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研究推進委員会報告書
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
日本学術振興会 未来開拓学術研究推進事業
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
研究推進委員会報告書
(平成 14 年 3 月 22 日)
京都大学医学部附属病院医療情報部
小山 博史
1
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
研究組織図
コアメンバー
大阪大学医学部附属病院
プロジェクトリーダー
小山 博史
京都大学医学部附属病院
助教授
武田 裕・教授
東京大学大学院工学系研究科
光石 衛・教授
奈良先端科学技術大学院大学情報科学センター
湊 小太郎・教授
滋賀医科大学基礎学
小森 優・教授
京都大学情報学研究科
松田 哲也・教授
京都大学医学部附属病院
黒田 知宏・講師
研究協力者
東京大学大学院工学系研究科
割澤伸一 講師
大阪大学医学部附属病院・松村泰志助教授
奈良先端科学技術大学院大学・菅幹生助手
九州大学医学部附属病院・花田英輔助手
(現島根医科大学医学部助教授)
京都大学医学部附属病院・堀謙太 研究員
2
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
研究項目
I. Surgical Cockpit System の開発
京都大学医学部附属病院:黒田知宏、堀謙太
II. 術中シミュレーションシステムの開発
滋賀医科大学教授:小森優
III. 遠隔微細手術ロボット装置・マスターマニュピレータの開発
の開発
東京大学工学部教授:光石 衛
IV.遠隔医療のための視覚・触覚インタフェースの開発とレーザ
トラッピング技術を用いた遠隔細胞診断装置に関する研究
奈良先端科学技術大学院大学教授: 湊 小太郎
IV. 遠隔手術支援システムの構築
大阪大学教授:武田裕
3
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
研究題目 I: Surgical Cockpit System(SCS)の開発
京都大学医学部附属病院 黒田知宏, 中村威彦, 堀謙太
京都大学大学院情報学研究科修士課程 尾崎安彦
1 はじめに
近年,急速に実用化が進んでいるロボット手術は,コンピュータによる制御システムの介在
により術者の動作が直接的ではなく間接的に患者に対する処置に反映されるという意味で,
一種の遠隔手術と考えることが可能である.手術ロボットシステムは,da Vinci[1]や ZEUS[2]に
代表されるマスタ・スレーブ(master-slave, MS)型,および ROBODOC[3]に代表される数値制
御(numerical control, NC)型のいずれの方式においても,術者が操作するコンソール(操作
部)および患者を処置するマニピュレータシステム(マニピュレータ部)で構成されている.操作
部とマニピュレータ部をネットワークで接続する構成とすることにより,手術室の外から患者に
対して処置を施すことは実現可能である.実際に欧米では,既に臨床応用の段階まで研究が
進められている[4].
手術のように侵襲を伴う医療行為では,術野の状況,患者の状態,手術室の状況等,多種
多様な情報を医療スタッフが詳細かつ迅速に認識することが,安全性確保の上で必要不可欠
である.一方,遠隔医療における根本的な問題は,医師と実際の医療現場とが空間的に分離
されるところにある.すなわち,手術室で患者に直接執刀する手術ではごくあたりまえに情報を
医療スタッフ間でやり取りすることが可能であったのに対し,遠隔手術では実際の医療現場
(手術室)の多種多様な情報を,ネットワークを介して,空間的に隔てられた医師に対し,詳細
かつリアルタイムに提示し,認識させるための,いわゆる遠隔手術用の情報支援システムが必
要となる.逆に,遠隔手術情報支援システムを応用することで,遠隔手術において手術室
(Operation site),遠隔ロボットを用いる術者(Operator site)以外にも,病理診断を専門に行う
診断医(Diagnosis site)もネットワークを介して手術に参加することも可能となる.すなわち,遠
隔手術情報支援システムの実現により,複数の医療機関の分散協調による高度な遠隔手術
の可能性も見えてくるといえる.
本研究は,ネットワークを介した手術において,手術ロボットによる処置のみならず手術進行
全般を支援しうる,すなわち,遠隔手術を支援するための環境となるシステムの構築を目的と
する.本研究で提案するシステムは,遠隔ロボット手術に関わる医療スタッフにとって,手術進
行を安全に制御するための支援環境システムとなることから,"Surgical Cockpit System" と名
付ける.本稿では Surgical Cockpit System の概念について述べ,本グループにおける
Surgical Cockpit System 関連研究の現状を報告する.
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
2. Surgical Cockpit System の概念
Surgical Cockpit System の主な役割として,患者に対する侵襲を伴う手術支援ロボットシス
テムの遠隔操作支援と,別の場所に分散している Operator site,Operation site,Diagnosis
site の間で協調して医療行為を実行する遠隔協調医療支援とが考えられる.
手術支援ロボットの遠隔操作支援の側面から考えた場合,東京大学の舘らが提唱するテレ
イグジスタンス技術[5][6]の応用が考えられる.テレイグジスタンスは,ロボットが得た感覚情報
を離れた場所にいる操作者に高い臨場感で提示すると同時にロボットを操作者の動きに追従
するように動作させることにより,あたかも操作者自身が,ロボットが設置された場所で行動して
いるような感覚でロボットを直観的に操作できる環境を操作者に提供する,仮想現実感
(Virtual Reality, VR)技術の一種である.テレイグジスタンスシステムはマスタ・スレーブマニピ
ュレータシステムおよび,感覚情報取得のためのセンサシステムを含むバーチャル空間生成・
提示システムから構成される.
テレイグジスタンスシステムでは,操作者に提示される VR 空間はあくまで作業空間を再構
成したものであり,そのままではロボット遠隔操作システムの発展形に過ぎない.遠隔手術を全
般にわたって支援することを考えた場合,作業空間を再構成した VR 空間に支援情報を効果
的に配置した拡張現実感(Augmented Reality, AR)空間を術者に提示する必要がある.すな
わち,Surgical Cockpit System は遠隔手術における拡張型テレイグジスタンスシステムと考え
ることができる.
遠隔協調医療支援の側面から考える場合,Surgical Cockpit ではマルチメディアバーチャル
ラボ(Multimedia Virtual Laboratory, MVL)[7]のような形態で,患者の術前・診断画像,術中生
体情報等の患者情報を,ネットワークを介してサイト間で共有し,遠隔診断・手術計画を実現
することが考えられる.MVL の考え方を導入することにより,手術室(Operation site)と遠隔ロ
ボットを操作する術者(Operator site)だけでなく,医療計測情報の処理および患者情報から
の遠隔診断を専門に行う遠隔診断医(Diagnosis site)も遠隔手術に同時に参加することが可
能となるなど,医療システムの分散化も不可能ではない.
筆者らが考える Surgical Cockpit System のシステム構成概要を図 1 に示す.
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
手術室スタッフ
術野映像取得システム
遠隔コミュニケーション
支援システム
支援情報統合管理システム
ネットワーク
Operator site
支援情報統合管理システム
術野映像提示システム
ロボット状態管理システム
(操作部)
遠隔コミュニケーション
支援システム
手術室映像提示システム
支援情報提示システム
手術ロボット(操作部)
術者
Diagnosis site
ロボット制御システム
(操作部)
支援情報統合管理システム
Operation site
診断医
手術室映像取得システム
ロボット状態管理システム
(マニピュレータ部)
支援情報提示システム
ロボット制御システム
(マニピュレータ部)
患者情報管理システム
手術進行管理システム
手術室映像提示システム
支援情報提示システム
手術室
生体計測情報
処理・可視化システム
生体情報計測システム
術野映像提示システム
手術ロボット(マニピュレータ部)
遠隔コミュニケーション
支援システム
患者
図1. Surgical Cockpit System のシステム構成概要図。
3. Surgical Cockpit System の技術要素
Surgical Cockpit System は情報支援システムであり,支援情報の管理,および提示が必要
とされる機能・技術の根幹をなすことになる.Surgical Cockpit System の基盤となるコンセプトは
いずれも既存の概念であるが,統合システムおよび遠隔手術への応用を考える上で研究・開
発すべき様々な技術要素が挙げられる.
1)手術ロボット遠隔操作支援
手術ロボットシステムではコンピュータ制御で術者の動作をロボットマニピュレータの動作に
変換している.コンピュータによる動作の変換により,手ぶれ除去や操作スケールの変更等,
高い精度の要求される外科手術において非常に有益な機能が実現されており,人間の手で
は不可能な手術の実現も期待されている.現状では手術ロボットに関する標準仕様が存在し
ないため,術式ごとに操作システムとマニピュレータをセットで交換する必要があるが,理論上
は 1 種類の操作システムで様々な種類のマニピュレータを操作することや術者の好みにより操
作システムを選択することも実現可能である.
Surgical Cockpit System では,自由度の高いマスタマニピュレータと標準化プロトコルに対
応した制御システムから構成される標準化操作システムにより,様々な手術ロボットを同一の
操作システムで操作できる環境を提供する.逆に研究課題として,高い自由度を有する汎用
マスタマニピュレータおよび制御システムの開発.ならびに,制御システム汎用化のための標
準プロトコルの策定が挙げられる.また,リスク管理を考慮した場合,ロボットの姿勢,動作状態
に関する情報を記録・管理するロボット状態管理システムにおける,管理情報についてのデー
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
タ構造および通信プロトコルの標準化も研究課題として挙げられる.
2)術野・手術室状況の直観的な提示
遠隔ロボット操作において作業空間の映像提示は,最低限必要な機能である.遠隔手術に
おいても,術野映像の提示は必要不可欠であり,最低限実装すべき機能である.Surgical
Cockpit System では直観的な空間把握が容易な術野映像を提示する.
また,単に術野周辺での処置のみを考慮するのであれば術野映像の提示のみで十分であ
るが,全体的な手術進行への関与を考えると,作業空間として手術室全体をカバーする必要
があると考えられる.
要求される技術要素としては,高精彩・高臨場感映像取得・伝送および提示システムが挙
げられる.
3)遠隔コミュニケーション支援システム
手術室側と術者側の間での意思疎通を可能とするための支援システムである.テレビ会議
システム,チャットシステム等の会話支援システム以外に,遠隔操作可能なレーザポインタ等
による遠隔教示システムの研究も重要である.
患者情報管理システム
術前の診断・診察記録,および術中の生体計測データ等の患者に関する情報を統合管理
するシステムである.支援情報統合管理システムと同様,患者情報に関するメタ情報データベ
ースと捉えることができる.現在,様々な生体計測システム,医療情報システム等は各社独自
に開発されている.支援情報を統合管理するためには,プロトコルの標準化に関する検討が
必要不可欠である.
4)手術進行管理システム
手術室側において,手術の進行を管理するシステムである.ワークフロー解析,ワークフロ
ー記述のためのデータ構造等が研究課題である.
支援情報統合管理システム
手術進行において用いられるさまざまな情報システムから得られる支援情報を集積・管理す
るためのシステムである.手術室側,術者側それぞれのサイトにおける情報支援システムの,
他サイトに対する情報支援に関する窓口的な存在であり,支援情報の内容自体には一切関
知しない.遠隔手術の情報支援におけるメタ情報データベースと考えることもできる.また,操
作者からの要求に応じて配下の情報システムへの要求を中継する機能も有する.支援情報統
合管理システムは Surgical Cockpit System のバックエンドの要となるシステムである.データ構
造およびプロトコルに関する検討が重要である.
5)支援情報提示システム
状況映像,各種支援情報の提示におけるグラフィカルユーザインタフェース(Graphical
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「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
User Interface, GUI)を管理・制御するシステムである.レイアウト操作インタフェース,レイアウ
ト制御,提示情報選択インタフェースの機能を有する.支援情報提示システムは術者に情報
を提示するフロントエンドの中核をなすシステムであり,機器構成,インタフェース設計ともに重
要な研究課題である.
6)生体計測情報処理・可視化システム
術前・術中に計測された患者の生体情報に対して計算機処理を行い,支援情報を生成する
システムである.CT,MRI 画像の 3 次元再構成,診断画像からの病巣領域候補自動検出等の
診療支援システム群の管理,および,診療支援システムが出力するデータの集積および統合
管理が主な機能である.
4. Surgical Cockpit System 研究の現状
Surgical Cockpit System において要となるシステムは,支援情報提示システムおよび支援情
報統合管理システムであるが,遠隔手術進行の上で最低限必要となるのは,映像取得・提示シ
ステムおよび遠隔コミュニケーション支援システムである.筆者らの研究グループでは映像系
システムを中心にプロトタイプシステムを構築し,映像取得・提示および映像伝送に関して研
究を進めている.
4.1. プロトタイプシステムの基本構成
プロトタイプシステムは基本的に,遠隔マスタ・スレーブマニピュレータシステムと,術野映像,
支援映像の 2 系統の映像伝送・提示システムで構成した.
マスタ・スレーブマニピュレータシステムは,主にアームレスト型 6 軸フォースフィードバックジ
ョイスティック「FF-JOYARM」と 6 軸マニピュレータ「SSA-600」(共に三井造船製)で構成される
マスタ・スレーブマニピュレータを用いた.映像伝送には,NTSC の MPEG2 ビデオストリーミン
グを適用した.
術野映像については,映像取得は NTSC カメラで,映像提示は術者の前に設置したテレビ
モニタで,それぞれ行った.
支援映像の取得については,現在の研究における評価対象であり,取得方法は評価実験
ごとに異なる.映像提示については,没入感映像提示に対応できるよう,大型のマルチスクリ
ーンとした.
映像提示に関して,テレイグジスタンスの研究においては頭部搭載型ディスプレイ(Head
Mounted Display, HMD)による両眼立体視映像が用いられることが多いが,
・ 長時間の装着による疲労が大きい
・ 提示映像が 1 系統に制限される
・ 両眼立体視では映像を 2 系統同時に伝送する必要があり,解像度,伝送帯域のいずれ
かを犠牲にする必要がある
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「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
等の理由により,プロトタイプシステムでは採用しなかった.将来的には比較の対象とする必要
7x
8x
9x
1x
2x
3x
10x
11 x 1 2x
7x
8x
9x
4x
5x
1x
2x
3x
10 x 1 1x
12x
4x
6x
Ethe rn et
Ether net
がある.プロトタイプのシステム構成概要を図 2 に示す.
C
7 8 9 10111 2
A
1 2 34 5 6
6x
B
5x
9x
2x
3x
A
10x
11 x 1 2x
7x
8x
9x
4x
5x
1x
2x
3x
サウンドボード
ビデオストリーム
受信用PC(状況提示)
LANカード
ビデオストリーム
受信用PC(術野提示)
1 2 34 5 6
音声通話用PC
LANカード
サウンドボード
RS485通信カード
8x
1x
10 x
1 1x
12x
4x
5x
6x
7 8 9 10111 2
6x
B
Operation site
音声通話用PC
LANカード
マスタコントローラ
制御用PC
LANカード
7x
C
A
A
Operator site
スレーブマニピュレータ
制御用PC
LANカード
RS485通信カード
MPEG2ボード
LANカード
MPEG2ボード
ビデオストリーム
送出用PC(状況提示)
LANカード
ビデオストリーム
送出用PC(術野提示)
MPEG2ボード
LANカード
MPEG2ボード
分配器
提示映像
生成用PC
提示映像
生成用PC
提示映像
生成用PC
図2. Surgical Cockpit System のシステム概要図
4.2. 広視野周辺映像提示の有効性評価[8][9]
遠隔ロボット手術における手術台周辺の映像提示の有効性を評価した.この実験における
プロトタイプシステムの特徴は,全方位カメラ「HyperOmniVision」[10]で取得された全方位映
像を伝送し,330 度円筒形没入感ディスプレイシステムで術者の周囲に提示した.提示映像の
生成には画像生成ワークステーション(SGI ONYX2)1 台を使用したことである.
図 3 に実験の様子を示す.
実験タスクは脳外科における穿刺術を想定し,助手から術具を受け取り,指定された箇所を
ポインティングするタスクとした.実験結果より,周辺映像提示における視野角が大きいほどタ
スク達成時間が短縮される傾向が確認された.特に,人間の水平方向視野に相当する 200 度
前後でタスク達成時間が大幅に変化することが確認された.
4.3. 立体展開映像による空間認識支援[11]
4.2.節のプロトタイプにおける問題としては,立体視システムを使用していないため,術野周
辺の奥行き方向が直観的に認識しづらいことが挙げられる.立体展開映像は CAD システムに
おける画面構成を参考に,術野の正面,側面,上面の映像に手術台周辺の広角映像を加え
た計 4 系統の映像を,ディスプレイスクリーン 1 面を 4 分割したそれぞれの領域に提示した映
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「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
像である.4 系統の映像の 1 画面への統合を手術室側で行うことにより,映像伝送に要する伝
送帯域を節約した.図3に立体展開映像の提示例を示す.
図 3. Surgical Cockpit System での立体展開映像図の概要。
立体展開映像提示の有効性を検証するため,評価実験を行った(図4).比較対象として,
手術台周辺の広角映像を 3 面マルチスクリーンに拡大提示した広視野映像を用いた.
プロトタイプのシステム構成について,周辺提示装置として 60 インチの背面投影型スクリー
ンを 3 面,術者の正面に横並びに配置した.広視野映像の提示において,PC による 3 次元コ
ンピュータグラフィック生成を用いることで,3 面のスクリーンを仮想的に 1 枚のスクリーンとして
扱うことを可能とした.プロトタイプシステムの外観を図 5 に示す.
図4. 多関節工業用ロボットを用いた遠隔穿刺手術の状況。
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
図 5. Surgical Cockpit System の現状での概観
実験タスクは 4.2.節の実験と基本的には同じであるが,ポインティングする面に対して術具
をなるべく垂直にするように被験者に指示を出した.
実験結果より,タスク達成時間の短縮は確認できなかったが,術具の姿勢について精度の
向上が確認できた.またシステムの操作感覚についての官能評価において,ロボットの操作性
の向上は確認できなかったが,空間把握の容易さについて,立体展開映像提示による性能向
上が確認できた.
4.4. 映像伝送遅延の影響評価[12]
映像をネットワークで伝送する場合,映像データの圧縮,伝送,展開が必要である.圧縮お
よび展開における処理遅延は計算機の性能向上により短縮することは可能であるが,根本的
に除去することは不可能である.同様に,伝送遅延も通信技術の向上により短縮することは可
能でも除去することは不可能である.したがって,ネットワークを介した映像伝送を伴う遠隔医
療支援においては,処理遅延および伝送遅延から構成される映像伝送遅延を考慮したシステ
ムを構築する必要がある.そこで,遠隔ロボット操作における映像伝送遅延の影響に関する評
価実験を実施した.
実験は,4.3.節の実験と同時に実施した.実験結果より,術具の姿勢の精度について,平均
値は遅延の違いによる影響を受けないが,遅延が大きいほど分散が小さくなる傾向が見られ
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
た.原因として,映像伝送遅延が大きいほど慎重なロボット操作が要求されることが挙げられる.
タスク達成時間については,映像伝送遅延の有無に対して有意差が確認できたが,遅延の大
きさによる影響は確認できなかった.また,学習効果による影響が認められた.システムの操作
感覚についての官能評価においては,映像伝送遅延により映像の違和感が増し,ロボットの
操作性が低下することが確認された.
4.5. 東京大学−京大病院間遠隔手術実験
東京大学大学院工学系研究科光石・割澤研究室の協力の下,4.3.節のプロトタイプシステ
ムを基に,映像提示による支援下で手術ロボットを遠隔操作する実験を,実際に大容量ネット
ワークで接続されたサイトとの間で行った.
マスタ・スレーブマニピュレータシステムには,東京大学の光石らにより開発されたマイクロ
サージェリロボットシステム[13]を用いた.マスタマニピュレータを京大病院の Surgical Cockpit
System プロトタイプ内に設置し,東京大学のスレーブマニピュレータとネットワーク経由で接続
した.
術野映像システムでは,東京大学のスレーブマニピュレータに搭載された顕微鏡の映像を
MPEG2 ストリームで京大病院に伝送し,術者正面に設置した液晶モニタに提示した.
東京大学と京大病院との間で遠隔コミュニケーションを行うために,テレビ会議システムを用
いた.術野映像のみでは奥行き感が提示できず,かつ,術式(マイクロサージェリ)および機材
の制約により 4.3.節で述べた立体展開映像の取得が困難であったので,伝送する映像として,
術野周辺の別視点の映像を用いた.ただし,手術台周辺の映像提示も要求されたので,伝送
する映像に子画面として組み込んだ.映像の提示には,4.3.節で述べたプロトタイプの周辺映
像システムにおける 3 面スクリーンのうち,中央の 1 面を用いた.音声については,エコーキャ
ンセラを搭載したスピーカ・マイク一体型デバイスを用いた.
東京大学−京大病院間を接続する大容量ネットワークとしては,通信放送機構(TAO)の提
供する JGN(Japan Gigabit Network)を利用した.ただし,東京大学,京大病院の各サイト内
LAN が 100Base-TX(Fast Ethernet)あったため,通信速度の理論上の上限は 100Mbps であ
った.
システムの動作実験として,眼科手術における縫合作業および血管外科手術における微細
血管縫合作業を想定した針刺し動作を行った.各作業につき 1 日ずつのデモンストレーション
を行った.実験中に数度,機器の不調による障害が発生したが,ネットワーク自体の障害が極
めて少なかったことから,遠隔コミュニケーションシステムおよび周辺映像提示の併用により迅
速な障害対策が行われた.結果としてはほぼ滞りなく 2 日間のデモンストレーションを実施でき
た.実験の様子を図 6,7,8 に示す.
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
図6. 京大側に設置しマニュピレータを医師が操作して、東大側の眼を手術するところ。
図 7. 東大側に設置した遠隔ロボットを操作して手術を行っているところ。
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
図 8. 東大側に設置させた微細手術ロボット装置を用いて京大の医師が針を挿入しているところ。
実験結果より,遠隔手術における周辺映像提示の有効性が確認された.操作者からの要求
として,術野周辺の空間状況把握支援,状況に応じて提示映像が選択できる機能等が挙げら
れた.
4. 結語
本稿では,遠隔手術に関するあらゆる支援情報を統合管理すると同時に,多種多様な支援
情報を適切に提示することで遠隔手術の進行を総括的に支援するための AR システム
「Surgical Cockpit System」の概要について述べ,研究の現状について解説した.現状におい
ては映像伝送および映像提示に焦点を絞り,状況映像の提示法および映像伝送遅延の影響
評価を中心に研究を進めている.LAN 環境における模擬実験を進めると同時に,実際に国内
規模の大容量ネットワークである JGN を利用して東京大学−京大病院間の遠隔手術実験を
開始した.
今後の方針として,遠隔手術実験を継続し状況映像伝送・提示に関する研究を進めると同
時に,支援情報の統合管理について研究を行う必要がある.また,従来は支援情報提示に関
して,主に手術ロボットを操作する術者を対象として研究を行ってきたが,今後は手術室の医
療スタッフも含めた支援情報提示空間についても研究する必要がある.
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
手術ロボットシステムの登場により,患者に対する侵襲を伴う処置においてまでも,情報シス
テムが関与するようになった.近年の情報関連技術の急速な発展により手術に関連する医療
機器および医用計測機器についても,情報システムを抜きにして語ることは非常に困難になっ
ている.逆に医療分野に情報システムを積極的に導入することにより,医療体制の分散化も可
能となる.医療体制を分散化させることにより,以下の恩恵が期待できる.
・ 自サイトに足りない技術は他サイトの協力で補う
・ 患者の状態や手術の状況に応じた適切な協力体制を選択・編成する
・ 研究開発資源を限定された分野に集中的に投入することにより,より高度な医療技術を
開発する
本研究が新たな遠隔協調型の医療体制実現の一助となることを期待する.
謝辞
本研究の一部は日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業 JSPS-RFTF 99I00905(分野
名:外科領域を中心とするロボティックシステムの開発,プロジェクト名:Telesurgery における通
信システムと情報支援ネットワークの開発)および通信放送機構の共同研究プロジェクト(プロ
ジェクト名:超高速ネットワークを用いた遠隔手術ロボット制御等に関する研究)の助成によるも
のである
4.2.節の広視野周辺映像提示の実験で全面的にご支援いただいた,奈良先端科学技術大
学院大学情報科学研究科千原國宏教授を始めとする千原研究室の皆様に,この場を借りて
感謝の意を述べる.
4.5.節の東京大学−京大病院間遠隔手術実験において,マイクロサージェリロボットシステム
のご提供ならびに実験の進行に多大なご協力を頂いた,東京大学大学院工学系研究科光石
衛教授を始めとする光石・割澤研究室の皆様に,この場を借りて感謝の意を述べる.
参考文献
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http://www.star.t.u-tokyo.ac.jp/projects/master-slave/index-j.html
[6] 相互テレイグジスタンスの研究.
http://www.star.t.u-tokyo.ac.jp/projects/mutel/index-j.html
[7] MVL 開発推進協議会.http://www.scat.or.jp/mvl/japanese/mvlindex.htm
[8] 津田健,堀謙太,小森 優ら.全周囲 VR 装置を用いた遠隔手術環境の共有.電子情報
15
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
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Journal of Medical Systems (Submitted)
2.
Masataka Imura, Yoshito Tabata, Ichiroh Kanaya, Tomohiro Kuroda, Yoshitsugu Manabe,
Osamu Oshiro, Kunihiro Chihara: Digital Archiving of Kamegata-Ishi (Turtle-shaped Stone),
Asian Journal of Geoinformatics, Vol.2, No.1, pp.49-54 (2001).
3.
Kenta Hori, Hiroshi Oyama, Yasuhiko Ozaki, Takeshi Tsuda, Takatoshi Suenaga,
Tomohiro Kuroda, Mikio Suga, Masaru Komori, Osamu Oshiro, Kotaro Minato, Kunihiro
Chihara, Takashi Takahashi; "Surgical Cockpit System and Effectiveness of its Immersive
Environment", Computer Assisted Radiology and Surgery 2001, p.1160, Jun. 2001
4.
Kenta Hori, Tomohiro Kuroda, Hiroshi Oyama, Yasuhiko Ozaki, Takehiko Nakamura,
Takashi Takahashi; "Improving Precise Positioning of Surgical Robotic Instruments by a
Three-sides-view Presentation System on Telesurgery", Computer Assisted Radiology
and Surgery 2001, Jun. 2001 (Submitted)
5.
Kenta Hori, Tomohiro Kuroda, Hiroshi Oyama, Yasuhiko Ozaki, Takehiko Nakamura,
Takashi Takahashi; "Effect of Video Streaming Delay on telemedicine based on the
Surgical Cockpit System", Computer Assisted Radiology and Surgery 2001, Jun. 2001
(Submitted).
6.
Masataka Imura, Yoshito Tabata, Ichiroh Kanaya, Tomohiro Kuroda, Yoshitsugu Manabe,
Osamu Oshiro, Kunihiro Chihara: Digital Archiving of Kamegata-Ishi (Turtle-shaped Stone),
Asian Journal of Geoinformatics, Vol.2, No.1, pp.49-54 (2001).
7.
Oyama H, Kuroda T, Hori K, Nakamura T, and Takahashi T. Efficacy of a Virtual
Reality Simulator for Evaluating the Aptitude of Medical Students, General Med 2001; 2(1):
(Submitted).
16
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
(邦文)
1.
尾崎 安彦,堀 謙太,小山 博史,津田 健,満武 巨裕,末永 貴俊,菅 幹生,黒
田 知宏,小森 優,大城 理,湊 小太郎,千原 國宏,高橋 隆; "遠隔ロボット手術にお
ける没入型操作環境の有効性", 第5回遠隔医療研究会 論文集,pp. 8-9, Jun. 2001.
2.
尾崎安彦,堀 謙太,黒田知宏,中村威彦,小山博史,高橋隆; "遠隔ロボット手術
支援システムにおける立体展開映像の提示",第4回 日本エム・イー学会大会,May.
2002(採録決定).
3.
堀 謙太,黒田知宏,小山博史,尾崎安彦,中村威彦,高橋隆; "遠隔ロボット手術
における映像伝送遅延による影響の評価", 第4回 日本エム・イー学会大会,May. 2002
(採録決定).
4.
堀 謙太,黒田知宏,小山博史,高橋隆; "Surgical Cockpit System -遠隔手術にお
ける統合情報支援システムの標準化-", 医療情報学,(採録決定).
5.
田畑慶人, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: 手型認識を用いた指文字教育システム,
教育システム情報学会誌, Vol.18, No.2, pp.172-177 (2001)
6.
田畑慶人, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: 手型認識を用いた指文字教育システム,
教育システム情報学会誌, Vol.18, No.2, pp.172-177 (2001)
(解説・招待講演)
1.
Tomohiro Kuroda, Augmented Reality and Avatar Research in NAIST, PAULA Project
Meeting (2001).
2.
清原聡, Tomi Korpipaa, 眞鍋佳嗣, 大城理, 黒田知宏, 湊小太郎, 武田晴夫, 横矢直
和, 千原國宏: 通信・放送機構 奈良リサーチセンターの研究紹介 -没入型仮想融合空間
の構築・提示技術に関する研究開発-, 画像電子学会誌,Vol.30, No.5, pp.316-319 (2001).
3.
黒田知宏: 次々世代携帯電話(4G Mobile Phone), 読み解き e-liaison ラボ/月刊リエゾン
ナビ, http://www.e-liaison.ne.jp/liaisonnavi/labo/ware08.php3, (2001).
4.
Koichi Minami, Tomi Korpipaa, Tatsuya Shuzui, Tomohiro Kuroda, Yoshitsugu Manabe,
Kunihiro Chihara: Collaborative Work Support on Networked Heterogeneous Platforms
-Shared Augmented Interior Design Space-Usability Evaluation and Interface Design,
Proceedings of HCI International 2001,Vol.1, pp.524-527 (2001)
(国際会議)
1.
Tomohiro Kuroda, Atsushi Nakamura, Yoshiyuki Kojima, Yoshitsugu Manabe, Kunihiro
Chihara: Interactive Visualization of Energy Consumption using VRML, Proceedings of SPIE,
Vol.4311, pp.218-225 (2001)
2.
Tomohiro Kuroda, Atsushi Nakamura, Yoshiyuki Kojima, Yoshitsugu Manabe, Kunihiro
Chihara: Interactive Visualization of Energy Consumption using VRML, Technical Program
and Technical Summary Digest of Electric Imaging 2001, p.260 (2001)
3.
Takatoshi Suenaga, Masayuki Nambu, Tomohiro Kuroda, Osamu Oshiro, Toshiyo Tamura,
Kunihiro Chihara: A Tele-Instruction System For Ultrasound Probe Operation Based On
Shared AR Technology, 23rd Annual International Conference of the IEEE Engineering in
17
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
Medicine and Biology Society, CR-ROM Proceeding (2001)
4.
Masataka Imura, Tomohiro Kuroda, Osamu Oshiro, Kunihiro Chihara, Joakim Brandberg, Per
Ask: Blood Flow Visualization In Immersive Environment Based On Color Doppler Images,
23rd Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology
Society, CD-ROM Proceeding (2001)
5.
Masataka Imura, Yoshito Tabata, Ichiroh Kanaya, Tomohiro Kuroda, Yoshitsugu Manabe,
Osamu Oshiro, Kunihiro Chihara: Digital Archiving of Kamegata-Ishi (Turtle Shape Stone)
Using
Data
Fusion
of
Heterogeneous
Measurements,
International
Archives
of
Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences, Vol.XXXIV, Part 5/W1,
pp.75-80 (2001)
6.
Koichi Minami, Tomi Korpipaa, Tomohiro Kuroda, Yoshitsugu Manabe and Kunihiro Chihara:
An Interior Design System on Shared AR Space -A Lock-Free Communication Protocol for
Smooth Interaction-, International Symposium on Mixed Reality 2001, pp.137-138 (2001)
7.
Peter Antoniac, Tomohiro Kuroda, Petri Pulli: User Interface Appliance for Mobile Devices,
Proceedings of World Wireless Research Forum 2 (2001)
8.
Yoshito Tabata, Tomohiro Kuroda, Yoshitsugu Manabe, Kunihiro Chihara: Virtual Deer-Back
Riding-walk through ancient city Nara, International Conference on Image and Signal
Processing Proceedings, pp.168-175 (2001)
9.
Tomohiro Kuroda, Wakako Makari, Yoshitsugu Manabe, Kunihiro Chihara: Transformation of
Signing Avatar to Fit User's Figure, International Conference on Image and Signal Processing
Proceedings, pp.161-167 (2001)
10. Hiroshi Sasaki, Tomohiro Kuroda, Yoshitsugu Manabe, Kunihiro Chihara: Hand-Area
Extraction by Sensor Fusion Using Two Cameras for Input Interface of Wearable Computers,
The 12th Scandinavian Conference on Image Analysis, pp.779-784 (2001)
11. Kenta Hori, Hiroshi Oyama, Yasuhiko Ozaki, Takeshi Tsuda, Takatoshi Suenaga, Tomohiro
Kuroda, Mikio Suga, Masaru Komori, Osamu Oshiro, Kotaro Minato, Kunihiro Chihara,
Takashi Takahashi: Surgical Cockpit System and Effectiveness of its Immersive Environment,
CARS 2001 Computer Assisted Radiology and Surgery, p.1160 (2001)
12. Peter Antoniac, Petri Pulli, Tomohiro Kuroda, Dan Bendas, Seamus Hickey, Hiroshi Sasaki:
HandSmart Mediaphone, Advanced Interface for Mobile Services, Proceedings of World
Multi-Conference on Systemics, Cybernetics and Informatics, CD-ROM (2001)
13. Tomohiro Kuroda, Yoshito Tabata, Mikako Murakami, Yoshtisugu Manabe, Kunihiro Chihara:
Sign Language Digitization and Animation, Proceedings of HCI International 2001,Vol.3,
pp.363-366 (2001)
14. Peter Antoniac, Tomohiro Kuroda, Petri Pulli: User Interface Appliance for Mobile Devices,
World Wireless Research Forum 3 (2001)
15. Nobuyuki Ishibashi, Yoshitsugu Manabe, Osamu Oshiro, Motonori Doi, Tomohiro Kuroda,
Ichiro Kanaya, Yoshihiro Yasumuro, Kunihiro Chihara: Checking Daily Health and Safety on
the Internet, Proceedings of International Conference on Technology and Persons with
Disabilities, http://www-cod.csun.edu/conf/2002/proceedings/244.htm (2002)
18
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
(国内会議)
1.
尾崎安彦, 津田健, 堀謙太, 小山博史, 末永貴俊, 黒田知宏, 菅幹生, 小森優, 大城理,
湊小太郎, 千原國宏, 高橋隆: 遠隔ロボット手術実施環境における全周囲型モニタの有効
性, 電子情報通信学会技術報告[医用画像], Vol.100, No.597, pp.81-86 (2001)
2.
尾崎安彦, 津田健, 堀謙太, 小山博史, 末永貴俊, 菅幹生, 黒田知宏, 小森優, 大城理,
湊小太郎, 千原國宏, 高橋隆:遠隔ロボット手術実施環境における全周囲型モニタの有効性,
電子情報通信学会技術研究報告, MI2000-91, pp.81-86 (2001).
3.
井村誠孝, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 大城理, 千原國宏: 流体可触化デバイスの試作, 第 45
回システム制御情報学会研究発表講演会講演論文集, pp.205-206 (2001)
4.
鎌田久美, 井村誠孝, 黒田知宏, 大城理, 千原國宏, 小笠原康夫, 豊田英嗣, 梶谷文彦:
腎臓糸球体の没入型インタラクティブ観測システム, 医用電子と生体工学, Vol.39, p.362
(2001)
5.
小島佳幸, 佐々木博史, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: ウエアラブル拡張現実感におけ
る手を用いた仮想物体の直接操作,
第 45 回システム制御情報学会研究発表講演会講演
論文集, pp.555-556 (2001)
6.
田畑慶人, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: 指文字教育システムのための身振り認識手法
に関する一考察, 第 45 回システム制御情報学会研究発表講演会講演論文集, pp.559-560
(2001)
7.
末永貴俊, 黒田知宏, 大城理, 千原國宏: 共有 AR 技術を用いた遠隔超音波診断支援シス
テム, 医用電子と生体工学, Vol.39, p.368 (2001)
8.
村上満佳子, 田畑慶人, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: 手話アニメーションへの程度修
飾の付加, 第 45 回システム制御情報学会研究発表講演会講演論文集, pp.583-584 (2001)
9.
佐々木 博史, 黒田 知宏, 眞鍋 佳嗣, 千原 國宏: てのひらかめら−てのひらいんたぁふぇ
いすの実装例, 第 45 回システム制御情報学会研究発表講演会講演論文集, pp.165-166
(2001)
10. 南 広一, 佐々木 博史, 黒田 知宏, 眞鍋 佳嗣, 千原 國 宏: 共有 AR 空間における協調
作業のための一貫性制御プロトコ ル, 第 45 回システム制御情報学会研究発表講演会講演
論文集, pp.291-292 (2001)
11. 木村 篤信, 佐々木 博史, 黒田 知宏, 眞鍋 佳嗣, 千原 國宏: 没入型空間におけるユー
ザと仮想物体のインタラクション, 第 45 回システム制御情報学会研究発表講演会講演論文集,
pp.161-162 (2001)
12. 尾崎安彦, 堀謙太, 小山博史, 津田健, 満武巨裕, 末永 貴俊, 菅幹生, 黒田知宏, 小森
優, 大城理, 湊小太郎, 千原國宏, 高橋隆: 遠隔ロボット手術における没入型操作環境の
有効性, 第 5 回遠隔医療研究会論文集 , pp.8-9 (2001)
13. 田畑慶人, 黒田知宏, 村上満佳子, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: 手話教育システムの試作,
Proceedings of 27th Japanese Association of Sign Language, pp.34-35 (2001)
14. 佐々木博史, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: ウェアラブルコンピュータとデバイスレスイン
タフェースに関する一考察, 日本バーチャルリアリティ学会第 6 回大会論文集, pp.463-464,
(2001).
15. 小島佳幸, 佐々木博史, 安室喜弘, 金谷一朗, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: ウエアラ
19
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
ブル AR における直感的操作のための手と仮想物 体との視覚重畳 , 日本バーチャルリアリ
ティ学会第 6 回大会論文集, pp.461-462 (2001)
16. 村上満佳子, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: バーコードを利用した視覚障害者用商品案
内音声ガイド, ヒューマンインタフェースシンポジウム 2001 論文集, pp.97-98 (2001)
17. 前田宏二, 安室喜弘, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: 歩行者の混雑情報の検出および
地図上への統合, ヒューマンインタフェースシンポジウム 2001 論文集, pp.509-510 (2001)
18. 立石敏隆, 佐々木博史, 安室喜弘, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: 状況推定を導入した
視覚障害者の歩行支援に関する研究, ヒューマンインタフェースシンポジウム 2001 論文集,
pp.471-472 (2001)
19. 立石敏隆, 佐々木博史, 安室喜弘, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏: 電子白杖のための
光学計測にもとづく状況推定, 第 44 回自動制御連合講演会(前刷), pp.196-199 (2001)
20. 村上満佳子, 田畑慶人, 黒田知宏, 千原國宏: 手話アニメーションの可読性向上のための
一手法, 日本人間工学会関西支部大会講演論文集, pp.37-38 (2001)
21. 立石敏隆, 村上満佳子, 井村誠孝, 安室喜弘, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏:視覚障害
者のための状況推定を導入した電子白杖システム, ヒューマンインタフェース学会研究報告
集, Vol.4, No.1, pp.61-64 (2002)
22. 前田宏二, 村上満佳子, 井村誠孝, 安室喜弘, 黒田知宏, 眞鍋佳嗣, 千原國宏:歩行者分
布の実時間計測と地図生成, ヒューマンインタフェース学会研究報告集, Vol.4, No.1,
pp.87-90 (2002)
20
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
研究題目 II:術中シミュレーションシステムの開発
滋賀医科大学教授 小森 優
京都大学大学院情報学研究科修士課程 山本恭弘,
同 博士課程 中尾恵
【研究概要】
手術ロボットと同じ操作環境で、術前データに基づくシミュレーションを行うシステムを開発す
る。これを手術直前や術中にもマスターアームで使用できるようにして、術者の支援を行うシス
テムを構築する。マスターアームにも求められているように、患部の触感もシミュレートする。
【研究成果】
力学的に複雑な構造を持つ胸部、心臓、血管を対象として、術前に計測した形状、血圧、弾
性値を用いて、静的な弾性のみならず、拍動、脈動を加味した動的モデルによるシミュレーシ
ョンシステムを構築している。手法として、主として有限要素法を用いるが、精度を要しない部
位ではばねモデルを用いることで、処理時間の短縮、触感応答の遅延を抑えるよう努めた。ば
ねモデルによる表皮切開シミュレーションや、3 次元有限要素法による大動脈の複数指(複数
接触点)による触診シミュレーションなどを構築した。関連文献(1)、(2)を添付する。
21
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
図1.拍動する心臓の触診シミュレーション法の開発
図2.動的心臓触診シミュレーションにおける肺動脈の血流動態のシミュレーション法の開発
図 3. 皮膚切開シミュレーション法の開発
【研究成果】
(原著)
1.中尾 恵, 黒田 知宏, 小山 博史, 小森 優, 松田 哲也, 高橋 隆, "心臓血管外科手術
におけるVRシミュレーション", 医療情報学論文誌(掲載決定)
(Conference/Workshop Paper)
22
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
1.Megumi Nakao, Masaru Komori, Hiroshi Oyama, Tetsuya Matsuda, Genichi Sakaguchi,
Masashi Komeda, Takashi Takahashi; "Haptic Reproduction and Interactive Visualization of
a Beating Heart Based on Cardiac Morphology ", Proceedings of the 10th World Congress
on Medical Informatics, pp.924-928, 2001
2.中尾恵, 小山博史, 小森優, 松田哲也, 高橋隆; "軟組織の形状・物理特性に基づいたリ
アルタイム切開シミュレーション手法と医用実測データの適用", 日本バーチャルリアリティ
学会 第6回論文集, pp.417-420, Sep 2001
3.黒田嘉宏, 中尾恵, 小山博史, 小森優, 松田哲也, 高橋隆, "異なる物理モデルで構成さ
れた軟性組織におけるインタラクションのモデル化手法を用いた反力生成変形シミュレーシ
ョン", 日本バーチャルリアリティ学会 第6回論文集, pp.413-416 Sep 2001
4.山本 恭弘, 中尾恵, 小山博史, 小森優, 松田哲也, 高橋隆, "有限要素法を用いた心臓
大動脈の触診シミュレーション", 日本バーチャルリアリティ学会 第6回論文集, pp.421-422,
Sep 2001.
5.中尾恵, 小山博史, 小森優, 松田哲也, 高橋隆; "組織切開と術中視野再現による低侵襲
手術 術前シミュレーション", 第21回医療情報学連合大会論文集, Nov 2001
6.山本恭弘, 中尾恵, 小山博史, 小森優, 松田哲也, 高橋隆, "有限要素法への時系列血
圧データ適用による心臓大動脈触診シミュレーション", 第21回医療情報学連合大会論文
集, Nov 2001
23
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
研究題目 III: 遠隔微細手術ロボット装置・マスターマニュピレ
ータの開発の開発
東京大学大学院工学系研究科 教授
講師
光石 衛
割澤 伸一
マルチメディアコックピットの開発
1.
マルチメディアコックピット
テレ・サージェリ・システムにおける要素として、実際に手術を行うために必要となるマスタ・スレー
ブマニピュレータ、術者が円滑な操作を行えるように支援するための情報提示システム、さらには、術者
がオペレーションを行うマスタ・マニピュレータのあるサイトとスレーブ・マニピュレータが設置された
手術室とを結ぶ情報伝送路とに大きく分けることが出来る。システムの全体構成を図1に示す。
図1:テレ・サージェリ・システムの全体構成
テレ・サージェリを円滑に行うにあたりシステムに必要となる機能としては以下が挙げられる。
・
マニピュレータ技術とロボットの操作性の向上
・
術野動画像の効率的な伝送技術
・
複数の診断情報の伝送技術とその効果的な提示方法
術者側操作環境に注目するとその構築にあたっては、マスタ・マニピュレータと操作を支援するための
情報の提示手法を有機的に統合する必要がある。現在開発中である術者側の環境を以下、“マルチメディ
24
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
ア・コックピット”と呼ぶこととする。マスタ・マニピュレータの設計にあたっては、情報提示装置との
融合を考慮する必要がある。また、診断情報の提示にあたっては操作を妨げない効果的な提示方法を検討
する必要がある。
今回は、マスタ・マニピュレータと術野画像を統合した操作環境の構築と、周辺情報提示として、(i)力
覚・触覚情報の効果的なフィードバック機能、(ii)助手との円滑なコミュニケーションと測定機器からの視
覚・聴覚情報の提示を取り上げ、視覚変換して提示する手法を開発した。
以下、マスタ・マニピュレータ周辺および視覚変換情報提示システムについて個々に記す。
1.
操作環境(マスタ・マニピュレータ周辺)の開発
開発したマスタ・マニピュレータは、リンク構造を用いた図2に示すような構造をしており、
・ 7 自由度(並進・回転・エンドイフェクタの開閉)を有する
・
平行リンク構造により並進位置の変化に対して並進先端位置姿勢が変化しない
・
力フィードバック機能を有すること
といった特徴を有する。
図2:マスタマニピュレータの概観
図3:マスタ環境の再構造
25
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
図4:マスタ周辺環境
開発したマスタ・マニピュレータはリンク構造をとっているため、先端重量が並進を駆動するモータへ
の負荷となる。今回は特に以下の要求機能を考慮し実装した。
・操作負荷を軽減するための重力補償機能
・術中の操作の中断を可能とする姿勢保存機能
また、マスタ・マニピュレータの開発にあたっては上述のように周辺に設置する情報提示装置と密接に
連携し、術中の情報の獲得に関してマスタの操作を妨げないことが必要となり、情報の中心となる術野画
像の提示装置とマスタ・マニピュレータの再構造を行った。図3に構成図を、図4に実際のマスタ周辺環
境の概観を示す。操作環境は、(i)マスタ・マニピュレータ、(ii)高解像度ディスプレイ(術野情報の提示)、
(iii)可動アームからなり、特徴としては以下の事柄が挙げられる。
・
座位で操作可能とし、アームレストを設け術者の負担を低減する
・
マスタと術野画像提示ディスプレイの干渉が少ない
・
複数のディスプレイを設置可能
術野を提示するディスプレイは、術者とマスタを結んだ延長線上に設置することが望ましいという結果
が得られた。
2.
視覚情報・聴覚情報等提示システム
テレ・サージェリ・システムにおいて獲得される情報は以下のように大別される。
(1) 専門領域・術式に関わらず重要度が高い情報
術野画像、助手や麻酔科医、看護士の音声情報、周辺機器からのモニター音、警告音などがある。一
般的に術者は常に術野に集中しており、周辺情報は聴覚情報を元に獲得することが主となる。
(2) 緊急時や特殊な状況、術式によって重要度が異なる情報
助手の表情、身振り手振り、CT・MRI・X 線画像情報、カルテなどの書類、周辺機器からの視覚的な
26
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
情報、述部での作業に伴う微小音などがある。術式・手術状況によって必要情報が多様であり、情報
の選択機能の要求が高いことが特徴として挙げられる。
(3) 重要度が低い情報
手術室全体の視野や、患者の様子などがある。これらの情報に関しては雰囲気を確認できる程度に視
野にいれておく必要がある。
支援情報の提示にあたっては、こういった情報の種類と重要度を考慮して提示手法を検討する必要がある。
術野画像の提示に関しては、自然な姿勢で情報が得られることが指摘されている。よって、ディスプレイ
の角度を容易に可能な方が望ましい。また、術野以外の視覚情報の提示に関しては、必要なときにすぐに
情報が獲得できること、術者以外の人にも情報が共有できること、さらには関連情報ごとに分割提示され
ている方が望ましいなどの点が指摘されている。
術野画像に関しては上述のようにマスタ・マニピュレータとの関連度が高く、これらを一体として設計
する必要があるが、それ以外の情報提示手法に関しては、まだ確立された方法論が示されておらず個々の
環境において実装・評価する必要がある。今回は、心電図および力センサ情報の 2 種類の情報に関し、視
覚情報への変換手法の実装と評価を行った。
一般に生体情報は患者側に設置された測定機器においてモニタリングするが、電子音を発生する心電図
のようなものは遠隔で操作する際には周辺の雑音によって情報の獲得が困難である場合が考えられる。こ
こでは心電図を例にとり視覚情報提示する手法を開発した。
心電図あるいは、力センサから得られた情報を患者側に設置したコントローラで AD 変換して取得し、
ネットワークを介してマルチメディアコックピットに転送する。得られた情報を元にコックピットにおい
てグラフ化して視覚提示するという手法を用いた。個々の表示例および術野画像に重ねあわせた場合の表
示例を図2に示す。
図5:力覚情報・心電図の視覚情報への変換提示
情報の描画にあたっては、背景を透明にして重ね合わせることが可能であり、図2の右側のように術野
画像においても有効に機能する。また、術式や状況に応じて術者が表示内容を選択可能な点で実際のテレ・
サージェリ・システムへの適用において有用性が高いと言える。
3.
システムの総合評価実験
再構造されたマスタ周辺環境および、視覚変換提示を実装した環境において LAN 上での統合操作実験を行
った。これまでに構築したテレ・マイクロ・サージェリシステムおよび遠隔低侵襲手術システムに適用し
27
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
た。実験の模様を図6に示す。
図6:総合評価実験の様子
4.
まとめと今後の課題
本報告のまとめを以下に示す。マルチメディアコックピットの開発において、
・
マスタ・マニピュレータの周辺環境の再構造を行った
・
テレ・サージェリ・システムにおける必要情報の特徴・分類および情報提示の方針を示した
・
術中の患者情報の遠隔モニタリングとして、心電図を例にとり実装し、有効性を検討した
・
スレーブ・マニピュレータの力覚情報の視覚変換提示を実装し、有効性を検討した
・
複数の術式を対象としたシステムへの適用性を実験により確認した
また、評価実験を通して以下の課題があることが指摘された。
・
手術室側から必要な情報を動的に伝送提示する機能の必要性
・
必要なサイトへの情報伝送に対応できる情報提示システムの構築の必要性
・
術式や状況に応じた表示方法の多様化への対応
・
術野画像における位置把握を支援するための 3 次元立体視提示方法の検討
・
高速シミュレータによる時間遅れの補償機能の構築
・
術野画像の獲得に関して、顕微鏡の位置を操作するインタフェースの開発
なお、今後の予定としては、マスタ・マニピュレータの製品化、立体視の視覚情報伝送、聴覚情報提示環
境の構築を各々企業と連携して行い、最終的なマルチメディアコックピットへの統合を計画中である。
28
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
研究題目 IV:遠隔医療のための視覚・触覚インタフェースの開
発とレーザトラッピング技術を用いた遠隔細胞診断装置に関
する研究
奈良先端科学技術大学院大学: 湊 小太郎, 黒田 知宏(現:京都大学医学部
附属病院 ), 菅 幹生 ,大城 理 ,杉浦 忠男
【研究概要】
a) 3次元遠隔術野指示システムの開発(図1)
AR 技術を用いることによって,遠隔ロボット手術に必要な患部指示システムの開発を行った.
このシステムでは,遠隔地にいる専門医が患部の 3 次元形状を取得するとともに,患部に対す
る指示が視覚,触覚的に行えるものである.本システムでは,患者側においてカメラとプロジェ
クタを設置して患部の 3 次元形状計測を行い,取得した形状データと映像を専門医に伝送す
る.専門医は画面上の映像を見ながら,かつ,力覚提示装置を用いて,患部に対する指示を
行う.患者側では形状計測に用いたプロジェクタを用いて,専門医からの指示内容を患部表
面に直接投影した.本システムを利用することにより,仮想空間において患者の形状を共有す
ることができ,遠隔地から患部輪郭を触覚しながら部位の指示を可能にすることができた.
b)遠隔細胞操作システムの開発(図2,3)
顕微鏡下の数ミクロン程度の細胞一個を、レーザクランプの技術を用いて遠隔地か ら自由
に操作することを目的に、光ピンセット実験システムと反力フィードバック制 御系を設計し、こ
れらに基づく基本実験システムを構築した。
本システムでは、顕微鏡側において顕微鏡画像を取得するカメラを設置し、レーザー クラ
ンプで捕まえた微粒子の画像から反力の計算を行い、画像と反力を術者側に伝送 する。術
者側では、レーザークランプの位置をハプティックデバイスにより入力して、それを顕微鏡側へ
伝送すると共に顕微鏡側からの反力の情報をハプティックデバイスを介して術者へ提示を行う。
術者は顕微鏡下の細胞を遠隔でありながらあたかも実際に触っているかのように感じて操作を
行えるものである。本年度ではハプティックデバイスによってレーザークランプの位置を制御す
る系、および顕微鏡画像から反力を計算するシステムについて開発を行い、ネットワークで接
続する実験を行った。
29
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
図 1. 遠隔医療のための視覚・触覚インターフェース
図 2. 遠隔細胞操作システムの概要
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
図 3. 3 次元遠隔術野指示システム
【研究成果】
<原著論文>
1.
大城理, 菅幹生, 太田信, 松田哲也, 堤定美, 湊小太郎, 千原國宏, 高橋隆; MRE を
用いた剛性率と粘性率の計測: Medical Imaging Technology, 19, pp.389-399(2001).
2.
菅幹生, 田谷基教, 湊小太郎, 山村加奈子, 友久久雄, 小森優; 全方位カメラを用い
た発達障害児の無拘束行動測定システム: 電子情報通信学会論文誌, J84-D-II, 10,
pp.2320-2327(2001).
<Invited Speaker and Survey Paper>
1.
清原聡, Tomi Korpipaa, 眞鍋佳嗣, 大城理, 黒田知宏, 湊小太郎, 武田晴夫, 横矢直
和, 千原國宏; 通信・放送機構 奈良リサーチセンターの研究紹介-没入型仮想融合空
間の構築・提示技術に関する研究開発-: 画像電子学会誌, Vol.30, No.5, pp.316-319
(2001).
<国際会議(査読付き)>
1.
O.Oshiro, M.Imura, M.Suga, K.Minato and K.Chihara, Integration and Immersive
Presentation of Various Head Information: IEEE/EMBS(2001).
2.
M.Imura, T.Kuroda, O.Oshiro, K.Chihara, J.Brandberg and P.Ask; Blood Flow
Visualization
in
Immersive
Environment
IEEE/EMBS(2001).
31
Based
on
Color
Doppler
Images:
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
3.
T.Suenaga, M.Nambu, T.Kuroda O.Oshiro, T.Tamura and K.Chihara; A Tele-Instruction
System
for
Ultrasound
Probe
Operation
Based
on
Shared
AR
Technology:
IEEE/EMBS(2001).
4.
M. Suga, T. Matsuda, K. Minato, O. Oshiro, K. Chihara; Measurement of in-vivo Local
Shear Modulus by Combining Multiple Phase Offsets MR Elastography: MEDINFO2001,
pp.933-937(2001).
<国内学会>
1.
井村誠孝, 須田淳一, 末永貴俊, 菅 幹生, 大城 理, 湊小太郎, 千原國宏; 異種統
合データを用いた脳内ウォークスルー: 医用画像情報学会春季大会(2001).
2.
尾崎安彦, 津田健, 堀謙太, 小山博史, 末永貴俊, 菅 幹生, 黒田知宏, 小森優, 大
城 理, 湊小太郎, 千原國宏, 高橋隆; 遠隔ロボット手術実施環境における全周囲型モ
ニターの有効性: 電子情報通信学会技術研究報告, MI2000-91, pp.81-86(2001).
3.
須田淳一, 菅幹生, 大城理, 湊小太郎, 千原國宏; 没入空間における脳血管内部表
示: 第 40 回日本エム・イー学会大会論文集, 2aC1-3, p.361(2001).
4.
佐藤恭子, 菅幹生, 大城理, 湊小太郎, 千原國宏; MRE の弾性情報を反映した弾性モ
デルの力覚提示: 第 40 回日本エム・イー学会大会論文集, 2aC2-1, p.364(2001).
5.
末永貴俊, 黒田知宏, 大城 理,千原國宏; 共有 AR 技術を用いた遠隔超音波診断支援
システム: 第 40 回日本エム・イー学会大会論文集, 2aC2-5, p.368(2001).
6.
尾崎安彦, 堀謙太, 小山博史, 津田健, 満武巨裕, 末永貴俊, 菅幹生, 黒田知宏, 小
森優, 大城理, 湊小太郎, 千原國宏, 高橋隆; 遠隔ロボット手術における没入型操作環
境の有効性: 第 5 回遠隔医療研究会論文集,pp.8-9(2001).
7.
大城理, 土居元紀, 馬場始三, 木村映善, 桝田晃司, 石原謙, 千原國宏; ロボットを用
いた遠隔超音波診断実験: 日本超音波医学会基礎技術研究部会資料, BT-2001-5,
pp.23-28(2001).
8.
若狭博資, 太田淳, 菅幹生, 土居元紀, 大城理, 湊小太郎, 布下正宏, 千原國宏;
HYPER OMNI VISION 用 CMOS イメージセンサ: 2001 年映像情報メディア学会年次大
会, p.364(2001).
9.
太田泰輔, 杉浦忠男, 河田 聡; レーザートラップされた粒子を用いた fN 表面力測定:
第 62 回応用物理学会学術講演会講演予稿集, 11p-ZN-6, p.744(2001).
10. 佐藤夏子, 渡部浩司, 林田孝平, 飯田秀博, 湊小太郎; PET 頭部検査における光学式
トラッキングシステムを用いた動き補正システムの開発: 第 41 回日本核医学会総会, to
be presented in October 2001.
11. 大城理, 千原國宏; 没入空間への超音波 3 次元画像表示: 第 22 回超音波エレクトロニ
クスの基礎と応用に関するシンポジウム講演予稿集, P1-44, pp.151-152(2001).
12. 佐藤哲大, 湊小太郎, 豊田浩士, 米倉義晴; 拡散テンソル距離を用いた脳内白質神経
線維束のセグメンテーション法: 電子情報通信学会技術研究報告, MBE2001-88,
pp.37-42(2001).
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
13. 大城理, 井村誠孝, 菅幹生, 湊小太郎, 千原國宏, 浦山慎一, 佐久間利治, 山田直
明; 没入型提示装置を用いた MRA 血管 3 次元像表示: 電子情報通信学会技術研究報
告, MBE2001-89, pp.43-48(2001).
14. 松崎大河, 安室喜弘, 大城理, 千原國宏; 遠隔超音波診断における 3 次元仮想触覚イ
ンタフェイス: 電子情報通信学会技術研究報告, MBE2001-100, pp.117-120(2001).
15. 若狭博資,香川景一郎,太田淳,布下正宏,菅幹生,土居元紀,大城理,湊小太郎,千
原 国宏; 全周囲カメラのための画素レベルフレーム間差分機能付きビジョンチップの開
発: 日本光学会年次学術講演会, 6pD11, pp.211-212(2001).
16. 菅幹生, 湊小太郎, 友久久雄; 全方位カメラを用いた無拘束行動測定システムによる発
達障害児の行動計測: 第 21 回医療情報学連合大会論文集, pp.496-497, 2001.
33
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
研究題目 V: 遠隔手術支援システムの構築
松村泰志 1)、桑田成規 1)、村井正和 2)、河崎 晃 2)、武田 裕 1)
大阪大学医学部附属病院医療情報部 1)、河崎病院 2)
【研究概要】
1.システム概要
大阪府貝塚市にある河崎病院と吹田市の大阪大学医学部附属病院(阪大病院)間をネッ
トワークで接続し、河崎病院に設置された Open MRI による手術を阪大病院側から支援す
るシステムを構築した。Open MRI の手術は、針を非侵襲的に体内の患部に刺して処置す
るものが主である。本システムは、河崎病院側の術者と、阪大病院側の専門医が協力し、
術前に手術計画を立て、術中に阪大病院側から術者を支援することを目的としている。
本システムの機器構成を図に示す。ネットワークは、阪大−河崎病院間を IP over ATM
のネットワークで接続し、双方の末端ではメタル変換してスイッチングハブで 100Mbps の
Ethernet に接続している。映像情報は NTSC の映像信号をエンコーダにて MPEG2 に変換
し、音声情報は、同システムで MPEG1 ビデオ方式に変換して UDP/IP で伝送する。CODEC
を2セット設置し、2 系統の映像情報を同時に利用可能とした。
河崎病院側では、術野の 2 方向のカメラ映像、カンファレンス時の操作者を写すカメラ
映像、Open MRI のハンドピースを使用した断層像(約5秒毎で作成される)を NTSC に変換
した映像が入力ソースである。阪大病院側では、操作者を写すカメラ、コンピュータグラ
フィックスの画像を NTSC に変換した映像が入力ソースである。河崎病院側の映像に阪大側
でコンピュータグラフィックスをオーバレイさせて河崎病院側に送る機能を有する。
河崎病院側の MRI 装置で取られた断層像を DICOM フォーマットで阪大病院側で受け取る
仕組みを持つ。河崎病院側、阪大病院側の 1 対の DICOM viewer を設置して、双方でポイン
ターを動かし、画像の制御信号を共有して遠隔カンファレンスができる。また、阪大病院
のファイルサーバを介し、阪大病院の内部のネットワークに引き込み、外部専用の DICOM
サーバに転送する仕組みを持つ。この DICOM サーバに取り込まれた画像は、阪大病院の病
院情報システムの端末から照会可能である。
本システムを以下のアプリケーションに利用する。1)術前に河崎病院側で撮られた画
像を阪大病院側に事前に転送し、阪大病院の医師が適当な時間に院内の端末で閲覧する。
2)術前の画像を河崎病院側と阪大病院側の医師が同じ画像を見ながら遠隔カンファレン
スを行う。3)阪大病院側で断層像を3D に加工して双方で閲覧し、手術計画を立てる。
4)術直前に撮った断層像から、針刺し位置、患部の位置、幾つかの対表面のマーカの 3
次元での相対位置を求め、針刺し方向を計算し、3D の画像として表現し、河崎病院側か
ら送られてくる 2 方向の画像にコンピュータグラフィックスをオーバレイさせてマーカの
位置を合わせ、画面上に、針刺し位置と方向を精確に図示する。術者は、画面に示された
位置、方向に針をセットして、針を進めることにより、シミュレーション通りに針を患部
34
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
に到達させることができるはずである。5)術中に針の方向の断層像を撮り、阪大病院側
でも、針が正しく目的の方向に向いていることを確認する。
2.実症例での機能評価
平成 14 年 3 月 12 日、本システムを使った手術を行った。
症例は、右大腿股関節部にできたガングリオンを穿刺して、内容物を吸引するものであ
る。以下の手順で、手術が行われた。
1)事前に、本症例の断層像を阪大側で取得し、3D 画像に構成して本装置を使って、河
崎病院側に見せ、共同して針刺し方向を決定した。
2)術直前に断層像を撮影し、阪大病院に転送して、ガングリオンの体積を画像処理装置
により計測した。
3)ハンドピースで断層像を撮影し、針刺し方向の断層像を阪大と共有し、針刺しを行っ
た。
4)ガングリオンの内容物吸引後、断層像を撮影し、阪大病院に転送し、ガングリオンの
大きさの変化を評価した。その結果、十分な吸引が得られていないとの評価となり、
再度、吸引の処置を行うこととした。針先の部位を変更する方針を、術者と阪大病院
の医師の間で決めた。
5)方針に従い、針刺し位置を変えたところからハンドピースの画像を表示し、ガングリ
オンの位置を確認し、針刺し及び吸引を行った。
6)内容物を吸引した後、再び断層像を取り、阪大病院に転送した。
7)阪大病院では、ガングリオンの大きさを計測し、有効に縮小していることを確認し、
手術を終了した。
以上の手術の中で、画像転送、3D 画像の構築、及び共有、ハンドピース画像の共有、
テレビ会議機能が利用され、有効に機能したことが確認された。
3.今後の計画
今回の実症例での評価により、本システムが有効に機能することが確認された。今後、
更に、症例を増やしながら、補強すべき機能について評価を行う。
今回の実症例では、3D 画像を術野映像にオーバレイさせて誘導する機能については実
施していない。この部分については、ほぼプログラムが完成し、現在、ファントム実験に
より評価中である。ファントム実験では、ほぼ実用可能なレベルに到達したが、更に、使
いやすくするために、カメラが固定され、視野が固定されていることを利用し、対表面マ
ーカが無くてもコンピュータグラフィックスと実画像の位置を合わせられる仕組みを取り
込むこととし、現在、プログラムの改造中である。プログラムを完成させ、オーバレイさ
せた画像を表示する機能について、来年度実用化させる予定である。
35
「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
【研究成果】
(原著)
1. Inamura K, Konishi J, Nishitani H, Kousaka S, Matsumura Y, Takeda H, Kondoh H:
Status of PACS and technology assessment in Japan. Computer Method and Programs
in Biomedicine 66, 5-15, 2001
2. Matsumura Y, Saeki E, Otsu K, Morita T, Takeda H, Kuzuya T, Hori M, Kusuoka H,
Intracellular calcium level required for calpain activation in a single myocardial cell. J
Mol Cell Cardiol 33:1133-1142, 2001
3. 佐野晃一、松村泰志、桑田成規、揚振君、戸田良幸、武田 裕:病院情報システムの
データウェアハウスによる糖尿病疫学調査の評価 医療情報学 21(2): 161-171,
2001
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「外科領域を中心とするロボティックシステムの開発」
「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
4. Matsumura Y, Kuwata S, Kusuoka H, Takahashi Y, Onishi H, Kawamoto T, Takeda H.
Dynamic viewer of medical events in electronic medical record. Medinfo’2001 648-652,
2001
5. 松村泰志:電子カルテの未来.日本小児科学会雑誌 105(12) 1361-1367, 2001
6. Kondoh H, Takeda H, Matsumura Y, Kuwata S, Yoshimura H, Narumi Y, Nakamura H,
Okura Y, Inamura K, Washiashi T, Okada S. PACS linked to EPR. Medinfo’2001
915-918, 2001
7. 中島和江、桑田成規、松村泰志、大嶋比呂志、武田裕:医療事故防止のための病院
情報システム・イントラネットを利用したインシデントレポーティングシステムの運用とそ
の効果:医療情報学 vol.20(1):77-82,2001
(総説)
1. 松村泰志:医療の情報化の課題と実現のための手順 BioClinica 16(8):48-53, 2001
2. 松村泰志、武田 裕:パソコンを用いた高血圧の診療と研究−情報の整理と蓄積−
血圧 8(6) 81-85, 2001
3. 松村泰志:電子カルテと病院情報システム−診療情報の包括的管理と利用− 医療
情報学 21(3): 211-222, 2001
(Proceedings)
1. 松村泰志、桑田成規、中野裕彦、楠岡英雄、並川寛和、岡田康士、波内良樹、高橋
康、大西久、川本俊男、武田裕:統合的な患者情報照会を可能とする診療情報のデ
ータフロー.医療情報学 21 (Suppl.), 2001 pp. 348-349
2. Zhenjun Yang, Yasushi Matsumura, Shigeki Kuwata, Hirohiko Nakano, Shanmei Ji,
Qiyan Zhang, Hiroshi Takeda: Similar cases searching from the database of thyroid
diseases 医療情報学 21 (Suppl.), 2001 pp. 502-503
3. 中野裕彦, 桑田成規, 松村泰志, 武田裕:機密データの安全なキャッシングを可能と
するプロキシサーバの開発 医療情報学 21 (Suppl.), 2001 pp. 693-694
4. 佐藤雄亮、中野裕彦、桑田成規、松村泰志、武田裕、湊小太郎:診療情報提供シス
テムにおける柔軟な閲覧権コントロール 医療情報学 21 (Suppl.), 2001 pp. 713-714
5. 桑田成規、松村泰志、高木康彦、 大音和代、束村宏、鷲足猛志、岡田真一、武田裕
:遠隔手術支援システムにおける画像共有および画像取り込みの仕組み 医療情報
学 21 (Suppl.), 2001 pp. 615-616
6. 紀山枚、松村泰志、桑田成規、中野裕彦、佐藤雄亮、揚振君:Web を利用した病名シ
ソーラス作成システムの構築 医療情報学 21 (Suppl.), 2001 pp. 808-809
7. 松村 泰 志、 武田 裕: 診療 録 の 電 子保 存 − 病 院側 の 対応 と 問 題点 − . Medical
Imaging Technology 18(4):431-432, 2001
8. Matsumura Y, Kuwata S, Kusuoka H, Okada Y, Namikawa H, Namiuchi Y, Takahashi Y,
Onishi H, Kawamoto T, Takeda H. Combination of physician order entry and
electronic patient record in hospital information system. SCI’2001 254-260, 2001
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「「Telesurgery における通信システムと情報支援ネットワークの構築」班
平成 14 年度・平成 15 年度計画
Surgical Cockpit System の製品化
1) Surgical Cockpit System
① Multi-content display system etc.
② Surgical Chair etc.
③ Intelligent Foot Switch etc.
2) Information Infrastructure of Telesurgery
① Collaboration of other groups.
② Network protocol and QoS: CORBA, etc.
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