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ゾーンプレートの光学特性と軟X線顕微鏡への応用・・・・篭島 靖

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ゾーンプレートの光学特性と軟X線顕微鏡への応用・・・・篭島 靖
放射光第 3 巷第 3 号 (1 990年)
3
01
史、』
ミぎヤJ
-n・をb
篭島靖,
青木貞雄'
i向エネルギ ー物思学研究所放射光実験施設
・筑波大学物用工学系
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u
a.
1.はじめに
程度なので原理的に分子レベルの空間分解能が得
披長が数 A から数十A の軟 X線は,宝物試料の
られる。②眼収係数の大きさが, 遥過怯を用いて
観察を自的とする顕微観の光源として慢れた特長
回さが数 μm程度の細胞をそのまま観接するのに
を持っている 。 まず. !'Di,度長が分子の大 きさと同
適した大きさである。③吸収端を利用した差分法
-91(C) 1990 The Japanese Society for Synchrotron Radiation Research
3
0
2
放射光第 3 巻第 3 号 (1990 年)
を用いれば無染色で特定の原子の空間分布をコン
2 .ゾーンプレート
トラスト良く検出できる。④大気中の試料の観察
2 一 1
.光学的性質
ができ,さらに波長域を 23,-...,44Â に限れば,水溶
ゾーンプレートは図 2-1 に示すような,入射
液中の試料の観察も可能である。電子顕微鏡と
光に対して透明,不透明の輪帯を交互に繰り返し
比較した場合,空間分解能は劣るものの,③,③,
た透過型円形回折格子である。奇数番目の輪帯が
④の内容は軟 X線顕微鏡にみの可能なものである。
透明なものを正のゾーンプレートといい,偶数番
このように,軟X線顕微鏡は生きた生物試料の高
目の輪帯が透明なものを負のゾーンプレートとい
空間分解能・実時間観察を可能にする顕微鏡とし
う。ゾーンプレートの焦点距離は,入射光の波長
て注目されている。
をえとしたとき図 2 - 2 に示すように,隣り合う
現在,軟X 線顕微鏡の実用化を目指して多くの
境界による光路差がえ/ 2 であるという条件から
グループがその開発を進めている l\ それらの顕
微鏡に利用されている光学素子は,ゾーンプレー
ト,
ウォノレターミラー、シュノりレソシルトミラー
などであり,その性能は超微細・超精密・薄膜製
作技術といった半導体産業に関連する技術の進歩
に依存している。ゾーンプレートは光の回折現象
を利用した素子なので,色収差を避けるためには
照明光に単色性が必要となり,その分だけ光源に
要求される単位バンド幅当りの強度が高くなる。
ウォルターミラーは同軸の回転楕円面と回転双曲
面を組み合わせたミラーである。斜入射光学系な
ので高い反射率が得られるが,非球面であるため
に高い形状精度が要求される。シュバルツシルト
ミラーは直入射光学系を利用できるので‘大きな立
l
r
体角を得易く,球面なので製作精度も高い。しか
し軟X線領域で実用的な反射率を得るためには
Fig.2 一 1
Parameterso
fazonep
l
a
t
e.
多層膜コーティングをする必要があり,その製作
段階での反射面の凹凸が問題となる。それぞれ長
所と短所を持ち合わせているが,空間分解能に着
目した場合,現時点では,ゾーンプレートが最も
••••
高い分解能を得ている。本稿では,軟X線顕微鏡
の光学素子としてゾーンプレートに注目し,その
基本となる光学的性質をまとめたあと,ゾーンプ
z,
レートの通常のレンズとは異なる特殊な像形成の
OBJECT
作用を光源がアンジュレータ光(スペクトルが基
本波とその高調波からなる〉の場合を中心に解析
し最後にゾーンプレートを用いた軟X 線顕微鏡
Z2
ZONE
P
L
A
T
E
I
M
A
G
E
P
L
A
N
E
Fi
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.2- 2 Description o
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の現状をレビューする。
a zonep
l
a
t
e
.
-98-
3
0
3
放射光第 3 巻第 3 号 (1990年)
導くことができる。すなわち,物体と像がともに
で与えられる。
光軸上にあるとし物体からゾーンプレートまで
ゾーンプレートの振幅透過率はフーリエ級数で
の距離とゾーンプレートから像までの距離をそれ
表わすことができ,半径 r における値 T(r) は正
ぞれ Z [及び Z 2 ,ゾーンプレートの n 番目の境界
のゾーンプレートについて 2)
の半径を r n とすると
1
2
∞
π
K=()
T
(r)=一一十一一-L
ZI
+Z2
+nタ /2=(
ZI
2
+rn2
)/
2+(
Z2
2 十 r n 2 )[/2
J
2-1
2π(2 K 十 1)
Sln
1
一一
2K+1
r2
2タf
が成り立てばよい。右辺を展開して整理すると,
1
1_
1
M ニ r n2 (一一+一一)一一一九 4
ZJ
(
1'1 十 一一一一一
1 、ι
一一一一一
Z I,J
Z ,> 3
2
4
Z2
exp
2-2
十・・
1
∞
π
K=O
1
2
2πi
2K+1
(2K+1)r2
2タf
となり, r n <'(ZI , Z2 ならば右辺の高次項は無視で
1
∞|
十一-π
きて
L
K=O
一一
2K 十 1
p2πi (2K 十 1)r 2
fJf
ヘ」八代 A八
n
nal
uoA
。,
rrJ
rr
PTA
一一一一
2タf
2-7
2-3
で表わされる。
2
- 7 式から,ゾーンプレートに
波長えの平面波を垂直に入射させると,第 2 項は
とおけば,薄レンズの結像公式
f2K+[ の各点に焦点を結ぶ収束球面波,第 3 項は
1/z[+1/z 2
二
1
2-4
/f
-f2K+I の各虚焦点から発散する球面波を生ずる
ことがわかる。各次数の回折効率は,
2- 7 式の
0
が成立ち,ゾーンプレートがレンズの働きをする
各項の係数の絶対値の 2乗で与えられるので,
ことがわかる。 n 番目の境界の半径は,
次光,すなわち光軸方向に進む平面波の効率 E 。
2- 3 式
は,
から
rn= (n fタ)[/2 , n=1, 2,…,
N
E0= (
1/2
)2
=2
5%,
2-5
で与えられる。ゾーンプレートの結像作用は回折
2m+1 次光の効率 E
2-8
2m+ I
は,
光の干渉によって起こるので,高次の焦点も存在
する。
2
-1
式において n タ / 2 の代わりに
n (2m 十 1 )え /2 とすれば,
E211l+I 二 I i
/ (2m+ 1) π2
2- 9
2m 十 l 次の焦点
距離は
で与えられる。従って,
E 5 =0.4% ……
f 2m + l =f/(2m+ 1), m=O , :=t 1 , :=t 2,
EI=1
0
.1
9
',E 3=1
.12% ,
となる。
また,不透明部分によって,入射光の 50% のエネ
2-6
-99-
3
0
4
放射光第 3 巻第 3 号 (1990 年)
ルギーが失われる。このように,振幅透過率が O
N.A. ニ (2
m+1)え
2-14
12 δrtv
と l を繰り返すゾーンプレートで、は回折効率が低
いので,不透明輪帯を薄膜にしてそこを通過する
で与えられる。従って,
際の光波の位相変化を z とする位相ゾーンプレー
入して
2-14式を
2-11 式に代
トがある。このときの振幅透過率は 1 と- 1 の繰
/
1
T(r)=一二π
CXコ
L
K=O
2-15
1
. 22δ 日 1 (2m+1)
り返しとなり,半径 r における値は
という結果が得られる。このように,ゾーンプ
1
~
2K+1
レートを結像素子に用いた顕微鏡においては,
2-10
Sln
ゾーンプレートの最外輪帯幅を狭くすればするほ
ど高い分解能が得られることになる。また,利用
する回折次数を高くすれば効率は低くなるがより
で与えられる。各次数の回折効率は, 10 =0, 1 I ニ
I2i
lJ[ I2 =4
0
.5~/ó , 12 = I2i
l3 πI
%となり,
2
=4.5
高い分解能が得られる。ただし高次回折を利用
する場合は相対的に強度が高い低次の回折光を除
去する必要がある。
4 倍の向上が期待できる。実際には,
ゾーンプレートは回折効果を利用した光学素子
薄膜による吸収が伴うので効率は低下する。
ゾーンプレートをレンズとして用いたときの点
像関数ト 5) は,
ゾーン数 N が N乙 100 ならば,等
であるので,色収差を避けるには入射光に単色性
が必要である。入射光の波長変化分をムえとし
しい開口を持つレンズとほぼ同じ関数になること
それに伴う焦点距離の変化分をム f とすると 2-3 ,
が確かめられている。 従って,ゾーンプレートの
2-6式から,
空間分解能ムはレーリーの定義,すなわち
|え/ムえ= If2m+11 ム f
2m+I
I 2-1
6
2-11
ム =0.61 タ 1N .
A.
が得られ,軸上強度が焦点の 80~1)を下らない範囲
を用いて求めることができる。ここで, N.A. は開
という焦点深度の定義自)
口数である。ゾーンプレートの N.A. は , rN<{
f2m+1 ならば次式で近似できる。
|ム f~III+11
ぇ
f.)、
-=-(一一二一一一)
~
rv
2-17
N.A.=s
i
n(rN 1 f2m+I)
を用いれば,入射光に求められる単色性え/ム A
--rN 1 f2m+I
(2m+1
) N タ 1rN
2-12
は,
え/ム A ミ N
ゾーンプレートの最外輪帯幅 δr ,\は,
δ rN=rN-rN ー I
--r ,,, 12N
2-13
となる。従って,
(2m+1)
2-18
2-15式の空間分解能を得るた
めには,この条件が満足されていなければならな
と表わすことができるので,
口数N.A. は,
2-12 、 13式から開
い。逆に,入射光の単色性が 2 -18式を満たして
いないときには色収差の影響が無視できなくなる。
-100-
放射光第 3 巻第 3 号 (1990 年)
3
0
5
ゾーンプレートの色収差は,入射光の単色性を用
いて表わすことができ,縦方向及び横方向の色収
差をそれぞれム z ,ム x とすると,
ム z=f Zm + / (タ / ム À)
'
ム x=r ,v/ (え/ム À)
,
in ; i tL enl: 1i
z'n:
ridenf:e
P
O
L
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C
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O
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IC
R
A
D
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A
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O
N
2-19
2-20
Z
O
N
E
P
L
A
T
E
であたえられる 7 )。
P
I
N
H
O
L
E
一方,焦点距離が波長によって異なることを利
用すれば,ゾーンプレートを分散素子として用い
F
i
g
.
2- 3 P
r
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c
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l
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faz
o
n
ep
l
a
t
el
i
n
e
a
rmonoュ
ることができる。これは直線型分光器 (Linear
chromator
Monochromator) と呼ばれている。その原理を
図 2 - 3 に示す 8)O 直径 D のゾーンプレートが白
色平行光を集光する場合を考える。入射光の波長
ヘン工科大学のグループ 11) がそれぞれ最外輪帯
によって焦点を結ぶ位置が異なるので,ゾーンプ
幅 500Å のものを製作している。ゾーンプレート
レートの後方の光軸上にピンホールを置けば,
の不透明部分には X 線吸収率が大きく比較的加
ゾーンプレートとピンホールとの聞の距離を焦点
工性のよい金が従来から用いられており,パター
距離とする波長だけがピンホールを通過すること
ンの形成法としては電気メッキ法が一般に利用さ
になる。ピンホールの直径を d とすれば,得られ
れている。また,金と同程度の X線吸収率を持ち,
る波長分解能は横方向の色収差の大きさが d に等
残留応力が小さく強度も高いタンタルを使った
しいとおけばよいので,
2-20式から
ゾーンプレートも作られている l2)0 そこでは
RIE(reactiveionetching) を利用している。こ
タ
rN
ム À
d
D
2d
2-21
の他に,電子ビーム法の一種としてキングスカ
レッジのグループが開発したカーボンコンタミ
ネーションリソグラフィ一法がある I 3) 。この方
となる。この直線型分光器はドイツのゲッチンゲ
ン大学のグルーフ。が開発したもので 11) ,
BESSY
で稼働中の軟 X 線顕微鏡に応用されているリ)。
法は,カーボンの薄膜に電子ビームを照射した時
に形成される真空中の炭化水素物のコンタミネー
ションによってゾーンプレートのパターンを描き,
それをマスクに X 線リソグラフィーの手法を用い
2-2 .軟 X 線用ゾーンプレート
て金を吸収体とするレプリカゾーンプレートを作
軟 X線用ゾーンプレートの製作法には,紫外線
るものである。彼らは,最外輪帯幅がマスクパ
レーザーを用いるホログラフィック法と電子ビー
ターンで 350Å. ,
ムリソグラフィ一法とがある。現在は,後者の方
トの製作に成功している 1 4)。ゾーンプレートの
が主流である。前述のゲッチンゲン大学のグルー
パターンの支持には,通常はポリミドあるいは窒
プはアルゴンレーザーの 2 倍高調波 (2570Å) を
化シリコンの薄膜を用いるが,吸収による効率の
用い,ホログラフィック法により最外輪帯幅 580
低下をできるだけ抑えるためにスポーク状の支持
A のゾーンプレートを製作しているリ)。電子ビー
体を設け,ゾーンプレートパターンを空間的に浮
ム法としてはアメリカの IBM'O) とドイツのアー
いた状態にするフリースタンデ、ィング構造のもの
-101 ー
レプリカで750λ のゾーンプレー
3
0
6
放射光第 3 巻第 3 号 (1990年)
は正負の 1 次のみで十 l 次回折の焦点距離がその
もある。
結像条件を満たした配置になっている。ゾーンプ
3 .ゾーンプレートの像形成
レートは凸レンズによる実像(十 1
結像光学系においては,用いる結像素子の像形
s
t order
1s
torder
r
e
a
limage) と凹レンズによる虚像(- .
成の特性を理解することが非常に重要である。
v
i
r
t
u
a
limage) だけでなく,
ゾーンプレートは回折を利用した光学素子である
体と等倍の投影像と,見かけ上凹レンズの焦点
ために,異なる回折次数によって生ずる複数の像
F-l から凹レンズの虚像を投影拡大した像ととら
が必ず現われる。アンジュレータ光照明の場合は,
えることができる像が現われる(以後この像を便
異なる高調波の次数による複数の像がさらに加わ
宜的に -1 次の投影像と呼ぶことにする)。従って,
り,像形成はより複雑になる。物体が周期性を持
ゾーンプレートを用いて物体を結像するときは,
つ場合は,その回折効果も加わり,像形成は一層
高次の回折を無視しでも少なくとも 3 種類の像が
複雑になる。ここでは,ゾーンプレートの像形成
現われることになる。図中の変数を満たす方程式
を 3 通りの結像系について解析し対応する実験
をまとめると以下の 2 式となる。
について述べる。なお,
0 次回折による物
ここで述べる内容は
Ref.15 に既に公表済みである。
.
1
1
一一一+一一一一一=
a
b
• 1
1
一一
f1
q 一つ
ムd
にJ
3- 1 .幾何光学的解析
1 1 1
1)単色光照明下の非周期物体の像形成
一一一十一一一一一=一一一一-
a
最も簡単な結像系は,物体を単色平面波で垂直
b_1
f1
3-3
に照明する場合 (Kるhler' s c
e
n
t
r
a
li
l
l
u
m
i
n
a
-
t
i
o
nt(j))である。結像系において基本となる変数
- 1 次の投影像の倍率MS-l は簡単な幾何学から
は結像素子の焦点距離である。ゾーンプレートの焦
点距離は 2 -16式で表わされるので,これを薄レン
MS ー 1-1+b+ t /C
3-4
ズの結像公式に代入すれば,ゾーンプレートの結像
で与えられる。ここで上付き添字 s は投影像
公式として
(Shadowp
r
o
j
e
c
t
i
o
nimage) であることを示し
1
1
bm
rn
一一+一一二一一一ー (m 二 2k+l ,
a
f1
:
:
t1, :::t 2,
ている。図 3 - 1(a) においては,各々の像はお互
k=O ,
・…・・)
いに重なり合ってしまっていて分離できないこと
3-1
がわかる。しかしながら,実像だけは倒立像なの
で軸外しダイアフラムを用いて照明領域を空間的
を得る。ここで a および b m は物体からゾーンプ
に制限することによって実像だけをうまく分離す
レートまでの距離とゾーンプレートから m 次回折
ることができる。その原理を図 3 - 1(b) に示す。
による像までの距離であり , C は 1 次回折の焦点
軸外しダイアフラムを用いてもゾーンプレートの
距離である。ゾーンプレートの特殊性は全ての回
光軸上の物体に対する取り込み角度,すなわち関
折次数が各々独立して像を作るということである。
口数 (numerical aperture) は変わらないので,
図 3 - 1(a) は,非周期物体を単色平面波で垂直
空間分解能は通常の光学系と同じである。もし照
に照明した場合のゾーンプレートの像形成の様子
明光が完全な平面波でないならば,焦平面上に集
を示している。ここでは,ゾーンプレートの回折
まる光が一点、にならずに面積を持つので投影像も
-102-
放射光第 3 巻第 3 号 (1990年)
3
0
7
a
.
b
.
-lst-ORDER
VIRTUALIMAGE
|1a町 f.1
OFF-AXIS OBJECT
DIAPHRAGM
ZONE
PLATE
IMAGE
PLANE
Fi
g
.3- 1 I
mageformation bya zonep
l
a
t
ewhen a nonperiodic
o
b
j
e
c
ti
silluminatedbyamonochromaticplanewave.
(
a
)normalon-axismode
(
b
)off-axisdiaphragmi
si
n
s
e
r
t
e
d
ボケてしまう。一方,入射光の方向性が完全にラ
と書ける。ここで,下付き添字十 11 はアシジュ
ンダムならば,投影像は結像面全体に拡がるバッ
レータ光が l 次光でゾーンプレ→トが十 1 次回折
クグランドとなってしまい,物体の形状を現わさ
であることを表わしている。
ないので観察される像は実像だけとなる。
- 6 式を薄レンズの結像公式に代入すると
1 1 m
2)アンジュレータ光照明下の非周期物体の像形
一一一十一一一一一二
a
成
bmn
士 2,
(m=2k 十1,
・・…・)
ウi
ごと1,
- 1 式と同様に 3
qd
k=0 ,
アンジュレータ光には高調波が存在するので,
n f+II
3
ゾーンプレートの像形成は 1 )の場合より複雑に
なる。アンジュレータ光の n 次光の波長は
となる。図 3
- 2 は非周期物体がアンジュレータ
光に照明されている場合のゾーンプレートの像形
Æn= え 1/ n
(n = 1,
2,……)
3-5
成の様子を示している。この図は以下の 3 つの仮
定のもとで描いてある。まず,ゾーンプレートの
と書けるので l へアンジュレータ光の n 次光に
回折は正負の 1 次だけである。二番目にアンジュ
対するゾーンプレートの m 次回折の焦点距離
レータ光のスペクトルは, 1"
'
'3 次光で構成され
f
mnは
ている。三番目に,アンジュレータ光の l 次光の
+ 1 次焦点距離f+ 11 が結像条件を満たしている。
fllln=nf+ll/m
(m=2k 十l.
k 二 0 ,土1,土 2 ,……)
図 3 - 2 に示すにように,アンジュレータ光と
3
;-6
ゾーンプレートによる結像系においては,アン
噌
・品
E
円、
u
ハU
放射光第 3 巻第 3 号 (1990 年)
3
0
8
OBJECT ZONE
PLATE
│
f
l
J
;
:
1
1
f
│
J
Fig.3 一 2 Imagef
ormationbyazonep
l
a
t
ewhenanonperiodico
b
j
e
c
t
i
silluminatedbyundulatorr
a
d
i
a
t
i
o
n
. Theprimary (+11)
imagecanbeseparatedbyi
n
s
e
r
t
i
n
ganoff-axisdiaphragm
with appropriateapertur
e
. The undulator r
a
d
i
a
t
i
o
ni
sa
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ュ
sumedt
oc
o
n
s
i
s
to
ffromt
h
ef
i
r
s
tt
ot
h
et
h
i
r
dharmonics.
ジュレータ光の各高調波の -1 次焦v点、 F -1 n による
者の倍率がほとんど等しくなるので,倍率だけで
正立投影像と,十 l 次焦点 F +1n にいったん収束し
両者を区別することは難しくなる。ゾーンプレー
トの高次回折を含めた各投影像の倍率は
てその後発散して行く倒立投影像が現われること
がわかる。図では,軸外しダイアフラムの直径を
M smn 二
l 次光の十 l 次焦点距離 f+ 11による実像(+ 1
1r
e
a
l
1-mb+ 11 /n
f
+
l
l
(m<0: 正立投影像)
image) が他の投影像から分離できる大きさに
MSm
n=mb+11/nLII-1
してある。
(m>O: 倒立投影像)
アンジュレータ光の n 次光に対する- 1 次焦点
(m=2k+1 , k=0 ,:=t 1 ,:=t 2 ,……)
F-1 n の作用による正立投影像の倍率 Ms _1 n と,
3-11
+1 次焦点 F +1n による倒立投影像の倍率 MS +1n は
で与えられる。高次回折による投影像は,効率が
簡単な幾何学から
低い上に倍率も高いので,その影響は無視できる。
MS_1 n = 1+b+11/nf
+11
3-8
MS+'n=b+'I/nf+I , -1
3-9
図 3
-317)
に示したように,アンジュレータ
光のスペクトルは鋭いピークの奇数次光と鈍い
ピークの偶数次光からなるので,奇数次光による
投影像がシャープな像なのに比べて偶数次光によ
と書ける。この 2 つの倍率の差は,
る投影像は鈍くなる。また,スペクトル全体にわ
MS ー ln-MS+
1n =2
3-10
たって白色光成分が存在するので,隣合う投影像
は完全には分離されない。
となり,一定である。従って,高倍率になると両
-104 一
放射光
第 3 巻第 3 号 (1990年)
3
0
9
内
rFOE3'h
ぴび
一
1
s
t
3
r
d
ー 2nd- 一 ト 4th~
千
十
mvmvo
~オt
t
h
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1
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ヰ冊
I
l
ヰ
1
1
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v
『内
Fig.3 一 3
ハU
J
・ EE-ω\
ω
)江田
Eε N
(.
.〉
2〉
4L・
.も
0
Zz
4コa
」】
凶υ
E=2.5GeV.I=250mA
103
PHOTON ENERGY(eV)
104
Typicals
p
e
c
t
r
a
ld
i
s
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r
i
b
u
t
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o
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i
o
n17)
I
wheret
h
ephotonenergyo
ft
h
ef
i
r
s
tharmonici
s4
0
0eV.
TRANSMISSION ZONE
GRATING PLATE
(G.S.=d)
IMAGE
PLANE
Y 叩 In, R, O)
Y
X
z
QImn(Xlmn 川 mn , b)
fmn
a
b
fa monochromaticray i
n
c
i
d
e
n
ton t
h
ezonep
l
a
t
e
Fig.3- 4 Motion o
imagingsystem. Thed
i
f
f
r
a
c
t
i
o
nordero
fthetransmission
grating , t
h
a
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fazonep
l
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eandt
h
eharmonicordero
ft
h
e
undulator r
a
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a
t
i
o
n arerepresented bysubscriptsLm and
n, r
e
s
p
e
c
t
i
v
e
l
y
.
3)アンジュレータ光照明下の周期物体(一次元
の場合から二次元の周期物体の場合へ議論を拡張
透過回折格子)の像形成
することは容易である。単色平面波で物体を照明
物体が周期性を持つ場合は,その回折効果に
した場合,
対物レンズの後側焦平面上に物体のフ
よって生ずる投影像がさらに加わる。この作用を
ラウンホーファ一回折ノミターンが現われるので,
考察するために周期物体として最も単純な一次元
回折格子の場合は各次数に対応する極大値(スペ
透過回折格子を例に挙げる。一次元透過回折格子
クトル)が形成される。 Abbe によれば I
-105 ー
6)
守
、ー
3
1
0
放射光第 3 巻第 3 号 (1990 年)
れらのスペクトルはコヒーレントな二次光源の中
で与えられる。この距離は波長によらない。光線
心であり,そこから進んで行く光波がお互いに干
は 2 点 P Im , Slm η を通るので,
渉し合い,その結果像を結ぶと考えてよい。対物
の方程式から Q Imn の X , Y座標は次式で、表わされ
レンズがゾーンプレートの場合は,各スペクトル
る。
3 次元空間の直線
の位置は回折格子の回折次数,ゾーンプレートの
回折次数及びアンジュレータ光の高調波の次数に
m
n
n 二一一一
よって決まる。図 3 - 4 は,一次元透過回折格子
,.
À
_
.
Q r
一一~b
r
(一ー
m
,~
,2
で
d
.
を物体としゾーンプレートを対物レンズとする光
学系にアンジュレータ光の n 次光が入射したとき
+
i
_
-
の光線(あるいは,波面の法線)の経路を表わし
n
aタ ,
d
3-14
ている。ここでは,軸外しダイアフラムの効果を
考慮するために,光-線は光軸に平行に距離 R だけ
Y ,.",,=__2_~
A
n ニ一一一一 一一叫
bR+R
n
離れて入射するとしている。 n 次光の光線は,ま
r
,~
ず回折格子の t 次回折によって P In に向かう方向
に向きを変える。次に,ゾーンプレートの m 次回
この 2 式から À , を消去すれば
折によって S Imn に向かう方向にさらに向きを変
える。最後に,結像面と交わりその交点が Q
t r12 a
Y1m
{一一一+
b
¥
R
m
d
Imn
X I 間二一一
である。回折格子の格子定数 d がアンジュレータ
2
光の 1 次光の波長え l よりも十分大きいならば,
b
、、Jノ
一a
唱EEA
+
一b
f¥
a
一m
hd
一
t
一4
+
S Imn の x 座標,すなわち距離
m 一
nュ
nつ G
PTA 一
「八一
D'
m
を得る。この方程式はどの光線も次数.Q , m 及び、
n で決まる放物線上に現われることを意味してい
る。また , m は正負の奇数であり,もし回折格子
AUM
一
D 'm は
3-15
3-12
nd
で与えられる。
1i
、、
J't
山
一a
R, aタ1
X ,四=
l
b
P1m の x 座標 Xlm は
R, r 12
md
3-13
の振幅透過率が矩形関数ならば t も正負の奇数と
ZONE
PLATE
/
FILM
PINHOLE
(20μmゆ)
7
.
1
m
Fig.3 ー 5
1.85m
Experimental s
e
t up f
o
rt
h
e image formation by a
zonep
l
a
t
ewitht
h
eundulatorr
a
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a
r
g
ezonep
l
a
t
ewasemployedasatransmission
g
r
a
t
i
n
g
.
-106-
放射光第 3 巻第 3 号 (1990年)
3
1
1
なることに注意しておく必要がある。
続光成分が存在するので,隣合う回折スポットは
完全には分離されていない。ゾーンプレートの透
3- 2 .実験
明部分と不透明部分の面積の比が完全に 1 :1 で
3- 1 の解析結果を確かめるために行った実験
ないときには偶数次回折も生じる。図 b) におい
について簡単に述べることにする。実験光学系を
図 3 - 5 に示す。放射光実験施設のアンジュレー
タ光とビームライン (BL
2B) の性能については,
他の文献を参照されたい I 8 ・ 19) 。アンジュレータ
光の 1 次光の波長は 26.6Å に回定して実験を行っ
a
.
た。ゾーンプレートには軟 X線顕微鏡で対物ゾー
ンプレートとして用いているものを代用した。そ
の最内半径 rl は 5. 0μm ,ゾーン数N は 100である
b
.
ので,主焦点距離CII は 9.40mm,直径は 100μm
である。透過型回折格子には,軟 X線顕微鏡で集
光ゾーンプレートに用いているゾーンプレート
(直径 1 mm) の外周部分を利用した。この領域で
の平均格子定数は O. 72μm で、ある。軸外しダイア
フラムには直径 20μm のピンホールを用いた。図
3-5
において,回折格子,ゾーンプレート及び
Y
C.
た
2R,\, 二
フィルムの位置関係はム I j が結像条件を満たす配
置になっており,その主倍率 M+" は 195 である。
図 3
n=l-一一
X
-6-a) は全ての光学素子を光軸上に置い
1ク
たときの (on axis) 結像面内の回折スポットの様
子を示している。このとき,ある一つの回折ス
ポットが次数 f! , m , n のどのような組合せに由来
するものなのかを識別することはできない。図
Fi
g
.3- 6 Arrangement o
ft
h
ed
i
f
f
r
a
c
t
i
o
ns
p
o
t
s
b) はピンホールを 30μm 軸外しした時の回折ス
ポットを,図 c) は,
3 - 14 式から求められる図
b) に対応する回折スポットの配列を示している。
i
nt
h
ei
magep
l
a
n
e
.
(
a
) A1 o
p
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c
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le
l
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m
e
n
t
s weres
e
t on an
optical a
x
i
s
.
ビームラインの平面偏向ミラーの臨界波長は約 5
(
b
) Off-axis diaphragm i
si
n
s
e
r
t
e
d
.
λ なので,アンジュレータ光の高調波次数 n は 5
Arrows i
n
d
i
c
a
t
e examples o
ft
h
e
次まで図示した。十 1 +11 というのは,回折格子
forbiddend
i
f
f
r
a
c
t
i
o
ns
p
o
t
s
.
の回折次数 2 が+1,ゾーンプレートの回折次数
(
c
)Resulto
feq.3 一 14. Thes
i
z
eo
fc
ir
c
l
e
s
m が+1,アンジュレータ光の高調波次数 n が 1
correspondst
ot
h
emagnification o
f
であることを示している。点線は 3 -15式から決
t
h
ed
i
f
f
r
a
c
t
i
o
n spots i
nt
h
e image
まるいくつかの放物線を表わしている。図 c) の下
p
l
a
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e
. Dotted1
i
nesr
e
p
r
e
s
e
n
ts
e
v
e
r
a
l
側中央部分に主実像 (+1 十 11 realimage) が得ら
paraboliccurves determined bye
q
.
れていることがわかる。アンジュレータ光には連
3 一 15 .
-107-
放射光第 3 巻第 3 号 (1990年)
312
て矢印で示したスポットは,この偶数次の作用の
結像型顕微鏡では白色入射放射光を分光するた
ためと考えられる。また,回折スポットの強度と
めに,口径の大きい集光ゾーンプレートとピン
形が左右間で多少異なるのは,用いた回折格子が
ホールからなる直線型分光器が用いられることが
曲率を持っているためである。
3 - 1 で解析した
多い。この分光器の原理は第 2 節で述べてあり,
結果と実験結果が非常に良く一致していることが
その波長分解能は 2 -21 式で与えられる。顕微鏡
わかる。
全体の基本的な光学系を図 4
- 1 に示す。ピン
ホールが絞りの役割をし,その直後に置かれた試
4 .ゾーンプレートを用いた軟 X 線顕微
料の軟X線透過像を対物ゾーンプレートを用いて
鏡の現状
拡大結像する。ゾーンプレートでは入射光の半分
ゾーンプレートは効率が低いので,現在稼働中
は回折せずにそのまま直進するので,
ピンホール
の軟X 線顕微鏡は放射光を利用する例が多い。そ
は集光ゾーンプレートの直進光が結像領域でのノ
れらは結像型と走査型に大切j できる。結像型は,
イズにならないように遮蔽する働きもする。また,
ゾーンプレートを結像素子として用いるもので,
集光ゾーンプレートの中心部には X線ストッパー
直接に試料の拡大像が得られることや実時間観察
を設け,結像領域に対物ゾーンプレートの 0 次回
が可能などの長所を持っている。走査型は,ゾー
折光が及ばないようにしている。
ンプレートを集光素子に用いて微小スポットを作
ゲッチンゲン大学のグループは偏向電磁石から
り,そのスポットに対して試料を機械的に二次元
の軌道放射光を光源に用いた軟X線顕微鏡を BES
走査し画像化するものである。得られる画像がデ
SY に建設した日)。彼らは,波長 45Å ,
ジタル像なので定量評価が容易である,試料の放
250'"'-'350 倍程度,露光時間 10'"'-' 30 秒で,約 500
射線損傷を最小に抑えられる,検出器に位置分解
A の分解能で乾湿両状態の試料の拡大像を得
能が必要でないなどの長所がある。どちらの場合
ている 2010
も,空間分解能を決めるのは入射光が単色である
相板を用いた位相差顕微鏡を開発し同一の
ならば 2 -15式に示したようにゾーンプレートの
生体試料について振幅コントラストと位相コ
最外輪帯幅である。また,得られる像は試料の軟
ントラストの両方の拡大像を撮影している 1l)O
X線透過像,すなわち吸収率の空間分布である。
さらに,プラズ、マ X 線源を用いた実験室サイズ
また,彼らは金と銀の 2 種類の位
の軟 X 線顕微鏡を開発している 22)0
4-1 .結像型軟 X 線顕微鏡
拡大率
この顕微
鏡では,光源の強度を補うために,集光及び
Fig.4- 1O
p
t
i
c
a
lsystemo
fanimagingtypes
o
f
t
x-raymlcrpscope ,
-108-
放射光
3
1
3
!'f, 3 畠革 3 号 ( 1990 年}
対物ゾ ー ンプレートにゲルマニウムを !~f日体
定しており.入射光を効率よくやl 閉するために 2
とした i立問ソーンプレートを利用している ‘
位のゾーンプレートについてお互いの取り込み角
我々のグループは, NTTの附発したタンタル製
度が等しくなる ι夫をしている。 また , 1n 光ゾー
ゾーンプレート 1 口 を用 L 、て.高エネルキ 一 物理
ンプレ ー トのた源に対する取り込み角度がアン
学研究所放射光実験施設の軟X 線アン~.:I.レ ー タ
ジュレータ光の固有向度拡がめとほぼ詳しくなる
ヒームラインに牧 X 線顕微鋭を開発した・
ように.&.lt されている。 図 4
路
-2
に閉経した軟 X
用 L た克学J長は基本自:J に図 4-1 に 吊したものと
線顕微脱袋自の写 Jl を示すロこの写真は詰釦の後
同:rrのむのである e 安|に 2 伐のゾーンプレー ト
ろ伺IJから陥影したもので,
の以前パラメータを,j\す。 乙の光学系は. H開発の
から良光ゾーンプレート用(開中 A) ,ピン ホー
第一ス テップとして~論空 un分解能を:lOOO 入に品
ル ・ 試料 ・ 対物ゾーンプレート周( B) ,強度モ
ヒ ー ムラインの上流側
ニタ一周 (C) .カメラ III チェ ンパー(口)が蛸皆 一
次元駆動機構を備えた光学ベンチ(日)上に配置さ
表1.ゾ ー ンフ レートの パラメータ
れている 白 ゾ ー ンプレ ー トは人射光の岐長によっ
一一一
ーー
想'h χp
-・・
1
5
.
8
-
田園圃--
S
.
J
ゾーシ !~\i
1
0
0
0
1
0
0
ヘ
I
HID(μ m J
1(削
1
0
0
最外始者?柑 δ r 、 tμ m )
0
.
1
2
5
0
.
2
5
X 輔!崎収~~の;r;c
0
.
6
0
.
5
1
0
0
.
0
1
0
.
0
(μ m )
て焦点距離が見なるので,この駆動機摘を用いて
圃圃・
~~光ソ'ーンプレートを)1[:軸に沿勺て Æ抗すること
によ勺て波長選択ができる 。 試料と対物ゾーンプ
レートは三次冗マニピュレータを用いて調整する
ようになっている 。 基礎実験によって性能として
~]TI刊 modulotion lrn゚sferrunctionj を雫 raJ J羽
必岐峨 ) / 2.0-1 / 0.:3 μm ・ 1 の純Pllて 11111注し.解
内限界か約 I
/O
.!
JI
tm ・ 0 であることを舵かめた み
また. 1;も悔tk'~の亦曲l!;まと佳品との~Ij‘ λ:i虫を il.主 t<
2
0
.Üλ. j11:大中 19S(苦.館光~WJ1約2抄て i品ている 。
図4
- 3 に亦曲IIまの制撤院惚をホす。
4-2 .
走査型軟 X 線顕融鏡
凶折問4 界のスポ ッ トサイ スを実現するためには.
ソ ー ンプレートに限らすとの光学素子の喝合にお
いてらコヒーレントに l照明する必要がある 。 軟 x
~傾岐にはコヒ ーレ ントな光源は今のと己ろ(f.ff.
しないので.情悶コヒーレンスはコリメーション
0
'
as
o
f
t;
x-r
aymicr
o
s
c
o
p
e
Fig.4-2 A backview
によって.時間コヒーレンスは分光器によゥて得
o
p
e
r
a
t
i
n
ga
tt
h
e undulator b伺「州 n e
ることになる
走資引顕微鏡の光常系の慨念を 図
BL
28o
ft
h
eP
h
o
t
o
nF
a
c
t
o
r
y.A:c
o
n
de
n
$
e
r
4- 4 に示す時間コヒーレンスの方はゾーンプ
chamber , B:ob
j
e
c
tchamber , C:photo司
レートのゾー ン獄を N とした場合.
d
i
o
d
e chamber. 0:camera chamber.
を用いるならは
1次回折集光
E:opt
i
c
a
l bench wi
t
hh
i
g
hp
r
e
ci
s
i
o
n
え I ð. λ ミ~ N
l
i
n
e
a
rl
r
a
n
s
t
a
to
r
.
-109-
.
J- 1
放射光第 3 巻第 3 号 (1990年)
3
1
4
程度が必要である (2-18 式参照〉。空間コヒーレ
リメー卜し,
ンスは,光源、の大きさを S ,波長をえ,入射スリッ
光器を用いている。 256X256 の画素数の透過像を
トが光源に対して張る立体角を Q としたとき
得るのに,通常の運転条件下で約 4---5 分である。
また,
4-2
S Q三三 .
l
i2
8-m トロイダルグレーティング分
35周期のアンジュレータを用いた新型の顕
微鏡を開発中である 1030 一方,キングスカレッ
ジとダレスペリーのグループも,
ジュレータを光源に用いた軟X線顕微鏡を開発し
が満たされれば保証される 2" )。
ニューヨーク州立大学とブルックヘブン研究所
のグループは,
10 周期のアン
10周期のアンジュレータを光源と
波長 :33λ の軟X線を用いて固定処理したうさぎの
筋肉の顕微鏡像を約 800λ の分解能で得ている 1710
した走査型軟 X線顕微鏡を開発し分解能 750Å
画素数は 128 x128で集積時間は約30 分である。両
で未処理の試料(チモゲン粒子)の波長32λ によ
方の顕微鏡とも試料の走査にはピエゾ素子を用い,
る顕微鏡像を得ている 25)O 光j原点から 15m 後方
検出器には比例係数管を用いている。走査型の場
の直径 300μm のピンホールによって入射光をコ
合,分光器の出口スリットは真空中に置くが,真
空チャンバーの後端に窒化シリコンの薄膜を設け
て,そこから後ろの構成要素は全て大気中に置い
ている。従って,試料の取扱が比較的容易であり,
大気圧の条件が簡単に実現できるという利点があ
る。
5.まとめ
ゾーンプレートは一般にはレンズの作用をする
光学素子として知られているが,その結像(ある
いは集光)作用が各輪帯を通過する際の回折光の
干渉効果によるものであるという本質に立ち帰る
ことによって,その複雑な像形成を理解すること
F
i
g
.4- 3 Magnified image o
f a red blood c
e
ll
.
Thew
a
v
e
l
e
n
g
t
hused , t
h
eo
p
t
i
c
a
lmagin ト
f
i
c
a
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i
o
n and t
h
e exposure time were
2
6.6Å ,
1
9
5and2sec , r
e
s
p
e
c
t
i
v
e
l
y
.
ができる。集光素子として利用する場合には比較
的取扱が容易であるが,有限な面積を直接に拡大
.結像する場合には不用な回折光の挙動に十分注
意して光学系を設計する必要がある。
軟 X 線顕微鏡の開発とその性能の向上を図ると
ふCENb
Fig.4- 4 Theconceptiono
fascannings
o
f
tx-raymicroscope.
-110-
3
1
5
放射光第 3 巻第 3 号 (1990年)
Press , Tokyo/8pringer-Verlag , B
e
r
l
i
n1
9
9
0
)
いう観点、からみれば,ゾーンプレートは現在のと
1
9
8
5
)P
.
10
9
ころ最も重要な素子である。超微細加工技術等の
2)辻内順平:光学概論 n
発達が日進月歩であるという今日の状況からすれ
3) O.E.Myers , Jr.:Am.J
.Phys.1
9(
19
5
1
)3
5
9
.
ば,近い将来生物試料の観察に有効であろうと言
4) A.B
o
i
v
i
n
:J
.O
p
t
.8
0
c
.Am.4
2(
19
5
2
)6
0
.
われている 100Å オーダーの空間分解能が達成さ
5) D. J
. 8tigliani , Jr. , R. Mittra and R. G.
(朝倉書店,
.8
0
c
.Am.5
7(
19
6
7
)6
1
0
8emonin:J
.Opt
れる可能性は大きい。従って,顕微鏡の性能とし
てはハードよりである空間分解能の追求だけでは
9
7
4
)P
.
3
2
1
6)久保田広:波動光学(岩波書店, 1
なく,よりソフトな面での性能,例えば,円偏向
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Press , NewYork1
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. Niemann , D. Rudolph and G. 8chmahl:
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本研究の主要構成要素であるゾーンプレートは
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) Y.Vladimir叫cy , D.P.Kern , T
NTT• LST 研究所の覚知正美氏に製作していた
D.Attwood , H.Ade , J
. Kirz , 1
.McNulty , H.
だきました。筑波大学物理工学系の藤原史郎教授
Rarback , D. 8hu: J
. Vac. 8
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.86
には,研究全般、特にゾーンプレートの光学特性
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について有意義な御助言をいただきました。本研
1
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.Unger , V.Bögli , H.Beneking , B
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究を遂行するにあたって,安藤正海教授,前沢秀
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. 86
樹教授をはじめとする高エネルギー物理学研究所
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放射光実験施設のスタッフの方々に御援助をいた
. Ohkobo , H.
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) M. 8ekimoto , A. Ozawa , T
だきました。ここに記して,深く感謝の意を表し
Yoshihara , M. Kakuchi and T
. Tamamura:
ます。
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Berlin ,
文献
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. 178. ,
M. Kakuchi ,
H.
Yoshihara , T
. Tamamura , H. Maezawa , Y.
1)最近の X 線顕微法に関する研究は,国際会議
Kagoshima and M. Ando: J
. Vac. 8
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