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2007年大会からものづくり大国に向けて
2007年大会からものづくり大国に向けて 厚生労働省職業能力開発局能力評価課技能五輪係 ? はじめに (技能五輪国際大会とは) 国際的に技能を競うことにより,参加国 第38回技能五輪国際大会が本年の5月25日 の職業訓練の振興及び技能水準の向上を図 (水) から6月1日 (水) まで, フィンランド (ヘ るとともに,青年技能労働者(満2 2歳以下) ルシンキ)で開催された。競技は,日本を含 め37ヵ国・地域の660名の選手が参加して, 我が国参加3 2職種を含む39職種について行わ の国際交流と親善を目的とした大会で, 1 9 5 0年(昭和2 5年)に2カ国(スペイン,ポ ルトガル)で始まった。原則2年ごとに開 れた。 催されている。 日本選手の金メダル獲得数は5個でスイ 1 9 6 6年には,参加国の代表により技能五 ス,南チロル・イタリアに並び1 9 7 1年の第2 0 輪国際組織委員会(ワールドスキルズ)が 回大会以来となる世界第1位,また,金銀銅 組織され,この組織委員会の定めた規約に のメダル獲得数は8個で世界第5位であった。 基づき,大会が運営されている。 次回の第39回技能五輪国際大会は,2007年 静岡県において第7回国際アビリンピックと (国際アビリンピックとは) 同時に開催される。本大会に向けて,厚生労 働省ではものづくり立国の推進事業として, ものづくり技能に関するシンポジウム,フォ 国際アビリンピックは, 1 9 8 1年(昭和5 6 年)の国際障害者年を記念して,障害者の 職業技能の向上を図るとともに,事業主及 ーラム等の開催,技能五輪国際大会に向けた び社会一般の理解と認識を深め,さらに国 選手強化,若年者ものづくり技能競技大会の 際親善を図ることを目的として, 1 9 8 1年1 0 開催,工業高等学校等への高度熟練技能者派 月に第1回大会が東京で開催された。 遣等,若年ものづくり人材の育成促進,技能 国際アビリンピックは,開催国の障害者 尊重気運の醸成を図ることとしている。 関係団体が主催団体となり,国際リハビリ @ 2007年ユニバーサル技能五輪国際大会 とは テーション協会(RI)と国際アビリンピッ ク連合(IAF)との共催で原則4年ごとに 開催されている。 (1) 大会の概要 れ,我が国は1962年の第11回大会から参加し, 技能五輪国際大会は,各国の若者が国際的 に技能を競うことにより,参加国の職業訓練 1 9 7 0年の第1 9回大会が東京で, 1 9 8 5年の第2 8 の振興と技能水準の向上等を目的とした大会 回大会が大阪で開催された。 国際アビリンピックは,障害のある人の職 であり,1950年にスペインで第1回が開催さ 1 業的自立意欲の増進と職業技能の向上,事業 1 2 0 0 7年ユニバーサル技能五輪国際大会開 主及び社会一般の理解の増進等を図ることを 催の基本的考え方 目的とした技能競技大会であり,1981年の国 (1) 背景 際障害者年を記念して第1回大会が東京で開 a 催された。 我が国の経済産業の基盤であり,21世紀にお ものづくりは労働の原点であるとともに, ける我が国の国づくりにとって不可欠である。 これらの大会は,第1回目以降,異なる時 期に異なる都市で開催されてきたが,2007年 ものづくりにかかわる企業を中心として,こ に初めて静岡において,第3 9回技能五輪国際 のようなものづくり及びそれを支える人材育 大会と第7回国際アビリンピックが2 0 0 7年ユ 成の重要性が再認識されてきているところで ニバーサル技能五輪国際大会として同時開催 あるが,雇用状況が厳しいにもかかわらず若 されることとなった。 年者の製造業離れが依然として見られるとと (2) キャッチフレーズ もに,世代別人口分布で,最も厚い層である 個性輝く技能の祭典 ∼見せよう,伝えよう, 1 9 4 7年生まれの方が6 0歳を迎える2 0 0 7年から 技能で輝く個と社会∼ 定年ラッシュが始まることにより,多くの企 (3) 大会規模 業においてこれまでのベテラン社員が培って a第3 9回技能五輪国際大会 きた技能の若年層への継承が大きな問題(い ・参加国・選手数 40ヵ国程度 約2,500人 わゆる「2 0 0 7年問題」 )となっている。 (選手,審査員他) b このようにものづくり産業において深刻 ・実施職種数 4 0職種程度 化する後継者不足等の問題に対処するために b第7回国際アビリンピック は,若年層に対してものづくり技能の魅力を ・参加国・選手数 30ヵ国程度 約1,000人 啓発し,若年者がものづくり現場に対して興 (選手,審査員,介添者他) 味を持ち,さらに自ら進んでこの習得に向か ・実施職種数 3 0職種程度 う環境を整え,ものづくり技能の習得を通じ (4) 大会日程 (2 0 0 7年) て就労を促進することが急務となっている。 技能五輪国際大会:1 1月7日 (水) ∼2 1日 (水) (1 5日間) このことは,若年者の職業的自立さらには雇 用問題の解決にもつながるものと期待される。 国際アビリンピック:11月13日(火)∼18日 c また,我が国は障害の有無にかかわらず, (日)(6日間) 相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社 合同開会式:1 1月1 4日(水) 会」(ユニバーサル社会)の実現を目指して いる。21世紀においては,単なる社会参加に A 2007年ユニバーサル技能五輪国際大会 に向けて とどまらず,障害のある人のあらゆる経済社 会活動への参画を推進することが求められて 2 0 0 7年ユニバーサル技能五輪国際大会の基 おり,この意味において技能は,障害のある 本計画策定にあたっては,本大会を単なるイ 人にとって,職業的自立を図り経済基盤を確 ベントとしてではなく,国が実施する「もの 立するために重要な位置付けを持っている。 づくり立国の推進」事業との連携を図るとと d このように技能を身につけ,それを活か もに,ユニバーサル社会の実現につながる事 した職業に就き社会経済の発展に寄与してい 業として実施することとしている。 くことは,個人の生涯に輝きをもたらすにと 2 どまらず,「ユニバーサル社会」の実現につ ていくものと確信する。 ながるものであり,すなわち,「ものづくり (3) 大会メッセージ 立国」の推進は「ユニバーサル社会」の道を 「Thanks For Skills」 拓くものでもある。 地球に暮らす全ての人々にとって,水・空 (2) 大会テーマ 気・光はかけがえのない存在であるように, a 「ものをつくりだす人と技」の価値に注 技能もまた心豊かな生活を送るためにかけが 目します えのない存在である。 「ものをつくりだす」ことは,人間に与え 「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」 られた最も根源的な能力のひとつであり, は「技能五輪国際大会」, 「国際アビリンピッ 人々は技能を習得していく中で,自己を確立 ク」の2大会同時開催を通じて,障害の有無 しその喜びを手にし,研鑽してきた。今人々 にかかわらず個々人を輝かせ,ひいては社会 は,21世紀の新しい社会においても,「もの に輝きをもたらす技能に感謝するムーブメン をつくりだす」ことを通じて,自らが主役と トを創りだし,その素晴らしさを日本から世 なる活力の溢れたくらしを実現するために, 界へと発信することで,新しい社会の実現を 改めて,「ものをつくりだす人と技」の価値 めざす。 に注目することが求められている。 b 「ものをつくりだす人と技」の価値を体 2 ものづくりの立国の推進 験します (1) 趣旨 「技能五輪国際大会」と「国際アビリンピ 世代間人口分布が最も厚い層である1947年 ック」の同時開催は,「ものをつくりだす」 生まれが,60歳を迎える2007年に戦後世代の ことが一人ひとりの自己表現や生きることの 定年ラッシュが始まり,大企業においてもこ 喜びと深く結びついていることや,障害の有 れまでのベテラン社員が培ってきた技能をど 無にかかわりなく,「ものをつくりだす人と のように継承していくかが大きな問題(いわ 技」が生み出す驚きと感動を再発見するまた ゆる「2007年問題」)となっている。この問 とない機会である。驚きと感動の体験は,多 題に対処していくために,厚生労働省では平 くの人々の関心を高め,様々な人々の出会い 成1 7年度から子供から大人までの国民各層が をつくり出し,それがさらに次の再発見へと 技能の重要性を広く認識し,ものづくりに親 つながっていくだろう。 しむ社会を形成するため,ものづくり立国の c 「ものをつくりだす人と技」の価値を共有 推進事業を進めている。 し,世界へ発信します (2) 具体的な事業 「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」 a 「ものづくり立国」の社会基盤の整備 の開催を通じて,多くの人々が「ものをつく 「ものづくり立国」の推進のため技能尊重 りだす人と技」の価値を実感し発信すること 気運の醸成を図り,企業等における技能者の で,さらに多くの人々がその価値を共有する 育成を促進し,併せて,若年者に対してもの ことになるだろう。その人々が,さらに多く づくり技能の魅力を啓発し,若年者の雇用の の人々に,そして,次世代を担う若者へ,そ 促進を図る。 の価値を発信することで,21世紀の重要な価 平成1 7年度には,ものづくり技能に関する 値観として世界に発信し,広く社会に定着し シンポジウム,フォーラム等の開催,技能五 3 会場 輪国際大会の金メダリスト等による実演及び 新規職種のデモンストレーションの実施等を ポリテクセンター千葉 行う。 (千葉職業能力開発促進センター) ・大会日程 b 「ものづくり立国」 を担う若年ものづくり 平成1 7年8月2 6日 (金) ∼同年8月2 7日 (土) 人材の育成 ・参加選手の資格及び定数 若年者に対するものづくり技能の魅力の啓 全国大会の出場資格は,次のいずれにも該 発や若年者によるものづくり技能競技大会の 当する者 実施等により新時代に適合した若年ものづく (1)日本国内の職業能力開発施設,認定 り人材を育成する。平成17年度には,「第1 職業訓練施設, 工業高等学校, 企業内研修施 回若年者ものづくり競技会」を行った。 設等において技能を習得中の者であること (参考) (2)昭和60年4月1日以降に生まれた者 (第1回若年者ものづくり競技大会概要) であること (3)次のいずれかに該当する者であること ・目的 若年者ものづくり技能に対する意識を高 a 社団法人全国工業高等学校長協会又 め,若年者を一人前の技能労働者に育成して は都道府県職業能力開発協会の推薦を いくためには,技能習得の目標を付与すると 受けた者 ともに,技能を競う場が必要です。 b 事前に公表される課題を達成できる と主催者が判断した者 このため,職業能力開発施設,認定職業訓 練施設,工業高等学校等において技能を習得 ・大会役員 中の20歳以下の者を対象に本大会を開催し, 大会会長 若林之矩(中央職業能力開発 これら若年者に目標を付与し,技能を向上さ 協会理事長) せることにより若年者の就業促進を図り,併 大会副会長 小林聰(社団法人 全国工高 等学校長協会理事長) せて若年技能者の裾野の拡大を図ることとし 運営委員長 大久保良香(中央職業能力開 ます。 発協会常務理事) ・主催 技術委員長 梅津二郎(職業能力開発総合 中央職業能力開発協会 大学校長期課程部長) ・競技職種及び競技会場 ・その他 全国大会の競技職種及び競技会場は,下記 競技課題,競技規則等については,中央職 のとおり。 業能力開発協会ホームページ(http://www.ja vada.or.jp)に掲載中。 職種名 a旋盤 bフライス盤 c機械製図 (CAD) d電子回路組立て e建築大工 f木材加工 (家具・建具) g電気工事 h工場配線 i情報ネットワーク施工 jメカトロニクス k自動車整備 lウェブデザイン 4 5 6