんに今聞いたら、大学が同期やったとこう言うん
ですから、吉村さん気をつけてくださいよ、あんたも。そして、冗談はさておいて、この
-1
-
ごろ世の中がいろいろと変化して参りました。いいことか悪いことかは、まだ断言できま
せんけれども、皆さんにとっていいふうに変わったなぁと言ってもらえるようにしなけれ
ばならんと、私たちは考えております。そして、このティーボールをやってもらうこと、
確か私の記憶に間違いなければ、一番最初、中学に入って、初めて野球をやる選手が、肩
を痛めないようにしなきゃいかん、中学生が初めから連続投球やって、しかもそれが作法
にかなっていなかったり、がむしゃらにスパルタ練習をやって肩を壊す。だから、この
ティーボールでその基礎、基本だけしっかりと身につけてもらうんだ、というお話を聞い
て、私はおおいに賛成したんですけれども、この頃どうでしょうか、さっぱり、小学校の
児童、中学校の生徒の、初期のところに利用してもらうはずのティーボールが、率直に言
いますとね、地方に行くと老人クラブの皆さんが、
「海部さん、ゲートボールよりこっちの
方が飛んでくだけ面白いわ」と、老人クラブの人の方が一生懸命これをおやりになってお
る。それをいけないとは申しませんから、
「どうぞやってください」と言っておるんですが、
やがて、これは吉村さんねえ、老人クラブの代表と、それから本当のティーボールの練習
生というか実行部隊というか、そういうところとでも試合でもやったら、お年寄りの励み
にもなるんですよ。お年寄りというのも、私ももう今、国会の中では一番長老の部類に属
するようになりました。失礼な話ですよね、みんな、会って長老長老と呼ぶもんですから、今
後長老と言った人には、罰金を10
0
0
円ずつ取ると。それを覚悟して言えと。こう言って、
笑っておるんですけれども、人生もだんだんと長くなってきますと、自分の健康だけは自
分できちっと守っていかなければなりません。そのためにはどうしたらいいかというと、
やっぱり体を使って、汗を流して運動することが大切だということを、難しい体育の理論
はわかりませんけれども、そういう話を毎年、私のあとでやっておった、・・・今年は来な
いな松浪は。そういうことも、今日のような太陽を浴びながら、体ごと動かすということ
が、非常にいいことのようであります。私は、どうぞルールを守って、精一杯、力一杯、
頑張ることが大事だということを、次の世代の人々には十分身につけて、社会人として頑
-2
-
張ってもらいたいなと思っております。今日はこれだけご挨拶したらもう、役目を終わっ
て帰ってもいいはずなんですが、一つだけ、ここは時間をいただいて、コマーシャルをや
らしていただきます。
今日まで海部俊樹と言えば、皆さんの前に立つ時には必ず、水玉のネクタイをして出て
来たんです。そしてその水玉のネクタイは、国会議員になってから40
何年間、これはいつ
もつけておりました。だからおかげさまで、随分有名になっておったもんですから、外国
でもみんな覚えてくれて、中国で今度、北京でオリンピックをやります。上海で万博をや
ります。それを兼ねて行ったら、北京の大幹部がそれを調べあげて来て、見たらみんな水
玉のネクタイで出てきたんですよ。それで、僕に、
「海部さん、あんたは今日はそのおかし
なネクタイは何だ」と言いましたから、ああ水玉じゃないのは、20
0
5
年の愛知万博という
のが愛知県で行われると。そしてこれはそのマスコットキャラクターのキッコロとモリ
ゾーという、大変可愛いアレであると。そう思って締めて来たから、皆さん、気が付いて
くださってどうもありがとうと。これだけ言ったんです。まだまだちょっと、盛り上がり
は上手くいっておりますけれども、盛況するのかどうかは、非常に分母が少ない国だけに、
お隣の中国の計画と比べてみると、日本はまだまだ動員力が足らないようであります。全
力をあげて頑張っていきますから、どうぞ、皆さんもそれぞれの立場で頑張ってください
よ。
そして、ティーボールもできたら、あそこ、広い場所がありますから、昔の愛知県平和
公園ですからね。そこでいっぺん、何かやってください、考えて。あそこにはみんな、知
事以下、市長もみんな、頑張ってやってますけれども、体ごと参加して動くということが
いかに大事か、みんなよく分かっていることでありますから、万博だけじゃなしに、そう
いった時に利用してやってもらいたい。脱線するようですが、ティーボール協会の10
周年
記念かなんかに、組織を拡大して、アメリカにもティーボールをやる人がいるというので、
私のかつてのカウンターパートであった、ジョージ・ブッシュ、今の大統領のお父さんの
ほう、4
1
代大統領です。その4
1
代大統領といろいろ交渉してきたら、日本の代表をアメリ
カに送ってくれたら、ホワイトハウスの一角にティーボールの練習場があるから、そこを
開放して試合をやろうじゃないかと、いうようなことまで調子良く出て来たのであります
から、さあというので、私は吉村さんや荒川先生に、あんた方も日程空けて飛んで来て、
OB代表として参加せにゃいかんよと。相手はとにかく大学の野球部出身の専門家ですか
ら、負けたら赤っ恥かきにいくようなものですけれども、まあやろうよと言ったら、むこ
うもその気になって、場所まで決めてくれたんです。ホワイトハウスの中にちゃんとそれ
はありますけれども、今、イラクとああいう状況になってしまって、ティーボールの練習
試合をやったということが分かると、今世の中大変難しいし、うるさいですから、叱られ
ます。だからこれは世の中もう少し、落ち着いてからこの話は引き続いてやっていこうと
思います。数年先になると思いますが、どうぞひとつその時はよろしく御協力お願いいた
します。そのためにも今日はひとつ皆さんの経歴の一里塚として、十分にここで身につけ
て実演していただきますように、ティーボールの益々の発展というものを、心から期待と
祈念をいたしまして、最初のご挨拶に変えさせていただきます。どうもありがとうござい
ました。
(拍手)
(鈴木)先生ありがとうございました。それでは恒例の行事をやっていただきます。ホー
-3
-
クスの監督のワンちゃんの師匠である荒川さん、よろしくお願いします。
(試打) (拍手)
(鈴木)どうもありがとうございました。今一度大きな拍手をお願いします。(拍手) ど
うもありがとうございました。
それでは基調講演1として、中日ドラゴンズOB、現在早稲田大学客員教授の谷澤健一
さんに「日本野球会の現状と今後」ということで語っていただきます。昨年のプロ野球界、
激動の一年でした。また今年は初めてセ・パの交流試合のある変革の年だと思います。谷
澤さん、お願いいたします。(拍手)
-4
-
基調講演1 「日本野球界の現状と今後」
谷澤
健一氏
(谷澤)皆さん、谷澤です、こんにちは。昨日夜ですね、TBSのドラマ観ておりましたら、
久しぶりに「金八先生」というものをやっておりましてね。見た? 見てないか。金八先
生が「相田みつを」さんという、いろいろ言葉を書く、亡くなりましたけれども、その方
の言葉を出して授業を進めておったんです。その題名が「夢は大きく、根は深く」という
ものでね。娘と一緒に久しぶりに見ておったんですがね、娘に笑われましてね。涙を流し
たんでね。そういう意味で、非常に昨今の社会現象ですとか、まあいろいろ起こってるこ
とが盛り沢山にありましたけれども、野球界も非常に、なんて言うかな、夢が大きい方も
たくさんいらっしゃいます。ただもう一つ、根が深くというような部分ではどうかなと、
そういうような考えをもって見ておりました。
さて今日はですね、こういうような題になっておりますけれども、本題に入る前にちょっ
とお話をしたいなと思うんですけれども。私は現役を3
9
歳までやりました。1
7
年間ですか。
まあ途中2年間アキレス腱の故障で休みましたけれども、まあいささか現役を、足の故障
がありながらやり過ぎたなと、そういう思いでいましたけれども、ただやはり、それだけ
長くプロ野球の世界で現役を務めたというのはですね、やはり何か深いもの、そして技術
的にも、まあ完全には到達できませんでしたけれども、非常に深いところまでのぞき見る
ことができたんじゃないかなという思いで、現役を振り返ったことはありますけれども、
そのあと1
0
年、その現役の肥やしというのですか、実ったものもあって、引き出し一杯に
詰まったものを、1
0
年間いろいろと出して、解説等の仕事を、また西武ライオンズの途中
でコーチをやりましたけれども、1
0
年間は飯が食えたという思いがします。その間、これ
でいいのかなと何か、もっと野球界のためにすることはないものかと。やはり一般社会に
-5
-
出る年齢というのが、私は遅かったものですから、そういう意味で、50
歳から、今日も学
生さんがたくさんいらっしゃいますけれども、大学院に行こうと。大学院に行って何する
んだと、よく人に言われるんですが、遅かりしスタートを何とか挽回したいと、そしてス
ポーツ的な経営学、そして経済学、そういうものを1から、まあゼロからですね、学ぶ機
会を得ようということで、2年間やりました。その他にもやはり、野球界の、スポーツ界
の歴史といいますか、諸先輩の方々が築かれて来たものをですね、非常に貴重な体験を、
また実績をですね、業績を振り返る。そういうものを見ていくことも大事な要素じゃない
かなということで、論文にしたためたりですね、だからアマチュア球界のことも、それか
らメジャーリーグのことも、まして日本のプロ野球界のこともですね、随分分かったつも
りでおりますけれども、今日の基調講演はそういう意味合いが込められて、私をご指名な
さったんじゃないかという思いをしております。
今日はですね、3つのことで少しお話をしていきたいなと思っているんですけれども。
1つはプロ野球界における村社会の、ちょっと語弊があるけれども、村社会の崩壊。もう
1点は、新規参入球団の今後の動向。それから私は現在、社会人の西多摩クラブの監督も
やってますけれども、そういうアマチュア界、新しいアマチュアイズムというものをです
ね、まだレジュメにはしておりませんけれども、そういうものをお話ししたいと、考えて
おります。
さっきの1つの本題はですね、プロ野球界は70
年を経過して大きな渦の中に巻き込まれ
て、また改革の時期に来たと言えるのではないかと思うんですけれども、今、村社会とい
うような言葉を使ったんですけれども、こういうことがあったんですね。言いにくい話な
のでなかなかしゃべりにくいんですけれども、昨年6月13
日に近鉄とオリックスが合併す
ると発表した、これは日本経済新聞のスクープ記事になって新聞に載りました。それから
約1ヶ月経って、7月7日にオーナー会議が行われまして、この合併案が承認されました。
合併の具体案が承認された、これはいいんですけれども、そのオーナー会議の時にですね、
-6
-
西武の堤オーナーが、もう一つの合併が進んでおるというような発表をされたんですね。
それはどういうことかというと、パリーグを4球団にして、セの6つと10
球団、1リーグ
制にしようという、オーナーの方々の考えなんですね。プロ野球ってのは、12
球団合わせ
て1
6
0
億円の赤字を今も抱えております。1
0
球団もしくは8球団にすれば、その赤字も減る
であろうというような意味が込められて、もう一つの合併があるというようなことが堤
オーナーの口から言われた。これには、非常に伏線がありましてね。どういう伏線があっ
たかと言うと、皆さんもちょっと思い出していただきたいんですけれども、小久保選手は、
ダイエー、まあ一年間膝の故障でシーズンを棒に振りましたけれども、その小久保選手が
無償で、ジャイアンツにトレードされたわけですね。無償トレード、これは私はもう事件
と言ってもいいんじゃないかと思うんですね。この無償トレードというのはどういうこと
かというと、ダイエー球団は、ダイエー球団というより親会社であるダイエーは、不良債
権を随分抱えておりました。もうそろそろ産業再生機構が、もう現在入っておりますけれ
ども、当時も産業再生機構がダイエーの本社に関与していくであろう、というようなこと
が新聞紙上でもいろいろ発表されておりました。もし、産業再生機構がダイエー本体の方
に入りますと今まで築いてきた中内家の球団としてのオーナーの役職が解かれてしまう。
そういうようなことなんですね。なんとか中内家は親会社も含めて、ダイエー球団を維持
したい、オーナーとしてやっていきたい、そのために1,2年の猶予を、再生の猶予をい
ただけないかと、今日は、海部元総理がここにいらっしゃいますから、なかなか言いづら
いんですが、ダイエー本体が読売に頼んだんですね、読売のオーナーは政治部の出身です
から、国に働きかけることは、まあ、そういう力を持ってるわけなんですね。そういうわ
けで、何とかダイエー本社に関与するであろう産業再生機構を1年でも2年でもいいから
外してもらえないか、という依頼をダイエーから読売側に言ったわけなんですね。それで、
実際それが可能になって産業再生機構は外れたわけです。そのお礼で、小久保選手が巨人
の方へ無償トレードされた、後でややこしくならないために無償トレードされたであろう
と、まあそういうようなことがあったようなんですね。それでもう一つの合併ですよ、進
められておる。今のダイエーなら、球団は明かしませんけども、もう一つ、吸収して第2
の合併が行われるであろうと、いうようなことが、たやすく行われるだろうともう計算さ
れたようなことになったんですね。で、ライブドアですとか、まあこれは置いといて、選
手会、これは労働組合が、立ち上がって、(セ・パ)6球団ずつに戻そうということになっ
たわけですけども、このような話しからやはり、70
年間築いてきたプロ野球も、そろそろ
そういう方々にお引き取り願うような、そういうような社会が少し訪れて来たような気が
しています。水面下では非常にまだまだ力を持ってる方々がたくさんいらっしゃいますけ
れども、変わる時期に来ているんじゃないかなと、いう思いがします。
そこで、楽天、そしてソフトバンク、まあこの後フリーディスカッションがあるんで、
その時に皆さんからいろんな話が伺えると思うんですけれども、まあこれから新規球団が
入ってきます。今年は先ほど紹介したように、交流戦も行われます。はたして、今まで築
いて来たむしろ新聞社、それから鉄道、鉄道は阪神が残ってるだけですよね、それから西
武もまだ残ってますけども。そういう意味で、そこにIT産業が入って行くわけなんです
ね、楽天それからソフトバンク。それから西武の2軍はこれもIT産業。インボイス。そ
れから西武のドームがインボイススタジアム。ネーミングライツ。これは命名権で変わり
ます。それから噂ではありますが、有線ブロードバンドが西武を買収するであろうと、そ
-7
-
んな噂もあります。はたして新規の楽天、もしくはソフトバンクが、この旧態依然たるプ
ロ野球の世界を変えることができるのかどうか、今年、またこの1、2年にかかっている
んじゃないかと私は、思っているんですけれども。
先日、ある雑誌で、ソフトバンクの孫社長のいろいろな考えが載っておりました。それ
を一部紹介しますと、非常に壮大なプロ野球改革案なんですね。競争なければ国滅ぶ、と
いうような題名で載っておりました。で、それは何かというと、ドラフト制度、完全ウェー
バー制がいいだろうと、いうようなことが巷では言われていますけども、完全ウェーバー
制はまかりならんと、自由にとるべきだと。それから、年俸が高騰してる。ここにサラリー
キャップ制が導入されるかもしれない。そのサラリーキャップ制も導入まかりならんと。
年俸は、高い年俸をとる選手は、どんどん上げればいい。ま、非常に、我々が考えている
のとは違うような考えで、もしそういうような、今言ったようなことがなされれば、アメ
リカのメジャーリーグが1軍だとすれば、日本のプロ野球は2軍化するであろうというよ
うなことまで言っているんですね。それから、福岡ドームにカメラを30
台入れると。どの
角度からも選手、監督、全てのプレーが見える。そして野球の好きなファンが、その画像
を選ぶことができる。好きなデータも選ぶことができる。そして、球場に駆けつけない野
球に興味のあるファンは、携帯で随時テレビがみれる。そして、情報がいつでもライブで
サーチできる。今NTTと利権の問題で孫社長は協議しておりますけれども、そういうよ
うなことまでやろうとしている。これはもう平成18
年に、放送界はいっぺんにデジタル化
になりますけれども、その前に、そういうような衛星を利用し、そして、地上にめぐらせ
た光ファイバーを利用して、ソフトバンクはプロ野球を、野球界を変えようとしてるわけ
ですね。まぁ楽天もそういうようなことを考えているのではなかろうかと思いますけども、
まさに今プロ野球は変わる時代に、変革の時代に、僕は入っていると思います。ただ、先
日もオリックスの宮内オーナーが冷めた言葉で言っておりました、お手並み拝見だと。楽
天、そしてソフトバンクのお手並み拝見だと。ぼくはそうじゃないと思うんですよね。や
-8
-
はり、堤さんが去って、またTBSの社長も去って、また大御所の渡辺オーナーが去っていっ
た。そういう意味で、もう一度みんなして、新たなものを立ち上げる時期に来てるんだと
思います。去年プロ野球は、再編問題・合併問題、起きましたけども、それを見てると、
プロ野球って誰のものかなと思うんですね。オーナーのものなのかな、ファンのものなの
かな、選手のものなのかな、そういうことを考えさせられてしまう。プロ野球がしっかり
しなければ、社会人野球、大学野球、リトル野球、少年野球、ソフトボールの世界、野球
型のスポーツも崩れていくんですよね。だからぜひともここ1、2年は勝負の年を迎えて
いると思いますので、私は、野球界にも携わりながら、またアマチュア界にもおる身です
から、その辺を私もじっくり考えていきたいなと思います。
3つ目はですね、新アマチュアイズムという話をしましたけども、私は春先に、所沢の
スポーツ科学部のキャンパスで、3回講義してるんですよ。ぜひ、今年来ていただきたい
なと思うんですけども、現代スポーツ評論っていうのをやってるんですね。3回だけです
けども。7
0
0
人の教室があってですね、受講者は65
0
人なんですよ。それ2年目になります
けども、今度3年目ですけども、レポート書かせたらもう大変な数なんですね。こんなう
ず高く。まぁ扇風機となりに置いて吹き飛ばして、残ったやつがAですけども。まぁそれ
はともかく、昨年もレポートを書かせた。去年の題名は、選手は商品か、プロ野球選手は
商品か、というような題名でレポートを書かせたんですけれども、簡単に言うとそんな授
業をやっているわけですね。その時に、1つは私の野球人生、これを皆さんに詳しく知っ
てもらいたいと。私がプレーしていた時にはもちろん生まれてもおりません、学生ですか
ら。なんとか私の野球、歩んできた道をですね、なんとか知ってほしい。また、私だけで
はなくて、今日荒川博さんもいらっ
しゃいますけども、先輩諸氏のそう
いう話もすることがあります。それ
から、アマチュア野球、学生野球、
高校野球、まぁいろいろありますけ
ども、今私が携わっている西多摩の
西多摩クラブという、これは、土日
にしか練習はありません。月~金は
もちろんみんな働いております。土
曜日の朝、グラウンドにみんな顔を
出します。試合がありますと、マネー
ジャーに出欠をとらせてそれを見て、
そこからメンバーが決まるわけです
ね。今日はエースが来てないな、今
日はキャッチャーがいないな、いろ
いろやりくりしながら。そこに、な
んかアマチュアの中のアマチュアイ
ズムってのが入ってるんじゃないか
なっていう感じが、ぼくはすごくす
るんですね。最近、地域の方々にも
非常に応援していただいています。
-9
-
賛助会員がずいぶん増えてきました。それから世話人の方も増えてまいりました。それか
ら自治体の方も理解を示してくれてですね、グラウンドの使用権等で協力してくれます。
クラブチームってのはグラウンドがあるチームってのはほとんど少ないですよね。それを
協力してくれる。それから何といっても一番大きいのは地元の企業なんですよ、中小企業
ですね。で、スポーツに理解のある中小企業の社長が、選手を受け入れてもいい、何人か
紹介、まぁ紹介っていうか、正社員は無理だけれども、パートでよければ受け入れてもい
いと。それで、人間性を見て、将来は正社員にするかもしれない、そういうような中小企
業の経営者が増えてきています。予算4
0
0
万足らずですけども、そういうようなことがやり
ようによってはできるんですね、やりようによっては。今、各地で、ちょっと話は前後し
ますけども、四国で独立リーグだとか、また、欽ちゃん球団だとかね、いろいろ出てきて
ますけど。また、新潟の方で青島君がクラブチームを立ち上げたりしておりますけども、
根っこの部分はやっぱり無償なんですよ。本当は無償でやらなければだめなんですよ。動
かないんですよ、自治体は。それから、地域の人たちも動かない。そこにお金が絡んでく
ると、なんかおかしな世界になってくる。最初は無償でやっていく。これがやっぱりアマ
チュアの中のアマチュアじゃないかなと、いうことが言えるんじゃないかと思うんですね。
学生野球もここのところ人気が特に落ちてきて、大学の野球ってものが非常に、地方に展
開しておる。なんか、プロ野球の養成所みたいな形になっている。朝から晩まで野球をやっ
ている。これではちょっとおかしいんじゃないかなと。まぁ、名前は出しませんけども、
そういう意味で不祥事が何件か起こっている。私はいつも思うんですよ。クラブチームの
監督をやりながら、グラウンドを使えない時がある。大学のグラウンドにお願いをする。
貸してくれない。朝から晩まで野球をやっているわけですから。地域に開放するなんてこ
とは全くないわけですよ。まぁ、大学によっては非常に田舎の方に素晴らしい球場がある。
でも一度も地域の人たちに目を向けない。これは不祥事が起こって当たり前だと私は思い
ますよね。その辺を、もう一度アマチュアの方は、またプロも含めて考えていただきたい
-1
0
-
なと思いますね。最後になりますけれども、学生野球の父は安部磯雄さんとか飛田忠順先
生ですけれども、プロ野球の父は正力松太郎さんですね。読売新聞をあれだけ大きくした
功績のある方だと。正力松太郎さんが自己の経営哲学でね、次のように述べているんです。
利行は一法なり。利行ってのはですね、利益の利に、行動の行ですね。仏教の言葉だと思
うんですけども、利行は一法なり。一の法律の法ですね。あまねく自他を利するなり。こ
ういう言葉を、確かね、ジャイアンツ球場の隣に、荒川さん、ホテルありましたね、知ら
ないですか?
ホテルの壁かなんかにこういう言葉が書いてあったと思うんですね。まぁ
これは本で、私は読んだんですけども、何を言っているかというとですね、
「他人のために
なることは古今を通じての哲理である」と。「それがやがて自らをも利することになる」。
いいものはまず、他人に与えて良きライバルを作ることが自分をも大きくする。この考え
が1
9
5
0
年の2リーグ分裂なんですよ。
「他人のためになることは古今を通じての哲理である。
それがやがて自らをも利することになる」。これがプロ野球を日本の社会の中で、国民技と
言わせるまでに発展した一つの言葉じゃないかなと思うんですね。この辺はやはり日本の
プロ野球、コミッショナーを含めてもう一度考えて、より良い野球界にしてほしいものだ
なと思うわけです。あとでのフリーディスカッションに私も加わりますけども、基調講演
として、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
(竹地)谷澤さんどうもありがとうございました。それでは恒例の行事をお願いします。
(バットを振る)
(谷澤)ティーボールのルールでは今のは空振りですから。空振り。これ3つやったら三
振ですから。じゃあ、現役時代のフォームで。これはイチローが真似たんですからね、私
の。
(試打)
-1
1
-
じゃあもうひとつ。私はアベレージヒッターですから。得意な流し打ちを。この時には位
置を変える。
(試打)
今こうやって打ちました。位置を変える。へその前にボールを。そしてテイクバックを、
どこですか、そこ? テイクバックをゆったりとる。もっとこっちかな。じゃ、センター前。
じゃあ真ん中行きます。
(試打)
プロ野球の大事な時、後楽園でした。最初のピッチャーが左の高橋一三投手でした。2ナッ
シングから。
(試打) (拍手)
(竹地)ありがとうございました。もう一度大きな拍手をお願いいたします。(拍手)
(鈴木)どうもありがとうございました。どうも。それでは基調講演2として、早稲田大
学教授の吉村先生に「ティーボール25
年-創造・考案・組織化・展開-」というテーマで
語っていただきます。先生、熱く語ってください。よろしくお願いします。
-1
2
-
基調講演2 「ティーボール2
5
年 ― 創造・考案・組織化・展開 ―」
吉村
正理事長
(吉村)皆さんこんにちは。海部先生がいらっしゃる前で話をするなんて、めちゃめちゃ
緊張してます。荒川博先生野球塾発足の会以来かななんて思ってます。荒川博先生もいらっ
しゃるんでもうどきどきしてこれから何を言うかわかりませんけれど、20
分ちょっとよろ
しくお願いしたいと思います。ちなみに今日は北海道から九州のほう、約3
0
0
名の方々がお
越しいただきまして、大変ありがとうございました。今、日本のティーボールは大変普及
しております。このバロメーターを測るにはですね、用具会社のロイヤリティー、それが
我々にどれだけ入るかというので決まるわけです。右肩上がりです。日本の経済も海部先
生のお力によってぜひそうしていただきたいなと思っております。右肩上がり、野球型の
ボールゲームで右肩上がりは、ティーボールだけです。軟式野球もまっすぐ、ソフトボー
ルはがた落ち、硬式野球も同じ。こういう状態です。いかにここに集まっていらっしゃる
方が、日頃それぞれの地域、学校でご努力してくださっているかということを物語ってい
るのではないだろうかというふうに思っております。この1週間、新聞やテレビを見まし
た。長嶋ジャパンが少年野球教室をした。松坂が教えた。高橋や宮本が野球を教えた。非
常にいい時代になったというふうに思っています。また、古田や高津や石井がロサンゼル
スで野球教室をした。日本の選手とメジャーリーガーがアメリカで野球教室をした。いい
時代になってきました。本当にそう思います。さきほど谷澤先生の話でもありましたよう
に、日本の野球界はこの1、2年、大きく変わってきていると思います。ちょっと横柄だっ
た人がお辞めになりつつあります。謙虚な人がリーダーとして残らなきゃならない時代な
のかな、こつこつ努力をする人が真のリーダーなのかな。継続は力なり、英語でPr
act
i
ce
-1
3
-
makesper
f
ect、練習は完全をつくる、と言います。ソフトボールやティーボールやスポー
ツ少年団の指導者、軟式野球の指導者というのは大体こういう方なんです。こつこつと子
どもたちを指導してくださっているんですよ。皆様方だと思います。岩浪文明さん、皆さ
んご存知ですよね。日本ティーボール協会の重鎮です。口癖があります。
「俺らはなぁ、少
年野球教室をプロの人が教えるのは簡単なんだよ。俺らはなぁ、そうでない、スポーツ嫌
い、体育嫌い、野球嫌い、ソフトボール嫌い、ちょっと肥満の子どもたち、こういう人を
相手に、誠心誠意、心を込めて、努力して指導をさせてもらっているんですよ。ティーボー
ルというニュースポーツを使って。」彼はそうおっしゃいます。まったく同感です。ここに
我々がティーボールを心を込めて普及する大きな意義があるというふうに思っています。
ベースボール・フォー・オール、ティーボール・フォー・オール。全ての人に野球を。国
民皆野球。国民皆ティーボール。これが、これからの時代きわめて重要になるというふう
に思っています。そんなこともあって今年は「ティーボール25
年-創造・考案・組織化・
展開-」というタイトルをいただきました。
私事で大変恐縮ですけども、私、この早稲田の教員になって今年で3
0
年目でありました。
3
0
年間早稲田の教員をやらせていただきました。1
9
7
5
年からであります。最初に著した論
文が、皆様方のお手元にいっております。1
9
7
7
年、早稲田大学体育学研究紀要でレクリエー
ション球技における一考察というタイトルです。そのレクリエーションという意味は創造
です。再創造。あそびじゃありません。新しいものを創る。
「re
-」というのは「新しい」
とか「再」とかいう意味なんです。で、cr
eat
i
on、新しいものを創る。それを野球やソフ
トボールを通して考察した。英語の論文、日本語の論文を一気に出しました。その11
ペー
ジ、皆さんお開きになっていただけますでしょうか。終わりにという所、結論であります
けども、28
年前に発表したのは、よろしいでしょうか、
「日本はすでに他国からの球技を移
入したり、模倣したりする時代は終わったと思えるのである。」生意気ですよ、30
年前。
「これからは日本独自の風土や環境に合った、日本が真に欲する球技をリクリエーション、
再創造していかなければならないエポックにあるといっても過言でないであろう。」2
8
年前、
著した論文の結論であります。実はその1
9
7
7
年、同年、昭和5
2
年、日本では大きな野球界
における変革がありました。学校教育の中に、小学校、中学校、高校の中に、ソフトボー
ル、野球型のボールゲームが全部なくなってしまったんです。海部先生が文部大臣をなさ
れた時だというふうにお聞きしております。海部先生が悪いのではありません。そんなこ
といったら失礼千万なんですけども、すいません。汗かきますね、先生が横にいらっしゃ
ると。で、その時ですね、文部省の言うのは、野球、ソフトボールはピッチャーとキャッ
チャーとバッターだけのボールゲームだと。内野外野は全然動いていない、身体活動ない
じゃないか、こういうようなのは学校教育には望ましくない。で、そのボールゲームに代
わって入ったのが、サッカーとバスケットボールである。今日の隆盛を極めておるのはこ
の2つであるわけです。これは初級の認定講習会でも私は声を大にして申し上げています。
その1
9
7
7
年、昭和5
2
年っていうのは、その3年前、長嶋茂雄さんが引退された年です。我
が巨人軍は永遠に不滅です、とおっしゃって、野球界の人は横柄の頂点を極めた頃だと思
います。すいません。ですから、私がその時に「10
年後2
0
年後、野球界、ソフトボール界
のどん底期が来ますよ」と言ってもほとんど耳を傾けられませんでした。日本のスポーツ
の発展過程を見ますと、まず学校教育に入って、それが課外に行って、それで広まってい
くという経緯を常に踏んでいたからです。誰も理解していただかなかった。で、そこで2
-1
4
-
年後、1
9
7
9
年、皆様のお手元にある6枚の資料の1枚目でありますけども、1
4
インチのス
ローピッチソフトボールというものをまず創造、考案いたしました。これは大きいボール
であれば打てる、ピッチャーがゆるいボールしか放れなければ、バッターは少々ボールで
も打っていく。となると、ボールが内外野に頻繁に飛ぶようになるので、3人だけのボー
ルゲームではなくなるわけです。だから文部省の皆さんに、学校教育の教科書に携わって
いる皆さんに、私高校の体育の教科書は20
年書いています。でも小学校、中学校は私影響
力ありません。その人たちにメッセージを送ったわけです。それなら小学校でも中学校で
も楽しい野球ができるじゃないか、というメッセージを送りました。で、ナガセケンコー
の皆さんのおかげでボールを作り上げました。翌年ルールブックを作って、さらに翌年、
東京大学と東京理科大学と早稲田大学の3校で大学14
インチスローピッチソフトボール研
究会というものをつくって、いつでも、どこでも、誰でも、手軽に、笑顔が出る野球・ソ
フトボールというものを作り上げて、毎年毎年ベースボール・マガジン社で、その評論、
論文を書き続けていきました。その結果として最終的に日本のティーボール、日本型ティー
ボールというものを作らせていただいて、2枚目の資料でありますけども、その研究会か
ら日本ティーボール協会というものを作らせていただきました。その協会を作る前に、こ
この当時早稲田大学の総長でいらした小山先生と、私が海部先生の事務所に挨拶に行きま
した。まだ、NPO法人とか、全くのそういうものを取っていないときに、直訴いたしまし
たら、海部先生が、早稲田大学の総長先生が直々にこられたんだったら、引き受けざるを
えませんねというふうに言ってくださいました。たまたま、これも手前味噌ではあります
けど、私、吉村正というんです。昔、政治学者で吉村正というえらい人がいらっしゃいま
して、海部先生はそのえらい人と、この下っぱの吉村正がダブったらしくて、いいよとおっ
しゃって、やったー、そこからのスタートで皆さん方のご協力を得て、17
年間でここまで
きてしまったんですよ。海部先生のお力で、ジョージ・ブッシュ元大統領から現大統領ま
でとどいてしまった。大変なことでありました。そういう組織化をさせていただきました。
-1
5
-
次の資料なんかにそれが書かれております。ちょうどジョージ・ブッシュ元大統領が海部
俊樹先生にオッケー、共同名誉会長だったらやりますよというのをですね、本当ならコピー
しちゃいけないんですね、重要な資料は。だから海部先生の前で困っているんですが。こ
ういう資料です。これは、海部先生にあてたジョージ・ブッシュのサインです。それを皆
さん方の前にお見せいたしました。
そして、その後、次のページにありますけども、展開になります。創造・考案・実践も
ありました。展開は、学校への展開、地域への展開、職場への展開がありました。最初、
学校への展開。ご存知のように、小学校3、4年生で、学習資料要領に、ティーボールと
いう固有名詞は入っていないんでありますけども、バットなどでとまっているボールを
うったりするゲームをやりなさいというメッセージです。あと6年ほどしたら、10
年後の
指導要領が出来上がりますので、そのときには、ティーボールという固有名詞を確実にい
れなければ、さらなる発展はないだろうと考えています。とても大きなことでありました。
それから、もっと大きいのは、小学校5,6年生、中学校高校は、ソフトボールが必修選
択になっています。実は、2年前、高校の教科書教材で、私はこのように書ききりました。
この教科書というのは一年間に1
0
0
万部を超えて出ます。そこには最後の資料になりますけ
ども、ソフトボール型球技には、ファストピッチソフトボールとスローピッチソフトボー
ルと、ティーボールがあるということにしました。ティーボールはソフトボールの授業で
教えねばならないように高校でしてしまいました。ティーボールという授業は高校ではあ
りませんが、ソフトボールという授業がありますので、そこでティーボールをやってもら
うようにいたしました。ますます小中高で、体育の授業でティーボールをおやりになるよ
うになるだろうと思います。加えて、学校では、今、特別活動、クラブ活動、それから移
動教室、総合学習、さらには学童保育、土曜日の親子ふれあい教室、いろんなのがありま
す。ここに、すべて、今日お集まりの指導者の皆様方に、ティーボールを加えていただき
たい。そのようにお願いしたいと思っております。これが済めば、先ほど谷澤先生の話に
-1
6
-
もありましたですけども、プロ野球界、野球界は確実によみがえります。底辺拡大がそれ
で確実になされるということになるわけです。それが次の楽天は野球界をどう変えられる
かというのに結びつくだろうというふうに思っています。
さらに、ティーボール・フォー・オールでの海部先生のお話で、お年寄りの方にどんど
ん普及しているという話がありました。ありがたいことです。われわれは、親子3代ティー
ボール、健康とコミュニケーション、ヘルスアンドコミュニケーションというキーワード
を大事にして普及活動をしています。すべての女性、年配の方々に普及させたいと思うと
同時に、荒川先生からのメッセージで「吉村さんなあ、小学校の1、2年生と幼稚園生に
指導をしなきゃだめなんだ。どんどん肥満児が増えるんだ。サッカーにとられてしまうん
だ」そういうふうに言われます。まさにその通りなんです。今、荒川先生は、小さいお子
さんを献身的に指導されて、その人たちが日に日に成長されるのを理解されて、私のほう
に教えてくださっているんです。我々は、幼児、それから小学校1年生、2年生にもこれ
から普及活動をどんどんどんどん進めなければならないと思っています。3番目のフリー
ディスカッションはそういうところです。
2番目のほうは、障害のある方々、目が不自由だ、耳が不自由だ、手足が不自由だ、不
自由な方はけっこういらっしゃいます。その人たちも、野球が好きなんです。そういう方々
に普及させたいなあというふうに思っております。そして、・・・ありがとうございました、
海部先生がお帰りです。拍手でお送りください。(拍手) 海部先生がいらしたおかげで、
本当に大きな発展がありました。心から感謝を申し上げたいと我々いつも思っております。
ありがとうございました。・・・最後、地域はですね、4点ばかりあります。昨年も言った
んですけど、4
7
都道府県の連盟のさらなる充実と見直しです。普及していないところもあ
ります。リフォーム、再編をこれからやらなければならないと思ってます。2つ目は、国
策である総合型地域スポーツクラブの中に、ティーボールを確実に入れていくというのが
2つ、今まで以上にがんばっていきたいと思います。3つ目が、日本レクリエーション協
会とのパートナーシップの強化です。日本レクリエーション協会は、日本ティーボール協
会に対して大変好意的です。我々がそれに加盟していることもありますけども、また大変
好意的です。ですから、その辺のパートナーシップの強化をはかって、職場に、地域に、
どんどん普及しなきゃならないと思います。それらに加えて今、総務庁が動いているのは、
財団法人地域活性化センタースポーツ拠点推進事業です。日本ティーボール協会もそれに
登録したというか、申請いたしました。この事業にのせてもらって、ぜひ協会と地域をさ
らにですね、連携を強く深くしていきたいなというふうに思っております。こういうもの
が充実していきましたら、我々が望んでいました野球の底辺拡大と、さらなるこどもの普
及、障害がある人たちの普及、これが実っていくのではないだろうかというふうに思いま
す。昨年が日本ティーボール協会設立10
周年の記念講演でありました。今年がティーボー
ルの創造、実践、考案、組織化、そして展開、25
年というタイトルを頂きました。この20
年、2
5
年間、極めて順調にこの協会は進んでいるというふうに思ってます。先ほど言いま
したように、ベースボールボール・フォー・オール、ティーボール・フォー・オールとい
うものを徹底的に、皆さんと力を合わせてその大きな夢をこれからも追い求めていきたい
なというふうに思っております。今日はどうもありがとうございました。
(竹地)ありがとうございました。
-1
7
-
(吉村)やるぞ。
(鈴木)ボールを持った方、サインができますからね。休憩時間に。
(吉村)どのへんですか。あっち。あのへん行きます。ゆるく打ちます。
(試打)
(吉村)あとどこですか。そこ?
(試打)
(拍手)
そこは難しいな。
(鈴木)先生どうもありがとうございました。どうも拍手をお願いします。
(拍手)これか
ら休憩に入ります。独断と偏見で、要綱では20
分になっていますけど、10
分間だけ休憩時
間をとって、1
4
:2
0
からフリーディスカッションに入りたいと思います。よろしくお願い
します。
-1
8
-
フリーディスカッション(1
)
「楽天はプロ野球を変えられるか ― その底辺拡大は ―」
(鈴木)日本レクリエーション協会、鈴木二三彦さん、その場にお立ちください。みえて
られませんか。それでは全日本リトルリーグ委員会、松井さん。拍手してください。もう
一人、株式会社西武レクリエーション、出貝兼次郎さん。帰りました。そうですか。以上
の方を紹介させていただきました。それではこれより、フリーディスカッションに入りた
いと思います。タイトルは「楽天はプロ野球を変えられるか―その底辺拡大は―」という
テーマで。司会の元セントラルリーグ事務局長、日本ティーボール協会常務理事の渋澤さ
んにバトンを渡したいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)
(渋澤)ご紹介をいただきました、渋澤でございます。ティーボールセミナーの第1部、
「楽天はプロ野球を変えられるか―その底辺拡大は―」のテーマで司会進行を努めさせて
いただきます。実は楽天ゴールデンイーグルスとゼネラルマネージャーに就任しました、
マーティー・キーナートさんにお願いをしてですね、キーノートレクチャーをしていただ
く予定にしていたのですが、2月1日のキャンプ解禁を間近に、数多くの球団行事が山積
したため、本日のご出席は不可能になってしまいました。そこで、日を選び、マーティー
さんには、ビデオ出演をしていただき、プロ野球、そしてティーボールにかける熱い思い
を述べていただきました。マーティー・キーナートさんは本年58
歳。アメリカロサンゼル
スに生まれ、スタンフォード大学を卒業後、日本に来て、慶応大学に語学留学。その後、
西武ライオンズの前身である、太平洋クラブライオンズの営業開発促進室室長を務め、1
9
9
0
年にはマイナーリーグ、ダブルAのバーニングハム球団の社長に就任するなど、日米で野
球にビジネスに携わっております。また2
0
0
3
年からは、早稲田大学客員教授でもあります。
では、ビデオによるマーティー・キーナートさんのレクチャーでフリーディスカッション
を始めさせていただきます。よろしくお願いします。
(ステージ上スクリーンにてビデオ上映開始)
(渋澤)本日はお忙しい中、よくおいでいただきました。ありがとうございます。
(キーナート)いいえ、喜んでます。
(渋澤)ほんとに?
(キーナート)ええ、喜んでます。
(渋澤)今日のテーマはですね、大変難しいテーマでございまして、日本ティーボールセ
ミナーの中のフリーディスカッションで、このテーマは「楽天はプロ野球を変えられるか」
というすごいテーマなんですね。
(キーナート)すごいですね。
(渋澤)それで、これは私どものほうもね、こういうことは初めてでございますので、大
変緊張しておるわけですが、とりあえず、第1問から発してまいりますので、よろしくお
願いします。
(キーナート)よろしくお願いします。
-1
9
-
(渋澤)最初にですね、楽
天ゴールデンイーグルス、
荒々しく飛び立ちまして、
そして舞い降りたのがみち
のく仙台。これはどういう
わけなんでしょうか。なぜ
仙台だったのでしょうか。
(キ ー ナ ー ト)は っ き り
言って今まで日本の野球界
は関東関西に固まりすぎた
と 思 い ま す。や っ ぱ り 大
リーグみたいなものはね、
各地域にフランチャイズが
あって、その地域に密着し
た応援の仕方で、ヤンキー
スはニューヨークで非常に人気があるんです。でもロスになるとドジャースが人気がある
とか、シカゴが・・・とか。やっぱり地域に密着するために、やっぱり地域に行かないと
だめなんですね。それで非常に今ホークスは福岡で頑張っているってことで、非常に日本
の野球界のためにいいことなんですね。そして去年から日本ハムファイターズは、札幌に
行って。今ね、北海道がね、全部の北海道人がファイターズのファンになりましたよね。
巨人の帽子がなくなってだんだんファイターズの帽子になりました。その点で三木谷さん
がよく仙台を選んだと思いますよ。東北人がやっぱり野球に対して非常に熱を持ってる。
情熱を持っているファンが多くて、そして東北出身の野球選手も多いんですね、今の日本
野球界の場合は。だから地域として仙台でやるというのは、はっきり言ってある程度やり
やすいんですね。やっぱりみんな野球来てほしかったんです。今どこ行っても歓迎ムード
そのものですね。どこ行っても歓迎ムードなんですね。非常にありがたいことですね。
(渋澤)その中にマーティーさんの人気もあるんじゃないですか。
(キーナート)それだったらいいんですけども、最近どこ行っても、「頑張ってください」
とかね、本当にどこ行ってもそうなんですよ。
(渋澤)うれしいですね。
(キーナート)うれしいですね。どこ行っても、
「チームがんばってください。イーグルス
応援しますので」。(私は)「ありがとうございます。」それの連発ですね。
(渋澤)おめでとうございます。
(キーナート)ありがとうございます。
(渋澤)その次なんですけども、昨年からプロ野球は大変な変動・変革を起こしました。
このテーマである日本ティーボール協会の進行普及というのは前々から続けられているん
ですが、これを機会にですね、なんとかしてティーボールそのものをもっともっと普及さ
せたいというところに、楽天さんの仙台への移転と大きな関係があると思うんですが、楽
天ゴールデンイーグルスは東北全県にこういうような課題をどのようにして展開されてい
くのでしょうかというテーマでございます。
(キーナート)1つは本当にたぶん全ての野球ファンがね、今までのシステムはよくな
-2
0
-
いっていうことをね、去年わかったと思うんですね。やっと野球界を改革しなければなら
ないということに目覚めたと思います。今まで日本のドラフトも、日本のものですけども、
いいじゃないですかとか、日本の野球のやりかた、いいじゃないですかと思ってる人もい
たんですけども、ちょっとうまくいっていませんよということを、みんなはっきり去年わ
かりました。私にとっては、はっきり言って日本は非常におもしろい国なんですよ。団体
主義ですね。私、ときどき言うんですけど、わっしょいわっしょい文化です。みんな同じ
ペースでよく走るんですよ。やっぱりそれが強いときもありますよ。けれども逆に変化に
対してあんまり変化できないんです、みんな同じペースで動くと。だからいいときもある
けど、悪いときもあるんですね。だから、今度はみんな違うペースで動いたほうがいいと
思うんですね。そして団体主義でいいときもあるんですけども、悪いところ、たとえば団
体主義なのに、どうしてか今までプロ野球球団は横のつながりがあまりなかったんです。
横の情報交換をしないことばっかり。あるいは縦に考えても、プロ野球はあんまり高校野
球とよくないとか。あるいは本当に高校野球の下のコミュニケーションもよくないとか。
本当に私が思うのはね、野球は同じファミリーになって、同じペースで走らなくていいん
ですけども、コミュニケーションや情報交換もやればいいんですよ。そして野球界はプロ
からもリトルリーグの一番下まで、ティーボールもそうなんですけれども、みんな同じファ
ミリーであるということを一緒に意識しないとだめなんですよ。だから、もう去年、プロ
野球うまくいっていない、縮小しましょう、減らしたほうがいい、2リーグは1リーグに
なればいいんじゃない、って言っている人もいるんですけれども、それ弱気ですね。それ
は問題から逃げることになります。逃げないでこういう問題は解決しましょうよ。だから、
本当に団体主義だったら一緒になれば解決できるということが私たちの大きなテーマなん
ですね。われわれは他のパ・リーグのチームと全ての日本のチームとで、みんな変わるよ
うにシステムを改革したいですね。そして野球界は一番上から一番下まで同じファミリー
じゃないですか。一緒にやりましょうよ。これをやれば、日本の野球界は絶対良くなって
くると思います。信じています。
(渋澤)今、団体行動という言葉が出たんですけども、実は私は今までプロ野球におりま
してね、しばしば苦い目にあったのはね、この団体行動、ですから一種の護送船団論もあ
てはまってくる。つまり、船足の弱いところにみんなあわせちゃうんですよ、結局。だか
ら先へ行かないんですよ。何年たっても先へ行かない。そういう傾向に今まであったんで
すね。どうしてもいざ敵の制空権に入ればね、どんどん船足速くしなきゃ自分たち全滅し
ちゃうでしょ。だから、そこまで行かないまではどうしても船足の遅いとこに合わせちゃ
う。
(キーナート)だめですね。だから福本豊がね、ドカベンとかの足に合わすとどういうふ
うになるかというね。だから今けっこう日本のスター選手は海外に行くじゃないですか。
やっぱり向こうに行くとね、やっぱり個人の特徴を認める文化なんですね。みんな一緒に
やらなくてもいいんですよ。イチローは一匹狼ですね。野茂も一匹狼なんですよ。向こう
に行っても活躍する場もあるんですね。私たちは一匹狼がうちの球団に入ってきてもかま
いません。最終的に勝てばそれが一番いいんですよ。とりあえず、去年、今までのこうい
う日本の野球界のシステムがよくないことがよくわかったと思うんですね。だから去年の
ストの中で一番良かったものはね、やっぱりファンも一緒になった、プレーヤーも一緒に
なった。ちょっと待てよ、これはできませんよとみんな一緒になったこと、一番いいこと
-2
1
-
ですね。
(渋澤)おっしゃる通りなんですね。それで選手会がですね、初めてファンのほうに目を
むけて、それでなんとか頑張りたいと言って、各球団の選手が手腕に訴えました。初めて
ファンのほうを見たんです。それから改めて機構側のほうへ向き直って、その背中をファ
ンの声が押してくれたんですね。さすがの機構側もびっくりしちゃったの。
(キーナート)全くその通りです。あるオーナーがね、変なこと言いましたね。
「たかが選
手が」ひどいですね、「たかが選手が」。野球の場合は、考えてみるとティーボールもそう
なんですよ、プレーヤーがいないと試合できませんよ。まず第1はプレーヤーがいないと
だめですね。そしてプレーヤーがいて、面白いことがあればファンも来るんですよ。プロ
になると本当にファンが来ないと給料も払えないですよ。考えてみると、まず第1はプレー
ヤーですね。第2ははっきり言ってそれはファンですね。第3はね、いいオーナーがいた
らいいんですけども、うちのオーナーはすごくいいオーナーですよ。三木谷さんはうちの
1
3
6
試合は全部見に来られないと思いますよ。でもプレーヤーとファンが来れば試合になる
んですよ、面白いんですよ。だからオーナーたちが「たかが選手が」って言っちゃいけな
い。
(渋澤)これは失言でしょう。それでね、今おっしゃいましたIT産業ですね。今度2社
入ってきたわけですが、ITの技術というものとそれからプロ野球の普及・振興というも
のをどのようにして連携していけるのでしょうか。
(キーナート)まず私が言わなければならないことは、私はIT人間じゃないですから、
あんまり詳しくないんですよ。けれど1つ言えるのは、新しい血が入ってきたってこと、
それがまず大事なことです。今までこの野球の体質は非常に保守的だったと思いますね。
だから昔は新聞とか電鉄とかそういう大企業しか入れないんですけれども、最初IT企業
が出てきたときにね、あるオーナーがね、
「俺の知らない人が入るわけにいかん」というよ
うなことも言った人がいるんですね。やっぱり新しい血が入ってくるというのはいいこと
なんですよ。新しい人が入ってくることによって新しいアイディアがでてくる。これが一
番大きいと思うんですよ。ITの具体的な話になると、当然放送は今までの地上波とか衛
-2
2
-
星だけじゃなくてITの場合はインターネットで出すとかね、あるいはね、うちの場合は
インターネットパワーだけど、私が一番驚いたのは営業マンが欲しかったんですね、うち
の球団。新しいスタッフが欲しかったんです。インターネットで募集すると、2
0
人のスタッ
フに対して、8
0
0
0
人の申し込みがきたんですよ。やっぱりインターネットパワーはすごい
ものですね。だからいろいろな使い方をしますので放送もやります。そして、ファンクラ
ブも作ります。例えばうちのファンクラブに入ることによって、ファンクラブに入った人
がインターネットでロッカールームの中にも入ることができる。あるいは、監督に特別な
インタビューがあるとか。日本全国のファンを作るためにはインターネットですね。だか
らIT技術は素晴らしいですね。
(渋澤)でも一つちょっと疑問がありますのは、パソコンで映像を出すその映像権と、そ
れから球団が持っている映像権と、その関係はどうなんですかね?
(キーナート)それは今整理しているところなんですよ。整理していますけれども、やっ
ぱりこれはね、媒体が違うんですよ。地上波は地上波、衛星は衛星。そして、インターネッ
トはインターネット。これは違うジャンルになるんですけれど、これは各スポンサーがそ
ういう売り方をすれば、みんなそれぞれのテリトリー、自分の権利はここにあるというこ
とでよく分かるはずなんです。
(渋澤)それからもう一つですね、パソコンでの映像がどんどん普及していくと、つまり、
見に行こうかなと思ったファンが行かなくなるという懸念も生じるんじゃないでしょう
か?
(キーナート)まあ、それもあるけれどもね、昔はメジャーリーグの場合も、あるいはNFL、
NBAのプロフットボール、プロバスケットボールもそうなんです。例えば、自分の地域で
あるエリアまでブラックアウトする。つまり、放送しないということ。ファンに来てもら
うために放送しないほうがいい。けれども、本当に人気があるところはね、スタジアムも
一杯になるし、その周りの人達も見たいんですよ。私達が、今度仙台の場合は宮城スタジ
アムはね、球場は1年目は2万30
0
0
人しか入らないんです。2年目は2万8
0
0
0
人ですよ。
人数がすごいんですよ。だから私たちのブラックアウトは全く必要ないんですよ。もう全
部オープンに、全部出していい。そして一つはね、ブラウン管で見ると、もちろん当然い
いんですよ、今だと映像もいいんですよ。インターネットでもそうなんです。けれども、
球場の味は違いますよね。雰囲気ですよ、匂いもね。やっぱりその、土の匂いとか、バッ
トとボールの音とかね、いくら毎回よくてもね、いるといないとではぜんぜん違いますの
で、だから私は、ボールパークの後ろ側にフェンスを作るんです。外野に公園も作る。ピ
クニックをやりながらも試合も見ることができるような環境も作るから。そしてうちのマ
スコット、うちの監督、選手には、試合前に球場に来ないと直接会えないし。だから、別々
なんですよこれは。だから、来られない人のためにやっぱり一生懸命放映を送ったほうが
いいし、ボールパークに来てもらえる人達のためにはそういういい雰囲気も作りたいんで
す。
(渋澤)野球場をボールパークという言葉で言うようになったのは今度が初めてでしょ
う?
(キーナート)そうなんです。
(渋澤)だいたい「どこどこのスタジアム」とかでしょ? だから、本来アメリカではも
ちろんボールパークと言ったら野球場と決まっているんだけれども、でも今仙台に行って、
-2
3
-
ボールパークという言葉が「あっ、これは野球場の
ことを言うのか!」というような、認識も深まった
んじゃないですか?
(キーナート)だから、早い話がね、スタジアムは
形だけ。丸い形、冷たい物である、まあ、コンク
リートの物。だけど、ボールパークは温かくて、自
然の材料を生かして作るとか、私の場合は全くプラ
スチックとか光っているものを使わないで、レンガ
を使うとか、ボールパークの中に木を植えるとか、
アオダモを入れるとか、なるべくそういうものにし
たいと思いますので、自然さを大切にして、やっぱ
り宮城に相応しい球場を作りたい。だから、これが
ボールパークなんです。
(渋澤)五感で受け止めるということですね?
目
で見て、耳で聞いて、匂いをかいで。そう考えればいいわけですね?
(キーナート)その通りです。
(渋澤)それで、もう一つ。砂かぶりと言われている席なんですが、あれは目線にグラウ
ンドを合わせるんですか?
(キーナート)そうですね。下に座って。今いくつかのアメリカのボールパークにありま
す。新しい席を作っていろいろな角度から見ることができる。例えばさっきも言ったよう
に、外野の公園から見える。砂かぶり席も下から見ることができる。あるいは、内野席に
ぐーっと出ているYahooBBスタジアムと同じように、少しグラウンドを出して、本当に
選手とお客さんの間の距離感がない、選手は手を出したらすぐそこにいるという感じのも
の、だから、ファンとプレイヤーの間の距離感のない環境を作りたいんです。
(渋澤)その場合に窓はどうするんですか? ネットだけですか?
(キーナート)別の人が作っているので、私は全部の造りはわからないんですが、確か窓
です。
(渋澤)あのね、窓を閉めちゃうとね、臨場感が全部薄れちゃうんですよ。
(キーナート)あっ、そうですか。(笑い)
(渋澤)ええ(笑い)
(キーナート)確か窓ですね。
(渋澤)あぁそうですかー。
(キーナート)けれど、確かじゃないかもしれないので、ごめんなさい。
(渋澤)わかりました。あの、もう一つお願いがあるのは、日本ティーボール協会は東北
六県にどんどん連盟を作って、子どもたちにそれこそ楽しい野球を指導していこうという
気持ちでおりますので、今後そういう子どもたちに対して、楽天ゴールデンイーグルスか
らどのようなお力を貸していただけるでしょうか?
(キーナート)はい、わかりました。もちろん子どもたちがね、うちの将来のファン、う
ちの将来の選手だと思いますので、全ての東北六県のティーボール協会を応援したいと思
います。だから、クリニックがあるときとか試合があるときに、なるべくうちのプレイヤー
が行くように、そういう特別な時は送りたいと思いますので。私も行きたいと思いますし、
-2
4
-
本当に東北六県のティーボール協会になるべく、できるだけ協力したいと思います。やっ
ぱり将来、まぁすぐにでもうちのファンになってほしいし、その中からティーボールの卒
業生がうちに入ってもらえるようにしたいと思います。
(渋澤)そして、最後なんですが、マーティーさんの得意のお言葉は、T
・E
・A・Mですね。
これが、マーティーさんがこれからゼネラルマネージャーとして楽天イーグルスを率いて
いく場合にも、当然一体となる言葉になるんじゃないかと思うので、そこを皆さんによく
わかるように説明していただけないでしょうか?
(キーナート)わかりました。今まで日本の野球界の場合は、はっきり言って、「チーム」
は足りなかったんですね。これはちょっと皆さん矛盾であると思うかもしれませんが、本
当にプロ野球の場合は今まで一緒になっていません。だから一緒にならないとだめですね。
それは野球界もトップからボトムまでみんな一緒にならないとだめですよ。チームの場合
はその頭文字、T
・E
・A・Mを考えると非常に面白い言葉があるんですよ。英語の場合は、
こ れ は 英 語 の レ ッ ス ン の つ も り で や っ て い る わ け で は な い で す け れ ど、T =
Toget
her
nes
s
=一緒に引っ張る。だからチームの場合は一緒に引っ張ることが大切なん
ですね。Eのほうが、一番ポピュラーなものが、E=Ent
hus
i
as
m=情熱、もう一つの意
味は、Es
t
eem=尊敬。やっぱり、ファンもプレイヤーもみんな情熱がないとだめですね。
それにもう一つ、一緒にプレイする人達がお互いに尊敬できない、あるいは上司が尊敬で
きないとか、コーチが尊敬できない、あれはやっぱりだめですね。だから、情熱と尊敬が
欲しいです。そして、Aのほうは、At
t
i
t
ude=心構え。正しい心構えが欲しいですね。やっ
ぱり、時々正しい心構えを持っていない人、いばっている人とかいるじゃないですか。やっ
ぱり正しい心構えが欲しい。これはやっぱりいいチームになりますね。そして最後に、M
は、Ment
alt
oughnes
s
=強い精神力です。辛い時もありますね、全ての試合に勝てるチー
ムはないですね。だから、負ける時、ベストを出してファンが喜ぶような野球をうちのコー
チにはやってもらいたいし、もちろんアマチュア野球でもそうなんですよ。辛い時もあり
ますけれども、その辛い時を乗り越えてやっぱりいいチームを作ってもらいたいんですよ。
プロの場合もアマチュアの場合もそうなんですね。だから、T
・E
・A・Mの場合は、本当は
チームの場合を考えると、今まで日本のプロ野球は足りなかった。時々アマチュア野球も
足りない場合がある。だから、いいチームワークによって、絶対本当にいいものが作れる
ので、いいチームをつくると楽しいですね。
(渋澤)そうなることをぜひ期待しておりますので。
(キーナート)今、ティーボール協会は一生懸命頑張っていますので、こういういい「チー
ム」を子どもさんたちがやってもらえるように、そして将来いいプロになって絶対東北楽
天ゴールデンイーグルスに入ってもらえるようにお願いしたいと思います。
(渋澤)よろしくお願いします。
(キーナート)よろしくお願いします。
(渋澤)ありがとうございました。
(キーナート)ありがとうございました。
(吉村)楽天イーグルスの活躍を心から祈っています。
(キーナート)ありがとうございます。本当に頑張ります! ありがとうございます。
(渋澤)私は一言、徹底的に頑張ってください。
(キーナート)わかりました! 頑張ります! ありがとうございます。
-2
5
-
(ビデオ上映終了)
(渋澤)講師の先生方がご登壇になっ
ております。はじめに、先生方を手短
にご紹介したいと思います。
皆様から見て左側が荒川先生でござ
います。荒川先生は早稲田実業、早稲
田大学を経て、19
5
3
年に千葉ロッテマ
リーンズの前身である毎日オリオンズ
に入団、1
9
6
2
年に読売ジャイアンツの
バッティングコーチに就任して、当時
の王選手と一心一体になり、ついに王
選手を世界最高のホームランバッター
に育てたことで有名でございます。そ
の後ヤクルトスワローズのバッティン
グコーチ、監督を務められ、現在日本
ティーボール協会副理事長の要職に就
いておられます。荒川さんは、王さん
を「努力の天才」と評価いたしました。
本日はその慧眼から、楽天ゴールデン
イーグルスの現在の戦力などについて
お話をいただけます。
そのお隣は、谷澤健一先生でございます。先ほども一番手で登壇なさっております。谷
澤先生は早稲田大学から19
7
0
年から中日ドラゴンズに入団。これまた努力一筋でドラゴン
ズの主力選手になり、2度の首位打者、20
0
0
本安打を達成して、名球会入りを果たしてお
ります。日本ティーボール協会顧問、そして20
0
4
年、早稲田大学客員教授になっておられ
ます。本日はドラゴンズ時代の親友であります田尾監督のお人柄、そこから想像される戦
略、戦術等に愛情の目を注いでいただきます。
そのお隣は、山口東京理科大学講師の、扇原淳先生でございます。先生は東京理科大学
から筑波大学、順天堂大学へ進み、医学博士となられました。これまた努力の人でありま
す。専門は公衆衛生学であります。その後、早稲田大学人間科学部の助手に転じ、現在に
至っております。先生にはもう一つの専門分野である、福祉情報の視点でIT産業の担い
手の一人として、プロ野球参入を果たした楽天ゴールデンイーグルスにかける期待、役割、
そしてティーボールとの今後の連携についてお話をいただきたいと思います。
さて、そのお隣にはいかにも若々しい男性、女性がお二人いらっしゃいます。カップル
ではございません。
(笑い)男性は楽天ゴールデンイーグルスがファームチームのフラン
チャイズとなった山形県の出身で、山形県立山形南高校から早稲田大学教育学部社会科へ
進み、現在学生最後の4年生、安達信彦さんでございます。女性は楽天ゴールデンイーグ
ルスが舞い降りて、フランチャイズとした宮城県の宮城県立第二女子高校のご出身で、早
稲田大学政治経済学部国際政治経済学科1年の藤野敦子さんでございます。お二人は共に
日本ティーボール協会の学生研究員として活動しておりますが、本日はまだ見ぬ楽天ゴー
-2
6
-
ルデンイーグルスへの夢を語り、肌で感じた地元の期待感、経済効果等について手短にご
報告をお願いいたします。
お待たせいたしました。では、荒川先生からご発言ください。(拍手)
(荒川)荒川です。楽天の戦力と言いますか、楽天はどの程度活躍するかということで、
先日くらいから渋澤さんと話しているんですけれど、私は全くゼロに近いんじゃないかな
と、皆さんがっかりするんじゃないかなと思うけれども。このメンバーを見ますと30
歳以
上が2
5
人いるんですよ。若手がほとんどいないんです、10
代が。やはりこれから作るチー
ムですから即戦力はどうしても必要ですけれども、じゃあその即戦力はどれくらいいるか
と言うと、みんなあちこちのクズばっかりなんですよ。近鉄、オリックス、それも弱いと
ころのクズばかりなんだ。これには腹立つね。それでたまたま阪神とか、横浜とかから来
てると思ったら3
7
歳とか3
8
歳。これはもう絶対使い物にならない。谷澤の方がよっぽどい
いや。
(笑い)まあそういう具合でもって、じゃあ何に頼るかって言ったら外人以外にない
んですよ。その外人がヘボばっかりだ。見てないけれどわかるんだ。これはね、私がヤク
ルトの監督をやっていた時分にですね、やはり外人を獲るのに枠があるんですよ、チーム
としての。今ホークスになった孫さんのとこのね、ソフトバンク。これはね、ゼロを1つ
増やして1人5億円までいいやなんて言ってましたね。ダイエーの時には外人1人獲るの
に5
0
0
0
万だったんですよ。それが今もう10
倍になったんです。5億の選手だったら最高の
が獲れますよね。私がヤクルトの監督の時には年俸が2
5
0
0
万でしたよ。年俸25
0
0
万までは
とっていい。でも監督よりは3倍くらいは高かったね、不愉快だけど。それくらい監督は
安かった。それでもろくなのが来なかった。最後に私はマニュエルを入れましたよ。とに
かく、外人を獲らない限りこの楽天は絶対強くなりません。だからそれこそ孫さんじゃな
いけどITで景気がいいんだったら一つゼロを増やさなくちゃいかん。そして、やはりス
タープレイヤー、看板になる選手が3人、5人いなくちゃだめです。一場と岩隈だけじゃ
-2
7
-
勝てっこない。出て勝つって言って
もね、1
0
勝か1
5
勝ですよ。一場なん
てわかりゃしない。岩隈だって難し
いと思う。じゃあ誰が勝つんだ。そ
れ以外では打線が悪いんだから勝て
るわけがない。5
0
勝できるかどうか。
これ甘く見てですよ。5
0
勝できな
きゃ 3
5
勝、もうお荷物ですよこりゃ。
近鉄ができたとき、国鉄ができたと
き、一番最悪の高橋ユニオンズがで
きた時と同じかもしれない。だから、
三木谷さんが偉そうなこと言うん
だったらもっと金を出せ、金がいく
らでもあるんだったらつぎ込めと。
グラウンドにつぎ込まなくたってい
い、まず選手につぎ込めとキーナー
トに言いたかったね。あいつ今日来
てないから言えないけど、我々の仲
間だ。仲間だからこそきつく言って
やりたい。甘く考えるなと。もう5
分経ったけどいいかな? まあそう
いう具合でですね、少し悲観的ですけど、でも三木谷さんがね、ITでどんどん金を儲け
て、
儲けた金をどんどんつぎ込んでくれて。自分の名前だけ売ったんじゃ意味ないの。せっ
かく仙台に作ったんだから、やはり東北の場合は春のうち、また秋はどうしても寒い。そ
れから雪も降るかもしれない。だから室内が欲しいですよね、ドームが。まずドームを作
る計画。これを早くしなくちゃいけない。今あるグラウンドを直したって大したことない
じゃない、入りゃしないんだからお客さんが。3万いくらしか入らないですよ、あのグラ
ウンドは。壊れかかったグラウンドですからねあれは。あんなとこなんぼ直したって意味
ないんだ、なんぼ金かけても意味ない。それより新しい球場を早く目当てをつけて、そし
てまずはじめに、日本人のいい選手は獲れないんだから、外人を獲って、そして主力を外
人にして固めてもらいたいと、私はそう思います。(拍手)
(渋澤)ゼロを一つ増やせ、金を選手につぎ込め、甘く考えるな。荒川さんからは楽天に
大変厳しいお言葉を頂戴いたしました。ありがとうございました。ではお隣、谷澤さんお
願いいたします。
(谷澤)田尾君が初めて監督をやると。私と中日時代10
年近く同じ釜の飯を食べたわけで
すけれど。近鉄とオリックスが合併した球団の仰木さんとは非常に立場が違う。非常に新
鮮味がある。田尾君の人となりをちょっとお話したいと思うんですけれども、彼は非常に
行動力豊かというか、みんなの中に入って、どんどん選手と同じように体を動かして、一
緒に努力する、そういうタイプだと思うんですけれども。ちょっと変わったところもあり
-2
8
-
ましてね、中日ドラゴンズに彼が入ってきたところに、品川の宿舎だったんですけれども、
私と同じ部屋だったんですね。朝早く起きて、彼はもう部屋にいないんですね。昼ごろ部
屋に帰ってきてですね、(谷澤)「お前どこ言ってたんだ」(田尾)「いや、東京は初めてだ
から、品川の駅で入場券を買って山手線を一周してきた。」と。まあ、そういうようなこと
をやる人間というか。それから、彼が中日で選手会長をやっている時に、非常に球団に人
一倍ものを申すわけですね。ジャイアンツと優勝争いをしている時でも報奨金がでない、
もっと出せと。出さないから球団はだめなんだというようなことを積極的に私の目の前で
球団とやりあうわけですけれども。それが言い過ぎたあまりに西武にトレードに出される。
西武でもまたちょっと株に夢中になってまた出されるというかな。彼は、顔は非常に温厚
だけれども、金銭的には非常にしっかりしている。今度楽天の監督になって、GMは非常
に苦労するんじゃないかなという感じはしますね。GMがクビになるか、監督がクビにな
るか、どっちが早いか知りませんけれども。でもそれくらい積極的に彼は動きをとる男だ
と思うんですね。1つね、私は田尾君に監督として、こういうことをやってほしいと思っ
ているんだけれども。先ほど荒川さんがクズだとかいろいろ言っていましたけれども、ク
ズはクズなんですけれども、楽天というチームの主軸は、合併球団がプロテクトした選手
の余りですよね。それがベテランを含めて2
0
数名いるわけですけれども、球団がなくなっ
たという一つの精神的ダメージといいますか、トラウマになっている部分があるんですよ。
この選手たちをどうやって戦う場に持ってくるか。この辺の言葉の使い方、コミュニケー
ションのとり方、これは非常にポイントになると思いますね。ただでは動かん選手もいる
でしょうし、その辺をどうやる気にさせていくか。若い選手は言わんでも鍛えればやると
思うんですけれど、中堅からベテラ
ンに対してはその辺の気苦労が非常
にあるなという思いがしております。
それとですね、楽天というと非常に
クリーンな、入りやすい球団だと思
うんですけれども。東北六県、楽天
は宮城球場が本拠地ですけれども、
今日きていらっしゃる中でも、東北
弁っていうのに劣等感を持っている
方がいらっしゃると私は思うんです
けれど、それをもっと全面に出す人
を球団の広報あたりにつけてほしい
なと思うんですよね。今現在、楽天
の宮城球場で入っている業者は宮城
の業者じゃありませんしね。もっと
地元を優先させるような物、人、そ
ういう動きをとってほしいと思いま
すね。つまり、青森県にね、面白い
人材がおるんですよ。名前がね、伊
奈かっぺいというんですよ。続けて
読むと「いなかっぺい」なんですけ
-2
9
-
ど。そういうコメディアンみたいな人がいるんですよね。そういう人を広報マンとして前
面に出してね、言葉の劣等感をどんどんなくしていく。そうしないと、東北地方には楽天
も入っていけないんじゃないかと思いますね。私も田尾君には期待しておりますし、マー
ティーにも期待しております。一つここで、GMという日本にはまだまだ、広岡さんがは
じめてGMということでロッテを率いましたけれども、GMって何するんだろうと、わか
らない野球ファンがたくさんいると思うんですね。このGMの語源を、はっきりとマー
ティーが示していただきたいなと。私の後輩であるオリックスの中村君もGMやってます
けれども、日本にこの言葉が定着するような立派なGMになってほしいという期待感を込
めたメッセージを送りたいと思います。以上です。(拍手)
(渋澤)ありがとうございます。これはやっぱりですね、直すのに大変でした。今でもサ
行がうまくいかないんです。だから、私の名前も「シブサワ」なんですが、
「シ」がうまく
ぬけないんですね。それで「スンブサワ」と、こうなっちゃうんですね。それで非常に悩
んでですね。前のコミッショナーの川島さんは、彼は会津若松の会津の出身でございまし
て、これは私の何十倍もの輪をかけた東北弁なんです。それで、彼は内務省に就職したん
ですけども、たった一つのお願いがあるということが、関東から向こうに出さないでくれ
と、もう埋もれてもいいから東北、北海道、東京までにしてくれと、これ以上もう東北弁
で恥をさらしたくないというような方だったんですね。今でも夜中遅行なんですね。よう
やく恥じないで元気にコミッショナーの任を全うしました。それほどやっぱり言葉は重要
でございます。またこういうことをやっぱりマーティー・キーナートにお伝えしてですね、
そういうような教育もしていただこ
うと、このように思いました。
では、お隣の扇原先生、お願いいた
します。
(扇原)それでは、山口東京理科大
学の扇原淳と申します。普段は公衆
衛生学とか疫学とか、あるいは福祉
や情報をキーワードとして研究、教
育を行っています。喘息児をはじめ
とした慢性疾患を抱える子どもたち
に対するティーボールの指導をした
経験もございます。本日はITとか
情報といった視点に加えて、ティー
ボールに関わっている人間として、
それと一野球ファンとしての立場か
らコメントさせていただきたいと思
います。
まず、本セッションのタイトルに
答えるとするならば、現時点でも先
ほどから辛いコメントばかりであま
-3
0
-
り向こう側を向いて話せないんですけども、現時点でも楽天はプロ野球を変えている、あ
るいは変えられる、盛り上げてくれるという期待感を私自身は抱いております。それはど
んなところから感じるか、と申しますと、その期待感というのは次の3つからあります。
まず1つは、皆さんご存知のようにインターネット事業での実績が楽天にはすでにござ
います。2つ目は、Jリーグ、ヴィッセル神戸での実績がございます。そして3つ目は、
新聞やテレビの報道にもあります通り、新しいファン層の掘り起こし戦略をすでに楽天が
とっている、というこの3つでございます。まずインターネット事業でのノウハウを使っ
て、おそらくメールマガジンとか携帯サイトを充実することで今後、テレビ中継とかスポー
ツ新聞を情報源とする、昔に野球が好きで好きでたまらなかった、プレー経験したという
いわゆる昔の野球少年、私も含めてですが、私よりも上の世代の親父世代ではなくて、テ
レビゲームとかインターネット世代の、野球に限定しないスポーツ好き、スポーツ観戦好
きへの情報発信、ファン層の拡大を期待しています。さらに「楽天市場」などいろいろあ
りますが、そういったインターネット市場で、例えばグッズ販売、インターネットオーク
ションによっても球団収益といった視点だけではなくて、世間の注目度、認知度のアップ
が期待されます。すでに先ほどからありますように、宮城球場の砂かぶり席というのが、
ペアの年間シートがネットオークションで16
2
万3
0
0
0
円という金額で落札されたことをす
でにご存知だと思います。1
6
2
万3
0
0
0
円で落札された凄さもありますけども、それがそれま
でのテレビとか新聞に取り上げられる機会も非常に増えている、ということがあります。
2つ目です。先ほど言いましたヴィッセル神戸、ご存知の方もいればそうでない方もい
らっしゃると思いますけども、楽天が経営を引き継いで去年で一年間になりましたけども、
観客動員数で1試合平均4
0
0
0
人以上
も増やしたことがあげられます。昨
年1試合平均1万57
3
5
人をヴィッセ
ル神戸はあげています。あの人気の
東京ヴェルディよりも多い数字です。
またこのヴィッセル神戸のホーム
ページサイトの携帯サイトでは、こ
こでしか読めない選手のインタ
ビューや日記、あるいはテクニック
の動画配信を携帯電話のサイトに
送っています。大学生はもちろんで
すけども、今は小学生も携帯電話を
持つ時代です。このシステムを使っ
て、岩隈選手とか一場選手の今日の
あの場面の快心の一球、あるいは失
敗の一球に関するコメントとか、変
化球を投げるポイントなんていうの
が動画配信されてきたら、子どもた
ちは間違いなくワクワク、ドキドキ
しながら携帯電話の画面に注目する
と思うのです。また話題作りや実行
-3
1
-
力も、ヴィッセル神戸の時もありましたけども、20
0
2
年のサッカーワールドカップで活躍
したトルコ代表のイケメンサッカー選手のイルハン・マンスズ選手を獲得したことでも実
証済みです。ただイルハン選手はほんの数試合でけがのために退団してしまいました。が、
ゴールデンイーグルスにはアメリカで球団を経営をされた、先ほどもビデオに出ましたけ
ども、多くの実績と高い見識と人脈をもつマーティー・キーナートゼネラルマネージャー
がいらっしゃいますから、そういった心配はいらないと私は考えています。
最後の3つ目、新しいファン層の掘り起こし戦略ですけども、公式ファンクラブの創立
に先立って宮城県の浅野知事をはじめとした東北六県の知事や、俳優の西田敏行さんなど
東北にゆかりのある著名人による名誉創立会員22
名を本拠地の開幕戦となります西武戦に
招待することをすでに発表しています。また、新聞報道ですけども、2軍選手が市民の自
宅で寝泊りするようなホームステイ計画も発表されています。こういったこれまでにない
地域密着戦略をとっています。こうした戦略をとることによって、東北六県の住民、自治
体、企業がゴールデンイーグルスを応援しようという雰囲気が広がったように私自身は感
じています。現に宮城県は、県営球場での試合でゴールデンイーグルスが小中高生を無料
招待した場合、座席数に相当する球場使用料を無料にすることを発表し、球団を財政面で
支援することを決めています。さらに、ここは結構重要だと思うんですけど、球団の公式
応援歌を「モーニング娘。」が歌うことがすでに決まっています。すでに歌っているかとは
思いますけども、テレビをはじめとしたメディアへの露出度、注目度、球場で「モーニン
グ娘。」が行うファンサービスなどは、新しいファン層の獲得という意味では非常に効果が
高いと思っています。こうしたことでもすごく私は期待しているんですけども、さらに
ティーボール協会のメンバーとして私が付け加えるとすると、宮城球場で「モーニング娘。」
対ゴールデンイーグルスの選手でティーボールの試合を行ってもらうとか、あるいはゴー
ルデンイーグルスの選手の子どもたちへの野球技術ショー、野球塾等がおそらく行われる
と思うのですが、その間や後に一緒に来たお母さんをはじめとした保護者とか野球少年の
お姉ちゃんや妹とか弟、あるいはおじいちゃんチーム対ゴールデンイーグルスの選手の
ティーボールの試合をやっていただけることが可能であれば、やっていただきたいと思っ
ております。そうすると、野球をする人、応援する人、見る人、語る人が増えて間違いな
く野球の底辺拡大につながると考えています。以上です。(拍手)
(渋澤)ありがとうございました。荒川先生、谷澤先生のお話とはちょっと趣きが違うの
でだいぶ遠慮ぎみにお話になりましたけども、つまるところ楽天は現在もすでにプロ野球
を変えているということですね。やはり、その1番目はインターネット事業の実績、それ
からJ
リーグ、ヴィッセル神戸での実績、それから新しいファンの掘り起こし、こういう3
つの条件がかなってすでにもう変えているということでございます。そのようなご理解で
次へまいります。どうぞ。
(安達)先ほど、谷澤先生がおっしゃられましたように私も東北弁にちょっと劣等感があ
りますので標準語でしゃべらせていただきます。(笑)
私は、楽天に対する山形県民の期待感と夢ということでお話させていただきます。山形
県にも当然期待感というのがありまして、おそらく東北六県の県民すべてがゴールデン
イーグルスのファンになると思います。だからこそ私がお願いしたいのは、東北の全域で
-3
2
-
ぜひどんどん県民と交流を持ってい
ただきたいということです。先ほど、
2軍の選手がホームステイする計画
があるということをお聞きしまして
本当に大変うれしく思っています。
幸い1月8日の日刊スポーツに出て
いたのですが、楽天ゴールデンイー
グルスがファンとの距離をなくす
「ゼロディスタンスデー」というの
を恒例行事にする計画を進めている
ようでして、こちらに記事がありま
して、
「1軍選手を二人一組にして1
4
組に分担、名刺も作り東北六県と仙
台市の担当制にして学校や施設を訪
問する。シーズン中もデーゲーム後
や移動日、休日を利用して年間10
回
以上をノルマにする。東北各地を楽
天選手が駆け巡る」。こういう記事が
ありました。大変良いことだと思っ
て、ぜひ実行していただきたいと思
います。
ティーボール協会の10
年以上の努力によって、ティーボールはもちろん山形県にも広
がっています。先日、私が教育実習でお邪魔しました母校の中学校では、ソフトボール部
が、こちらで2年ぐらい前にカラーコーンのてっぺんを切り抜いたティーというのを使っ
てティー打ちをしたと思うのですが、それを実際に使ってソフトボール部が練習していま
した。それは本当にティーボールが山形県にも広まっている証拠だと思っています。その
ような例もありまして、ティーボールの普及によって野球の底辺はじわじわ拡大している
と思います。それにプラスしてプロ野球選手といういわば上からの働きかけがあり、それ
を両輪にして回していけば野球人口はより拡大していくと思っています。したがって、楽
天ゴールデンイーグルスには「ゼロディスタンスデー」をより強く押し進めていただきた
いと思っています。以上です。(拍手)
(渋澤)ありがとうございました。たぶん山形県民の大部分の人がファンになるであろう
と。楽天のファンということは結局もっと広げればプロ野球のファンを獲得するといこと
ですので、大変面白い見方であろうかと思います。また、分担制で野球教室を行い東北各
地を回るということも今までの日本の球団には無いユニークなプランだと思います。また、
ティーボールの普及が野球を盛り上げるという今のご説明は全くその通りでございまして、
我々も拳拳服膺しながらティーボールの普及に努めてまいりたいと思います。
では最後になりましたけども藤野さん、どうぞ。
(藤野)はい。私は一応政治経済学部生ということで楽天が与える経済効果などの面から
-3
3
-
ということなんですけども、そこま
で経済分野にまだつくしていないの
で、現在の仙台を中心とした宮城県
の状況について少しお話させていた
だきと思います。
プロ野球の新球団がやってくると
いうことで、仙台市を中心に宮城県
では大変な盛り上がりを見せていま
して、地元のメディアでも連日楽天
についての特集などが報道されてい
ます。地元の新聞でも「東北プロ野
球元年」と題した特集が毎日なされ
ていたり、テレビでも毎日のように
特集が出されていてあまり野球に関
心の無い人でもとても新球団に関心
が持てる環境が整っている状況だと
思います。それで地元の商店街など
でもすでに4
0
以上の応援団体の組織
作りが進められていまして、ファン
の拡大にすごい力が注がれていると
いったことが身にしみて感じられま
した。そういった商店街における今後の経済効果は、どんどんこれからも大きくなってい
くんだろうなと感じました。それから、テレビで毎日報道されたりすることによって、興
味を持った人たちがどんどんファンとしてそういった団体に参加していくことで、今とて
もファンの人口が拡大していると聞いているので、これからシーズンが始まっていくにつ
れてもっとファンの人口も増えていくのかなと感じました。それに答えるように、先ほど、
安達さんがおっしゃったように、選手や地元の人たちとの交流が非常にさかんに行われて
おり、仙台市や宮城県を中心としたイベントや講習会などに監督や選手が積極的に参加し
ておりまして、例えば、光のページェントの点灯式や地元の少年団の野球の講習会に積極
的に選手などが来てくださいまして、選手と地域の住民が非常に近い状況で接していると
いうことが実現されているので、これからもそういった機会をどんどん増やしていくこと
によって地域密着型の「みちのく仙台」らしい球団を作っていってほしいと思いました。
以上です。
(渋沢)ありがとうございました。藤野さんは、地元のメディア、新聞、テレビなどがど
んどん特集を組んでいっているので大変盛り上がっている、といううれしい報告でござい
ました。また、商店街でも4
0
以上の大きな組織ができていて街全体が盛り上がっていると
いうことでこれまた私たちにとってはうれしい報告でございました。ありがとうございま
した。
一応これで講師の先生方のお話は終わりましたけども、先生方のお話に関連して質問時
間を1
0
分ほど設けたいと思いますので、ご質問がございましたら遠慮なく手を挙げて先生
-3
4
-
方にお尋ねください。
(鈴木)遠慮しないで質問してください。
(質問者)1つ、荒川先生にお尋ねします。先生のお話で「選手に金を出せ」ということ
を言われましたが、果たしてこれを球団が持つのか、また今まで昨年度はダイエー、西武
が成績が良かったけども、球団自体がガタガタしているような状態です。それからもう1
点は、
「主力を外人で」ということを言われましたが、私は外人を主力でということではな
しに、例えば、クリーンアップを外すとかいうようにした方が良いのではないかと。と言
いますのは、今まで高校駅伝は外国人が出て前半飛ばしてしまって面白くありません。ま
た大相撲にしてもこの頃は外国人が上位ばかりに出ています。実業団駅伝につきましては、
主力のところは外国人をこの頃は外すようにしています。そういうことで、都道府県の駅
伝につきましては女子が1
6
日に行われましたが、ここは非常に面白かったと。また明日男
子が行われますが、1
6
日の女子の試合は外国人が走っていなかったので非常に見応えが
あったように思います。以上です。
(荒川)今外国人の話になりましたけども、私はキーナートが2年、3年でもってAクラ
ス、3年目には優勝だと言っている。じゃあ優勝するためにはどうしたらいいかと言った
ら外国人以外いないんですよ。今、良い選手を獲ろうとしても獲れっこない。それと誰も
出しっこないんです。名選手は。だからそういうふうだったら、お金出して外国人選手を
獲る以外ないと。だからこれは現在のことを言っているのであって、将来はやっぱり私に
言わせれば、2軍の充実ですよ。3軍があってもいいくらいで。15
歳位からもう仕込んで
いくというようなことも必要だと思うんです。だから、朝青龍も強くていいんじゃないの
かなと思うけども、そしてそれに対してもっと日本人が努力しなくちゃいけないというこ
とですよ。外国人が来て出稼ぎしているのだから、日本人はもっと努力しろ、と相撲界に
言いたい。野球界でもそうですよ。イチローにアメリカで勝てる奴がいるかっていったら
いないですよ。バッティングでね。日本というのは技術的には絶対うまいんですよ。みん
な教え方もうまいと思います。だから育てるまで外国人で補えと。金があるのだったらで
すね。三木谷さんは金があるんで新しい球団を持ったわけだから、それなりに金を使え、
と私はそう言っています。
(谷澤)私は、ここ7、8年の、お金の話ばかりで何ですけども、12
球団の各球団ごとの
平均年俸を調べたことがあるんですよ。その平均年俸が成績にどう反映するかということ
を統計とったら、だいたい平均年俸30
0
0
万円。ちょっと高いかもわかんないけども、この
チームはBクラスがないんですよ。この7、8年統計とると1チームもBクラスがない。
1チームというのは6
0
人、7
0
人いますから、平均年俸2
0
0
0
万円台のチームは必ずBクラス。
それが数字に出ています。楽天の外国人を含めた、外国人はまだ年俸が出ていないのかな、
平均年俸をみると、20
0
0
万円ちょっと超す程度なんです。明らかに言わなくてもわかるよ
うな成績が出てしまう。ジャイアンツは平均年俸が60
0
0
万円となっているんですけども、
ここも3億円の選手が1人、2人休めば平均年俸がぐっと下がるわけで、だからそんなに
いらないわけですよ。平均年俸5
0
0
0
万、6
0
0
0
万円も。30
0
0
万円さえ平均年俸あれば、Aク
-3
5
-
ラスは確保できる。そんなデータも
ちょっと参考にしてください。
(渋澤)おわかりいただけたでしょう
か。よろしいですか。ちょっと時間が
まだございますので、他に誰かござい
ましたらどうぞ。
(質問者)私も今度新規参入の楽天が
仙台に来るというのですごく期待して
いるのですが、扇原先生にお聞きした
いのですが、ITのほうで今すごく浸
透しているという話ですが、やはり僕
個人的に考えるのは、デジタルの部分
よりもアナログの部分であって、例え
ば選手とファンがすごく近い距離で、
先ほどもお話にありましたが、それが
ベースになった上でのITであればい
いんじゃないかと思うんですね。私も
小さい頃に宮城球場に、ロッテオリオ
ンズがあった時に何試合か見に行きま
したけども、その現場で選手の体つきから何から見れてすごいなと影響受けて、野球は好
きですけども、そういうのを今度自分の子どもに伝えたりとかというアナログ的な部分と
いうのがベースにあってのITかなと思うんですね。
あとはちょっと話変わるのですが、先生方に、マーティー・キーナートさんにお願いし
たいのですが、ロッテオリオンズが急に川崎の方に移転しまして、東北の人間としてはす
ごくさびしい思いをしたので、ぜひ仙台の方にずっといてくれるようにお願いしていただ
きたいと思います。よろしくお願いします。(笑)
(扇原)もちろん私も、今までの球場に足を運んでもらうというのが大前提になりながら、
というふうに思っています。ただ、昨今、格闘技のブームだとかいろいろありますよね。
彼らも元々格闘技が好きだったわけではなくて、インターネット、デジタルで配信された
りスカイパーフェクトTVで配信されたりと、そういった部分からメディアに乗りながら、
ネット中継でも見るけれども実際に肌で感じてみたいというところにも必ずいっていると
思うんですね。ウェブ中継だけがIT技術を使っているのではなくて、先ほども言ったよ
うに、ウェブ中継で得られるものというのは、これから権利・放映権などの色々難しい問
題もあると思います。放映権料も無限に獲得できるわけではございませんので、それ以外
はグッズ販売とかですね、そのプラスアルファの部分でIT技術とか情報といった部分が
もっと使われてファン層の拡大が起こっていくのではないかなと私は考えています。
(渋澤)よろしいですか。もうあと1分くらいしかないんですが。はい、それで最後とい
-3
6
-
うことにしていただきます。
(質問者)それでは簡単に。質問と
いうよりも私の意見です。今の楽天
の当面の状況を見ておりましたら非
常に良いと。ただ名前が先行して実
力が伴わないチームはその行き先が
わかっております。良い例が阪神タ
イガースですね。良い時は良い。悪
い時はみんな一団になってスタンド
がブーイングですね。そういう懸念
があると思うんですけども。ですか
ら初めは良いでしょう。実力が伴わ
なきゃ憎しみが倍になるんじゃない
かと思っております。そういう意味
では荒川先生と同じような意見です。
(渋澤)ありがとうございました。
十分にテイクノートしましてまた
マーティー・キーナートさんにもお
伝えしたいと思います。これで質問
も終わりまして、そろそろ時間も迫ってまいりました。そこで本日のフリーディスカッショ
ン「楽天はプロ野球を変えられるか-その底辺拡大は-」をまとめてみたいと思います。
マーティー・キーナートさんの映像の最後の言葉「TEAM」。「T」は「Toget
her
nes
s
」
で「連帯感、一緒に引っ張る」という意味でございます。
「E」は2つありまして、1つは
「Ent
hus
i
as
m」で「熱意、情熱」でございます。もう1つは「Es
t
eem」。これは「尊敬」
でございます。それから「A」は「At
t
i
t
ude」。これは「心構え」ということになります。
「M」は「Ment
alt
oughnes
s
」。「強固な精神」ということです。マーティーさんは、ビ
デオでも申しました通り、
「辛い時を乗り越える良いチームを作ってほしい」と皆様に訴え
ていらっしゃいます。では最後、ゴールデンイーグルスとティーボールの関連となると、
先生方がお話のように、間違いなく普及・進行の合縫になるのではないかと思います。イ
ンターネットのますますの普及により、先ほどの扇原先生のお話のように、野球をする人、
応援する人、見る人、語る人が増え、これまた間違いなく野球の、そしてティーボールの
底辺拡大につながると信じてやみません。長時間ありがとうございました。これをもって
ティーボールセミナーの第1部フリーディスカッションを終了させていただきます。あり
がとうございました。(拍手)
(鈴木)どうもありがとうございました。ここで休憩時間をとりたいと思いますが、15
:5
0
から開始したいと思います。
-3
7
-
フリーディスカッション(2
)
「障害者のティーボール大会を企画・運営して」
(竹地)それではこれからフリーディスカッション(2)に入らせていただきます。テーマ
は「障害者のティーボール大会を企画・運営して」です。司会を協会の常務理事でいらっ
しゃいます、厚木市立林中学校教頭の頼住先生と、協会の顧問でいらっしゃいます、日本
体育大学教授の小川先生にお願いします。それでは先生お願いします。(拍手)
(頼住)皆さんこんにちは。もう皆さん、このセミナーが始まって3時間近く経とうとし
ておりまして、だいぶお疲れかとは思いますが、フリーディスカッションの(2)「
障害者
のティーボール大会を企画・運営して」ということで始めていきたいと思います。今、司会
の方から紹介にあずかりました厚木市立林中学校の頼住と申します。よろしくお願いいた
します。(拍手)
(小川)日本体育大学の小川と申します。
(拍手)それではさっそく、講師の皆さんをご紹
介したいと思います。
左側から、中村薫様でございます。中村様は、
「第1
0
回赤い羽根ティーボール北の甲子園
記念大会」実行委員会事務局長をされました。北海道地区連盟ウイン北広島の監督さんを
されております。
(中村)よろしくお願いいたします。(拍手)
-3
8
-
(小川)引き続きまして、種茂雅之
様でございます。種茂様は、現在野
球評論家をされ、かつて昭和37
年日
本シリーズで優勝されるとともに、
Mos
tVal
uabl
ePl
ayer
(M V P)
の栄誉に輝かれております。ポジ
ションはキャッチャー。元日本ハム
ファイターズ2軍監督、平成12
年ま
での4
0
年間プロ野球界で活躍されま
して、指導には大変な定評がござい
ます。
(種茂)よろしくお願いいたします。
(拍手)
(小川)続きまして、鈴木悳夫様で
ございます。鈴木様は、現在プロ野
球解説者としてご活躍中でありまし
て、日本体育大学においては、今年
から非常勤講師としてご勤務されて
おります。昭和3
8
年に早稲田大学を
卒業されるとともに東映フライヤーズ、現在の日本ハムファイターズに入団され、その後
チーム一筋で3
2
年間プロ野球界に在籍されておりまして、その間昭和56
年には、パ・リー
グで優勝を経験されております。平成6年には総合コーチとしてチームの頭脳となり活躍
されました。また、千葉ロッテマリーンズにも2年間コーチとして在籍されておりました。
(鈴木)よろしくお願いいたします。(拍手)
(小川)続きまして、久保田浩司様でございます。現在、都立南大沢学園養護学校で教諭
をされております。知的障害養護学校一筋で16
年、日本体育大学時代には野球部に所属さ
れておられまして、4年間私といっしょに活動されました。著書に「磨けば光る子どもた
ち」を文芸社から出版されております。バリアフリーの実践を記して谷澤先生より推薦を
いただきました。なお、ソフトボールの監督として、東京都養護学校の大会で11
度の優勝
をされております。
(久保田)よろしくお願い致します。(拍手)
(小川)続きまして、佐藤聖一様でございます。現在、神奈川県立保土ヶ谷養護学校の教
員をされており、現職は6年目でございます。その前は、長く公立中学校の教員をされて
おられました。神奈川県養護学校体育連盟にティーボール部を設立された実績をお持ちで
す。昨年1
1
月第2回養護学校ティーボール大会を開催され、現在にいたっておられます。
-3
9
-
(佐藤)よろしくお願いいたします。
(拍手)
(頼住)本ディスカッションは60
分
間の時間をいただいております。時
間が押しておりますので、多少の前
後はあるかと思いますが、まず、キー
ノートレクチャーとして、講師の中
村先生より1
5
分間のお話をいただき
ます。その後、久保田先生、佐藤先
生のお2人からそれぞれ受けまして、
鈴木先生、種茂先生にそれぞれの立
場から障害者のティーボール大会に
関する補足をしていただきます。そ
の後会場の皆さんから、講師の皆さ
んの話の内容に対する質問や普段か
ら持たれている疑問などをお受けい
たします。
それでは中村先生よろしくお願いい
たします。
(中村)それでは、今日のテーマということで、今日は私北海道の札幌市から車で20
分く
らい行きましたところにある北広島から、8時半の日航の飛行機でやってまいりました。
進め方といたしましては、1
5
分という貴重なお時間をいただきましたので、前段は私たち
の大会のテーマソング、後段は大会で録画されましたビデオをみていただきながら、私の
説明を入れていきたいと思います。さらに最後の5分間くらいで私のボランティアと関
わったいろいろなお話をさせていただいて終わります。
北海道出身の方おられますか? おられませんか?
(会場から手が挙がる)
応援よろしくお願いします。
それでは、テーマソングのほうをお願いいたします。
(テーマソングが流れる)
松山千春さんが著作権料をとらないで、無料で提供してくださりました。曲名は「大空
と大地の中で」です。松山千春と私は昭和30
年生まれで、彼はいろいろと政治的活動を鈴
木宗男という方と一緒にやってらっしゃるんですが、新しい新党ができるということで報
道関係にも発表しているわけなんですが、社会貢献としてこのような形でテーマソングを
寄付していただいております。・・・はい、ありがとうございました。止めてください。
続いて、昨年行われました11
月1
4
日、種茂先生にも来ていただいて野球教室を開催させ
ていただきました。この大会につきましては、市民、企業、行政あくまで市民が大会を運
営するという方式になっております。企業はお金を出す、行政もお金を出す、ただし一切
口は出さないという感じで、民だけのボランティア、特に中高生約5
1
2
名の力で運営させて
-4
0
-
いただいております。では、ビデオを
お願いします。高校生が編集しており
ますので映りが悪いかもしれませんが。
(ビデオが流れる)
大会旗を中学生が持って入場してお
ります。補助員も中学生が主です。ブ
ラスバンドは2校が参加しております。
会場には6
0
0
0
人の人が入っておりまし
た。日本ハムのキャラクターも友情出
演してくれました。
養護学校の代表生徒による選手宣誓
がありました。このときは一般の中学
生も高校生も非常に感動しておられま
したね。
駒大苫小牧高校、昨年甲子園で優勝
したチームのブラスバンドの皆さんに
よる演奏がありました。朝4時に出発
して当会場に着いております。この大
会のための演技と演奏を取り入れてい
ただきました。
「友情と愛」という題だ
そうです。総勢1
1
8
名の方の演奏です。
障害者の方も健常者の方もこれを黙っ
て見ていましたね。セレモニーの後はスタンドに陣取って甲子園と同じようなスタイルで
応援していただきました。この中で選手が競技を行いました。審判は全て高校野球の高校
生です。ボランティアの方で各施設にお弁当を配ったり、いろんな活動で運営を手伝って
いただきました。
日本ハムのマスコットキャラクターはスタンドに入ってサービスをして下さりました。
これも日本ハムから無報酬でやっていただいたものです。
閉会式では、実行委員会の方で応援大賞というものを設けておりまして、障害者と健常
者の結びつきで応援のほうでもティーボール大会を盛り上げていただきました。・・・はい、
ビデオを消していいですよ。
私は2
0
歳で監督になりまして、日本で一番若い監督ということで、日本中で騒がれたと
いうことはなかったですが、北海道の一部では高校を卒業して間もないということで、18
歳の3年生と大して年齢の差もないということで、一緒に頑張っておりました。北広島の
社会人の野球チームということで、私どものチームは全部で5
0
0
名の後援会員のもとで成り
立っております。30
人中2
0
名は地元の企業に就職しておりまして、パートでもなければバ
イトでもなく、正式に就職しております。医療関係から、一般の大手企業、それから中小
企業へも。マスコミで騒がれております通り、欽ちゃんだとか四国の独立リーグだとかい
ろいろと出ておりますが、僕は最後まで継続できるかということが一番の問題だと考えて
おります。私がいつも言っていることは、野球人である前に社会人であれということです。
これを第一条件としてクリアしない限り、自分たちのチームは存続不可能であるというこ
-4
1
-
とをいつも話しております。あとは大会運営に関することですので、断片的に話していき
たいと思います。ティーボールの大会との出会いは、先ほど吉村教授からもお話がありま
した通り、Jリーグが発足してプロ野球機構から底辺拡大ということで、このティーボー
ルはどうかと私たちの社会人野球のほうまで白羽の矢が立ちまして、少年野球または知的
障害者の方に目を向けていこうということでした。なお、この大会は、北広島が10
年前に
開催して、この大会は日本で初めて北海道のほうで開催したということでした。続きまし
て、普及活動に関しましては、知的障害者施設が北海道で約1
7
0
あります。遠いところでは
4
0
0
キロや5
0
0
キロの道のりを車で通わなければならないところもあります。その中で約70
は私たちの社会人野球のチームの3
0
名が何班かに分かれて普及活動をいたしました。あと、
大会の企画なんですが、福祉関係につきましては、いろんな意味で厚生労働省から聖域と
呼ばれた部分にもメスが入って、補助金制度などで見直しがなされた中で、社会福祉法人
の知的障害者施設からお金をとろうというわけにはいきませんので、私どもはまず行政、
それに財団、社団、企業にお金を何とか寄付してくれないかと。こんなご時世に馬鹿言っ
てんじゃないよ、とは表立っては言いませんが、民間の会社は寄付できないということで
した。中でただひとつ上場一部の日赤の北海道支社で、うちの会社は応援できないけどア
テネオリンピックは応援しているんだよね、でも会社のほうでは認めないから親睦会でお
金集めて寄付しますから、大会運営に使ってくださいという会社もありました。なおです
ね、こういう形で大会運営をしていく中で、赤い羽根という冠がついていると企業が嫌う
わけですよ。歳末たすけあいということで毎年企業が寄付するものですから、二重に寄付
することはうちの会社では認められませんという非常に厳しいことを言われます。ですか
ら、赤い羽根の冠をとったらスポンサーになってもいいという大手企業も確かにあります。
それをわたしたちが実行委員会や関係者に相談しながらどのように進めていくかが一番の
問題になってくると考えます。
先ほど町村大臣が偶然にも出てたんですけど、大臣室から無理やり撮ってもらったとい
-4
2
-
うことなんですけど、急遽出れなくなったのは、日曜NHK9時からの政治討論会に、本
当の話なんですけど、誰かが鶴の一声で「お前はそちらに出なさい」って言ったらしいん
ですね。鶴の一声って誰だったのかなと思いまして、僕が「総理大臣ですか?」と聞いた
ところ、秘書の方が「そうだ!」と言ってくれましてね、これはまあ仕方ないなと思いま
した。私はそんなレベルではないんですけどね、一票は持っていますから。
あとはですね、企業の協力といたしまして、こういうポスターがあるんですけど、地元
のJR北海道の駅にあるんですけど、そこの社長さんに自ら手紙を書きまして、主要な駅
に全部貼ってくれないか、ということで2
0
駅全てに貼っていただきました。ですから日本
ティーボール協会もですね、山手線の切符売り場のところにでも貼っていただけたら最高
じゃないかと。こんな大会がある、と。やってやれないことはない、ということでやって
いただきたいと思います。
なおですね、ティーボールの用具に関しまして、ひとつ私から吉村教授に提案がありま
して。今回の大会も札幌聾学校という難聴の子どもたちが出てきたんですけど、そのなか
に非常に感動した競技運営の中がありまして。耳が聞こえません、耳が聞こえないという
ことは、監督からゴーとかストップというサインが聞こえません。どうやって送るのかな、
と見ていたら、ちょうど聾学校の監督がうちの選手だったものですから、白と赤の旗で、
赤がゴー、白がストップ、とそうやってサインを送っているんですね。その辺もですね、
特殊支援という関係の分野ことで、厚生労働省・文部科学省も目を光らせておりますし、
何らかの形で日本ティーボール協会が絡んで、各企業とこの辺の用具の開発を、盲学校の
皆さんの部分も含めて、なんとかいい方向に開発をしていただけたら、新たな展開が進む
んじゃないかと思います。
あとはですね、このような大会の中で気楽にやることによって参加型社会が形成されて、
実行委員会が、常に私たちが言っていること、3つのネットワークといいまして、チーム
ワーク、
フットワーク、ネットワークを利かせて動きなさいと。そして互いに知的障害者、ま
-4
3
-
たは知的障害者の保護者、またはそこの施設、養護学校、特殊学校の皆さんたちとの関係
の中で、送り手と受け手がイコールでなければいけない。だから押し付けてもいけないし、
受け手である養護学校、特殊学校から要求されても困る。イコールでなければいけないと
いうことを常日頃から言って、実行委員会の中で、各中高生のほうから望んで大会運営に
当たっていただいております。
さらにこのような大会の中で、出会いとふれあいと助け合い、そしてこの大会の中で、
参加する皆さんの中での歓声と躍動そしてボランティアの情熱を持って、この大会を支え
ていき、いよいよティーボール協会主催で東京ドームで全国大会ということに発展したら
大変うれしいかなと。ティーボール協会と一緒に北海道の方では歩んでいきたいと思いま
す。
それでは最後にですね、手話できる方おられますか?
す?
はい。ティーボールってやれま
僕今日聾学校の先生にせっかくですから聞いてきたんですよ。皆さんちょっと両手を上
げてください。まず右手を一本出してください。これがバットなんですって。間違ってた
ら言ってくださいね。聾学校の先生が言ってたんです。で、反対の手でOKサインを作っ
て、これがボール。で、指導するときにはボール(左手OKサイン)をバット(右手人さ
し指)でこう打った、「ティーボール」というような形で説明してください。よろしいで
しょうか吉村教授。以上です。ありがとうございました。
(頼住)どうもありがとうございました。本当にすばらしいですね。大会の報告をいただ
きました。続きまして、久保田先生、
ティーボール大会を運営しまして、
実践報告をお願いしたいんですけど、
よろしくお願いします。
(久保田)ご紹介いただきました久
保田と申します。都立の南大沢学園
養護学校という、知的障害の子ども
が通う養護学校に勤務しております。
中村先生のほうから北海道のティー
ボール大会、北の甲子園大会ですか、
ビデオでご覧いただきましたけれど
も、実は2年前、第8回の大会にな
りますか、初めて札幌ドームを使わ
れた大会にうちの学校のソフトボー
ルの生徒を参加させていただきまし
て、一泊二日のかなり強行軍だった
んですけれども、非常にすばらしい
施設で、ご覧いただいたような場所
で知的障害の子どもたちが、うちの
生徒ですけれどもね、活気をもって
-4
4
-
プレーしたということが、もうついこの間のことのように覚えております。手前味噌です
が、優勝させていただきまして、非常に大きな、うちの学校はソフトボールは結構強くて
数々の賞品もらってるんですけれども、燦然と輝いておりまして、さすがお金のかかって
いる非常に大きな大会という印象が残っています。
その印象という言葉をひとつのキーワードにさせていただきまして、大会の運営等につ
いても若干触れたいと思うんですけど、せっかく知的障害者の養護学校の教員という立場
ですので、いろいろなところで障害者に指導するときのノウハウみたいなものを聞かれる
ことが多いんですけれども、特に知的障害者の場合、今言った印象といいますかインパク
トをいかに与えるかということが、私がいつも指導していてポイントにおいているところ
です。
先ほどの札幌ドームの大会、これも非常に子どもたちには印象が濃くてですね、今年も
行くのか、来年も行くのか、そういう気持ちにつながっています。そしてその気持ちが
ティーボールのやる気に、障害者の場合非常につながっているんだなと思います。
一方、技術指導の点になるんですけれども、東京のスマイルティーボール大会、関東の
スマイルティーボール大会、また今年は八王子市の南大沢の上荻というところで第1回の
ふれあいティーボール教室を開催いたしました。皆様につたない原稿ですが、資料を配布
していると思うのですが、それぞれの大会に、いつも鈴木さん、種茂さん、谷澤さん、当
然塾長でいらっしゃいます荒川さんにお越しいただいて、プロの方の技術指導をいただい
ております。実はその技術指導をうちの生徒も何人か参加して教えていただいたのですが、
非常によく覚えています。バットの持ち方をどうする、谷澤先生、荒川先生、よくおっしゃ
いますけど、傘を持つように持ってみろというんですね。そうすると私が授業で教えると
きに、
「あのプロ野球の先生は傘を持つようにって言っていたよ」といまだに必ず言います。
そして傘を持つようにバットを持たせて打たせてみると非常にスイングがスムーズになる。
種茂先生がよくキャッチボールの指導をする時に、投げ終わったときにチョキの格好をす
る、チョキというかピースサインですか、ピースサインをするようにする、そうすると回
転がきれいになるとよくおっしゃられるんですけれど、それも子どもたちの指導に非常に
いいです。ボールの回転をよくするとか、ボールを遠くに投げる指導というのは実は難し
いです。知的障害者の子たちは担いで投げる子が多いんです。担ぎ投げが多いんですけれ
ども、それを直すときにも腕の使い方をどうする、最終的にはチョキの格好をして投げる、
と言うと子どもたちに非常に入りやすい。印象深く伝わります。
そういうですね、大会をやるときにプロの方をたくさん呼んでいただく機会が多いと思
うんですけれど、そういうプロの指導を一つ一つ私も参考にさせていただいて子どもたち
の印象に残る部分を、特にピックアップしていつも授業で教えるように心がけています。
そういう指導を指導者の皆様には大会等で得たものを参考にしていただいて、特に知的
障害者には印象に残る指導をしていただければいいなと思います。
そういうような大会をですね、先ほど申しましたように障害者も参加する大会を、関東
では秋の時期に3つ企画・運営に携わらせていただきました。それぞれの大会で知的障害
者、車椅子の子どもたち、健常者もそうですけれども、交流をするような場面、そういう
ものに重きをおいて、大会の企画運営に参加させていただいておりまして、そういう一つ
一つの場面で、役員である指導者の皆様が、障害者に教える場面が出くわすと思います。
打つのに困る子、ボールを持ってどうしたらいいか行動がわからない子どもたち、いると
-4
5
-
思います。そういうときに一つ一つプロの方を含めて教えていただいた指導をですね、い
ろいろなかたちで実践につなげていくことが大切なんじゃないかなと思います。
最後に繰り返しますけれども、特に障害者、私の場合は知的障害者ですが、皆様が専門
家やプロの方に教えていただいて印象に残った部分をそのまま子どもたちに伝えてあげて
いただいて、特に目で見る部分の指導が有効かと思いますので、大会等そういうところに
参加してつながってきたものをぜひ一つ一つ実践につなげていただきたいなと思っており
ます。ありがとうございました。
(頼住)どうもありがとうございました。今キーワードとして印象に残る指導という言葉
を繰り返して久保田先生がおっしゃっていましたけれども、いかにしてやる気を起こさせ
るか、ということについて、日夜久保田先生は励んでいるのではないかと思いました。
続いて佐藤先生よろしくお願いいたします。
(佐藤)ご紹介にあずかりました保土ヶ谷養護学校の佐藤と申します。紹介の中にもあり
ましたように、普通の健常者の学校の教員でした。ちょうど95
年に転任しまして、司会を
やっておられる頼住先生も転任されまして、同じ学校で教員同士ということになりました。
その時にですね、私が「養護学校に行って障害児のスポーツ活動に携わりたいんだ」と言
いましたら、頼住先生が、
「ちょうどいいスポーツがあるよ」ということでティーボールを
紹介してくださいました。それが9
5
年のことでした。それをきっかけとしてこのティーボー
ルに関係を持たせていただいたわけですけれども、もしその時にお互い転任ということが
なければ、私はこの場にはいなかっ
たわけですから、そういっためぐり
合わせは不思議だなあと感じており
ます。
それでその後にですね、今横にお
られます久保田先生がやっている東
京都のスマイル大会を見させていた
だきまして、本当にいいなあと感じ
ました。そして私もぜひ、養護学校
に行ってぜひ養護学校の生徒さんた
ちにティーボールの楽しさを伝えた
いなと思いまして、しばらくはその
まま普通校の教員をやっておりまし
て、9
9
年に、現任の保土ヶ谷養護学
校、箱根駅伝でよく権太坂という地
名が出てきますけれど、その権太坂
にある学校なんですけれど、転任で
きました。
用具もね、養護学校に持っていき
まして、すぐにティーボールを教え
られるのかなと思ったんですけど、
-4
6
-
実際は体育の授業は体育科の先生が握っておられますので、体育科の先生に「ティーボー
ル面白いからやってみてよ」という話をしたんですけれども、新参者ですのでなかなか理
解を得られずにできないまま半年くらいが過ぎました。
それで、養護学校というのは、クラスの生徒さん、あるいは学習グループの生徒さんに
はほとんど一日中つきっきりですので、自分の周りの教員と話す機会というのがあまりな
いんですよね。やっぱりその学年の体育の先生がやってくれないとなかなかできないとい
う状態だったんですけれど、秋に実習というのがございまして、これは縦割りで高等部の
1年から3年までの生徒がごちゃ混ぜになって、教員もごちゃ混ぜになって、社会に出た
ときの訓練の作業をいくつかの班に分かれてやるわけですね。
その時に一緒になった先生が、自分で障害児の陸上チームを作っている先生で、
「実は
ティーボールをしたいんだよ」という話をしたらその先生が乗ってくれまして、その先生
が別の学年の体育科の教員だったので、
「じゃあ別の学年でもやってみよう」と言っていた
だけまして、その別の学年でやってもらえるようになりました。
それがきっかけで徐々に各学年でやっていただいて、今では小学部、中学部、高等部で
も、もちろん全部、体育の授業でティーボールの道具を使ってやるというのを年に何回か
行っております。
それで、その先生の話によりますとね、
「広めたいんだったら養護学校体育連盟に入らな
ければだめだ」と、そういうアドバイスを受けたわけですね。養護学校体育連盟というの
は、神奈川県の中の公立、それから私立の養護学校が集まりまして、お金を出し合って大
会や講習会の運営を行っているところです。そこに属すれば、公式な大会に出られますか
ら、教員を動員しての運営が非常にやりやすくなるので。
「なんとかそこに入ればいいよ」と
いう話をしてくれたので、私はさっそく入りたいなと思いまして、その先生に頼みました。
その時養体連に関わっていなかったので、その先生が養体連の理事でしたから、ティーボー
ル部会を作りたいという者がいるから宣伝してくれというように頼みました。
それで、翌年に養体連の中で議題にしてもらったり、あるいは私の方から「講習会を開
くから集まってほしい」ということを養体連に連絡しまして講習会の募集をかけました。
ところが実際はぜんぜん集まらなかったんですね。やっぱり新規参入というのはなかなか
難しいなあとそのとき本当に痛感したんですけれども、全然相手にされないなあという感
じでした。
2年目はそれで終わってしまいまして、じゃあ3年目は養体連の理事をやらなきゃだめ
だな、自分の顔を広めることをしようと思いました。3年目には学校代表にしてもらいま
して、学校代表の理事ということになりました。そこでハイキングレク部会というものが
あるんですけれども、ハイキングレク部会に入って、その中でティーボールをやってもら
えないかということを盛んにお話しいたしました。そのハイキングレク部会というのは午
前中ハイキングをして、午後にレクリエーションをしてあそぶという部会なのでちょうど
ティーボール向きなんですよね。そこで「午前中はハイキングをやって、午後はティーボー
ルの打ちっぱなしをやってもらえないか」という話をしたら、養護学校の先生というのは
気のいい方が非常に多いので、
「それならいいですよ」ということでそれをやらせてもらう
ことになりました。それはよかったんですが、たまたまその年のハイキングの日が雨で、
午後のティーボールの打ちっぱなしができないまま終わってしまったので、やむなく翌年
もハイキングレク部会をやりまして、私が副部長をやりまして、午前中ハイキングをして、
-4
7
-
午後はティーボールの打ちっぱなしをやって子どもにティーボールを楽しんでもらう、そ
して、いろんな先生にティーボールとはこういうものだなあということを見てもらう、と
いうことが何とかうまくいくようになりました。それで、そういうふうな宣伝活動を行っ
ていくうちに、だんだん養体連の中でも興味をもたれる先生が出てこられまして、4年目
の夏には練習試合をできることになりました。
うちの学校と三ツ境養護学校で練習試合を行うことになりました。夏休みに一日、日を
設けて、三ツ境養護学校の生徒さんにはスクールバスで来ていただいて、練習試合をやり
ました。実はこれが非常に効果がありました。というのは夏休みの練習試合だったので、
高等部の教員がいっぱい応援に来てくれたんですね。生徒が喜んでティーボールをやって
うれしそうにしている表情をいろんな先生が見られて、これはいいなということで、一気
に理解が進みました。で、勢いを得まして、その年神奈川で行われているスマイルティー
ボール大会に、他の知り合いの養護学校の先生たちを誘いまして、4校がスマイルティー
ボール大会に参加できるようになりました。
それで私がしめしめということで、さっそくその年の養護学校体育連盟の理事会のとき
に、そろそろティーボール専門部会を作りたいのだがよいのではないかと、お願いをした
んですね。ところがやっぱり新しいものを作るということには拒否反応がありまして、お
金が削られるとか人数を削られるという問題がありますので、やっぱりもう1年ハイキン
グレク部会の中でやってみて、様子を見て、本当にいいようだったら専門部会を作ればよ
いのではないか、というご意見をいただきました。
結果、私が今度ハイキングレク部会の部長を行いまして、ハイキングを行う日とは別の
日にティーボールを行うようにいたしました。これが一昨年のことですが、私が養護学校
に来て5年目にようやくそこまで来ました。夏休みに知り合いの先生に参加を呼びかけま
して、7校、1
1
3
名の生徒が参加しましてティーボール大会を開くことができました。生徒
はとても喜んでいました。大変でしたけれど、私のほうもやってよかったなあと思いまし
た。その時に養体連の会長さんのおられる学校も参加されたんですけれど、その校長先生
がティーボールの試合を見まして、養体連っていうのはイメージとしてはわりと養護学校
の中でも障害の少ないお子さんがスポーツ活動をするというイメージがあったんですけれ
ども、重たいお子さんも非常にうれしそうにやっているということで、その会長さんが非
常に喜びまして、
「来年ぜひ専門部会を作れ」と後押しをしていただきました。その後押し
もあって、
理解してくださる先生も出てきまして、本年度に養護学校体育連盟の中にティー
ボール部会というものを作ることが出来ました。それで、昨年度は知り合いの先生に声を
かけて、学校対抗の試合をやったんですが、今年は専門部会ができまして自由な枠ででき
ますので、9人、1
0
人揃わなくてもかまわないからとにかく参加したい生徒は来てくれと
お願いしました。
そうしましたらば、13
校、9
2
名の応募がありまして、13
校というと養体連に属している
学校2
6
校の半分ですから、ずいぶん広まったなあと非常にうれしく思って当日を迎えたん
ですけれども、当日はよくあることで雨で流れてしまいまして、一週間伸びました。一週
間伸びたら人数が減って10
校で6
4
名でしたけれど、それでも楽しくティーボール大会を開
くことができました。
今やっと組織ができましたので、今、私が養護学校ティーボール大会で目指しているも
の、それがいったい何かといいますと、サッカーだとかバスケだとかはそういった運動は
-4
8
-
ちょっとできない、もう少し障害の重いお子さんが楽しんで大会に参加できる大会をつく
りたいなあと。それからもう一つはですね、チームスポーツ、チームでやるスポーツの楽
しさを味わってもらいたいなあと。養護学校というとどうしてもですね、やっぱり陸上、
ただ走る、それから水泳、どうしてもそういうものが取り組みやすいから、そういうもの
に走りがちなんですけれど、チームでやるスポーツっていうのは自分の活躍がチームの好
成績につながったとか、あるいは僕のあのプレーがあのいい試合に結びついたとか一生思
い出に残るものだと思います。その気持ちを味わえる機会を与えてあげたいなあと、その
2点でこの大会を運営しております。
振り返ってみると6年間で専門部を設立のところまでできたんですけれども、本当に運
がよかったなあと思います。要所要所のところで協力して下さる先生とか、応援して下さ
る先生が力を貸してくれることによって何とか設立までこぎつけました。ただ私が一つ気
をつけていることは、養護学校なんかの場合の試合っていうのは、生徒さんもそうなんで
すけれど、周りにおられる先生方の雰囲気が、生徒さんたちに非常に反映してしまうんで
すね。だから教員の方が嫌々参加している、義務だからとか動員かけられたからとかいう
かたちで参加されると子どもたちもやっぱり面白くはない。だから協力してくださる先生
たちが本当に楽しい気持ちで参加できるように運営していきたいなあということを気をつ
けています。養護学校の場合は健常の生徒とは違いまして生徒2人に教員1
名はつかないと
いけませんから、たとえば1チーム20
人で参加する場合にはその学校から教員10
名が動員
しないといけないわけですよね。そうなると、教員を出しやすいような日程だとか時間の
設定だとか、あるいは代休の設定だとかそういったことを気をつけなければならないわけ
ですが、私のほうでは無理をしないでいつまでも子どもが楽しめる場を毎年1回設定でき
ればなと考えております。
それで、神奈川県でのティーボール大会を運営するにあたりまして、神奈川県連盟のほ
うから物資両面に渡りまして多大なご協力をいただいてそれによってできているわけです
-4
9
-
が、早く自分たちのほうで自立して行えるようになっていきたいなと考えております。以
上です。
(頼住)どうもありがとうございました。組織作りに6年ということで非常にご苦労もあ
りましたけれど、ティーボールの素晴らしさを具体化しているというお話をいただきまし
た。以上、今3人の先生方から素晴らしいお話をいただきましたけれども、ここで、プロ
の先生がお見えですので、まず北の甲子園、昨年11
月にも参加されました種茂先生からも
お話をいただければと思います。よろしくお願いします。
(種茂)よろしくお願いします。今見せていただきましたけれども、このポスターがプロ
グラムなんですね。それで、初めて北の甲子園という話を聞いて、どんな大会かなと、期
待半分、半分はどこまでやっているんだろうという半信半疑の気持ちで行きました。ビデ
オでご覧いただきましたけれど見事なこの大会運営、しかもそれがアマチュア野球のウイ
ン北広島の中村さんのところでやり始めたということにまずびっくりしました。普通だっ
たら野球関係の人たちがそこまで取り組むっていうのはなかなかないんですよね。私たち
がプロ野球にいたような時にもそういうような試みは全くなかった。それをアマチュアの
野球の人たちが始めて広めていったと。1
0
年経って1
0
回大会が誠に素晴らしい大会でした。
改めて感動した次第でございます。障害者の大会というと暗くなりがちかなと皆さん思っ
ていると思います。私はティーボール協会に入ってちょうど10
年になりますけれども、私
が一番初めに障害者の大会に参加できたのは関東スマイル大会ですね。この時に僕も初め
てうろこが落ちました。なおかつそ
れが野球教室として打ち方を教えた
りしているうちに情が移ってきます。
どんどんどんどん質問してくるんで
すよね。もっとやらせてくれとか、
コミュニケーションが普通の小学生
よりももっと密度が増してくるよう
な感じがしました。たまたま一昨年、
スマイル大会に、私の息子が今鍼灸
をやっているんですけれど、その友
達の子どもが脳性から来た手足の不
自由な子でして、これは運動障害で
知的障害ではないのですが、まず初
めに来て野球を教えたらはまってし
まいまして、道具を買っていただき
ました。家の中でどんどんバッティ
ングをしていました。昨年、残念な
がらちょっと障害が進んでしまいま
して、出場はできませんでした。精
神的にやる気が出てくることがはじ
めてわかりましたね。障害者の大会、
-5
0
-
私は関東スマイル大会と府中の久保田先生の大会、それと神奈川の大会に毎年参加させて
いただいています。年々、規模も盛んになってきましたし、顔なじみが増えてきますと、
期待してくれるんですよ。それで去年教えてくれたことがこうなったけれどもというよう
な返事が返ってきて、非常にうれしいことですし、全国的にもっともっと増えていくこと
を願うだけです。
昨年の立教大野球部でレギュラーになれなくてコーチをやっていた丸山というのが、山
形県で小学校の先生のテストを受けました。本採用ではありませんが手紙がきましたので、
こういうことをやっているんだが、君がやってくれたらもっとスムーズに子どもの中に
入っていけるんじゃないかと話をしたら、ぜひやらせてくださいということでメーカーの
方に道具を送っていただきました。ふつうの小学校の児童たちもそうなんですけれど、障
害者の子どもたちの中にも入っていってほしいというようなことを約束しましたので、山
形にも広がり始めると思います。たまたま一番初めに楽天のGMが約束してくれた通り、
東北六県、丸山のほうからも広がるのではないかと思います。以上です。
(頼住)ありがとうございました。それでは最後になりましたけれども、鈴木先生、プロ
の立場からティーボール大会に参加しまして印象に残ったことなどございましたら、お願
いいたします。
(鈴木)鈴木です。私の場合、ティーボールを通じて実際に障害者とプレーし指導した体
験の中から、最近感じたことを一つ述べてみたいと思います。
私も毎年、朝日養護学校でのスマイル大会、上井草球場での選手権大会など、大会があ
る限り参加させていただいております。結論から申しますと、大会に出るたびに感動、感
激、子どもたちの必死な姿を見るたびに私自身が忘れていることを逆に教えてもらってい
るような気がします。これが結論です。というのも、大会を通して、種茂さんもおっしゃっ
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1
-
ていましたけれど、顔なじみができるんですよね。そうすると子どものほうから声をかけ
てもらえるんです。以前は自分から行かなければ一線をおいた感じだったのですが、顔な
じみになると子どもたちのほうから声をかけてくれると。非常にうれしいことです。とい
うのもやっと子どもたちと仲間になれたと、我々が教える上で、親近感を持って教えられ
ると。ですから、これがあると教えるのに非常に楽になってくるんですね。だから仲間に
なれたことは非常に感激しております。
それから大会のたびに久しぶりに会う、最近の子どもたちが目の色が変わってきました。
消極的だったんですよ。失敗したら、というようなことがあったんでしょう。それが積極
的にですね、失敗しても何度も何度もトライするんですよ。成功するまでトライします。
やっぱりティーボールに対しての取り組む姿勢、これが非常に変わってきたような気がし
ます。ですから技術的にもよくなってきています。遠くに飛ばしますし。それからゲーム
になっても全員で行いますね、全員で。ヒットを打つ、点を取る、ナイスプレーが出る、
全員で喜びます。全員でハイタッチしています。もう本当にこういう姿を見ているとね、
感激しますよ。種茂さんもおっしゃっていましたけどね、神奈川・東京・北海道に限らず、
これを全国でやってほしいと思います。何か機会があったらそういう場を作ってあげてほ
しいと思います。
それからもっと印象的なものがあります。車椅子の子。これ車椅子の子は特別なルール
があるんです。車椅子に打球を当てたらアウト。ですから守備側の車椅子の子は必死になっ
て守りますよ。倒れますよ。これはまだ自由に動かせるようになっていない子がいるので
ね、追い方によっては倒れます。それでもなお起き上がって追いかけようとします。これ
はすごいですよ。それからバッティングもします。普通のバットで振れない子どもたちが
いるんです。なぜなら手が自由に使えないからです。こういう子たちは自分でバットを作っ
て自分で持ってきます。自分で振れるやつ。自分でやっと振れるようなバットを持ってき
てやります。本当に障害者と会って忘れかけたことを教えてもらっているような気がして、
今年も呼ばれると思いますが、今から会えるのを楽しみにしています。以上です。
(頼住)ありがとうございました。今お二人のプロの指導者からすばらしいお話をいただ
きました。特にお二人の人柄がね、にじみ出るようないつも指導をしてもらっています。
また来年度もよろしくお願いいたします。
それではですね、会場の皆さんからご意見をいただく時間を、時間が押しておりますけ
れども、設けたいと思います。ご意見の前に、お名前と、差し支えなければ所属を言って
いただいて。
どうぞ講師の中で疑問やご意見いただければと思います。どなたかいらっしゃ
ればよろしくお願いいたします。
(質問者)3点お願いします。1点は山梨のほうではティーボールを始めて2回になりま
す。これから先、できたらフレンドリーというかたちで養護学校だとかそういう方と一緒
に大会をやっていく上での留意点がありましたら、気をつけていかなければならない点を、
健康面も含めまして教えていただきたいと思います。2つめはこれは吉村先生へのお願い
になるんですけれども、わたくし盲学校に知り合いがおりまして、鈴をつけたり工夫をし
たのですが、安全面の問題などでなかなかうまくいきませんので、そういった用具の開発
をお願いしたいのが2点めです。3点めは、前にいらっしゃる種茂先生に山梨に来ていた
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2
-
だいて、健常者ですが私の息子は種茂さんから指導していただいたこと、いただいたボー
ルが宝物です。今でも感謝しているんですが、そういう点で、ぜひティーボール協会の方
で元プロの方に、時間が許す限り大勢の方に積極的に地方に来ていただきたい、これは要
望ですが、よろしくお願いいたします。
(頼住)はい、ありがとうございます。それでは今要望が出ましたけれども、一つだけ、
1点めですね、留意点ということについて久保田先生よろしいでしょうか。
(久保田)はい。だいたいですね、障害者の参加を募集した場合、先ほど佐藤先生のお話
にもありましたけれど、養護学校などでチームを作ってくると、子どもが10
人いる場合、
だいたいその半分の数の親御さんか付き添い者が伴って来るんですね。そういう場合、だ
いたいの付き添い者の方が子どもひとりひとりの詳しい事情を理解しています。どうして
も注意の必要な子どもなどの注意するべき点など細かい点はその付き添い者が把握してい
ます。知的障害者であれ、運動障害であれ、保護者が把握していますので、日常のケアと
同じようにお任せするというかたちで大丈夫だと思われます。しかしですね、大会などを
企画する場合、やはり普通の方に比べて動き方など、たとえば移動ひとつをとってみても
時間のかかることが多いので、タイムテーブルを作るときには、集合してすぐに試合とい
うふうにはせずに、時間にゆとりを持ってもらえればと思います。東京のスマイル大会で
は昼休みに1時間休みを取るようにしていますし、このあたりで休息も取りつつプレーを
楽しむことが出来るのではないでしょうか。全体的にはつたない経験ですがそのような点
に気をつけていただければよいと思います。
(頼住)それではですね、最後にお一人いらっしゃったらお願いしたいのですが。はい、
よろしいでしょうか。それでは予定の時刻を過ぎてしまいましたが、障害者のティーボー
ル大会のフリーディスカッションを終わりたいと思います。皆さんどうもありがとうござ
いました。
(拍手)
-5
3
-
フリーディスカッション(3
)
「幼稚園や小学校(1・2年生)に対する普及を」
(鈴木)それでは、菅原一秀先生を紹介します。先生どうぞ。一言お願いします。簡単で
結構です。
(菅原)どうも皆様、こんにちは。
ご紹介いただきました、練馬区で衆
議院議員をさせていただいておりま
す、菅原一秀と申します。このたび、
日本ティーボール協会顧問を仰せつ
かりました。理事長の吉村先生はじ
め、会長の海部先生は、早稲田大学
の先輩でありまして、また今日、講
師で先ほど熱弁を振るわれました荒
川博大先輩は、私の、早稲田実業の
野球部の恩師でもございまして、そ
んなご縁で、この度、顧問を仰せつ
かりました次第でございます。この
ティーボールというニュースポーツ
が、日本中に広くしっかりと普及し、
そして日本人の健康づくりに大いに
貢献するように、私も国会の場で精
一杯皆様のお手伝いをさせていただ
きたいと思います。今年一年、どう
ぞ皆様が、全国津々浦々、各地域に
おきまして、ティーボールのために
ご活躍されますことを心からお祈りを申し上げまして、一言新年のご挨拶になります。お
めでとうございました。
(鈴木)よろしくお願いします。では、最後のフリーディスカッションに入ります。
(竹地)それではフリーディスカッション(3
)に入ります。今回のテーマは「幼稚園や小
学校に対する普及を」ということです。司会を末次さんと扇原さんにお願いしたいと思い
ます。それではよろしくお願いします。
(末次)はいどうも。最後になりました、皆さんもうひと踏ん張りをお願いしたいと思い
ます。ご紹介がありましたように、今回は私と扇原さんで担当いたしますので、よろしく
お願いいたします。
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4
-
今回、今年のティーボールセミナー
はですね、プロ野球の話が少したくさ
んありました。昨年、やはりプロ野球
の場合は大激震が起こりましたので、
当然また、楽天というチーム名で、そ
こに、ティーボールのメンバー、マー
ティー・キーナートさんが行かれまし
たので、プロ野球の話が多かったと。
今年はプロ野球も相当変わっていくの
ではないかというふうに思いますけど
も、もう一つ、高校野球がですね、プロ・
アマの問題が解決していくという話に
なっております。現在、大学と社会人
というのは少し雪解けしておりますが、
今回は、高校野球とプロ野球が雪解け
していくということで、もう40
年も断
裂しておりましたけども、この高校野
球とプロ野球が雪解けしていくという
ことは日本の野球界においてはものす
ごく画期的なことであります。高校と
プロ野球の間でちょうど真ん中にある
野球の層のところでストップしておりましたので、なかなか話が通らなくて、やっと通る
ようになりまして、今年は変わるだろうと私も期待いたしております。しかし、高校野球
といえども、野球のちょうど真ん中にあたるところなんですね。どうしても順番にいきま
すと、プロ野球、それから社会人、大学、高校、中学、小学校、それから幼稚園というふ
うに段階がありまして、そういう意味では一番楽なところはプロ野球なんですね。皆が、
ずっと育ってきた中からプロに行きますからね。ところでそれが一番大変だったのはどこ
かというと、小学校と幼稚園の段階。今日は、前橋先生をはじめ、幼稚園、それも一番小
さい子どもたちを対象にやっておられる先生に今日は来ていただいております。これから
その話を、ものすごく小さな子どもたちの話はなかなか聞けないかなというふうに思いま
すので、皆さんも、どうぞ質問がありましたらまたそこで聞いていただけたら結構ですけ
れども、いろいろなお話をお聞きしたいというふうに思いますのでよろしくお願いいたし
ます。では、扇原さんお願いします。
(扇原)はい。それではですね、昨年とこのセッションは同一のテーマでございますが、
昨年は、早稲田大学人間科学部の教授でいらっしゃいます前橋明先生、ご専門が、幼児の
健康教育でありますけれども、そこで、ティーボールをする前、実際にティーボールをプ
レーする前の子どもたちにどういうふうにして導入したらいいのか、そのための導入プロ
グラムをご提案いただきました。今年は、前橋明先生にキーノートレクチャーをいただい
てですね、実際にその開発されたプログラムを、幼稚園・小学校1・2年生のために、岡
山県の作陽保育園で実践されている、保育園の園長でいらっしゃいます有木信子先生に、
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5
-
また、そういった実践の様子をご紹
介いただき、また幼稚園の先生や小
学校の先生を実際に養成する養成機
関の、埼玉県立大学短期大学部の教
授でいらっしゃいます星永先生に、
その実際に教員養成の場での実践を
ご紹介いただくという流れで進めさ
せていただきたいと、こういうふう
に思っております。まずは、前橋明
先生に、キーノートレクチャーをし
ていただく。順次、有木先生、星先
生に実践をご紹介していただくとい
うことでいきたいと思います。それ
では前橋先生よろしくお願いいたし
ます。
(前橋)失礼します。早稲田大学の
前橋と申します。よろしくお願いし
ます。本日は、
「幼稚園や小学校に対
するティーボールあそびの普及を」
というテーマをいただいて、お話を
進めさせていただきますが、昨年、
「幼児にティーボールあそびを」ということで、これか
ら普及していくためには、子どもにとって、ティーボールあそびの導入になります、リー
ドアップあそびのマニュアル作りが必要ではないかというひとつの課題が残されていまし
た。それから実際にあそびのマニュアルを作って、あそびをいろいろ考えても、それを実
際に実践していただく現場でのお力も必要だということで、現場の実践、そして現場で実
践していただいても、直接子どもたちと関わる、指導される先生方が知っていないと、あ
そびも普及できないということで、保育者養成、幼稚園・保育園の先生方の養成期間で指
導内容として採用していただけないだろうかということで、保育者養成の実際、それから、
やはり広報活動という、この主に四つの点をティーボール協会でも努力してまいりました。
そのプロセスを紹介させていただきながら、今後の課題について考えて前座とさせていた
だきたいと思います。よろしくお願いします。話のほうはスクリーンを通して流していき
たいと思いますのでよろしくお願いします。
まず、ティーボールあそびのマニュアル作りということ、これが急務であるという課題
が昨年残されていました。特に簡単なルールのあるもの。女の子にもできるルール。そし
て一番打つ楽しさがありますので、打つという楽しさを感じ取ることのできるあそびは作
れないだろうか。そしていろんな場所で、何人でもできる。それから子どもたちは現にで
すね、いろんな伝承あそびをやっておりますので、これまでに子どもたちの中で人気のあ
る、ポピュラーなあそびとの組み合わせを考えた、そんなティーボールあそびもできない
だろうかということで、こういう基本的な考えのもとにあそびを作り始めました。
そして、やはりメンバーを募りまして、早稲田大学の学生、それからソフトボール部の
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6
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部員の皆さん、それから保育園の現場
の先生方、子どものネットワーカーの
先生、それから保育者養成の先生方、
こういうメンバーでもって、月に一回
ほどミーティングを開いてですね、あ
そび作りをしていきました。
まず、ティーボールあそびのねらい、
幼児期のねらいなんですけれども、子
どもたちがティーボールあそびをする
ことを、それ自体を好きになったり、
それをきっかけとして、いろいろな種
類の運動に喜んで取り組もうとする意
欲をつくっていきたい。そして、思いっ
きりティーボールあそびを通して身体
を動かす喜びとか、その運動後の爽快
感のわかる子ども、感動できる子ども
を育てていきたい。というねらいを
持って進めていました。
基本的に例ですけれども、
「ティー
ボールダッシュ」。このあそびで育つも
の、それから準備するもの、あそび方、
留意事項、こういう四つのことを必ず
考えながらあそびを作っていきました。
ちょっと流していきますが、
「いそげ いそげ ティーボールキャッチ」と「だるまさん
がころんだティーボール」というような、こんな伝承あそびとの組み合わせも作ってみま
した。
2番目に、保育園や幼稚園で、実際にティーボールあそびを実施してもらうことが大事
ということで、園内でもすぐに、ティーボールに関する用具を手にしてあそぶことのでき
る環境作りをしてほしい、あるいは、親子参観日に親子で体験できる企画も、園で持って
ほしい。いつでもしたくなるような状況を作ってほしいということで、岡山県の作陽保育
園の有木園長先生にご相談申し上げ、ぜひティーボールあそびを園内で取り上げ、やって
いただけたらということで昨年からずっと実践をしていただきました。
有木先生にはこういう保育園で、これは三角ベースのティーボールあそびをしています
けれども、こういう実践について具体的にお話を伺いたいと思っております。
それから、幼児教育・保育関連の、専門の情報誌に作ったティーボールあそびを紹介し
ていくということも、いわゆる日本中の、保育園・幼稚園の先生、あるいは子ども関係の
先生方が、そういう専門雑誌を見ますので、そういうところで紹介していただけたらあり
がたいということで、保育界の中では有名なマニュアルなんですけれども、「保育とカリ
キュラム」のひかりの国さんが、ご協力していただいてですね、新しいあそび、ティーボー
ルあそびの紹介というようなコーナーを設けていただいて、作ったあそびを掲載していた
だくというチャンスにも恵まれました。それから、幼児教育の専門誌だけではなくて、今
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7
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日いらっしゃる皆様方のスポーツ関連の専門誌であるベースボール・マガジン社の「ベー
スボール・クリニック」と、「ソフトボール・マガジン」に、ベースボール・マガジン社の
多大なご協力をいただいて、毎月作ったあそびを掲載していただきました。
それで本日、お手元に配布した資料をご覧いただきたいんですけれども、1種類はこの
レジュメの資料ですが、あと二つはですね、先ほどお話しました「保育とカリキュラム」
という幼児教育の専門誌のほうへ、ティーボールあそびを紹介していただいている資料を
配布させていただきました。それから、今お話を申し上げている「ベースボール・クリニッ
ク」と、
「ソフトボール・マガジン」の中で取り上げたあそびをひとつにまとめましたので、
それはマニュアル作りのはじめの一歩でしょうか。そういうことで、現場の先生方に少し
でも見ていただいて参考にしていただいて、いろいろ現場に応じて改変を加えてですね、
使っていただけたらなぁという思いで準備をしておりました。
5番目ですけれども、指導者養成をしっかり行おうということで、養成機関での教材と
してティーボールあそびを普及してほしい。まずティーボールあそびに直接入るのではな
くて、本来私たちが展開しているティーボールを実際に大学生にしていただいて、そして
それに合わせて私たちが作った子ども用のティーボールあそびを実際に養成期間でも体験
していただく。そして羽ばたいて、現場の保育園の先生・幼稚園の先生になっていただけ
たらな、ということで、埼玉県立大学の星先生にいろいろご協力いただきながら、保育者
養成のカリキュラムの中での採用をお願いして、今現在展開していただいております。
それから、では現在もうすでに先生になっていらっしゃる方にはどうしたらいいかとい
うことでですね、保育園や幼稚園の先生方が実際に運動面については、運動会を控えて、
運動会の実技講習会とか、あるいは
幼児の運動あそび研修会とか、幼児
体育の実技研修会とか、そういう実
技の会の中で作ったティーボールあ
そびを紹介させていただきました。
少しでも「こんなあそびが幼児にで
きるんだ、うちもやってみようかな」
という気持ちになっていただけたら
ということで、福岡県の九州電力の
体育館で、これは7
0
0
人くらいの先生
方が集まりました。それから岡山県
の倉敷市立短期大学の運動会の講習
会ということで、毎年2
0
0
人ずつくら
いが西日本ですけれども集まってい
ます。今年は関東くらいでこういっ
た講習会があって、ティーボールあ
そびがもっともっと紹介・普及がで
きればなと願っています。
実際にこういうように、子どもた
ちがティーボールあそびを楽しんで
います。
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8
-
現場ではいろんな工夫があります。工事用のコーンの上にボールを乗せて、このボール
も、ドッヂボールであったりあるいはスポンジボールであったり、いろんなボールを使っ
ています。それからバットのほうもですね、幼児用に、75
センチでしたか、それがわりと
幼児の現場では使いやすいようですけれども、プラスチックボールを使ったり、ここにビー
チボールを使ったり、いろんな道具の工夫もしています。
そしてこれからの課題なんですけれども、やはりマンガやテレビで取り上げてもらうと
いうようなささやかな思いもございます。そしてプロの野球選手に協力していただいて、
憧れの選手とのタイアップ、こういうこともひとつ大事な要素かなと思っています。それ
から、これからもイベントや試合の企画も積極的に行っていけたらなぁと。園の、保護者
の方の大会もいいだろう。お父さん・お母さんがやっているところを子どもが見る、ある
いはそれを見学するだけではなくて、子どものささやかなファミリーで結成しながら、そ
ういう大会もいいかなぁと思います。それから、用品・用具ですね、幼児用の専門のもの
がまだまだできていませんし、今おもちゃ屋さんでいろいろ買ってきてそれを使ってみる
かなというところでですね、もっともっと幼児用の用具の開発ということに目を向けてい
くこともこれからの将来展望で必要かなぁと。特に子どもさんの場合は色のつく用具、色
のつくものっていうのに興味を持っています。例えばベースを置くにしても青色のベース
を一塁の近くに置いてみるとか、その次は黄色だとか、色で分けていろいろ回ってみると
いうような、そんなあそび方もあると思います。それから4番目にですね、保育現場で
ティーボールあそびを実際に実践している様子をテレビ等で報道していただけたらありが
たいなぁと。それで昨日、有木先生の作陽保育園でNHKさんが子どものあそびの様子を
取材に来られて、ちょうど雪が降っていたそうですけれども、雪のなかでティーボールあ
そびをしていただいたり、そんなご配慮をしていただいたりもしましたけれども、テレビ
等、報道で流れると非常にいいかなぁというふうに思ったりもします。
ただ、最後に私がお話ししたいことは、やはりティーボールあそびをしてですね、子ど
もたちがどういうふうに変わっていったか。それを、なかには研究者もたくさんいらっしゃ
いますので、教育研究者がタイアップしてですね、子どもたちがティーボールあそびによっ
てどういうふうないい影響を受けたか、こういうことを来年度の課題として私としても研
究をじっくりして、またこういう効果がある、ティーボールはこういう面で役に立つんだ
よとか、子どもの健全育成にとってこういう面は非常に有効に働くよという、そういう研
究をこれからどんどんしていきたいというところで導入の話にさせていただきたいと思い
ます。あとは保育現場の様子、そして保育者養成。じっくりお聞きいただけたらと思いま
す。よろしくお願いします。ありがとうございまいした。
(扇原)前橋先生ありがとうございました。それでは、ただいまのキーノートレクチャー
を受けましてですね、作陽保育園の園長先生でいらっしゃいます、有木信子先生から実際
の実践の様子をご紹介いただきたいと思います。それではよろしくお願いいたします。
(有木)ご紹介いただきました、作陽保育園の有木です。よろしくお願いいたします。
ティーボールあそびに入る前に、ちょっと保育園の紹介をさせていただきたいと思います。
私の園は岡山県の津山市という人口9万人の、先ほども司会の先生と田舎ですねという話
をしたんですけれども、大変田舎の、B'
zの故郷と言ったほうがいいのかもしれませんが、
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9
-
そこにある保育園です。0歳から6歳
まで子どもたち、1
2
0
名定員で現在12
2
名の子どもたちがいます。これが保育
園の表です。
保育園の子どもたちの様子なんです
けれども、保育園のほうでは、食育と
健康と音楽の三本柱を保育のテーマに
しておりまして、特に今冬は、こま回
しとか、伝統的な行事にたくさん取り
組むようにしています。こま回しの写
真が二つあるんですけど、子どもたち
はだいぶ回せるようになりました。そ
して向こうはおかわり、給食の写真。
とても元気のいい子どもたちです。そ
れから今日は私がお母さんになるから
ねという異年齢児の子どもたちのあそ
びも、活発に取り入れるようにしてい
ます。
左上は子どもたちがクッキングをす
ることによっ少しでもて偏食をなくし
たいという、チャイルドクッキングと
いうかたちで取り組んでおります。右
上は、自然体験で、和紙作り。冷たい水のなかでの和紙作りを通して、水の冷たさとか、
冬の自然を教えていきたいと思って、こういうことにも取り組んでおります。それから、
作陽保育園は倉敷にあります作陽大学の付属という形のなかで音楽を中心に行っておりま
すので、子どもたちが音楽をやっているということと、そのためには職員も音楽の研修を
しているというのが、我が園の特徴ということでご紹介をさせていただきました。
それではティーボールのほうに移ってみたいと思います。先ほどの前橋先生のお話にも
あったんですけど、昨年からいろいろ子どもたちにティーボールをということで、特に16
年度に4歳・5歳を対象としてティーボールあそびに取り組んできましたので、そのあそ
びの実践、その取り組みを報告したいと思います。
まず保育園の方でティーボールあそびに取り組むメリットは何だろうか、ねらいはどん
なことを考えたらいいだろうかということを職員で話し合いました。どのティーボールの
先生もおっしゃいますが、コーンとボールとバットがあれば、誰でもあそびに取り組むこ
とができる。また、一人でもあそべる。そして、友達と協力してあそぶこともできるので
はないか。大きなねらいとして、あそびを通して創造性・
協調性が身につくいろいろな種類
の運動に取り組むことができるのではないだろうかな、ということで、ティーボールあそ
びに取り組みました。
あそび方なんですけど、次に写真が出てきますけど、大きさ・重さの違うボール・バッ
トを自分で選ぶようにしています。そして、コーンの上に自分でボールを置く。バットで
打つ、あるいは手で打つ。バット以外の手具で打ってみる。友達と一緒にあそぶ。そして
-6
0
-
できればルールのある「三角ベース」に挑戦するということを、今年度、平成16
年度はあ
そびに取り組む時に考えました。
先ほど前橋先生もおっしゃっていたんですけれども、保育園にこのようなバットを用意
しております。4歳・5歳の子どもたちが自分で選んで、持ってみて重たかったら「これ
は重たいけん、いけんなぁ」とか「これならええかもしれんなぁ」という感じでいろいろ
な大きさのバットを選ぶようにしています。
ボールなんですけれども、一応ドッヂボールからテニスボールまで、ティーボールのボー
ルもあるんですけども、いろんなボールを用意して、子どもたちが自分で選べるような形
をとってみました。
あそび始めたころなんですけど、まず、ティーボールが私自身どういうものかわからな
かったので、あそびかたについて職員研修を行おうというかたちで、いろんな資料を見せ
ていただきました。そして、あそびの環境をまず保育者が作っていかないと、子どもにす
ぐ下ろしても、子どもがあそばないんじゃないだろうかと思い、あそびの環境をつくりま
した。保育室や運動場にバットやボールを準備しておいて、いつでも自由に子どもが朝、
登園してきたらあそべるような環境をつくっておきました。そして、登園してきた子ども
から自由に活動に参加できるように、保育者が言葉かけを行うようにしました。そうして
いくなかで、女の子は男の子のように自分から進んであそびに参加しようとはしませんで
した。また、男の子のほうなんですけど、喜んであそびに参加はするんですけど、バット・
ボールの数が限られてるので、取り合いでけんかがしばしば見られることがありました。
今年になってからの最近の状況なんですけど、登園してくると、自分に合ったバットや
ボールを探して友達を誘ってあそびに取り組んでいます。友達が「貸して」
「よせて」とい
うと仲間に入れ、一緒にあそぶ姿が見られるようになってきました。また友達が行ってい
る時には応援するようにもなってきました。
「がんばれ、がんばれ」という声も聞かれるよ
うになってきました。それから、最初は保育士がルールとかあそびを考えていたんですが、
最近は自分たちでルールを決めて、あそびの約束を作り、クラス全体であそびに取り組む
ようにもなっています。でもやっぱり女の子は、あそびに関心を持つようにはなってきた
んですけど、参加するなかでもやっぱりグループであそぶっていうよりは、女の子は一人
であそぶほうを好んでいます。また、保育者が参加していなくてもあそべるようになって
きたんですけども、やっぱり保育者が中に入らないとなかなかあそびが発展しにくい時も
あります。
現実に子どもたちの写真を撮ってきたんですけど、保育現場での様子で子どもの言葉を
そのまま拾いましたので、いろんな言葉があると思います。この子は他のあそびにはとっ
ても消極的で、なかなか保育室の中でも目立たない存在だったんですけど、ティーボール
をやるようになって、最初私たちも気がつかなかったんですけど、とっても打つのが上手
なんですね。ボールを投げてもとっても上手に投げる。打つ格好がいいということで、お
母さんとお話をしていると、5歳の男の子ですが、家でお父さんとキャッチボールをして
いるんだと。で、それがティーボールを始めたことですごく自信になって、この子は常に
ホームランのように一番よく飛ぶんです。ゆうちゃんという男の子で、今は「ティーボー
ルしようや」って言い、「ゆうちゃんが今日も一番よう飛ぶかねぇ」って言われたら、「み
んなもがんばったら飛ぶで」というふうに、ティーボールではリーダー的な存在になって
きて、とっても自信がついてきています。
-6
1
-
この子は女の子です。音楽はとて
も得意で、音楽になるといきいきと
するんですけど、運動がすっごく苦
手な子でして、なかなかあそびに取
り組んでくれません。実は昨日も雪
が1
0
センチほど降りまして、
「みんな
何して遊ぶ?」って聞くと、最初、
雪だるま作ったり雪合戦してて、先
ほどの話のようにちょっと取材があ
りました。ティーボールしてくれん
かなぁって思って出してたら、ある
子が「じゃあティーボールしよう
か」ってなった時に、この子も出て
きてくれてあそんだんですけど、す
ぐ帰ってきました。ストーブのお守
りをすぐしていました。でも日頃は
「えー、バット重たいけんいけん」
とか言いながらも「こういうものが
あるよ」ってホームハンドを出すと、
「バットじゃないけど打てるんか
なぁ」言いながら、最近はあそびに
取り組んでくれています。
この子はものすごく競争心がある子でして、自分ですごく考えてバットもボールもいろ
いろ考えながら、先ほど言ったゆうちゃんがいつもホームランを出すというか一番飛ばす
という形の中で、自分も遠くに飛ばしたいというのですごくバットとボールをいろいろ考
えながら挑戦して。この写真保育園でも一番良い写真だなって、ボールが飛びかけてバッ
トが手から離れてるというので言った言葉が「いけー! ホームラン概」ということで。
すごく迫力があって良かったので持ってきたんですけど、とりあえず競争心が芽生えてき
ました。
男の子がいろんなことでバットの話をしていた時に先生たちもいろんな形で良いです
よって言われてたんですけど、私たちが手で打つってことを言ったわけじゃなかったんで
すけど、
そこにちょっとコーンが壊れてるんですけど、だんだんバットが当たりましてコー
ンがだんだん壊れていったら、子どもが「手で打った方がええかもしれん」
「手で打っても
飛ぶかもしれんで」という形で、しばらくコーンがだんだん壊れていってる時には「そっ
と打ってみようや」
「手で打ってみようや」という形で、子どもがあそびを見つけてくれま
した。
このようなあそびを通して今度は誰が一番遠くに飛ぶのかなという、「追っかけリレー」
という形でやったんですけど、先ほどの前橋先生と同じ写真なんですけど、これを始めた
時にはやっぱりちょっと4歳児だったので、ルールが難しいのかなと、ルールにそってす
るのにとっても時間がかかりました。
でも何回も子どもたちがやっていると「今日は誰が一番になるんかな」という形で子ど
-6
2
-
もたちがルールをだんだん変えていってだんだん「こうやったらええ」
「ああやったらええ」
という形で追っかけリレーのほうもだいぶルールがあるあそびへと発展してきました。
そこで初めて三角ベースに挑戦してみました。この時もなかなかいいようにいかなくて、
それこそさっきもちょっとお話ししてる時に一人が打つとだーっと全員が捕りにいくとい
う感じでなかなか三角ベースに向かっていくのは難しいなという形でやってるんですけど、
繰り返していると、少しずつできるようになってきて、それぞれの友達、自分の役割がわ
かるようになって、
「この子は打ったはずなのに落っこっちゃった、飛ばなんだな」という
感じであそびを今やっています。最近はかなりルールも理解できるようになってきたので、
また次からいろいろあそびを考えていきたいなと思ってます。
お手元に資料のほう配らせてもらってるんですけど、すみません、昨日急きょ慌てて作っ
たもので「ティーボール」の「ティ」のあとに「ー」が抜けて「ティボール」になってし
まっているので、ごめんなさい、「ティーボール」という名称を訂正してください。4歳、
5歳、昨年からやっていく中で少しずつ、年間計画を作っていこうという形で、今年はそ
ういうふうな形の年間計画を作りました。昨年一年間取り組んだ結果で子どもたちができ
るあそびを、できれば月々に考えていきながら発展していけたらいいな、子どもたちが喜
んで取り組んでくれるにはどういうふうなことを考えたらいいだろうかな、という形で4
歳、5歳のティーボール年間計画を今年は作成してみました。
それから三角ベースの指導案を載せてるんですけど、形式についてはまだまだ私たちも
模索中でして、なかなか保育現場でもきちっとできていないんですけど、こういう形で三
角ベースができていったらいいかなという形で参考までに載せさせていただいております。
まとめと今後の課題なんですけど、今考えてるのはやっぱりルールについては子どもと
話し合いながら決めていきたいなと、ティーボールの大人のほうはいろんなルールがある
んだとは思うんですけど、それを子どもなりに、子どもができるというルールを子どもと
話し合いながら決めていけたらいいなと考えています。それから、子ども一人では発展し
ていかないし、子どもがいくら保育園で今日ティーボールしてあそんだんで面白かったん
で、って言っても保護者の方が知らなかったら発展していかないので、親子参観日などを
活用して、親子で楽しみながら保護者の方々もあそびを紹介して一緒に楽しんでいっても
らえたらいいなと考えています。それから、先ほど申しましたように男の子に比べてやっ
ぱり女の子の方が感心を示す割合が低いです。だから女の子が関心を示すような保育実践
を、これから先、計画実践することが大事なんじゃないかな、女の子がどうやったら戸外
で一生懸命一緒に汗流してあそんでくれるのかなっていうことも考えていきたいし大事な
ことではないかなと思っております。
それから、先ほど申しましたように、昨日のように雪が降っても外で元気にあそんでく
れるので、ただそれが戸外で元気にあそんだって形に終わらないように、保育の他の領域
「喜んであそんだ」
「絵を描く」とかそういう他の領域との関わりも大切にしながらいきた
いなと考えております。ずっとこの一年間やってきて職員と話をしたんですけど、やっぱ
り保育者が好きでないと、あそびに関心を持って自分が体を動かすことが好きでないと、
やっぱり取り組むことが難しいなという結論が出て、学生時代なかなか得意でなかった職
員も今、チームを作って職員会のティーボールを楽しんでいるところです。
つたない実践なんですけれど、以上で終わらせていただきます。(拍手)
-6
3
-
(扇原)有木先生、どうもありがとうございました。続きまして星先生よろしくお願いい
たします。
(星)埼玉県立大学短期大学部の星です。どうぞよろしくお願いいたします。私のほうで
は保育士養成と、それから先ほど幼児教育って言いましたけれども、幼児教育専攻の学生
で、中には幼児教育ということで幼稚園の教諭の免許をとりますので小学校の専攻の学生、
ですから小学校の先生に来年とか再来年になる学生、それから養護学校の先生になる学生
さんを一緒に教えておりますので、私の学校は短大の女子学生を対象に、それからもう一
この四大の方は教育学部の幼児教育を専攻している学生で、中に男性2名おりますけれど
もほとんど女子学生、というところで私は「幼児体育」というのを教えております。その
中でティーボールを取り入れた実践の中でわかったことを少し、簡単ですけれども報告さ
せて頂きます。
これは埼玉県立大学、1枚写真を撮ってしまいましたけど、6年目の大学ですけれども、
ちょっと建物がグッドデザイン賞をとったりしましたので1枚撮ってもらいました。昨日
学生に撮ってもらいました。それで取り込みました。
授業をやるにあたりまして、前橋先生のほうからティーボールの話をいただいた時に、
私はあまりティーボールというのは、本なんかは読んでおりましても、ティーボールとい
うものをやったことがなかったものですから、まずティーボールというものを学生と一緒
にやるということで、1回目の授業はティーボールをやりました。
それから2回目の授業は、前橋先生がベースボール・マガジン社で出している幼児の
ティーボールあそびを授業の中に取
り入れて2回やりました。その時の
学生の受け止めをちょっとアンケー
トという形で、授業の感想を協力願
いますということで書いたので本来
は3
0
人いるところ1
7
名ですけれども、
幼児教育の学生も41
名いるんですが
3
4
名の学生からアンケートが返って
きた、ということでございます。
それと合わせてですね、これは私
どもの学校で卒業生、保育士さんに
なった方への卒業教育という形で3
年ぐらいまでの保育士さんに、卒業
してから学校で講習会を開催しまし
て、実技系と講義系という形で、私
のほうはティーボールあそびを体育
館で補習したという形でアンケート
には入っておりませんけれども、授
業以外にもこういう現場のうちの卒
業生に対しても原理訓練という形で
指導いたしました。
-6
4
-
授業は実は1
0
月の初めにやりまして、この話があったときにはデジカメで撮っておりま
せんでしたので、急遽一昨日撮りまして、学生要員はちょっと少ないのでやらせて撮りま
したけれども、こんなような形でティーボールをまず1回やりました。
今度はティーボールあそびという形で、コーンを低いコーンで、そして柔らかいボール
で、そして先をペットボトルにして当たる面を広くしたという、ティーボールボウリング
という形でペットボトルのかわいい、・・・何ていうんでしょうか、ピンを作りまして倒す、
というような形であそびを実践してみました。
まず「ティーボールを知っていますか?」
「ティーボールというスポーツを知っています
か?」ということで、最初の質問はどれぐらい皆さんが知っているかということで学生の
認識度ということで見てみました。そうしましたら「知っている」という人は8%しかお
りません。これは2
0
0
2
年からティーボールが学校の指導要領の中に入ったんですけれども、
教育学部の学生とうちのような保育士養成の学生ということで、女子学生なんですけれど
も、9
2
%は知らないという形で今日の先生方はがっくりくるデータかもしれないのですが、
それだけ底辺拡大する必要があるのかなというふうに私は思いました。
その次、ティーボールのほうですね、あそびではなく「ティーボールを体験したときの
感想はどうでしたか」っていうと、30
%が「とても楽しかった」それから64
%が「楽しかっ
た」
、「どちらともいえない」4%、それから「あまり楽しくなかった」これは1人ですけ
れども、そういう形で9
0
%以上が楽しい体験だったというふうに答えておりました。
その理由で多かったものは何かというとやはりちょっとこれは自由記述にしてまとめま
したけども、3
0
人が答えたのは「誰にでも打てる」で、これは置いているボールですので、
例えば野球が苦手な女子の学生でも打てる、ということで誰にでも打てるというところが
この回答のダントツのトップでした。次はですね、
「盛り上がりやすい」で、これはチーム
対抗戦ですので、チームを組んでやったことにより協力したり、チーム戦で盛り上がりや
すいスポーツだというふうに学生さんは捉えたようです。次に「ルールが簡単」というこ
とで、野球ほど難しくないということで「ルールが簡単」。その次「ボールが扱いやすい」
ということで、やはりボールが大きいのがいいんだと思うんですね。ティーにのせても大
きいボールなのでボールが扱いやすいというところが打ちやすいと、
「誰にでも打てる」と
いうこととリンクできると思うんですけれども、そういう答えでした。その次が、ちょっ
とわからないのが「ドキドキする」、これはワクワクするという、打てるとき、打てるかな、
打てないかなというようなスポーツにはみんなワクワクとかドキドキというのはあると思
うんですけれども、そういう学生の気持ちですね。
その次、ティーボールあそびを2回やりましたので、2回目の授業がティーボールあそ
びということで、その時の「ティーボールあそびは子どものあそびとして活用できると思
いますか」ということで「はい」
「どちらともいえない」
「いいえ」という形で、
「はい」が
8
6
%、それから「どちらともいえない」、それから2%「いいえ」、さっきの方と同じ人か
もしれませんけれども、そういう方がおりました。その理由として、
「応用ができる」とい
うもの、これは前橋先生のあそびをいくつか紹介させていただいたときにやはり「オニあ
そび」や「サッカーあそび」そういったものとティーボールを合わせたような、ミックス
したようなあそび、さっきの「だるまさんがころんだ」みたいな、そういうことでティー
ボールはいろんなあそびに応用できるんじゃないかというようなことが回答の中に11
人お
りました。トップにあがっております。その次、やはり「ボールが打ちやすい」という、
-6
5
-
このティーボールあそびは先ほど言
いましたように大きなボールでバッ
トもペットボトルのような太いもの
で子どもが打ちやすい、力がなくて
も打ちやすいということでミートし
やすいということで「ボールが打ち
やすい」。それから次に、でも「幼児
にはルールが難しいんじゃないか」
ということで、これはこれからの課
題だと思うんですけれども、対象年
齢 に よ っ て は3歳、2歳 で あ れ ば
ルールはなくてもただ打って走れば
いい、ボールを追いかければいいと
いうような、逆にルールがあること
がいいのかどうかというようなこと
も少し考えてみました。考えさせら
れました。次に、
「ルールは分かりや
すい」幼児用にわかりやすいという
のも良かったというか取り入れられ
る理由にあったと思います。その次、
「道具が安全」ということでやはり
幼児用のものには先ほどのボールがやわらかいとか、ペットボトルのような軽くてそれか
ら当たっても安全なようなものというような用具のことがあがっておりました。
今までは学生にティーボール、ティーボールあそびを授業で2回やったときの学生の受
け止めや感想でしたけれども、次はじゃあティーボールとかティーボールあそびにどんな
運動動作があるのかなということで、動作をちょっと見てみました。体育科学センターと
いうところで幼稚園や保育園の体育のカリキュラムを作るときに、子どもがあそんでいる
時にどんな動作をしているのかなということを全部追っかけたときに、84
の種類でこれは
ここには小さくて二つしか載せておりませんが次のスライドのときに、もう1個出てきま
すけれども、系統立てると「安定性」、それから次の「移動系」、それから次のパワーポイ
ントになるんですけれども、もう一つが「操作系」という三つの系統に分かれて、それぞ
れ動作の内容も例えば「安定性」の中には「姿勢変化」や「平衡動作」というようなもの
があがっていて、「移動系」では「上下動作」それから「水平動作」「回転動作」というふ
うな系統立てた分類をしたものが実は84
あるんですね。その中で、ティーボールまたは
ティーボールあそびに含まれている運動動作はどんなものかというふうに見たときに、例
えば「安定性」の「姿勢変化」でしたら、
「立つ」とか「たちあがる」で「平衡動作」でし
たら「かがむ・しゃがむ」、中黒がついてるのは一つと数える訳ですが、「かがむ・しゃが
む」で、
「まわる・ころがる」それから「おきる・おきあがる」、それから次の「移動系」
であれば、
「上下動作」としては「とびあがる」とか「とびつく」とか「おりる」とか「す
べりこむ」とか「あがる」とか、それから「水平動作」でしたら「走る・かける・かけっ
こする」
、これは前に出ている項目ほど学生や私どもで丸をつけたときに多かった、という
-6
6
-
ものですね、次に「おう・おいかける」それから「ふむ」「あるく」「とぶ」「すべる」それ
から「回転動作」としましては「とまる」「にげる・にげまわる」「かわす」「はいる」とい
うふうな動作があります。
次に「操作系」という三つめの系統の動作があります。これは「加重動作」「脱加重動
作」それから「捕捉動作」それから「攻撃的動作」という形で、これはやはり道具を使う
ティーボール、ティーボールあそびですので、やはりたくさん、23
あります。先ほどの
「安定性」が5、それから「移動系」が1
5
ということで、
「操作系」は2
3
、このようにあり
ました。まあ「ける」とか「ひく」とかっていうのは実はティーボールの中にはないんで
すが、ティーボールあそびの中で「ティーボールPK」とか「ティーボールサッカー」と
いうところでそういった動作が実は出てきています。そうすると、このティーボール、
ティーボールあそびの中に、運動の中にはこの基本的な84
という動作が実はこの中で43
ほ
ど出ています。というのは、幼児期に非常に体験させたい基本動作のうち半分が入ってる
ということなので、そういう運動動作からみてもティーボール、ティーボールあそびとい
うのは幼児期にとり入れたい体育あそびではないかなという、運動動作のほうからちょっ
と見てみました。
私のほうではこのように2回の授業で、たった2回なんですけれども、今年やって学生
がどう受け止めたかという、ティーボール、ティーボールあそびをどう受け止めたかとい
うことを報告させていただきましたが、まとめとしては、やはりティーボールがまだ今の
学生にはあまり知られていないということがわかったので、授業の中で取り入れる普及、
底辺拡大ということで、指導者に普及するということで、今後やることが、授業の中で続
けていくことが、必要なのかなということを感じます。それから、指導者が楽しいことが、先
ほどの有木先生ではありませんけれども、報告にありますし、指導者が楽しくなければ子
どもにとっては楽しいと思えない運動あそびになってしまいますので、今まず指導者が楽
しいというふうに思うことが大事なんではないかなと思いましたが、このアンケートでは
-6
7
-
うちの学生のほうでは、休みの時間でも「先生ティーボールやっていいですか?」という
ような授業を体験した学生は、女子学生ですけれども「用具庫から出してやっていいよ」
という形で自由に使ってもらっていますけれども、休み時間でもちょっと時間が空いたら
ティーボールをやりたいという学生が出てきて、楽しかったというふうに学生が受け止め
てもらったことは、授業としては今後続ける意味があるのかなっていうふうに私のほうも
受け取りました。以上です。(拍手)
(扇原)星先生ありがとうございました。
それではですね、3人の先生方には野球の底辺拡大、ティーボールの普及のために、前
橋先生からは教材開発、有木先生・星先生からはその教材を使った実践報告をしていたき
ましたが、それらを受けてフリーディスカッションに移る前に、本日は福岡にあります西
南学院大学文学部児童教育学科で教授をされていらっしゃいます、米谷光弘先生がいらっ
しゃっています。先生は協会の一員としての立場からいうとですね、非常にユニークで、
というか協会とは別な立場でですね、アメリカで実際にティーボールを見てその迫力をお
感じになられまして、ティーボールの研究とか教育とかの実践活動をしていらっしゃいま
す。ぜひ今日はですね、フロアからそういった取り組みとか、先生のご専門であります保
育学とか児童教育学の分野からみたティーボールについてご紹介いただければと思います。
よろしくお願いいたします。
(米谷)西南学院大学の米谷と申します。星先生と同じように幼稚園教諭、保育所保育士、
小学校の教諭を養成している大学にいます。そして幼児体育の現場で前橋先生と同じよう
な幼児体育で幼稚園保育園の現場へ行って約30
年以上になります。ということはもう学生
時代からずっとやっておりまして、今も子どもたちと幼稚園の現場、保育園の現場で指導
している立場にいます。福岡に来まして約2
0
年なんですが、それまで神戸で幼児体育の遊
-6
8
-
具などを開発してですね、現場とのつながりをもちながらいろんなものを作っていました。
その中で保育園の現場、幼稚園の現場でサッカーとかドッヂボールというのはすごくメ
ジャーなんですが、なかなか野球の普及がないわけですね。それはどうしてかなと思うと、
要するに易しく打てないからですね。投げるのも難しい。それでいい保育士の中の男性で
特に野球が好きな人は、ピッチャーにならなければいけないんですね。打たせてやるよう
に投げる、これが一番のあそびの発展です。これがやっぱり野球の基本なんですね。とい
うことは子どもたちとやるとやっぱり難しいわけです。そしてその辺を、今のティーボー
ルのデータでも、大リーガーの一番の導入で皆さんされてますけど、すごく打てると。そ
れで今日ご紹介があったように、前橋先生のようにいろんなものをボールの種類に入れる
とか、いろんなバットをもつとか、これは今までの体育の概念でなくて、前橋先生がご紹
介なさったようなmoveatoccas
i
onの概念で、自分で選択してその中で自分の楽しさを
知るということなんですね。ですから、できあがりのものをそのままするということは共
通性がありますから、今回障害者の大会とかいろんな少年野球なんかもそうですけど、同
じルールで同じものを使わなければ全国各地の子どもたちを集めて試合なんかできないわ
けですね。特に世界各国でオリンピックなんてできなくなります。でも実際は、実は少数
民族の子どもたちの調査をしているんですけど、やっぱりルーツがあるんですね。これは、
先ほど吉村先生の論文の中にありましたように、クリケットがソフトボールとかの野球の
原点であるとか、もちろんゴルフもそうですが、そういう「打つ」というものが、やはり
楽しいわけですね。その辺の原点を子どもたちが作っていく、それと、やはり子どもの楽
しいものはやっぱり大人のあそびにつながっていく。この辺の共通したものというのは、
先ほどの話の中でもあったように、指導者が楽しくなかったらいけない、学生も楽しむ、
教えるほうも楽しくなかったら絶対だめなんですね。そこに、易しく打てるというところ
から入っていって、自分たちが工夫していく、そしてルールを変えていけるということの
お話があったと思うんです。これは非常に原点だと思います。ただ、何でも与えたらいい
んじゃなくて、やはりここにいきつくまでに、野球のルールが完成するまでに歴史がある
わけですから、それにいきつくまでの専門性へ分化していく歴史をしっかり知った時に、
きっとこの今やられてるティーボールというのが普及していく一つの起点だと思います。
ですのでぜひこれは幼児教育の現場でどんどんやる、できる、と思います。特にこれから
文部科学省が、子どもの居場所のことをやっておりますので、居場所については児童館と
かですが、それで今僕自身も、統合失調症の患者さんとか躁うつ病の患者さんのデイケア
をやってるんですね、スポーツ神経クリニックで。そういうところを利用することが可能
です。一度やったことでもう何度もやっておりますし、そういうレクリエーション的な要
素を、ぜひ入れられることが非常に面白いなと思って、先生方のお話を聞いておりました。
ぜひその辺も含めまして、皆さんのティーボールを普及するためには、今のような自由性
と、そして僕らが使いまして最後割れてしまうので、その辺は前橋先生がやられている遊
具開発でしっかりとナガセケンコーさんですか、そちらのほうできちっと丈夫なものも作
りながら、安全性を考えたものをぜひ作っていただいて、ぜひ幼児教育のほうを中から、
子どもから老人まで今日の障害者のお話もそうですけど、そういういろんな人が老若男女
問わずできるようなスポーツで、ぜひ普及していただきたいと思います。ちょっと長くな
りましたが、どうぞよろしくお願いします。(拍手)
-6
9
-
(末次)どうもありがとうございました。
このコーナーは先生方にこのティーボールで一番難しいところを工夫してもらってやっ
ていただいていて、本当に感謝に堪えないと思います。特に高校野球とかプロ野球なんか
はもっと感謝しなきゃいけないかなというくらいのことをやっていただいております。本
当に今日は先生方、ありがとうございました。それから皆様どうもありがとうございまし
た。これで終わりたいと思います。(拍手)
(鈴木)長い時間本当にお疲れさまでした。これをもって第12
回ティーボールセミナーを
終了したいと思います。皆様方のご協力により無事終了することができました。本当にあ
りがとうございました。(拍手)
本稿の原稿起こしと校正にあたっては、20
0
5
年度早稲田大学人間科学部人間健康科学科
吉村正ゼミの石川寛、植野水緒、大井麻生、梶原一喜、加藤葵、栗田愛子、竹地麻美、前
田真理子、三ッ橋愛、山内初美の各氏のご協力を頂きました。ここに御礼申し上げます。
-7
0
-
1月2
2
日(土)
セミナー直前に
第1
2
回日本ティーボールセミナー
忙しい山縣俊明事務局長
受付中です
学生ボランティアも大忙し
全国から約3
0
0
名が集まった
海部俊樹会長と愛知県の役員達
1月2
3
日(日)
岩浪文明常務理事による講習会の説明から
始まった
吉村
正理事長による「ティーボール概論」
田口 弘理事による
「オフィシャル・ティーボール・ルール解説」
講習会2日目
相変わらず忙しい山縣俊明事務局長
頼住道夫常務理事による
「ティーボール組織運営論」
熱心に話を聞く受講生たち
TTA中級公認指導者認定講習会 2 日 目
&
TTA初級公認指導者認定講習会(当日のみ)
扇原
淳理事による「スポーツ科学概論」
河手典彦早稲田大学教授による
「スポーツ医学概論」
パワフルな講義をする扇原先生
分かりやすく講義する河手先生
受講生も真剣だ
「ティーボール審判法実習-ゲームの進め方と審判法」
&
「ティーボール指導法実習-打つ、捕る、
投げるの基本」
久保田浩司理事による
「ティーボール審判法実習Ⅱ」
鈴木悳夫常務理事による
「ティーボール指導法実習Ⅰ」
種茂雅之常務理事による
「ティーボール指導法実習Ⅱ」
田口 弘理事による
「ティーボール審判法実習Ⅰ」
渋澤良一常務理事による総括
素晴らしい講習会でした。
ありがとうございました。
編集委員会
委 員 長
吉
村
正
委
扇
原
淳
目
黒
菊
池
員
〃
写
真
優
香
優
NPO 日本ティーボール協会事務局
2
0
0
5
年1
2
月2
0
日発行
発行者 NPO法人 日本ティーボール協会(会長 海部 俊樹)
〒1
5
7
0
0
6
6 東京都世田谷区成城2-4
0
-5-6
0
5
事務局長 山縣 俊明
TEL 0
3
3
7
4
9
0
2
2
8 FAX 0
3
3
4
1
5
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7
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